製造企業のDX化 - サービス化とIndustry4.0の融合 -

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March 05, 23

スライド概要

DX推進の下でデジタル化への取組みが活発になっている。そして、DXの"X"は「新たな顧客価値を提供するサービス提供」へのトランスフォーメーションと考えられる。この視点では“デジタル化とサービス化の関係性”の明確化が特に重要と思われる。欧州では最近デジタル化とサービス化の高度な組合せを"デジタルサービス化”と再定義し、関連する多数の論文が発表されている。この枠組みでの高度デジタル化はIndustry4.0と解釈できる。そこで、製造企業のDX化における2大潮流を「サービス化とIndustry4.0」と捉え、サービス化とIndustry4.0の融合の視点から製造企業のDX化を貫く構造を発見する試みを行ってみる。

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定年まで35年間あるIT企業に勤めていました。その後、大学教員を5年。定年になって、非常勤講師を少々と、ある標準化機関の顧問。そこも定年になって数年前にB-frontier研究所を立ち上げました。この名前で、IT関係の英語論文(経営学的視点のもの)をダウンロードし、その紹介と自分で考えた内容を取り交ぜて情報公開しています。幾つかの学会で学会発表なども。昔、ITバブル崩壊の直前、ダイヤモンド社からIT革命本「デジタル融合市場」を出版したこともあります。こんな経験が今に続く情報発信の原点です。

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各ページのテキスト
1.

製造企業のDX化 -サービス化とIndustry4.0の融合デジタルサービス化 Ⅵ

2.

自己紹介 - B-frontier研究所代表 高橋浩 • 略歴: • 元富士通 • 元宮城大学教授 • 元北陸先端科学技術大学院大学 非常勤講師 • 資格:博士(学術)(経営工学) • 趣味/関心: • 温泉巡り • 英語論文の翻訳 • それらに考察を加えて情報公開 • 主旨:“ビジネス(B)の未開拓地を研究する” 著書: 「デジタル融合市場」 ダイヤモンド社(2000),等 • SNS: hiroshi.takahashi.9693(facebook) @httakaha(Twitter)

3.

目的 製造企業のDX化を貫く構造を発見する。 下記のクエスチョンを検討することで ◆ サービス化とIndustry4.0はどのように位置づけ られるか? ◆ 両者はどのように融合するか? ◆ どのように価値創造するか? 3

4.

目次 1. 2. 3. 4. はじめに Industry4.0技術とは サービス化とIndustry4.0の融合 ビジネスの複雑さのレベルと実装 4

5.

1.はじめに 製造企業DX化における2大潮流は サービス化 と Industry4.0 5

6.

サービス化 • マネジメント起因 • 顧客価値中心 • デマンドプル • 成果指向/使用価値中心 • 製造企業が製品サービ スシステム化へと向か う変革の旅 Industry4.0 • エンジニアリング&コン ピュータサイエンス起因 • 製造プロセス価値中心 • テクノロジープッシュ • 自己適応(自動化) • 新興技術融合による CPS&インテリジェン トシステム化への旅 6

7.

現在の取組みの問題点 • 次のような傾向が存在 • デジタル技術が顧客へのサービス価値提供(サービス 化)のみを強調する傾向 • Industry4.0ベース技術(IoT、クラウド、BD、他)を切 り離しサービス化に過剰にシフトさせる懸念 • 結果、製造プロセスに深く根差したIndustry4.0のコアコ ンセプトがDXから切り離され過少評価される懸念 7

8.

ビジネスモデルイノベーション 視点で概観 サービス化 • スムーズ化:機能を大 幅に変更することなく 販売/使用法などを改 善・促進 • 適応:機能拡張や製品 統合により新たな用途 を開発し提供 • 代替:製品購入に代わ り使用価値を提供 Industry4.0 • IoTの接続性に基づく新 たな産業成熟の基盤 • 新興技術でサポートされ る多くの要素に起因する 新たなビジネスモデル • スマート製造とプロセス /製品イノベーションの 融合 8

9.

本稿の検討方針 • 次のような内容と枠組みを解き明かす。 ✓Industry4.0技術とは・・ ✓サービス化とIndustry4.0の融合とは・・ • このような方針により • サービス化がIndustry4.0の一部と見做せる条件、 • ビジネスモデルへの影響、などを解き明かし、 • サービス化とIndustry4.0の全体的枠組みの構築を目指 す。 9

10.

2.Industry4.0技術とは Industry4.0技術とは • Industry4.0コンセプトはスマートマニュファクチャリングが 中心的要素で、 • リアルタイムでデータを収集・分析し製造システムに有用な 情報を提供するデジタル技術に依存している。 • 基盤としての技術例: • IoT,クラウド、ビッグデータ、解析、など • トータルではサイバーフィジカルシステム(CPS)概念の創 発を伴う。 • 極めて複雑な技術アーキテクチャを保有している。 • これらをフロントエンド技術と基盤技術に分割して次頁に概 念図を示す。 10

11.

Industry4.0技術のフレームワーク フロントエンド技術 スマートサプライチェーン 基盤技術 IoT スマート労働 スマートマニュファクチャリング クラウド ビッグデータ スマート製品 市場 解析 • スマートサプライチェーン:サプライチェーンの統合 • スマート労働:生産システムにおける人間の役割の社会技 術的進化を実現 • スマートマニュファクチャリング:柔軟な生産ラインが複 数タイプの製品や変化条件を自動的に調整する適応システ ム • スマート製品:新製品開発のためのデータフィードバック を提供でき、顧客に新たなサービスソリューションを提供 11

12.

フロントエンド技術(1) スマートマニュファクチャリング • • • • • • スマート製品 • 製品を処理する生産シ ステム • 顧客情報とデータを生産シ ステムに統合 • Industry4.0の初期の目 的部分 • 6つの目的に細分化 • 製品提供に関わる技術に関 連 • 左記(スマートマニュファ クチャリング)の延長 垂直統合:企業の全階層を統合する高度なICTシステム 仮想化:各種シミュレーションによる支援 自動化:ロボットによる実現 トレーサビリティ:センサーによる原材料、完成品の把握 柔軟性:モジュラーマシンによる構成 エネルギー管理:エネルギー効率の監視と改善 12

13.

スマートマニュファクチャリングとスマート製品 スマートマニュファクチャリング向け技術 カテゴリー スマートマニュファクチャリング技術 センサー、アクチュエーター、プログラマブル ロジック コントローラー (PLC) 監視制御とデータ取得 (SCADA) 垂直統合 スマート製品向け技術 製造実行システム (MES) エンタープライズ リソース プランニング (ERP) カテゴリー 製品の接続性 マシンツーマシン通信 (M2M) 仮想試運転 仮想化 プロセスのシミュレーション (デジタル マニュファクチャリングなど) 予知保全のためのAI 生産計画のためのAI スマート製品向け技術 スマートコ ネクテッド 製品の機 能 製品の監視 製品の制御 製品の最適化 製品の自律性 マシンツーマシン通信 (M2M) 自動化 ロボット (例: 産業用ロボット、無人搬送車など) 生産における自動不適合識別 トレーサビリティ 柔軟性 エネルギー 管理 原材料の識別とトレーサビリティ 最終製品の識別とトレーサビリティ 追加的製造 柔軟で自律的なライン エネルギー効率監視システム エネルギー効率改善システム 13

14.

スマートマニュファクチャリングと スマート製品の解説 スマートマニュファクチャリング向け技術 スマート製品向け技術 • 垂直統合: • 組込みセンサーで ネットワーク内製品 を他オブジェクトや システムと接続 顧客向けに製品機能 を拡張し新しい機会 • 仮想化/自動化: を創成 • AIの故障予測による先行メインテナンス • AIがERPシステムを補完し長期的生産需要の予 • AIを活用して製品を 自動的に最適化 測、など • トレーサビリティ: • SCADA:生産の管理と診断のためのデータ収集 • MES:SCADAからデータを取得し生産状況をERPに 提供 • M2M:製造現場でネットワークを構成 • 全体:生産プロセスの透明性を増し意思決定プロセ • スを改善するとともに高度の自動化の基盤を提供 • 最適在庫管理実現などを支援 • エネルギー管理:エネルギー効率の監視と改善 • 電力料金の有利な時間帯での集中的生産など 14

15.

フロントエンド技術(2) スマートサプライチェーン • 社外まで含めたサプラ イチェーンにおける配 送の改善 スマート労働 • 工場内での労働者の仕事 を支援 • 製造(スマートマニュファクチャリング)および最終製品への付加価 値付与(スマート製品)を補完し運用活動の効率化を提供 スマートサプライチェーン向け技術 スマートサプライチェーン向け技術 スマート労働向け技術 スマート労働向け技術 サプライヤーとのデジタルプラットフォーム 生産の遠隔監視 顧客とのデジタル プラットフォーム 生産の遠隔操作 他社ユニットとのデジタルプラットフォーム メンテナンスのための拡張現実 労働者のトレーニングのための仮想現実 製品開発のための拡張現実と仮想現実 協働ロボット 15

16.

スマートサプライチェーンとスマート労働の解説 スマートサプライチェーン向け技術 スマート労働向け技術 • 工程を外部プロセスと接続 するため、 • 労働者の生産性向上や良 好な条件提供のため、 • 製造オーダーに関するリアル タイム情報をサプライヤーや 流通センターと交換 • このためのデジタルプラット フォームを構築 • 製造現場情報へのリモー トアクセスなど、人間と 機械を統合させる社会技 術的機構を実現 • その目的でAR,VRあるい は協働ロボット等も活用 16

17.

基盤技術 • 基盤技術はフロントエン ド技術全体をサポート • 基盤技術例 基盤技術 IoT クラウドコンピューティング ビッグデータ 解析 • IoT:工場内全オブジェクトと システム間の通信 • クラウドコンピューティング: 情報とサービスへのアクセス • ビッグデータ&解析: Industry4.0の高度アプリケー ション実現を支援する要素 17

18.

Industry4.0技術の複雑性に基ずくフレームワーク 複雑性(低) スマートマ ニュファク チャリング 垂直統合 エネルギー管理 トレーサビリティ 自動化 仮想化 自動 不適合識別 メインテナンス 向けAI 柔軟化 ERP MES フ ロ ン ト エ ン ド 技 術 複雑性(高) 複雑性(中) SCADA エネルギー節約 最終製品のト レーサビリティ 産業ロボット 仮想試運転 フレキシブルライン センサー+アクチュ エーター+PLC エネルギー監視 原材料のトレー サビリティ M2M通信 生産のための AI 追加的製造 スマート 製品 受動的スマート製品 (接続、監視と制御機能) 能動的スマート製品 (最適化機能) 自律的スマート製品 (自律化機能) スマート 労働 遠隔監視と協働ロボット 遠隔操作 拡張現実と仮想現実 サプライヤーとの デジタルプラットフォーム 顧客との デジタルプラットフォーム スマートサプ ライチェーン 基盤技術 他社ユニットとの デジタルプラットフォーム クラウド IoT ビッグデータ 解析 18

19.

Industry4.0技術(中間まとめ) 1. 複雑性レベルは投資額とも関係し、企業規模が大きいほど 高い可能性がある。 2. 高レベル企業は各技術の相関が大きいため全技術をリード する可能性がある。 3. Industry4.0コンセプトの一つとして提案されている柔軟性 は全要素を組合わせることで実現されるので高い複雑性レ ベルに対応する。 4. 一般のDX化では柔軟性よりも効率化レベル(生産性向上) に留まるケースが多いので複雑性レベルが選択されている。 5. 結果、製造企業のDX化はIndustry4.0の複雑性レベルと深く 関係している。 19

20.

3.サービス化とIndustry4.0の融合 融合のための概念的枠組み

21.

サービス化とIndustry4.0のためのイノベーショ ンの軌跡 象限2 高い デ ジ タ ル 化 の レ ベ ル 象限4 テクノロジープッシュ (プロセス指向の付加価値) 統合領域 (プロセス顧客付加価値) 象限1 象限3 低い付加価値領域 デマンドプル (顧客指向付加価値) 低い 低い サービス化のレベル 高い

22.

サービス化とIndustry4.0のための概念的フレームワーク 目的 サービス提供タイプ スムーズ化サービス 適応サービス 代替サービス 高い (Industry4.0関 連サービス) Industry4.0型 スムーズ化サービス Industry4.0型 適応サービス Industry4.0型 代替サービス 中程度 (デジタルサービス) デジタルスムーズ 化サービス デジタル適応 サービス デジタル代替 サービス プロセス& 顧客指向 顧客指向 低い (マニュアルサービス) 実装の複雑性 マニュアルスムー ズ化サービス 極低い マニュアル適応 サービス 低い 中程度 マニュアル代替 サービス 高い 極高い

23.

概念的フレームワークの構成

24.

概念的フレームワークの解説 実装の複雑性 極低い 低い 中程度 高い 極高い

25.

スムーズ化サービス(象限1,2)

26.

適応サービス(1-3象限と2-4象限の接 点)

27.

代替サービス(象限3,4)

28.

4.ビジネスの複雑さのレベルと実装 ビジネスの複雑さのレベル

29.

BMIの複雑さ(1) -デマンドプル-

30.

BMIの複雑さ(2) -テクノロジープッ シュ-

31.

デジタル化とサービス化の融合(1)

32.

デジタル化とサービス化の融合(2)

33.

製造企業の取組み姿勢

34.

製造企業の取組みに関する補足

35.

製造企業の変革の手法例 手法例 アプリケーション領域 生産ベースの バックエンド トランザクションベースの フロントエンド 両領域でデジ タル化度合いを 急進的に拡大 バックエンドインクリメンタル BI バックエンドラジカル BR フロントエンドインクリメンタル FI フロントエンドラジカル FR

36.

図の解説

37.

サービス化とIndustry4.0の融合(まとめ)

38.

結論:サービス化、デジタル化融合へ の挑戦

39.

文献