患者の意向を、調査する、方法について

>100 Views

February 22, 24

スライド概要

調査方法の具体例があるが、難しいし、どのように調査をまとめたのか不明で、使えない~。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

患者の意向を、調査する、方法について Zeng L, Helsingen LM, Bretthauer M, Agoritsas T, Vandvik PO, Mustafa RA, Busse J, Siemieniuk RAC, Lytvyn L, Li SA, Yang M, Yan L, Zhang L, Brignardello-Petersen R, Guyatt GH. A novel framework for incorporating patient values and preferences in making guideline recommendations: guideline panel surveys. J Clin Epidemiol. 2023 Sep;161:164172. doi: 10.1016/j.jclinepi.2023.07.003. Epub 2023 Jul 13. PMID: 37453455. https://www.jclinepi.com/article/S0895-4356(23)00175-0/fulltext 付録ビデオ: https://www.dropbox.com/s/g5pyl7ms5rg7mke/VidePanel%20survey_V10.mp4?dl=0 Zeng L, Li SA, Yang M, Yan L, Helsingen LM, Bretthauer M, Agoritsas T, Vandvik PO, Mustafa RA, Busse J, Siemieniuk RAC, Lytvyn L, Zhang L, Brignardello-Petersen R, Guyatt GH. Qualitative study of guideline panelists: innovative surveys provided valuable insights regarding patient values and preferences. J Clin Epidemiol. 2023 Sep;161:173 -180. doi: 10.1016/j.jclinepi.2023.07.014. Epub 2023 Jul 29. PMID: 37517505. https://www.jclinepi.com/article/S0895-4356(23)00186-5/fulltext

2.

緒言 患者の価値観と意向とは、個人が様々な管理選択肢の潜在的な利益、害、負担、コストを考慮する際に適用する、 健康と生活に対する信念、期待、親和性、優先順位のことである。ガイドライン作成者にとって、患者の価値観や 意向は、研究エビデンスを解釈し、推奨を策定する上で極めて重要である。 さらに最近では、GRADEは、患者の価値観や意向に関するエビデンスを検討し、その確実性を判断するとともに、 患者間のばらつきを考慮するようガイドライン作成者に指示する、エビデンスから意思決定への枠組みを提示して いる。したがって、ガイドライン委員会はしばしば患者の価値観や意向を推論する必要がある。このような課題は、 有益性が有害性や負担をはるかに上回る場合、あるいはその逆の場合には問題にならないかもしれない。しかし、 そのバランスがより近い場合には、アウトカムの相対的重要性の慎重な判断が重要になる。 理想的には、対象となる患者の大規模なサンプルを対象とした横断的な調査によって、患者が異なるアウトカムに 置く相対的な重要性を知ることができる。残念なことに、ほとんどの場合、対象集団を対象としたそのような調査 は少ない。入手できたとしても、調査結果が異なることが多く、解釈上の課題が生じる 。 患者パートナーやアドバイザリーグループに相談したり、フォーカスグループインタビューを実施したり、共有意 思決定における経験を振り返ったりすることは有用かもしれないが、患者の価値観や意向に関する不確実性はどう しても残る。従って、ガイドライン委員会はしばしば、一般的な患者(usually patients, or the general public) の価値観や意向を推論する必要がある。多くのガイドラインは、価値観や意向に関する推論に至るプロセスや推奨 を明確にしていない。 そこで、患者の価値観や意向に関するパネルの推論を定量的に確認するためのガイドラインパネル調査を開発・実 施するための5段階の枠組みを確立した。 PMID: 37453455.論文では、このフレームワークの開発について説明し、ガイドラインパネル調査の作成と実施 のためのフレームワークの各ステップについて説明する。 PMID: 37517505.論文では、ガイドライン推奨の作成過程における調査の影響を評価した定性的研究の結果を報 告している。分かりやすい調査だったとの結論のようだが、分かりやすいとは思わないが・・・(^^;。

3.

フレームワークのステップ 我々は、患者の価値観や意向に関するパネルの意見を引き出すための調査を作成するた めの全体的なアプローチを “フレームワーク ”と呼んでいる。ガイドラインのパネリス トが患者の価値観や意向を推論するためのパネル調査を開発し、実施するための5つの ステップの枠組みを提案する。次のスライドから、以下の図のステップを解説する。 2.参加者 パネル調査は患者ではなく、ガイドラインのパネリストを対象としています。臨床医、 コンテンツ専門家、方法論者、患者パートナー(つまり、その状態や病気を患った経験の ある人、および/またはその状態や病気の人の世話をした経験のある人)または一般のパ ネリスト(つまり、一般の人々)を含むすべてのパネリストが調査に回答できます。

4.

ステップ1 推奨(recommendation)が意向(preference)に 敏感であるかどうかの判定 このプロセスは、推奨のPICOT(患者、介入、比較、アウトカム、アウトカム測定のタイムライ ン)を定義することから始まる。ある者(通常はガイドラインパネルの運営グループ)は、ベネ フィットとハームまたは負担のバランスが十分に近く、その推奨が意向に敏感であるかどうかを検 討すべきである。もしそうであれば、その調査は適切で有用であることが証明されたことになる。 推奨が意向に敏感でない場合、言い換えれば、運営グループまたはパネルの判断により、すべてま たはほとんどすべての患者が介入を選択または拒否することが明らかな場合は、調査をさらに検討 する必要はない。 Box1の例:An example of applying the five-step framework for developing and implementing a panel survey:ANCA関連血管炎患者(P)において、通常の治療に加えて血漿交換 を行う(I)場合と、通常の治療のみ(C)を行う場合の推奨を行うガイドラインパネルを検討する。血 漿交換に関連する主な潜在的利益は、末期腎臓病(ESKD)の減少であった(O)。主要な潜在的有 害性は重篤な感染症の増加(O)であった。両方のアウトカムを測定するスケジュールは1年であっ た(T)。 ガイドライン委員会の運営グループは、ANCA関連血管炎患者の間では血漿交換に対する価値観や 嗜好が大きく異なっており、この調査は有用であると認識していた。 ステップ1:推奨が、患者の意向によって、大きく左右されるCQかどうか?されるCQなら、患者の 意向の調査が必要で、ステップ2へ進む。

5.

ステップ2 調査目的の決定 調査の目的は、ガイドラインパネルが必要とする患者の価値観や意向に関する3種類の定量的情報から導かれる: 目的1:患者が重要であると認識する単一のアウトカム(利益または害や負担)に関連する最小の変化(最小重要 差、MID)を確立する、 目的2:介入に関連する利益がある場合、患者が介入を使用することを受け入れる最大の主要な害または負担の決 定閾値を特定する、 目的3:介入の有益性、有害性または負担の最良推定値を考慮し、患者が介入に対して行うであろう選択について 推論する。 この目的の3つを例を使って説明したのがBox2(Box1で例を使っているのに、ここではさらに、Box2の例がでてくる) Box1の例:現在の臨床試験のデータを用いて、運営グループは、ESKDおよび重篤な感染症を発症するベースライ ンリスクは大きく異なり、患者の血清クレアチニン値と強く関連していることを明らかにした。血清クレアチニン 値が異なる患者のサブグループでは、おそらく推奨が異なるであろう。 血漿交換に関連する主要な有益性(ESKDの減少)と有害性または負担(重篤な感染症の増加)のトレードオフを 知るために、パネルは、患者が血漿交換を受け入れるために必要とする最小限の有益性を設定するか(目的2)、 血漿交換を選択する患者の割合または血漿交換に反対する患者の割合を直接判断する(目的3)ことができる。目 的2を適用すると、サブグループに対して複数の判断基準を提示することになり、パネリストはより多くの質問に ついて考える必要があるため、運営グループは目的3を適用することを決定した。 ステップ2:調査の目的として、(1)利益(または害)に対する最小重要差、(2)利益がある場合、介入を受け 入れるための害や負担の決定の閾値、(3)介入を選択する患者の割合と選択しない患者の割合を調査する、のど れにするかを決める。

6.

ステップ3調査の策定 目的1と2を達成するためには、定量化された閾値を特定する必要があるが、通常、パネリスト にとっては困難な作業である。 この課題を認識した上で、調査デザインは、患者が特定の効果の大きさを、基本的なMID(目的1)または決定閾値(目的2)以上また は以下と認識するかどうかに関するガイドラインパネルの推論を引き出す。この調査では、効果の大きさ(推奨される閾値)が、徐々 に中間的な数値に向かって移動する(ピンポン方式で極端なものから別のものへと移動し、徐々に差を狭めていく)順序で提供される。 パネリストが、閾値以上の効果から閾値未満の効果へ、あるいはその逆へと回答を切り替えるとき、そのパネリストは、根本的な閾値 が存在する狭い範囲を効果的に特定する。 目的3を達成するために、調査は同時に介入に関連する有益性と有害性または負担に関する効果推定値(通常はシステマティックレ ビューに基づく)を提示し、患者が介入を選択するか拒否するかを検討するようパネリストに指示する。 患者の価値観や意向は異なるため、本調査では代表的な患者群から予想される患者の価値観や意向の分布を推測するようパネリストに 求める。 調査における標準化された選択肢は以下の通りである:すべてまたはほとんどすべて(90%以上)、ほとんど(75~90%)または過半 数(50~75%)の患者が、特定の効果を些細なものと考えるか重要なものと考えるか(目的1)、または介入を選択するか拒否するか (目的2または3)。 例を用いたボックス2は、調査デザインを示している。(ここでは例としてBox2があると) Box 1の例:患者の各サブグループに対する調査では、血漿交換に関連するベースラインリスクとそれに対応するESKDの減少および重 篤な感染症の増加を提示した(システマティックレビューによる情報)。最初のシナリオは、「血清クレアチニン値≦200μmol/Lの患 者において、血漿交換は1年後にESKDを発症するリスクを1000分の4(1000分の50から46へ)低下させるが、重篤な感染症のリスク を1000分の27(1000分の100から127へ)増加させる」であった。ANCA関連血管炎で血清クレアチニンが200μmol/L未満の患者に 対して、血漿交換の利益と害のトレードオフをどう考えるか?「選択肢は以下の通りである: 全員またはほとんど全員が血漿交換を選 択する ほとんどが血漿交換を選択する 大多数が血漿交換を選択する 血漿交換を拒否する ほとんどが血漿交換を拒否する 全員またはほ とんど全員が血漿交換を拒否する その他のシナリオでは、他のサブグループ(血清クレアチニン値が200~300、300~400、400~ 500、または500μmol/L以上)における血漿交換に関連する利益と害が提示された。各シナリオの後に、血漿交換に関連するESKDの減 少と重篤な感染症の増加を考慮した場合、どの程度の割合の患者が血漿交換を選択するか、または拒否するかを質問した。付録4に調査 票の全文を示す。(ここでは、Box1の例が付録4) ステップ3:ステップ2で決めた目的に合うように、調査表を作る。ポイントは極端なものから別のものへと移動し、徐々に差を狭めて いくピンポン方式という調査を行う。

7.

ステップ 4 パネリストの教育と回答の収集 臨床医、コンテンツ専門家、患者パートナー(すなわち、その症状や病気に罹患した経 験がある人、またはその症状や病気に罹患した人を介護した経験がある人)、ガイドラ イン のメソドロジスト、システマティック・レビューアを含むすべてのガイドラインパ ネリスト がアンケートに回答することができる。 パネリストの準備として、調査の主要概念を紹介するビデオ (https://www.dropbox.com/s/g5pyl7ms5rg7mke/VidePanel%20survey_V10.m p4?dl=0)を検討するのもよい(意向の選択は、バナナアイスとチョコレートアイスを 選ぶようなもので、どちらが正しいという事ではないという事を言っており、その後 の%のところは、意味がないようなビデオであった)。患者パートナーを教育するため に時間をかけることが望ましいかもしれない。 オンライン調査ツールを利用すれば、個々のパネリストの回答を収集することができる。 調査結果を要約するために、MID(目的1)または決定閾値(目的2)に関するパネリス トの推論の中央値と範囲を記述したり、患者の意向分布(目的3)に関するパネリスト の推論を反映して、患者の大多数が介入に賛成または反対すると考えるパネリストの数 を記述したりすることができる。 Box 1の例:パネリスト会議で、運営グループは調査を紹介し、患者パートナーが調査 を理解できるように別の会議を開いた。オンライン調査ツールを使って、運営グループ はパネリストの回答を収集した。これらの回答によると、血清クレアチニン値 ≦300μmol/Lの患者については、大半のパネリストが血漿交換を拒否すると認識してい ることがわかった。一方、血清クレアチニン値が300μmol/Lを超える患者については、 大半のパネリストが血漿交換を選択すると認識していた。 ステップ4:調査の前に、パネリストを教育、調査して結果を回収

8.

ステップ 5 調査結果の提示とパネル討論の喚起 エビデンスの解釈、有益性と有害性のトレードオフ、推奨の方向性と強さについて、パネル 討論 を喚起するために、パネル会議で調査結果の集計を提示することができる。 Box 1の例:次回のパネル会議で、運営グループは集約された所見を提示し、患者のサブグ ループに対する推奨の方向性と強さについて討論を開始した。 ステップ5:調査結果をパネル会議で使用する

9.

Box 2 :Examples of three different survey objectives and designs 目的1 MID閾値の設定 心筋梗塞のリスクが高い患者に対して、そのリスクを減少させる新しい治療法に関する推奨を行うガイドラインパ ネルを考えてみよう。心筋梗塞に対するある治療効果が重要であるか否かを解釈するために、パネルは患者が重要 であると認識する心筋梗塞の最小減少に関する情報(MID閾値)を必要とし、したがって目的1を適用した。 調査では、心筋梗塞を減少させる効果の大きさが異なる一連のシナリオが提示された。最初のシナリオは、「心筋 梗塞のリスクを減らすために新しい治療法を使用する可能性を検討している成人において、その治療法は5年間で 1000人に1人のリスクを減少させる」というものであった。次のシナリオでは、心筋梗塞の減少率は1000分の20、 3、15、5、10、8、12と変化した(ピンポン方式 (a ping-pong approach)で極端から極端へと徐々に差を縮めてい く)。各シナリオの下で、心筋梗塞に対する特定の効果の大きさを重要または些細と考える患者の割合について、 パネリストに推論を求めた。 選択枝は以下の通り: - 全員またはほとんど全員が重要な効果であると考える: 90%を越える - ほとんどが重要な効果であると考える: 75%~90% - 過半数が重要な効果であると考える: 51%~74% (50%-75%とか、記載箇所、動画の例など、バラバラ) - 過半数が些細な効果だと考える: 51%~74% - ほとんどが些細な効果だと考える : 75%~90% - 全員またはほとんど全員が、これは些細な効果だと考える: 90%を越える • All or almost all would consider this an important effect • Most would consider this an important effect • A majority would consider this an important effect • A majority would consider this a trivial effect • Most would consider this a trivial effect • All or almost all would consider this a trivial effect パネリストが、「大多数が重要な影響であると考える」から「大多数が些細な影響であると考える」に回答を切り 替えた場合(またはその逆)、パネリストはMIDが存在する狭い範囲を特定した。付録 5 では、Box 2 の 3 つの 例に関する調査の全容を示す。(さらに、Box2の例の具体的な調査内容が付録5にあると、Boxの例の中の例)

10.

目的2 決定閾値の設定 50~79 歳の成人における大腸がん検診に関する推奨を行うガイドラインパネルを検討する [[20]]。同パネルは、大腸がん関連死亡の 減少を主要な有益性とし、消化管穿孔や大消化管出血の増加を主要な有害性や負担とした。主要ベネフィットと有害性・負担をトレー ドオフするために、パネルは、有害性・負担を考慮した場合に、人々が検診を受け入れるために必要となる大腸がん関連死亡率の最小 の減少に関する情報(決定閾値)を必要とし、その結果、目的 2 を適用した。 パネルが有益性に関するエビデンスを検討する前に、調査はスクリーニングに関連する危害または 負担と、大腸がん関連死亡の絶対的 減少が異なる一連のシナリオを提示した。最初のシナリオは、「大腸内視鏡検査を受けた成人は、15 年間で大腸がんによる死亡リスク が 1,000 人に 1 人低下する」というものであった。残りのシナリオでは、大腸がん関連死亡率の減少は、1,000 分の 15、5、10 と変 化した(ピンポン方式)。各シナリオの後、調査はパネリストに、検診を選択する、あるいは辞退する成人の割合を推定するよう求め た。選択肢は以下の通りである: -全員またはほとんど全員がスクリーニングを選択する -ほとんどが検診を選択する-過半数がスクリーニングを選択する -大多数がス クリーニングを拒否する -大多数がスクリーニングを拒否する -全員またはほとんど全員が拒否する パネリストが「大多数がスクリーニングを選択する」から「大多数がスクリーニングを辞退する」(またはその逆)に回答を切り替え た場合、そのパネリストは判断の閾値となる狭い範囲を特定した。 目的3 介入の賛否を選択する患者の割合を明示する 2型糖尿病患者に対するナトリウム-グルコース輸送蛋白2(SGLT 2)阻害薬に関する推奨を行ったガイドラインパネルについて検討し た。同パネルは、SGLT 2阻害薬に関連する主要な有益性は死亡率の減少であり、主要な有害性や負担は性器感染症の増加や糖尿病性ケ トアシドーシスであると考えた。 現在の臨床試験のデータを用いて、パネルは、SGLT 2に関連する死亡率の絶対的低下は、異なるベースラインリスクを有する患者間で 大きく異なることを立証した。 患者のサブグループ間でのSGLT 2阻害薬に対する意向を判断するために、パネルはObjective 3を適用した。調査では、サブグループ 間で一定のSGLT 2阻害薬に関連する有害性や負担を提示し、最初のシナリオとして「心血管危険因子を持たない2型糖尿病患者(超低 リスク群)において、SGLT 2阻害薬を服用すると、5年間で死亡率が1000分の5に減少する(1000分の20から1000分の15に減少)」 を提示した。 残りのシナリオでは、SGLT 2阻害薬による死亡率の減少は、1000分の48、15、34、5と変化した(ピンポン方式)。 各シナリオの後、調査はパネリストにSGLT 2阻害薬を選択する患者、または辞退する患者の割合を推定するよう求めた。この回答は、 患者のサブグループ間の選択肢の分布に関するパネリストの推測を反映したものであった。

11.

付録 5:Example 1 A survey of values and preferences among patients with risk of myocardial infarctions (Objective 1 Establishing an MID threshold) はじめに 前回のパネル調査に基づき、私たちは心筋梗塞の減少を重要な望ましいアウトカムとし て特定しました。そこで、患者さんがこのアウトカムに対してどのような影響を重要視 するかについて、皆さんのご協力をお願いします。このことは、エビデンスの確実性を 決定する際の精度の評価に役立ち、最終的には、検討中の薬剤の推奨・不推奨、および それらの推奨の強さを決定する際に役立ちます。 患者さんがどのような効果を些細なものと考えるか、あるいは重要なものと考えるかに ついて、一連の質問に答えていただく必要があります。この時点では、質問は抽象的で あり、介入の有益性、有害性、負担とは結びついていませんので、これらの判断は難し いです。もしあなたが臨床医であれば、患者との共同意思決定におけるあなたの経験に 基づいて、この質問を考察してください。患者の立場でパネルに参加される方は、友人、 家族、知人との医療に関する意思決定にまつわる会話に基づいて質問にお答えください。 以下の設問において、「全員またはほぼ全員」という場合は90%以上、「大部分」とい う場合は75%~90%、「過半数」という場合は50%~74%を意味します。 いずれの場合も、ある影響を重要だと考える割合は100%から、ある影響を些細なもの だと考える割合を引いたものになります。例えば、「大多数はこれを些細な効果だと考 えるだろう」という選択肢を選んだ場合、50%から74%はその効果を些細だと考え、 26%から49%は重要だと考えるということです。

12.

1. 心筋梗塞のリスク低減のために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、介入 により 5 年間でリスクが 1000 人中 20 人低下する(すなわち、1000 人中 15 人の心筋梗 塞が減少する)。 このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考える患者の割合を反映する選択肢を選んでく ださい。 - 全員またはほとんど全員が重要な効果であると考える: 90%以上 ほとんどが重要な効果であると考える: 75%~90% 過半数が重要な効果であると考える: 50%~74% 過半数が些細な効果だと考える: 50%~74% ほとんどが些細な効果だと考える : 75%~90% 全員またはほとんど全員が、これは些細な効果だと考える: 90%以上 2.心筋梗塞のリスクを減らすために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、介 入により 5 年間でリスクが 1000 人に 3 人減少する(すなわち、1000 人に 15 人の心筋梗 塞が減少する)。このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考える患者の割合を反映する 選択肢(1と同じ)を選んでください。

13.

3.心筋梗塞のリスク低減のために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、 介入により 5 年間で心筋梗塞リスクが 1000 人に 15 人低下する(すなわち、1000 人に 15 人の心筋梗塞が減少する)。このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考 える患者の割合を反映する選択肢(1と同じ)を選んでください。 4.心筋梗塞のリスク低減のために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、 介入 により 5 年間でリスクが 1000 例に 5 例低下する(すなわち、1000 例に 15 例 心筋梗塞が減少する)。このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考える患者の割 合を反映する選択肢(1と同じ)を選んでください。 5. 心筋梗塞のリスクを減らすために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、 介入を行う と、5 年間でリスクが 1000 人中 10 人減少する(すなわち、1000 人中 15 人の心筋梗塞が減少する)。このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考える 患者の割合を反映する選択肢(1と同じ)を選んでください。 6.心筋梗塞のリスクを減らすために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、 介入を行う と、5 年間でリスクが 1000 人中 8 人減少する(すなわち、1000 人中 15 人の心筋梗塞が減少する)。このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考える患者 の割合を反映する選択肢(1と同じ)を選んでください。 7.心筋梗塞のリスク低減のために薬物療法を行う可能性を検討している成人において、 介入 により 5 年間でリスクが 1000 例中 12 例低下する(すなわち、1000 例中 15 例心筋梗塞が減少する)。このリスク低減を(a)重要/些細な効果であると考える患者の 割合を反映する選択肢(1と同じ)を選んでください。

14.

付録 5:Example 1 A survey of values and preferences among patients with risk of myocardial infarctions (Objective 1 Establishing an MID threshold) はじめに 前回のパネル調査に基づき、私たちは心筋梗塞の減少を重要な望ましいアウトカムとし て特定しました。そこで、患者さんがこのアウトカムに対してどのような影響を重要視 するかについて、皆さんのご協力をお願いします。このことは、エビデンスの確実性を 決定する際の精度の評価に役立ち、最終的には、検討中の薬剤の推奨・不推奨、および それらの推奨の強さを決定する際に役立ちます。 患者さんがどのような効果を些細なものと考えるか、あるいは重要なものと考えるかに ついて、一連の質問に答えていただく必要があります。この時点では、質問は抽象的で あり、介入の有益性、有害性、負担とは結びついていませんので、これらの判断は難し いです。もしあなたが臨床医であれば、患者との共同意思決定におけるあなたの経験に 基づいて、この質問を考察してください。患者の立場でパネルに参加される方は、友人、 家族、知人との医療に関する意思決定にまつわる会話に基づいて質問にお答えください。 以下の設問において、「全員またはほぼ全員」という場合は90%以上、「大部分」とい う場合は75%~90%、「過半数」という場合は50%~74%を意味します。 いずれの場合も、ある影響を重要だと考える割合は100%から、ある影響を些細なもの だと考える割合を引いたものになります。例えば、「大多数はこれを些細な効果だと考 えるだろう」という選択肢を選んだ場合、50%から74%はその効果を些細だと考え、 26%から49%は重要だと考えるということです。

15.

付録 5:Example 2 A survey of values and preferences towards colorectal cancer screening in adults aged 50-79 years (Objective 2 Establishing a decision threshold) はじめに このアンケートの目的は、設問についてよく考えていただき、影響の大きさについて共通認識を持つことである。 このアンケートは、今後の議論の助けとなるような、人々の立ち位置を知るためのものである。次回のパネル会議 で議論を始める前に、パネルから統合された回答を提示します。ここでの回答を最終的なものと考えないでくださ い。 皆さんは、議論が進むにつれて考えを変えていくことを受け入れるべきです。 大腸がん検診(特に大腸内視鏡検査)については、大腸がんや大腸がん死亡のリスクが異なる人々に対して、異な る推奨をする可能性があります。大腸がんと診断されたり、大腸がんで死亡したりする絶対リスクが低い人には検 診を勧めず、 絶対リスクが高い人には検診を勧めるかもしれない。 したがって、推奨が変化する閾値を設定する必要がある。検診に関連する潜在的な負担について十分な情報を得た 場合、多くの人はどうするでしょうか。 大腸内視鏡検査に関連する害と負担を以下とした場合を考えてください。 手技関連死亡率: 1,000件につき1件以下 消化管穿孔: 1,000件あたり約1件 大腸出血: 手技1,000件につき約3件 1. 大腸内視鏡検査を受けた50~79歳の成人は、15年後に大腸がんで死亡するリスクが1,000人に1人(0.1%) 低下する。彼らはこのような利益をどのように考えるだろうか? ⇒これを選択枝で回答 2. 大腸内視鏡検査でスクリーニングを受けた50~79歳の成人は、15年後に大腸がんで死亡するリスクが1000 人に15人(0.1%)低い。彼らはこのような利益をどのように考えるだろうか? とリスクを変えて続く。

16.

付録 5:Example 3 A survey of values and preferences towards SGLT2 inhibitor in patients with type 2 diabetes (Objective 3 Explicitly specifying the percentage of patients who would elect for or against an intervention) はじめに 我々は、患者にとって重要な有益性と有害性の程度について、パネルの見解を知り、推奨に関する議論に役立てたい。 2型糖尿病患者の価値観と嗜好に関するフォーカスグループ研究の結果と、価値観と嗜好に関するレビューを紹介する。また、5つのリ スクグループごとにSGLT2阻害薬の有益性と有害性を提示し、どの程度の割合の患者さんがSGLT2阻害薬と標準治療のどちらを選択す るかについての見解をお伺いします。 私たちは、フォーカスグループ、価値観と嗜好のレビュー、そしてこのアンケートの結果を、ガイドライン推奨の議論に役立てたいと 考えています。 本アンケートの設問に回答する際には、有益性と有害性の結果について、以下の説明を考慮してください。すべてのアウトカムについ て、5年間の時間枠を考慮してください。 フォーカス・グループ調査の概要:方法 - カナダ在住の2型糖尿病患者7名(男性6名、女性1名)。 - 最初のエクササイズ-SGLT2阻害薬の個々の有益なアウトカム(死亡、末期腎疾患、心筋梗塞、入院を要する心不全、脳卒中のリスク の減少)を検討: 以下調査の説明が続く。 1.心血管危険因子を持たない2型糖尿病患者(リスクが非常に低い)に対して、患者はこのような効果をどのように考えるだろうか? 全死亡率=1000人に20人→1000人に15人(1000人に5人減少) 患者フォーカスグループによる決定:「はい」2名(28%)、「いいえ」5名(72) ⇒これに対して、介入を大多数が選ぶかを選択枝で回答 2.心血管危険因子が3つ以上ある2型糖尿病患者(低リスク)の場合、患者はこの効果をどのように考えるか? 全死因死亡率=1000人に70人→1000人に55人(1000人に15人減少) 患者フォーカスグループでの決定:「はい」3名(43%)、「いいえ」4名(57) と数字を変えて続く

17.

付録4:Appendix 4 A panel survey of values and preferences towards plasma exchange in patients with ANCA-associated vasculitis はじめに この調査の目的 血漿交換を行うかどうかに関する完全な共同意思決定が行われた後、個人がどのような選択を行うかについて、パネル の見解をお聞かせいただきたい。私たちは、ベースラインの血清クレアチニン値に関して、大多数が血漿交換を拒否することから受け 入れることに切り替える転換点についての議論に、皆さんの回答を役立てたいと考えています。 本調査の内容 ANCA関連血管炎を有し、ベースライン血清クレアチニンが200µmol/Lµmol/L以下、200-300µmol/Lµmol/L、300400µmol/Lµmol/L、400-500µmol/L、>500µmol/Lの患者における血漿交換の主な有益性(末期腎疾患の絶対的リスク減少)と有害 性または負担(重篤な感染症の絶対的リスク増加)を提示します。次に、各シナリオにおいて、どの程度の割合の患者が血漿交換を選 択するか、あるいは拒否するかについて、あなたの見解をお聞きします。各質問は、末期腎臓病のリスク低下と重篤な感染症のリスク 上昇を変化させます。これらを注意深くお読みください。 1.ANCA関連血管炎で血清クレアチニン≦200µmol/Lの患者の場合、血漿交換の利益と害のトレードオフを患者はどのように考えます か? 利益: 1年後の末期腎臓病リスクが1,000人に4人低下する(1,000人に50人から46人へ)。 有害性:1年後の重篤な感染症のリスクが1000人に27人増加する(1000人に100人から127人へ) すべてまたはほとんどすべて(90%以上)が血漿交換を選択する。 大部分(75-90%)が血漿交換を選択する。 過半数(51-74%)が血漿交換を選択する。 過半数(51-74%)が血漿交換を拒否する。 大多数(75-90%)が血漿交換を拒否する。 すべてまたはほとんどすべて(90%以上)が血漿交換を辞退する。 2.ANCA関連血管炎で血清クレアチニンが500µmol/Lを超える患者について、患者は血漿交換の利益と害のトレードオフをどのように 考えるか。 利益: 1年後の末期腎臓病リスクが1,000人に168人低下する(1,000人に400人から232人へ)。 有害性:1年後の重篤な感染症リスクが1000人に135人増加する(1000人に500人から635人へ) 続く

18.

付録1:Appendix 1 Brief introduction of BMJ Rapid recommendations for colorectal cancer screening in adults 推奨事項が公表された時点で、シグモイドスコピー検査試験の最近の15年間のアップデートが新た な証拠を提供し、大腸がん検診の有効性について新しい知見をもたらしていました[1]。新しい証拠 によって刺激され、ガイドライン委員会は次のような疑問を投げかけました。「50歳から79歳でス クリーニングを始める個人において、大腸がんスクリーニングは健康成績に重要な差をもたらすの か?そして、どのスクリーニング方法が最適なのか?」[1]。 このガイドラインは、BMJ Rapid Recommendationsのために開発された基準に従っています。こ れらの基準は、システマティックレビューまたは信頼できるガイドラインの開発の他の側面の厳密 さを損なうことはありませんが、ガイドライン開発の各ステップをできるだけ迅速に完成させるこ とを目指しています。 ガイドライン委員会は、大腸がんスクリーニングの経験を持つ一般市民、臨床医、大腸がんスク リーニングの専門家、ガイドライン方法論の専門家を含む22人のパネリストで構成されていました。 患者の価値観と好みを理解するため、委員会はまず個人がスクリーニングを選択するために必要と する利益と害の閾値に関する定量的推定値のシステマティックレビューを実施しました。しかし、 利用可能なデータが限られていたため、システマティックレビューは有用な情報を提供することが できませんでした。その後、ガイドライン委員会は2回のパネル調査を実施し、対象集団がスクリー ニングを選択するため、または他のスクリーニング検査を選択するために必要とする、スクリーニ ングに関連する死亡率の最小の減少(つまり、主要な利益)について、パネリストたちの推測を引 き出しました。

19.

2.3 データ分析および解釈 PMID: 37517505.論文 データの分析と解釈はデータ収集と同時に行われました。私たちは帰納的テーマ分析を使用し、データからコード を生成して分析と解釈を行いました。 コーダー1名(L.Z.)が、パネル会議とインタビューのトランスクリプト各6件を分析し、初期のコードブックを作成 しました。コアチーム(L.Z., S-A.L., G.H.G., R.B-P.)は定期的に集まり、コードとテーマについて共通の理解を深 めました。他の2名のコーダー(L.Y., M.Y.)は、健康専門職の大学院教育と定性研究の特別トレーニングを受けてお り、洗練されたコードブックを使用してトランスクリプトの25%を独立してコード化し、最初のコーダーと比較し ました。コアチームはコードブックにない新しい発見について議論し、コーディングの不一致を解決しました。 全ての関連するパネル会議とインタビューをコーディングした後、似たテーマ性を反映するデータセグメントをま とめました。テーマパターンの共通点と違いを探し、関連するテーマパターンをテーマにまとめました(図1)。 原文に何度も戻ることで、新たに出現したテーマがデータに基づいていることを確認しました。 テーマ間の関係が明らかになると、ガイドラインパネリストが調査をどのように理解し、調査が推薦プロセスにど のように影響を与えたかという経験を代表する主要テーマを抽出し、結果を概念化しました。 透明性を確保するため、個別インタビューからの結果を報告する際には、参加者の90%以上が特定のテーマパター ンに言及した場合は「ほぼ全員」とし、50~90%の場合は「大多数またはほとんど」、10~50%の場合は「少数 またはいくつか」、10%未満の場合は「ほとんどなしまたは全くなし」と報告しました。これらの閾値は恣意的で すが、報告の透明性を高めるのに役立つでしょう。最後に、パネル会議とインタビューからの発見の要約を共有し、 インタビューに参加したパネリスト4人に無作為に選ばれ、解釈の妥当性(メンバーチェック)について反映して もらいました。 定性研究の専門家でないと、解析できないの?無理ですよ~。

20.

3.4 テーマ4:調査がガイドラインパネルの討議および推奨の方向性と強度に 与えた影響 PMID: 37517505.論文は、このようなインタビューの内容が記載されていたが、それで~。結局、患者の意向に ついての調査結果を、どのようにまとめたのか、どのように推奨に関与したのかの記載はなかった。 参加者の大多数は、調査が推奨に関するパネル討議に情報を提供したと感じていました。調査は、他のパネリスト の意見や患者の価値観と好みに関するパネルの平均的な意見を提供することで、パネリストが推奨に対する自身の 判断を考慮するよう促しました。 「調査からの意見を平均化することで、グループのほとんどの人に受け入れられるものになりました」(臨床専門 家22、インタビュー)。パネルの患者の価値観と好みに対する見解のばらつきや不確実性を明らかにすることで、 推奨の強度に関するパネル討議に調査が情報を提供しました。「パネルの半分は強い推奨に賛成で、残りの半分は 弱い[条件付きとも呼ばれる]推奨に賛成でした。そして、それは私たちがこのパネル調査にしばしば戻る瞬間でし た。大きなばらつきがあることを我々は確認しました...その事実を考慮して、私たちは弱い推奨を目指すべきだと 考えました」(臨床専門家13、インタビュー)。調査が推奨に与えた影響は、パネル討議からも明らかでした(付 録ボックス2)。 パネリストは、利益と害または負担のバランスが近いサブグループが存在する場合、調査が特に価値があると感じ ました。「この[調査]は、サブグループ周りの議論を構築するための良い方法でした...十分早くにそれ[サブグルー プ]について考えれば、調査はこれを明確にしますが、十分早く考えていなければ、特定のサブグループにコミット することを強いられることになります。これは重要です」(臨床専門家27、インタビュー)。調査がサブグループ の影響を示す上での影響も、パネル討議から明らかでした(付録ボックス2、目的3、臨床専門家27、パネル会議# 3代替案)。 調査結果に同意しない少数の参加者は、推奨を行う上でこのアプローチが役に立たないと感じました。このような 懸念は大半が大腸がんスクリーニングガイドラインパネルのメンバーから発生しました。「私は閾値にあまり価値 を置きませんでした。正直、クリニックではそれほど関連がないので」(臨床専門家32、インタビュー)。

21.

3.5 テーマ5 勧告の効率性と透明性に対する調査の影響 委員長は、パネル会議の前にパネルの意見を聞くことで、パネルディス カッションの構成に役立 つと振り返った: 「座長として、(議論を)ど こに集中させるかについて、かなり準備する必要がある」(臨床委員長1、 インタ ビュー)。 主なトレードオフについて集中的に議論することで、参加者の大半は、ア ンケートがパネルディスカッションの効率を向上させたと報告した: 「こ のアンケートは、議論を引き締める効果があり、非常に効率的で、会議を スムーズに進めることができた」(Methodologist 5, Interview)。 調査はまた、パネルが提言に関するコンセンサスを得るのにも役立った: 「パネリストたちは、このアンケートを目にしたとき、これがその結果で あることを理解する......そうすれば、パネリスト同士で議論し、これが患 者が望む価値観であり、その価値観に従って誰が推奨されるべきかという コンセンサスに達することができるだろう」(臨床専門家および方法論者 11、インタビュー)。 また、事前に設定された閾値に関するパネルの見解や、患者が利益と害を どのようにトレードオフするのかを示すことで、推奨を行うプロセスの透 明性が向上したとの意見もあった。アンケートは、パネリストが独立して 意見を表明できる場を提供し、「一方向に話を引っ張ろうとするうるさい 人」を避けることができた(Methodologist 5, Interview)。

22.

3.6 テーマ6 アンケートの課題と限界 アンケートにあるような患者の視点に立つことは容易か困難かを参加者に 尋ねたところ、「患者の代表になることは容易ではない」(臨床委員長2、 インタビュー)との回答が大半を占めた。 どこまで患者を代弁できるのか不安であり、いくつかの障壁があるとした。 サンプル数が少なく、パネルの代表性に欠けることは、何人かの参加者に とって大きな懸念であった: 「サンプル数が多ければ、より正確な結果が 得られるかもしれない」(臨床専門家10、インタビュー)。 数名の参加者は、異なる環境にいる患者の価値観や嗜好は異なる可能性が あり、異なる専門性を持つパネリストは患者の価値観や嗜好について多様 な見解を持つだろうと表明した。 パネリストの中には、調査票には記載されていない要因が患者の意思決定 に影響を及ぼすかもしれないという懸念を表明する者もいた: 「患者の意 思決定に影響を与えるものは、それ(調査票の要素)だけではないかもし れない......他にどのようなものが提示されているのか、患者が意思決定を する際に他にどのようなことに直面しているのか、議論する必要がある」 (患者パートナー4、インタビュー)。

23.

考察 4. 議論4.1 主要な知見と解釈 介入に関連する有益性と有害性のバランスを判断する際、ガイドライン・パネルは利用可能な情報を解釈し、エビデンスから推奨に移 行する際に必要な患者の価値観や意向に関する推論を行う必要がある。我々は、このような推論を行うための新しいフレームワークを 開発し、このフレームワークを用いて、患者の価値観や意向に関するガイドライン・パネリストの見解を引き出すためのパネル調査を 開発・実施するためのガイダンスを提供する。パネル調査のアプローチは、ガイドライン・パネルが体系的に患者の視点に立ち、患者 の価値観や意向の分布に関する推論を行うことを可能にする。調査結果をパネルディスカッションに組み入れることで、推奨の方向性 や強さに関するパネルの決定の根拠が明確になり、プロセスの透明性が高まる。パネル調査は、患者の価値観や意向に関する一次調査 (例えば、患者を対象とした調査)に取って代わ ることを意図したものではない。理想的には、パネリストが調査に回答する際の判断 を最適化するために、診療ガイドラインに 関連する一次研究のレビューを含めることである(付録5、例3に例を示す)。パネリストは、 このようなレビューから得られた関連する一次研究、ガイドラインパネ ルが委託したフォーカスグループ、友人や家族とのヘルスケア に関する意思決定に 関する会話、あるいは臨床医であるパネリストの場合は、患者との共同意思決定における 経験に基づいて、調査に 回答することができる。 4.2 長所と限界 チリのCOVID-19生活指針に適用された先行調査手法の一つでは、指針パネリストに大、中、小、または些細な効果の閾値の値を提案す るよう求めた [31,32] 。また、患者の価値観や意向は様々であることを認識し、パネリストに閾値や選択肢を直接指定させるのではな く、患者の価値観や意向の分布を推測してもらうようにしている。最後に、長所と限界を知るために、調査の影響に関する質的研究を 行った[19]。質的評価の結果、ほとんどのパネリストが、調査によって患者の価値観と意向を考慮するようになり、利益と害または負 担のトレードオフに患者の価値観と意向を組み込むことが容易になったことが明らかになった。患者の意向のばらつき(意向の分布に 関する回答による)、患者の価値観や意向に関する不確実性(調査質問に対するパネリストの回答のばらつきに反映)は、パネルが推 奨の強さについて熟考するのに役立った [19] 。患者の価値観や意向を明確かつ体系的に解釈し、推奨に反映させるための正式なプロセ スを提供する既存のアプローチは他にない。ガイドラインのパネリストが患者の価値観や意向に関する洞察を生み出す能力を疑問視す る向きもあろう。実際、我々の質的研究に参加した何人かのパネリストはこの問題を提起した。しかし、推奨を作成するためには、常 にガイドライン・パネルが典型的な価値観や意向について推論する必要がある。そのような推論がなければ、介入の望ましい結果と望 ましくない結果を交換することは不可能である。パネル調査への回答は、患者の価値観や意向の最良推定値を提供するだけでなく、変 動するパネル回答を通じて、既存の不確実性を明らかにした。このような不確実性を明らかにすることで、推奨の強さ(不確実性が大 きいほど、条件付き推奨の可能性が高くなる)と、対象となる患者の価値観や意向に関するさらなる研究の必要性の両方を知ることが できる。我々の質的評価に参加した2つのガイドラインパネル(成人の大腸がん検診に関するガイドラインパネル、ANCA関連血管炎に 対する血漿交換に関するガイドラインパネル)に関連する研究者が実施した患者を対象とした研究は、パネル調査の結果についてある 程度の安心感を与えるものである[33,34]。いずれの場合も、有益性と有害性の大きさに影響されない回答者もいたが(提示されたすべ ての大きさの介入を選択または拒否した)、意思決定に影響を受けた回答者は、パネルの推論と一致する閾値を選択した。

24.

5. 結論 介入に関連する利益と害のバランスを判断する際、ガイドライン委員会は患者の価値観 と意向に関 する推論を行わなければならない。我々が提案したフレームワークは、ガイ ドライン・パネルが患者の価値観や意向を明示的に考慮することを容易にし、パネルの 決定に明確な根拠を与える上で有用であることが証明された。私たちは、パネル調査の 作成と実施に関するガイダンスを求めているガイドライン・パネルの相談に応じること ができる。 主な知見 ガイドラインの推奨に患者の価値観や意向を取り入れる体系的な枠組みを紹介する。 このフレームワークに従って、ガイドラインのパネリストに患者の視点を反映させ、患 者の価値観や意向の分布に関する推論を行うことを明示的に課す調査を開発し、実施す ることができる。 パネル調査の結果から、最小重要差の閾値(すなわち、患者が重要であると認識する単 一のアウトカムに関連する最小の変化)を設定したり、意思決定の閾値(すなわち、介 入に関連する効果が閾値のどちらか一方に該当する場合に、介入を受け入れるか拒否す るかの患者の選択が逆転する)を設定したり、介入の有益性が有害性や負担を上回るか どうかを明示的に判断したりすることができる。