[UNREAL FEST EAST 2017] VRゲームairtone制作事例 - VRを活かす3つのゲームデザイン的挑戦

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October 12, 17

スライド概要

2017年10月8日に行われた「UNREAL FEST EAST 2017」にて発表させていただいたスライドです。
VRリズムゲームにおけるゲームデザインについてです。

講演者:
佐々木 瞬(代表取締役/プロデューサー/ディレクター)

以下、セッション概要より抜粋。

VRゲーム"Airtone"制作事例 ~VRを活かす3つのゲームデザイン的挑戦~
VRゲームは"試さなくては分からない"点が多く、本作でもUE4のイテレーションの速さを活かし、スクラップ&ビルドにより開発を進めました。
本作の制作を始めるとき、一般的な音楽ゲームの大枠に乗っかりつつ、いくつかの点でVRならではの体験を生み出す大きなチャレンジを行おうと決めました。
制作中に何を試して何が成功・失敗したのかを、当時の動画を交えてお話しできればと思います。

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株式会社ヒストリアは、Unreal Engine専門のソフトウェア開発会社です。ゲーム事業とエンタープライズ事業、2 つの軸でソフトウェアの企画、開発を行っています。また、Unreal Engine の学習を目的とした作品制作コンテスト『UE5ぷちコン』や、『出張ヒストリア! ゲーム開発勉強会』を主催、技術ブログを毎週更新など、Unreal Engine コミュニティを盛り上げる活動も行っております。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

VRゲーム"Airtone"制作事例 VRを活かす3つのゲームデザイン的挑戦 株式会社ヒストリア 佐々木 瞬 #ue4fest

2.

自己紹介 株式会社ヒストリア 代表取締役 佐々木 瞬 【経歴】 プランナー → ディレクター → エンジニア → エンジニアリード/マネージャー → ディレクター/プロデューサー #ue4fest

3.

#ue4fest

4.

Airtone 制作体制 販売元 対応プラットフォーム #ue4fest 企画・開発 キャラクターデザイン 音楽

5.

もう定着してきたので今日は話さないこと UE4の高速イテレーション • これが無ければAirtoneは完成しなかった BPによる職種をまたいだコラボレーション • これが無ければAirtoneは完成しなかった UE4とVR開発との相性の良さ • これが無ければAirtoneは完成しなかった #ue4fest

6.

UE4を効率よく使うということは…… ゲームデザイン ルールの実装 グラフィック 試行錯誤 ゲームデザイン ルールの実装 グラフィック 試行錯誤 ゲームの 基礎システム部分 ゲームの 基礎システム部分 ゲームエンジンの無い世界 #ue4fest UE4の有る世界

7.

UE4を効率よく使うということは…… ゲームデザイン ルールの実装 グラフィック 試行錯誤 UE4の優れたワークフロー UE4の優れた機能 これらを使って何を作るの? ゲームデザイン ルールの実装 グラフィック 試行錯誤 ゲームの 基礎システム部分 よりゲームデザインが重要に! ゲームの 基礎システム部分 ゲームエンジンの無い世界 #ue4fest UE4の有る世界

8.

ゲームデザインオーバービュー #ue4fest

9.

目指したもの(コンセプト) 和製王道VR音ゲー 見ていて楽しい 10時間以上遊べる #ue4fest

10.

見ていて楽しい VRならではの王道和製リズムゲーム体験 VRならではの 身体を動かす空間体験 王道リズムゲームの ゲーム的な面白さ 少女と一緒に暮らす 体験 VRの基礎的なゲームデザイン The Unreal Way / テストプレイ駆動開発 #ue4fest

11.

見ていて楽しい VRならではの王道和製リズムゲーム体験 VRならではの 身体を動かす空間体験 王道リズムゲームの ゲーム的な面白さ 少女と一緒に暮らす 体験 VRの基礎的なゲームデザイン The Unreal Way / テストプレイ駆動開発 #ue4fest

12.

テストプレイ駆動開発 プロトタイプ・プリプロ 量産 VS QA 来客にプレイして頂く(週1ペース) ゲームデザインレビュー(月1) 学生フォーカステスト CBT1 #ue4fest CBT2

13.

見ていて楽しい VRならではの王道和製リズムゲーム体験 VRならではの 身体を動かす空間体験 王道リズムゲームの ゲーム的な面白さ 少女と一緒に暮らす 体験 VRの基礎的なゲームデザイン The Unreal Way / テストプレイ駆動開発 #ue4fest

14.

3つのチャレンジ 判定線の無い 音楽ゲーム #ue4fest VRならではの 遊びを与える 未知のドローパート 少女(ネオンちゃん) との 生活空間を作り出す

15.

リズムパート(InGame) #ue4fest

16.

リズムパートの要素 ▶リズムゲーム/ダンスゲームとしての面白さ マーカーの飛び方 視線誘導 #ue4fest

17.

和製リズムゲームの文法 • 基本は”音に合わせてマーカーを叩く” • 音楽にノってリズムを刻むだけで楽しい • 競技性 • 攻略性 • 反射神経で取れるようになる • 反射神経による運指 • 譜面の暗記 • 暗記による運指 #ue4fest

18.

音楽にノってリズムを刻むだけで楽しい リズムを刻んで欲しい ノッて欲しい ↓ 叩く! 「叩く」を基本動作に決定! トリガー #ue4fest 長押し

19.

音楽にノってリズムを刻むだけで楽しい 「叩く」ともう1要素欲しかった 「叩く」はアバウトな遊びにしかならない ↓ 叩く! 正確にタイミングが取れるトリガー導入! トリガー #ue4fest 長押し

20.

和製リズムゲームの文法 • 基本は”音に合わせてマーカーを叩く” • 音楽にノってリズムを刻むだけで楽しい • 競技性 • 攻略性 • 反射神経で取れるようになる • 反射神経による運指 • 譜面の暗記 • 暗記による運指 #ue4fest

21.

運指を産む長押し • 長押し+レーン移動 • 身体を大きく動かす • 本作特有の運指が生まれる • 運指を探るゲーム性 • 左右のどちらの手で取ってもOKに • レーンを5本にし、どちらの手で 取るか迷う「中心の線」を作る 通常だと腕が絡まるようなパートで 運指を研究して華麗にクリアするのが面白い #ue4fest

22.

困難だった点 • 腕が2本しかない • 難易度を上げづらい • 打った時の反作用が無い • 連続マーカーに限界がある #ue4fest

23.

リズムパートの要素 リズムゲーム/ダンスゲームとしての面白さ ▶マーカーの飛び方 視線誘導 #ue4fest

24.

どのようにマーカーが飛んでくるか? 最初は縦横無尽に飛んでくるマーカーを 手を大きく広げて取る遊びを思い浮かべてた #ue4fest

25.

視野角が現実より相当狭くて見えない!! #ue4fest

26.

どのようにマーカーが飛んでくるか? 理想 この範囲で手を大きく広げて 遊んでほしい #ue4fest 現実 手を前に突き出した遊びになる

27.

現世代HMDの視野角は狭い! HMD 人間 現在のHMDは視線誘導しても狭い! Oculus Rift / Viveは110度 人間の視野角は180~200度 #ue4fest

28.

視線誘導の試行錯誤 • 音による視線誘導 • BGM聞いてるし、HIT音も鳴るし、うまくいく気がしない • 左右に段階的に配置して視線誘導 • Audioshieldのアプローチ • 限界がある • UIによる視線誘導 • ごちゃごちゃしてわけわからなくなる #ue4fest

29.

ゲームセンターで音ゲーやりながら気づいた そもそも音ゲーって手元見てない #ue4fest

30.

ここじゃなくて ここを見てる #ue4fest

31.

どのようにマーカーが飛んでくるか? 手元を諦めれば まっすぐ飛んで来れば見えてる! #ue4fest

32.

手の位置が分かる工夫 手の位置のリングが光る 振れている線が揺れる #ue4fest

33.

テストプレイ • おおよそ70%の人が初見でも大丈夫 • 説明すればほぼ100%の人が大丈夫 #ue4fest

34.

リズムパートの要素 リズムゲーム/ダンスゲームとしての面白さ マーカーの飛び方 ▶視線誘導 #ue4fest

35.

表現したかったもの 絵変わりする背景 VRならではの空間の広がり よりダイナミックな身体の動き ⇒見回してほしい #ue4fest

36.

2種類の音ゲーの移動方法 マーカーが向かってくるタイプ #ue4fest 自分が移動するタイプ

37.

自分が移動+コースを曲げる ◆意識せずとも頭を傾ける ◆ジェットコースター系の VRコンテンツを参考に ◆隣にキャラクターが並走 #ue4fest

38.

ドローパート(InGame) #ue4fest

39.

ドローパートの役割 リズムパート ドローパート 本来音ゲーが持っている楽しさ 音に合わせて動く楽しさ ダンスゲーの身体を動かす楽しさ VRならではの面白さ 音楽に合わせて描く楽しみ 空間を活かした新しい面白さの発掘 面白さが約束されている 固いゲームデザイン #ue4fest 新しい楽しさの追求

40.

最初のコンセプト”指揮者のような遊び” #ue4fest

41.

指揮者のような遊びを提供したかった #ue4fest

42.

提供したかった…… #ue4fest

43.

提供したかった…… • 視野角の問題で、ダイナミックな動きにならない • “やらされている感”が強くなってしまう • 尺が短い(5~15秒) • ルールが分かりづらい #ue4fest

44.

最後に悪あがき #ue4fest

45.

リズムパートに寄せた • なぞる遊びの強化版 • 通常は使わない円周以外、 尖った線を使用可 • 違う空間へ飛び込む 思った以上に好評! #ue4fest

46.

リズムパートに寄せた • 絵変わりするだけで楽しい • ゲームに緩急が付いた 尺が短いのに 難しく考えすぎてた! #ue4fest

47.

VRならではの新しい遊びの追求 与えたい体験 仮説 プロトタイプ 新たな体験 #ue4fest

48.

VRならではの新しい遊びの追求 与えたい体験 仕様から考えるのではなく、 与えたい体験から考えることが重要 仮説 プロトタイプ 新たな体験 #ue4fest

49.

ルームパート(OutGame) #ue4fest

50.

なぜルームパートを入れたか? • “10時間以上遊べる”ためのパート • ユーザーにこの世界に住んでもらう • リズムパートだけだと疲れてしまう • 進めるモチベーション • 曲が増える(メインのモチベーション) • 家具が増える(繋ぎのモチベーション) • シナリオが進行する • IPとしてキャラクター要素を入れたかった #ue4fest

51.

ルームパートの要件 • ネオンちゃんと生活している感 • VRを感じさせる体験とギミック • 小規模なシナリオ #ue4fest

52.

ネオンちゃんと生活している感 • プレイヤーに構いすぎない • プレイヤーを案内している のではなく、一緒に生活している • 自動で音楽をかけてくれる • 「あの曲やってみようかな」を促す #ue4fest

53.

VRを感じさせる体験とギミック • 実在感を持たせるシェーディング • プレイヤーの体験としては、アウトゲームを先に見る • インゲームのアートスタイルをモーショングラフィック調にしたため、 ライティングや距離感を感じられるように • 壁面変更、物理を使った遊びなど、面白ギミック #ue4fest

54.

小規模なシナリオ • 全6章からなるシナリオ • だんだんこの惑星のことと、 ネオンちゃんのことが分かってくる • 成長するスピーカー=ネオンちゃん との絆 • VRならではの感情を 揺さぶるちょっとした仕掛けも #ue4fest

55.

音による演出 • 視界外でもネオンちゃんの行動を 音で知らせるように • そのために、音の遮蔽をOffにした • スピーカーから音楽を鳴らすことで、 部屋の”中心”を常に意識させる作りに を使用しました #ue4fest

56.

まとめ #ue4fest

57.

3つのチャレンジ 判定線の無い 音楽ゲーム #ue4fest VRならではの 遊びを与える 未知のドローパート ネオンちゃんとの 生活空間を作り出す

58.

Airtoneのゲームデザインのキモ • 既存の和製リズムゲームをゲームデザインのベースに敷いた • 与えたい体験を先に決める • 視線誘導にはVRならではのテクニックを採用 • あとはユーザーテスト&ユーザーテスト #ue4fest

59.

Steam日本VRランキング1位 非常に好評! #ue4fest Oculusフィーチャーゲット! 世界ランキング最高3位!

60.

ご清聴ありがとうございました! info@historia.co.jp #ue4fest