リファクタは 始まる前に 終わっている そして、AI時代でも変わらない理由 Easy Easy 2026/5/26 preencoded.png
自己紹介 黒澤ぱせり @paseri-kurosawa 某電子書籍ECエンジニア 10年以上、 現在フリーランス のアーキテクトです。 1年以上をかけた大規模リファクタを経験しました。 ──リファクタ完全に理解した── preencoded.png
第一部 リファクタとは何か 定義:構造改善活動 リファクタリングとは、 コードを「綺麗にする」作業ではありません。 外部から見た振る舞いを変えずに、 内部構造を再編する という、明確な目的を持つ独立した営みです。 ✗ コードをきれいにする ✓ 構造を改善する 審美的な整理作業ではない 新規開発とは別の、独立した活動 preencoded.png
新規開発とリファクタの違い 新規開発:未知を作る リファクタ:既知を再編する 予見性が低い。 予見性が高い。 霧の中を進むように ゴールも道筋も 不明確なまま 前進する。 既にある地図を読み 最適なルートを 選択して 実行する。 preencoded.png
なぜリファクタは予見性が高いのか 仕様がある ログがある 変更前の期待動作が文書化されており、 ゴールの輪郭が最初から見えている。 実際の稼働データがあり、ホットパスや 障害傾向を定量的に把握できる。 事故履歴がある 依存が観測できる 過去のインシデントが、触るべき箇所・ 避けるべき箇所を教えてくれる。 静的解析やトレースで依存グラフが可視 化でき、影響範囲を事前に把握できる。 preencoded.png
リファクタの6フェーズ 調査 再編 現状把握と問題点の特定を行う。 決定した構造へコードを移行する。 整地 検証 影響範囲を整理し準備を整える。 動作確認と品質確認を行う。 剪定 収束 不要コードを削減し設計を簡潔化する。 仕上げと安定化を行い、変更を完了する。 調査・整地・剪定が本体フェーズ、再編・検証・収束は決定済みの構造を実行する後続フェーズです。 前工程の質が全体を決定します。 preencoded.png
調査・整地・剪定 ── 前工程が本体 調査フェーズ 整地フェーズ • • • • • • 現状把握と患部特定 依存・ログ・仕様の 棚卸し 影響範囲の 可視化 ゴールと境界線の確定 案件優先度の調整 コンセンサスの確保 剪定フェーズ • • • 依存の剥離と細分化 小さく不要要素の除去 安全なデプロイ単位へ preencoded.png
リファクタの勘所は前工程にあり 1 リファクタの成否は、コードを 書き始める前にほぼ決まっています。 2 3 1 再編 決めた順序を実行するだけ 2 整地 / 剪定 境界確定・依存除去 3 リファクタは 小さな単位にすることが 何よりも大事です。 90% PRE-CODING 調査 構造把握・患部特定・仕様棚卸し preencoded.png
第二部 この構造、AI時代でも まったく同じです。 むしろ、AIが登場したことで前工程の価値はさらに高まっています。 preencoded.png
人間とAIの領域 • 1.調査:現状を把握し、問題がどこにあるのかを見極める。 どの情報を信頼し、どこに落とし穴があるかを確認する。 • 2.整地:ゴールを共有し、作業範囲・優先度・境界を定める。 利害関係者との合意形成を行う。 • 3.剪定:依存関係を見ながら、適切な順序を用いて、リファクタ本体の周辺部分を削る。 全体構造への俯瞰的な理解と責任を持ち、安全性と影響範囲を判断しながら本体から切り離していく 。 • 4.再編:AIが担える領域。 計画に沿って、 構造を再設計し、整合的な形へ組み直す。 • 5.検証:変更が意図どおりに動くかを確かめる。回帰テストと効果測定を行う。 保証範囲を確定し、復旧手段を準備する。 • 6.収束:変更をリリースし、作業を閉じる。監視、記録更新、後処理を完了させ、状態を安定化させる。 トレーサビリティを確保し、リファクタの経緯や意義を明確に残す。 AIは各工程の補助にはなれますが、盤面を設計し、責任を持って進めるのは人間です。 preencoded.png
AIは前工程を担えない AIが苦手とする大きな4つの壁 状態を保持できない 順序を理解できない コンテキストウィンドウを超えると、 依存の全体像を維持できなくなる。 変更の安全な順序はシステムの依存構造 から導出され、AIには見えない。 境界線を引けない 暗黙知を観測できない 「どこまで触るか」という責任範囲の 判断は、業務文脈の理解が必要。 「このコードは触ってはいけない」 という文化的文脈は、ログに残らない。 preencoded.png
AIの領域 AIは、特定の領域で人間の強力なアシスタントとなります。 特に、その特性を生かして、以下のような作業でその真価を発揮します。 命名の改善 関数・モジュールの分割実行 AIはコードのコンテキスト、既存の命名規則、一般的なプロ グラミングパターンを分析し、変数、関数、クラスに対して より明確で一貫性のある名前を提案できます。これはパター ン認識と大規模言語モデルの得意分野です。 AIは、単一の責任を持つ、あるいは密接に結合した一連の責 任を果たすまとまったコードブロックを識別し、関数やモジ ュールとして抽出する場所を提案できます。これはコード内 の境界を認識することに長けています。 冗長ロジックの整理 パターン適用と定型変換 重複するコード、抽象化できる類似パターン、非効率なアル ゴリズムを検出できます。これにより、より効率的で整理さ れた代替案を提案し、コード品質を向上させます。 AIは、確立されたデザインパターン(例:Factory, Singleton )を迅速に適用したり、定義済みのルールや一般的な慣行に 基づいてボイラープレートコードを変換したりすることで、 反復的な構造変更を自動化します。 preencoded.png
AI時代のリファクタ 役割分担の本質 人間とAI、それぞれの得意分野を理解することが、 リファクタリング成功の鍵です。 preencoded.png
リファクタは 始まる前に 終わっている そして、AI時代でも変わらない理由 Easy Easy 2026/5/26 preencoded.png