周辺視野に対するぼかしエフェクトが作業時の集中力に及ぼす影響の調査

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July 25, 19

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

周辺視野に対するぼかしエフェクトが 作業時の集中力に及ぼす影響の調査 山浦祐明 中村聡史 明治大学

2.

背景 集中は課題や仕事をうまくこなすための 重要な要因の1つ 長時間維持することは難しい

3.

集中するための方法例 ポモドーロ法 ‐タスクを25分間続けた後に5分間休憩 ‐上記のサイクルを繰り返し行い集中を維持 ‐個人の意思に大きく依存 作業用BGM ‐作業中に好きな音楽を聴いてやる気向上 ‐効果があるかは定かでない ‐むしろ逆効果であるという報告も[Gianna 2007]

4.

集中するための方法例 ポモドーロ法 ‐タスクを25分間続けた後に5分間休憩 ‐上記のサイクルを繰り返し行い集中を維持 ‐個人の意思に大きく依存 方法があまり確立されていない 作業用BGM ‐作業中に好きな音楽を聴いてやる気向上 ‐効果があるかは定かでない ‐むしろ逆効果であるという報告も

5.

人の視野特性 中心視野 対象をはっきりと知覚 周辺視野 周囲をぼんやりと知覚 周辺視野には有効視野と 呼ばれる領域が存在

6.

有効視野とは? 有効視野 ‐周辺視野に含まれる範囲 ‐認知に関与 ‐集中すると狭窄する [三浦 1998]

7.

有効視野とは? 有効視野 ‐周辺視野に含まれる範囲 ‐認知に関与 ‐集中すると狭窄する [三浦 1998] 有効視野が狭窄している感覚を得ると 集中が促進されるのでは?

8.

過去の研究について 視線に追随するぼかしエフェクトが ビデオゲームの体験に及ぼす影響の調査[山浦 2019] 注視している箇所を鮮明に,そこから離れるにつれて不鮮明に

9.

過去の研究について 視線に追随するぼかしエフェクトが ビデオゲームの体験に及ぼす影響の調査[山浦 2019] 注視している箇所を鮮明に,そこから離れるにつれて不鮮明に ‐没入感や臨場感などの印象が増幅 ぼかしエフェクトにより ‐見やすさなどの生理的印象が低減 ‐集中しやすさが向上

10.

過去の研究について 視線に追随するぼかしエフェクトが ビデオゲームの体験に及ぼす影響の調査[山浦 2019] 有効視野が狭窄している感覚になり 集中しやすくなったのではないか 注視している箇所を鮮明に,そこから離れるにつれて不鮮明に ‐没入感や臨場感などの印象が増幅 ぼかしエフェクトにより ‐見やすさなどの生理的印象が低減 ‐集中しやすさが向上

11.

作業でも集中しやすくなるか? 過去の研究の対象はビデオゲーム →エンタテインメント性があり 日常的に行うような作業に対する 集中と同等ではない 日常的な作業に対しても ぼかしエフェクトは集中に影響するか?

12.

研究目的 日常的な作業を想定した課題に対して エフェクトを重畳した際の影響の調査 仮説 ‐課題に対して集中しやすくなる ‐見やすさなどの生理的印象が低減する

13.

実験 実験協力者 ‐大学生・大学院生6名 実験概要 ‐日常的な作業を想定した 課題を3種類用意 ‐ぼかしありなし条件で それぞれ交互に行う ‐集中と作業パフォーマンス に対しての影響を調査 実験風景

14.

評価指標 定性的評価(アンケート) ・課題に対する主観評価 ‐課題の精度・達成速度・出来 ・生理的印象 ‐心地よさ具合・見えやすさ 集中しやすさ・目の疲れ 定量的評価 ‐各課題のスコア(所要時間等) ‐客観集中度(0pt~100pt [JINS MEME ES])

15.

評価指標 定性的評価(アンケート) ・課題に対する主観評価 ‐課題の精度・達成速度・出来 [-2]~[+2]の 範囲で選択 ・生理的印象 ‐心地よさ具合・見えやすさ 集中しやすさ・目の疲れ 定量的評価 ‐各課題のスコア(所要時間等) ‐客観集中度(0pt~100pt [JINS MEME ES])

16.

評価指標 定性的評価(アンケート) ・課題に対する主観評価 ‐課題の精度・達成速度・出来 ・生理的印象 ‐心地よさ具合・見えやすさ 集中しやすさ・目の疲れ 定量的評価 ‐各課題のスコア(所要時間等) ‐客観集中度(0pt~100pt [JINS MEME ES])

17.

用意した3課題 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

18.

課題1:タイピング課題 「Easyタイピング」

19.

課題設定:タイピング課題 選定理由 ‐PCを利用した作業にはタイピング行為が必須 ‐タイピング行為そのものがどう影響を 受けるかを調査するため 課題内容 ‐10文字以上の単語を50単語タイピング、 計4回実施 ‐チュートリアルとして10単語タイピング ‐所要時間・速度・ミスタイプ数を計測

20.

課題2:文章理解課題 「青空文庫」

21.

課題設定:文章理解課題 選定理由 ‐論文や記事を読み、内容を理解したうえで レポートにまとめる作業を想定 ‐理解速度や読む速度にどう影響を与えるか 調査するため 課題内容 ‐約6000字の小説を読み、その概要をテキスト ファイルに記述する、計2回実施 ‐約200字の小説をチュートリアルとして読書 ‐読了時間・記述時間を計測

22.

課題3:集中持続課題 「Super Jigsaw Puzzle: Monuments」

23.

課題設定:集中持続課題 選定理由 ‐あることをやり続ける作業を想定 ‐集中力や作業パフォーマンスが持続するように なるのかを調査するため 課題内容 ‐80ピースのジグソーパズルを10分間の 制限時間内に可能な限り当てはめる、計4回実施 ‐チュートリアルとして40ピースの ジグソーパズルを3分間行う ‐経過時間・当てはめられたピース数を計測

24.

実験の流れ キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン チ ュ ー ト リ ア ル ア ン ケ ー ト 回 答 ・ 休 憩 課 題 1 試 行 指定数 繰り返し

25.

タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

26.

タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

27.

結果:課題に対する主観評価 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

28.

結果:課題に対する主観評価 タイピング課題 課題への主観評価に対して 文章理解課題大きな影響は及ぼさない 集中持続課題

29.

タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

30.

結果:生理的印象 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

31.

結果:生理的印象 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

32.

結果:生理的印象 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

33.

結果:生理的印象 タイピング課題 集中しやすさは向上するが 文章理解課題 見えやすさや心地よさが低減する 集中持続課題

34.

タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

35.

結果:定量的評価 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

36.

結果:定量的評価 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

37.

結果:定量的評価 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

38.

結果:定量的評価 タイピング課題 文章理解課題 集中持続課題

39.

結果:定量的評価 タイピング課題 客観集中度が向上し タイピング課題以外のスコアが向上 文章理解課題 集中持続課題

40.

客観集中度の推移(集中持続課題) 集中度が全体的に高く 高い集中度を維持できていた

41.

課題の結果まとめ ぼかしエフェクトにより ‐課題への主観評価には大きな影響はない ‐主観的・客観的ともに集中しやすくなる ‐集中度を高く維持できる ‐見えやすさや心地よさが低下する ‐タイピングの以外のスコアは向上するが タイピングのスコアは低下する

42.

タイピング課題の問題点 キーボードがタイピングしにくいという フィードバックが多く得られた ‐キーボードの深さが浅かったのが原因 ブラインドタッチで入力した実験協力者と キーを見ながら入力した実験協力者が混在 ‐視線を検出して動作しているため キーを見ながら入力する場面は未想定

43.

タイピング課題の問題点 キーボードがタイピングしにくいという フィードバックが多く得られた ‐キーボードの深さが浅かったのが原因 ブラインドタッチができる実験協力者に ブラインドタッチで入力した実験協力者と 統制する必要がある キーを見ながら入力した実験協力者が混在 ‐視線を検出して動作しているため キーを見ながら入力する場面は未想定

44.

追加タイピング課題 「e-typing」

45.

課題設定:追加タイピング課題 課題内容 ‐約230字の長文をタイピング、計4回実施 ‐所要時間・速度・ミスタイプ数を計測 変更点 ‐タイピング内容を長文に変更 ‐キーの深さが十分なキーボードに変更 ‐チュートリアルとして長文タイピングを4回実施

46.

結果:追加タイピング課題

47.

結果:追加タイピング課題

48.

初期タイピング課題 結果:追加タイピング課題

49.

初期タイピング課題 結果:追加タイピング課題 見えやすさが大幅に低下したことで 他の生理的印象に影響した可能性

50.

結果:追加タイピング課題

51.

結果:追加タイピング課題 スコアについて多少の差はあるが 大きな差はなくなった

52.

課題の結果まとめ ぼかしエフェクトにより ‐課題への主観評価には大きな影響はない ‐客観的に集中しやすくなる ‐集中度を高く維持できる ‐見えやすさや心地よさが低下する ‐タイピングの以外のスコアが向上し タイピングのスコアには影響はない

53.

考察 ‐なぜ追加タイピング課題の 見えやすさが大幅に低下したか? ‐得られたフィードバックの分析

54.

考察 ‐なぜ追加タイピング課題の 見えやすさが大幅に低下したか? ‐得られたフィードバックの分析

55.

視線の動き:タイピング課題 視線の動き:少 ほぼ中央に固定

56.

視線の動き:追加タイピング課題 視線の動き:多 左右に移動

57.

文章理解課題と比較してみると 視線の動き:多 左右に移動

58.

集中持続課題と比較してみると 視線の動き:多 あちこちに分散

59.

それぞれの課題の見えやすさを比較 視線の動き:少 初期タイピング 課題 視線の動き:多 文章理解課題 集中持続課題 追加タイピング 課題

60.

それぞれの課題の見えやすさを比較 視線の動き:少 初期タイピング 課題 視線の動き:少 視線の動きが多い場合 文章理解課題 見えやすさに悪影響を与える 集中持続課題 追加タイピング 課題

61.

考察 ‐なぜ追加タイピング課題の 見えやすさが大幅に低下したか? ‐得られたフィードバックの分析

62.

ある実験協力者のフィードバック 画面右上のアイコンのちらつきが ぼかしによって気にならなくなった

63.

ある実験協力者のフィードバック 画面右上のアイコンのちらつきが ぼかしによって気にならなくなった ‐ぼかしエフェクトによって輝度値情報が減少し 意識される閾値以下のレベルにまで下がり 気にならなくなったのでは? 作業を妨害するような 視覚情報を遮断できる可能性

64.

今後の課題 視線と集中しやすさ・生理的印象との 関係性についての分析 集中を妨害するような視覚情報に対して どのような影響を及ぼすか調査 ‐SNSの通知、煩わしい動画広告(TikTok等) より長い時間を伴う作業を想定した 課題への実験

65.

まとめ ‐日常的な作業を想定した3種類の課題に 対してぼかしエフェクトを重畳した際の 影響の調査 ‐ぼかしエフェクトは ・課題に対する主観的評価へはあまり影響しない ・心地よさと見えやすさを低下させる ・客観的に集中しやすくさせる ・文章理解課題と集中持続課題の パフォーマンスを向上させる