痩せた IT コミュニティと引き締まった IT コミュニティの違い

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December 09, 23

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2023/12/09(土) 合同勉強会 in 大都会岡山 -2023 Winter- で発表した資料
https://gbdaitokai.connpass.com/event/299345/

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痩せた IT コミュニティと 引き締まった IT コミュニティの違い 減量によって IT コミュニティの継続を試みる 23/12/09 #gbdaitokai / Shota Nishihara @tomio2480

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$ whoami ❖ Shota Nishihara @tomio2480 ❖ サイボウズ株式会社 開発本部 PeopleExperienceチーム ✓ ✓ ✓ ✓ 高校教諭(電)→セキュリティ人材育成→現職+専門学校講師(AI:Python基礎)→今 開発本部,運用本部,サイボウズ・ラボの人の発信,IT コミュニティ出没 流氷交差点よろしく https://soundcloud.com/cybozutech/sets/drifticecrossing 情報処理学会 会誌編集委員でもある https://www.ipsj.or.jp/magazine/magazine.html ❖ 北海道旭川市からフルリモート ✓ 旭川 18 年→北見 4 年→富良野 5 年→(東京)小平 2 年半→今:旭川 ❖ ゆるい勉強会(旭川),FuraIT(富良野),Co-KoNPIle(小平) に大体いる 2

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【宣伝】 PHP Conference Hokkaido 2024 チケット販売中! ❖ 1 月の北海道旅行いかがでしょうか ❖ イベント間の時期で何もない代わりに空いているはず ✓ 1/11(木) 全然野菜 ■ https://connpass.com/event/298365/ ✓ 1/12(金) 前夜祭,1/13(土) 本編 ■ https://phpcon.hokkaido.jp/ ✓ 1/14(日) PHP Lovers + OSS Gate ■ https://php-lovers-meetup.connpass.com/event/299864/ 3

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岡山とわたし (1) ❖ 第二弾 地方IT勉強会 Advent Calendar 2019 ✓ https://adventar.org/calendars/4620 ❖ 4

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岡山とわたし (2) ❖ 座駆動LT大会オンライン20200725 ✓ https://gbdaitokai.connpass.com/event/182090/ ❖ 5

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旭川発羽田蒲田経由岡山行き三宮伊丹羽田経由旭川帰り ❖ 旭川空港からは基本羽田のみ 羽田を経由するので勉強会に行ける ❖ PHP Lovers Meetup vol.2 ~ 2023忘年会 https://php-lovers-meetup.connpass.com /event/299073/ ❖ 今年を振り返ろう!LT大会 https://kobe-sannomiya-dev.connpass.co m/event/302551/ 6

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もくじ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ここでいう「増量」「減量」 ありがちな増量 IT 勉強会いろいろ経験談 機能と体裁を区別しよう 何を求めるかによって何が必要かわかる 自分たちの会に合った減量を見極める 7

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ここでいう「増量」「減量」 8

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ここでいう「増量」「減量」 ❖ IT 勉強会コミュニティのやることの増減 ✓ connpass を立てる ✓ 登壇者を集める ✓ テーマを決める やればやるほどよい? コンパクトに減らすとよい? ✓ connpass を更新する ✓ 懇親会を準備する ✓ オンライン配信,オフライン会場を準備する ✓ ハッシュタグをたまに追ってコメント返し ✓ 宣伝 + 報告ブログを書く ……etc 9

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ありがちな増量 10

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ありがちな増量 ❖ IT 勉強会コミュニティのツラい忙しさが高まる意見 ✓ 〇〇をやる “べき” ■ ✓ 〇〇が “あって” 困ることはない ■ ✓ 〇〇をやると “もっと” よくなる ■ 一般にいいことっぽいし 反対もしにくいけど本当 にいいのか????? 11

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ありがちな増量 ❖ IT 勉強会コミュニティのツラい忙しさが高まる意見 ✓ 〇〇をやる “べき” ■ なくなっても世の中が壊れない IT 勉強会コミュニティにて ”べき論”を出していいのは,公序良俗に反する場合だけ ✓ 〇〇が “あって” 困ることはない ■ なくても困ってなくない? 一般にいいことっぽいし ✓ 〇〇をやると “もっと” よくなる 反対もしにくいけど本当 ■ 今の何が悪い? にいいのか????? 12

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IT 勉強会いろいろ経験談 13

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IT 勉強会いろいろ経験談 でかカンファレンスと法人を除き,主催に限って書くと...... ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ Ohotech(2011-2014 / 2019 解散) ゆるい勉強会(2011-) FuraIT(2014-) 4 つのコミュニティに Co-KoNPILe(2019-) 着目して とみおハウス(2022-) それぞれまあまあ毛色が違うが,そこはそこなりに続いている 14

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ゆるい勉強会(2011-) : 旭川市 https://asahikawa.connpass.com/ ❖ 全員が守るべきルール「労力をかけない」 ❖ やりたい宣言した人がやりたいことをできることが大事 ❖ 勉強会をやりたくなったら会場を取る ✓ やりたい人がいない勉強会......????????? ❖ 他に強要するのではなく,必要だと思った人が自分でやる ✓ 法人格,お金,物を持たない.みんなの私財を持ち寄る. 15

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FuraIT(2014-) : 富良野市 https://furait.connpass.com/ ❖ ゆるい勉強会と同じコンセプトでスタートしたが,今は違う ❖ IT 以外も含めてエンジニア職がほぼゼロ,非 IT 系職で構成される ❖ みんなが自分のペースで進んで学ぶ ✓ 軽く耳に入るだけでもいいとして,小さい子たちがそのへんで 遊びまくっててもいい(静かにしてもらうことはある ❖ それぞれのペースで進んだこと自体を讃え合う ✓ オンライン,オフラインのもくもく会と,ハイブリッド発表会 16

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Co-KoNPILe(2019-) : 東京都小平市 https://cokonpile.connpass.com/ ❖ 内容よりコミュニケーション頻度を重視したコミュニティ ❖ 茶の間的空間を意識した活動が主軸 ✓ たまにオフラインの発表会もあるが,真髄は雑談時間にある ❖ 隔週金曜のオンライン会があるが,あるだけ ✓ 集合時間すら守られないが,何も問題は起きていない ❖ 場末のスナック的運営による「行けば話せる」の安心感 ✓ 話の内容が OSS や組織開発の話になっても嫌がられない場 17

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とみおハウス(2022-) : 完全オンライン https://blogreading.connpass.com/ https://forceoutput.connpass.com/ ❖ 個人的にブログを読んだり書いたりするのを一人でやらない会 ❖ 別に一人でもできるものを機械的に時間を用意してみんなでやる ✓ 同期的にできないときに,非同期でやるという文化が芽生えた ❖ ノルマもないし,出席義務もない ✓ 気分が乗ったときや,現実逃避したいときにくるパターン多し ❖ お互いに見える状況なので「パノプティコン方式」と呼んでいる 18

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自分が主催する勉強会の核 ❖ ゆるい勉強会(2011-) ✓ 労力をかけずに技術話で交流をする ❖ FuraIT(2014-) ✓ 自分のペースで技術に詳しくなる ❖ Co-KoNPILe(2019-) ✓ 情報電気機械系を軸に工学系の話でわいわいできる ❖ とみおハウス(2022-) ✓ 仕組みで固めて「あとはやるだけ」を本当にやる 19

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機能と体裁を区別しよう 20

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機能と体裁を区別しよう 何かをやり始めてしまうのは場の満足度を高めたいから ❖ その要因は「機能」と「体裁」に分けられる ✓ ここで「治安」は取り扱いません ■ 治安が悪いとそれどころではないので ❖ 機能 : 勉強として,情報の流通に寄与する仕組みや取り組み ❖ 体裁 : 会として,空間や時間の満足度を高める仕組みや取り組み 自分はかなり体裁を捨てがちです.ポジショントークが続きます...... 21

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何を捨てると自分たちは痩せてしまうのか 22

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自分が主催する勉強会の核 再掲 ❖ ゆるい勉強会(2011-) ✓ 労力をかけずに技術話で交流をする ❖ FuraIT(2014-) ✓ 自分のペースで技術に詳しくなる ❖ Co-KoNPILe(2019-) ✓ 情報電気機械系を軸に工学系の話でわいわいできる ❖ とみおハウス(2022-) ✓ 仕組みで固めて「あとはやるだけ」を本当にやる 23

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何を捨てると自分たちは痩せてしまうのか ❖ ゆるい勉強会(2011-) ✓ 技術話で交流するために,隙間時間を作る,労力をかけない ❖ FuraIT(2014-) ✓ 各自のペースを守るために,急かさない,難しくしすぎない ❖ Co-KoNPILe(2019-) ✓ 工学系の話でわいわいするために,わいわい時間を確保する ❖ とみおハウス(2022-) ✓ 本当にやるために,やらない理由になるものを作らない 24

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何を捨てると自分たちは痩せてしまうのか ❖ ゆるい勉強会(2011-) ✓ 技術話で交流するために,隙間時間を作る,労力をかけない ❖ FuraIT(2014-) ✓ 各自のペースを守るために,急かさない,難しくしすぎない ❖ Co-KoNPILe(2019-) ✓ 工学系の話でわいわいするために,わいわい時間を確保する ❖ とみおハウス(2022-) ✓ 本当にやるために,やらない理由になるものを作らない お客さんを作らない学びの場だから体裁を捨てやすい 25

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「学びの場だから体裁を捨てやすい」の補足 自分個人の趣向として情報量に重きを置きがち 参考資料 1 ) ❖ Commons, Community, Communication https://www.docswell.com/s/tomio2480/5W1W14-hokkaidoLT-20230415 参考資料 2 ) ❖ コモンズの悲劇から IT コミュニティ的関係人口を理解する https://www.docswell.com/s/tomio2480/5XYWD7-cokonpile-77 26

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いくとこまで行くと会の体裁はいらない 丁寧な会の逆を行く例(それぞれ別の会からとってきた例) ❖ ブログや SNS の公式投稿は何もしない ✓ 各個の取り組みそのものが報告である ❖ 細かいタイムキープはしない ✓ 一番学びの深い時間の使い方をするので必ずズレる ✓ タイムキープ不要な余裕のあるスケジュールを立てておく ❖ アンケートはとらない ✓ 我々は「もてなす側」と「もてなされる側」ではない .....etc 27

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形式をうまく組み合わせて学びを満足させる ❖ やり方それぞれに優れていると感じるポイントがある ✓ 発表形式 : 整理整頓された情報のインプットに集中できる ✓ 座談会 : 参加者それぞれのかゆいところに手が届く ✓ もくもく会 : 一人でいるときとは違う進捗を生み出せる ❖ やり方それぞれに難しさを感じるポイントもある ✓ 発表形式 : UDP のつらさがある ✓ 座談会 : 共通話題を探す手間がある ✓ もくもく会 : 情報流通量が小さい 28

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自分らの学びを優先すると広報は薄まる ❖ 会があるだけで学びの空間が一つ増える ✓ 会を消すことは学びの空間を一つ消すことになる ✓ とにかく小さくても会があればいい ❖ 人がたくさん来ないといけない理由はない ✓ 人が来ないと学びが深まらないなんてことはない ✓ 少ない人数で工夫していくのも一つの学び ✓ 外の力によって変わることはあるけれど頼りきりは危ない ■ 人が増えると嬉しいのはそれはそう 29

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じゃあどうやって人を集める? 広報のためのアウトプットがないだけでアウトプット自体はある ❖ 学びの成果としてのアウトプットを文化にする ✓ SNS やブログへの投稿,スライドのアップロードなど ✓ 見つけてもらいやすくする必要はない ✓ でも見つけられる状態は作る ❖ Slack や Discord の流量はたまに気にしておく ✓ 話できる Slack あるよ,みたいな口コミがしやすくなる 30

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自分たちの会に合った減量を見極めよう 31

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自分たちの会に合った減量を見極めよう みんながみんな,体裁を捨てるのが正解ではない ❖ しくじると自分たちの軸や売りを失う恐れがある ✓ LT は時間の厳密性が楽しみを生み出している ✓ ワークショップは集団が時間通り集まらないと始められない ❖ やることを無尽蔵に増やすと不健康になる ✓ かといって価値や制約を無差別に捨てると痩せる 32

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自分たちの会に合った減量を見極めよう みんながみんな,体裁を捨てるのが正解ではない ❖ しくじると自分たちの軸や売りを失う恐れがある ✓ LT は時間の厳密性が楽しみを生み出している ✓ ワークショップは集団が時間通り集まらないと始められない ❖ やることを無尽蔵に増やすと不健康になる ✓ かといって価値や制約を無差別に捨てると痩せる 正しくやることを減量して引き締まった IT 勉強会コミュニティを作ろう!!! 33

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痩せた IT コミュニティと 引き締まった IT コミュニティの違い 減量によって IT コミュニティの継続を試みる 23/12/09 #gbdaitokai / Shota Nishihara @tomio2480