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September 04, 26
スライド概要
令和8年度診療報酬改定で、長期収載品の選定療養の「特別の料金」が価格差の1/4相当から1/2相当に引き上げられます。変わるのは割合だけで、対象品目や医療上の必要性・在庫不足による例外は現行どおりの見込みです。特別の料金は2倍でも患者の窓口総額は775円→950円にとどまる仕組みを図解し、患者説明の勘所と現場のアクションプランを13枚にまとめました。医療機関・薬局の実務担当者向け。
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【令和8年度改定】長期収載品の選定療養、特別の料金が価格差の2分の1へ
https://www.daitoku0110.news/p/long-listed-drug-patient-burden-2026
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
令和8年度診療報酬改定: 長期収載品の選定療養 「特別の料金」引き上げに伴う影響と、現場の患者コミュニケーション・実務対応ガイド 医療機関・薬局の経営者、医師、 薬剤師、医療事務担当向け 運用マニュアル
制度変更のサマリー 現行:令和6年度 改定後:令和8年度 特別の料金の 計算割合 価格差の「4分の1」相当 価格差の「2分の1」相当 [唯一の変更点] 対象となる 品目の範囲 上市後5年経過、 または置換率50%以上 変更なし (維持される見込み) 対象外となる 例外規定 医療上の必要性 / 後発品の在庫不足 変更なし (維持される見込み) 消費税の取扱い 保険外のため別途課税 変更なし 制度の枠組みは維持。変わるのは「価格差に乗じる割合」のみ。
価格差のサマリ 現行 (1/4相当) 令和8年度 (1/2相当) ・見直しの対象は、計算式における「割合」の数字のみです。 ・長期収載品の薬価から、後発医薬品の最高価格帯の薬価を差し引いた「価格差」。 この価格差に掛け合わせる係数が、現行の「4分の1」から「2分の1」へと引き上げられます。
特別の料金と患者支払総額の逆説的メカニズム 総額: 950円 総額: 775円 窓口一部 負担金/ 3割負担 (450円) 保険給付 対象とな る部分 窓口一部 負担金/ 3割負担 (525円) 特別の料金 (250円) 特別の料金 (500円) 2倍に 増加 正前 改革 ・特別の料金が増える分、保険給 付の対象額が減少し、一部負担 金が下がります。 ・結果として、特別料金自体は 「2倍」になっても、窓口での 支払総額の増加は「約23%増 (175円増)」にとどまります。
患者コミュニケーションの落とし穴と推奨される説明 誤解を生む説明 「次回の改定から、特別の料金が 2倍になります」 事実ですが、患者は「窓口での支払いがす べて2倍になる」と錯覚し、不要なトラブル やクレームに繋がるリスクがあります。 正確で安心感を与える説明 「次回の改定で、窓口でのお支払い総 額は〇〇円(約〇割)ほど上がります 」 「特別の料金」と「一部負担金」の相殺効 果を踏まえた、実際の支払総額の着地見込 みを具体的に伝えます。 (※長期処方や複数品目の服用患者には、増加額が積み上がるため特に丁寧な説明が必要です)
実際の負担増の規模感(レセプトデータ分析) 外来・調剤全体に対する選定療養の割合: 4.9%(約368万件 / 令和6年11月実績) 特別の料金の分布: 90.0%が1,000円未満、98.3%が2,000円未満。 4M 3M 件2M 1M 0 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000+ 特別の料金(円) 大半のケースにおいて、絶対額としての患者負担の増加は限定的な範囲に収まります。
選定療養の対象品目(現行ルールを維持) 後発医薬品の上市 上市後5年を経過 選定療養の対象へ 50% 5年未満でも、後発品への 「置換率50%」に達していれば対象。 例外: 置換率が極めて低く、市場に後発品がほぼ存在しない品目は対象外。
例外規定の判断フローチャート 長期収載品を希望・処方 医療上の必要性があるか? (医師による「変更不可」の指示など) NO 薬局に後発医薬品の在庫がなく、 提供が困難か? NO 選定療養の対象 (1/2の特別料金を算定) YES 対象外(特別料金なし) YES 対象外(特別料金なし) 令和6年度調査では、 調剤品目の43.9%がこの 「在庫不足」を理由に対象 外と判断されています 現場では、これら「対象外判断の根拠」を処方箋や薬歴に明確に記録しておくことが不可欠です。
なぜ負担水準は引き上げられるのか?(中医協の3つの根拠) 単なるコスト削減ではなく、医療資源の最適化と次世代への投資サイクルを回すための構造改革です。 医療保険制度の持続可能性 創薬 イノベーション の推進 後発医薬品の 更なる使用促進 保険給付の 公平性の確保
イノベーションのエコジオウム発薬システム構築 新薬の 研究開発・上市 特許期間中の 売上で投資回収 先発品の 市場撤退と、 新たな革新への 再投資 後発品上市・安定供給の バトンタッチ 選定療養による長期収載品の 給付絞り込みがここを促進。 長期収載品への保険給付を絞り込むことで、先発品企業が 「次なる革新的な新薬」の開発へ資源を集中できるサイクルを目指しています。
使用促進と世代間公平性の担保 後発医薬品の使用促進 90.6% (令和7年3月時点) 選定療養導入後、一定の効果は見られた が横ばい傾向。今回の引き上げで、 更なる後発品へのシフトを狙う。 保険給付の公平性 医療上の必要性が ない先発品選択 保険料を負担する 現役世代 医療上の必要性がない場合の費用差を 縮め、現役世代の負担を軽減する。 ※中医協では「全額自己負担 (1/1)」の強硬論もあったが、小児・低所得者への配慮や、後発品の供給不安を懸念する声から「2分の1」で決着しました。
令和8年度改定に向けた現場アクションプラン 1 コミュニケーションの準備 ・金額の見通しを具体的に伝えるシミュレーションの準備。 留意点: 調査では「特別料金がいくらでも先発品を選ぶ」患者が28.3%存在。 無理な切り替え説得ではなく、正確な情報提供に徹する。 2 対象外理由の記録の徹底 ・処方箋への「変更不可(医療上必要)」の記載漏れ防止。 ・薬局における「後発品在庫不足」の事実確認と薬歴への詳細な記録。 3 施行時期の注視 ・改定本体と同時か、あるいは令和6年度(10月1日施行)のように遅れて施行 されるか。今後の厚生労働省の「告示・通知」を必ず確認する。
総括:変わるのは割合だけ、求められるのは「正確な翻訳」 制度 計算式は「4分の1」から 「2分の1」へ。対象範囲 や例外(医療の必要性・ 在庫不足)のルールは 現行を維持。 財務 特別の料金自体は2倍に なるが、保険給付額の減 少により、患者の実際の 支払総額の増加はマイル ドな曲線を描く。 実務 最も重要なのは、この「直 感に反する計算の仕組み (総額は2倍にならない)」を 現場スタッフが正しく理解し、 患者に翻訳して伝えること。 制度の根底にある「医療保険の持続可能性」と「イノベーションの推進」 という目的を理解した上で、次期施行日に向けた院内・薬局内の オペレーションと対話の準備を進めましょう。