UE4で実現できた理想のゲーム開発ワークフロー

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December 17, 16

スライド概要

2016年12月3日に行われた「関西ゲーム勉強会2016WINTER」にて発表させていただいた、ヒストリアのワークフローのスライドです。
まだまだ手探りではありますが、UE4を活かしたヒストリアらしいワークフローが見えてきたので、一度形にしてみました。

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株式会社ヒストリアは、Unreal Engine専門のソフトウェア開発会社です。ゲーム事業とエンタープライズ事業、2 つの軸でソフトウェアの企画、開発を行っています。また、Unreal Engine の学習を目的とした作品制作コンテスト『UE5ぷちコン』や、『出張ヒストリア! ゲーム開発勉強会』を主催、技術ブログを毎週更新など、Unreal Engine コミュニティを盛り上げる活動も行っております。

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各ページのテキスト
1.

Unreal Engine 4 で実現できた 理想のゲーム開発ワークフロー 2016/12/3 佐々木 瞬 historia Inc.

2.

株式会社ヒストリア 佐々木 瞬 • 主にコンソール系を10年ちょっと • 3年前にヒストリアを設立 • 企画 → エンジニア → 現在 • 勉強会イベント好き historia Inc.

3.

ゲームエンジンを使うメリット • 最新技術を開発せずに手に入る • 安定した(?)エディット環境が手に入る • よりゲーム制作に適したワークフローが行える historia Inc.

4.

ゲーム制作におけるワークフローとマネジメントとは? 各スタッフ の能力 作品クオリティ 個々の能力の総和よりもシナジー効果により、より良いものを作るためのもの historia Inc.

5.

ゲーム制作の4つのフェイズ プロト タイプ プリプロ ダクション 量産 QA 【予算】 小 中 大 中 大 中 中 【PJ成功の重要度】 大 historia Inc.

6.

それぞれ大事にするもの プロト タイプ プリプロ ダクション 量産 QA 安定性 面白さの種を作る 面白さのスケーリング 面白さを商品にする 量産体制確立 クオリティの統一 スケジュール リリースに向けた作業 カオスベース開発 historia Inc. 組織的ワークフロー

7.

UE4の思想 • 早く試し、早く失敗する • こだわりたい人がこだわりを発揮できる • 複数人開発でもそれを可能にする historia Inc.

8.

Level Editor (配置) Blueprint (ビジュアルスクリプト) Sequencer (カットシーン) Material (マテリアル) Cascade (エフェクト) Persona (アニメーション) UMG (UI) historia Inc.

9.

小規模事例(1~5人) historia Inc.

10.

historia Inc.

11.

プロトタイプ historia Inc.

12.

どんなプロダクトだったか? • アーティスト1人1か月でできた作品 • モバイルUE4の検証も兼ねていた • 基本的にテクニカルアーティスト1名で作り上げた • 操作周りだけ、プログラマーが一部清書した • 仕様書はほぼないが、ステージ設計や素材リストは Wiki(Confluence)にまとめてある historia Inc.

13.

完成形 historia Inc.

14.

プロトタイプ historia Inc.

15.

どんなプロダクトだったか? • 新人プランナーの作品 • 一部プログラマーが手伝い、ギミック作成やレベル デザインはBPとレベルエディターでプランナーが 行った • アート周りは新人アーティストが担当 • プランナーが出来るところは自分で行い、それ以外 は他の人に手伝ってもらった historia Inc.

16.

中規模事例(社内10人強+社外) historia Inc.

17.

今までの仕様書ベースのフロー いままではプランナーのイメージ通りになるまでの試行錯誤があった プログラマー 仕様書 指示 プランナー アーティスト historia Inc. 機能の完成

18.

中規模タイトルの例 その1 試行錯誤は試行錯誤したい人がやる 清書 プログラマー 機能の完成 機能単位の プロトタイプ ゲームデザイナー 清書 アーティスト historia Inc.

19.

中規模タイトルの例 その2 事例 「やりたいこと」の共有 ゲームデザイナー 1サイクルが数時間~数日 マルチスキル保有者 ビルド ※ゲームデザイナーにある程度の実装知識が必要 historia Inc. プログラマーとアーティストの 担当範囲は個々のスキルセットに 合わせて”出来る人が出来ることをやる”

20.

プロト&プリプロフェイズ • いかにカオスを乗りこなすかが重要なフェイズ • 仕様書を書いていたのでは遅い! • 速度を失えばクリエイティビティが失われる • メンバーのスキルセットに合わせて速度を出す historia Inc.

21.

プロト&プリプロフェイズ “コミュニケーションが必要な状況”を排除せよ historia Inc.

22.

量産フェイズ • 決めたクオリティで大量生産するために、効率の良い ワークフローを組む • 一度フローを回して、その後はリズムが重要 • ステージやギミックの量産はゲームデザイナー(レベル デザイナー)が実装の中心にいると早い historia Inc.

23.

クリエイティブな組織づくり historia Inc.

24.

実装ベースのワークフローを実現する組織づくり Level Editor Material ゲームデザイナー プログラマー BP UIデザイナー アーティスト 当然全員がUE4実装できる必要がある 自分のセクション外の機能もある程度扱える(興味がある)と良い historia Inc.

25.

組織づくりの工夫 • Colors制度 • ゼネラリスト中心の採用 – 理想は ゼネラリスト85%、スペシャリスト15% • このワークフローへの理解 – プログラマーにとっては全員が処理を触るのは気持ち悪さもあ る historia Inc.

26.

まとめ historia Inc.

27.

このワークフローの利点 • とにかく早い • 各々のクリエイティビティの損失が少ない • 各々が自分のセクションの作業に閉じこもらない • (向上心がある人は)次々と新しいことが出来るように なる historia Inc.

28.

このワークフローの利点 • VR開発に向いている • 新規性の高いプロジェクトに向いている • 小中規模に向いている historia Inc.

29.

このワークフローの欠点 • 中規模以上のプロジェクトでは、しっかりと量産に向け て処理を”清書”しないとツラい • コミュニケーションが足りないと成り立たない • コミュニケーションが足りないと各々が自分で出来る範 囲のことしかやらないか、無理に実現しようとする historia Inc.

30.

まだまだ発展途上 • ゲーム制作のワークフローはまだ向上の余地がある • 最適化された「自分の仕事」を守ってはいけない historia Inc.

31.

s-sasaki@historia.co.jp historia Inc.