「AIツールを使える状態にするだけでは、開発現場には広がらなかった」 〜CCIグループ 北國銀行のインターネットバンキングシステム開発でのAI活用実践〜 - AI Dev Day 2026

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July 31, 26

スライド概要

2026/7/24 AI Dev Day 2026 の登壇資料です
https://aidevday.com/sessions/kakemizu-yuki
株式会社デジタルバリュー
https://www.digitalvalue.co.jp/

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株式会社デジタルバリューは、ITの力で北陸地域をより便利に、より住みやすい地域にしていくために、株式会社CCIグループ(旧:株式会社北國フィナンシャルホールディングス)の一員として2019年に設立されたデジタル企業です!全国各地のIT好きなエンジニアに参画してもらいながらアジャイルで地域のためのデジタルプラットフォームを作り続けています。

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各ページのテキスト
1.

AIツールを使える状態にするだけでは、 開発現場には広がらなかった CCIグループ 北國銀行のインターネットバンキングシステム開発でのAI活用実践 Yuki Kakemizu / DigitalValue AI Dev Day 2026 Sponsor Session 2026.07.24 Digital Value

2.

掛水 優輝 Yuki Kakemizu DigitalValue - シニアデベロッパー CCIグループ 北國銀行向けインターネットバンキング開発 Webフロントエンド領域のリード 開発現場でのAI活用推進 最近は Microsoft Foundry を使った AI Agent 開発にも取り組んでいます Digital Value

3.

| はじめに 会社紹介 & 対象プロダクト DigitalValue は、CCIグループのシステム会社として、 北國銀行向けシステムをはじめ、さまざまなプロダクト開発に取り組んでいます。 金融領域で培った開発力を活かし、内製開発・アジャイル・AI活用を進めています。 北國クラウドバンキング 北國銀行 個人向けインターネットバンキング 2019年 提供開始 利用者40万人 内製開発 & アジャイル いつでも、どこでも、あなたの窓口 北國クラウドバンキング 振込・残高 24時間 確認可能 北國銀行あて 手数料 0円 専用アプリで かんたんアクセス 今日は、この北國クラウドバンキングの開発現場で、 AI駆動開発をどう定着させていったかを話します。 Digital Value

4.

| はじめに プロダクトの開発体制 北國クラウドバンキングの機能開発には、4つの開発チームが関わっている。 ※ ほかに PO チームや技術支援チームもある。今日は開発チームに焦点を当てる 北國クラウドバンキングの開発 開発チーム 8名 開発チーム 8名 振込・残高照会などを行う、個人のお客さま向けサービス バックオフィスシステムの開発 開発チーム 7名 開発チーム 8名 顧客対応・照会などを行う、担当者向けの社内システム Digital Value

5.

生成AIは会社として導入され、誰もが使ってよい状態だった。 これで開発は加速する、はずだった。 ところが利用は、生成AIに関心の高い一部にとどまり、 チームには定着せず、開発は加速しなかった。 Digital Value

6.

| はじめに なぜ、チームに定着しなかったのか ⚠ 使い方、個人の工夫に依存していた ➶ 開発工程の中で、いつ・何に・どう使うかが未整理だった ▧ チームの基準をAIに渡す方法がなかった ▤ 良い使い方をためて、共有する場所がなかった 課題は、AIツールを使える状態から、開発プロセスで使われる状態へどう変えるかだった。 Digital Value

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| はじめに この課題に、どう取り組んだか 状況を打破するため、トップダウンの方針として、 バックオフィス側で先にAI駆動開発の型を作り、北國クラウドバンキングの開発を行う各チームへ広げることになった。 ※ 以降、型を作ったバックオフィス側の2チームを「先行チーム」、広げた先の2チームを「展開先チーム」と呼ぶ 2025年5月〜 小さな実案件で、AI駆動開発の型を作る 2025年10月〜 各チームへ広げる - やってみると、3つの課題が見えた 2025年12月〜 AI推進定例と4つの取り組みで、定着させる 現在 成果は、チーム全体の開発ペースに表れた 先に、結果 開発ペースは、平均で約1.5倍に どうやって、ここまで辿り着いたのか - 今日は、その過程を話します。 Digital Value

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| 型を作る まず小さく、AI駆動開発の型を作る 2025年5月、北國クラウドバンキング向けの バックオフィスシステム開発(先行チームの2チーム)から始めた。 ※ 北國クラウドバンキングより規模・影響範囲が小さく、最初に型を作るのに適した案件だった AIに任せるといっても丸投げではなく、工程ごとに3つを設計する必要がある。 何を渡すか AIに渡すコンテキスト 何をださせるか AIに期待する出力 人がどこを判断するか レビュー・承認のポイント ここでの「AI駆動開発」= この3つを設計しながら、実案件を進めること Digital Value

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| 型を作る GitHub Copilot Chat の prompt files を作業ごとに整備 この3つの設計を、個人の頭の中に置かず、チームで共有できる形にする。 2025年当時、その形として選んだのが GitHub Copilot Chat の prompt files (以降 prompts)。 ※ 再利用可能な指示テンプレート。Claude Code の slash commands や Codex の custom prompts に近い仕組み 設計資料作成 APIインターフェース検討 実装 単体テスト生成 統合テスト設計 何を渡し、何を出させ、どこを人が判断するか - 3つの設計を、prompts で共通の型に落とし込む Digital Value

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| 型を作る 設計資料の作成から始め、実装・テストへ広げた 最初の適用先は、人がレビューで確かめやすい設計資料の作成。 使い方の型が見えた後、API層・Service層の実装、単体テスト生成へ広げた。 設計資料 画面項目定義書 バリデータ仕様書 API URL / IF設計 → 実装 API実装 Service実装 Factory → テスト API単体テスト Service単体テスト 統合テスト観点 レイヤー×工程ごとの prompts が揃い、AI駆動開発の基本形が見え始めた Digital Value

11.

| 詳細事例 代表例:単体テスト生成 prompts に足りなかったもの 最初の prompts は、当時の一般的なプロンプト設計に沿ったものだった。 それでも、実案件では期待どおりの出力にならなかった。 ※ これは単体テスト固有の話ではなく、チームの合格基準をAIに渡す進め方の代表例 書き方が揃わない テストメソッド名や属性の書き方が揺れる 観点が足りない enum 分岐などのパターンが網羅されない 余計なものを作る 分岐していない値だけを変えたテストデータが増える 頼んでいないことまでやる 本来のタスク範囲を超えて別のコードまで生成する 足りなかったのは、一般的なベストプラクティスではなく、チーム固有の合格基準だった Digital Value

12.

| 詳細事例 4つの改善で、prompts は workflow になった 実案件でうまくいかない点を直し続け、prompts はAIと人間の役割分担を含む workflow へ育った。 実案件での4つの改善 書き方が揃わない → ① 既存の類似テストを参照させる 観点が足りない → ② 生成前に、人が設計を承認する 余計なものを作る → ③ 失敗を良い例・悪い例として固定する 頼んでいないことまでやる → ④ タスク範囲を明示する → --- agent: agent description: 単体テスト生成 tools: [編集, 実行, 検索, ナレッジ参照MCP, コード検索MCP] --- # 目標 対象クラスの単体テストを、チームの標準形式で作成 # 手順 1. 既存の類似テストを取得し、参考にする (①) 2. テスト設計だけを出力し、人の承認を待つ (②) 3. 承認後にテストコードを生成する 4. ビルドとテスト実行で検証し、結果を報告する # ルール・制約 - 良い例・悪い例 (実際の失敗を固定) (③) - タスク範囲外の実装は禁止 (④) 強い命令を書くのではなく、チームの合格基準をAIに渡すことが重要だった Digital Value

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| 基盤の全体像 prompts だけではなく、参照フローも整える workflow の手順には「既存の類似テストを取得する」と書いた。 AIが必要な情報にたどり着けなければ、この workflow は動かない。 prompts / workflow 手順の中から参照 → MCP → 設計書・仕様書 社内 Wiki 既存コード・既存テスト リポジトリ・テスト計画 API 異常系設計 Excel MCPで、prompts からこれらの文脈へたどり着ける状態にした Digital Value

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| 基盤の全体像 私たちのAI駆動開発基盤:3つの設計が、仕組みになった 何を渡すか コンテキスト・実例・規約 MCPで参照する設計資料・既存コード 良い例・悪い例 常時参照されるコーディング・テスト規約 何をださせるか 作業ごとの prompts 期待する出力と手順を テンプレート化して共有 人がどこを判断するか workflow の承認ポイント 設計 → 承認 → 生成 → ビルド・テスト実行 → 結果確認 最初から設計し切れたわけではなく、実案件でうまくいかない点を直しながら、この形にたどり着いた Digital Value

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ここまでは、先行チームが 小さく型を作った話。 先行チームの中では、AI駆動開発が回る状態になった。 ただしこれは、まだ先行チームに閉じた話でもあった。 複数のチームで再現できて初めて、開発プロセスの型と言える。 ここからは、その型を 展開先チーム - 北國クラウドバンキングの開発を行う2チーム - へ広げた話です。 Digital Value

16.

| チームへ広げる 配るのではなく、伴走して広げる 展開先チームにとって、AI駆動開発は初めての進め方。prompts を渡すだけでは、使い方までは伝えられない。 そこで、先行チームのメンバーが各チームに入り、ペアプロ・モブプロで一緒に開発しながら広げることを試みた。 先行チーム メンバーが各チームに入る → ① 約1か月 (2 Sprint) 伴走 → 展開先チーム1 ペアプロ・モブプロで一緒に開発 ② 約1か月 (2 Sprint) 伴走 → 展開先チーム2 ペアプロ・モブプロで一緒に開発 ※ 説明会ではなく、実案件のタスクを題材に AI駆動開発の進め方を、 実際の開発タスクの中で一緒に体験してもらった。 Digital Value

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| チームへ広げる 伴走で見えた、3つの課題 課題1 インプットの差 チームごとに、ドキュメントの粒度や参照する 補足資料が違う。同じ prompts でも、出 力が揺れる。 課題2 AIを使う習慣 一緒にやれば、その場では使える。でも、普 段の開発の中で使う習慣としては定着し らない。 課題3 prompts を調整するスキル 実際の開発では、タスクに合わせて prompts を調整する場面がある。そのス キルは、伴走だけでは身につききらない。 先行チームの型をそのまま渡すだけでは、各チームで再現できなかった Digital Value

18.

| 定着させる 課題を解消する場として、AI推進定例を始めた 一緒にやって見せるだけでは、普段の利用は定着しきらなかった。 だから、各チームとコミュニケーションを取り続けるアプローチを選んだ。 場の設計 毎週開催 - 利用が定着するまで 各チームから1〜2名が参加 開発者・チームリーダー 毎週決めること 課題にどう対応するかと、その優先度 作る prompts と担当 各チームで試すこと ※ AI利用を前提にしたタスクアサインなど、まず「AIを使う場面」を普段の開発に作る工夫も重ねた 決めて終わりではなく、翌週に結果を持ち寄って、また決める - この繰り返しで課題を解消していった Digital Value

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| 定着させる 定例で検討を重ねながら、4つの取り組みを進めた 目的は、各チームがAIを普段の開発で使い、課題を自分たちで改善できる状態を作ること。 ① インプットを整理し、粒度を揃える - チーム間の「インプットの差」を解消 ② AI駆動開発を進める優先度を定める - 効果の出る工程から順に ③ 各チームが、担当工程の prompts を作る - 使う側から、作る側へ ④ 共通基盤と改善ループを回す - 作った prompts を全チームの資産に ここからは、この4つの取り組みを順に見ていく Digital Value

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| 定着させる 取り組み①:AI駆動開発に必要なインプットを整理する 開発工程ごとに「AIに何を渡すか」を洗い出し、 どの設計書を・どの粒度で用意するかを、各チームと合意しながら揃えていった。 画面項目定義書 画面イベント設計 URL設計 バリデータ仕様 エラー設計 ロバストネス図 APIインターフェース Serviceインターフェース テスト設計 ※ 資料は各工程の代表例。ほかに既存コード(見本コード)・Figma・OpenAPI 定義などもインプット prompts を揃えるだけでなく、インプットの粒度も揃える必要があった アジャイルでも設計資料を残し、メンテナンスする文化がAIへ文脈を渡す土台になった。 Digital Value

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| 定着させる 取り組み②:AI駆動開発を進める優先度を定める 導入フェーズは、効果が出やすい領域から。 一次リソース - AIに渡せる設計書や既存コード - があるかで優先度を定めた。 優先度 1 実装 設計資料・見本コードが揃って いる 2 詳細設計 前段の設計資料から作れる 3 テスト 設計資料と実装コードが入力 になる 4 基本設計 前段の資料が薄く、検討の比 重が大きい ※ 一次リソースのない新規の検討タスクや、作図系・効果の薄い定型作業は、優先度を下げた 優先度を定め、効果が出るところから早く見せることで、広げる足場を作った Digital Value

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| 定着させる 取り組み③:各チームが、担当工程の prompts を作る 有識者が作って配るのではなく、 工程ごとに担当チームを決め、各チームが作る体制にした。 担当割り当ての例(チーム名は説明用) APIインターフェース検討 統合テストケース作成 API実装 展開先チーム1 展開先チーム2 狙い 使い方を“受け取るだけ”にしない 自分たちの工程に合わせて考える チームごとの違いを自分たちで吸収する 使う側から、作る側へ - 作る過程で「prompts を調整するスキル」がチームに育つ Digital Value

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| 定着させる 取り組み④:共通基盤に集め、使いながら改善する 各チームが作った prompts・規約・使い方ガイドは、共通基盤に集約。 作って終わりではなく、使って見えた課題を反映し続ける運用にした。 使う 実案件で prompts を利用 → 記録する 課題・改善要望を残す → 反映する 共通 prompts に反映 反映された prompts を、次の実案件でまた使う 実際に挙がった改善の例: 「設計書内のリンク先も参照してほしい」 → 参照手順を prompts に追加 「単体テストのテストデータで配列生成が苦手」 → 実装済みコードを参考例として追加 先行チームに閉じていた「使いながら直す」が、チームを跨いだ改善ループになった Digital Value

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| 成果 成果:開発ペースは、平均で約1.5倍になった 生成AIを使う前提の開発が各チームへ広がり、開発ペースは平均で約1.5倍になった。 約1.5倍 導入前後倍率の平均(開発ペース=スプリントあたりのポイント消化量) チーム差は残っている - だから、共通基盤と改善ループを回し続けている Digital Value

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| 成果 バーンダウンで見ると、開発期間は約1年の短縮見込み スプリント単位では約1.5倍。プロダクト全体のバーンダウンで見ると、 導入前のペースでは2028年10月頃だった完了見込みが、約1年前倒しの見込みになった。 残りポイント(目盛りは非表示) 実績 AI駆動開発 導入 現在 導入前のペースでの見込み 現在のペースでの見込み 約1年前倒し 2025 2026 2027 2028 2028年10月頃 2027年 秋頃 Digital Value

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| 成果 「使える状態」は、「使われる状態」になったか 始める前 - なぜ、定着しなかったのか 使い方が、個人の工夫に依存していた いつ・何に・どう使うかが未整理だった チームの基準をAIに渡す方法がなかった 良い使い方をためて、共有する場所がなかった → → → → いま 使い方を、チームの誰もが再現できる 工程ごとに prompts があり、使いどころが決まっている workflow が、合格基準ごとAIに渡す 共通基盤にたまり、使いながら改善され続ける 利用も生成AIに関心の高い一部にとどまらず、多くの開発者が普段から利用。PMOにも広がった。 Digital Value

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| 展望 今後の展望:時代に合わせて、型をアップデートし続ける ツールに依存しない形式へ prompts を skills 化し、開発者が成果を出しやすいAIツールを選べるようにする 共通基盤の配布を自動化する 今は各リポジトリへ手作業で反映している。APMでパッケージとして配布・更新できる形へ 改善ループの対象を広げる 各チームから生まれる効率化系の skills も、共通基盤へ統合していく 設計・生成・検証を、より自律的に回す workflow を Agent Loop へ進化させ、生産性をさらに引き上げる 一定の成果は出た。それでもまだ道半ば - 開発を加速させ続ける Digital Value

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一緒に働く仲間を募集しています 今日お話ししたAI駆動開発の基盤づくりに、完成はありません。 AIの進化に合わせて、開発のやり方もこれからも進化していきます。 だからこそ、この続きを一緒に進める仲間を探しています。 AI駆動開発の基盤づくり 金融システムの内製開発 開発プロセス改善 チームでのものづくり アジャイル・スクラムでのチーム開発 AI Agent を取り入れた開発環境 この続きが気になった方は、ぜひお声がけください。 DigitalValue 採用ページ Digital Value