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October 29, 26
スライド概要
令和8年8月5日の中医協総会で報告された、食道癌の再生医療等製品「テロメライシン注」の最適使用推進ガイドラインを図解します。臨床成績、施設・医師・患者の要件、投与上限3回、カルタヘナ法の取扱い、レセプト摘要欄の記載3項目(8月13日適用)を整理しました。
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テロメライシン注の最適使用推進GL|食道癌治療の施設要件と算定の注意点
https://www.daitoku0110.news/p/telomelysin-optimal-use-guideline
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
テロメライシン注 最適使用推進ガイドライン:導入に向けた施設要件と算定の完全ガイド 令和8年8月13日適用 ー 病院長、医療安全、専門医、レセプト担当者向け導入設計図
革新的再生医療等製品を安全に導入・運用するための4つの要件 革新性 遺伝子組換えアデノウイルスによる局所完全奏効(L-CR)を狙う再生医療等製品。 厳格な要件 「施設」「医師」「患者」の3つの厳しい基準を全てクリアした体制のみが使用可能。 運用上の障壁 カルタヘナ法に基づく「第一種使用規程」を遵守し、ウイルスの拡散を防止する空間・動線管理が必須。 算定と請求 令和8年8月13日より適用。レセプト摘要欄への「3つの必須記載事項」を満たさなければ保険請求不可。
最適使用推進ガイドラインの役割:革新性と医療経済・安全の担保 革新的かつ高額な医薬品 背景 革新的な医薬品や再生医療等製品は極めて高額であり、医療保険財政や国民負担への影響が懸念される。PMDAと関係学会が連携し、承認審査と並行して作成される。 最適使用推進GL(平成29年9了承) 目的 薬価収載(保険適用)までに通知を発出し、「どの施設で」「誰が」「どの患者に」使うべきかを厳格に規定することで、患者の安全と医療保険制度を持続可能にする。 真に必要な患者への投与 適切な施設での使用
テロメライシン注(スラタデノツレブ)の選択的抗腫瘍メカニズム 正常細胞 hTERT Low 増殖不可 腫瘍細胞 hTERT High 細胞溶解 遺伝子組換えアデノウイルスを主成分とする。hTERT遺伝子プロモーターの制御下で複製遺伝子を発現するよう改変されているため、hTERTを高発現する腫瘍細胞内でのみ特異的に増殖し、腫瘍を破壊する。
放射線療法との併用による局所完全奏効(L-CR)率と統計学的解釈 41.7% 24週までのL-CR率(15/36例) [対象: cStage II・IIIの局所進行食道癌患者] 18カ月成績(探索的解析): 50.0% (18/36例) 閾値: 30.2% 27.7% - 56.7% 統計的留意点: 90%信頼区間の下限(27.7%)が、放射線単療法のCR率から設定した閾値(30.2%)を下回った。このため、事前の閾値に対する統計的有意差は認められていない。
97.3%に及ぶ有害事象発現率とリスクマネジメントの重要性 有害事象頻度 発熱: 62.2% リンパ球数減少: 56.8% 食道炎: 35.1% 重要注意事項 全体発現率: 有害事象は97.3% (36/37例)に発現。本品と因果関係が否定されない副作用は70.3%。 重症度: Grade 3以上の有害事象が70.3% (26/37例)。 中止・死亡事例: 死亡に至った有害事象1例(急性呼吸窮迫症候群)は放射線療法に関連し、本品との因果関係は否定。本品による投与中止例はなし。
導入を阻む3つの壁:最適使用推進ガイドラインの厳格な要件 テロメライシンの安全かつ適正な運用 施設要件 がん診療体制とカルタヘナ法対応 医師要件 専門的な臨床経験と特定知識 患者要件 適応外を弾く厳密なスクリーニング
施設要件マトリクス:高度がん診療・カルタヘナ法・安全管理体制 がん診療体制(いずれか1つ必須) ・がん診療連携拠点病院等(指定) ・特定機能病院 ・がん診療連携病院(都道府県指定) ・外来腫瘍化学療法診療料(1・2・3)届出施設 ・抗悪性腫瘍剤処方管理加算の届出施設 (※食道癌への放射線療法実施が可能であること) カルタヘナ法への対応(必須) ・「第一種使用規程」に従った取扱いの遵守 ・患者に十分な説明を行うためのチーム医療体制の構築 安全管理体制(必須) ・「再生医療等製品の情報管理担当者」の配置 ・重篤な副作用に対し、自施設または連携施設で「24時間対応」できる体制
責任医師の資格要件:臨床経験(年数)と専門知識(技術)の両輪 経験トラック: 臨床経験 初期研修修了後、以下のいずれか ・5年以上のがん治療研修(うち2年以上は臨床腫瘍学/薬物療法) ・5年以上の消化器外科学修練(消化器癌の薬物療法を含む) ・4年以上の臨床経験(うち3年以上は消化器病学/消化器癌薬物療法) 知識トラック: 特定知識と技術 すべて必須 ・食道癌治療および上部消化管内視鏡診療の学識・技術の習得 ・製造販売業者による「適正使用の講習」受講と資材内容の十分な理解 ・「カルタヘナ法」の理解と第一種使用規程に従った取扱いの実践能力
Clinical Blueprint 投与対象患者のスクリーニング:除外基準を可視化するディシジョンツリー 食道癌患者 根治切除及び化学放射線療法の適応とならないか? NO: 対象外 YES: 除外基準確認(いずれかに該当でSTOP) ・放射線療法の治療歴があり、照射野が重複する ・他の抗悪性腫瘍剤と併用する ・cStage 0 (標準的な内視鏡的切除が推奨) ・cStage IVB (通過障害がなく標準的化学療法が推奨) ・本品の成分に過敏症の既往歴がある(禁忌) 対象: 主にcStage II・IIIの患者 ※これ以外は第II相試験未組入れのため、臨床上の必要性を極めて慎重に検討すること
治療プロトコルと絶対的ルール「上限3回投与」の厳守 テロメライシン投与 Day 1, Day 15, Day 29 手技: 上部消化管内視鏡下で腫瘍内に直接注入。 用量: 1回1mL。腫瘍の大きさ/数により最大2mLまで増量可。 間隔: 概ね2週間間隔で計3回。 放射線療法(併用前提) Day 4からDay 43まで。 用量: 1日2.0 Gy、週5回、総線量60 Gyを参考。 最大投与回数は「3回」。3回を超える投与の有効性・安全性は未評価。 放射線療法が延期になっても、上限3回は絶対に超過してはならない。
カルタヘナ法に基づく空間管理とウイルスの拡散防止体制 保管 「遺伝子組換え生物等」の表示を付した、適切に管理された専用の冷凍庫で保管(原液)。 調製 他の区画と明確に区別された専用の作業室で調製。 投与 他の区画と明確に区別された専用の治療室で投与を実施。 投与後・退院 排出等の管理が不要になるまで、他施設での治療を避けるよう患者指導。 廃棄物は医療廃棄物管理規程に従い「感染性廃棄物」として処理業者へ委託。
保険請求(レセプト)摘要欄における3つの必須記載事項 令和8年8月13日適用。GLに従った使用が前提であり、以下の3項目を満たさない場合は保険請求が認められない。 必須記載事項 1. 医療施設の要件への該当性 2. 治療の責任者の要件への該当性 3. 本製品の投与回数 担保すべきGLの要件事項 1. GL「4. 施設について」①-1(1)の施設区分 2. GL「4. 施設について」①-2の医師要件 3. 投与回数(上限3回を超えていない証明) 院内での事前アクション 1. 導入前に診療部門が施設基準要件を確認 2. 講習受講・臨床経験年数の証明確認 3. カルテ・レセプトシステムでの回数管理
導入を成功に導くための院内・部門間クロスファンクショナル連携 診療部門: 施設・医師の要件該当性の確認。患者の適応外スクリーニング。 医療安全・情報管理: 重篤副作用への24時間対応体制の整備。再生医療等製品の情報管理担当者のアサイン。 医事課・レセプト担当: 摘要欄への3要件記載フローの構築。投与回数(最大3回)のアラート設定。 薬剤部・設備管理: カルタヘナ法に基づく隔離保管・調製室の確保。感染性廃棄物ルートの確立。 事前連携なくして、安全な投与と確実な算定は成立しない。
テロメライシン導入の要諦:すべてを規定する「3」の法則 3つのハードル 導入を許可されるのは、「施設」「医師」「患者」の3要件をすべて満たしたケースのみ。 最大3回の投与 放射線療法が延期になっても、有効性と安全性の観点から「上限3回」は絶対に超過不可。 3つのレセプト記載 算定・請求を成立させるため、摘要欄に「施設区分」「医師要件」「投与回数」の3項目を必ず記載。 令和8年8月13日より保険適用上の留意事項適用開始。体系的な準備で、確実な導入を。