20250212公開天文台の立地条件

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February 15, 25

スライド概要

かんさい観光情報学研究会2024年度第1回研究会CFPにて発表したスライドです。

公開天文台は、星を見るために光害の少ない場所に設置されており、郊外や山間部に多く存在します。本研究では、交通アクセスが公開天文台の夜間観望会への参加人数に与える影響を調査し、到達圏人口と参加者数の関係を分析しました。その結果、150分から240分の圏域で弱い相関が見られましたが、全体的には交通アクセスと参加者数との関係は薄いと考えられ、他の要因の考慮も必要です。また、今後は季節や天候の影響を踏まえた複数年の分析が求められています。

https://sites.google.com/view/kansai-sti/events/%E7%AC%AC%E5%9B%9E%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A?authuser=0

発表内容は報告者個人の見解に基づくものであり、発表者が所属する組織の公式見解ではございません。
また、内容に誤りがある可能性があります。ご了承の上閲覧ください。

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各ページのテキスト
1.

公開天文台の立地条件 米澤 樹(みさと天文台/和歌山大学観光学研究科) 澤田 幸輝(沖縄女子短期大学/和歌山大学観光学研究科) 尾久土 正己(奈良県立大学) 1

2.

公開天文台とは • 公開を目的として設置さ れた, 据え付け型及び移 動型望遠鏡を有する施設 • 全国に約300ある • 宿泊施設、科学館、図書 館、公民館付属など、 様々な形態・背景の公開 天文台がある [1]日本公開天文台協会, 「公開天文台白書 2018」. 2018年. 公開天文台の口径別分布 2

5.

観光地の立地条件について 観光地の立地条件に関して様々な研究がある • 交通アクセスと入館者数の関係が深いことは経験的に分かって いるが、数量的な把握は困難[2] • 観光客の興味・関心と距離などのコストの折り合い[3] • 交通アクセスの重要性について指摘[4] [2]松永直幸, 「ミュージアムの立地に関する考察」, 文化経済学, vol. 3, no. 4, pp. 53–61, 2003. [3]小松原尚, 「観光地の立地条件」, 奈良県立大学研究季報, vol. 20, no. 1, pp. 1–11, 10月2009. [4]味水佑毅, 鎌田裕美と山内弘隆, 「観光地の商圏分析-温泉地を例として-」, 交通学研究, vol. 55, pp. 93–102, 2012, 5

6.

公開天文台の立地条件 • 星を見るため、街灯り(光害)が少 ないところへ設置 • 郊外や山間部に設置されることが 多い[5] • 自家用車・タクシーでしかアクセス できない施設が69%[1] 公開天文台のアクセスについて [5]清水実, 「天文台の設置条件」, 第3回全国の天体観測施設の会, p. p.77-79, 1995. [1]日本公開天文台協会, 「公開天文台白書2018」. 2018年. 6

8.

本研究の目的 交通アクセスが公開天文台の夜間観望会の参加人数 にどのような影響を与えているか 8

9.

分析手続き • 公開天文台白書2018[1]の回答施設の内、週に2回以上夜間 観望会を実施している施設(n=35)を対象 • 交通アクセスの指標として到達圏人口を算出 • 到達圏とは特定の条件で「ある地点」に道路など通行可能な道を通り, 辿りつける範囲のことを指す • 到達圏:移動時間が同一の範囲(例:車で10分でたどり着ける範囲) • 今回は車で10分圏~240分圏の範囲を算出 • 到達圏人口と夜間観望会の参加人数の関係を分析 • 夜間観望会参加人数は文献[1]による [1]日本公開天文台協会, 「公開天文台白書2018」. 2018年. 9

10.

到達圏分析のできるツール 無料枠 最大移動時間 TravelTime Isochones API 1万アクセス/月 240分 Mapbox Isochones API 10万アクセス/月 60分 Open Trip Planner 無償 PCスペックによる RESAS 近距離移動時間分析 無償 45km四方 ArcGIS Network Analyst 有償のみ 10

11.

TravelTime Isochones API • WebAPIとして一定回数まで無償で利用可能 • Open Street Map等のオープンデータが基礎データ • 正確性を高めるためGoogle Maps APIの探索データをベン チマークにしている。 • 移動時間が240分まで算出が可能 11

12.

RESAS 近距離移動時間分析 TravelTime Isochone API • Yahoo!カーナビと同等の データを使用しており信頼性 が高い • ロジックが公開されておらず、 ブラックボックスである • 無償で利用が可能 • 詳細な条件指定ができない • 45km四方の算出のみ • GUIのみ • ロジックが公開されておらず、 ブラックボックスである。 • 一定数は無償で利用ができる • 240分まで算出可能 • 詳細な条件指定が可能(移動 手段、日時など) • APIでの提供 12

13.

RESAS vs Isochone API 分 移動時間40分のRESASとIsochone APIの散布図 10分圏 相関係数 20分圏 0.72*** *p<.1 **p<.005 ***p<.001 0.92 30分圏 40分圏 50分圏 0.94*** 0.91*** 0.85*** 60分圏 0.8*** 13

14.

Isochone APIにて算出 14

15.

到達圏人口の算出 交差判定 Isochones API 地域メッシュ統計 15

16.

移動時間別の到達圏人口(施設別) 16

17.

圏 移動時間別の到達圏人口(施設別) 17

18.

到達圏人口の基本統計(n=35) 18

19.

到達圏人口と夜間観望会の参加者数の相関 10分~120分圏人口と夜間観望会の参加者数との相関がみられない 150分~240分圏人口と夜間観望会の参加者数との弱い相関がみられる。 19

20.

考察 • 公開天文台は乗用車でアクセスできる範囲に人口が多い • 150分圏~240分圏には人口が多い • 100km~300kmの移動は車が8割[6] • 交通アクセスと夜間観望会の参加者数はあまり関係がない • 150分圏~240分圏からくる場合、宿泊や他の立ち寄りを考慮する必要 がある。 • もっと別の要因があるのでは • 周りの観光地との関係 [6]国土交通省, 「第6回全国幹線旅客純流動調査幹線旅客流動の実態-全国幹線旅客純流 動データの分析-」. 2019年. 20

21.

まとめ・今後の展望 • 単年度のみの分析 • 季節、曜日の変動を考慮していない • 天候を考慮していない • 実際の観光を反映したものではない • 周遊観光等は考慮されていない • 到達圏人口はあくまでもシミュレーションである • 公開天文台以外の施設との比較ができない 天候や曜日を踏まえた、複数年の分析が求められる 他の施設の到達圏人口との比較が必要 天文台での観光客へ調査が必要 21

22.

おまけ 22

23.

1時間圏人口の多い天文台 順位 名称 口径 空の明るさ 1 宇治市総合野外活動センターアクトパル宇治 25.0 20.07 2 貝塚市立善兵衛ランド 60.0 19.65 3 春日市白水大池公園星の館 20.0 19.33 4 姫路市宿泊型児童館「星の子館」 90.0 20.05 5 ディスカバリーパーク焼津天文科学館 80.0 20.51 6 猪名川天文台 50.0 21.04 7 富山市科学博物館附属富山市天文台 100.0 20.68 8 井原市美星天文台 101.0 21.53 9 和歌山県紀美野町立みさと天文台 105.0 21.32 10 休暇村能登千里浜 15.0 21.10 23

24.

2時間圏人口の多い天文台 順位 名称 口径 空の明るさ 1 宇治市総合野外活動センターアクトパル宇治 25.0 20.07 2 姫路市宿泊型児童館「星の子館」 90.0 20.05 3 貝塚市立善兵衛ランド 60.0 19.65 4 猪名川天文台 50.0 21.04 5 綾部市天文館 95.0 21.05 6 和歌山県紀美野町立みさと天文台 105.0 21.32 7 スカイランドおおぼら天体観測施設 40.0 21.58 8 休暇村南あわじ天文台 40.0 21.34 9 兵庫県立大学自然・環境科学研究所天文科学センター 200.0 21.69 10 春日市白水大池公園星の館 20.0 19.33 24