ネットワークメタ分析の論文の図表の理解しよう第1弾:サルコペニアと運動のNMA

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April 21, 23

スライド概要

追加:スライド45の(理屈はそうだが、感覚的には納得できないけどね)について、2023年GRADEの会議で下げなくて良いとするスライドがあったことを追加した。
この記事の実戦のために。
https://note.com/mxe05064/n/ndb985bef75b1
Incoherence(非整合性)の重要性に、もっと言及すれば良かったです。
サルコペニアと運動のネットワークメタ分析の「Exercise for sarcopenia in older people: A systematic review and network meta-analysis」という論文を細部まで読み込むためのスライドです。ダウンロードできますが、常識の範囲内で使って下さい。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13225

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

Exercise for sarcopenia in older people : A systematic review and network metaanalysis:2023 高齢者のサルコペニアに対する運動 : システマティック・レビューとネットワークメタ分析 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.100 2/jcsm.13225 DeepL翻訳・ChatGPT利用

2.

知識の前提条件 • システマティックレビューのだいたいの流れがわかっている(システマ テックレビューでもいい加減に作ってあればダメだと言うことなど)。 • メタ分析の効果推定値と、そのエビデンスの確実性の関係がわかっている (エビデンスの確実性の評価方法までは必要ないが、効果推定値のみでは だめだと言うこと)。 • ネットワークメタ分析の基本的なことをわかっている(直接比較している ペアと、間接比較のみしかないペアがあるなど)。 • しかし、ネットワークメタ分析の論文は、表がたくさんでてきて、いまい ち自信がない方。

3.

背景 サルコペニアは、世界中の高齢者の間で深刻な公衆衛生上 の懸念である。 運動は、サルコペニアに対する最も一般的な介入である。 本研究は、サルコペニアの高齢者に対して、異なる種類の 運動(栄養の有無も)の有効性を比較することを目的とし た。

4.

付録について Appendix S1: Search strategy:検索式 Appendix S2: Changes from protocol:プロトコールの変更について Appendix S3: Characteristics of included studies:選択論文の症例数や年齢などの一覧表 Appendix S4: Risk of bias assessments:リスクオブバイアスの表 Appendix S5: Other main results:その他の結果 S5.1身体能力など他のNetwork plots、S5.2 Minimally contextualized framework というusual careを参照比較とした効果推定値 と確実性のまとめの表、S5.3 Network estimates (league tables) 本文図3のQOL以外のリーグテーブルという総当たり表、S5.5 Heterogeneity 論文間の非一致性・非一貫性を評価するために、直接比較のメタ分析でのフォレストプロット、S5.6 Comparisonadjusted funnel plots 出版バイアスのための図だが、研究数が少ないので参考にならない、S5.7 Summary of effects of interventions on other outcomes 本文図4と同じ表 Appendix S6: GRADE assessments S6.1 Certainty of evidence for direct, indirect and network estimates エビデンスの確実性を評価するときに利用する表、 S6.2 Absolute contribution matrices 寄与度マトリックス Appendix S7: Subgroup analyses S7.1 Results of subgroup analyses 男女とかサブグループ比較、S7.2. Instrument for assessing the Credibility of Effect Modification Analyses (ICEMAN) メタ分析でサブグループ比較をするときは、いろいろな要因で間違った結果になるという注意 が必要なので、それがないかどうかを評価する指標 Appendix S8: Reference list for included studies:採用論文の文献リスト Appendix S9: Rational of excluding studies during the full-text screening:フルスクリーニング時の除外論文の理由

5.

ガイドライン・パネルへの参加 ・・・と言うことで、診療ガイドライン作成のためのSRみたい 本研究は、サルコペニアの診断と治療に関する診療ガイド ラインを支援するものである。 老年病専門医、内分泌専門医、運動専門医、一般内科医、 栄養士、循環器専門医、方法論専門医からなるガイドライ ン委員会が、本試験の重要な監督を行った。 委員会は、プロトコールを検討し、対象者を特定し、クリ ニカルクエスチョンを設定し、患者にとって重要なアウト カムを選択しランク付けした。

6.

検索戦略 期間: ~2022年6月3日まで Ovid経由:MEDLINE、Embase、Cochrane Library (Cochrane Central Register of Controlled Trials) サルコペニア、運動、身体活動、RCTを含むキーワードと Medical Subject Headings(MeSH)用語を組み合わせ た検索式の詳細は付録S1参照。

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適格基準 P:サルコペニアを有する高齢者(60歳以上) I:あらゆる種類の運動とあらゆる種類の栄養、プラセボまたは通常ケア Design:並行群によるRCT(クロスオーバー試験は除外) 診断評価:特定の基準に限定せず、European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)およびAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)を含むがこれ に限定しない、研究報告によるサルコペニアの定義に従う。 サルコペニアの定義:少なくとも筋肉量の低下や筋力の低下・身体能力の低下などを含んで います。 言語:英語。一部の中国語雑誌で発表された研究では、ランダム割付けの詳細が記載されて おらず、これらの研究のほとんどは本当のRCTではないと思われる。 参考:さらに、システマティックレビュー31では、従来の医学分野では、英語の制限により 治療効果推定に系統的なバイアスが生じることはおそらくないと指摘している。 31Morrison A, Polisena J, Husereau D, Moulton K, Clark M, Fiander M, et al. The effect of English-language restriction on systematic review-based meta-analyses: a systematic review of empirical studies. Int J Technol Assess Health Care 2012; 28: 138– 144.

8.

データ抽出・リスクオブバイアス評価 ITTに従った。 一部、脱落データは、補完したものもある。 公式で必要な情報をすべて得られなかった場合、メタ分析から除外し た。 RoB:コクラン? 文献が以下のになっていた? Gordon H, Guyatt J. Risk of bias in randomized trials. 2016. Available from: http://growthevidencecom/gordon-h-guyattmd-msc-and-jason-w-busse-dc-phd/201 考察に、「改訂版コクランRoB 2は、RoB 1.0よりもバイアスのリス ク評価の妥当性を向上させるという実証はない。これらの理由から、 本研究では改訂版RoB 1.0を選択しました。」とあった。

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アウトカム (1) critical outcomes(診療ガイドラインで推奨の判断に使うアウトカム): allcause mortality, quality of life, falls, any adverse events, muscle strength (handgrip strength) and physical performance (usual gait speed, TUG test and five-repetition chair stand test) 全死亡、QOL、転倒、あらゆる有害事象、筋力(ハンドグリップ力)、身体 能力(通常の歩行速度、TUGテスト、5回繰り返す椅子立ちテスト) (2) important but surrogate outcomes: knee extension strength, maximal gait speed and muscle mass (appendicular skeletal muscle mass index [ASMI], skeletal muscle mass index [SMI], appendicular skeletal muscle mass [ASM], fat-free mass and fat mass, and skeletal muscle mass [SMM]). We adopted the study-reported definition for these outcomes. 膝伸展力、最大歩行速度、筋肉量(付属骨格筋量指数[ASMI]、骨格筋量指 数[SMI]、付属骨格筋量[ASM]、無脂肪量および脂肪量、骨格筋量 [SMM])

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分析方法 ネットワークメタ分析:Rパッケージnetmeta(頻度論NMA) 最小重要差(MID): • 握力: 5.0kg • 普段の歩行速度: 0.10m/s • 5回繰り返しの椅子立ち試験:2.3秒 • TUG試験(Timed Up & Go Test「肘掛のついた椅子にゆったりと 腰かけた状態から立ち上がり、3mを心地よい早さで歩き、折り返 してから再び深く着座するまでの様子を観察するもの」が原法): 2.1秒

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エビデンスの確実性・効果の大きさの分類 (CINeMA方法でなく、)GRADEアプローチの方法で行なった。 不精確さの評価は、参照グループを通常ケア群として、null効 果(差がない0か1)を利用する、最小コンテキスト化法に従っ た。(We used the null effect as the decision threshold and usual care as the reference group.) エビデンスの確実性は、一般的な4段階だけでなく、高/中程度 と低/非常に低い、の2段階の分類も行なった。 介入は、最も効果的なグループ、中間の効果、最も効果的でな いグループの3つに分類

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対象研究 初回スクリーニング:5988件 全文スクリーニング:120件 RCT:42件 図1にフローチャートあり 年齢中央値:72.9歳(四分位範囲[IQR]間:69-79.5) 女性比率中央値:73.3%(50-100%) 追跡期間中央値:12(12-16)週間 試験における治療期間:8-144週間 9試験(20.9%)は、割付隠蔽または転帰の欠落によりバ イアスリスクが高いと判断された

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介入:サルコペニア治療のための短期混合運動の代表は3つ Resistance:レジスタンストレーニングは、筋力と持久力を向上させる運動の一 種です。 レジスタンス トレーニング ワークアウト中は、体重、重力、バンド、 重り付きのバー、またはダンベルによる抵抗に逆らって手足を動かします。 Aerobic:有酸素運動とは、血液を送り出し、大きな筋肉群を働かせるあらゆる活 動です。心血管活動とも呼ばれます。 Balance:バランスを改善するためのトレーニングは、姿勢を維持するのに役立つ コアの筋肉群に働きかけることです。 筋力を高めます。 Resistance and balance Resistance and aerobic Resistance and aerobic and balance Balance and aerobic:これは、一般的にはありえないし、今回もなかった plus nutrition:栄養摂取(栄養リハビリ) usual care:通常のケア

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バイアスのリスク:Appendix S4: Risk of bias assessmentsを改変 アウトカム、介入のペアで分けてなく、全体の傾向のみの評価として StudyID Rando Se le ctiv Blindin m Allocati Blindin e gMissing se que nc on gre porti particip outcom O ve rall e conce al asse sso ng of ant and e ge ne rat me nt r outcom care r ion es Liang, YX 2020 ◎ △ △ ○ ◎ ◎ △ Kim, HK 2012 ◎ ○ ◎ ◎ ◎ △ △ Kim, HK 2013 ◎ ○ × ◎ ◎ △ △ Rondanelli, M 2016 ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ Zdzieblik, D 2015 ◎ △ ◎ ◎ ◎ △ △ Kim, HK 2016 ◎ △ × △ ◎ △ △ Chen, HT 2017 △ × × ◎ × △ × Park, J 2017 △ × × ◎ ◎ △ × Cunha, PM 2018 ◎ △ × ◎ ◎ △ △ Piastra, G 2018 △ × △ △ ◎ △ × Mafi, F 2019 ○ △ ◎ △ △ △ △ Lu, Y 2019 ◎ ◎ × ◎ ◎ ◎ ◎ Zhu, LY 2019 ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ Rondanelli, M 2020 ◎ ○ ◎ △ ○ ◎ △ T akeuchi, I 2019 ◎ △ × ◎ ◎ △ △ T sekoura, M 2018 ○ ○ × △ ◎ ◎ △ Liao, CD 2018 ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ Li, Z 2021 ◎ △ × △ ◎ ◎ △ Sen, EI 2021 ◎ △ × △ △ △ △ Zhu, YQ 2019 ○ △ × △ ◎ △ △ Bagheri, R 2020 △ × × △ ◎ △ × Lee, YH 2021 ◎ ○ × ◎ ◎ ◎ ○ Seo, MW 2021 ◎ △ × △ ○ △ △ Liao, CD 2017 ◎ △ ◎ ◎ ○ ◎ △ Kemmler, W 2020a (FrOST ) ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ Oh, MK 2020 ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ Maltais, ML 2016 △ × ◎ △ △ △ × Maltais, ML 2015 △ × ◎ △ △ △ × Vasconcelos, KSS 2016 ◎ ○ × ◎ ◎ ◎ ○ Huang, SW 2017 ○ ○ △ ◎ ◎ ◎ ○ Chen, HT 2018 △ × × △ ◎ △ × Dong, ZJ 2019 ○ △ × △ △ △ △ Vikberg, S 2019 △ ○ × ◎ ◎ ◎ △ Nabuco, HCG 2019 ○ △ ◎ △ ◎ ◎ △ Kemmler, W 2020b (FrOST ) ○ ○ △ ◎ ◎ ◎ ○ Jung, WS 2019 ◎ △ × △ ◎ △ △ Yamada, M 2019 ◎ △ × ◎ ◎ △ △ Iranzo, MC 2018 ◎ △ × ◎ × ◎ × Yun, JH 2021 ○ △ × ◎ △ △ △ Maruya, K 2016 △ × × △ ◎ △ × Bernabei,R 2022A ○ ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ Bernabei,R 2022B ○ ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ T okuda, Y 2022 ◎ ○ × △ △ △ ○

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全死因死亡率 2022年にBMJ誌に掲載された、1研究のみ: 介入群(有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動を含む中強度運動+栄養摂取):605人中 31人(5.1%) 生活習慣教育対照群:600人中25人(4.2%) リスク比[RR]: 1.23, 95% CI: 0.74 to 2.06 点推定値は、運動療法のが、死亡率が高かった。サブグループ解析は、結果が逆転することもある ので注意が必要だが(次のスライド)、女性でリスクが高く、男性でリスクが低くなっていた。 Intervention Resistance and aerobic and balance plus nutrition (1 RCT; 1205 participants) Subgroup (sex) Relative effects (risk ratio; 95% CI) Time frames Female 1.23 (0.74 to 2.06) 3-year Male 1.23 (0.74 to 2.06) 3-year Anticipated absolute effect Certainty (95% CI) Risk differences Reason for rating of (95% CI) down/up Without evidence With intervention intervention 20 more per 1000 105 per 1000 patients (22 fewer patients (63 to 175) to 90 more) 274 per 1000 51 fewer per 1000 223 per 1000 patients (165 to patients (58 fewer patients 459) to 236 more) 85 per 1000 patients Moderate Rating down due to imprecision Moderate Rating down due to imprecision 超アドバンス(握力の所でも解説):死亡なので、1000人中50人も増えれば、問題だと思 う。今回は、効果の差なし(null)を基準にしているので不精確さは、1段階しか下げてな いが、部分コンテキスト化と考えると、閾値を2つぐらいまたぐ感じがあるので、2段階下げ ても良いようなぐらい95%信頼区間の広さが広いと思う。

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アドバンス:サブグループ分析は、注意が必要 付録に「Appendix S7: Subgroup analyses」という項目があり、 「S7.1 Results of subgroup analyses」として、サブグループの結果がある。 さらに、 「S7.2. Instrument for assessing the Credibility of Effect Modification Analyses (ICEMAN)」として、サブグループ解析には、いろいろな要因に よって効果が逆転するなど問題があるので、それを適確に評価するための評 価結果が記載されている。この評価を理解する事は、ユーザーにはできなく て良いが、評価しているので、サブグループの結果も、少しは利用できると 判断する程度。 しかし、残念な事に、全死因死亡率の男女のサブグループについての評価が なかった。 ICEMAN:https://www.iceman.help/

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Quality of life 結果: 評価方法:6種類 栄養を伴う運動(SMD:0.60、95%CI:0.17~1.03)または栄養なしの運動(SMD:0.44、 95%CI:0.13~0.75)は、運動なしと比較してQOLの向上に有効。 栄養を伴うまたは伴わないレジスタンス運動、およびレジスタンス運動・有酸素運動・バラ ンス運動の組み合わせは、通常のケアと比較してQOLの改善に最も有効な介入である。 (例:レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11, 95% CI: 0.54 to 1.68, high certainity; 詳細は図3および図4に記載)。 ⇒よって、まず1.11という数字が出てくる図・表を確認。 考察・結論: 運動への栄養介入の追加は、QOLと身体能力(通常の歩行速度、TUGテスト、椅子立ちテス トなど)にほとんど影響を与えない。結論として、栄養介入の有無にかかわらずレジスタン ス運動、およびレジスタンス運動とバランス運動または有酸素運動の組み合わせが、サルコ ペニアの高齢者の生活の質を改善するための最も効果的な介入であることが、高または中程 度の確実な証拠によって示された。

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Quality of life 結果: 評価方法:6種類 栄養を伴う運動(SMD:0.60、95%CI:0.17~1.03)または栄養なしの運動(SMD:0.44、 95%CI:0.13~0.75)は、運動なしと比較してQOLの向上に有効。 栄養を伴うまたは伴わないレジスタンス運動、およびレジスタンス運動・有酸素運動・バラ ンス運動の組み合わせは、通常のケアと比較してQOLの改善に最も有効な介入である。 (例:レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11, 95% CI: 0.54 to 1.68, high certainity; 詳細は図3および図4に記載)。 ⇒よって、まず1.11という数字が出てくる図・表を確認。 考察・結論: ポイント:ネットワークメタ分析の論文には、一つの結果が、いろいろな所に、重 複して書かれているので、どれがどれか、わかりにくいことが多い。 運動への栄養介入の追加は、QOLと身体能力(通常の歩行速度、TUGテスト、椅子立ちテス トなど)にほとんど影響を与えない。結論として、栄養介入の有無にかかわらずレジスタン ス運動、およびレジスタンス運動とバランス運動または有酸素運動の組み合わせが、サルコ ペニアの高齢者の生活の質を改善するための最も効果的な介入であることが、高または中程 度の確実な証拠によって示された。

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同じ結果をいろいろな表で繰返しているので、整理が必要: 例えば、レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11 League tables:総当たりの結果を、見やすい図と しているが、それほど見やすいとも思えない。でも、 表より面積が減るので、論文の本体の図としての 記載が多い(減りつつある)。 Figure 3 League tables of quality of life 総当たりから、どの治療法が最も良いかを、多角的な思考で判断するのは、人間では不可能。 そのため、Usual careを、参照比較として、この行のみを取り出して、ランキングをすることになる。 次からの図・表は、このパターンが基本となっている。 ポイント:ネットワークメタ分析の醍醐味は、総当たり比較がわかることだが、結 局ややこしいので、コントロールなどとの比較のみで、判断することになる。

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レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11 続き Appendix S5: Other main results S5.4 Forest plots S5.4.1 (a)Quality of life Usual careを参照比較とした、フォレストプロットを、効果の大きさ順に並べたもの。 右のP-scoreは、NMAで算出したランキング。 この図には、エビデンスの確実性が書かれてないので、効果の大きさのみで、良い介入と思わないこと(しかし、見 た目では、一番面白いが・・・)。

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レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11 続き Table 1 Summary offindings to illustrate absolute effects based on outcomes of exercise compared with usual care 介入の中で、栄養群と非栄養群で分けて見やすくしたと思われる表だが、通常ケアとの比較が、文章となっており、 かえって見にくいと思われる。

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レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11 続き Appendix S6: GRADE assessments S6.1 Certainty of evidence for direct, indirect and network estimates S6.1.1 Quality of life 比較 直接比較の リスクオ 非直接性 非一貫 出版バ 直接比較 間接比較の 間接比較の ネッ トワー 直接と間接 非整合 不精確 NMAの 推定値 ブバイ indirectと 性 y イアス の確実性 推定値 確実性の仮 ク推定値 の高いもの 性 さ 確実性 ア ス 誤解され の仮 ループがな け のはずだ やすい が? No serious れば無し は記載ミス Comparisons Direct RoB Indirect Heteroge PubBias Direct ness neity Certainty Aerobic: Resistance ___ ___ ___ ___ ___ ___ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ Indirect Indirect Certainty -0.52 (-1.39 to 0.34) ・・・ 0 Resistance: Usual 1.11 (0.54 to No No No serious No No serious ___ care 1.68) serious serious serious Resistance and ___ ___ ___ ___ ___ ___ -0.75 (-1.32 to Aerobic: Resistance -0.18) and Aerobic and Balance ・・・ ___ -1 nma Direct+ incoher impreci nmaCerta sion inty Indirect ence Certain ty -0.52 (-1.39 No No Serious Moderate to 0.34) serious serious ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 1.11 (0.54 to No No No High 1.68) serious serious serious -0.75 (-1.32 Serious No No Moderate to -0.18) serious serious GRADEアプローチで、ネットワークメタ分析の効果推定値の、エビデンスの確実性を評価するときに作成される表。 しかし、少し、記載で問題と思われるか所がある。 でも、一般のユーザーは、ここまで確認しなくて良いと思われる表なので、難しくても気にしないこと。でも、可能な らば、不整合性のみは、チェックして、ここに問題があるようならば、信頼性が落ちると、個人的には考えている。 ここでも、nmaの効果推定値として、1.11が記載されている。 直接比較の推定値にも1.11とあるが、これは、アドバンスとして、少し後のスライドで説明する。

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レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11 続き GRADEアプローチが推奨している表であり、エビデンスの確実性で層別化して、そのなかで、効果のあるもの順に並べ ている(効果のあるものをカテゴリー0とか2としてまとめてもいる)。よって、右のP-scoreという、ランキングとほぼほぼ 同じ順番になっている(ランキングの確実性は、評価してない)。 Usual careを参照比較としているのに、Lifestyle modification aloneと表現を変えて混乱させている。 また、図のタイトルが、Minimally contextualized frameworkとなっているのは、「GRADE approach to drawing conclusions from a network meta-analysis using a minimally contextualised framework」という論文からの表のためであ るが、表自体は、最小コンテキスト化とあまり関係ない。 この表で最終結果とすれば良いのに、これは付録であり、さらにFigure 4がある(たしかに図4のが見やすい)。

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ポイント:効果推定値のエビデンスの確実性と、ランキングの確実性は、別であり、ランキングの 確実性は、低い場合が多いので、SUCRA score(ベイズ的)とP-score(頻度論的・ Frequentist)などのランキングは、あまり参考にしない方が良い。 例えば、右の図で、AB のエビデンスの確実性は 高く、BC と AC のエビ デンスの確実性が低い単 純な三角ネットワークを 考えてみる。 効果推定値AB には高い 信頼度を与えることがで きるかもしれないが、全 体的な治療ランキングに は低い信頼度しか与えら れないことになる。

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レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11 続き Figure 4Summary of effects of interventions on critical outcomes 2022年の、「Development and design validation of a novel network meta-analysis presentation tool for multiple outcomes: a qualitative descriptive study」という論文に従った表。上の表で、エビデンスの確実性と効果の大きさで、こ んな感じに色分けすると宣言してあり、下の表で、それに従って、重大なアウトカムのみで表を作っている。これも、 ususal careが参照比較として計算してある値。 よって、SMD:1.11が、各所に出てくるが、最終的には、この表のみ見ることになる。

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アドバンス:実は、この「レジスタンス運動単独 vs. 通常のケ ア: SMD: 1.11」は・・・ ループ なし ループ なし ループ なし レジスタンス運動単独 vs. 通常のケアは、ネットワー クズより、1研究のみの直 接比較がある。しかし、三 角のループが描けないので、 間接比較の算出ができない。 すなわち、ネットワークメ タ分析の結果は、ネット ワークでなく、単に、レジ スタンス運動単独 vs. 通 常のケアの直接比較の1つ の研究のみの結果からと なっている。 次のスライドで確認。

27.

アドバンス:実は、この「レジスタンス運動単独 vs. 通常のケ ア: SMD: 1.11」は・・・ Appendix S6: GRADE assessments S6.2 Absolute contribution matrices S6.2.1 Quality of life 寄与度マトリックスと言って、総当たりの各比較のペアの ネットワーク推定値が、直接比較の、どのペアの直接比較 の影響を受けたかと言うものである。これも、興味のある 人のみ確認するが、ほとんどのユーザーは見なくて良い。 よって、レジスタンス運動単独 vs. 通常のケアのペアは、 直接比較のレジスタンス運動単独 vs. 通常のケアのペアの みだけからだから、1.0となっており、他のペアからは0と なる。

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アドバンス:実は、この「レジスタンス運動単独 vs. 通常のケ ア: SMD: 1.11」は・・・ Appendix S5: Other main results S5.5 Heterogeneity S5.5.1 Quality of life この部分に、レジスタンス運動 単独 vs. 通常のケアの直接比較 は、Liao, CD 2018のみであり、 SMD: 1.11 [0.54; 1.68]と、 最終的なネットワークメタ分析 の効果推定値と同じになってい る。 ポイント:ネットワークメタ ネットワークメタ分析という高 分析という高尚な統計手法を 尚な統計手法を駆使した結果だ 駆使した結果だが、実は、こ が、実は、この一つの研究の結 の一つの研究の結果のみが反 果のみが反映されていることを 映されていることを理解して 理解して欲しい。 欲しい。 このフォレストプロットがある のは珍しく、これがあると、自 分でネットワークメタ分析を再 計算もできるし、実際の論文に 戻りやすいので、本当にありが たい。これは、せっかくあるの で、ちら見して欲しい。

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ネットワークプロット:quality of life

30.

ネットワークプロット:quality of life ポイント:ネットワーク図を、しっかりとながめて、どのペ アの研究が多いか、どのペアーの比較は、あまり信用できな いのか、考えてから、結果を見ることが大切。

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S5.6 Comparison-adjusted funnel plots S5.6.1 Quality of life 出版バイアスに対して、ファンネル プロットが掲載されているが、研究 数が5未満でもあり、参考にならない と思われる。

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Figure 4 Summary of effects of interventions on critical outcomes Outcomes Categories Among the most effective High/Moderate Certainty Evidence LovvNery low Certainty Evidence M ore effective than at least one intervention in intermediately effective M ight be superior to at least one intervention in intermediately effective 中間的な効果で、少なくとも1つの介入よりも効果が高い 中間的な効果で、少なくとも1つの介入より優れて いる可能性がある M ight be inferior to the most effective or superior than the least effective Intermediately effective Among the least effective Inferior to the most effective or superior than the least effective 最も効果的なものよりも劣るかもしれないし、最も効果的でないもの 最も効果的なものよりも劣る、 または 最も効果的でないものよりも優れる よりも優れているかもしれない Not convincingly different than usual care 通常のケアと説得力のある違いがない Intervention Resistance Resistance plus Nutrition Resistance and Balance Resistance and Balance plus Nutrition Resistance and Aerobic Resistance and Aerobic plus Nutrition Resistance and Aerobic and Balance Resistance and Aerobic and Balance plus Nutrition Aerobic Balance Might be similar to usual care. 通常のケアに近いかもしれません。 Quality of life (scale, SMD, 95% CI) 1.11 (0.54 to 1.68) 1.07 (0.23 to 1.91) 0.02 (-0.55 to 0.58) 0.36 (-0.26 to 0.98) -0.07 (-0.52 to 0.38) 0.12 (-0.34 to 0.58) 0.68 (0.32 to 1.04) 0.58 (-0.06 to 1.23) まず、エビデンスの確実性が高く、かつ、効果が中間的な緑に着目。 Resistance・Resistance plus Nutrition・ Resistance and Aerobic and Balanceなので、文章にすると、 「栄養を伴うまたは伴わないレジスタンス運動、およびレジスタンス運動・有酸素運動・バランス運動の組み合わせは、通 常のケアと比較してQOLの改善に最も有効な介入である。」・「運動への栄養介入の追加は、QOLにほとんど影響を与えな い」となる。

33.

S5.4.1 (b) Quality of life (All the different types of exercise interventions are grouped together) そうすると、やはり、運動ありなし、と通常ケアとの比較を見たい。よって、以下のフォレ ストプロットの解析を行なった。 そうすると、「栄養を伴う運動(SMD:0.60、95%CI:0.17~1.03)または栄養なしの運 動(SMD:0.44、95%CI:0.13~0.75)は、運動なしと比較してQOLの向上に有効。」と なる。 点推定値は、栄養リハのが勝っていた(信頼区間の多くが重なっているが・・・)。

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Quality of life 結果: 評価方法:6種類 栄養を伴う運動(SMD:0.60、95%CI:0.17~1.03)または栄養なしの運動(SMD:0.44、95%CI: 0.13~0.75)は、運動なしと比較してQOLの向上に有効。 栄養を伴うまたは伴わないレジスタンス運動、およびレジスタンス運動・有酸素運動・バランス運動の組み 合わせは、通常のケアと比較してQOLの改善に最も有効な介入である。 (例:レジスタンス運動単独 vs. 通常のケア: SMD: 1.11, 95% CI: 0.54 to 1.68, high certainity; 詳細 は図3および図4に記載)。 考察・結論: 運動への栄養介入の追加は、QOLと身体能力(通常の歩行速度、TUGテスト、椅子立ちテストなど)にほと んど影響を与えない。結論として、栄養介入の有無にかかわらずレジスタンス運動、およびレジスタンス運 動とバランス運動または有酸素運動の組み合わせが、サルコペニアの高齢者の生活の質を改善するための最 も効果的な介入であることが、高または中程度の確実な証拠によって示された。 ただし、QOLは、評価方法がバラバラ(quality of lifeとknee extension strength)なので、SMD(標準化平 均差)を使用したとあるが、それでも。より注意する必要があるだろう。

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アドバンス:標準化平均差の効果の大きさの解釈について S5.4.1 (a)Quality of life 標準化平均差は、標準偏差で平均を割るので、単位がない。よって、最小重要差 (MID)の算出は、ほぼほぼ不可能。 そこで、Cohen’s dによる効果の大きさの閾値という、おおよその目安がある。 コクランハンドブック(section-15-5-3-1):SMDが0.2は小さい効果、0.5は中等度 の効果、0.8は大きな効果である。 それに従って、フォレストプロットに記載すると、Resistanceの効果が大きく、栄養 の有無で変らないことが、よくわかる。

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Muscle strength: handgrip strength 筋力(握力) 本文: 2883人の患者を含む27の試験 中程度の確度のエビデンスは、レジスタンス運動単独(MD:2.69kg、95%CI:1.78~ 3.61)およびレジスタンス運動と有酸素運動と栄養の組み合わせ(MD:3.02kg、95%CI: 1.64~4.4)が、ハンドグリップ力を改善するのに最も有効な介入であると示した。 運動に栄養を加えたものは、運動だけよりも大きな効果量を示している。 レジスタンス運動単独(MD: 3.93 kg, 95% CI: 2.22 to 5.65, 高確率)またはレジスタン ス運動とバランス運動の組み合わせ(MD: 4.19 kg, 95% CI: 2.55 to 5.83, 中程度)の効 果量は、ハンドグリップ力について事前に設定されたMID基準値を超える場合があります (図4、付録S5.3)。 考察・結論:栄養介入を追加することで、証拠の質と効果の大きさの両方の面で、運動だけ に比べて握力が向上しました。

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ネットワークプロット:Muscle strength: handgrip strength 筋力(握力) 27試験・ 2883人

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Muscle strength: handgrip strength 筋力(握力) Muscle strength/Handgrip strength (MD, 95% CI) Resistance 2.69 (1.78 to 3.61) 3.93 (2.22 to 5.65) Resistance plus Nutrition 1.23 (-0.16 to 2.62) Resistance and Balance 4.19 (2.55 to 5.83) Resistance and Balance plus Nutrition 1.94 (0.79 to 3.08) Resistance and Aerobic 3.02 (1.64 to 4.4) Resistance and Aerobic plus Nutrition 0.2 (3.5 to 3.9) Resistance and Aerobic and Balance 1.3 (-0.14 to 2.73) Resistance and Aerobic and Balance plus Nutrition 0.46(-1.13 to 2.04) Aerobic 0.38 (-2.32 to 3.09) Balance Intervention 表より、緑の4介入が効果があった。まず、95%CIの上限が、5kgを越えてない2つの介入の 結果から本文に書かれている。 本文:「レジスタンス運動単独(MD:2.69kg、95%CI:1.78~3.61)およびレジスタンス 運動と有酸素運動と栄養の組み合わせ(MD:3.02kg、95%CI:1.64~4.4)が、ハンドグ リップ力を改善するのに最も有効な介入・中程度の確度のエビデンスであると示した。」

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Muscle strength: handgrip strength Intervention 筋力(握力) Muscle strength/Handgrip strength (MD, 95% CI) no Nutrition plus Nutrition Resistance 2.69 (1.78 to 3.61) 3.93 (2.22 to 5.65) Resistance and Balance 1.23 (-0.16 to 2.62) 4.19 (2.55 to 5.83) Resistance and Aerobic 1.94 (0.79 to 3.08) 3.02 (1.64 to 4.4) Resistance and Aerobic and Balance 0.2 (3.5 to 3.9) 1.3 (-0.14 to 2.73) QOLでは、フォレストプロットで記載があったが、握力ではないので、表を 少し改変して見やすくした。 本文:「運動に栄養を加えたものは、運動だけよりも大きな効果量を示して いる。」 考察・結論:「栄養介入を追加することで、証拠の質と効果の大きさの両方 の面で、運動だけに比べて握力が向上しました。」

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Muscle strength: handgrip strength 筋力(握力) Muscle strength/Handgrip strength (MD, 95% CI) Resistance 2.69 (1.78 to 3.61) 3.93 (2.22 to 5.65) Resistance plus Nutrition 1.23 (-0.16 to 2.62) Resistance and Balance 4.19 (2.55 to 5.83) Resistance and Balance plus Nutrition 1.94 (0.79 to 3.08) Resistance and Aerobic 3.02 (1.64 to 4.4) Resistance and Aerobic plus Nutrition 0.2 (3.5 to 3.9) Resistance and Aerobic and Balance 1.3 (-0.14 to 2.73) Resistance and Aerobic and Balance plus Nutrition 0.46(-1.13 to 2.04) Aerobic 0.38 (-2.32 to 3.09) Balance Intervention たぶん、栄養無しの2つのペアを述べて、栄養がある方が効果の大きさと確実性が向上してい ると述べた後に、栄養があり、95%信頼区間の上限が、事前のMID値を越えた、より効果が あるそうな2つのペアの記載のがわかりやすいと思ったのだろう。しかし、本文の文章はか えって分りにくいと思う。 本文:「レジスタンス運動単独と栄養(MD: 3.93 kg, 95% CI: 2.22 to 5.65, 高確率)、 または、レジスタンス運動とバランス運動の組み合わせと栄養(MD: 4.19 kg, 95% CI: 2.55 to 5.83, 中程度)の効果量は、ハンドグリップ力について事前に設定されたMID基準 値(5.0kg)を超える場合があります(図4、付録S5.3)。」

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Muscle strength: handgrip strength 筋力(握力) 本文: 2883人の患者を含む27の試験 中程度の確度のエビデンスは、レジスタンス運動単独(MD:2.69kg、95%CI:1.78~ 3.61)およびレジスタンス運動と有酸素運動と栄養の組み合わせ(MD:3.02kg、95%CI: 1.64~4.4)が、ハンドグリップ力を改善するのに最も有効な介入であると示した。 運動に栄養を加えたものは、運動だけよりも大きな効果量を示している。 レジスタンス運動単独(MD: 3.93 kg, 95% CI: 2.22 to 5.65, 高確率)またはレジスタン ス運動とバランス運動の組み合わせ(MD: 4.19 kg, 95% CI: 2.55 to 5.83, 中程度)の効 果量は、ハンドグリップ力について事前に設定されたMID基準値を超える場合があります (図4、付録S5.3)。 考察・結論:栄養介入を追加することで、証拠の質と効果の大きさの両方の面で、運動だけ に比べて握力が向上しました。

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超アドバンス:実は、MIDの閾値をまたぐと・・・ S5.4.2 Handgrip strength MID基準値(5.0kg) 今回は、95%信頼区間の上限が、MIDの5.0kgを越えていたので、上の2つは、may exceed the pre-set MID threshold for handgrip strengthと記載あり(明確に、効果が大きいとは書いてないところが上手だ が)。一方で、MIDを使った最小コンテキスト化で考えると次のような考えとなる。 次からの私の説明は、より混乱するので、読まない方が良いという恐ろしい内容です。

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Rating of certainty of evidence using a minimally contextualized approach. 群間差 なし 差なし 重要な 効果 最小重要差[MID] もしMIDを使うならば(著者らは、結局使ってないが、もし使うならば)、MIDが最小の臨床で重要な閾値 なので、これ以下なら、臨床的に効果がないとなる。よって、最小コンテキスト化アプローチの場合、確実 性を評価する閾値として、群間差なし、または重要な効果の二つの可能性を指定して、その決めたどちらか より大きいか小さいかで評価する。これに従うと、そもそも、下記のように、点推定値は、群間差なしの範 囲内となるので、例えば、Resistanceは、95%CIがMID以下の範囲内に収まるので、Usual careと効果の 差がないとなる。 MID基準値(5.0kg) さらに、Resistance plus Nutritionsは、点推定値より効果推定値が群間差なし、と指定してエビデンスの確 実性を検討しているので、 95%CIの上限がMIDを越えていることより、確実性の評価の不精確さを下げなけ ればならない( Resistance のみは、MIDをまたがないので、OIS(サンプル数)が満たしていれば、不精確 さで下げない)。 よって、栄養を加えると、エビデンスの確実性が下がるということになり、著者らの見解と異なってしまう。 よって、MIDを使わない方が良い⇒次のスライドへ。

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Rating of certainty of evidence using a noncontextualized approach. 効果あり 差なし そこで、非コンテキスト化アプローチとして、効果ありというエビデンスの確実性を検討するならば、 と言うか、論文の著者らは、「不精確さの評価は、参照グループを通常ケア群として、null効果(差がない 0か1)を利用する、最小コンテキスト化法に従った。」とあるので、これを最小コンテキスト化としてい るようだ(最近は、非コンテキスト化を使わず、最小コンテキスト化とまとめるようになった感じ)。 差なし Resistanceにおいて、95%CIの下限が、差なし(Null)をまたいでないし、Resistance plus Nutritions も、95%CIの上限が、MIDを使ってないので閾値をまたがないことになるので、不精確さを下げることは ない(サンプル数(OIS)で下げるかもしれないが)。よって、著者らの見解にあうわけである。 しかし、あくまでもMIDを使わないため、握力で著者らが記載した、 MIDの記述は、確かに間違いではな いが、誤解しやすいので、書かない方が良いのではないだろうか。

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Rating of certainty of evidence using a partially contextualized approach:これ は、診療ガイドラインでは、考えなくてはいけないアプローチであるので、超アドバン スとして説明している 些細・trivial な効果 差なし 重要な効果あり 部分コンテキスト化の一部を使うと、閾値にかこまれた範囲 と考える事になる(本来は、中程度の効果の閾値も必要で、 小さな効果とかも必要だが、簡便のため2つにしたが、本来 と異なるので、より混乱させているかもしれない^^;)。 最小重要差[MID] そうなると、点推定値が、あくまでも些細な効果の範 囲なので、些細な効果についてのエビデンスの確実性 の判定となる。 S5.4.2 Handgrip strength 些細な効果 重要な効果 そうなると、 Resistanceは、些細な効果がある。 Resistance plus Nutritionsも些細な効果があるが、 95%CIの上限が重要な効果の可能性もあるので(本 来の部分コンテキスト化なら、小さな効果の可能性も ある、となる)、些細な効果としては、不精確さを下 げることになる(理屈はそうだが、感覚的には納得で きないけどね)。2023年のGRADEの会議で、この場 合は、下げなくても良いとするスライドがあった。 S5.4.3 Usual gait speed 通常の歩行速度 通常の歩行速度で考えると、Resistance and Balanceは、重要な効果があるが、MIDの閾値をまた ぐので、重要な効果を示すエビデンスの確実性として は不精確さを下げることになる。 また、Resistance and Aerobics plus Nutritionsは、 些細な効果であり、不精確さは、閾値を2つまたぐの で、2段階下げた方がよいかもしれない。他も、中等 度の閾値がかいてないので、何段階かは不明な記述で す。

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Physical performance Physical performance Intervention Usual gait speed (MD, 95% CI) Timed up and go (MD, 95% CI) Resistance 0.11 (0.04 to 0.18) -0.83 (-1.68 to 0.02) Resistance plus Nutrition Resistance and Balance Resistance and Balance plus Nutrition Resistance and Aerobic Resistance and Aerobic plus Nutrition Resistance and Aerobic and Balance Resistance and Aerobic and Balance plus Nutrition Aerobic Balance 0.13 (0.01 to 0.25) 0.16 (0.08 to 0.24) -0.77 (-2.16 to 0.63) -1.85 (-3.22 to -0.49) 0.16 (0.06 to 0.26) -1.54 (-3.33 to 0.25) Chair stand test (MD, 95% CT) -0.4(-2.21to1.41) -0.75 (-2.58 to 1.07) -1.79 (2.97 to -0.6) 0.1 (-0.01 to 0.22) -1.72 (-3.17 to -0.27) 0.06 (-0.06 to 0.18) -2.28 (-3.73 to -0.83) 0.04 (-0.14 to 0.22) -1.7 (-3.99 to 0.59) 最小重要差(MID): 普段の歩行速度: 0.10m/s TUG試験:2.1秒 5回繰り返しの椅子立ち試験:2.3秒 通常の歩行速度: 運動と、運動+栄養は、同様の効果サイズ。 抵抗運動およびバランス運動(栄養有・無):中程度の確実性、最も効果的な介入。効果量(MD:0.16:0.06~0.26)は、MID閾値 (0.1m/s)を超える。 抵抗運動±栄養:中程度の確実性、中間的な効果のある介入。効果量(MD:0.11~0.13)は、MIDを超える。 TUGテスト: 抵抗運動とバランス運動:中程度の確実性、中間的な有効な介入。(MD:-1.85秒、95%CI:-3.22~-0.49)、効果量のCIは、MID基 準値(2.1秒)をまたいでいる。←アドバンス:ここは、MIDをまたいでいるという表現だった。 5回繰り返しの椅子立ち上がりテスト: 抵抗運動にバランス運動または有酸素運動を加えたもの:確実性の高い。中間的な効果のある介入。運動のみ(MD約-1.70秒(-1.79と -1.72より))と、レジスタンス運動と有酸素運動に栄養を加えた場合(MD-2.28秒)のCIは、MID閾値(2.3秒)をまたぐ。←アドバ ンス:ここは、MIDをまたいでいるという表現だった。

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Physical performance S5.4.3 Usual gait speed 通常の歩行速度 S5.4.5 Five chair stand time 5回繰り返しの椅子立ち上がりテスト Time up and go 運動のみの点推定値(本文より)-1.70

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Any adverse events 17の研究では、介入に関連する有害事象は報告されていない。 ある研究では、転倒が、いろいろな介入群605名中80名(13.2%)、 生活習慣教育群600名中49名(8.2%)に記録された(RR:1.62、 95%CI:1.16~2.27)。 ある研究では、介入に関連した転倒はなかったと報告されていた。 ある研究では、試験中に少なくとも1つの有害事象(試験で定義され た有害事象を含む)が、介入群605名中337名(55.7%)、生活習慣 教育群600名中297名(49.5%)に記録された(RR: 1.13, 95% CI: 1.01 to 1.25 )。

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Subgroup analyses サブグループの効果:メタ回帰分析を使用。サブグループの評価を、 S7.2. Instrument for assessing the Credibility of Effect Modification Analyses (ICEMAN)で行なったが、信頼性は低かった。 地域在住に対して入院患者が:抵抗運動およびバランス運動に、栄養 を加えた場合、握力に対する影響が大きかった。 男性に対して女性が:抵抗運動に、栄養を加えた場合、通常の歩行速 度に対する影響が大きかった。