性暴力被害と心理学・犯罪学研究

>100 Views

March 11, 26

スライド概要

性暴力に関する心理学・犯罪学の研究レビューです。法改正に関すること、なぜ被害時動けなかったのか、断り切れなかったのか、正常性バイアスやレイプ神話が被害者認知や司法対応に及ぼす影響を検証し、警察対応の被害者への影響などを中心にレビューしています。
詳細は参考文献から元論文のご確認をお勧めします。
性犯罪に遭われた方の一日でも早い回復を祈っています。
性被害は以下の関係先に連絡するのが効果的です。
警察の性犯罪被害相談窓口 #8103
性暴力被害ワンストップ支援センター #8891
https://curetime.jp/
(Curetime)メールでの相談可能(17:00-21:00)
緊急性が高い(被害直後など)は速やかに 110番や医療機関へ相談してください。

profile-image

自分のものごとの理解のために作成しました。最新の論文情報をふまえ、分野外のことをまとめているので専門的には不足している箇所があると思いますが、踏み台としてご覧ください。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

ダウンロード

関連スライド

各ページのテキスト
1.

性暴力被害と心理学・ 犯罪学研究 論文レビューと制度の理解 2026.3.11

2.

目次(レビュー) 1. 刑法改正について 2. エントラップメント型性被害と凍り付き反応 3. レイプ神話と性犯罪 4. レイプ被害者に対する認知 5. 警察・検察に求められる望ましい対応と刑 事手続きについて 2

3.

刑法改正 プレゼンテーションのタイトル 3

4.

性犯罪にかかわる刑法 令和5年(2023年)以前 令和5年以降 強制わいせつ罪 準強制わいせつ罪 強制性交等罪 不同意わいせつ罪 不同意性交等罪 準強制性交等罪 プレゼンテーションのタイトル 4

5.

性犯罪にかかわる刑法 それまで 手段が「暴行」「脅迫」「抗拒不能」とあいまいだったため、該当性の判断が困難であった。 「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にある ことに乗じて」行うことが性犯罪の実質的な要件となった 自由刑が「懲役」から、懲役と禁錮を一本化して新設された「拘禁刑」に 不同意わいせつ罪 同意年齢が「13歳」から「16歳」に引き上げ 13歳以上16歳未満の者との性交等についても、年齢が5つ以上離れている 場合も処罰対象に含める。 被害者となりえるものは「女性だけ」だったものが「限定なし」に 不同意性交等罪 プレゼンテーションのタイトル 陰茎を肛門・口腔・膣内のいずれかに挿入する/させること →肛門膣内のいずれかに陰茎以外の体の一部もしくはものを挿入する行 為も「性交等」に含まれる 5

6.

性犯罪にかかわる刑法 不同意わいせつ罪 不同意性交等罪 ① 暴行若しくは脅迫を用いること ② 心身の障害を生じさせること ③ アルコール若しくは薬物を摂取させること ④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること ⑤ 同意しない意思を形成し、表明し又はそのいとまがないこと ⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ若しくは驚愕させること ⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること ⑧ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不 利益を憂慮させること エントラップメント(罠にかける)型とフリーズ反応の研究 プレゼンテーションのタイトル 6

7.

エントラップメント型性被害と凍り付き 反応 プレゼンテーションのタイトル 7

8.

被害の属性と加害の型 質的研究 加害者が顔見知りと答えたのは27件/35件中 不同意性交の型の中で、 エントラップメント型 16件/35件 最も典型的な性暴力プロセス Sato and Ootake. 2018 8

9.

エントラップメント型の証明 • 物理的な暴行・脅迫がなくとも、社会的・心理的な圧力で抵抗を封じるのが特徴。 そのため、性交そのものの場面だけでなく、「性交に至る以前の関係性の持ち 方」を判断基準に据えることが提唱される(佐藤・大竹 2019)。 • 日常的な上下関係の存在: 指導教員と学生、上司と部下といった、既存の力関係がどのように抵 抗を困難にさせていたかを立証. • 拒否権の欠如: 日常のコミュニケーションにおいて、被害者の意向が尊重されていたか、あるい は「嫌だ」と言える対等な関係であったかを検討. • 権威の構築: 加害者が会話の中で自らを権威付け、被害者を貶めることで、逆らえない空気(上下関係) を作り出した事実。 • 物理的・心理的な隔離: 「見慣れない車があると噂を立てられるから車庫に入れろ」といった指示や、密室、 車内などへの誘導により、物理的に逃げられない状況(死角)を作った事実 • 不意打ちによる困惑: 力関係が固定されたところで、突然性的な要求を突きつけ、被害者が驚き戸惑ってい る間に強行したという経緯 9

10.

暴力を前にしたとき、人はフリーズする 加害者の暴力に抵抗できない心的反応 心理的な解離反応による不動(周トラウマ反応;小西, 2006)と 硬直性不動状態(Tonic Immobility; TI) ;生物学的反射で議論されるが、統合されつつある(小西、2019, 法務 省, 2019)。 ・TI反応(強直性不動状態): 元来は動物学(生物学)の領域で、捕食者に襲われた動物が生き延びるために示す「擬死(死ん だふり)」という生理現象から提唱された概念。物理的な不動(physical immobility)とともに筋肉 がこわばる現象。生命に関わる強い恐怖に直面した際・の「最終的な防御手段」と定義される。 ・周トラウマ反応としての「ショック」による凍り付き 主に精神医学・臨床心理学の領域で、トラウマ的な出来事の最中や直後に生じる「解離反応」の 一端として研究されてきた。現象として「体が動かない」ことは古くから知られた。5F反応。 (横田ほか、2023) 10

11.

暴力を前にしたとき、人はフリーズする(5 F反応) イギリスの臨床心理士ロドリック“Psychological Trauma−What Every Trauma Worker Should Know”(心的外傷−全てのトラウマ・ワーカーが知るべきこと) Friend(友 好性) Fight(闘争 反応) Flight(逃走 反応) Freeze(凍 結反応) Flop(迎合 反応) 本能的なほほ えみ 「いや」と拒 否する 逃げようとす る 左3つが有効 でないとき 加害者へ迎合 し生存率を高 める 相手に友好的 な対応を求め る 裁判で十分に認知されていない; 「同意していると思った」と同意誤 認される(2018年時点) 死んだふりに より被害を最 小限にする。 田中(2018) 11

12.

暴力を前にしたとき、人はフリーズする 凍結反応(フリーズ)と強直性不動(TI) • 恐怖により身体が硬直したり、頭が真っ白になっ たりするのは生存本能による自動的な反応であり、 本人の意思では制御できないことを、専門家の意 見書等を通じて立証。 2023年以降要件 ・・・ ⑤ 同意しない意思を形成し、表明 し又はそのいとまがないこと ⑥ 予想と異なる事態に直面させて 恐怖させ若しくは驚愕させること ・・・ 迎合反応(フロップ) • 殺害やさらなる暴力を避けるために、あえて従順に 振る舞ったり犯人をなだめたりした行動は、同意で はなく「生存のための戦略(自己防衛)」であるこ とを明確にする 田中(2018)、横田ほか(2023) 12

13.

性被害における正常性バイアス 正常性バイアスとは • 安全な社会における心的エネルギーの節約機能 ? • 危機に直面した時バイアスにより不意打ちを受ける。 (c.f.東日本大震災にて津波が来ることが分かっていても 逃げず、逃げ遅れた等) • 性被害者の場合「まさか性的な下心などないだろう。考えす ぎ。自意識過剰かも。相手に失礼だわ。」というバイアスによ り逃げ遅れ、致命的な状況に陥る。 13

14.

性被害における正常性バイアス 性被害は「魂を殺される」ため、愛する家族を失った遺族の12段階悲嘆プロセス (Alfons Deeken、1986)とほぼ同じプロセスをたどる(田中、2015) このプロセスは行ったり 来たりする。 自分が性被害にあったと思い たくないため日常を演じる。 この間に証拠が消えていき、 虚偽申告ではないか疑われ たり、証拠不十分となり不起 訴となる恐れが高まる。 ショックによ る麻痺状態 孤独感と抑う つ 精神的混乱と アパシー 否認 空想形成・幻 想 あきらめ・受 容 パニック 罪意識 新しい希望 怒りと不当観 敵意と恨み 立ち直り段階 14

15.

性被害における正常性バイアス 性被害は「魂を殺される」ため、愛する家族を失った遺族の12段階悲嘆プロセス (Alfons Deeken、1986)とほぼ同じプロセスをたどる(田中、2015) エネルギー不足によりマヒ状 態になり、抵抗力が低下、抑 うつ状態になり長期化すると PTSDになる ショックによ る麻痺状態 孤独感と抑う つ 否認 空想形成・幻 想 パニック 罪意識 怒りと不当観 敵意と恨み 精神的混乱と アパシー 自分が被害にあうはずがないと いう安全神話が崩れることで、 世界が全く安全ではないという 現実に直面する。 あきらめ・受 容 これを受け入れると、落ち度が なくてもいつ被害にあうかわか らなくなる 新しい希望 「自分に落ち度があったから被 害にあったのだ」 自責の念に苦しめられる。 +レイプ神話の影響 立ち直り段階 15

16.

レイプ神話と性犯罪 プレゼンテーションのタイトル 16

17.

レイプ神話とは rape myths 大淵ほか(1985) レイプ神話と性犯罪 17

18.

レイプの責任を被害者にも強調する風潮のリスク レイピスト(加害者)の罪を軽減すること になり、弁護側の法廷戦術としてよく使わ れていた。 レイプ防止の観点からも望ましくない社会 的影響をもたらす恐れがある 1.レイプ被害者への偏見(軽率・素行 がよくない)による人権侵害と精神的治療 の妨げ(Osborne, 1982) レイプ神話とは rape myths 2.人々がレイピストに対し寛容になりレ イプが行われやすくなる可能性がある。 (Burt, 1980) レイプの合理化につながる。 大淵ほか(1985) レイプ神話と性犯罪 18

19.

仮説と方法 大学生男70名、女73名(関西12大学)に対し、レイプ神話質問(Burt,1980)を 用いてアンケートを実施 目的 1.レイプ神話は人々にどのくら い支持されているのか。 仮説1. レイプ神話は誤った信念であるから、女性は男性ほどには信 じていない。レイプ神話は女性の性行動に関するものでそれ が誤った信念であることは女性自身がよく知っているもので あろうから 2.レイプ神話と性犯罪の関係 3.上記信念形成にかかわるパー ソナリティ条件 仮説2. 生経験のあるものは無いものほどレイプ神話を信じていない というのは性経験のある者は男女ともレイプ神話が女性の芯 の性行動を表現したものではないことを知っているであろう から 19

20.

仮説と方法 レイプ神話尺度 暴力的性の容 認 女性のスキ (隙) 非強姦願望 捏造 全く反対 どちらかと いえば反対 どちらとも いえない どちらかと いえば賛成 全く賛成 強姦事件の何%が捏造だと思 うか 1点 2点 3点 4点 5点 0%, 25%, 50%, 75%, 100% 支持するとみなす 20

21.

仮説と方法 経験変数 パーソナリティ変数 全くなかった(1点)~毎日のように あった(5点) 家庭内暴力被 害 性的暴力メ ディアとの接 触 両親間暴力の 目撃 性的ステレオ タイプ 性に関する保 守主義 女性に対する 敵意 性的自己評価 21

22.

パーソナリティ変数 性的ステレオ タイプ 行動や態度への男性・女性 らしさにこだわりがあるか (賛成~反対;5段階) 女性に対する 女性に対して敵意や不 信感をどれぐらい抱いてい 敵意 るか(5段階) ・隷属性や打算性など女 性に対する侮辱的な見 方を調べる 性に関する保 守主義 性行為・相手・場所などふさ わしい範囲をどのぐらい限定す るか(賛成~反対;5段 階) 性的場面や体位性場面で 性的自己評価 の自分にどのぐらい肯定的 なイメージを持つか 3段階評価 22

23.

レイプ神話の支持率 1.レイプ神話尺度分析結果

24.

項目 1.荒々しく扱われることは、多くの女性にとって性的な刺激である。 暴力的性の容 認 非強姦願望 女性のスキ (隙) 捏造 男性 (%) 女性 (%) 8.5 9.6 2.多くの場合女性はふしだらに思われたくないのでセックスを 望まないふりをするが、本当は男性に強要されるのを望んでいる 40.0 24.7 3.不感症の女性を燃え上がらせる方法は暴力的に犯すことであ る。 10.0 2.7 1. 最初のデートで男性の家やアパートに行く女性はセックスの意 思があるとみてよい 54.1 31.2 2.健康な女性が本気で抵抗すれば、強姦されるはずがない 14.3 13.7 3.多くの女性は無意識に強姦されることを望んでいる。無意識 にその状態を自ら作っている 10.0 8.2 9.6 1.特定の外観の女性が強姦されやすいというのは間違いであり、 15.7 どんな女性にもその危険がある(逆) 強姦事件の約3割が捏造ではないかと考えている レイプに対して被害女性の責任を問題にする姿勢がかなりある 61.4 63.0 2.ノーブラなど男性を性的に刺激する服装の女性は自ら災難を 招くようなものである (1985年時点) 捏造度;仕返しのために強姦されたと嘘をついた 27.5 26.4 捏造度;妊娠に気づき、自分の評判を落とさないために強姦され たと嘘をついた 34.6 26.4

25.

仮説の検証 仮説1. レイプ神話は誤った信念であるから、女性は男性ほどには信 じていない。レイプ神話は女性の性行動に関するものでそれ が誤った信念であることは女性自身がよく知っているもので あろうから 支持された ただし、性経験のある女性の場合、 強姦願望は比較的高い支持;項目1「男性の家 を訪ねる女性」でハイスコア;強姦願望とは異なる 女性のスキと捏造には影響なかった 非強姦願望尺度得点(ANOVA) 25

26.

レイプ神話と性犯罪 仮説3.レイピストはレイプ神話の信者か

27.

成人性犯罪者19名(統制群1) vs.一般性犯 罪者56名(統制群2)vs.一般大学生(統制群 3,4) 輪姦犯 7名 財産犯 22名 強制わいせつ 1名 覚せい剤事犯 18名 過去に強制わいせつ罪で検挙歴あり 2名 その他 16名

28.

レイプ神話尺度間の4群の比較 プレゼンテーションのタイトル 28

29.

仮説3. レイピストはレイプ神話の信者であることを支持 潜在的被強姦 願望の支持率 は性犯罪者が 最も多い プレゼンテーションのタイトル 29

30.

潜在的被強姦願望尺度とほかの変数との 相関(ほか群と性犯罪者の特徴) 経験変数 パーソナリティ変数 両親間暴力の 目撃 性的ステレオ タイプ 家庭内暴力被 害 性に関する保 守主義 保守的でない 優位に高い 性的暴力メ ディアとの接 触 女性に対する 敵意 大学生に比べて高得点 犯罪者内では有意な差はなし 性的自己評価 男性群の中で 最も低い 30

31.

レイプ神話と性犯罪 1. レイプ神話がレイプ行動を喚起する動機付け機能を持つ可能性がある 2. 認知的中和理論(レイプの合理化) 3. 犯行時に被害女性の心理を誤って知覚し、レイプ行動を促す一因となる可能性が ある(レイピストは自分の性的強制が被害女性から受け入れられると思った) ・身近な他者との情報共有を通じて女性の性的欲求を誤認(湯川・泊、 1999) 4. 女性に対する攻撃としてのレイプ;レイプ神話と女性に対する敵意に強い相関あり 31

32.

性犯罪者の心理学 性に対して開放的な態度を持つが 男性的性に無力感を感じており、 性役割にかかわる劣等感を克服するために暴 力を用いて女性を性的に支配する行動を行う。 レイプ神話は犯罪者の中で合理化される。 32

33.

レイプ被害者に対する認知 レイプ神話の根深さ

34.

被害者バッシングの内面化 • 社会に流布する「派手な格好をしていたから」「男の家に一人で行ったから自業自得 だ」といったレイプ神話に基づいた言説(被害者非難)を、被害者自身が内面化す る(大淵ほか、1985;小俣、2013) 。 • 例1;ニュース等で「パパ活」や「いただき女子」といった言葉を目にすることで、自分も同様の「売り 物」や「同意した存在」として扱われたと思い込み、「自分は穢れてしまった」という羞恥心や絶望感を 強める。 • 例2: 加害者が金銭を無理やり渡す行為は、被害者に「お金を受け取ったのだから売春だと思われ る」「警察に信じてもらえない」という恐怖と自責を植え付け、被害申告を断念させる道具となる 34

35.

二次被害 • 警察や裁判所における言動が、被害者の自責感をさらに補強する。 • レイプ神話は、「被害者は死に物狂いで抵抗し、大声で助けを求めるはずだ」という誤っ た被害者像を社会に植え付けている。 • 非難的な質問: 「なぜ抵抗しなかったのか」「あなたにも落ち度があるのではないか」 • その意図がなかったとしても、被害者に「自分が悪かった」という認識を確定させ、心理的 回復を著しく妨げる • 信用性の否定: 加害側が「抵抗がなかった=同意があった」というレイプ神話を法廷戦 術として利用することで、被害者は自分の主観的な苦痛が否定されたと感じ、孤立感 を深める。 35

36.

• レイプ神話は、被害者が「自分を責める ことでしか壊れた世界を理解できない」と いう過酷な心理状況を作り出す。 レイプ神話の 終焉のために • これを取り除くには、5F反応や正常性バ イアスといった科学的知見(新たな経験 則)を社会や司法が共有し、「抵抗でき ないのは標準的な反応であり、被害者に 落ち度はない」という事実を「平準化」し て伝えていくことが不可欠。 36

37.

警察・検察に求められる対応と刑事 手続き 適切な配慮と対応がもたらす捜査への影響

38.

被害の相談・届出 (電話・対面) 捜査面接(事情徴収)対面 被害相談の流れ (警察相談) 立証と信用性の評価 被害者の供述の信用性が問われる 検察・司法判断 プレゼンテーションのタイトル 38

39.

適切な配慮・対応の捜査へ の影響 適正態度の認知が高い被害者・警察 ↓ (警察)必要な捜査情報の獲得 + (被害者)救済感 + 田中(2018)、横田ほか(2021)、平間ほか(2026) 39

40.

適切な配慮・対応の捜査へ の影響 被害者が「尊重されている」「公平に扱われている」と感じ る「手続き的公正」を重視する ①移行説明を行う。 信用性を確認するための追及的な質問の際に「裁判に なった場合に弁護人から反対尋問される可能性が高い 事項について、あらかじめ質問」すると伝える。 被害者が「疑われている」と誤解することを避けられる 田中(2018)、横田ほか(2021)、平間ほか(2026) 40

41.

適切な配慮・対応の捜査へ の影響 被害者が「尊重されている」「公平に扱われている」と感じ る「手続き的公正」を重視する ②聴取回数を減らす。 繰り返し同じ話をさせることは再トラウマ化を招き、供述の 変遷(汚染)の原因にもなるため、関係機関が連携し、 できる限り回数を削減する努力が求めれる。 田中(2018)、横田ほか(2021)、平間ほか(2026) 41

42.

適切な配慮・対応の捜査へ の影響 被害者が「尊重されている」「公平に扱われている」と感じ る「手続き的公正」を重視する ③被害者の言葉を尊重する 捜査官の言葉で不適切に要約したり「言い換え」をした りせず、被害者が使った表現をそのまま調書に記載する。 供述の信用性を守り、被害者の自尊心を保つことに繋 がる。 田中(2018)、横田ほか(2021)、平間ほか(2026) 42

43.

警察・検察に求められる取り組み 明らかとすべきこと 取調べや供述調書での質問 ×「なぜ抵抗しなかったか」 〇「もし抵抗していたらどうなると思っ たか」 外的要因 • 人気がない場所だった • 体格差 • 逃げ場の有無 主観的恐怖 • 「殺されると思った」 • 「もっとひどい目に合うと思った」 社会的制約 • 人間関係における社会規範 • 将来のキャリアや現在の職への影響 43

44.

• 体調への気遣い: 「お体、大丈夫ですか?」といった些細な気遣い。 肯定的なコ ミュニケーション • じっくり話を聴く姿勢: 話の腰を折らず、最後まで聴き遂げること。 • 責任の所在の明示: 「被害に遭ったのはあなたのせいではない」と言葉 にして伝えること。 田中(2018)、横田ほか(2021)、平間ほか(2026) 44

45.

以下の関係先に連絡するのが効果的です。 • 警察の性犯罪被害相談窓口 #8103 • 性暴力被害ワンストップ支援センター #8891 性被害の相 談先 • https://curetime.jp/ (Curetime)メールでの相談可能(17: 00-21:00) • 緊急性が高い(被害直後など)は速やかに 110番や医療機関へ相談してください。 • それ以外の相談は #9110 いずれも匿名性は守られます。 45

46.

参考文献 • 平間一樹・横田賀英子・和智妙子・渡邉和美・古橋健悟・大 • 塚祐輔・島田貴仁 (2026) 「警察官の性犯罪被害者に対する 態度が捜査面接に与える効果」 『心理学研究』 小俣謙二 (2013) 「レイプ被害者に対する大学生の態度を規 定する要因―性役割観とレイプに対する認知―」 『犯罪心理 学研究』51(1), 13-27 • 齋藤梓・大竹裕子 (2019) 「当事者にとっての性交『同意』 • とは―性暴力被害当事者の視点から望まない性交が発生する プロセスをとらえる―」 『年報 公共政策学』13, 185-205 小西聖子 (2019) 「刑法改正の影響とその評価、性犯罪被害 者の鑑定における課題等」 (武蔵野大学教授による講演資 料・スライド) • 田中嘉寿子 (2018) 「改正刑法の性犯罪の暴行・脅迫要件の • 認定と被害者の『5F反応』」 (検察官・元甲南大学法科 大学院教授による論考) 横田賀英子・渡邉和美・和智妙子・大塚祐輔・平間一樹・島 田貴仁 (2021) 「警察職員の言動が性犯罪被害者の心情に与 える影響」 『科学警察研究所報告』70(1・2), 31-44 • 田中嘉寿子 (2015) 「性犯罪の被害者の供述の信用性に関す • るあるべき経験則について―防災心理学の知見の応用:正常 性バイアスと凍り付き症候群―」 『甲南法務研究』11, 57-70 法務省 (2019) 「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査 ワーキンググループ(第8回)」 議事録(小西聖子教授へ のヒアリング) • 横田賀英子・渡邉和美・和智妙子・大塚祐輔・平間一樹・島 • 田貴仁 (2023) 「性犯罪被害者の被害時の心的反応に関する 分析」 『心理学研究』94(1), 1-11 湯川進太郎・泊真児 (1999) 「性的情報接触と性犯罪行為可 能性:性犯罪神話を媒介として」 『犯罪心理学研究』37(2), 15-28c • 大淵憲一・石毛博・山入端津由・井上和子 (1985) 「レイプ 神話と性犯罪」 『犯罪心理学研究』23(2), 1-12