タスク作業中の周辺視野への視覚刺激提示が集中に及ぼす影響の調査

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July 24, 18

スライド概要

2018年5月21日 HCS研究会 発表スライド

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

タスク作業中 の 周辺視野 への 視覚刺激 提示が 集中 に 及ぼす影響 の 調査 高橋 拓(明治大学 総合数理学部 4年) 福地 翼 山浦 祐明 松井 啓司 中村 聡史 明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科

2.

背景 集中をすることは重要!

3.

背景 集中をすることは重要! 自力での集中促進は困難…

4.

背景 集中をすることは重要! 自力での集中促進は困難… 外部刺激 から 集中 をコントロール! ?

5.

関連研究 | 嗅覚・聴覚刺激 嗅覚刺激で 聴覚刺激で [阪野 2008] [阿部 2010] 集中を促進 集中を促進

6.

関連研究 | 嗅覚・聴覚刺激 嗅覚刺激で 集中を促進 聴覚刺激で 集中を促進 環境に左右される 個人への提示が困難 [阪野 2008] [阿部 2010]

7.

関連研究 | 視覚刺激 視覚刺激で 集中を促進 [橘 2012]

8.

関連研究 | 視覚刺激 視覚刺激で 集中を促進 汎用性が低い 認知すべき情報が多い [橘 2012]

9.

視覚刺激で集中を操作 より少ない視覚刺激で 無意識的に 集中操作!

10.

視野特性 中心視野 周辺視野

11.

視野特性 | 中心視野 中心視野 対象をはっきりと知覚 色の識別が得意

12.

視野特性 | 周辺視野 周辺視野 対象をぼんやりと知覚 光・動きに敏感

13.

視野特性 | 周辺視野 周辺視野 無意識の操作が可能 対象をぼんやりと知覚 光・動きに敏感

14.

視野特性 | 有効視野 有効視野 周辺視野に 含まれる範囲 比較的解像度が高い 心理要因によって変化 [三浦 1998]

15.

視野特性 | 有効視野 有効視野 周辺視野に 含まれる範囲 比較的解像度が高い 複雑な課題時に狭窄 [三浦 1998]

16.

視野特性 | 図 非集中時 集中時の視界 図

17.

視野特性 | 集中時の視界 図 図 非集中時 集中時

18.

視野特性 | 図 集中時の視界 無意識の知覚 図 有効視野狭窄 非集中時 集中時

19.

| 妨害刺激の減衰 仮説 妨害刺激の図 妨害刺激 減衰した図

20.

| 妨害刺激の減衰 仮説 妨害刺激の図 妨害刺激 減衰した図

21.

| 妨害刺激の減衰 仮説 妨害刺激の図 減衰した図 妨害刺激 刺激を減らす

22.

| 妨害刺激の減衰 仮説 妨害刺激の図 減衰した図 妨害刺激 刺激を減らす

23.

| 妨害刺激の減衰 仮説 妨害刺激の図 減衰した図 妨害刺激 刺激を減らす

24.

| 妨害刺激の減衰 仮説 妨害刺激の図 減衰した図 妨害刺激 刺激を減らす

25.

| 妨害刺激の減衰 仮説 集中時の感覚を再現 減衰した図 妨害刺激の図 実際に集中する? 妨害刺激 刺激無し

26.

仮説 | まとめ ・集中をする =周辺視野で情報を受け取りにくくなる ・妨害刺激を提示する →刺激量を減らしていく →周辺視野で受け取る情報量が下がる =集中する?

27.

前回の実験(HCI175) • 本仮説を検証するための実験を行った • タスク作業中の周辺視野に妨害刺激を提示、 及び減衰させることによるタスク達成度と 集中の変化を計測

28.

前回の実験(HCI175) • 本仮説を検証するための実験を行った • タスク作業中の周辺視野に妨害刺激を提示、 及び減衰させることによるタスク達成度と 集中の変化を計測 妨害無し 減衰無し 減衰有り

29.

前回の実験 | 実験設計

30.

集中の測定

31.

JINS MEME 瞬目回数・瞬目の強さ・姿勢 から 集中度を測定するデバイス

32.

前回のタスク 間違い探し 100マスタスク

33.

前回のタスク | 間違い探し http://www.saizeriya.co.jp/entertainment/oil.html

34.

前回のタスク | 間違い探し http://www.saizeriya.co.jp/entertainment/oil_answer.html

35.

前回のタスク | 100マスタスク

36.

前回の刺激

37.

前回の刺激 | 波紋刺激 • 周辺視野の特性から輝度値と動きの要素 を取り入れた • 刺激の変化量を多くするために輝度値を 最大値に設定し、より情報量の多い妨害 刺激を作成

38.

前回の実験 | 実験設計

39.

前回の実験結果 • タスクの達成度に刺激による変化は無し • 集中は減衰無し=減衰有り>刺激無し 仮説の立証には至らなかった

40.

前回の実験結果 • タスクの達成度に刺激による変化は無し タスクと刺激が仮説の検証に • 集中は減衰無し=減衰有り>刺激無し 適していなかった? 仮説の立証には至らなかった

41.

目的 タスク・妨害刺激を変更し、 仮説の再検証を行う

42.

前回のタスクの問題点

43.

前回のタスクの問題点 思考力だけでなく 瞬発力なども求められる 得手、不得手による個人差が大きい

44.

今回のタスク • タスク自体に集中に影響を及ぼす要素が あってはいけない • 正誤のあるもの • 個人差が比較的出にくいもの

45.

今回のタスク 2桁(10~99)×1桁(2~9)の 計算タスクをマウス操作で30問

46.

今回のタスク | 計算タスク

47.

前回の刺激の問題点 減衰時、非減衰時で変化なし 減衰による感覚変化が少なかった? より妨害可能な刺激をプレ実験で選定、 それを減衰させていく

48.

プレ実験 | 妨害刺激の選定 6種類の刺激を単純に提示する 妨害無し ノイズ 波紋 波紋速 波紋遅 波紋ランダム

49.

プレ実験結果 波紋ランダム 波紋速 最もアンケート結果の悪かった 2種類の刺激を選定

50.

今回の実験 一定 ランダム 減衰型一定 減衰型ランダム 妨害無し

51.

実験システム

52.

実験システム タスク 視覚刺激

53.

実験の流れ

54.

実験の流れ 30cm

55.

実験の流れ JINS MEME を使用 瞬目回数・瞬目の強さ・姿勢 から 集中%を算出 https://jins-meme.com/ja/

56.

実験の流れ ヘッドフォンによって刺激遮断

57.

実験の流れ マウス操作によって回答!

58.

実験の流れ • アンケート実施 →主観集中度、主観疲労度を集計 • 実験順序を調整・慣れのタームを追加 →慣れによる影響を考慮 • 実験協力者は13人

59.

結果 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

60.

結果 | タイム 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

61.

結果 | ミス 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

62.

結果 | 集中% 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

63.

結果 | 主観集中度 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

64.

結果 | 集中%と主観集中度 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

65.

結果 | 主観疲労度 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

66.

結果 | 主観疲労度における有意差 妨害無し タイム(秒) 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 165.6 164.8 166.9 167.2 167.1 ミス(回) 2.2 2.1 1.9 1.5 2.1 集中(%) 29.8 47.0 42.2 43.3 42.8 主観集中度 4.0 3.1 3.7 2.8 3.5 主観疲労度 1.4 2.1 1.7 2.3 1.9

67.

結果 タスク達成度 刺激による変化無し 集中 集中%は妨害無しよりは高い、 しかし持続型妨害との差が無い 主観集中度は低下

68.

結果 タスク達成度 刺激による変化無し 集中 集中%は妨害無しよりは高い、 しかし持続型妨害との差が無い 主観集中度は低下 仮説の立証には至らなかった

69.

考察 ① 何故集中%の変化と主観集中度の変化 が一致しなかったのか ② 何故タスクパフォーマンスが向上しな かったのか

70.

考察① ① 何故集中%の変化と主観集中度の変化 が一致しなかったのか ② 何故タスクパフォーマンスが向上しな かったのか

71.

考察① | 集中%と主観指標について 集中%が上がると、 主観集中度ではなく主観疲労度が上がった • 疲労感やストレスを検出してしまったの では • 刺激が強すぎて減衰による感覚変化を打 ち消してしまった

72.

考察① | 集中%と主観指標について 集中%が上がると、 主観集中度ではなく主観疲労度が上がった • 疲労感やストレスを検出してしまったの では • 刺激が強すぎて減衰による感覚変化を打 ち消してしまった

73.

考察② ① 何故集中%の変化と主観集中度の変化 が一致しなかったのか ② 何故タスクパフォーマンスが向上しな かったのか

74.

考察② | タスクパフォーマンスについて • 難易度がランダムすぎて公正な比較が できなかった • タスクが短すぎたため、減衰による影響 が出る前に終わってしまった

75.

考察② | タスクパフォーマンスについて タイムやミス数に有意な差は無かった 疲労感の増加はあれど悪影響はない?

76.

追実験 • 13人中7人にタスクパフォーマンスが全て 妨害無しを上回る集中に効果的な刺激が あった これを有効刺激とする 有効刺激のある人・無い人 それぞれ2人に再実験してもらった

77.

追実験結果 | 1回目 タイム(秒) ミス数 2回目 ユーザD タイム(秒) 妨害無し 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 141.9 154.7 134.6 138.3 131.9 3 2 3 0 2 妨害無し 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 130.5 134.2 129.3 148.3 116 ミス数 4 2 1 1 0 1回目 妨害無し タイム(秒) ミス数 2回目 ユーザB 有効刺激を持っていた人 タイム(秒) ミス数 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 143.8 152.2 148.7 142.1 168.5 1 1 1 0 2 妨害無し 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 170.2 150 149.2 146.3 153.6 3 2 2 2 0

78.

追実験結果 | 1回目 タイム(秒) ミス数 2回目 有効刺激を持っていた人 妨害無し 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 141.9 154.7 134.6 138.3 131.9 3 2 3 0 2 妨害無し 一定 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 2回とも同じ有効刺激を持っていた タイム(秒) 130.5 134.2 129.3 148.3 ユーザD ミス数 4 1回目 妨害無し 2 一定 1 1 ユーザB タイム(秒) ミス数 妨害無し 0 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム タイム(秒) 143.8 152.2 148.7 142.1 有効刺激を持たない人は2回目も ミス数 1 1 1 0 持たなかった 2回目 116 一定 168.5 2 減衰型一定 ランダム 減衰型ランダム 170.2 150 149.2 146.3 153.6 3 2 2 2 0

79.

追実験考察 • 刺激提示による影響を受けやすい人と、 そうでない人がいる可能性 • 個人によって効果のある視覚刺激が異なる 可能性 単純な刺激提示による集中操作の観点 個人ごとの結果に着目した実験設計

80.

まとめ • 刺激量を多く設定しすぎた為に、疲労感 が減衰による感覚変化を上回ってしまい 仮説の検証には至らなかった • 視覚刺激の影響には個人差がある可能性 が示唆された

81.

今後の展望 ・より情報の少ない刺激での調査 ・集中の指標、タスクを変更し実験 ・システム化

82.

まとめ • 刺激量を多く設定しすぎた為に、疲労感 が減衰による感覚変化を上回ってしまい 仮説の検証には至らなかった • 視覚刺激の影響には個人差がある可能性 が示唆された