「競争戦略とビジネスモデルイノベーション」

547 Views

December 11, 19

スライド概要

慶応義塾大学 理工学概論「競争戦略とビジネスモデルイノベーション」講義レジュメ

profile-image

株式会社ブランドデザイン 代表取締役。食品会社、広告会社を経て、2003年に名古屋工業大学大学院 産業戦略工学専攻 准教授に着任。その後、名古屋工業大学 産学官金連携機構 特任教授、厚労省所管 職業能力開発総合大学校 教授を経て2019年6月より現職。デミング賞審査委員会委員、日本品質奨励賞審査委員、㈱安川電機 社外取締役、㈱ジェイテクト 社外取締役を務める。専門はブランドマネジメント、主戦場は「事業開発」。企業の事業価値創造プロジェクトや幹部人財育成など企業指導多数。主な著書として『日本品質管理学会選書9 ブランドマネジメント:究極的なありたい姿が組織能力を更に高める』(日本規格協会)、『理想追求型QCストーリー』(日科技連出版社)など。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

慶応義塾大学 理工学部 理工学概論 競争戦略と ビジネスモデルイノベーション 2019年12月11日 名古屋工業大学 産学官金連携機構 加藤雄一郎 本講演シートの最新版は下記にアップロードいたします https://www.slideshare.net/YuichiroKato3/presentations BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 1

2.

加藤 雄一郎 <学歴> 自己紹介 自己紹介 株式会社ブランドデザイン 代表取締役 名古屋工業大学 産学官金連携機構 プロジェクト教授 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 価値システム専攻 博士課程修了. 博士(学術) <職歴> 1992 - 93 1995 - 03 2003 - 15 2015 - 18 2018 - 18 2019 2015 - 食品会社 食品工場 製造技術課 広告会社 マーケティング局 名古屋工業大学大学院 産業戦略工学専攻 准教授 名古屋工業大学 産学官金連携機構 特任教授 厚労省所管 職業能力開発総合大学校 能力開発院 教授 名古屋工業大学 産学官金連携機構 プロジェクト教授 デミング賞審査委員 <企業からの委託実績> 2007 / 04 -建機メーカー BMアドバイザー、およびミドルマネジメント研修講師 2019 / 04 – 総合家電メーカー 事業部横断型事業構想プロジェクト ファシリテータ 2019 / 04 – 日本科学技術連盟 役員教育プログラム (エグゼクティブセミナー) 企画主任&講師 2018 / 03 – 2019 / 03 旅行会社 組織開発プロジェクト アドバイザー 2003 / 04 – 2018 / 03 広告会社 アクティベーションデザイン推進局 客員研究員 2017 / 01 -- 2017 / 12 産業機器メーカー 事業価値創造プロジェクト アドバイザー 2015 / 04 – 2016 / 09 自動車部品メーカー 価値創造プロジェクト アドバイザー 2011 / 08 -- 2013 / 10 電子機器メーカー BM(ブランドマネジメント)プロジェクト アドバイザー 2009 / 12 -- 2011 / 10 自動車メーカー インターナル・ブランディング アドバイザー 2009 / 08 – 2010 / 04 自動車部品メーカー インターナル・ブランディング アドバイザー 2009 / 04 – 2010 / 03 コンタクトレンズメーカー インターナル・ブランディング アドバイザー 2008 / 07 -- 2009 / 06 化学メーカー 人財育成プログラム 「創塾」 塾長 2006 / 10 -- 2007 / 03 食品メーカー ブランドコンセプト立案アドバイザー 2005 / 10 -- 2007 / 03 トイレタリ・メーカー 新任マネジャー研修講師、および調査手法開発アドバイザー 2004 / 10 -- 2006 / 03 総合商社 プロジェクト担当顧問 2003 / 08 --BRAND 2005 / 03 DESIGN: 中小企業庁 Chance 繊維産業再生プロジェクト ディレクター Discovery for The Brand 2

3.

突然ですが・・ この製品は何でしょうか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 3

4.

これは何の製品でしょうか? 私たちの願い、それは 「忙しいあなたが、美しい人であり続ける」ということ。 そのポイントは、 「内側からの美しさ」。 なぜなら「美しい人」は、外見の美しさのみならず、 「内側からの美しさ」を持ち合わせているからである。 「内側からの美しさ」の象徴は、髪。 髪は、化粧や服によってごまかせず、 毎日のケア蓄積こそがものをいいます。 私たちにお任せください。 なぜなら、私たちには ナノレベルで髪の繊維を整え、艶を創り上げる能力があるから。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 4

5.

パナソニック ナノケア・ドライヤー BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 5

6.

当該製品登場前の状況 <ドライヤーの旧来価値> 髪を乾かすこと 速く 髪を乾かす 静かに 髪を乾かす 傷めずに 髪を乾かす 市場価格は3000円程度 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 6

7.

パナソニック ナノケア・ドライヤー <ナノイードライヤーによる新しい価値> 髪内部を作りこむ 弱酸性のナノイーが、髪を引き締めて強くする BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 7

8.

・19000円 という突出した高価格の実現 ・数々の口コミサイトにおいて 売上No.1を獲得 【楽天市場】 ドライヤー売れ筋ランキング 価格.com ドライヤー注目ランキング 比較 .com ドライヤー注目ランキング 第1位 第1位 第1位 顧客数の増加、売価の上昇を実現し 市場創造および顧客創造を達成 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 8

9.

もう一つ みてみましょう BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 9

10.

これは何の製品でしょうか? 私たちの願い、それは 「周囲から見て、あなたが輝く存在になる」ということ。 その実現に向けて、あなたには 「イキイキした表情を創る」ということを大切にしてほしい。 表情づくりの決定因は「瞳」です。 私たちにお任せください。 なぜなら、私たちには 瞳を際立たせる力があるから。 瞳を構成する部位の“際”を引き立たせる能力があるから。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 10

11.

ワンデーアキュビュー・ディファイン BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 11 11

12.

当該製品登場前の状況 <コンタクトレンズの旧来価値> 快適に見えること 【乾燥感】 酸素透過性 【装用感】 ゴロゴロしない 異物感がない BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 12

13.

安全性に優れた輪郭強調 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 13

14.

瞳の黄金比率 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 14

15.

・ アキュビューブランド全体の市場シェア 63% (アキュビューブランドの価値向上に寄与) ・ 平均販売価格は 第1位 (1箱3320円。アキュビューブランドの中で最高値) ・ 発売から4年で累計 約1200万箱 を販売 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 15

16.

最後にもう一つだけ みてみましょう BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 16

17.

これは何の製品でしょうか? 私たちの願い、それは 一人ひとりが自分らしく充実した人生を創るということ。 そのためには、 各人が掲げる人生の到達点に向けて いまを生きる力を支えることがなにより大切になります。 ポイントは、「選択肢の幅」である。 私たちのブランドにお任せください。 なぜなら、私たちには 既存の枠組みに囚われることなく 生きるための選択肢を作り出す能力があるから。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 17

18.

アフラック がん保険 生きる気持ちに、本気で答える アフラックのがん保険 フォルテ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 18

19.

当該製品登場前の状況 <保険商品の旧来価値> もしものときに金銭を保障する 月々の 保険料が安い 一生涯 保障する 保障額が 大きい BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 19

20.

アフラック がん保険 生きる気持ちに、本気で答える アフラックのがん保険 フォルテ ひとりひとりの掲げる人生の到達点に 向けた選択肢を与える ・ 未然予防のための ガン検診をサポートする ・ 最高1000万円の 先進医療費を保障する ・ ガンにかかったことが ある人でも保険に入ることができる BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 20

21.

数々の生命保険ランキングで No.1を獲得 生命保険ランキング 会社ランキング なんでもランキング 保険資料請求ランキング 第1位 第1位 資料請求、会社ランキング共に1位 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 21

22.

魅力製品の特徴 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 22

23.

魅力的な製品が明示していること 【1】 魅力的な製品は “顧客が目指す姿”をハッキリと掲げている 【2】 その実現に向けて “企業が発揮する力”を明示している 何のために、何をするのか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 23

24.

魅力的な製品が明示していること 【1】 魅力的な製品は “顧客が目指す姿”をハッキリと掲げている 目指す理想 【2】 その実現に向けて “企業が発揮する力”を明示している 発揮する能力 何のために、何をするのか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 24

25.

第1章 問題意識 断ち切るべき負の連鎖 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 25

26.

組織実態アンケートの実施 調査概要 ●対象業界 :製造業 ●対象者 :管理職以上 ●調査方法 :自由記述形式のアンケート調査 ●回答方法 :自由記述 ●調査期間 :2013/6~継続中 (企業規模や業種区分は不問) ●有効回答数 :200サンプル超 ●設問内容 Q1 企業が魅力的な製品・サービスを生み出せないのはなぜか Q2 組織マネジメントについて直面している課題は何か Q3 魅力的な顧客価値を創造する上で、尊重すべき価値観や 基本的姿勢は何か。それに対し、現状はどうか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 26

27.

① 価格競争を危惧する声 ・ 他社との値引き競争になってしまっている ・ 多数のメーカが参入しており、価格だけで採否が決まる傾向が強い ・ 世界的に価格競争が激化している ・ 低価格な商品づくりの追求が最優先課題になっている ・ 価格競争に対応しているが、砂漠に水を撒くかの如く全く効果が感じられない ・ 新興国製品の品質レベル向上に伴い、同質化による価格競争に陥っている ・ 顧客のそのさきの顧客も価格だけで取引先を選定するケースが増えている ・ 価格競争に陥り、利益目標との乖離が著しい ・ 商品のコモディティ化とともに利益率が低下している 価格競争が業種を超えて深刻化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 27

28.

② 終わりなきコスト削減 ・ 終わることのない原価低減競争 ・ コスト削減や効率を良くするための改善ばかりが先行しがちだ ・ コストダウンが、終わりなき課題としてより強く求められている ・ 多くの企業が効率化を進め、競ってコスト競争力の強化を図っている ・ 常に競合とのコスト比較から入り、顧客不在のコスト削減に陥っている ・ 日本企業はコスト優先のところがあり、商品価値の追求を妥協してしまう ・ コストダウンばかりが目立つ新製品開発 ・ 新製品開発の主軸は、品質向上とコスト削減の実現 ・ 戦略的な重要業務の推進においてすら、「効率」という視点が求められる ・ 顧客に感動をもたらすという発想はなく、効率やコストが重視される コスト削減、コスト削減、コスト削減 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 28

29.

③ 魅力的な商品の不在 ・ 真の価値創造(革新的なモノ)を生み難い ・ 継続的なヒット商品が生まれにくい ・ 過去に固執しない新たな発想での製品作りができなくなった ・ 生産効率ばかりに重きが置かれ、魅力ある商品づくりが後回し ・ 魅力ある新企画が継続しない ・ 組織風土が革新的な魅力商品の創造を阻んでいる ・ 画期的な製品が生まれない ・ 感動を生む新しいコトを創出できない ・ 商品価値が「利便性」に留まり、顧客の人生に関わるレベルにない ・ 「製品を通じてユーザーを惹き付ける」という世界観の構築に至っていない ・ 「ニーズを創出する」という取組みは極めて弱い コスト削減策のさきに魅力は創造されない BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 29

30.

④ 歯止めがかからぬコモディティ化の流れ ・ どの製品も高品質で同質化している ・ 専門家でなければ違いを認識できないほど似通った商品が生まれている ・ 商品画一化(似たもの同士)が進んでいて、顧客のニーズを喚起できていない コモディティ化とは ・ 80%のユーザーが頷く商品を作る傾向にある 市場における勝ち負けが ・ 万人受けする商品を狙うために、かえって特徴のないものになっている 価格以外の争点を失った状態 ・ 市場に出てくるものは各メーカーとも似たものになる傾向がある ・ すべての人に受け入れられるように開発している ・ 企画する商品に無難なものばかりで、目立った特徴が無い ・ 万人受けする商品企画しか受け入れられない企業風土 市場に溢れる「特徴なき製品」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 30

31.

問題意識 価格競争 激化 止まらぬ コモディティ化 終わりなき コスト削減 革新的製品開発 挑めず 負の連鎖をいかに断ち切るか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 31

32.

第2章 負の連鎖を断ち切る鍵 ~ カテゴリ・イノベーション ~ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 32

33.

負の連鎖を断ち切る鍵 1.価値次元の転換 2.争点の見えない化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 33

34.

イノベーション再考 イノベーション ≠ 技術革新 技術革新のみをもって イノベーションとは言わない。 イノベーションとは 社会に新しい価値をもたらすこと。 市場におけるパフォーマンスの次元を変えること。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 34

35.

ゴルフクラブ 【旧・価値次元】 遠くに飛ばす 【新・価値次元】 楽に飛ばす 【実現要素】 フォージドコンポジット製法による スイートスポット最大化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 35

36.

ゴルフクラブ 【旧・価値次元】 もっと! さらに!遠くに飛ばす 【新・価値次元】 楽に飛ばす 【実現要素】 当該技術を 「既存価値の水準向上」 と位置付ける選択肢もあった フォージドコンポジット製法による スイートスポット最大化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 36

37.

ゴルフクラブ 【旧・価値次元】 遠くに飛ばす 【新・価値次元】 楽に飛ばす 楽に飛ばす 【実現要素】 しかしキャロウェイゴルフは 当該技術を活かし方として 新価値の提案に重きを置いた フォージドコンポジット製法による スイートスポット最大化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 37

38.

コンタクトレンズ 自分が 外をどう見るか 外が 自分をどう見るか 【旧・価値次元】 【新・価値次元】 外界を快適に見る 異物感なく 白く曇らずに 瞳を際立たせる 【実現要素】 SSM製法の色素層の挟み込みによる 際の明瞭化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 38

39.

ヘアドライヤ 3000円 【旧・価値次元】 髪を乾かす 速く 静かに 傷めずに 2万円 【新・価値次元】 内側から 美しい髪を創る 【実現要素】 ナノイー技術による 髪内部のたんぱく質の結合 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 39

40.

<キーワード> 価値次元の創造 市場における新たな競争軸の創造 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 40

41.

「価値次元」という言葉に込められた意味合い 既存の競争軸 新たな 価値要素 新たな 価値要素 パラダイムシフトとは ゲームのルールを変えること 既存の価値要素のスペックアップ(達成水準の向上) 新たな 価値要素 だけでなく これまでとは異質な、新たな価値の要素・項目を生み出す BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 41

42.

どれだけ技術が革新を遂げたとしても 価値次元を刷新できなければ 既存の物差し上でのスペック競争が止まらない いたちごっこは止まらない 待ち受けているのは・・・ 価格競争 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 42

43.

競争優位の確立に向けて企業がなすべきこと 価値次元の転換 【旧・価値次元】 【新・価値次元】 【実現要素】 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 43

44.

しかし・・・ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 44

45.

デジタルカメラ 【旧・価値次元】 画質が綺麗 【新・価値次元】 いつでもどこへでも 持ち歩ける 【争点】 誰の目から見ても わかりやすい争点 薄さ 争点が明示的な場合、競合他社もその争点に照準を合わせてくる。 デジタルカメラはその典型例。市場は再びコモディティ化した。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 45

46.

「争点の見えない化」が持続的な脱コモディティ化をもたらす 争点の見え過ぎは 短期のうちにコモディティ化を招く。 争点の見え過ぎがよくないのなら いっそ見えなくしてしまえばいい。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 46

47.

負の連鎖を断ち切る鍵 1.価値次元の創造 2.争点の見えない化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 47

48.

Appleの強さは何でしょうか? デザイン? iTunes? Appleの強みは特定少数要素で説明できるか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 48

49.

Appleの強みは特定要素で説明できるか? ・ マニュアルがなくても簡単に使える ・ どこでも、いつでも、音楽を聞くことができる ・ どんな人にも使いやすいデザイン ・ 音やムービーが鮮明で良い ・ 軽くて薄い ・ たくさんの音楽を持ち運ぶことができる ・ シンプルなデザインがいい ・ ネットやCDから簡単にダウンロードできる ・ 入力作業が楽 ・ クラウド化に対応している ・ 直感的に操作することができる ・ オンラインゲームが楽しめる ・ 使い勝手がいい ・ Apple製品同士で連携が優れている ・ 持ち運びに便利 ・ 互換性が高い ・ どこにいてもインターネットにつながる ・ データの移行が簡単にできる ・ 情報を素早く手に入れられることができる ・ 古くからの記録をずっと残すことができる ・ たくさんの情報を手に入る ・ 起動が早い ・ ひとつの端末で様々なことができる ・ 端末のレスポンスが早い ・ いろんな場面で写真の編集ができる ・ 音楽鑑賞やブラウジングが非常にスムーズ ・ 撮った写真の管理がしやすい ・ 自分の利用したいものを利用できる ・ 便利で役立つ機能やアプリが充実している ・ 新しい機能が多い BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 49

50.

Appleの強さは ライフスタイル 提案型CM 創造性ある ライフスタイル というコンセプト iTunes 直感性重視 設計思想 Apple Store サプライチェーン 最適化 ライフスタイル 疑似体験 コスト優位 顧客層 拡大 新規顧客 獲得 アプリ 一括管理基盤 アプリ制作 外部活用 コンテンツ 充実化 機能の モジュール化 iCloud による同期 コンテンツ 収入 斬新な 統一感ある 関連購買 ( 1人で複数製品 ) 製品デザイン 製品ラインナップ 計画的な モデル変更 継続的 な購買 デザインを核 に特許取得 EMS活用 市場シェア 向上 持続的 収益獲得 顧客シェア 向上 争点が見えづらい競争を展開していること BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 50

51.

<キーワード> 決定因の見えない化 争点の見えない化 特定少数の要素で強みを説明できない競争状態の確立 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 51

52.

ここまでのまとめ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 52

53.

まとめ 負の連鎖を断ち切る着眼点 着眼点1.価値次元の転換 = 顧客が対価を払いたくなる 「新たな理由」 を作り出し 着眼点2.決定因の見えない化 = ライバルが真似したくても手をつけようがわからない 儲け続ける仕組みづくり BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 53

54.

持続的な脱コモディティ化に向けて目指すべき価値創造 価値創造4類型 <次元の見えるイノベーション> <カテゴリ・イノベーション> 価値次元が変わる 価値次元の転換を伴った イノベーションであるが、 その価値次元は相対的に 可視性が高い 価値次元の転換を伴った イノベーションであり、かつ その価値は特定少数の 争点で説明できない <リニアな技術進歩> <感性的付加価値> 一定の価値は創造しているが その価値は既存の次元上。 争点は明示的。 感性的な付加価値はあるが 顧客の購買の意思決定を 左右する価値次元は 既存のものに留まっている 争点が見える 争点が見えない ≪価値次元の連続性≫ 既存の価値次元 ≪争点の可視性≫ (楠木・阿久津, 2006) 」 目指すは「従来価値次元の転換」と「決定要因の見えない化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 54

55.

持続的な脱コモディティ化に向けて目指すべき価値創造 価値創造4類型 <次元の見えるイノベーション> <カテゴリ・イノベーション> 価値次元が変わる 価値次元の転換を伴った 「画素数」の戦いを イノベーションであるが、 「持ち運びやすさ」に着目して その価値次元は相対的に 薄さをウリにしたデジカメ 可視性が高い 「自由な環境で音楽を楽しむ」 価値次元の転換を伴った という新たなコンセプトのもとで イノベーションであり、かつ ハードとソフトの連続的提供され その価値は特定少数の スペックレベルの比較がしにくい 争点で説明できない <リニアな技術進歩> <感性的付加価値> 一定の価値は創造しているが その価値は既存の次元上。 より髪を傷めないヘアドライヤ 争点は明示的。 感性的な付加価値はあるが 基本機能に 顧客の購買の意思決定を デザイン性を加えたオシャレ家電 左右する価値次元は 既存のものに留まっている 争点が見える 争点が見えない ≪価値次元の連続性≫ 既存の価値次元 ≪争点の可視性≫ (楠木・阿久津, 2006) 」 目指すは「従来価値次元の転換」と「決定要因の見えない化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 55

56.

目指すは カテゴリ・イノベーション 「価値次元の転換」 と 「決定要因の見えない化」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 56

57.

我々は『差別化』の対象を何に置いているか モノレベルの差別化 個々の製品レベルに立脚した 「性能差」、「仕様差」 競争優位を確立する上で 『差別化』は重要 過去の成功体験 モノのQCD向上 製品レベルの差別化。 着目点は、「性能差」、「仕様差」。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 57

58.

これからの時代に相応しい「差別化の対象」 これまで これから 製品レベルの 事業レベルの 製品仕様の差別化 価値次元の差別化 既存価値次元上で 競合他社の上を行く差別化 既存の価値次元を 新価値次元に刷新する差別化 差別化の対象は 「事業全体がもたらす価値次元レベル」に置くべき BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 58

59.

第3章 カテゴリ・イノベーション実践 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 59

60.

1.選ばれ続けるための理由 「当事業は顧客の何を実現して儲け続けるか?」 という問いの答え 【Q】 顧客から見て、長期にわたって 我々が無くてはならない存在であり続けるための 最大の鍵は何か? 【A】 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 60

61.

2.収益獲得シナリオ 未来課題にコミットすることによって 当該事業が手にする儲け話を4コマで小噺化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 61

62.

3.経営資源のリストアップ 収益獲得シナリオの実現に関わりうる経営資源を 部門の枠を超えてリストアップ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 62

63.

4.組織オペレーション ソリューションが生み出される組織オペレーションの全体像 顧客 シェア 市場 シェア BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 63

64.

5.各部門の関係性理解 各部門の位置づけと役割を組織全体で相互理解する 部品部門 サービス部門 顧客 シェア ICT部門 営業部門 市場 シェア 循環部門 ファイナンス部門 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 64

65.

6.戦略的意思決定項目の検討 持続的な競争優位を目指した 「既存の打ち手の改善」 と 「更なる新たな打ち手の検討」 顧客 シェア 市場 シェア BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 65

66.

カテゴリ・イノベーションの実現 顧客 シェア 市場 シェア 争点が 見えない <感性的付加価値> <カテゴリ・イノベーション> 感性的な付加価値はあるが 顧客の購買の意思決定を 左右する価値次元は 既存のものに留まっている 価値次元の転換を伴った イノベーションであり、かつ その価値は特定少数の 争点で説明できない <リニアな技術進歩> <次元の見えるイノベーション> 一定の価値は創造しているが その価値は既存の次元上。 争点は明示的。 価値次元の転換を伴った イノベーションであるが、 その価値次元は相対的に 可視性が高い ≪争点の可視性≫ 争点が 見える 既存の価値次元 価値次元が変わる ≪価値次元の連続性≫ 経営資源を使いこなした内部製品の繋がりづくりが 特定少数の争点では説明できない「決定因の見えない化」をもたらす BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 66

67.

<疑問> 顧客 シェア 市場 シェア 結果としてこうなったのだろうか? 出来上がるべくして出来上がったのだろうか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 67

68.

第4章 競争戦略 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 68

69.

競争戦略とは 「違い」をつくること BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 69

70.

経済学 vs 経営学 完全競争 熱烈歓迎! 脱・完全競争! BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 70

71.

競争戦略とは「違い」をつくること 完全競争は、利潤ゼロ 利潤を獲得するとは 他社と同じではないということ だから、違いをつくる 違いのつくり方には2つある。 「位置取り」の違いと、「組織能力」の違い。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 71

72.

競争戦略における2つの「違いのつくり方」 位置取りの戦略 組織能力の戦略 (positioning approach) (resource-based view) 考え方の誕生時期 基本的な立場 70年代 80年代 競争優位の源は 企業外部にある 競争優位の源は 企業内部にある 外部環境における 「自社の位置づけ」に着目し 違いづくりの着眼点 「うまいこと儲かるところに 身を置こう」という考え方 レストランにたとえると ジャンルの戦い 「仕事のやり方」に着目し (ways of doing thing) 「他社と違う道具と 運用方法でうまくやろう」 という考え方 厨房の戦い BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 72

73.

競争戦略のタイプ 位置取り Strategic Positioning 明確 不明確 組織能力 弱い 強い Organizational Capability 競争戦略は「位置取り」と「組織能力」から構成された4象限で表すことができる 位置取りが明確、かつ、組織能力が強い場合が最強となる BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 73

74.

競争戦略 事業の位置づけ < SP: Strategic Positioning > 当該事業は顧客の何を実現して儲け続けるのか? ⇒ What 組織能力 < OC: Organizational Capability > 上記をどのように実現するのか? ⇒ How 極論すれば事業構想で意思決定すべきは上記2点 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 74

75.

事業戦略の基本フレーム 事業の戦略的ポジショニング < SP: Strategic Positioning > 当該事業は顧客の何を実現して儲け続けるのか? ⇒ What 組織能力 < OC: Organizational Capability > 上記をどのように実現するのか? ⇒ How ビジネスモデル構築 ライフスタイル 提案型CM 顧客 シェア iTunes (ソフト) コンテンツ 収入 斬新な デザイン 統一感ある 多様な製品 ラインナップ 関連購買(1user 複数製品) 市場 シェア BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 75

76.

第5章 結語 競争戦略とビジネスモデルイノベーション BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 76

77.

イノベーションの大別 プロダクト イノベーション 従来存在しなかった画期的な 新製品・サービスを生み出す ことによって、市場における 現行の価値次元を転換 する技術革新 プロセス イノベーション 顧客 価値 創造 製品やサービスのプロセス (製造工程、作業手順など) を改良することによって QCDを高める技術革新 「顧客価値創造」を中核に置いた プロセス・イノベーションとプロダクト・イノベーションの好循環 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 77

78.

これからの時代に求められるイノベーション ビジネスモデル・イノベーション 超スマート社会 IoT プロダクト イノベーション AI 従来存在しなかった画期的な 新製品・サービスを生み出す ことによって、市場における 現行の価値次元を転換 する技術革新 オープン デザイン思考 イノベーション Industry4.0 プロセス イノベーション 製品やサービスのプロセス (製造工程、作業手順など) を改良することによって QCDを高める技術革新 アジャイル 開発 脱・自前主義 ビジネスモデル・イノベーションは 2つのイノベーションの好循環を生み出すドライバ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 78

79.

経産省提言 事業創造人財育成の必要性 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 79

80.

ご清聴ありがとうございました BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 80