【令和8年度診療報酬改定】抗HLA抗体検査の算定要件見直し|移植待機患者の「感作歴」制限撤廃と実務対応

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August 06, 26

スライド概要

令和8年度診療報酬改定で見直される抗HLA抗体スクリーニング検査の算定要件を図解で解説。日本臓器移植ネットワークの移植希望登録者は、輸血歴・妊娠歴等の感作歴がなくても算定可能になります。新旧要件の比較、対象患者の判定フロー、原則年1回の算定回数や摘要欄への記載要件まで、医事課・移植コーディネーターが押さえるべき実務ポイントを11枚に整理しました。

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【令和8年度改定】抗HLA抗体検査、移植待機患者は感作歴なしでも算定可能に
https://www.daitoku0110.news/p/anti-hla-antibody-test-revision-2026

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病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用

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各ページのテキスト
1.

移植医療プラクティカル・ガイド / 医事・臨床連携資料 令和8年度診療報酬改定: 抗HLA抗体検査の算定 要件見直し 移植待機患者における「感作歴」 制限撤廃の臨床的意義と、直ちに 把握すべき実務上の留意点

2.

本改定の全体像:対象拡大と維持される実務ルールの要点 改定の核心 日本臓器移植ネットワーク (JOT)の移植希望登録者は、 「感作歴の有無にかかわらず」 抗HLA抗体スクリーニング検 査が算定可能に。 臨床的背景 感作歴のない患者でも抗体陽 性率が高い(35.9%~77%) という国内外のエビデンス。 事前の抗体把握により、臓器 生着率を飛躍的に向上させる ため。 実務への影響 緩和されたのは「対象患者」 の条件のみ。「原則年1回」の 算定上限や、「追加算定時の レセプト摘要欄記載」の厳格 なルールは従来通り維持。

3.

算定要件の変更点:移植希望登録者に対する 「感作歴」の制限撤廃 現行の対象患者(~令和6年度) 肺移植、心移植、肝移植、膵移植、 小腸移植若しくは腎移植後の患者 又は日本臓器移植ネットワークに 移植希望者として登録された患者 であって、輸血歴や妊娠歴等から医 学的に既存抗体陽性が疑われるもの 改定後の対象患者(令和8年度~) 肺移植、心移植、肝移植、膵移植、 小腸移植若しくは腎移植後の患者 又は日本臓器移植ネットワークに 移植希望者として登録された患者 「輸血歴・妊娠歴等」による縛りが消滅。JOT登録患者であれば、無条件で算定対象となります。

4.

検査対象拡大の臨床的真意: すべての待機患者の臓器生着率向上へ Step 1: 全待機患者へ の検査 移植前の抗HLA抗 体検査(感作歴を 問わず実施) Step 2: 陽性患者の 早期把握 既存抗体の有無を 正確にスクリーニ ングし、最適など ナー選択の判断材 料とする Step 3: 術前対応の 最適化 抗体陽性の場合、 事前の脱感作療法 など、移植後の治 療方針を見据えた 介入を実施 Goal: 臓器生着率の向上 移植前の正確な抗体把握が、 移植後の拒絶反応リスクを 低減し、最終的な生着率を 大幅に向上させる (中医協での議論の前提)

5.

旧ルールの限界:効率化を意図した「感作歴フィルター」の穴 全待機患者 見逃された 陽性患者 感作歴フィルター (輸血歴・妊娠歴等) 令和6年度改定では、抗体陽性の可能性が 高い患者を効率的にスクリーニングするた め、「感作歴(輸血歴や妊娠歴等)」を検査 の必須要件(フィルター)としました。 最新の知見により、この「感作歴フィ ルター」だけでは、多くの「隠れ陽性 患者」を取りこぼしてしまう致命的な 限界が明らかになりました。

6.

エビデンス:感作歴のない患者集団に潜む、極めて高い抗体陽性率 63% 対象:一般健常男性(感作歴なし) 詳細:MFI 1000以上の抗HLA抗体(Class I・II)を有する割合(海外報告) 77% 対象:腎移植待機患者(感作歴なし) 詳細:MFI 1000超の抗HLA抗体が陽性 となる割合(海外報告) 35.9% 対象:生体腎移植待機患者(国内報告) 詳細:感作歴のない78例中、28例が 抗体スクリーニング検査で陽性 「感作歴がない=抗体陰性」という前提は成り立たないことが、国内外のデータで実証されています。

7.

パラダイムシフト:見逃されていた「海面下の巨大なリスク」の可視 化 これまでの検査対象:感作歴あり・陽性患者 (表面化していたリスク) これまで見逃されていた対象:感作歴なし・ 陽性患者(隠れたリスク:35~77%) 令和8年度改定の真の意義は、これまで制度上アクセスできなかった「海面下の陽性リスク」に対するセーフティネ ットを構築することです。事前の正確な把握が、すべての待機患者に最適な医療を提供する土台となります。

8.

実務対応:医事課・コーディネーターのための 新・対象患者判定ツリー Q. 当該患者は「移植後」 の患者ですか?(肺、 心、肝、膵、小腸、腎) YES 算定可能(※従来通り変更なし) NO Q. 日本臓器移植ネットワー ク(JOT)の移植希望登 録者ですか? YES 算定可能(★感作歴 の確認は一切不要!) NO 算定不可(本要件での 保険請求は不可) 【実務上の推奨事項】通知上の必須要件ではありませんが、カルテやオーダリングシステム上で 「JOT登録状況」を即座に確認できる運用フローをあらかじめ整えることを強く推奨します。

9.

維持される要件:対象患者の拡大に伴い、留意すべき 「変わらないルール」 算定回数の上限 原則として「1年に1回」 対象患者が拡大されても、ベースとなる 算定頻度の上限は変更されません。 追加算定の厳格な条件 医学的必要性がある場合に限り 「1年に1回に限り更に算定可能」 (計・年2回まで) 「抗体関連拒絶反応を強く疑う場合等」の 明確な医学的根拠があるケースのみ、 例外的に追加算定が認められます。

10.

レセプト請求時の必須チェックリスト(追加算定時) 対象患者(移植後 または JOT登録者)であることを確認したか? 追加算定(年2回目)を行う場合、以下の2点を漏れなく記載しているか? 記載先1:診療録(カルテ) 記載先2:診療報酬明細書の「摘要欄」 記載内容に以下2つの要素が具体的に明記されているか? 1. 追加算定を行う「理由」 2. 実施の「医学的な必要性」(例:抗体関連拒絶反応を強く疑う所見など) 【厳重注意】今回の改定で緩和されたのは「対象患者」の入り口のみです。 「摘要欄への記載要件」を満たさない追加算定は、容赦なくレセプト査定(減 点)の対象となります。

11.

医療機関が今すぐ着手すべき3つのアクション 1 院内での情報共有 医師・移植コーディネーター・医事 課スタッフ間で「JOT登録患者に対 する感作歴の確認が不要になった こと」を速やかに周知する。 2 運用システムの アップデート 電子カルテやオーダリングシステ ムにおいて、「JOT登録患者」を フラグ付けし、医事請求時に即座 に判別できる仕組みを構築する。 3 レセプト点検 プロセスの強化 追加算定(年2回目)が発生した 際、摘要欄への「理由」および 「医学的な必要性」の記載が徹底 されるよう、院内のダブルチェッ ク体制を維持・強化する。 感作歴の有無を問わない網羅的な検査で、移植前の抗体把握を確実に。 その確実な運用こそが、患者の臓器生着率向上への第一歩となります。