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April 29, 26
スライド概要
令和8年度診療報酬改定Ⅱ-5「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」を実施・運営・誘導の3層構造で総整理。訪問看護ステーションと保険医療機関の実務担当者向けに、3つの見直しの全体像と対応アクションを解説します。
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令和8年度改定|質の高い在宅医療・訪問看護を確保する3つの見直しを総整理
https://www.daitoku0110.news/p/home-nursing-quality-revision-2026
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
訪問看護ステーション・保険医療機関 向け要約 令和8年度改定 | 質の高い 在宅医療・訪問看護を 確保する3つの見直し 実務担当者向け:実施・運営・誘導の 3層構造と対応アクションの完全整理
ルールの羅列ではなく、3軸を同時に整える「一体改革」 現場 組織 関係 令和8年度改定(個別改定項目「Ⅱ-5」)の真の狙いは、 健康保険事業の健全な運営の確保です。訪問看護の 「実施・運営・誘導」の3層の規律を整合的に強化すること で、在宅医療全体の透明性と質を抜本的に引き上げます。 現場の運用、組織のガバナンス、そして医療機関との 関係性。これら3つを同時にアップデートすることが、 これからの事業存続の必須条件となります。
なぜ今、ルールの抜本的な見直しが必要なのか? 現場の課題:実施内容のばらつきと「短時間訪問」の過度な濫用・画一的な訪問。 組織の課題:不健全な運営実態。(※高齢者住まい併設型の一部事業所では全社営業利益率が20%を超える異常値が確認されている) 関係性の課題:退院支援時における、高齢者住まい等への不適切な誘導・患者の囲い込み。 令和8年度改定 介入・是正
見直しの全体像:医療エコシステムを規定する「3層構造」 第1層(現場運用):適正な訪問看護の推進 記録書の記載内容明確化・短時間訪問の濫用規制 第2層(組織運営):指定訪問看護の運営基準の見直し 適正手続き・健全運営・誘引/誘導禁止の新設、 安全管理・記録整備の義務化 第3層(関係性):療養担当規則の見直し 保険医療機関から訪問看護・高齢者住まい等への 誘導と利益収受の禁止
[第1層:現場運用] 標準時間を下回る「短時間訪問」の厳格化 Q1:標準時間(30分〜1時間30分程度)を下回る訪問か? NO YES 通常通り実施可能 Q2:同一日に同一利用者へ複数回、または複数 利用者へ「頻繁」に行われているか? NO YES 実施可能 Q3:事前に標準時間の計画を作成した上で、利用 者側の「やむを得ない事情」によるものか? YES NO 例外として規制対象外 (実施可能) 【指定訪問看護を実施したと 認めない(算定不可)】
[第1層:現場運用] 記録要件の明確化と「実績」の証拠化 予定時刻 ☑実際の開始 ・終了時刻 1. 目標・計画に沿った実施 看護目標及び訪問看護計画に基づく実施の徹底。 2. 一律決定の禁止 利用者の状態を踏まえない、画一的な訪問の禁止。 3. 目標達成の評価の記録 訪問看護記録書に「目標達成の程度」及び「その効果 に関する評価」を必ず記録する。 4. 【重要】実際の訪問時刻の記載 計画上の「予定時刻」ではなく、「実際の開始時刻と 終了時刻」を記録書に明記する。
[第2層:組織運営] 運営基準に追加される「4つの新規定」 療養担当規則と同様の規律を訪問看護ステーションにも導入。(運営基準 第五条の二〜五) 適正手続きの確保 健康保険事業の 健全な運営確保 経済上の利益による 誘引禁止 特定の主治医・ 事業者等への誘導禁止
【第2層:組織運営】 安全管理体制の義務化と「2年間保存」ルール 完結の日 【2年間保存】 安全管理体制の確保 (第28条第3項) 指定訪問看護に係る安 全管理のための体制確 保が「義務化」へ。 記録整備の義務化(第30条):以下の6種類の書類 ① 訪問看護記録書 ② 訪問看護指示書 ③ 訪問看護計画書 ④ 訪問看護報告書 ⑤ 市町村等への情報提供書 ⑥ 市町村等との連絡調整に 関する記録
【第3層:関係性】 医療機関から特定施設への「誘導」と「利益収受」の禁止 ルール:保険医療機関が患者に特定の事業者を利⽤するよう指示等を行う対償 対償として、事業者から金品等を受け取ることを禁止。 患者の誘導・紹介 保険医療機関 金品の収受(対償) 1. 指定(介護予防)訪問看護 2. 指定(介護予防) 特定施設入居者生活介護 3. 地域密着型サービス3類型 4. 指定(介護予防) 居宅介護支援 5. 介護保険施設
【実務上のレッドゾーン】系列法人・迂回的な利益収受も完全包囲 Direct Kickback Hospital Nursing Station 特定の関係性への監視強化 誘導禁止規定は、対象の事業者と「特別の関係にある事業 者」にも適用されます。迂回的な利益収受も完全に封じら れます。 Indirect Loophole (High Risk) HIGH RISK /規制対象 系列法人 (Affiliated Corporate Group) Hospital Nursing Station 最も問われやすいケース 退院支援時、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーション を「系列法人」で運営している場合。患者の囲い込みと利益 収受の関係が厳しく問われます。 名目を問わない 「紹介手数料」や「委託料」等の名目であっても、実質的に 患者紹介の対償と評価される金銭授受は禁止です。
実務担当者のためのアクション・マトリクス 訪問看護ステーションの対応 保険医療機関の対応 標準時間に基づく訪問計画の作成と 個別対応の徹底 紹介行為と金銭関係を明確に切り 離す運用ルールの策定 記録書への「実際の訪問時刻」と 「目標達成評価」の記載 複数の選択肢を客観的情報とともに 提示し、患者意向を優先する 運営基準の4規定(適正手続き・ 誘引禁止等)のルール整備 系列・提携先への案内時、紹介料・ 委託料が対償とみなされないか点検 安全管理体制の構築と、6種類の 記録の2年間保存体制の整備 診療録へ「紹介経緯と判断根拠」を 厳格に記録する運用の徹底
Polished Policy Blueprint 透明性と質を担保する事業所だけが生き残る時代へ 現場 High-Quality Care Ecosystem 組織 関係 令和8年度改定は、単なるペナルティの回避策ではなく、 在宅医療全体の透明性と質を高めるための「実務改善の機会」です。 現場の正確な記録、組織の適正なガバナンス、そして医療機関とのクリーンな連携。この3層のアップデートを計画的に 進めることが、質の高い訪問看護を継続的に提供し、地域社会からの信頼を獲得するための最短ルートとなります。