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October 19, 26
スライド概要
2026年7月8日の中医協総会(第652回)で示されたDPC高額薬剤判定を、スライドで解説します。84%tile基準の仕組み、出来高算定の対象として提案された7品目、既存の分岐に反映される2件、医事部門の確認ポイントを整理しました。
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DPC高額薬剤判定|新薬など7品目が出来高算定へ【中医協第652回】
https://www.daitoku0110.news/p/dpc-high-cost-drugs-july-2026
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
DPC高額薬剤判定の最新動向と実務対応 7品目の出来高算定への移行と医事部門におけるコーディング最適化戦略 2026年(令和8年)7月8日 中医協総会(第652回) 「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」
エグゼクティブ・サマリー:即時対応が求められる3つの要点 7品目 次期診療報酬改定まで「包括評価の対象外(出来高算定)」として承認。病院の収益減を防ぐため、即時のシステム対応が必須。 84%tile 判定基準。1入院あたりの標準的な薬剤費が、対象となる診断群分類(既存症例)の上位16%の水準を超えるかどうかが鍵。 ! 39分類 アレセンサは39もの診断群分類にまたがるため、悪性腫瘍における広範コーディング確認・監査体制の構築が急務。
イノベーションと病院経営を両立するセーフティネット DPC包括評価 DPC/PDPSの点数表には、新たに薬価収載された医薬品の費用が反映されていない。 高額な新薬の薬剤費 そのまま高額な新薬を導入すれば、病院は実質的な持ち出し(赤字)となり、患者への最新治療の提供が遅れるリスクがある。 高額薬剤判定 高額薬剤判定の目的:一定の基準を満たす高額薬剤を一時的に「包括評価の対象外(出来高算定)」とすることで、DPCの仕組みが新薬導入の障壁となることを防ぐ。
中医協による高額薬剤の3ステップ評価プロセス 年4回の判定(新薬・一変・公知) 1 抽出(Extraction) 効能・効果から、その薬剤を使用する可能性のある診断群分類(14桁コード)を抽出。 2 算出(Calculation) 入院初日から退院まで添付文書どおりに投与したと仮定した「仮想投与回数」を基に、1入院あたりの標準的な薬剤費を算出。 3 比較(Comparison) 算出された薬剤費と、その診断群分類における既存症例の薬剤費(84%tile値)を比較。※前年度実績がない場合は未使用症例と比較。
出来高算定を決定づける「84%tile」の閾値 84%tile値:薬剤費を低い順に並べたとき下から84%に位置する値。 新薬の標準的な使用だけで、既存症例の上位16%の薬剤費水準を確実に超える場合に「高額薬剤」に指定。 高額な新薬の標準的費用 既存症例の薬剤費 0% 25% 50% 84% 100% 指定された薬剤を使用し、かつ指定された診断群分類に該当する症例のみが、次期改定まで出来高算定(実施行為ごとの点数積み上げ)に移行する。
高額薬剤判定における2つの対応アプローチ 新規医薬品の評価 包括評価からの除外(出来高算定へ) 【条件】標準的費用が84%tile値を超過する薬剤。 【結果】今回の提案では7品目(効能追加3、新薬4)が該当。次期改定まで出来高で請求。 既存の診断群分類への反映(定義告示への追加) 【条件】類似薬効比較方式で薬価算定され、比較薬がすでにDPC分岐として定義されている薬剤。 【結果】今回の提案では2件(ジャスケイド、グロベニン-I 10%)が該当。既存の分岐に追加。
出来高算定への移行が提案された7品目一覧 区分 銘柄名(成分名) 対象となる効能効果 1回あたりの標準的費用 対象の診断群分類 一変 ゼップバウンド皮下注 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27以上) 3,067円 030250 睡眠時無呼吸 一変 ファセンラ皮下注30mg 好酸球増多症候群 335,309円 130070 白血球疾患(その他) 一変 アレセンサカプセル150mg ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌 13,811円 010010 脳腫瘍ほか、計39分類 新薬 ジャスケイド錠 特発性・進行性肺線維症 8,363円 040110 間質性肺炎 新薬 ハイツエキシン錠10mg PIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌 29,253.6円 120010 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 新薬 アロステムシート 栄養障害型等の表皮水疱症 182,096円 080110 水疱症 新薬 エドスチラドリン膀胱内注入液 高リスク筋層非浸潤性膀胱癌 9,308,147.6円 110070 膀胱腫瘍
効能追加(一変)による高額判定:ゼップバウンドとファセンラ ゼップバウンド皮下注(チルゼパチド) 【臨床的背景】中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27kg/m²以上に限る)。 【標準的費用】3,067円 【判定コンテキスト】対象2分類の84%tile値(43円・247円)を大きく上回るため出来高移行。 ファセンラ皮下注30mg(ベンラリズマブ) 【臨床的背景】成人と12歳以上の小児の好酸球増多症候群。 【標準的費用】335,309円〜670,618円 【判定コンテキスト】対象4分類の84%tile値(4.7万〜62.4万円)をすべて上回る。
運用警戒アラート:39分類にまたがる「アレセンサ」の複雑性 仮想投与回数の変動:8回〜210回と幅広く、1入院あたりの標準的費用は110,488円〜2,900,310円と大きく変動。 アレセンサカプセル(ALK+固形癌) 対象分類の広さ:脳腫瘍、肺、消化器、乳房、婦人科、泌尿器などの悪性腫瘍を中心に、39分類(6桁)が対象。 医事部門は、腫瘍内科・外科からのアレセンサ処方において、該当するDPCコードへのマッピング漏れがないよう、横断的な監査網を敷く必要がある。
新薬による高額判定 Part 1:ジャスケイドとハイツエキシン ジャスケイド錠(ネランドミラスト) 【対象分類】040110 間質性肺炎(特発性肺線維症、進行性肺線維症) 【標準的費用】301,068円〜618,862円 【コンテキスト】対象6分類の84%tile値(20万〜59万円)を上回る。 ※類似薬効比較方式の観点から、既存分岐への反映もおこなわれる(後述)。 ハイツエキシン錠10mg(リソバリシブ) 【対象分類】120010 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍(PIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌) 【標準的費用】146,268円〜1,374,919円 【コンテキスト】対象6分類の84%tile値(4.2万〜46万円)を上回る。
新薬による高額判定 Part 2:極端な外れ値(超高額薬剤) アロステムシート 【対象】080110 水疱症 【標準的費用】910,480円 【コンテキスト】84%tile値(79,541円)を大きく超過。 エドスチラドリン膀胱内注入液 【対象】110070 膀胱腫瘍(高リスク筋層非浸潤性膀胱癌) 【標準的費用】約931万円(9,308,147.6円/1回) 対象5分類の84%tile値(17,860円〜100,119円)の90倍以上。請求漏れは病院経営に壊滅的な打撃を与えるため、算定の完全な把握が必須。
既存の診断群分類(分岐)への反映が行われる2件 ジャスケイド錠 類似薬効比較方式(I)で薬価算定(類似薬:ニンテダニブ)。 類似薬が「040110 間質性肺炎」で既に分岐として定義されている。 ジャスケイド錠もこの分岐に追加反映。 ※出来高算定対象にも重複指定 グロベニン-I 10%(2製品) 献血グロベニン-I 静注用の剤形追加品として承認(同一銘柄扱い)。 既収載品が「080105 重症薬疹」の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」分岐として存在。 新たな2製品もこの既存分岐にそのまま反映される。
医事・薬剤部門のための即時アクションプラン マスターの即時更新(System Update) 電子カルテおよび医事会計システムにおいて、対象7品目の「包括評価の対象外(出来高算定)」フラグを正確に登録・更新する。 横断的な処方監査体制の構築(Cross-Department Audit) アレセンサ処方症例(39分類)および超高額なエドスチラドリン(膀胱腫瘍)に対して、該当するDPCコードへの正確なマッピングを保証する部門間連携フローを確立する。 適用日の厳密な確認(Process Verification) 正式な告示・通知文書にて各品目の適用日と対象コードの詳細を再確認し、時期尚早または遅延による請求エラーを未然に防ぐ。
高額薬剤の正確なコーディングは、最先端の臨床イノベーションと病院の財務的持続可能性をつなぐ架け橋である。 DPC高額薬剤判定 エグゼクティブ・ブリーフィング 中医協総-5 「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」(令和8年7月8日) 中医協総-5参考 「現行のいわゆる『高額薬剤判定』の運用方法について」