【中医協第652回】再生医療等製品2品目の保険適用と薬価算定のポイント

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October 17, 26

スライド概要

令和8年7月8日の中医協総会(第652回)で議題となった、再生医療等製品2品目の保険適用を解説します。表皮水疱症の細胞シート「アロステムシート」と膀胱癌の遺伝子治療薬「エドスチラドリン」の対象、有効性、薬価の内訳を整理しました。加算係数0や費用対効果評価の意味もわかります。

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再生医療等製品2品目が保険適用へ|中医協総会(第652回)の要点
https://www.daitoku0110.news/p/regenerative-products-insurance-coverage-2026

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病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用

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各ページのテキスト
1.

令和8年7月 中医協総会 (第652回) の要点 : 再生医療等製品2品目が保険適用へ 日付: 令和8年7月8日 (承認・審議) 収載予定: 令和8年7月15日 資料ソース: 総-3 再生医療等製品の保険適用について

2.

2つの革新的モダリティと、共通する「加算係数ゼロ」の薬価メカニズム アロステムシート (細胞シート) 薬価: 1枚 182,096.00円 対象: 表皮水疱症 エドスチラドリン膀胱内注入液 (遺伝子治療薬) 薬価: 1瓶 2,327,036.90円 対象: BCG療法後の膀胱癌 薬価算定のハイライト 原価計算方式 補正加算獲得 -> 加算係数0により上乗せなし -> 革新的新薬薬価維持制度の対象

3.

保険収載される2品目のプロファイル比較 アロステムシート 疾患領域 (Target Area): 表皮水疱症 (難治性・再発性の潰瘍) モダリティ (Modality): ヒト体性幹細胞加工製品 (同種) ピーク時予測患者数 (Peak Patients): 25人 (収載後9年度) ピーク時予測売上 (Peak Sales): 7.9億円 外国価格 (Foreign Price): なし (日本初承認) エドスチラドリン 疾患領域 (Target Area): 高リスク筋層非浸潤性膀胱癌 (上皮内癌) モダリティ (Modality): 遺伝子治療用製品 (非増殖性アデノウイルス) ピーク時予測患者数 (Peak Patients): 488人 (収載後10年度) ピーク時予測売上 (Peak Sales): 203億円 外国価格 (Foreign Price): 米国 : 2,426,656.10円 (ASP)

4.

アロステムシート : 表皮水疱症の難治性潰瘍に対する新たなアプローチ 表皮水疱症 (Epidermolysis bullosa). わずかな刺激で水疱・びらんが生じる遺伝性疾患. 対象となる3つの病型: 栄養障害型、接合部型、単純型 (重症汎発型に限る) ヒト体性幹細胞加工製品. 健康な成人の皮下脂肪組織に由来する同種幹細胞をシート状に培養. 週1回、潰瘍を辺縁まで覆うように貼付.

5.

作用機序 : 潰瘍部を覆う「屋根」として機能し、治癒を促進する Step 1 (Application) 1. 貼付 (Application) : 潰瘍部を辺縁までシートで覆う Step 2 (Secretion) 2. 分泌 (Secretion) : シートから成長因子などが持続的に放出される Step 3 (Healing) 3. 治癒 (Healing) : 炎症抑制と創傷治癒が促進され潰瘍が縮小

6.

国内第III相試験データ : 潰瘍面積の有意な縮小を確認 -54.24% 主要評価項目 : 潰瘍面積の平均変化率 (最大12週間貼付) p=0.0098 (統計学的に有意) 臨床試験の背景 ・対象: 4歳の小児を含む日本人6例 (非盲検・非対照) ・注意: 参加した6例はすべて「栄養障害型」のみ

7.

薬価算定の内訳 : 原価計算方式による182,096円の構成 1枚 182,096.00円 製品総原価: 130,076.80円 営業利益: 24,042.60円 流通経費: 11,422.40円 消費税: 16,554.20円 最類似薬: 該当なし 既存のバイジュベックゲルとはモダリティ・主作用が異なる。 外国平均価格調整: なし 日本が世界初の承認国 (令和8年4月3日承認)。

8.

エドスチラドリン : BCG療法後の膀胱癌に対する初の遺伝子治療薬 高リスク筋層非浸潤性膀胱癌 (上皮内癌) 対象: BCG療法の再導入が適応とならない、BCG療法後に残存・再発した患者 遺伝子治療用製品 インターフェロンα2bの遺伝子を組み込んだ非増殖性アデノウイルス 1回75mLを3カ月間隔で膀胱内に注入

9.

作用機序 : ウイルスベクターを用いた抗腫瘍免疫の活性化 1. 感染: ベクターが膀胱癌細胞に侵入 2. 産生: 細胞内でインターフェロンα2bを大量に産生 3. 免疫応答: 抗腫瘍免疫の働きで癌細胞を死滅させる

10.

第III相試験データ : 国内外で高い完全奏効率 (CR) を達成 53.4% 完全奏効 (55/103例) [海外] 95%信頼区間 43.3~63.3% (事前の閾値27%を上回る) 75.0% 完全奏効 (15/20例) [国内] 95%信頼区間 50.9~91.3% (事前の閾値2%を上回る) 評価基準: 初回投与後3カ月までの上皮内癌を伴う患者における完全奏効率.

11.

薬価算定の内訳 : 米国価格と比較された2,327,036円の構成 1瓶(20mL) 2,327,036.90円 製品総原価: 1,729,556.90円 営業利益: 319,681.20円 流通経費: 66,250.00円 消費税: 211,548.80円 最類似薬: 該当なし 膀胱上皮内癌を対象とする初の遺伝子治療薬。 外国平均価格調整: なし 米国承認2022年12月。米国価格ASP 2,426,656.10円との比較結果、調整なし。

12.

薬価算定の共通基盤 : 原価計算方式と革新的新薬薬価維持制度 原価計算方式の適用 類似薬なし。製造・営業コストを積み上げて価格を算定。 希少疾病用再生医療等製品 両製品ともオーファン指定 (希少疾病) の要件を満たす。 革新的新薬薬価維持制度の対象 希少性・革新性が認められ、将来の薬価改定時の引下げが抑制される。

13.

加算のパラドックス : 「加算係数ゼロ」による価格の据え置きメカニズム [ 算定薬価 ] + ( [ 補正加算率 ] × [ 開示度による加算係数 ] ) = [ 最終薬価 ] 補正加算率 (獲得した加算) ・両製品: 市場性加算 (I) +10% ・エドスチラドリンのみ: 有用性加算 (II) +10% 加算係数 0 原価計算方式において原価の開示度合いが低かったため、係数が0となった。 結果: 加算額は0円 となり、加算前と加算後の薬価は同額に留まる。

14.

収載後の政策的明暗 : 費用対効果評価の適用有無 ピーク時市場規模予測 これが評価区分を決定する 7.9億円 ピーク時売上高 -> 100億円未満 -> 対象外 (Exempt) 収載後の価格調整リスクなし。 203億円 ピーク時売上高 -> 100億円以上 (H1区分基準に該当) -> H1区分 対象 収載後、薬の効果に見合った価格かの検証が行われ、将来的な薬価調整の対象となる。

15.

総括とマーケットアクセスへの示唆 1. 令和8年7月15日のマイルストーン 細胞シート (アロステム) と遺伝子治療薬 (エドスチラドリン) という2つの異なる革新的な再生医療等製品が同時に保険適用される。 2. 原価計算と情報開示のジレンマ 有用性や市場性が認められ加算対象となっても、原価開示度が不十分であれば「加算係数0」となり価格には反映されない実態が再確認された。 3. 今後のウォッチポイント エドスチラドリンのH1区分・費用対効果評価のプロセスと結果。200億円超のピーク売上予測に対する評価機構の判断が、今後の遺伝子治療薬の価格維持戦略の試金石となる。