ダイジェスト版 機械学習との出会い そしてこれから

133 Views

July 26, 26

スライド概要

2026年7月26日 横浜国立大学公認プログラミングサークルLumosと,法政大学プログラミングサークルCodeMatesとの合同LT会(オンライン開催)における登壇資料.

profile-image

横浜国立大学 理工学部4年 / 化学×情報科学 / 分子生成 / 機械学習 / プログラミングサークルLumos / 東京大学松尾・岩澤研究室インターン

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

ダウンロード

関連スライド

各ページのテキスト
1.

ダイジェスト版 機械学習との出会い そしてこれから 坪井 一馬 2026年7月26日(日) Lumos CodeMates Mini-LT会 @ オンライン

2.

2 自己紹介など 坪井一馬のことや研究の概要など

3.

3 自己紹介 坪井 一馬 (つぼい かずま) • INTP 論理学者 • 21歳 神奈川県出身 実家暮らし • 理工学部 化学・生命系学科 化学EP 4年 • 分子生成モデルを研究中です. 学科の友人との飲み会 ハイボールで笑顔 大学1年 @伊豆大島 別サークルの夏合宿 • 大学院はこのまま内部進学の予定です • 東京大学松尾・岩澤研究室でAI開発インターン • Lumosは2年生に加入し,3年生から本格的に活動. • HP開発等についても中心ではないですが関わっています. • プロジェクトを盛り上げたいという思いで運営に参画. • 以前所属のサークルでケーブルテレビ局の番組制作のリー ダーをしていました. 名古屋・矢場味仙 ビールと相性がいい! 宇都宮餃子の名店 本場は味が違う気が • 趣味は様々: 旅行/コーヒー/酒/ゲーム/ラーメン/激辛/ご当 地グルメ/名古屋メシ/喫茶店の雰囲気/離島でゆっくり流れ る時間を過ごす

4.

4 詳細は「坪井 一馬」でAI検索 検索するごとに回答は多少変動 東京科学大学の「坪井 一馬」は別人 LinkedInもやっています 多くの方からご連絡をいただきます リンクは こちら

5.

5 ケモインフォマティクス 化学と情報科学の融合領域 Chemo informatics 化学 • 情報科学の技術で化学の課題を解決する • 化学の視点から情報科学を見直す 情報科学 「化学的な情報」すべてが扱う対象 マルチモーダル H N 原子 集合 O HN O 分子・化合物 結晶 高次的な構造 化学的な情報は? • 結合様式, 物性値, 反応性, 顕微鏡で見る表面の微細な構造等… • 数値, 画像, 映像, スペクトル, 記号列, 文章等, 多様な形式で表現

6.

6 研究概要 情報科学の技術 で 化学の課題 を解決する 自然言語処理 分子設計,物性予測 情報源 論文, 特許, データベース等 化学的な問い 分子の化学的な構造 原子どうしのつながり方 H N 論文数は年々増大 人手ではすべて網羅できない • 色素として使えそう な分子の構造は? • 物性予測 O … with a lone hydroxyl group on the B ring has a strongly suppressive influence on the antioxidant activity. • 分子設計 • この構造の分子に毒 性はあるか? HN O 60 存在しうる構造は10 以上 現状では109程度まで発見 • どの部分構造が毒性 に寄与するのか? 膨大な化学空間を 効率的に探索しよう! • 研究はある種の競争であるため,論文化されるまでは詳細を話すことはできません.

7.

7 分子生成モデルの開発 有機化合物はめっちゃ多い! データベースはデカい! だから… 思いつきに頼らないで もっと「効率的」に もっと「良い」分子を 設計できたらいいなぁ これを作る そうだ AIを使おう!

8.

8 メインは研究で,学会発表が決定しました 言語処理学会若手シンポジウム (YANS) 2026 日程 2026年8月16日(日) - 8月18日(火) • 8月16日はハッカソンに参加の予定 仙台国際センター展示棟 場所 • 仙台市青葉区青葉山,東北大の近くです! • JR仙台駅から地下鉄あるいは徒歩. 関連リンク • 公式ホームページのトップ 仙台国際センター公式HP • タイトル「有機化合物の構造情報および知識情報の埋め込み変換に基づく分子生成モデルの開 発」で発表予定です.準備に苦労しましたが,議論できるのが非常に楽しみです. • 旅費補助の選考に合格しましたので,学会参加費,宿泊費や交通費のほぼ全額を学会から出し てもらえることになりました.

9.

9 機械学習とは何か 以前のLT会での資料そのままです.

10.

10 モデルって? 目的に応じて「対象」の「本質」を取り出したもの プラモデル ファッションモデル 大規模言語モデル LLM 対象: ガンダムなど 本質: 見た目 対象: 衣服 本質: 着用時の外見 対象: 言語 本質: その使われ方

11.

11 科学とモデル 「現象をモデル化する」 「モデルを構築する」 ある「目的」に応じて 何か「対象」の「本質」を取り出すこと 例: 古典力学の運動方程式 加速度 𝑎 𝐹 質量 𝑚 の物体に力 𝐹 を加えると, その力の方向に加速度 𝑎 が生じて 物体が動く. 質量 𝑚 𝑚𝑎 = 𝐹 水平面 考えられるべきこと 考えないこと ある目的に関係のあること • 目的: 物体に力を加えるとどうなる? • 対象: 物体に対する現象 • 本質: 方程式 𝑚𝑎 = 𝐹 という関係 ある目的に関係のない(と仮定できる)こと • 物体の色は何か,形状はどうか? • 物体は何に使われるものなのか? • 考慮する方向に影響しない力: 重力など

12.

12 人工知能とモデル 人工知能とは… 「知能」がある かのように振る舞う システム あくまで「知能」を再現するまでであり, 真に「知能」と等しいか?は別問題である. 対象を理解して 判断する能力 人工知能というシステムとしては「対象」の「本質」を取り出して判断できるものが優れてい る → これこそが「モデル」である 例: ChatGPT いわゆる「生成AI」 大規模言語モデル 疑問に対して,その回答を 理解しているかのように振 る舞う 横浜国立大学は どこにありますか? 質問 神奈川県横浜市 保土ケ谷区常盤台 79-1にありますよ

13.

13 人工知能とモデル 人工知能とは… 「知能」がある かのように振る舞う システム あくまで「知能」を再現するまでであり, 真に「知能」と等しいか?は別問題である. 対象を理解して 判断する能力 人工知能というシステムとしては「対象」の「本質」を取り出して判断できるものが優れてい る → これこそが「モデル」である 例: 信用調査 • この人は返済する? • いくらまで貸す? • 不正利用しない? 対象を理解して 判断すること モ デ ル • • • • • • 年齢 性別 年収 出身大学の偏差値 自家用車の有無 1ヶ月間の外食額 信用調査のための「本質」を 理解しているかのように振る舞い予測する

14.

14 人工知能と機械学習の整理 人工知能とは… 「知能」がある かのように振る舞う システム • 具体的なシステムとしては「対象」の「本質」を取り出して判断する「モデル」を 考えるのが適切である. • 「人工知能」と「モデル」をまとめて「AIモデル」などと呼ぶこともある. 機械学習とは… 「人工知能」を構築(学習)して運用する技術 例: 信用調査 • この人は返済する? • いくらまで貸す? • 不正利用しない? 対象を理解して 判断すること モ デ ル • • • • • • 年齢 性別 年収 出身大学の偏差値 自家用車の有無 1ヶ月間の外食額 機械学習は,これを構築・運用する技術 まとめて「機械学習モデル」と呼ぶことも

15.

15 様々な機械学習の手法の紹介だけ 教師あり学習 強化学習 入出力の組を与えて,入力から正しい出力を 出せるように学習する. エージェントが報酬を最大化するために,その状態で どう行動すればよいかを学習する. 教師なし学習 深層学習 正解を与えずに,入力されるデータに隠れた 傾向を分析する.クラスタリングなど. 人間の脳における情報処理をニューラルネットワーク としてモデル化した機械学習手法の総称. 例: 信用調査 • この人は返済する? • いくらまで貸す? • 不正利用しない? 教師あり学習に基づいて 構築されたモデルで予測 • • • • • • モ デ ル 深層学習が活用 されることも 年齢 性別 年収 出身大学の偏差値 自家用車の有無 1ヶ月間の外食額 教師なし学習で クラスタリング

16.

16 なぜこんな研究を しているのか 化学EP所属の大学生が よくわからないことをするようになるまで

17.

大学1, 2年生の頃 17 2023年3月 • 次世代電池開発に興味があって化学系学科を志望して受験 • 第3志望の横浜国立大学に後期合格 機械学習を知らない ChatGPTのことは毛嫌い 2023年10月 • ケモインフォマティクスに関する演習講義を受講 • 膨大な化学空間を効率的に探索しようとするアプローチの 面白さと将来性を実感 機械学習と出会う そんな技術があったのか! 2024年度 • 理工学部共通の「DS実践基礎」と「AI実践基礎」受講 • 機械学習やデータサイエンスって何となく面白そう • 必修の化学実験を通して,自分の手際の悪さを実感する 座学の成績は高い 実験室で白衣でやる実験は 自分に向いていない?

18.

18 東大松尾・岩澤研究室との出会い 2025年度 • 何度もSNS広告を見て「なんだか面白そうだな」と思い,東大松尾研の講座受講開始. • まずはGCI講座と,AI起業サマープログラム. いずれも修了できて思い出に残る. GCI修了式に当選! 松尾先生と写真撮影

19.

19 機械学習にのめり込む 2025年度 • おすすめされた講座が面白そうだったので色々受講してしまう.レベル高いものも… Deep Learning 基礎講座 2025 修了 課題コンペティションで 約1400人中24位の経験有 深層強化学習 2025 修了 最終課題で分子生成モデル開発 発表は明瞭であると高評価 大規模言語モデル 基礎編 修了 世界モデル講座 最終課題の発表 LLMをより専門的に学ぶ 応用編も修了しました 京都大, 慶應の学生と研究 東大で人生初ポスター発表 ソニー,NECの方と議論

20.

20 研究室配属後 2025年度〜 • 面白そうで色々とった講座の受講経験が非常によく活きる. • 分子生成モデルもある種の「生成モデル」であり,対象は化学でも手法が情報科学なので,講座で やったことがそのまま先輩との議論に出てくる. • これがうまくいかなかったらどうしようか,自分で考える「次の一手」が出続ける. • 完璧ではないかもしれないが,情報系の学会に出ることもできるくらいまで成長する. まず1歩踏み出すことが大事! 機械学習は難しいけど面白い! 研究室HPの研究紹介: 坪井が執筆 最初はうまくいかなくても慣れなくても大丈夫. 東大松尾研講座の受講で自分の人生が変わった. 単に知識がついただけではないと思う.

21.

21 AI時代の価値 これからやりたいこと 目まぐるしく変わる時代の中で,何をして生き残るか

22.

22 AI時代になって 完全なAI生成論文が 人工知能国際会議で査読通過 • もう研究はしなくてもいいか. • 卒論提出期限1週間前にAIを動かして全部書か せることに問題はあるのか? • ペッパーくんみたいな高性能ロボが,白衣を着 て丁寧に実験してくれるならそれでいいのか? • 人間は危険を冒してまで,自分で実験をやらな ければならないのか? • 人間がやらないと悪いのはなぜか? • AIがやったものと人間がやったもので区別がで きないのでは? • もし「冤罪」があったらどうするのか? • 逆にどこまでAIに任せて良いとされるか? • GitHubリポジトリはこちら • 解説記事はこちら そもそも人間がやる価値とは何か? そしてこれから何が大事なのだろうか?

23.

言語処理学会を見学してきました 日程 23 2026年3月9日(月) - 3月13日(金) • 都合で3月9日(月)は不参加 ライトキューブ宇都宮 場所 • 栃木県宇都宮市 • JR宇都宮駅から徒歩2分(東口側) 関連リンク • 公式ホームページのトップ • 大会プログラムと予稿集 • 同じ研究室で日々お世話になっている先輩に誘われて.2026年3月9日(月)〜3月13日(金)の5日間にわ たって栃木県の宇都宮で行われた「言語処理学会第32回年次大会(NLP2026)」を4日間見学・聴講し てきました(発表はしていません) • 5日目のワークショップ「気軽に国際会議を目指しましょう」における5人の著名な先生方のトーク セッションが印象的だったので,その内容をこちらでご紹介します.

24.

印象的だったワークショップ パネルディスカッション 24 パネラー: 岡崎 直観(東京科学大), 鈴木 潤(東北大), 村脇 有吾(京都大), 坂口 慶祐(東北大), 高瀬 翔(サイバーエージェント) • AI時代の国際会議 • サーベイ, 査読や翻訳に使われており, 効率が上がっている. 調べ物に使うのは自分で探すよりも効率的. 英語 のプレゼンも楽になった. ディスカッションピリオドも使って, AIと壁打ちしながら考えることは増えている. • 他方で, 人間の思考が皆同じになってしまう問題. 英語やプログラミングをやるモチベーションがなくなるの で, 自分で問題を見つけて解決する訓練を継続して, 自分でしか実現できない目標を持つのが大事. • 研究者としてはどういったことをやるべきか考えるのが重要. • AIで論文作成支援ができるから投稿数は増える. 計算機を使って長い論文を書き, それをAIがレビューする形 式は本当に良いのか考えるべきで, 論文という形式である必要がない. そんなのはエクステンドアブストやス ライドでいい. 色々な人と議論すること自体が重要なので, 論文という仕様に囚われすぎている. • 発表ビデオがあって内容がわかると査読しやすい. ビデオで投稿するとかあってもいいんじゃないか. • 昔は論文は手書きだったが今ではPCでやってて問題視されない. 使える技術はどんどん使えばいい. 本質的に は中身が評価されるべきだが, それをアウトプットするには何らかの形式が必要で, そのために論文を書いて いたが, そこをビデオで置き換えてもいい. 研究の本質がより評価されやすくなるとすれば良いこと. 明らかに 自分がやったことと関係ないものを出してしまうから問題になっているので, それを規制できれば良い時代に なっているのでは.

25.

印象的だったワークショップ パネルディスカッション 25 人がやるべきことは何ですか? • 質疑 • SWEは不要になっているが, 再来年の言語処理学会ではB4向けの研究テーマを全部自動でやってくれる んじゃないか?数年後にそういう時代が来るとして, どうして行けばいいのか. • 使えるものは何でも使えばいいが, 研究の本質は「誰もわからないことをわからないようにする」「新たな知見 を得る」ことなので, それをどうやって生み出すのかが問われている. 本来はそこだけ評価されればいいが, 論文 書くテクニックまで評価されていたので, AIの悪用を除けば良い方向に向いている. いかに新しい, 世の中の問題 提起ができるかという能力が重視されている. • シニアに比べてジュニアは若い • 論文作成や修正でAIを使っていいが, アイディア出しをAIを使ってできるかはわからない. バイブコーディング する時, 結構自然言語でちゃんと仕様を書かないとメチャクチャになる. アイディアは壁打ちを通して作ること は頑張るしかないし, それはシニアになろうとB4だろうと大事. • 研究を始めたばかりの学生をサポートする教員ポジションは必要か? • 私は, 自分で物事を作ったり解決するのが好きだ. LLMなど大企業が作るようなものでも, どうしてできるのか を知るために自分でやる. AIが解決してくれたとして, 自分の知的好奇心が満たされるわけではない. 他方で, 知 的好奇心を有するためのプロセスにもAIが入ってくるとするなら, 根深い問題だと思う.

26.

26 そしてこれから 坪井なりの考え 生成AI時代になって,要求される水準は明らかに高くなっている 原体験と他者との交流で,アイデンティティあふれるものを創出する • まずは「なんとなく面白そう」なものに1歩踏み出して挑戦する! • とにかくChatGPTで解決できないことに取り組む! • 研究として: 視野を広げる • 良い意味での意外性.素直に面白くてインパクトのあることをやる. • 新たな学術分野の創出.今の感覚では意外性のある分野同士の融合を進めること. • サークルとして: きっかけ創出 H N O HN • 意欲ある仲間と交流しながら「これって面白そうだな」に出会えるきっかけを提供. • 自分から1歩踏み出す勇気がつくようにアシスト.最初から上手くできる人はいない. • 何が好きになるかは人生観や経験によるので,好きになるのが機械学習でなくても良いと思う. O

27.

CodeMatesさんとやりたいこと 共通する点は… 27 人と人との交流で個性を磨く • 対面LT会 • 実際にお会いして発表や質疑をしていただき,その後の懇親会で交流を深めましょう. • 技術的な知見の共有 • CodeMatesさんには文系が多いと思いますが,むしろLumos側には理系の学生が多いので,相補的 に面白いことができると思います. • むしろ(悪い意味ではありませんが)文系の視点がないので,そういう視点を取り入れて活動できると 理系の学生にとっては良いんじゃないかなと思います. • 互いの大学祭への参加 • CodeMatesさんには,11月上旬に行われる横国の「常盤祭」にご来場いただきたいと思います. Lumosは教室を借りてLT会を行予定で,発表にご参加いただくことができるかは分かりませんが, 聴講だけでも面白いと思います.また,同時に謎解き出展も行うので,お楽しみください. • 差し支えなければ,Lumos側が,CodeMatesさんの法政大学の大学祭の出展などに参加することも できると思います.

28.

まとめ 28 • モデルとは「目的」に従って「対象」の「本質」を取り出し たものである. • 人工知能は「知能」の振る舞いを再現したシステムであり, それを構築し運用するのが機械学習である. • 坪井は大学に入ってから機械学習に興味を持つようになり, 学部3年で東大松尾研の学生向け講座を受講したことで, 色々なことが変わり,現在では東大松尾研でインターンをし ている. • AI時代においては形式的なことではなく「個性」と「交流」 が重要である.CodeMatesさんとの交流を通して,互いの 個性を磨き上げましょう!

29.

29 お知らせ • 本日のスライドはDocswellにおいて一般公開し,画面録画も後日公開予定. • 以前のLT会のスライド,動画等は公開しているので,ぜひご覧ください! World Model for Science リンク: LT会資料 LLMって何? リンク: 実行結果ファイル,説明動画 「世界モデル」とは何かを解説 Docswellの人気スライドに上位掲載! 新歓のミニLTでのLLMの概要説明 コードベースで動かすLLMの雰囲気がわかる