エンジニアとしてどのようにスキルを伸ばしてキャリアを積むか

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May 21, 24

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「私が 17 年の間、どのように考えて、エンジニアとしてスキルを伸ばして、キャリアを積んでいるか」についてまとめたものです。再演を承ります。

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各ページのテキスト
1.

エンジニアとして どのようにスキルを伸ばして キャリアを積むか 角掛 拓未 2024.5

2.

前置き 角掛拓未 (つのかけたくみ) と申します。 ソフトウェア開発の仕事を 17 年してきました。 ソフトウェア開発は変化が大きいと感じます。そんな背景の中で、今回 は「私がどのように考えて、エンジニアとしてスキルを伸ばして、キャリ アを積んでいるか」をお話しします。 抽象的な話があるので、実務経験があると、お伝えしやすいと思いま す。

3.

話の流れ 1. 前置き 2. スキルの伸ばしかた 3. キャリアの積みかた 4. 自己紹介 5. 質疑応答 質問や感想は、都度お声がけを。次はスキルの話。 内訳 累計 3分 3分 25 分 28 分 10 分 38 分 2分 40 分 20 分 60 分

4.

スキルの伸ばしかた(前置き) 話は大学生の頃にさかのぼる。パソコンが好き。エンジニアとして長く 仕事をしたいと思った。スキルを伸ばすことが必要そう。では、どう伸ば せばよいのだろう。 まずは伸ばす方向性を考えよう。なぜ考えるかというと、目指す方向 によって、学ぶこと、やることが変わるので重要。 スキルを伸ばす方向性には、一般的にスペシャリストとジェネラリスト がある。次に定義。

5.

スキルの伸ばしかた(スキルを伸ばす方向性) スペシャリストは「ひとつのことを深くやれる性質をもつ人」と定義。 いわゆる「I 字型・T 字型」とほぼ同義。 強みの例は「そのやれることが他者が簡単に真似できず、市場で求めら れている場合、組織や業界の最前線で活躍できる可能性が高い」こと。 弱みの例は「そのやれることが市場で求められなくなり、それしかや りたくない場合、収入を得るのが大変になる可能性が高い」こと。 それではジェネラリストはどうか。

6.

スキルの伸ばしかた(スキルを伸ばす方向性) ジェネラリストは「複数のことをやれる性質をもつ人」と定義。いわゆ る「π 字型・全部型」とほぼ同義。 強みの例は「少人数の会社など、一人で複数の役割の仕事をすることが 求められる場合、横断的に活躍できる可能性が高い」こと。 弱みの例は「その複数やれることの熟練度が浅い場合、専門性が求め られる会社では、やれる仕事が少ない可能性が高い」こと。 どちらも一長一短あるなあ。

7.

スキルの伸ばしかた(スキルを伸ばす方向性) どうしようかな。 私は色々やりたい。色々やるとたのしそう。 ただ、色々やりすぎても、中途半端になりそうで怖い。 それなら「そこそこ複数のことを、そこそこ深くやれるようになる」 と決めた。

8.

スキルの伸ばしかた(スキルを伸ばす方向性) そう決めて 17 年経った主な経験はこちら。 • Rails を 10 年以上。S2Struts・Struts を 2 年。 • jQuery を 5 年以上。React.js を 1 年半。 • AWS を 3 社。 • iOS アプリ開発を 4 年。マネジメントを 2 社。 バックエンドが一番長い。インフラやフロントエンドもやる。 構築したシステムは色々。文書管理・ゲーム・SNS・出張手配・学校教 育支援・人材マッチング・古物商支援・塩基配列管理など。 これからもこの方向性でいこう。

9.

スキルの伸ばしかた(技術とやりとりのスキル) 経験上、大事なスキルは 4 つ。技術スキルとやりとりスキル。他にも組 織スキルとビジネススキル、今回は割愛。 技術スキルの例は「適切なシステムを設計、実現、運用する力」。「適 切」の例は「要件を満たしていること」、「再利用性、わかりやすさ、パ フォーマンス等が考慮されていること」。 やりとりスキルの例は「適切に伝える力」。「適切」の例は「言った 言わないで、後でモメないようにする」こと。文面で残す。一意性の高い 言葉を使う。すごく、完了、正しい。定義。お互いの迷いや後戻りを減ら して、成果につなげる。

10.

スキルの伸ばしかた(技術スキルを伸ばす方法) 技術スキルをどう伸ばすか。駆け出しの頃に気になっていた。今だから 重要だと思うことを 4 つ紹介。 1 つ目は、仕事でソフトウェアをたくさんつくること。 これが一番早く伸びそう。 まずは仕事で求められることを知る。ただつくればいいわけではな い。再利用性、わかりやすさ等。 そうした求められることを、徐々にできるようにする。 知識をどのように成果に結びつけるか。回路づくり。

11.

スキルの伸ばしかた(技術スキルを伸ばす方法) 2 つ目は、仕事のよりよいやりかたを考えること。 仕事は納期があるもの。急いで片づけがち。 ただ、「あれはもっとうまくできたな」、「あれはどういう仕組みな のだろう」と思うことがある。 それに対して「どうやればよかったのだろう」、「どういう仕組みなの だろう」と、調べて考えてみる。思いついたら、次にやってみる。 うまくいくこともあれば、そうでないこともある。その経験の繰り返 し。状況に応じて何をすればよいかの勘所を身につけていく。

12.

スキルの伸ばしかた(技術スキルを伸ばす方法) 3 つ目は、古くからあるものと新しいものをバランスよく学ぶこと。 「古くからあるもの」とは、Linux・アルゴリズム・デザインパターン・ ソフトウェア工学など。 「新しいもの」とは、新しいバージョン・Web フロントの技術・スマ ホの技術・Docker など。 古くからあるものによって、新しいものがつくられる。古くを知ってい ると、新しいものを理解しやすい。ただし、使われなくなっていくものも ある。新しいものに代替。 新しいものによって、新しくできることが増え、パフォーマンスやセ キュリティーが改善される。ただし、使われなくなっていくものもある。 一時的な流行。

13.

スキルの伸ばしかた(技術スキルを伸ばす方法) 4 つ目は、意思決定の際は pros・cons を考えること。 メリットとデメリット。 例えば WordPress の導入に関する pros・cons の例。 pros は、すぐ使い始められる、データやトラフィックが小規模だとサ クサク動く、プラグインが豊富。 cons は、大規模だと遅くなったり不具合が出やすい。プラグイン。 ページランキング。3000 万件。 チーム開発は共同で行う。なんとなく意思決定や説明をすると、納得感 がなく不安。「本当にいいのかな」と思うと前に進みづらい。 なお、pros・cons は状況によって異なることがある。重要性が変わった り、入れ替わったり。都度、考えて共有すること。

14.

スキルの伸ばしかた(技術スキルを伸ばす方法) 技術スキルの伸ばしかたを 4 つ紹介した。 伸ばしかたに関しては、さらに以下の観点もある。 段取り・経験や解法をメモする・説明を意識して学ぶ・守破離・一次情 報を得る・色々やって最適解を見出す・色々な本を読む・極端かバランス・ 集中か俯瞰・継続か突発・考えて言葉にして行動する・小さい組織と大き い組織を知る。 今回は時間の都合で省略。いつかお話する機会があれば。

15.

スキルの伸ばしかた(無茶はよそう) ただし、一般的だが無茶はしないほうがよさそう。 20 代はほぼ週 7 日。過労で 3 回倒れた。失神と入院。 身の危険を感じたので、身体に気をつけるように。 運動・ストレッチ・休憩。着席は一時間。マッサージの本。

16.

スキルの伸ばしかた(まとめ) 一段落ついたので、ここまでをまとめます。 • スキルを伸ばす方向性は、スペシャリストとジェネラリストがある。 • エンジニアの一員として活躍するなら、まずは技術スキルと、やりと りスキルを伸ばすとよさそう。 • 技術スキルを伸ばす方法は、仕事でたくさんソフトウェアをつくるこ と、よりよいやりかたを模索すること等である。 • 私は今も、学びたいことがたくさん。エンジニアの仕事はたのしい。 ここまででご質問ありますか。

17.

話の流れ 1. 前置き 2. スキルの伸ばしかた 3. キャリアの積みかた 4. 自己紹介 5. 質疑応答 スキルの話が終了。時間を確認。次はキャリアの話。 内訳 累計 3分 3分 25 分 28 分 10 分 38 分 2分 40 分 20 分 60 分

18.

キャリアの積みかた(いろいろな観点) キャリアは積みかたは多種多様。どうありたいか、どうなりたいか。 向き合い続けること。どんな意思決定をしたいか。興味が変わることも。 やらざるを得ないこともある。 そんな背景の中で、私がよく考える観点を 4 つ紹介。 1 つ目は立場の観点。 • エンジニアの一員として。IC (Individual Contributor)。 • 技術部長として。組織の運営。 • CTO として。ビジネス・経営。

19.

キャリアの積みかた(いろいろな観点) 2 つ目は年齢の観点。年齢を意識してキャリアを考える。 VSOP という言葉を紹介。4 つの頭文字が年代ごとの意識。 V は Vitality。20 代は元気。色々やってみよう。 S は Speciality。30 代は専門性。得意なことがわかってくる。 O は Originality。40 代は独自性。自分ならではを見つける。 P は Personality。50 代は人柄。一緒に仕事をしたいと思われる。 なんだかいいなと感じる。ちなみに由来は「ブランデーの熟成の VSOP」を人生に見立てたそうだ。

20.

キャリアの積みかた(いろいろな観点) 3 つ目は会社を横断する観点。人のつながり。 登壇。30 回。RubyKaigi、ベトナム。 段取り、度胸。 オープンソースにコントリビュート。 3 回。vim-markdown にオプション追加。 ブログを書く、出版する。頭の整理、フィードバック。 色々な人たちと、わいわいやるたのしさ。

21.

キャリアの積みかた(いろいろな観点) 4 つ目は計画的偶発性理論の観点。この理論は「キャリアの 8 割は予想 しない偶然の出来事によるものである」という心理学のもの。私も経験 上そう思う。ご縁。計画どおりにいかないもの。 偶然とはいえ機会をつかむには行動が必要。行動に大事な点。 • 好奇心:色々なことに興味を持つ。 • 持続性:できるまでやり続ける。 • 楽観性:きっと大丈夫だと思う。 • 柔軟性:状況に応じて対応する。 • 冒険心:やったことがなくてもやってみる。 できるだけそのように行動していきたい。

22.

キャリアの積みかた(まとめ) 一段落ついたので、ここまでをまとめます。 • キャリアの積みかたは多種多様。その中でも 4 つの観点を紹介した。 立場、年齢、会社横断、計画的偶発性理論。 • やってみると色々起きる。うまくいくこと、うまくいかないことがあ る。 • 私はくじけそうになるたび、大切にしていることを思い出して、なん とかなった。 ここまででご質問ありますか。

23.

話の流れ 1. 前置き 2. スキルの伸ばしかた 3. キャリアの積みかた 4. 自己紹介 5. 質疑応答 内訳 累計 3分 3分 25 分 28 分 10 分 38 分 2分 40 分 20 分 60 分 キャリアの話が終了。今までのお話をふまえて、最後にあらためて自己紹介。

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自己紹介 角掛 拓未 つのかけ たくみ 大学生の頃、将来はたのしく仕事をしたいと思った。 パソコンと辞書が好きだ。 その 2 つに関する仕事をやると決めた。 ソフトウェア開発を 17 年 語源学習の研究を 15 年 アルバイト 3 年 → 正社員 6 年 語源の辞書。 個人開発。 → フリーランス 8 年 (現在) 連携。教科書。 共訳。 アジャイルの定義。 語源のコラム。 変化の大きい時代を、なんとか生き抜きたい。

25.

おわり。 お聞きいただきありがとうございました。 何かのご参考になればさいわいです。

26.

目次 1. 前置き 2. スキルの伸ばしかた 3. キャリアの積みかた 4. 自己紹介 5. 質疑応答 ご質問ありますか。時間を確認。 内訳 累計 3分 3分 25 分 28 分 10 分 38 分 2分 40 分 20 分 60 分

27.

時間があれば割愛した部分を補足 組織スキル ビジネススキル

28.

時間があれば割愛した部分を補足 技術スキルの伸ばしかたの追加の観点。 段取り・経験や解法をメモする・説明を意識して学ぶ・守破離・一次情 報を得る・色々やって最適解を見出す・色々な本を読む・極端かバランス・ 集中か俯瞰・継続か突発・考えて言葉にして行動する・小さい組織と大き い組織を知る。