ScrumFestMikawa2025_「メカアジャイルのその後 ~実践編~」― 顧客検証を阻む“ルールの壁”を越えて ―

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September 09, 25

スライド概要

スクラムフェス三河2025における登壇スライドです。
(AIによるサマリ)
本資料は、コニカミノルタによる「メカアジャイル」の実践事例を紹介し、顧客検証を阻む“ルールの壁”をどう乗り越えたかを解説しています。従来のウォーターフォール型開発から脱却し、メカ開発にもアジャイルを導入。顧客ニーズに基づく仮説検証を早期に行うため、品質保証や出荷ルールの見直しを実施しました。特に、断裁くずによる印刷停止という課題に対し、モジュール化とチーム連携で迅速な解決を図り、夜間無人印刷の実現や生産性向上を達成。社内の品証部門や営業部門との協働により、顧客価値と組織変革を同時に推進した取り組みが描かれています。

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コニカミノルタ株式会社のAgile CoE(Center of Excellence)です。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

「メカアジャイルのその後 ~実践編~」 ― 顧客検証を阻む“ルールの壁”を越えて ― Yuki Yamauchi 2025

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山内 友樹 Yuki Yamauchi 登壇者プロフィール コニカミノルタ株式会社 ◆メカ開発者 ◆Go To Market推進 ◆アジャイル開発素人で実践してみた人 ◆スクラムフェス2024にてメカアジャイルを提唱 ◆アジャイルCoE ◆前日にこの資料作った人 2011年~18年 印刷機本体 オプションのメカ開発 2019年~2021年 加飾加工機の開発 メカリーダー 2021年~ メカ屋を飛び越えた新規事業創出を行う メカアジャイル推進 2

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コニカミノルタの紹介 老舗の製造業です! 経営理念 新しい価値の創造 経営ビジョン Imaging to the People お客さまの「みたい」を実現することで、グローバル社会から支持され、必要とされる企業 人と社会の持続的な成長に貢献する、足腰のしっかりした、進化し続けるイノベーション企業 1873 2003 2030 3

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コニカミノルタのDNA 150年培ってきた Imaging を中心とした4つのコア技術で 時代と共に変化する人々の「みたい」に応えてきました 看たい 材料 介護士の業務を みえる化 診たい 疾病・がんの 兆候をみえる化 視たい ものづくりの品質、 ガス漏れやインフラ 老朽化をみえる化 光学 コア技術 画像 微細 加工 印刷物を高精彩に、 業務プロセスの課題 をみえる化 見たい 観たい 美しい映像を みえる化 16:00 ROOM AB 撮りっきりコニカ開発秘話 生産・販売・開発の壁を越えた協業から学 4 ぶ

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コニカミノルタ Agile CoE 5

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ScrumFest Mikawa 2024 やってやろうじゃないか メカアジャイル! 老舗製造業がプロダクションプリンターで 取り組んだ ハードウェアアジャイルの実例を紹介しま す 6

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“メカ開発+アジャイル”で実現したいこと これまで Waterfall 製品 開発 顧客 調査 製品 提供 自社製品 にとっての価値 スピード コスト 画質 だけ では なく お客様のありたい姿や価値を コニカミノルタが共に 作り上げていきたい 実現したい形 Market in + Agile メカ開発 ソフト 開発 販売 生産 共創 品証 サービス 顧客にとってありたい姿の一枚絵を 共有し作りあげて行く Market in Agile 類似顧客への 展開 製品提供 製品化 コニカミノルタの強み/差別化要素 製品提供手法として メカも含めたAgile型の 開発の基礎を作る 7

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チーム体制 コニカミノルタ 印刷ワークフロー自動化検討チーム 印刷会社 K社様 コニカミノルタ Agile CoE リーダー 協業 印刷物の生産 印刷物納入 学習塾 デジタル印刷機 の納入実績あり 「ワンフロアで 一貫工程の印刷 物生産ラインを 構築したい」と いう要望を受け てPoCを実施 支援 製品開発 制御開発 コントローラ 開発 デジタル推進 アドバイザー アジャイル コーチ アジャイル コーチ 印刷物の利用 8

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メカアジャイルトライアルで実現したこと BEFOR 受注 まとめて 生産できるように job作成 印刷 断裁 検品 仕分け 在庫 帯掛け 梱包 出荷時 AFTER 受注 自動帯掛け 他社機との繋ぎの部分(ブリッジ) 自社機のカスタマイズを アジャイル的に開発 © KONICA MINOLTA 9

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メカAgile型開発を実現するために大切だと思うこと 【メカに対するAgile型製品提供の考え方】 製品そのものをAgileで作り上げるのは1回の仮説検証を回すことが困難 作りたい機能をモジュール化し、各モジュールの組み合わせで製品機能を達成することで 小規模投資、短期間での製品提供をメカでも実現していく それぞれのモジュールが製品として完結している 別の機械に接続する場合は必要なモジュールのみ開発 Module単位では外部ベンダーを活用することも可 module ・パージする ・重ねる module SCRUM FEST MIKAWA2024で生まれた気づき メカのオープンソース化がキーでは? module module ・分割紙を搬送する ・断裁位置を検査する ・ヤレを検査する 共通で調達できる、誰でも使える、 改変できる、再配布できる module 電源供給する 10

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メカアジャイル-実践編- 11

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「顧客の現場でメカを試したい」ー思いもよらぬ壁ー① そもそも検討できないの壁 既存の商品化プロセス 顧 顧客ニーズ 客 商 品 企 画 プ ロ セ ス gate gate 実現したいのは最初のフェーズ で 顧客ニーズに対して対話し検証 しながら要望を満たし商品企画 に導くこと 商品開発設計 プロセス サービスアプリ 開発プロセス 品 質 保 証 プ ロ セ ス 変 更 管 理 プ ロ セ ス 生 産 プ ロ セ ス 市 場 支 援 プ ロ セ ス … このフェーズに来て初めて試作品を顧客に出荷する規定に ついての話が登場 つまりこれまでは商品企画で商品化することが決定したも のについてのみ顧客先で試すことが許されていた 12

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「顧客の現場でメカを試したい」ー思いもよらぬ壁ー② 試作品出荷の壁 顧客の信頼を確立するため社内には元々明確な 試作機の出荷ルールが制定されていた ・安全性評価 ・製品アセスメント ・特許調査 ・輸出に必要な法令対応 ・セキュリティ対応 ・規格の取得見込みがあること 専門の部門が確認する項目が多く、 メカの開発部門がやるぞ!となっても すぐに対応できなかったり、複数回の確認が発生する項目が 多々ある 13

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As is みんな言っている。なんとなく売れそうだ!が 分かった商品に対しての最終確認としての出荷ルー ル To be 1人の顧客が言っている。でもめちゃくちゃ重要課 題だ 課題解決して、売れるものにしていく 仮説検証のための出荷ルール 14

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参考にした考え方 QA to AQ (Quality Assurance to Agile Quality) 鷲崎、長谷川、濱井、小林、長田、田村、陳、QA to AQ:アジャイル品質パターン による、伝統的な品質保証からアジャイル品質への変革、Codezine、 https://codezine.jp/article/corner/813 15

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作成したメカアジャイル実現のための改訂ルール 顧 顧客ニーズ 客 重 要 課 題 か の 見 極 め 解決策検討 チーム 立ち上げ 販社・事業・企画 開発・品証 サービス 解 決 策 の 実 装 出 荷 の 必 要 項 目 準 備 出 荷 判 断 商 品 企 画 プ ロ セ ス … 販社・事業・開発 顧客の課題を解決できたかの確認 解決できなければ再度仮説検証 ・どのような構成にすれば アジリティ高く検証ができるか ・規格取得を簡易に行える構成は何 か ・サポートしやすい構成は何か 等、各部門の知見を持ち寄り検討 16

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改定案を試行した顧客への最短価値提供例 中綴じ製本を行っているお客様のワークフロー改善メカアジャイル お客様属性:保険会社向け中綴じ冊子を生産されているお客様 物流業をメインとしており、印刷に専任のオペレーターが置けない 困りごと:中綴じ製本機の断裁くずがすぐに溜まってしまい、連続生産ができない 断裁くず箱 17

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改定案を試行した顧客への最短価値提供例 〇初期設計案 カッター シャッター センサー 安全カバー コロコンベア 塵取り等 中綴じ製本機 初期は中綴じ製本機から飛び出す形で 断裁くずを排出する構成を考えていた 安全認証を担当するチームメンバーから 外に飛び出す構成にしてしまうと認証の取得が 大変になるアドバイスあり →チームメンバーとして初期から入ってもらった ことで余計な作り直しを発生させず提供可能に 18

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起こせた顧客価値提供の変革 As-Is ジョブ投 入 1500部 印 刷 印 刷 屑満タン停止 屑満タン停止 別室で作業 アラートで 駆け付け 印 刷 印 刷 印 刷 屑満タン停止 屑満タン停止 検 品 出 荷 屑廃棄 ※PoC先顧客の例 To-Be ジョブ投 入 検 品 印刷 止まらない印刷機、夜間無人化 ・トータルスループット:2倍以上 ・人件費:20%削減 ・出荷にコミット(短納期化) OUTCOME 出 荷 印刷 翌日分も夜間無人印刷 お客様がコニカミノルタはこんなに早く実現し てくれるのか!という感動と信頼を獲得 別案件での受注にもつながる関係構築ができた 19

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起こせた組織変革 OUTCOME ルール作り、実践に真っ先に動いてくれたのは品証(QA)部門 メカアジャイルの取組については知っており、一緒に作り上 げていきたいと思っていた ルール作りから一緒にやりましょう 品証(QA)部門もCSも顧客にとってより良いコミュニケーションをデジタル印刷 の力で届けることを目指している。 そのためには早期から入り、お客様に迷惑をかけないジャッジをしたいと思ってい た その思いを実現する行動につなげるきっかけを与えられた 20

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次に起こしたいのは営業変革 営業の強み •様々な用紙タイプに対応 •簡単なカラー管理 •バリアブルデータ印刷をサポート •バリアブルデータ検査が可能 •折りまでの自動仕上げ 印刷機仕様に重点を 置いた販売 To-Be 生産プロセス全体にわたる顧客の課題に対処するための販売アプローチへの拡大 出荷先別のジョブの 自動振り分け MISとの統合 印刷機への自動ジョブ割り当て 仕分けから梱包、仕上げまでの 自動化 お客様の生産コストを最小 限にとどめる提案を可能に することで、お客様の欠か せないパートナーへ。 ポストプレス機器との統合 © KONICA MINOLTA 21

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月1 メカアジャイル交流会開催中! メカ開発をしている人や、それ以外でもメカのアジャイルに 興味がある人が集まり、わいわい交流する会 詳しくは Satoshi Harada 焼肉の人 直近では、野中郁次郎先生の論文 「The New New Product Development Game」を みんなで輪読し、ディスカッション コニカミノルタ AgileCoEメンバー まで