色覚特性を考慮したゲームの有利不利制御のAmong Usを用いた検証

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September 01, 22

スライド概要

オンラインゲームにおいて,聴覚や視覚のハンディキャップにより,自身の実力と関係ないところで不利になる人がいる.特定の色が見えづらい色覚多様性者は,色の情報の読み取りに時間がかかるため,色による判断が迫られるゲームにおいてハンディキャップを背負っている.色覚多様性者のゲームプレイを支援するために,色覚タイプに合わせた配色を使用する色覚サポートのような配慮も行われているが,全ての色覚タイプに対応しておらず,サポートする部分にも限界がある.我々はこれまでの研究において,D型模擬フィルタを実現し,選択肢の中で異なる1色を選択してもらう実験や背景色を考慮した実験を行い,一般色覚者とD型色覚者両者にとって識別しやすい色や両者にとって識別する時間が近い色を明らかにした.しかし,実際のゲームにおいて有効かどうかを明らかにしていなかった.そこで本研究では,これまでの我々の研究で得られた結果から仮説をたて,Among Usを用いた実験を実施し,色のハンディキャップにおける制御が可能かに関する検討を行った.その結果,配色次第では一般色覚者も色覚多様性者もゲームの有利不利制御が可能であることがわかった.

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Nakamura Laboratory (Meiji University)

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

色覚特性を考慮したゲームの有利不利制御の Among Usを用いた検証 藤原優花 中村聡史 (明治大学)

2.

どう見えますか?

3.

どう見えますか? ©︎2018 SEGA ぷよぷよ

4.

どう見えますか?

5.

どう見えますか? ©︎2018 Among Us

6.

背景 ・インターネットの普及によりeスポーツやオンラインゲームの人気が高い ・COVID-19の影響で家庭で遊べる娯楽としての需要が高い

7.

背景 ・インターネットの普及によりeスポーツやオンラインゲームの人気が高い ・COVID-19の影響で家庭で遊べる娯楽としての需要が高い オンラインゲームの普及が進んでいる

8.

背景 世界中にたくさんのゲームプレイヤーがいる

9.

背景

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背景 聴力が弱い 視力が悪い

11.

背景 聴力が弱い 視力が悪い その中にハンディキャップを持つ人もいる

12.

背景 ・多くの人がオンラインゲームを楽しんでいる ・中にはハンディキャップを抱えて困っている人がいる ・ゲームスキル以外の面で不利になることがある 技量以外でゲームの勝敗に影響してしまう

13.

背景 ・ハンディキャップは様々ある ・本研究では特に色覚多様性者に着目する

14.

色覚多様性者 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者

15.

色覚多様性者 私はこちらの型です! 一般色覚者 P型色覚者 D型色覚者 T型色覚者

16.

色覚多様性者

17.

色覚多様性者

18.

色覚多様性者 日本人男性の割合

19.

色覚多様性者 日本人男性の割合 男性は20人に1人、女性は500人に1人

20.

色覚多様性者 黄色と緑色 黄色だけ

21.

色覚多様性者 黄色と緑色 黄色だけ 色による判断が難しい

22.

色覚サポート ・色覚多様性者は色による判断が難しい ・一般色覚者と比べ判断する時間がかかってしまい、 反応速度が遅くなってしまう ・オンラインゲームでは判断から行動に移す時間が短い方が有利 ・この問題に対してゲーム製作者は色覚サポートで対策している

23.

色覚サポート 一般色覚者 P型色覚者

24.

目的 通常 色覚サポート適応 本研究の目的 色覚サポート 一般 多様性者 一般 多様性者 一般 多様性者

25.

大目的 様々な特性がある色覚多様性者がゲームをプレイする際の 色によるハンディキャップをなくす

26.

リアルタイム色変換システム P型色覚者 D型色覚者

27.

リアルタイム色変換システム P型色覚者 D型色覚者

28.

リアルタイム色変換システム P型色覚者 D型色覚者 それぞれのタイプごとで見えている色が違う

29.

リアルタイム色変換システム 色のハンディキャップをなくすためには それぞれの色覚タイプの人を集めて実験を行う必要がある

30.

リアルタイム色変換システム 色のハンディキャップをなくすためには それぞれの色覚タイプの人を集めて実験を行う必要がある 色覚多様性者を集めて実験を行ってもらうことは 簡単ではない

31.

リアルタイム色変換システム 色のハンディキャップをなくすためには それぞれの色覚タイプの人を集めて実験を行う必要がある 色覚多様性者を集めて実験を行ってもらうことは 簡単ではない 本研究では一般色覚者に D型色覚者が見ているであろう色を見せて実験を行う

32.

リアルタイム色変換システム フィルタなし (一般色覚者) フィルタあり (D型色覚者)

33.

これまでの研究 [ICEC2021] Yuka Fujiwara, Satoshi Nakamura. Fundamental Study of Color Combinations by Using Deuteranope-Simulation Filter for Controlling the Handicap of Color Vision Diversity in Video Games, 20th IFIP TC14 International Conference on Entertainment Computing (IFIP ICEC 2021), Vol.LNCS 13056, pp.127-138, 2021.

34.

これまでの研究 [ICEC2021] 両者における有利不利な色の組み合わせ 一般有利 色の組み合わせ D型有利 実際の色 フィルタ適用 D型不利 フィルタ適用 pair-D pair-11 pair-15 pair-5 pair-6 標的色 基本色 標的色 基本色 色の組み合わせ 実際の色 pair-C 一般不利 pair-26 pair-27 pair-19 標的色 基本色 標的色 基本色 Yuka Fujiwara, Satoshi Nakamura. Fundamental Study of Color Combinations by Using Deuteranope-Simulation Filter for Controlling the Handicap of Color Vision Diversity in Video Games, 20th IFIP TC14 International Conference on Entertainment Computing (IFIP ICEC 2021), Vol.LNCS 13056, pp.127-138, 2021.

35.

これまでの研究 [ICEC2021] 両者における有利不利な色の組み合わせ 両者ともに識別しやすい 色の組み合わせ D型有利 実際の色 フィルタ適用 D型不利 実際の色 フィルタ適用 pair-C pair-D 一般不利 pair-11 pair-15 pair-5 pair-6 標的色 基本色 標的色 基本色 色の組み合わせ 両者ともに識別しにくい 一般有利 標的色 基本色 標的色 pair-26 pair-27 pair-19 D型色覚者の方が 識別しやすい 基本色 彩度と明度の値に差があることが要因として考えられる

36.

これまでの研究 [DEIM2022] 藤原 優花, 中村 聡史. 色覚特性によるゲームの有利不利の制御に向けた背景色を考慮したD型模擬フィルタを用いた実験による色の基礎検討, 第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム, 2022.

37.

これまでの研究 [DEIM2022] 両者にとって識別する時間の差がない色の組み合わせ pair-8 pair-11 pair-15 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 90, 64, 89 98, 55, 85 232,87, 78 60, 58, 81 60, 48, 77 240, 79, 78 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 90, 64, 89 フィルタなし 98, 55, 85 フィルタなし 0, 0, 52 60, 58, 81 フィルタあり 60, 48, 77 フィルタあり 0, 0, 52 フィルタなし フィルタあり 239, 100, 56 240, 100, 66 31, 72, 95 240, 99, 56 240, 100, 65 60, 69, 74 0, 100, 39 0, 100, 45 0, 0, 52 60, 100, 22 60, 100, 26 0, 0, 52 藤原 優花, 中村 聡史. 色覚特性によるゲームの有利不利の制御に向けた背景色を考慮したD型模擬フィルタを用いた実験による色の基礎検討, 第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム, 2022.

38.

これまでの研究 [DEIM2022] 両者にとって識別する時間の差がない色の組み合わせ pair-8 pair-11 pair-15 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 フィルタなし フィルタなし フィルタなし フィルタあり フィルタあり フィルタあり 90, 64, 89 98, 55, 85 232,87, 78 60, 58, 81 60, 48, 77 240, 79, 78 標的色 基本色 背景色 標的色 基本色 背景色 90, 64, 89 フィルタなし 98, 55, 85 フィルタなし 0, 0, 52 60, 58, 81 フィルタあり 60, 48, 77 フィルタあり 0, 0, 52 フィルタなし フィルタあり 239, 100, 56 240, 100, 66 31, 72, 95 240, 99, 56 240, 100, 65 60, 69, 74 0, 100, 39 0, 100, 45 0, 0, 52 60, 100, 22 60, 100, 26 注目したい色の明度が周りの色の明度と比べて値が高い場合 両者にとって識別しやすい公平色がある 0, 0, 52

39.

本研究の目的 これまでの研究では識別しやすい色の調査を行ってきた

40.

本研究の目的 これまでの研究では識別しやすい色の調査を行ってきた BUT 実際のゲームで有利不利制御が可能かわからない

41.

本研究の目的 これまでの研究では識別しやすい色の調査を行ってきた BUT 実際のゲームで有利不利制御が可能かわからない Among Usを用いて検証する

42.

本研究の目的 実際のゲームを用いて色覚特性を考慮した ゲームの有利不利制御が可能か調査する

43.

Among Us なぜAmong Usを用いるのか

44.

Among Us なぜAmong Usを用いるのか フィルタなし (一般色覚者) フィルタあり (D型色覚者)

45.

Among Us なぜAmong Usを用いるのか 過去の研究で得られた知見に沿って配色の設定が行えるため

46.

Among Us VS

47.

Among Us クルー の勝利条件 「船内のタスクを全て完了する」 or 「インポスターを全員追放する」

48.

Among Us クルー の勝利条件 「船内のタスクを全て完了する」 or 「インポスターを全員追放する」

49.

Among Us クルー の勝利条件 船内に起こっている トラブルの修理 「船内のタスクを全て完了する」 or 「インポスターを全員追放する」

50.

Among Us クルー

51.

Among Us インポスター の勝利条件 「クルーをインポスターと同数になるまで殺害する」 or 「クルーの脱出を妨害する」

52.

Among Us インポスター

53.

Among Us 議論フェーズ 作業フェーズ

54.

Among Us 議論フェーズ 作業フェーズ プレイヤを判断するために色が重要

55.

Among Us

56.

実験概要 ・Among Usを用いて実験を行う (全4試合) ・実験協力者 男性10名 ・実験協力者のうち4名がフィルタあり群 ・プレイヤの色はランダム ・プレイヤ名はひらがな4文字に固定

57.

実験概要 ・Among オンラインゲームを Usを用いて実験を行う (全4試合) 普段からプレイしている ・実験協力者 男性10名 ・実験協力者のうち4名がフィルタあり群 ・プレイヤの色はランダム ・プレイヤ名はひらがな4文字に固定

58.

考察 仮説1 識別しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して 討論の場での会話量が多くなる 仮説2 識別しやすい色のキャラクタが識別しにくい色のキャラクタよりも 討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる 仮説3 色に着目したタスクにおいて,識別しにくい色のタスクは 識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる

59.

仮説 仮説1 識別しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して 討論の場での会話量が多くなる 仮説2 識別しやすい色のキャラクタが識別しにくい色のキャラクタよりも 討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる 仮説3 色に着目したタスクにおいて,識別しにくい色のタスクは 識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる

60.

仮説 仮説1 識別しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して 討論の場での会話量が多くなる 仮説2 識別しやすい色のキャラクタが識別しにくい色のキャラクタよりも 討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる. 仮説3 色に着目したタスクにおいて,識別しにくい色のタスクは 識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる

61.

考察 仮説1 識別しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して 討論の場での会話量が多くなる 仮説2 識別しやすい色のキャラクタが識別しにくい色のキャラクタよりも 討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる 仮説3 色に着目したタスクにおいて,識別しにくい色のタスクは 識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる

62.

結果 配線修正タスクをこなした平均時間とミス数 全体 フィルタあり群 フィルタなし群 平均時間(s) 5.73 7.33 4.78 ミス数 / タスク数 2 / 64 2 / 24 0 / 40

63.

結果 配線修正タスクをこなした平均時間とミス数 全体 フィルタあり群 フィルタなし群 平均時間(s) 5.73 7.33 4.78 ミス数 / タスク数 2 / 64 2 / 24 0 / 40 フィルタなし群の方がタスクをこなす時間が短かった

64.

結果 配線修正タスクをこなした平均時間とミス数 全体 フィルタあり群 フィルタなし群 平均時間(s) 5.73 7.33 4.78 ミス数 / タスク数 2 / 64 2 / 24 0 / 40

65.

結果 配線修正タスクをこなした平均時間とミス数 全体 フィルタあり群 フィルタなし群 平均時間(s) 5.73 7.33 4.78 ミス数 / タスク数 2 / 64 2 / 24 0 / 40 フィルタあり群のみが ミスしている

66.

結果 全会話数に対する色名を喋った数の割合 フィルタあり群 フィルタなし群 1戦目 0.519 0.534 2戦目 0.681 0.684 3戦目 0.323 0.433 4戦目 0.617 0.631

67.

結果 識別しやすいと色に着目した会話が増えるのではないか 全会話数に対する色名を喋った数の割合 フィルタあり群 フィルタなし群 1戦目 0.519 0.534 2戦目 0.681 0.684 3戦目 0.323 0.433 4戦目 0.617 0.631

68.

結果 全会話数に対する色名を喋った数の割合 フィルタあり群 フィルタなし群 1戦目 0.519 0.534 2戦目 0.681 0.684 3戦目 0.323 0.433 4戦目 0.617 0.631 フィルタあり群の方が発話数の割合は低かった

69.

考察 フィルタあり群のみが配線修正タスクをミスしている

70.

考察 フィルタあり群のみが配線修正タスクをミスしている フィルタなし (一般色覚者) フィルタあり (D型色覚者)

71.

考察 4種類全て識別できる 「赤と黄色」「ピンクと青」 が似ている フィルタなし (一般色覚者) フィルタあり (D型色覚者)

72.

考察 4種類全て識別できる 「赤と黄色」「ピンクと青」 が似ている 識別しにくい色が用いられた場合、不利な状況になる

73.

考察

74.

考察

75.

考察 オレンジ (あり群)が殺害された時

76.

考察 オレンジ (あり群)が殺害された時 なし群 あり群 なし群 なし群

77.

考察 死体の周辺に5人いて、誰がいたかの議論 あり群 なし群

78.

考察 死体の周辺に5人いて、誰がいたかの議論 白、ピンク、マルーンはいた あり群 なし群

79.

考察 死体の周辺に5人いて、誰がいたかの議論 白、ピンク、マルーンはいた あり群 ピンクはいなかった気がする なし群

80.

考察 死体の周辺に5人いて、誰がいたかの議論 白、ピンク、マルーンはいた あり群 ピンクはいなかった気がする なし群 フィルタあり群の方が識別しやすい有利な色がある

81.

考察 条件ごとでの識別しにくい色 フィルタあり群 フィルタなし群

82.

考察 条件ごとでの識別しにくい色 フィルタあり群 フィルタなし群

83.

考察 仮説1 識別しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して 討論の場での会話量が多くなる 仮説2 識別しやすい色のキャラクタが識別しにくい色のキャラクタよりも 討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる 仮説3 色に着目したタスクにおいて,識別しにくい色のタスクは 識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる

84.

考察 仮説1 識別しやすい色のキャラクタは識別しにくい色のキャラクタに対して 討論の場での会話量が多くなる →一部支持された 仮説2 識別しやすい色のキャラクタが識別しにくい色のキャラクタよりも 討論の場での色の表現のバリエーションが少なくなる →一部支持された 仮説3 色に着目したタスクにおいて,識別しにくい色のタスクは 識別しやすい色のタスクに対してこなす時間が長くなる →支持された

85.

貢献 と は両者ともに識別しにくい色であった →両者の視認性を下げることが可能 はどんな色と組み合わせても両者ともに識別できる →色覚サポートでは確実に使える色である

86.

貢献 と は両者ともに識別しにくい色であった →両者の視認性を下げることが可能 はどんな色と組み合わせても両者ともに識別できる →色覚サポートでは確実に使える色である デザインにおけるガイドラインとしても用いることが可能

87.

展望 ・今回の実験では仮説を検証するには不十分だった →インポスターとなった色の偏りが生じた ・実施回数が少なかった →今後は長期的な実験を計画する ・統計的に検証するには不十分だった →スコアでプレイヤ間を比較できるゲームを予定

88.

まとめ 目的 色覚による有利不利を制御するための指標となる色の調査 実験 色変換を用いた両者を混同させてAmong Usをプレイする 結果 配色次第で有利不利制御は可能である 展望 明確なスコアで比較できるゲームで再実験する