GitHub Copilot Chat でブログ記事を執筆する技術

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April 02, 26

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GitHub Copilot Chat (VS Code の GitHub Copilot) でブログを執筆するエージェントを作成するための TIPS をまとめています

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Cloud Solution Architect (AI&Apps) @ Microsoft

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

GitHub Copilot Chat で ブログ記事を執筆する技術 日本マイクロソフト株式会社 山口順也 2026/4/2

2.

ブログ記事執筆のフローを考える スタート 書きたい内容が明確にある場合 Ideate 役割 (Role) ネタ探し 入力 (Input) なし or 気になってるトピック 出力 (Output) 記事案 (概要や見出しなど) x 3 制約 • 話題になっているトピックから探 す • 過去の記事に関連するトピック から探す • ・・・ ゴール Plan Edit 役割 (Role) 記事ネタからアジェンダと TODO を作成 役割 (Role) 記事のコンセプトに沿って執筆す る・調査を行う 入力 (Input) 記事ネタ 入力 (Input) 企画書、TODO 出力 (Output) • 企画書 (想定読者、ゴール、 目次・アジェンダ、背景など) • TODO 出力 (Output) ブログ記事 制約 良い記事のベストプラクティスに従 う Review 役割 (Role) 記事の内容をレビューする 入力 (Input) 企画書、ブログ記事 出力 (Output) 修正項目 制約 良い記事のベストプラクティスに従 う 制約 企画書とブログ記事が整合してい る 修正項目がある場合

3.

作ったフローを入力する image.png という名前でフローの画像を保存 #viewImage ツールで image.png を読み取る

4.

Plan モードでエージェントを計画する Plan モードにする

5.

Plan モードがヒアリングしてくれたこと Autopilot モードでエージェント間を自動で移 動できるので、サブエージェントでオーケストレー ションするよりも handoffs 活用がおすすめ 血が通った文章を書くにはペルソナが大事

6.

Plan モードが提案してくれたもの ⇒ なんかよさそうなので Start Implementation

7.

Agent モードでエージェントを実装する 自動生成されたペルソナ定義テンプレート (persona.instructions.md) プロフィール •専門領域: •経験年数: •立ち位置: •所属の文脈: 文体の特徴 •一人称: •語尾: •文の長さ: •比喩の傾向: •抽象⇔具体のリズム: •脱線の仕方: •ユーモア: 価値観 •何を面白いと感じるか: •何を重要視するか: •技術選定の判断基準: 読者への姿勢 •想定読者レベル: •語りかけ方: •前提知識の扱い: 書かないこと 意見の出し方 •意見を述べるタイミング: •不確実さの表現: •批判のスタイル:

8.

ペルソナに命を吹き込む 自分の過去の執筆文書から ペルソナの特徴を抽出する

9.

エージェントを使って記事を執筆する

10.

おしまい

11.

本当にこれでおしまい?  エージェントも作れた、指示書もいい感じ、すべてベストプラクティスに則っている  なのに、生成される記事が面白くない…  これはなぜ?

12.

LLM が生成したテキストは「低品質」なのか?  ブラインドテストで AI 生成テキストが人間をわずかに上回って好まれた  大学講師 63 名による AI 生成判定の成功率はわずか 57% ≒ コイントス  文法・論理・流暢さでは AI が優位に優位 品質では負けていない。「面白くない」は品質の問題ではない "Examining Human Judgment Against Text Labeled as AI Generated", arXiv:2410.03723, 2024 "Exploring the difference and quality of AI-generated versus human texts", Springer, 2025 "Do humans identify AI-generated text better than machines? Evidence based on excerpts from German theses", Fiedler & Döpke, International Review of Economics Education, 2025

13.

生成 AI 文章はなぜ面白くないのか 面白い文章 部分的な予測の裏切り • 読者が「こう来るだろう」と思った場所で別のものがくる • ただし、完全にランダムではなく事後的に解釈が可能なストーリー 異化 (defamiliarization) • 見慣れたものを見慣れない形で提示し、知覚を更新すること • Viktor Shklovsky (1917) 読者の参加余地 • テキストには意図的な空所(gap)があり、読者はそれを創造で埋め ることで意味を共同生成する AI で生成した文章あるある 予測可能 • LLM は出現確率の高い単語(トークン)列を生成する • 皆が同じベストプラクティスに従うほど、分布が狭まり、驚きが減る 異化の不在 • AI はわかりやすい文章を生成する = 退屈の正体 • “比喩を使え” という指示では、流通した死んだ比喩しか生成されない 説明的 • LLM は空所を埋めすぎる(例:この手法のメリット・デメリットは…、A という意見もあり一方で B では…) AI 生成文は、わかりきったことを、くどくどと説明してくる、均質的な文章になりがち。

14.

コンビニおにぎり問題  AI の文章はコンビニのおにぎりに似ている  品質は安定、美味しい  品ぞろえも豊富で梅、鮭、ツナマヨ、・・・全部ある  でもどのコンビニで買っても同じ味がする  研究データもこれを裏付けている  AIは人間より多くの種類の単語を使う。なのに 文章のバリエーションは人間より少ない (ACM 2025)  22 種類のモデルで同じテーマを書かせると、AI 同士の文章はとても似通う (Wenger & Kenett 2026)  しかも新しいモデルになったからと言って改善するわけではなく、むしろ悪化する現象がみられる  これは事後学習 (RLHF) で似た模範解答を目指すように訓練されている結果 "Stylometric Insights into Human and LLM-Generated Text", Agrahari, ACM, 2025 "We're Different, We're the Same: Creative Homogeneity Across LLMs", Wenger & Kenett, PNAS Nexus, 2026 "New study reveals that AI cannot fully write like a human", O'Sullivan, Humanities and Social Sciences Communications (Nature), 2025

15.

“手作りのおにぎり” を機械で作るために  まずは、機械で作ったことをバレないようにするのが重要  27,000 人を対象に、同一のテキストに対する評価を行うタスクによる実験 (Berg, et al., 2025)  同じテキストでも「AI生成」というラベルがあると一貫して低く評価  受賞歴のある人間の作品ですら「AI生成」ラベルだと同様のペナルティが発生  「だれが作ったのか」という帰属の認知が評価に大きく影響を与える  工業製品感の一例  エムダッシュ(─)の多用  強調(**, *)の多用 最近AIに書かせたなって文章が分かるようになってきた→特徴を掴んだ人達が こぞってAIっぽい文章を真似し始める大喜利に「あ、それめっちゃわかるやつ」 - Togetter  コロン(:)の多用  絵文字の多用  過度な構造化  … "AI Disclosure Penalty“, Berg, Raj & Seamans, Journal of Experimental Psychology: General, 2025

16.

“手作りのおにぎり” を機械で作るために  その上で、手作りっぽいおにぎりを量産する  手作りおにぎりの具(ネタ) = レアな具、よく見る具だけど品質が抜群  手作りおにぎりの米(構成)=たまに玄米混じっててジャリジャリするけどそれが良い  何ができるか  ブログ記事のネタを面白くする(最初にインプットする入力をちゃんと考える)  あるあるネタだけど、深いところまで調査する(GitHub Copilot を活用してネタ作りする)  時間をかけて構成を練る(Ideate、Plan エージェントを改良する)  ペルソナを改良する(persona.instructions.md の作りこみ)  最終的に、一部は自分で書く・構成する

17.

GitHub Copilot はタスクの自動化ツールでもあり、 あなた自身を定義するツールでもあります。

18.

本当のおしまい

19.

Appendix

20.

そもそも文章が面白い必要はあるのか? トレンド類型 説明 タイトル例 件数 教科書 事実を整理する 「ログ設計:基礎から応用まで」 「○○入門」 実験ノート いいね数 中央値 平均値 11 77 124 やってみた系 「AIに20年分の日記を読ませたら人格が生まれた」 7 「12のLLMを計測してわかった3つのこと」 144 140 主張 立場を取る 「Rustを採用する必要ってほぼないよね」 「RAGは罠だった」 13 106 115 冒険談 歴史を物語る 「○○を導入して半年の所感」 「全社導入までの意思決定と歴史」 20 85 89 ※ Zenn 2026 年 Q1 トレンド記事の全件分類(n=51) 教科書型でもトレンドになれる。文章の面白さ自体は、読まれるための必要条件ではない。

21.

なぜスクショを文字起こし (OCR) 出来るのか? • VS Code Copilot Chat に、画像読み 取り用のツール (viewImage) があるから • 2026/3/15 に追加された新しめのツール • 対話中のマルチモーダル LLM (LVLM) に dataUrl 形式で画像を入力することで、 内容を解釈させることができる • 最大 20 MB の png/jpeg/gif/webp に 対応している

22.

なぜ “良い感じ” のエージェントシステムが作れるのか • VS Code Copilot Chat にビルトインで入っている agent-customization スキルがあるから • GitHub Copilot のカスタマイズに関する現在のベストプ ラクティスが詰め込まれている • カスタマイズは多岐に渡る (指示ファイル、カスタムエージェ ント、Skill、Hook、・・・) 上に、プラクティスの変化も激し いので、トレンドを追うのではなくこのスキルに頼るのがい い 内容 1.VS Code のエージェントカスタマイズ用ワークフロースキル, .instructions.md、.prompt.md、.agent.md、SKILL.md 等のファイルの作成・修正・デバッグを支援する。 2.7つのプリミティブ(Workspace Instructions / File Instructions / MCP / Hooks / Custom Agents / Prompts / Skills)を用途に応じて使い分ける判断フローを提供。 3.作成プロセスはスコープ決定→プリミティブ選択→ファイル作成→バリデーションの4ステップで、ワークスペース(.github)かユーザープロファイルかを最初に決める。 4.description フィールドがエージェントの発見面であり、トリガーフレーズを含めないとスキル/インストラクションが呼ばれない点が最重要の落とし穴。 5.YAML フロントマターのサイレント失敗(コロン未エスケープ、タブ混入)や applyTo: "**" によるコンテキスト浪費にも注意が必要。

23.

なぜ Plan モードは丁寧にヒアリングしてくれるのか? • Plan モードの実装で、askQuestions ツー ルを利用してヒアリングをするように指示さ れているから • Plan モードの定義をみるとよくわかる 大きな仮定を置かず、要件を明確にするために askQuestions ツールを使用してください Plan の定義ファイルをチラ見