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September 06, 25
スライド概要
スクラムフェス三河2025における登壇スライドです。
(AIによる要約)
コニカミノルタは、レンズ付きフィルム「撮りっきりコニカ」の誕生からその技術的進化、販売戦略、海外生産の展開までを振り返ります。特に、製品開発における協働やアジャイルマインドの重要性を強調し、ユーザーの購買理由や製品の市場での受け入れについての調査も紹介されます。
コニカミノルタ株式会社のAgile CoE(Center of Excellence)です。
[出典] 世界最長*7mまで届くフラッシュを新搭載 イルミネーションも集合写真もキレイに撮れるレンズ付フィルム 「コニカミノルタ 撮りっきりMiNi Goody BEST(グッディ ベスト)ロングフラッシュ」 新発売 https://www.konicaminolta.jp/about/release/2005/1101_01_01.html 撮りっきりコニカ 開発秘話 生産・販売・開発の壁を超えた協働から学ぶ スクラムフェス三河2025 Day2 2025/09/06(Sat) 16:00~ 樋上 直樹 與賀田 こずえ 原田 聡 溝口 修理 清水 隆史 © KONICA MINOLTA
アジェンダ • 1.イントロダクション • コニカミノルタ会社紹介 • 今回の登壇の経緯 • 2.撮りっきりコニカとは • 誕生から幕引きまでざっくりまとめると・・・ • レンズ付フィルムは多分野の技術の複合製品 • 第1期~第3期 • 様々な施策 • 3.Goodyシリーズのヒ・ミ・ツ • 4.中の人から総じてみると・・・ • 5.話を聞いてみて思ったこと © KONICA MINOLTA 1
1.イントロダクション 2
コニカミノルタ 会社紹介 • 製造業(精密機器:複合機・光学機器・ 機能材料等) • 老舗企業(創業150周年) • 大企業(全世界グループ従業員4万人) 樋上 原田 清水 当時の中の人 與賀田 商品企画 溝口 設計開発 © KONICA MINOLTA 3
今回の登壇の経緯 • コニカミノルタ Agile CoEでは「対話の場」を月2回程度のペースで実施中 まさに温故知新! • 「コニカミノルタの歴史を語ろう!」というテーマで、 溝口さんに「撮りっきりコニカ」をテーマにKeynoteを 行っていただいたところ、 めちゃくちゃ面白い話だった! • 與賀田さんも「対話の場」に参加して頂いた • 今で言うところのアジャイルマインドに 通じる話のように思えた 記念テレカ持ってた! 撮りっきりコニカの開発は(竹内・ 野中論文の)TypeCのようなもの だったんだろうなと想像した サイレント巻き上げは 溝口さん設計の力作 このナレッジをシェアしたい! © KONICA MINOLTA 4
2.撮りっきりコニカとは 5
誕生から幕引きまで、ざっくりまとめると・・・ コニカミノルタのレンズ付フィルム(SUC)「撮りっきりコニカ」は、F社に 遅れる事1年、1987に1型である「よく撮れぞうくん」を発売し市場参入を開始 した。 1型は、設計をカメラ技術部、ボディ組立をカメラ事業の協業先(八王子)、 フィルム装填を写真フィルム製造子会社(青梅)でスタート。2型より、設計か ら生産までを某玩具メーカーに委託して展開された。 その後、開発から生産までを徐々にコニカに取り込み内作化を推進。性能向 上とコストダウンの追求により、コニカミノルタのコンシューマー商品の一翼 を担う商品へと成長した。 拡大する世界需要と、売価低下を克服すべく、海外生産展開を進めたが、急 激な画像デジタル化の波とカメラ付き携帯電話の普及等で、2005年度より急激 な販売減少に陥り、2006/5/15を以って、内製に幕を降ろすことになった。 約19年間に亘る総生産量は4億本弱に上った。 2006年「レンズ付きフィルム生産の歴史」より抜粋編集 © KONICA MINOLTA 6
レンズ付フィルムは多分野の技術の複合製品 ファインダー ユニット [オプティカル] 光学モジュール ファインダーユニット [パッケージング] 外装カートン・ラベル 防湿包装 [ケミカル] フィルム 後カバー フィルム (パトローネ) [マテリアル] 樹脂・成型 スプロール (出荷時にフィルム を巻き付けている 部分) フィルム 取り出し ブタ 単4電池 [メカニクス] メカニカル・モジュール [エレクトロニクス] フラッシュ・モジュール 前カバー [デザイン] 工業デザイン 2003年 中央大学講義資料より © KONICA MINOLTA 7
生産量の推移 2006年「レンズ付きフィルム生産の歴史」より抜粋 © KONICA MINOLTA 8
第1期 参入・模索 1986年 最初のレンズ付きフィルム発売 感度低く、画質も粗い 1987年 35mmフィルム装填 高感度化、高画質化、フラッシュ付きも 競合メーカーの独断許すまじでスタート切ったが、 お客さんがどのように受け入れるのか 手探りの状況で・・・ © KONICA MINOLTA 9
第2期(前半) 販売数急拡大 バリエーション機種拡充 【トレンド】 カメラライク (脱○ルンです) ↓ 小型化 ↓ バリエーション化 ↓ APS対応 ↓ 高画質化 ・商品カテゴリの浸透 ・「NICE SHOT」で販売急増 ・海外急増 © KONICA MINOLTA 10
第2期(後半) MiNiシェア急拡大 新フォーマットAPS 【トレンド】 カメラライク (脱○ルンです) ↓ 小型化 ↓ バリエーション化 ↓ APS対応 ↓ 高画質化 小型パトローネ 新フォーマット 1992年 従来のラボシステムでDPE可能な新規格 で小型軽量コンパクトを訴求。 1996年 写真業界はアナログフィルムの生き残り をかけて新フォーマットを発表・発売 1997年 CASIO QV10発売(プリントしない) ※以降、写真はデジタルへ一気に進む © KONICA MINOLTA 11
第3期 潜在ニーズの獲得 失敗写真の解消 【トレンド】 カメラライク (脱○ルンです) ↓ 小型化 ↓ バリエーション化 ↓ APS対応 ↓ 高画質化 2001年 デジカメ出荷台数がフィルムカメラを超えた © KONICA MINOLTA 12
生産拠点 • 国内生産拠点は、地元の協力会社(八王子)を皮切りに、栃木、羽村、甲府地区の数拠点(レンズ、 大中成型部品)へ拡大。リユース事業として神戸事業場で展開。 • 海外生産拠点は、タイ、中国(大連、東莞、丹東)、メキシコ、フランス。2000年より本格的に 海外生産を展開。2003年の甲府地区の拠点終息に伴い、100%海外へ移行した。 © KONICA MINOLTA 13
レンズ付フィルムは多分野の技術の複合製品 ファインダー ユニット [オプティカル] 光学モジュール ファインダーユニット [パッケージング] 外装カートン・ラベル 防湿包装 [ケミカル] フィルム 後カバー フィルム (パトローネ) [マテリアル] 樹脂・成型 スプロール (出荷時にフィルム を巻き付けている 部分) フィルム 取り出し ブタ 単4電池 [メカニクス] メカニカル・モジュール [エレクトロニクス] フラッシュ・モジュール 前カバー [デザイン] 工業デザイン 2003年 中央大学講義資料より © KONICA MINOLTA 14
様々な施策 • 企画から販売まで 企画~開発~製造~販売まで、シームレスな垂直立ち上げ。 • 製造・生産技術 全自動ラインの開発導入(国内): 60万本/月x4ライン(主力2種 x 2ライン) 専用設計機種も ハイサイクル+多数個取り射出成型: リユース/リサイクル: 最大16個取 耐久500万ショット以上 で単価削減。 ストロボ部品の独自購買: ストロボ、ボディのリユースで環境保護と原価低減 自前購買開始5年で最終平均単価47%削減 • 海外展開 生産とリユースの海外拠点構築。消費地循環生産体制の構築 主な拠点: タイ、中国(大連、丹東、東莞)、メキシコ、フランス • 環境関連活動 国内外F社,EK社との共同による回収ボディの3社交換プログラムを構築 鉛フリーはんだ採用 エコマーク取得 エコリーフ登録 アルミレスバリア採用 • 社会貢献活動 福祉団体4団体との協業、作業委託。 © KONICA MINOLTA 15
3.Goodyシリーズのヒ・ミ・ツ 16
Goody前夜 撮りっきりカメラの購買理由(アンケートより) 30% 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 価 小 品 店 格 さ 質 頭 が く だが で 安 らて か良 ら目 い 軽 らさ 立 か い そ つ ら か う か い い か ら 枚 操 数 作 が だし ち かや ょ らす う そ ど う 撮 て る か ら よ 信 そ 使 好 親 影 をく 頼 の 入っ き し 目 見C で 他 って だな み 的 るM き たみ かブ らが にか・ かて らラ あ ら気 ン る に ド か る 合 ら広 か っ 告 ら に 入 っ た か ら パ 好 評 ッ き 判 ケ だな が ー かメ よ 当時の撮りっきりコニカ (レンズ付きフィルム)特徴 【良い点】 ・安い ・小さく軽い:携帯性がよい ・どこでも買える ・操作がカンタン 失敗しない・・ハズ ジ らー い が カ か 気 ー ら % 累計 【まだまだな点】 ・画質はそこそこ~良くない ⇒安いから仕方ない © KONICA MINOLTA 17
失敗しないの?⇒ ユーザー調査してみた。 いつものレンズ付で【失敗したことは?】 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% 『暗い』場所での撮影シーンが 合計45.2% イ フ く ラ っ 景ル ミ ッ き が ネ シ り 写 て ー ュ 写 っ シな の ら て い光 な なョ ン が い いや 届 夜 い 人 が 小 さ く 写 っ て い る 赤 目 に な る 手 ブ レ し て い る 全 被 体 写 的 体 に だは 暗 けい い 暗い いが 、 背 景 被 写 体 が 切 れ て い る 近 く が ボ ケ て い る 色 が 悪 い 顔 が 白 い 画 全 面 体 的 が よ 歪 うに ザ ん に で ラ 白 ザ い い る ラ し た 遠 く が ボ ケ て い る 指 が 写 り 込 む そ の 他 背 景 が 切 れ て い る © KONICA MINOLTA 18
ユーザーが欲しい写真(最終形)は、コレ! 『近くもキレイ、背景もキレイに!』 © KONICA MINOLTA 19
ユーザーが欲しい撮りっきりは、コレ! 撮りっきりの使い勝手の 良さはそのままで、 さらに・・ • 「近くもキレイ、背景もキレイ」! • クイックチャージで、シャッターチャンスを逃さない! © KONICA MINOLTA 20
ユーザーが欲しい写真を作るには・・? パーツ [被写体] [背景] + 画像 条件:フィルム上で、被写体と背景の露光差が少ないこと! 手段 技術 被写体にあたるフラッシュ 光量を自動的に調節 [オート光センサー] フラッシュ無しで撮れる [オート絞りチェンジ+ 高感度&高画質フィルム] © KONICA MINOLTA 21
開発・生産に丸投げできたわけ 一つの場所に、頼れる仲間が結集&密にコミュニケート 事業管理担当 知財担当 生産:回収・ リサイクル担当 生産: 調達担当 商品企画 営業担当 開発:メカ担当 品質保証 担当 開発:メカ担当 (光学も強い) レジェンド開発者 (ピッカリ/ジャスピンコニカほか) 開発: エレキ担当 (ストロボ) 生産: 量産技術担当 生産: 包材担当 レジェンド開発者 (写真フィルム開発のエキスパート) © KONICA MINOLTA 22
撮りっきりコニカMiNi Goody/GoodyBEST誕生! ユーザーメリット 必要スペック • 「近くもキレイ、 背景もキレイ」 (顔が白く飛ばない +背景は明るい) • クイックチャージで シャッターチャンス を逃さない • 露光領域の拡大 (ISO1600フィルム) • 露出制御の精度 向上 • コンデンサー容量 減 © KONICA MINOLTA 23
4.中の人から総じてみると・・・ 24
開発現場では何が行われていたのかを深掘り! • 一言で言うと 「生・販・開」の緊密・迅速な協働が日常 (コンパクトな組織ゆえか、欠陥が多かったゆえか…) • 「情報共有の促進とベクトル合わせ」と「絶え間ない業務改善」 隣接する業務領域との積極的協働による、迅速な問題解決が繰り返 され、ルールや仕組みは、むしろ洗練され簡素化されていった。 施策の多くは未知のもの。社内に過去経験あったとしても情報が古 かったり、そのまま活用できるものではなかったが、向かうべき行 き先のイメージが明確で、かつ共有できていたからこそ、有効に 進められたと分析。 日野の大部屋 集まって言葉を 交わし絵にする 専門家集団 開発者の「綺麗な写真を 撮りたい!」という想い 大涌谷 エピソード © KONICA MINOLTA 25
5.話を聞いてみて思ったこと 26
話を聞いてみて思ったこと 撮りっきりコニカの 開発現場は 実はBe Agile だったのでは!? 製造業が強かったあの頃の日本を もう一度思い出してみませんか? アジャイルに通じる何かがあるかも! © KONICA MINOLTA 27
Thank you for your attention… ※「もっとMiNiサイレント巻き上げ」の機種キャラクター © KONICA MINOLTA 28