コミックにおける読者依存性の高い地雷表現共有システムの長期利用による実用性の検証

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March 13, 23

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

コミックにおける読者依存性の高い地雷表現 共有システムの長期利用による実用性の検証 明治大学 先端数理科学研究科 伊藤理紗 中村聡史

2.

概要 目的 個人的に苦手な描写(地雷)の存在を気にすることなく コミックを鑑賞する手法の実現 提案 手法 読者依存性の高い地雷表現にフラグを付与し 同じ地雷をもつ他の読者に予告を提示 実験 長期利用実験による提案手法を用いたシステムの 実用性検討 結果 一定数の予告が行われ、読者に心構えなどを 促すことができた 4

3.

背景 • 人は様々な苦手意識をもつ • コミックでは日常生活よりも苦手なものに遭遇しやすい • 突然苦手な表現がでてくると、読書意欲が 低下する恐れがある 5

4.

読者依存性の高い地雷 SNSなどで苦手な表現を「地雷」と呼ぶことがある 読者依存性の高い地雷とは 読者の苦手意識によって不快に感じて受け入れられず、 読むのを避けてしまう描写 6

5.

読者依存性の高い地雷 • 作者が意図して描いており、その描写を望む読者も多い →モザイクなどの直接描写に手を加える手法は適していない • 地雷を抱える読者のみにアプローチする 7

6.

本研究の対象外となるもの タイトルから虫が出てくるとわかる →虫が苦手な人は読むのを避けることができる ©漆原友紀 2000 8

7.

本研究の対象外となるもの ジャンルや説明文、レビュー文から グロテスクなものなどが苦手な人は読むのを 避けることができる ©つくしあきひと2013 9

8.

本研究の対象 タイトルなどから推測しにくい一部の場面で登場するもの 些細なシーンで虫が登場する →読む前に登場を推測できない ©笠原真樹 2014 10

9.

2000名を対象にしたアンケート調査 Q「コミックにおける地雷の内容」 • バッドエンドが示唆されている作品ではないのに、 ヒロインが酷い目にあう • 急に首が飛んだ描写が出てくる • いじめが突然出てくる 想定していない展開や描写に対して 嫌悪感や不快感を覚えるのではないか? 伊藤理紗,中村聡史.コミックにおける読者依存性の高い地雷表現の基礎調査とその軽減手法,第5回コミック工学研究会,pp.18-25,2021. 15

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関連研究 嫌悪刺激を予測可能な場合、不安を誘発する可能性が低い [Schmitz 2012] リスク情報の提示で受容性が高まる [Ono 2019] コミックの地雷に関する情報を提示し予測可能にすることで 不安を軽減したり受容性が高まったりするのでは? [1]Schmitz, A., Grillon, C.: Assessing fear and anxiety in humans using the threat of predictable and unpredictable aversive events (the NPU-threat test). Nat Protoc. 2012, vol. 7, no. 3, pp. 527-532. [2]Ono, K., Kato, E. and Tsunemi, K. Does risk information change the acceptance of hydrogen refueling stations in the general Japanese population?. International Journal of Hydrogen Energy. 2019, vol. 44, no. 31, pp. 16038-16047. 16

11.

目的 読者依存性の高い地雷を気にすることなく コミックを読めるようにする! 18

12.

提案手法[第5回コミック工学研究会] 地雷をもつ人にフラグを付与してもらい、 その情報を集約して推定し地雷の位置と存在を予告する 虫が 苦手 血が 苦手 19

13.

これまでの研究[第5回コミック工学研究会] 地雷表現のアンケート調査による問題把握 グロテスクなものなどに関する記述が多い 突然出てくることに苦手に感じる一因がある可能性 地雷表現に対するフラグ付与実験 人によって判断基準が異なり、フラグ付与には個人差がある 地雷表現を予告することによる影響調査 次のページへ進む際の不安度合が減少する可能性 伊藤理紗,中村聡史.コミックにおける読者依存性の高い地雷表現の基礎調査とその軽減手法,第5回コミック工学研究会,pp.18-25,2021.20

14.

これまでの研究[第5回コミック工学研究会] 地雷表現のアンケート調査による問題把握 グロテスクなものなどに関する記述が多い 実験対象の地雷フラグは1種類、作品は2作品と限定的 突然出てくることに苦手に感じる一因がある可能性 地雷表現に対するフラグ付与実験 人によって判断基準が異なり、フラグ付与には個人差がある 地雷表現を予告することによる影響調査 次のページへ進む際の不安度合が減少する可能性 伊藤理紗,中村聡史.コミックにおける読者依存性の高い地雷表現の基礎調査とその軽減手法,第5回コミック工学研究会,pp.18-25,2021.21

15.

これまでの研究 [第6回コミック工学研究会] 目的 フラグの内容やフラグが実験協力者間で 重複するか明らかにする 内容 テキストフォームに記入する形式で 自身の苦手な表現に自由にフラグを付与してもらう 結果 ある程度読む作品やフラグは重複した 実験協力者によってフラグに表記ゆれがあった 伊藤理紗,中村聡史.コミックにおける読者依存性の高い地雷表現共有システムの実装とその分析,第6回コミック工学研究会,pp.55-62,2021. 22

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これまでと今回 CC5 地雷表現の問題把握 地雷の フラグ付与の個人差・ 予告機能 地雷予告の影響調査 CC6 任意の作品・フラグを 付与する場合の個人差調査 地雷フラグ CC9 ・地雷フラグの付与と 地雷予告が可能な システムの実装 ・長期利用実験による 実用性検討 付与機能 24

17.

提案手法を用いたシステム 血、けがの描写が苦手な方はご注意ください 状況:グロテスクなもの、痛そうなものが苦手なユーザが読む ©2020 吉野マト 25

18.

提案手法を用いたシステム 血、けがの描写が苦手な方はご注意ください ©2020 吉野マト 26

19.

システム概要 地雷フラグの付与と地雷箇所の予告が可能なシステム 付与可能なフラグを限定 • グロテスク • いじめ • 虫 • 動物(動物がひどい目にあうもの) • 性的なもの • 痛そう(痛そうに見えるもの) 48

20.

長期利用実験の概要 継続的な運用を通して、システムの実用性の検討を行う 運用期間:10月24日~11月21日 実験協力者:15名 • 少年ジャンプ+に掲載されている作品を 1週間に7作品以上読むよう指示 • 1週間ごとシステムに関するアンケートを実施 55

21.

結果 読まれた作品数:372作品 付与されたフラグ数:393個 予告回数:105回 一般にシステムを導入した場合も 一定数の予告が提示されると期待される 56

22.

予告回数 予告回数が減少している 57

23.

読まれた作品数 誤)9 正)121 58

24.

予告回数が減少した要因 沢山予告が出てしまって集中力が切れてしまったので、 後半はフラグが出ないような漫画を選ぶようになっていきました 地雷表現が含まれていそうな作品を 意図的に避けていた可能性 59

25.

フラグや予告のタイミング A B C D E 10/22 〇 フラグ 10/25 10/28 10/31 11/3 11/6 × 予告 11/9 ● 読書 11/12 time 65

26.

作品B 70

27.

作品B 71

28.

作品B Y 72

29.

アンケート結果 予告された次のページの読み方について 74

30.

ポジティブな感想 予告があることで、ページを開いた際に 驚かなくて済むところが良いと思いました 予想以上に嫌な描写だったので 心の準備をして読むことができて助かりました 75

31.

ポジティブな感想 予告があることで、ページを開いた際に 驚かなくて済むところが良いと思いました 地雷箇所の予告によって、読者に心構えや対処を促し 予想以上に嫌な描写だったので 続きを読むための支援を行える可能性 心の準備をして読むことができて助かりました 76

32.

ネガティブな感想 地雷シーンが多い作品だと 読みづらさを少し感じました。 地雷シーンがあるページを開く頃には 予告されたことを忘れていて、普通に地雷シーンを 目にしてびっくりしてしまった 77

33.

読みにくさの原因 • 1人でもフラグを付与していれば予告を行っていた • 同ページであっても1種類の地雷につき1回ずつ提示していた →予告される回数が多くなってしまった • 予告画面のデザインがコミックのレイアウトや 世界観と大きく異なっている →没入感が損なわれてしまった

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展望 ➢ 地雷フラグを細分化し、統合的に扱えるようにする ➢ 予告回数を減らす工夫 - 複数種類の地雷でも1度に予告 ➢ 予告タイミングの種類を設ける - 読み始め - 該当ページを開いたとき ➢ 予告画面の改善 80

35.

まとめ 目的 苦手な描写(地雷)の存在を気にすることなく コミックを鑑賞する手法の実現 提案 手法 地雷表現にフラグを付与し 同じ地雷をもつ他の読者に予告を提示 実験 長期利用実験による提案手法を用いたシステムの 実用性検討 結果 一定数の予告が行われ、読者に心構えなどを 促すことができた 81