デジタルエージのプラットフォーム理論の新潮流 (ppt)

651 Views

June 15, 19

スライド概要

GAFAなどのプラットフォーマーの活躍が一段と目覚ましくなっている。それに伴い、両面市場やマルチサイドプラットフォーム理論として知られるプラットフォーム理論も世間で脚光を浴びている。最初の理論発表は2003年のことであった。しかし、現在は当時とはかなりビジネス環境が変わってきた。例えば、スマホのようなリアル機器を多くの顧客が日常的に所持する世界が登場した。その結果、マッチング環境も従来と様変わりしている。即ち、理論登場当時とは、ビジネス環境はデジタル化の深化で大きく変化したということだ。本来は、それに伴って、新たなプラットフォーム理論の登場を期待したいところだが、最近の対象の広がり、変化のスピードを見ていると、その期待は難しいように思う。 だからと言って、既存理論を現在の状況に無自覚に適応しようとするのも極めて危険なのではないか。こんな風に私は感じている。このような問題意識をできれば多くの人と共有できればと思い、拙い資料を作成してみた。

profile-image

定年まで35年間あるIT企業に勤めていました。その後、大学教員を5年。定年になって、非常勤講師を少々と、ある標準化機関の顧問。そこも定年になって数年前にB-frontier研究所を立ち上げました。この名前で、IT関係の英語論文(経営学的視点のもの)をダウンロードし、その紹介と自分で考えた内容を取り交ぜて情報公開しています。幾つかの学会で学会発表なども。昔、ITバブル崩壊の直前、ダイヤモンド社からIT革命本「デジタル融合市場」を出版したこともあります。こんな経験が今に続く情報発信の原点です。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

デジタルエージのプラットフォーム 理論の新潮流 B-frontier研究所 高橋 浩

2.

目次 • 全体構成図 • 第1章 プラットフォーム理論の歴史 – – – – – 1.1プラットフォームの経済学 1.2 プラットフォーム理論の創始者たち 1.3 プラットフォームのエコシステム 1.4 プラットフォーム理論統合の動き 1.5 直接相互作用の導入 • 第2章デジタルプラットフォームの拡大 – – – – 2.1 2.2 2.3 2.4 プラットフォームレボリューション GAFAは何故これほど大きくなったか IoTとプラットフォームガバナンス イノベーションのコアは周辺に移動 • 第3章デジタルインフラストラクチャの理論 – 3.1 ジェネラティビティとは – 3.2 階層モジュールアーキテクチャ – 3.3 デジタルカメラに見る特性 ・・・ 3 ・・・ 4 ・・・ 13 ・・・ 23 ・・・ 34 ・・・ 47 ・・・ 56 ・・・ 83 ・・・ 99 ・・・112 ・・・123 ・・・142 ・・・159 • 第4章プラットフォームとインフラ同時考慮と今後の戦略 – 4.1 エコシステム理論の構築に向けて ・・・169 – 4.2 デジタルプラットフォームとデジタルインフラストラクチャ ・・・191 – 4.3 デジタルエージのプラットフォーム理論の課題 ・・・213

3.

プラットフォーム理論の基礎 第一章 プラットフォーム理論の歴史 プラットフォーム理論の発展 両理論が融合する新たな時代 第二章 デジタルプラットフォーム の拡大 底流にあるデジタル化影響論の基礎 第三章 デジタルインフラストラクチャの理論 図1 全体構成図 第四章 プラットフォームと インフラ同時考慮 と今後の戦略

4.

1.1 プラットフォームの経済学 市場の二面性 • 買い手がたくさん集まる場に は多くの売り手が集まり、多く の売り手が集まる場には多く の買い手が集まること (間接的ネットワーク効果) (直接的ネットワーク効果) • 「市場の二面性」(two-sided market)が産業組織論で一躍 注目を浴び、「プラットフォー ム」という言葉と対になって新 たな研究領域を拡大してきた。 4

5.

• プラットフォームとは、「複数の階層あるいは 補完的な要素で構成される産業やシステム 商品において、他の階層や要素を規定してい る下位構造」 • 「市場の二面性」とは、あるプラットフォームを 基盤として複数の異なるレイヤーや補完的な 要素について、市場で取引される際に働く相 乗効果 • 事例: – アプリケーション・ソフトを起動する基盤OS – 自動車のボディ設計の基本部分(車台) 5

6.

物品所有権なしに買い手と売り手をマッチング Business Market-maker (プラットフォーム) Side 1 Side 2 コンピュータソフトウェア Matchmaker (プラットフォーム) examples Side 1 Side 2 不動産屋 仲介業者 売主 買主 Microsoft アプリケーション開発者 利用者 有価証券 証券取引所 売り手 買い手 Apple アプリケーション開発者 利用者 商業 ショッピングモール 加盟店 消費者 Open Source アプリケーション開発者 利用者 電子商取引 B2B, B2C exchanges (EBay, Purchase Pro) 売主 消費者 Palm (PDA) アプリケーション開発者 利用者 ビデオゲーム 広告支援メディア Two Sided Market Matchmaker (プ ラットフォーム) Side 1 Side 2 新聞 雑誌社 広告主 購読者 テレビ TV 局 広告主 視聴者 衛星放送 Radio Network (Sirius, XM) 広告主 視聴者 Webメディア Web sites (ex:facebook) 情報提供者 (広告主) 情報利用 者 Matchmaker (プラットフォーム) examples Side 1 Side 2 Microsoft (XBOX) ゲームソフト開発者 ゲーム愛好者 Sony ゲームソフト開発者 ゲーム愛好者 Nintendo ゲームソフト開発者 ゲーム愛好者 リアル世界 クレジットカード Side 1 Matchmaker (プラットフォーム) examples Side 2 VISA 加盟店 消費者 Mastercard 加盟店 消費者 AMEX 加盟店 消費者 2014年ノーベル経済学賞受賞のトゥルー ズ第1大学のジャン・ティロール教授 「プラットフォームの経済学」の創始者 クレジットカードの研究から Jean-Charles Rochet and Jean Tirole (2003), “Platform 6 Competition in Two-Sided Markets”, Journal of the European Economic Association, 1(4): 990-1029.

7.

市場の2面性を生かすビジネスが拡大 異なる2種類のユーザー・グループを結び付けるビジネス ⇒一方を優遇または無料化することが多い。 * 優遇または無料化 新聞 クレジット・カード 「*消費者」 と「加盟店」 eマーケットプレイス オークション・サイト クラウド・コンピューティング 検索エンジン ショッピング・モール ウェブ・サイト OS 時間 「 *消費者」 と「加盟店」 「*購読者」 と「広告主」 「 *検索者」 と「広告主」 「コンピュータ利用者」と 「 *アプリケーション開発者」 「 *情報利用者」 と「情報提供者」 「 *サービス利用者」 と「サービス提供者」 SaaS,PaaS,IaaS,・・ 7

8.

ネットワーク効果とは 同じ製品・サービスを利用するユーザーが増え るとそれ自体の効果や価値が高まること ① 「サイド間ネットワーク効果(間接的ネットワーク効 果)」:一方のユーザー数が閾値を越えれば他方 のユーザーは高い対価を払ってでも参入する。 ② 「サイド内ネットワーク効果(直接的ネットワーク効 果)」:ユーザー数が増えれば、そのユーザー・グ ループは大きくなり易い。 2面市場:一方のユーザー・グループにとって の市場価値が他方のユーザー・グループの数 によって決まる市場 「収穫逓増の法則」が働き激しい競争が発生す る。 成熟化すると寡占化が発生(例:クレジット・カード、 PCのOS)。 8

9.

2面市場への取組み戦略 1)「価格戦略」: どちらのユーザー・グループをどのくらい 優遇するか? Thomas R. Eisenmann ハーバードビ ジネススクール 教授 2)「一人勝ち」対応: 社運をかけた決断を如何におこなうか? 3)「隣接市場からの強敵参入」への対応: 如何に戦うか? Thomas R. EisenmannGeoffrey ParkerMarshall W. Van Alstyne, “Strategies for Two-Sided Markets”, Harvard Business Review, October, 2006 9

10.

第1の課題:価格戦略 「優遇側」と「冷遇側」の区分けを行う 一方のユーザーが増えれば他方のユーザーに価値 をもたらす場合、前者が優遇される側 2つのネットワーク効果を考慮する。 「サイド間ネットワーク効果(間接的ネットワーク効 果)」 ⇒一方のユーザー数が閾値を越えれば他方のユー ザーは高い対価を払ってでも参入してくる。 「サイド内ネットワーク効果(直接的ネットワーク効 果)」 ⇒ユーザー数が増えれば、そのユーザー・グループ は大きくなる。 10

11.

第2の課題:「一人勝ち」 市場を独占する条件が整っているか? コスト優位性、差別化による優位の他に下記なども 1. 見込みユーザーとの関係を構築しているかどう か? 2. 勝算が高いという期待が高められているかどう か? 3. 消耗戦に耐える資金が準備できているかどう か? ユーザー基盤の拡大を焦らない方が良い場合も  事業拡大の準備が充分整っていない場合  資金調達の術を充分確保できていない場合 11

12.

第3の課題:包囲の危機 隣接市場から新たなプラットフォーム・プロバ イダーが参入してきて、一人勝ちプラット フォームを包囲することがある。 各プラットフォームはしばしば重なり合う部分 がある。これをテコにしてまるごと飲み込むよ うな取組みが発生する。 • 技術進歩の速い2面市場では包囲状態が起きや すい。 • その結果、市場の境界が曖昧な収斂が起きる。 12

13.

1.2 プラットフォーム理論の創始者たち プラットフォーム理論の概要 • 現在まで、プラットフォームは限定的にし か理論化されてこなかった。 • 2視点からのプラットフォームの概念 化のみ – 経済理論から:市場と把握(両面市場) ・・・・Rochet and Tirole, 2003 – 工学設計から:モジュラー技術アーキテクチャ ・・・・・Baldwin and Woodard, 2009 13 Annabelle Gawer, “Bridging differing perspectives on technological platforms: Toward an integrative framework”, Research Policy 43 (2014) などを参考にしている

14.

プラットフォーム理論の創始者たち 経済学視点 1. 市場としてのプラット 両面市場モデルとその活用など フォームが如何に異 ロチェ & ティロール(2003) なる顧客グループ 間取引を仲介させ るか? パーカー & ファン・アルスタイン(2005) 2. ネットワーク効果が 如何にプラットフォー ム競争を活性化さ せるか? 2014年ノーベル経済学賞受賞のトゥルーズ 第1大学のジャン・ティロール教授 「プラットフォームの経済学」の創始者 工学視点 モジュラー技術アーキテクチャ バルドウィン & ウッドワード(2009) リーダーシップ論など ゲイワー & クスマノ(2002) 1. 製品プラットフォーム が如何に企業のモ ジュラー型製品イノ ベーションを支援す るか? Carliss Y. Baldwin Harvard Business School Gawer & Cusumano(2002) Imperial College London MIT Sloan School 14

15.

経済学視点 市場としてのプラットフォーム • 最も重視するのは市場の 「両側」に生じる「ネットワ ーク効果」の存在 • 両面市場定義の例: 「一方のグループのプラットフォームへ参加の 利益が他方のグループのプラットフォームへ の参加の大きさに依存し、・・・・相互作用する 2グループ・エージェントを含む市場」 ・・・ Armstrong (2006) 15

16.

調整メカニズムは価格 • プラットフォームなしでは取引できない消費者の 2(またはそれ以上の)グループを仲介すること で価値創造 • 調整は価格設定を通して行われる。 – 具体的には一方の優遇(最大の優遇は無料化)、 他方の冷遇 • プラットフォーム所有者の価値も、間接ネット ワーク効果の好循環に伴って増加 • 強いネットワーク効果は、一定の条件の下で、 「勝者全獲得(WTA)」の結果をもたらす。 ・・・・・Eisenmann et al., 2006 Thomas R. Eisenmann ハーバード大学

17.

現在の理論の大きな制約 (a)プラットフォームの存在そのものが当たり前 のこととされている。 (b)消費者グループ間の需要の補完性が当たり 前のこととされている。 (c)プラットフォーム所有者と補完品開発者間の 競合的相互作用が欠落している。 (d)補完品開発者のイノベーションの動機が看過 されている。 ⇒補完的開発者は“消費者”としてのみ見られて いる。 17

18.

評価 • プラットフォーム競争の静的、需要サイド の見え方を提供 – 【プラットフォーム間競争としては理解できても、プ ラットフォームエコシステムではないとも言える】 • プラットフォームが急速に市場支配力を 得る条件に焦点を当てることはできる が・・・ • プラットフォームの進化やプラットフォー ム・イノベーションに対応することはでき ない。 18

19.

工学設計視点 技術アーキテクチャとしてのプラットフォーム 製品プラットフォーム概念の登場はかなり古い • 階層的で分解可能なシステムは複雑さの影 Herbert Simon 響を軽減できる。 ・・・・Simon (1962) 「THE ARCHITECTURE OF COMPLEXITY」 – 体系的設計理念がモジュール性を育成 – デザイン階層を探求 ・・・・・Clark(1985) • 製品ファミリー ・・Sanderson et al.(1995) • ドミナント・アーキテクチャ ・・・・Ulrich(1995) • イノベーション・テンプレート・・Krishnan( 2001) 19

20.

プラットフォーム設計の特性 • モジュラー技術アーキテクチャが共有され ている。 • コアと周辺部で構成される特定タイプの 技術アーキテクチャである。 • システムは安定したコアコンポーネントと可 変な周辺コンポーネントに分割される。 • プラットフォーム自体は製品システムの 安定したコアで構成される。 ・・・ Baldwin et al(2009) 20

21.

イノベーション容易化の仕組み • モジュール性で複雑さを管理 – 単純な相互接続ルールに帰着される。 – 設計者は必要な情報範囲を減少させられる。 – イノベーティブな仕事の専門化と分割ができる。 • プラットフォームはモジュラーシステムとして 優れていることでイノベーションを促進 • モジュールの組換えを通じた自律的イノベー ションが促進 ・・・・Garud et al(1995) 21

22.

評価と制約 • イノベーション促進のために意図的に設計され た技術アーキテクチャ・・・ • イノベーションは安定したシステム・アーキテ クチャ内で発生し、安定したインタフェースに よって促進 ① プラットフォーム進化を説明するのには役立 たないし、・・・ ② プラットフォーム所有者と補完者間の競争も 扱えない。 22

23.

1.3 プラットフォームのエコシステム • 垂直統合ではアプリケーションプラットフォーム(AP)が 主導権を確保 – アップル: App Store – グーグル: Google Play • 垂直統合者 – 昔は、キャリア – 近年は機器・OSベンダー(アップル、グーグル) • 統合水準 – きつい:アップル~クローズ – 緩い:グーグル~オープン Thomas Hazlett, David Teece, and Leonard Waverman,“Walled Garden Rivalry :The Creation of Mobile Network Ecosystems”, George Mason University Law and Economic Research Paper Series 11-50 (2011). 23 Thomas Hazlett

24.

アプリケーションプラットフォームの特性は多様 【Appleの例】デバイスがクローズ。 加えて、キャリアに排他的対応を行う戦略を 実施した。 【Googleの例】最も“オープン”指向。 しかし、サードパーティ開発者によって提供さ れたアプリからの収入は共有を主張した。 24

25.

複雑化がエコシステムを形成 エコシステムの定義: 『競合したり補完したりする多数企業が一緒に 動作して、新市場を創造し、顧客へ価値ある 商品やサービスを提供すること』 1. エコシステムには、新組織、イノベーション、 新知識、選択、開発などが存在し、居住者 が共同で進化 2. エコシステムの生存率は、クリティカルマス、 生産性、イノベーション、学習と協力などに 依存 25

26.

主導プレイヤーは何故入れ替わったのか • 顧客は先進的モバイルデバイスとモバイル サービスを求めていた。 1. APは、顧客に追加機能を獲得できるメカニ ズムを提供した。 2. APによって、小規模ソフトウェア、コンテンツ、 ワイヤレスサービスプロバイダは、簡単に彼 らの製品を顧客に提供が可能になった。 ⇒その結果、顧客に直接サービスを提供するA Pの主導権が強化された。 ⇒顧客に価値ある選択肢を提供し、選択が優れたモ デルを浮かび上がらせた(≒顧客との共創)。 26

27.

モバイル・エコシステム形成のインパクト エコシステム主導者はニーズ把握と自社優位性を基盤に、 パートナーとの最適コラボレーションを通してモバイル・エコ システムを構築することでシステミック・イノベーションを実 現した。 1. キャリアは主導権を新エコシステム主導者に 奪われた。 2. モバイル機器メーカーはコア機器提供者から サービス享受手段提供者にさせられた。 3. コンテンツ開発者は顧客への直結ルートを確 保した。(但し、門戸開放で競争は激化) 27

28.

“イノベーション·エコシステム”による価値創造 イノベーションの位置(場所)に注目! 1. 上流のコンポーネントの課題は焦点企業製 品の製造能力を制約することで価値創造を 制限する 2. 下流の補完品の課題は、焦点企業の製品 を消費することで最大利益を引き出そうとす る顧客の能力を制約する • エコシステム内の活動の相対位置を利用し て、異なる価値創造につながる課題の役割 を識別することができる。 Ron Adner and Rahul Kapoor, “VALUE CREATION IN INNOVATION ECOSYSTEMS: HOW THE STRUCTURE OF TECHNOLOGICAL INTERDEPENDENCE AFFECTS FIRM PERFORMANCE IN NEW TECHNOLOGY GENERATIONS”, Strategic Management Journal., 31: 306–333 (2010) Ron Adner ダートマス大学教授 28

29.

エコシステム評価図式と課題の役割 製造側 供給者1 製品の ための 統合 消費側 補完者1 焦点企業 供給者2 コンポーネント ⇒焦点企業に影響する。 消費の ための 統合 消費者 補完者2 補完品 ⇒顧客に影響する。 29

30.

コンポーネントの課題の特性 • 先行者優位の鍵は、学習曲線を進行させる 製品開発と市場経験の機会の活用である。 • コンポーネントの課題は企業の学習機会を 拡大させ、ライバルに先立って学習曲線を 進行させる。 • コンポーネントの課題は焦点企業に帰属さ れるパフォーマンス上の利点を増加させる。 30

31.

補完品の課題の特性 • 多くのイノベーションはロックされている価 値を解除する補完品の可用性に依存する。 • 補完品の課題は、補完者が自分の技術 的ハードルを克服するのに苦労した結果 などで、補完品の可用性に遅れが生じる ことで起きる。 • 補完品の課題は焦点企業に帰されるパ フォーマンス上の利点を減少させる。 31

32.

イノベーション課題の影響評価フレームワーク 新技術世代では企業パフォーマンスに如何なる影響を与えるか 補完品の課題 低い エリア1: 内部的課題のみ 高い エリア3: 内部的課題 +消費に関する外部的制約 低い 最初のプレーヤーが成功する。 先行者優位は標準レベル 準備は急ぐが、待つのが適当 先行者優位は減少する。 コンポーネ ントの課題 エリア2: 内部的課題 +製造に関する外部的制約 高い エリア4: 内部的課題 +製造に関する外部的制約 +消費に関する外部的制約 先行者は更に優位になる。 時と場合による。先行者優位は どの問題が最初に解決するかに よる。 出典:ワイドレンズ p.147 32

33.

本書に記載の成功/失敗の事例 • Nokiaの3G携帯電話の失敗 • Amazon Kindleの成功 SONY電子書籍端末の失敗 • Appleの成功 • 電気自動車の失敗 • ミシュランのランフラットタイヤの失敗 • 電子カルテの失敗 イノベーションを成功に導くエコシステム戦略 ロン・アドナー著 ダートマス大学教授 2013年東洋経済 新報社 (英語版2012年刊) 33

34.

1.4 プラットフォーム理論統合の動き 2つのモデル比較と問題点 経済学視点モデル 工学設計視点モデル プラットフォーム間競争 ○ × モジュール化、インター フェースによるイノベー ション × ○ × × エコシステムの範 囲拡大で、「ネッ トワーク効果」の みでは扱えない 領域が拡大 × × モノからソフト(+ データ)へのシフ トで、モノに準拠し たモデルの相対的 優位性が低下 34 プラットフォーム進化 補完者との競合 問 題 その他 点 今後に向けた課 題

35.

2プラットフォーム理論の統合の試み 間接ネットワーク効果を「範囲の経済」と見る • ネットワーク効果はしばしば需要サイドの規 模の経済として特徴づけられる。 ・・・Katz and Shapiro, 1986 • 直接ネットワーク効果は需要サイドの規模の 経済を構成しているが、・・・間接ネットワーク 効果は、実際には、需要側の「範囲の経済」を 構成していると考えられる。 ・・・・Gawer,2014 Annabelle Gawer University of Surrey

36.

規模の経済 vs 範囲の経済 • 規模(スケール)の経済 ・・巨大化・独占化 – 事業規模が拡大するにつれて購買力が向上した り製品当りの固定費負担が減少したりすることで、 平均単価・平均費用が減少する結果利益率が高 まる傾向のこと • 範囲(スコープ)の経済 ・・設備・技術の共用 – 事業を多角化したり商品やサービスのラインアップを 拡大することで得られるシナジー効果を通じ、製 品当り・顧客当り平均コストが減少する結果利益 率が高まる傾向のこと 36

37.

イノベーションに「範囲の経済」を拡張する • 製品ファミリ内の異なる製品間のコンポーネント を系統的に再利用 • 「範囲の経済」は、共同製作コストが各製品の個 別生産コストより小さい時に発生 ・・・Panzar et al(1975, 1981)他 • 『イノベーションにおける「範囲の経済」の体系的 創造と装備』は、新製品開発の基本原理の一つ ⇒ 生産における「範囲の経済」概念をイノベー ションにおける「範囲の経済」に拡張 ・・Gawer(2014) 37

38.

「範囲の経済」はイノベーション・エコシステムでも成立 • 初期研究では企業内で観察 • サプライチェーン内企業でも確認 ・・・ Brusoni(2005)、他多数 • 最近では大規模ネットワーク内でも判明 – 「イノベーション・エコシステム」・・・Adner et al(2010) ロン・アドナー著 ダートマス大学教授 産業プラットフォームを定義: 『・・・・イノベーション・エコシステムで緩く編成され ている他の企業でも、補完的製品、技術、サー ビスを開発できる基盤として機能するもの 』 ・・・Gawer(2009) 38

39.

『範囲の経済』による統一化 視点尺度 経済学視点 工学設計視点 概念化 市場としての経済学 技術的アーキテクチャとし てのプラットフォーム 動向 需要サイド 供給サイド 焦点 競争 イノベーション 価値創造の 方法 需要サイドにおける範囲 供給サイドとイノベーション の経済 における範囲の経済 役割 買い手内で装置をコー ディネート 経験的設定 ICT イノベーター内で装置を コーディネート 製造業とICT 39

40.

技術プラットフォームのスケールアップ 視点尺度 内部プラットフォーム サプライチェーン・プラットフォーム 産業プラットフォーム 分析レベル 企業 サプライチェーン 産業エコシステム プラットフォーム構成 一企業 アセンブラ プラットフォーム・リーダー エージェント その構成サブユニット サプライヤー 補完者 技術アーキテクチャ インターフェース アクセス可能なイノ ベーション機能 モジュラー設計、コアと周辺 閉じたインターフェース: インタフェース仕様は、企 業内で共有するが、外部 には開示されない 選択的にオープンなイン オープン・インターフェー ターフェース: インタフェー ス:インタフェース仕様は、 ス仕様は、サプライチェー 補完者と共有されている ン全体で排他的に共有さ れている 企業の能力 サプライチェーンの能力 潜在的には外部の無制 限の機能 経営階層を通じた権限 サプライチェーン加盟組 織間の契約関係 エコシステム・ガバナン ス:マルチサイド市場の 特殊な場合には価格を 通じて排他的に フォルクスワーゲン Sonyウォークマン ルノーと日産 ボーイング Facebook Google Apple などと Uber,Airbnbなども 調整メカニズム 例 40

41.

プラットフォーム統一概念の特徴 • プラットフォームはエージェント(消費者or 補完者)を単に連携しコーディネートするも のとし、それ以上のものとは見做さない。 【理由:産業エコシステムではプラットフォームは 補完者を集団的に連携させる存在でもプロセス でもないから】 • プラットフォーム・リーダーの正当性を維持する ためだけでなく、集団育成のためにもエコシステ ム・ガバナンスが重要化 ・・・Gawer et al,(2007) 41

42.

統合理論で不足している点 1. (設計、評価、戦略などの)具体的施 策やアクションに結びつく方法論 2. イノベーションと競争の共存をまとめ て取り扱えるモデル 3. プラットフォーム理論と組織論の関 係性への橋渡し 4. 具体的事例に対する明快な分析の 蓄積 42

43.

クローズアップされてきた相互作用 (補完者と消費者間の直接相互作用) (連携)or (競合) 消費者 補 完 者 1 補 完 者 2 (競合) ソフト・プラットフォーマー 補 完 者 n A(協調) ソフト・プラットフォーマー 43

44.

統合理論適用による プラットフォーム進化と競争共存モデル 技術プラットフォームの組織的連続体と見做す 組織構造 インタフェース アクセス可能 領域 ガバナンス 44

45.

組織的連続体の解説 1. 企業⇒サプライチェーン⇒産業プラットフォー ムの移動に連れて、イノベーティブ・エー ジェントや多様な能力へのアクセが拡大 2. 同時に、プラットフォーム構成エージェント 間の競合の公算も増大 3. 産業エコシステム内では協力は当然のこと ではない。 4. モジュール化は性能向上を可能にする一 方、・・・同時に競争と模倣を通じて利益が 侵食される可能性も増大 45

46.

組織変革の経路 競 争 の 可 能 性 が 高 い 競 争 の 可 能 性 が 低 い プラットフォーム構成要素間の 競争 産業プラッ トフォーム サプライチェーン プラットフォーム 企業内プ ラットフォーム プラットフォーム構成要 素のイノベーションの自律性 イノベーティブエージェント は自律的で無い イノベーティブエージェント はより自律的である 46

47.

1.5 直接相互作用の導入 プラットフォーム理論への直接相互作用の導入は・・ サービス提供者と消費者の補完性を両 者の直接相互作用の可否から検討でき るようにした。 サービス提供者のイノベーションの動機 を専門サービス提供者の側面から検討で きるようにした。 プラットフォームの存在を既存組織(垂 直統合モデルなど)と比較検討できるよう にした。 Andrei Hagiu ハーバード・ビジネ ススクール準教授 A. Hagiu, J. Wright, “Multi-sided platforms”, International Journal of Industrial Organization 43 (2015) 162–174 47

48.

改良MSPモデルの定義と 代替ビジネスモデルとの関係 定義1:2つ以上の異なるサイド間の直接的相互作 用を可能にする。 定義2:各サイドはプラットフォームに加入(affiliate) する。 専門サービス提供者 消費者 直接的相互作用 改良MSP 加入 加入 代替ビジネスモデル 垂直統合 48 A. Hagiu, J. Wright, “Multi-sided platforms”, International Journal of Industrial Organization 43 (2015) 162–174

49.

専門サービス提供者のモード選択心理 条件 組 織 の 意 思 表 示 個 人 経 営 者 向 け 動 機 付 け 従業員の努力を奨励 するため売上高に基 づいて垂直統合企業 がボーナスを支給 販売促進を誘導する ため売上高に基づい て専門サービス提供 者に可変手数料(≒ 価格決定権)を許容 個人経営者として 組織内の一員として MSP >垂直統合 MSP <垂直統合 ボーナス支給制 ボーナス支給 度が柔軟で無 制度が柔軟で い場合 シフトが顕著な 場合 選択 MSPによる料金 可変手数料制 可変制度の導 度が柔軟で無 入が顕著な場 い場合 合 選択 49

50.

相互作用を成立させる信頼性の醸成 Airbnbのアルゴリズムビッグデータモデル クレジットカード パスポート Facebook,LinkedIn 顔写真 過去のクチコミ情報 ゲスト、ホスト相互評 価 ホストサービス評価 ”SuperHost” 総合的背景チェック など 50

51.

Uber,Airbnbのビジネスモデル変革への適応 分散化を実現するプラットフォームの機能と型の変化(1) プラットフォームの型 トランザクション型 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 機 能 マッチング 代 相互作用 Uber,Airbnb など 表 的 インテグレーション型 相 エコシステム 関 性 Google, Appleなど 時 代 の 潮 流 イノベーション型 補完性 Microsoft, Intelなど Peter C. Evans, Annabelle Gawer,” The Rise of the Platform Enterprise A Global Survey” http://thecge.net/wpcontent/uploads/2016/01/PDF-WEB-Platform-Survey_01_12.pdf を参考にして作成 Peter Evans 51 Center for Global Enterprise 副社長

52.

分散化を実現するプラットフォームの機能と型の変化(2) 資産小でも広域エコシステム構築可能に! 企業構造 垂直統合(VI) +資産規模 プラットフォーム・ エコシステム GE Daimler 資産が大きい 企 業 タ イ プ 事例 企業名とプラットフォーム Predix Moovel 広域エコシステム 混在(中間) 資産が小さい Apple App store Amazon App store Google Map, Search Facebook SNS Google Google Play Uber Uber app Airbnb Airbnb app 広域エコシステム&トランザクション型 時 代 の 潮 流 52

53.

分散化を促進するプラットフォームの変化 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 変 化 ステップ2 ステップ1 プラットフォー ム提供機能が シフト デジタルプラッ トフォーム構築 が容易化 ステップ3 プラットフォー マーと専門サー ビス提供者が分 離し多様化 プラットフォーム所有者 クラウド (AWS) エ コ シ ス テ ム の 変 化 マッチング 相互作用 資産小でスピーディー な取組み 多数の専門サービス提供者 資産or労働提供と サービスレベル高度化 53

54.

Uber, Airbnbプラットフォームの概要 Uberプラットフォーム Airbnbプラットフォーム Henten, A., Windekilde, I., “Transaction costs and the sharing economy”, 26th European Regional Conference of the International Telecommunications Society(ITS), Spain, 24-2754 June 2015

55.

新たな傾向のプラットフォームは他にも登場 サービス産業を 消費財を投資財へ変換す Airbnb、Uber 変革するプラット るプラットフォーム フォーム 仕事仲介プラッ トフォーム グローバル入札 Upwork、 Innocentives 時々の非公式ワーク Task Rabbit, Homejoy ファイナンス仲介 資金調達プラットフォーム Kickstarter、 Indiegogo 金融機関置換プラット AngelsList、 フォーム Zopa M. Kenney, J. Zysman,” Choosing a Future in the Platform Economy :The Implications and Consequences of Digital Platforms”, Kauffman Foundation New Entrepreneurial Growth Conference, Discussion Paper, Amelia Island Florida – June 18/19, 2015 55

56.

2.1 プラットフォームレボリューション 最近のビジネス環境には 新たな傾向が登場している 1)仕事をする人としてのユーザーに焦 点! 2)新概念:「ユーザーを包含するエコシステ ムで価値が生成」が登場 3)「ユーザーがプロデューサ(生産者)あ るいはコンシューマ(消費者)として相 互作用する際に価値創造される」という 考え方 SANGEET PAUL CHOUDARY 「PLATFORM REVOLUTION」 の共著者 WHY BUSINESS MODELS FAIL: PIPES VS. PLATFORMS

57.

プラットフォームの重要性が増大 プラットフォームがプロデューサ(生産者)とコン シューマ(消費者)を結びつけ相互対話が可能に • Wikipedia:クリエイター(生産者)が知識 ベースを作成し、消費者がその情報を消費 • Airbnb:ホスト(生産者)と旅行者(消費者) が交流し、宿泊に関して取引 • Instagram:写真クリエイター(生産者)が、 写真を見る人(消費者)に自分の作品を見せ たり、対話

58.

プラットフォーム戦略成功に 関わる3つの要因 接続性:如何に容易に他人がプラット フォームに接続し取引を可能にするか 重力性:如何に良く生産者と消費者をプ ラットフォームに引き寄せるか 流通性:如何に良くプラットフォーム上で 価値交換と共創を促進・流通させるか

59.

成功したプラットフォームは 3つの視点で目標を達成している 磁石:プラットフォームに参加者を引き寄せる 「プル」の生成~生産者と消費者の両方に ツールボックス:ツール提供で他の人がプラッ トフォームに繋がるのを容易化~このインフ ラが参加者間の相互作用を促進 仲人:参加者に関する豊富なデータを取得~ そのデータを利用して生産者と消費者間の仲 介(接続)を促進

60.

3つの視点の重点の置き方は多様 磁石 Amazon AWS ツールボックス 仲人 〇 eBay 〇 〇 Airbnb 〇 〇 Facebook 〇 〇

61.

しかし、何故か失敗する例も多い • 何故殆どのソーシャルネットワークは離 陸しないのか? • マーケットプレイスはなぜこんなに困難 なのか? • 最高の技術を持つ新興企業が何故頻繁 に失敗するのか? 61 WHY BUSINESS MODELS FAIL: PIPES VS. PLATFORMS

62.

“何故失敗するのか?”の仮説的推定 2つのビジネスモデル:パイプラインとプラットフォーム の視点から分析 • もしプラットフォームを構築しているが、 • パイプライン戦略を使用しているなら、 • 間違った方法でビジネスを実行している可 能性があり、 ➡これが失敗の原因ではないか?

63.

従来からのビジネスモデル: パイプラインとは・・ • 今までのビジネスで支配的なモデル • 価値は上流で生産され下流で消費されるとの 認識 • 本質的には全ての消費財は、パイプラインを通 じて届けられる。 • このモデルはインターネットにも持ち込まれた。 63

64.

パイプラインの事例 –全ての製造はパイプラインモデル –テレビとラジオはコンテンツを吐き出すパ イプラインモデル –教育システムは、教師が子どもたちに 「知識」を押し出すパイプラインモデル –ブログはパイプラインモデル –eコマースストアもパイプラインモデル –SaaSもパイプラインモデル

65.

新たなビジネスモデル: プラットフォームとは・・ • プラットフォームは単に物を作って押し出すだ けでなく、・・・ • ユーザーは価値創造と消費を行うことができる。 – テクノロジー層:開発者はAPI使用でプラット フォーム機能の拡張が可能 – ビジネス層:ユーザー(生産者)は、他ユー ザー(消費者)のために価値創造が可能 • これは、これまでに知られていたどんな変化 とも大きく異なる。 65

66.

プラットフォームの事例 • TVチャンネルはパイプラインモデルで動作す るが、 – YouTubeはプラットフォームモデルで動作する。 • ブリタニカ百科事典はパイプラインモデルで 動作するが、 – Wikipediaはプラットフォームモデルで動作する。 • 教室は引き続きパイプラインモデルで動作す るが、 – UdemyやSkillshareは教育のためのプラット フォームモデルを有効に

67.

パイプラインとプラットフォーム パイプラインとプラットフォームの経営指針はかなり異なる パイプライン 組織は売上金吸収に最適化される。 パイプラインのビジネスは吸収した金 vs 額で計測される。 コミュニティーは聴衆のように管理さ れる。 パイプ内の価値創造 プラットフォーム 組織はデータ吸収に最適化される。 プラットフォームのビジネスはマネタイズ 可能なデータで計測される。 コミュニティーは分散された従業員 (パートナー)のように管理される。 パイプ外での価値創造 価値の単位を定義する 価値を付加し、この価値単位を顧客に提供するプロセスを設計する このプロセスを制御し最適化するパイプ(バリューチェーン)を設計する 67

68.

“ビジネスモデル失敗“の要因は・・ パイプラインとプラットフォームの区別が何故重要か? • プラットフォームは根本的に異なるビジネスモ デル • もし、パイプラインを作る方法でプラットフォー ムを構築すれば、おそらく失敗する。 • 我々はここ数世紀に渡ってパイプラインモデ ルで新事業を構築してきたが、・・ • プラットフォーム構築の実行モデルにもパイプラ インモデルを引き継ぐ傾向がある。⇒失敗? 68

69.

パイプラインモデルを引き継ぐ傾向がある事例 –メディア業界は、モデルが変わったと いう事実によって苦労している。 –パイプラインである伝統的小売業は、 プラットフォームモデルで動作する マーケットプレイスの勃興によって混 乱している。

70.

プラットフォーム思考の特性 • パイプラインではユーザー獲得はかなり簡単で、 ユーザーを獲得したら、それらを取引に変換する。 • しかし、プラットフォームでは最初、しばしば数 人のユーザーしか居ない。 • その時にはプラットフォームの価値はなく、鶏と 卵問題に苦しむ。 生産者なしでは消費者にとって価値がなく、 消費者なしでは生産者にとって価値がない 【 【 70

71.

プラットフォーム構築における2つの挑戦 鶏と卵問題を解決し、生産者と消費者の 両方をプラットフォームに呼び込む。 生産者が生産し、価値を創出することを 保証する。 71

72.

プラットフォーム構築における2つの挑戦(続) • この2つの課題を解決することなしにトラ フィックやアプリ・ダウンロードを促進しても ユーザー獲得には役立たない。 • スタートアップ企業がプラットフォーム構築に よく失敗するのはユーザー獲得のために (良策が見つからず、結局)パイプライン思 考を使用するからではないか?

73.

基本認識:2ビジネスモデルの思考は極めて異なる パイプライン思考 vs プラットフォーム思考【1】 「製品設計と管理」の側面 パイプライン思考:成長させるための 変換経路を最適化しようとする。 プラットフォーム思考:変換を最適化 する前にネットワーク効果を醸成させ ようとする。

74.

「製品設計と管理」について • パイプラインは消費者を念頭に置いて構築す る。 • 対照的に、プラットフォームは生産者と消費者 の両方を念頭において構築する。 • YouTube、Dribble、AirBnBを構築するには、 – プロデューサー向けのツール(YouTubeでのビデ オホスティングなど)や – 消費者向けのツール(動画の閲覧、投票など)の 双方を構築する必要がある。 74

75.

「製品設計と管理」について(続) • パイプラインのユースケースは確立している。 • 一方、プラットフォームのユースケースは確立 しておらず、時には使い方を介して新たに出 現する。 • Twitterは時間の経過とともに多くのユース ケースを開発した。 – 140文字の制約の中で表現することを可能にし、 – ニュースとコンテンツを共有し、 – 消費するプラットフォームに移行した。 • 最終的にはトピックを消費する全く新しいモデル を作り出した。 75

76.

パイプライン思考 vs プラットフォーム思考【2】 「収益化」の側面 パイプライン思考:ユーザーは、作成し たソフトウェアとやり取りし、製品にはそれ 自身の価値がある。 プラットフォーム思考:ユーザーが作成し たソフトウェアを使用して相互にやり取り し、製品は、ユーザーがそれを使用しない 限り価値がない。

77.

「収益化」について • パイプラインの収益化は簡単である。 • パイプラインを使用して最終消費者に至る全コ ストを計算し、価格=コスト+希望マージンである。 • 一方、プラットフォームビジネスでは、収益化は それほど簡単ではない。 • 生産者と消費者が取引する際は片方または両 方がプラットフォームに取引を提供する。 – プロデューサーが消費者に関わるコンテンツを作成 する時(YouTubeなど)、プラットフォームは消費者の 注目を(広告を通じて)収益化できる可能性がある。 – プラットフォームによっては、API使用をライセンスでき る場合もある。 77

78.

「収益化」について(続) • プラットフォームの経済学はそれほど単純ではな い。 • 少なくとも一方の側は、通常、プラットフォーム に参加させるために補助される。 • プロデューサーはインセンティブを得て参加する ことも多い。 78

79.

パイプライン思考 vs プラットフォーム思考【3】 「ビジネス実施」の側面 パイプライン思考:我々が創り出し た価値について消費者に訴える。 プラットフォーム思考:誰が価値を創 造し、誰が請求するのか把握しなけれ ばならない。

80.

「ビジネス実施」について • インターネット上の全てのビジネスには、いくつか のプラットフォーム的プロパティがある。 – インターネットは参加型ネットワークであり、その 上に構築された全てのビジネスはプラットフォー ムの特性を活用することが可能である。 – 従って、プラットフォームの考え方は全てのインター ネットビジネスに適用される。 • インターネットが登場しなかったら我々はまだパイプラ インによって支配された世界にいたことだろう。 80

81.

パイプラインの運命は? • 将来、全ての企業はハイテク企業になるだろう。 • 企業がデータを使用して価値創造する方向へ とビジネスモデル再構築をしようとしている現在、 この変化はすでに発生している。 • ダムパイプからインテリジェントプラットフォームへ、 リニアからネットワークのビジネスモデルへ、と移 行は進展している。 • 全ての企業は、ある時点でこの新しいモデルに 移行する必要があるだろう。 81

82.

パイプラインの運命は?(続) • 将来、全ての企業がハイテク企業になる必要 があるのなら、これが、ほとんどのソーシャル ネットワークと市場が失敗する原因となり得る かもしれない。 • このような将来を見通すなら、あらゆる企業 がプラットフォーム思考を身に着けなければなら ない。 • 既存企業は適切にプラットフォーム企業に 移行するルートを発見しなければならない。

83.

2.2 GAFAは何故これほど大きくなったか 開発者にイノベーションの動機を与えるには・・・ 各種プラットフォームリソースのオープン化 – APIs、 – SDKs、 – コードライブラリ、 – テンプレートなどの提供 Geoffrey Parker ダートマス/MIT教授 技術境界資源 より好ましい標準ライセンス契約(SLA)の提 供 – 新しいアプリに各種独占権など(知財、収益) 社会的境界資源 83

84.

Apple iOS vs Google Android (1) よりオープンなシステムの方が低価格

85.

Apple iOS vs Google Android (2) よりオープンなシステムの方がより速く成長

86.

オープン性のトレードオフへの対応 • コードがオープンなら、それは公開され簡単 にコピーされる。 • 誰も公開コードに課金することはできない。 • オープン性は、 コードのスピルオーバーを増加させ、イノベーション を促進するが、 課金する能力を低下させるコストも伴う。 • 【対応案】相反する利益のバランスを確保す るため、プラットフォームは、開発者がコードに 課金できる除外期間または非競争期間(t) を 設定することができる。

87.

【対応案】に関連する情報 • SAP:一定期間終了まで各々のイノベーションをコ ピーしないよう開発者に警告する18〜24ヶ月の 「空白」明示ロードマップを発行している。 – 期間終了後は、どの開発者のイノベーションもSAPコ アに吸収される可能性がある。 • Apple:開発者のイノベーションを適切なものにし、 それらをエコシステムで再利用する権利を留保 している。 • Cisco: 複数の開発者製品に登場している機能を コアネットワークOSにバンドルし、 APIでエコシス テムパートナーがアクセスできるようにしている。 87

88.

オープン性に関わる戦略的課題 (1)開発者のイノベーションを促進するため にプラットフォームをどの程度オープンにすべ きだろうか? (2)プラットフォームがイノベーションの成果 を吸収する前に、開発者にプラットフォーム 上での恩恵を享受させる権利をどの程度の 期間(t)取るのが適当だろうか? 88

89.

開発者競合を伴うモデル • 企業レベル、技術レベル、ユーザーレベルの オープン性の決定が市場全体のポテンシャ ルにどのように影響するかに焦点を当てたプ ラットフォームのオープン性の研究

90.

モデルの概要 エコシステムの構成者 プラットフォーマー Nd:開発者 Nu:ユーザー 開発者のイノベーションがオープンになる時点で価格はゼロにまで下がる。 ユーザーはアプリが将来無料になることを知っている。 戦略的ユーザーはp = vのイノベーションを消費するか、利率δ = e-rtで割引かれる 時刻tまで待つかの選択を最適化する。 待つオプションは、待つ人は将来の割引価値δvと比較して、即時消費の増分値v に対してのみ支払う。 一方、無関心な消費者は、p = v-δv= v(1-δ)以下の価格を受け入れる。 σ(%):オープン API,SDK、ライブラリ、参照図など V:開発者の開発したアプリケーション 搭載前のプラットフォームの価値

91.

モデル分析結果のアジェンダ • 分析フレームワークに開発者数(Nd)オー プン度(σ)、排他的期間(t)を組み込んだ 結果を次の4側面で論述する。 ① 競争と開発者リスク下での最適化 ② プラットフォーム競争 ③ ネゴされたプラットフォーム・アクセス ④ ネットワーク効果

92.

①競争と開発者リスク下での最適化 • 個々の開発者が技術的失敗(確率ρ)リスクに直 面している状況ではスピルオーバー効果は減少 する可能性がある。 • しかし、成功率を上昇させると早期立上げが促 進される。 • あるいは、追加の開発者を参加させることでも技 術的失敗リスクを補うことができる。 • オープン性(σ)と適切性間には最初に増加し、 閾値レベル後に減少する凹状の関係がある。 • オープン性を調整する際に摩擦がある際は、開 発者の成長(増加)を予測できる場合、最初に最 適で無いσ (多め)を設定し、時間の経過とともに 選択を改善する可能性もある。

93.

②プラットフォーム競争 • 他の条件を一定にすると、プラットフォーム間 競争が激しくなればなるほど、プラットフォー マーの直接的プラットフォーム利益は減少す る。 – 逆に、プラットフォームがライバルのプラットフォー ムからの圧力に直面していない限り、プラット フォーマーはシステムをクローズすることから来 るより高い賃料を好む。 • プラットフォーマーの動機は、開発者のイノ ベーションからの間接的利益を(長期的に)増 加させるためにプラットフォームをオープンに することである。 93

94.

③ネゴされたプラットフォーム・アクセス プラットフォーマーは、ネゴされたアクセスのみ許可する(クローズ 型)と、オープンアクセスにした場合に比べ3つの利点を得る。 1. オープンイノベーションの補助金σ V を節約でき、 プラットフォームからの直接販売利益を増加さ せることができる。 2. 許可開発者は、オープン部分だけでなくプラット フォーム全体機能を利用してアプリ開発ができ、 アウトプットはy ( σ V ) からy ( V ) に増加する。 3. アプリケーション価格はレベルp = v で単調に増 加する。 ∵ユーザはオープンになるのを待ってアプリ購入がで きなくなるから

95.

• しかし、それでも「無許可アクセス許容」からの利 益が垂直統合からの利益を上回る場合がある。 • プラットフォームの利益π p をβ(スピルオーバー効 果の尺度)の増加関数と見做して表現する。 命題:垂直統合は、スピルオーバがない場合( β= 1)にはオープンプラットフォームより優れている。 しかし、他の全てのパラメータが一定で、ほどほ どのスピルオーバーが存在すれば、オープンプ ラットフォームシステムは、β≧β(平均)の場合で 且つその場合に限り、垂直統合より優れている。 証明: 上記(3)式で、比例的にβを増加させると、スピルオーバー効果β を増加させることがオープンシステムπp(β)の利益を改善し、最終的に は垂直統合システムの利益πviを上回る。

96.

このような結果になる背景は? • プラットフォーマーが知らず、それ故に把握でき ない開発者が居るからである。 – プラットフォーマーに自分やそのアプリが識別されると、 自分の斬新なアイデアが奪われるリスクがあると考える 開発者がいる。 ∵プラットフォーマーは不可欠な資産を所有するので 交渉力が強く、アイデアを盗む力があるかもしれない から • クローズなシステムに比べて、オープンなシステ ムは第三者の参加を促す。 – オープン性は交渉のコストを削減し、自由再分配を 促進し、低価格をコミットし、水平統合を支援する。 – また、一方のコミュニティ(開発者)にどのようにオー プンな補助金を与えるかが、別のコミュニティ(エンド ユーザー)の価値と参加を高める(両面市場理論)。

97.

④ネットワーク効果 • ネットワーク効果がない場合、プラットフォーマー は全ての生産手段を所有する必要がある。 • プラットフォームを外部の開発者にまで開放する と、(i)ネットワーク効果が高まる、(ii)開発者の アウトプットが上がる、(iii)コンテンツがより再利 用し易くなる、などが生じる。 • 分散型イノベーションは交渉コスト無しで達成さ れ、開発者に自前アイデアを所有者に開示無し で市場に参入するオプションを提供する。 • リードタイムを保証したオープンイノベーションは、 イノベーターを保護する情報非対称性を維持しつ つ、強力な独占プラットフォームを価値盗難からも 防ぐ組合せを実現する。

98.

結論 1. 価値創造が企業外部に移動している。デジタル 化は企業にスピルオーバーを最適化する機会 を与え、開発者数が一旦閾値を超えると、任意 の開発者にオープン環境を提供するのが有利 になる。 2. プラットフォーム間競争はオープンの水準を高 めコストを下げるが、開発者間の競争は最初は 開発者数増加を引き起こし、スピルオーバーを 促進するが、価格競争に落ち込むため、逆U字 形の関係になる。 3. より多くの開発者で高リスクのイノベーションを 追求する方がより多くの利益を上げられるが 、 開発者が多いほど、最適IPポリシーの元で提供 される専有期間(t)は短くなる。

99.

2.3 IoTとプラットフォームガバナンス IoTプラットフォーム市場の現状 • 過去12ヶ月間に100以上の新しいIoTプラッ トフォームが登場した。 • IoTプラットフォーム市場は既に450以上の ベンダーが乱立する断片化市場になってい る。 • 殆どのプラットフォーマーは産業用/工業用に 焦点を当てている(32%)。 • M&A活動が急増している。 https://iot-analytics.com/iot-platform-comparison-how-providers-stack-up/ 99

100.

IoT普及を阻害している要因は何か? • IoT普及を阻害している要因は、 ①費用対効果と ②人材不足 • 人材不足をAIに肩代わりさせるソリューション も登場しているが、・・ – AI普及も進んでいない。 • 使い始めは人が教師役になって学習させな ければならず、・・ – AI利用にもコストがかかる。 https://www.teldevice.co.jp/ted_real_iot/column/why_reason/ 100

101.

IoTプラットフォームの特性 • IoTは非デジタル素材のデジタル化を担う新しいタイ プのデジタル化 • また、プラットフォーム理論で基本のネット ワーク効果が相手(一方のサイド)がデバイ スの場合、典型的なネットワーク効果醸成を期 待できない。 • そこで、顧客とデバイスだけでは価値創造に繋がり 難い。 • 価値創造可能なIoTプラットフォーム構築には補完 者によるマーケットプレイスも装備する必要があ る(次頁図1-2)。 101

102.

IOTプラットフォームの特異性 図1-1 図1-2 加入 加入 加入 M. Schreieck Chair for Information Systems, Munich工科大学 • 標準的なIoTプラットフォームはマーケットプレイス無し K. Krcmar, のプラットフォーム(図1-1)と認識されがちだが、 Professor of Munich工科大学 • 現実的IoTプラットフォームは補完者によるマーケット プレイスも装備した形態になる(図1-2)。 M. Schreieck, C. Hakes, M. Wiesche, H. Krcmar,“Governing Platforms in the Internet of Things”, Lecture Notes in Business Information 102 Processing,304, pp. 32-46,2017.

103.

IoTプラットフォーム市場の特徴 ① 各エコシステムの専門性が高い。 ② プラットフォームの断片化が起き易い。 ③ ネットワーク効果によるプラットフォーム拡大や 寡占化が起こり難い。 ④ ビジネスモデル構造も個別化し、工夫を凝らし たIoTプラットフォーム活性化が必要になる。 ⑤ 唯一のIoTプラットフォームで活性化が不充分な 場合、他プラットフォームとの連携が模索される。 ⑥ 結果、全体としては極めて多様な分野を長期的 にはカバーする可能性があるが、 • そこに至るまでには巧みなプラットフォームガバナ ンスが継続的に必要である。 103

104.

IoTプラツトフォームのガバナンス特性 プラットフォームガバナンスの特性とは・・ プラットフォームは所有者と関係するさまざまなサ イドが、典型的には間接的ネットワーク効果によっ て特徴づけられるとされるが、・・・しかし、 • 「プラットフォームガバナンスは、それが提供 する技術的特徴よりも、中核となるエコシステ ムを形成するメカニズムの特徴によって特定 される」(Manner, et al. 2013) ⇒プラットフォームガバナンスを構成する概念と構 成要素を明確にする必要がある。 104

105.

プラットフォームエコシステムのデザインとガバナンスを構成する要素(例) 次元 メカニズム 記述 ガバナンス構 造 ガバナンス体制 決定権 所有権のステータス セットアップは集中化されているか、分散化されているか? プラットフォーマーと補完者間で権限と責任はどのように分かれているか? プラットフォームは単一企業に独占的か、複数所有者で共有されている か? 資源とドキュ メント プラットフォームの透明性 プラットフォームの境界 リソース ドキュメンテーションは、プラットフォームの理解と使いやすさを容易に確認 できるか? プラットフォーム市場に関するガバナンス決定は分かり易く理解できるか? サードパーティの開発を通じてプラットフォームエコシステムを育成するため にAPIが使用されているか? アクセシビリ ティとコント ロール 出力制御/モニタリング アウトプットの評価、ペナルティ、 報酬はどのようにして得られるか? 入力制御 セキュリティ どの製品やサービスが許可されているかを制御する仕組みは何か? サービスや製品の品質を評価する方法は何か? プラットフォームアクセス 権、プロセス制御、プラッ トフォームのオープン性 誰がプラットフォームにアクセスでき、参加に制限があるか? プロセスを管理し、規制を設定する担当者は誰か? プラットフォームはオープンかクローズか? 信用と知覚 されるリスク 信頼を強化 知覚されるリスクを軽減 プラットフォームは信頼性を高めているか? プラットフォーム参加者のリスクをどのように最小限に抑えられるか? 価格設定 料金設定補助金 収入 誰が価格を設定しているか? 誰が参加し、誰が支払いをし、誰が価値観を決めるか? 外部関係 外部関係管理 企業間の依存関係はどのように管理されているか? 参加のアーキテクチャは何か? プラットフォームは他システムとの技術的相互運用を可能にしているか? Maximilian Schreieck, Andreas Hein, Manuel Wiesche,Helmut Krcmar, “The Challenge of Governing Digital Platform Ecosystems”, in 「Digital Marketplaces Unleashed」, 2018. 105

106.

プラットフォームガバナンスを構成する概念と構成要 素を巨大化したプラットフォームの代表であるGA FA(ケース1)とシェアリングエコノミー(ケース 2)に当てはめてみる • ケース1:GAFA ⇒アプリケーションプラットフォーム • ケース2:Uber,Airbnb ⇒サービスプラットフォーム 106

107.

GAFAとシェアリングエコノミーへの適応の例 ビジネス モデル ケ ー ス 1 ケ ー ス 2 アプリ ケーショ ンプラッ トフォー ム サービス プラット フォーム 外部関 係 価格設 定 選択的 且つ戦 略的パー トナー シップ 売上高 の30%、 年間手 数料 多数との パート ナーシッ プ 信用と知 覚される リスク アクセシビリティとコントロール 資源とド キュメン ト ガバナン ス構造 出力 入力 コントロール 評価、 フィード バック機 構、詐欺 マルウェ アの減少 評価、コ メント、 ダウン ロード数 マニュア ルレビ ュー、検 閲、保護 システム アップル 開発者 アカウン トが必要 SDK、 API、 ツール キット、ド キュメン ト、ガイド 集中、 厳しい制 御 Apple AppStore 売上高 の30%、 1回限 り登録 料 マルウェ ア、評価、 システム の多様 性 評価、コ メント、 ダウン ロード数 マニュア ルのアプ リレビ ュー無し Google 開発者 アカウン トが必要 SDK、 API、ド キュメン ト、チェッ クリスト 集中、 ゆるやか な制御か ら緊密な 制御まで Google PlayStore 戦略的 パート ナーシッ プとサー ビス拡張 動的価 格設定、 サービス 料 身元確 認、価格 上昇、保 険、プラ イバシー に関する 問題 双方向 評価、 ランキン グ停止、 コメント 身元確 認、車の 要件 身元確 認、 Uberコ ントロー ル価格 支援セン ター、ド キュメン ト、 API有り 分散、 評判によ る顧客 制御、 料金設 定は Uber Uber 地域と地 域社会 サービス 換算手 数料 保険、検 証と評価 システム 非同期 ランキン グ、 レビュー、 統計、 コメント 身元確 認 ホストは 支援セン 分散、 制御され、 ター、 ホストに決 身元確 API無し 定権があ 認が行わ る れる Airbn b 107 Maximilian Schreieck, Andreas Hein, Manuel Wiesche,Helmut Krcmar, “The Challenge of Governing Digital Platform Ecosystems”, in 「Digital Marketplaces Unleashed」, 2018.

108.

ビジネス視点からのIoTエコシステム • IoTビジネスエコシステムは、「相互作用する企業 や個人のコミュニティとその社会経済的環境から 構成される特別なタイプのビジネスエコシステ ム」で、・・・ • 「企業はインターネットのバーチャル世界と物のリ アル世界の相互接続に関する共通のコア資 産を利用して競合し、協力する環境」と定義 される。 ・・・ Mazhelis, 2012 108

109.

IoTプラットフォームのガバナンスの特性 • プラットフォームガバナンスの目標は、 – さまざまなアクター間の相互作用を調整することで、 – 「プラットフォーマーと開発者、制御メカニズム、価格設定とパイの 共有構造間の意思決定権限の分割」などでプラットフォーマー によって調整されるもの、だが、・・しかし、 • IoTプラットフォーム市場では、これらを実施しよ うとしても、市場構造、目標が不明確なため取 り敢えず開始にならざるを得ない。 • その結果、しばしば特定のプラットフォームで解決 しなければならないトレードオフ条件の選択が より重大な意味を持つ。 109

110.

IoTプラットフォームのエコシステムデザインやガバナンスの様相 概念:構成要素 内容 特性 ガバナンス構造 •デバイスも1つのサイドと見做せるが、 •しかし、デバイスは人間や組織と直接対 応が取れないので、特別の評価が必要 •需要サイドへのサービス提 供のため仲介販売パート ナーとも取引が必要 資源とドキュメン ト(境界資源) •技術的境界資源としてAPI、SDKなど •社会的境界資源としてオンラインドキュメ ントなど •スターターキット、チュート リアル、ガイド、サンプル コードなどきめ細かく オープ アクセシビ ン性 リティとコ ントロール コント ロール •ユーザーに向けたオープン性と開発者に 向けたオープン性の2面がありうる •ユーザー向けはアクセスの許可権など •ユーザーには公開するが 開発者には公開しない仕 様など用途毎に複雑 •アプリ市場を持つ場合、持たない場合な どで変化 •出力制御、入力制御、プ ロセス制御などが複雑 信用 •顧客と補完者の信頼関係も重要な要素 •有名な顧客事例も有効 価格設定と収益 分配 •通常は無料試用版を提供 •サードパーティ開発者は、プラットフォーム 所有者と収益共有化が必要 •価格が複雑化(クラウド /オンプレミス、接続デバイ ス/ゲートウェイ数、・・・) テクニカルデザイ ン •アプリ市場提供の場合は追加アプリの統 合機能が必要 •外部アプリによる機能拡 張可能性も必要 競争戦略 •殆どが宣伝用のメディアチャネルを利用 •所有者は開発者との協調を強調するが •所有者のアプリと開発者 のアプリの競合が発生110 M. Schreieck, C. Hakes, M. Wiesche, H. Krcmar,“Governing Platforms in the Internet of Things”, Lecture Notes in Business Information Processing,304, pp. 32-46,2017.

111.

市場構造、目標が不明確になりがち な背景の典型的事例 • 前頁の表の「特性」欄に下記の例がある。 – 「所有者のアプリと開発者のアプリの競合が発生」 • IoTプラットフォーム市場においては、プラット フォームを立ち上げたプラットフォーマー自身が 開発するアプリと企業外部開発者のアプリが 競合する事態がかなり一般的に発生する。 • これはGAFA(ケース1)で取り上げた開発者エ コシステムとは根本的に異なる。 – ネットワーク効果発生を大きく減退させる一 因 111

112.

2.4 イノベーションのコアは周辺に移動 デジタル世界に新たな潮流が発生している 新たな状況をクローズアップさせ る新たな視点からの分析例 例1:Amazonを例題とした分析 例2:Google Mapを例題とした分析 112

113.

例1:Amazonを例題とした分析 • デジタルプラットフォームが大規模なデ ジタルインフラストラクチャにマッシュ アップされて一層複雑化(例:次々頁) – 32セクターで11,000以上のAPIと6,000のマッ シュアップを評価した結果 • Amazonなどのプラットフォーマーはイン ターネットを事実上閉じたドメインに分 割し独自価値を急激に拡大させている。 113

114.

仕組みの一つがAPIエコノミーの勃興 • 現在、12,000以上ものオープンAPIが存在 • APIはまた、既存APIを統合するマッシュ アップによってまったく新しいアプリ ケーションやサービスを構築可能 • 近年、6,000以上ものマッシュアップが作 成されている。 • 指数関数的に成長するアプリ開発者のエコシス テムを伴って従来のどのようなISシステムより も数桁大きく拡大・・ Sørensenand Landau、 2015 114 Evans, P.C. and Basole, R.C. (2016). Revealing the API Ecosystem and Enterprise Strategy using Visual Analytics, Communications of the ACM 59(2): 23–25.

115.

ノード:API エッジ:2つのAPIがマッシュアップ で一緒に使用の状態 115 Evans, P.C. and Basole, R.C. (2016). Revealing the API Ecosystem and Enterprise Strategy using Visual Analytics, Communications of the ACM 59(2): 23–25.

116.

Walmart vs Amazon.com オープンAPI数 マッシュアップ数 Walmart 1個 なし Amazon.com 33個 300個以上 内訳:140(eビジネス) 160(クラウド、ネットワーキング、メッセージング、 マッピング、ペイメント、他) • Amazonは既に小売業の領域を大幅に超え た業態に変化している(Walmartとの差が 顕在化 ⇒ 次頁) 116

117.

マッシュアップサービスの例 名称 小売り SNS AWS他 機能 Walmart eビジネス Amazon Marketplace eビジネス Amazon SimpleDB 非リレーショナルデータベース Amazon Product Advertising Amazon の商品情報や関連コンテンツをアク セスできるサービス Amazon SNS プッシュ方式のメッセージ送信サービス Alexa Web Inform 世界中のWebサイト分析情報を提供 Amazon EC2 コンピューティングのウェブサービス Amazon S3 スケーラビリティなストレージサービス Amazon RDS リレーショナルデータベースサービス Amazon Dynamo DB 読み書き量を設定できる非リレーショナルDB Amazon Flexible デリバリーサービス Amazon Cloud Watch クラウドのモニタリングと管理サービス Amazon Mechanical Turk 人間の知能と組み合わせて、コンピュータだ けでは不可能な仕事を処理する Amazon Queue Service メッセージキューイングサービス Amazon Redshift 117 高速で、スケーラブルなデータウェアハウス

118.

例2:Google Mapを例題とした分析 • Google Mapは標準インタフェース(API)を備え たコンテンツ(地図)とサービス(検索、閲覧、 交通、ナビゲーション、ストリートビューなど) の束と捉えられる。 ⇒最終商品としても利用可能 • 同時に、携帯電話、テレビ、車、ナビゲーショ ンシステム、デジカメなどとも組み合わせて、 様々な方法で利用可能である。 ⇒マッシュアップ • 再結合の結果の多くは、Google Map初期導 入時に必ずしも意図されたものではない。 ⇒イノベーションの民主化 118

119.

モジュール化論理との根本的な違い 1.モジュール性の目 的は複雑性と柔軟 性を高めること 1.新たなイノベーショ ンの目的は多様性 を創造すること – モジュラー性の柔軟 性は程度の違い ⁻ 新たなイノベーショ ンの論理は種類の 2.製品とサービスの 固定された境界のあ るアーキテクチャか ら出発 違い 2.潜在的な機能の固 定セットから出発せ ず、特定の最終機能 を念頭に置かず 119

120.

異なる文脈での使用が登場 • 必要とされるのは、パターンのネットワーク に基づいた補完的特性 – 全パートの関係性に基づくのでなく、 – ・・・・・・・・・・・・・・・・汎化 - 特殊化に基づく視点 • 汎化 - 特殊化の関係: • 全パートの関係: • 【コンピュータは、PC、メ • 【コンピュータは、CPU、 インフレーム、ラップトッ メモリ、入出力デバイ プ、タブレットコンピュー ス、周辺デバイスから タからなる】 なる】 • ソフト化に親和性有り ⇒境界は固定され、定 ⇒境界は柔軟であり、認識 められている。 120 できない。

121.

パターンのネットワークではオブジェクト 間の継承が非常に重要になる – 物理製品の多くは機能階層に基づいて編成されるが、 – ソフトウェアはパターン構造のネットワークに基づい ている。 • 従来の大部分の組織は機能的な階層構造に 従って構成され、部分的な関係になっているが、 • デジタル技術が組織に深く浸透するにつれて、 機能的階層に分解された構造とパターンのネット ワークによる継承との間に緊張が発生する。 • デジタル化は、産業組織に新たな破壊的変化を もたらす。 121

122.

デジタル世界分析の新たな潮流 • デジタルプラットフォームは従来のプラットフォー ムとは特性を異にする性格を加えており、イノ ベーションの考え方も見直しが必要である。 • 特にマッシュアップなどを伴うデジタルインフラス トラクチャとセットのイノベーションを含めた状況 把握が必要な構造変化が発生している。 122

123.

3.1 ジェネラティビティとは • 「大規模で、多様な、調 整されていない参加者に よって駆動される、予期 しない変化を引き起こす 技術の全体的能力」 ・・・Zittrain 2006 • ~「幅広い仕事に跨った技術の 活用能力、幅広い異なった仕 事への適応性、習得のし易さ、 アクセス性など」 Jonathan Zittrain Professor, of Inertnet Law, Harvard Univ. 2006 2008 1. Capacity for Leverage. 2. Adaptability. 3. Ease of Mastery. 4. Accessibility. 5. Generativity Revisited.

124.

この用語の元々の発生源は・・ 「次世代の価値を生み出す行為に積極的にか かわって行くこと」を意味する。

125.

本概念の要約例:「生成的?」インターネットには何が必要か? 地図上に描画するのが難しい複雑なネットワーク Antonio Liotta “創造的?なインターネットはイノベーションと混乱を促進する” By Jonathan Zittrain Future Internet: how diverse disciplines will help redesigning our networks 「多様な分野がネットワークの再設計にどのように役立つか」より Professor of Communication Networks at Eindhoven University of Technology

126.

純然たる複雑さ(「複雑性の理論」におけるように) 全体特性を個々の部品特性から推論することはできない 個々のコンポーネントは非線形に相互作用し、緊急行動につ ながる 時間とともに絶えず進化し、展開している 未来のインターネットは、他の複雑な「自然」ネット ワークと同程度にかなり複雑になる

127.

自然ネットワークは適応性と学習のお陰で動作する 著名な例: •人間の脳 •免疫系 •生態系 •昆虫コロニー •ほとんどの社会構造 顕著な例外は: ・株式市場

128.

ネットワーク生物学の視点 デジタルエコシステムにおけるジェネラティビティ アーキテクチャ:ネットワーク生物学の視点 SungYong Um Assistant Professor of Information Systems School of Computing at NUS Youngjin Yoo Professor of Management Information Systems and Strategy at Temple Univ. Sunil Wattal Thirty Fourth International Conference on Information Systems, Milan 2013 Associete Professor of Management Information Systems at Temple Univ.

129.

題意把握とアプローチ法 • ジェネラティビティは、AppleやGoogleなどがプ ラットフォームを通じてどのようにイノベーショ ンを提供してきたかの洞察を提供する。 • イノベーションの既存理論は、デジタルエコシ ステムのイノベーション・ダイナミズムを効果 的に説明できていない・・・Tiwana et al.2010 • デジタル化されるに連れ、企業はもはや製品 の機能や品質を向上させることに集中できな くなっている・・・Yoo et al.2010 • 代わりに、オープンなデジタルエコシステム構 築によって他者の創造性を活用しようとして いる・・・Tiwana et al.2010

130.

題意把握とアプローチ法(続) • デジタルエコシステムは焦点企業によって設計された プラットフォームとサードパーティ企業が開発する補完 製品(例:プラグイン)で構成される。 • プラットフォームにはAPIやSDKなど、一連の境界資源と 参加企業の行動を統制するルール/規範が含まれ る・・・Ghazawneh et al.2012 • デジタルエコシステムはプラグインを作成する際、異種 アクターの創造性を活用するための柔軟な境界を必要 とする・・・Yoo et al.2012 • オープンなデジタルエコシステムでは、APIなどの斬新 で予期できない組換えがイノベーションの源泉とな る・・・Arthur 2009 • このようなシステムのジェネラティビティは、さまざまな 種類の多様なプラグインから生まれる・・・Yoo et al.2012

131.

ネットワーク生物学の視点 • 企業はデジタルエコシステム構築によるイノベーショ ンで益々サードパーティー開発者を必要としている。 • この状況の分析にネットワーク生物学を活用する。 – 対象は世界最大のブログサービスプラットフォーム WordPress.org(オープンソース) • WordPressエコシステムは多数のプラグインを通じて提 供される活気に満ちた多様な機能によって知られており、 多くはサードパーティ開発者によって設計されている。 – プログラムソースのテキストマイニングとネットワー ク解析で、プラグインで使用されているAPIの組み 合わせを分析する。 • そこから、WordPressエコシステムのジェネラ ティビティを明らかにする。 131

132.

ネットワーク生物学の視点(続) • 細胞および生物のダイナミックな構造を理解 する方法として構成要素(遺伝子やタンパク 質)の相互作用に焦点を当てる・・Fleming et al.2001他 – 遺伝子間の相互作用がどのように機能的に分化 した細胞型を作り出すか – 遺伝子間の相互作用パターンは共発現ネット ワークを通じて獲得される・・Ravasz et al.2002 – 特に遺伝子数が多い場合には遺伝子相互作用 のパターンを同定し特徴づけることができる。 • サードパーティ開発者がさまざまなAPIを組み 合わせて新しいプラグインを作成する状況の 分析にこの方法を適応する。

133.

デジタルエコシステムにおけるジェネラビリティ • デジタルエコシステムのジェネラティビティを、 「既存のソフトウェアモジュールを新しい方 法で再結合することによって、中央の権威 の制御なしに、予期せぬ未調整の変化を 生み出す生殖能力」と定義する。 • 背景となる観察事項: – Facebook、Twitter、WordPressなど多くのデジタル エコシステムは、自らの関心やアイディア追求で 新しいデジタル成果物(プラグインやAppsなど)を 作成する異種のサードパーティ開発者によるイノ ベーションに決定的に依存している。

134.

デジタルエコシステムにおけるジェネラビリティ(続) • サードパーティ開発者によるこれらの行動はしば しば既存APIに依存することが多く、完全にラン ダムではない・・・Fleming et al.2004 • APIはプラットフォーマーだけでなく、独自プラット フォームサービスを持たない企業も開発する。 • デジタルエコシステムのジェネラティビティは、既 存の異種APIの意図的な再定義と再結合の成果 である・・・Chesbrough et al.2006 – 新しい種類のプラグインは、既存モジュールの創造 的再結合によって生み出される。 • デジタルエコシステムのジェネラティビティを説明 するために、どのようにして類似の配列から多様 な機能をもたらす多くの細胞を生成するかを記述 するネットワーク生物学の視点を活用する。

135.

デジタルエコシステムにおけるジェネラティビティのネットワークモデル • • • 生物学者の遺伝子相互作用クラスター同定と同じ方法でAPIのクラスターを同定する。 Aラベル付きAPIはある企業に、Bラベル付きAPIは別の企業によって開発されている。 タイプ1プラグイン(実線)は、A0、A1、B0、B1のAPIクラスタを形成する。タイプ2も同様 • • 異なるAPIの組み合わせ調査によって、プラグイン作成過程が調査可能 特定APIの繰り返し使用の調査によって、WordPressエコシステムの景観を探索可能

136.

調査手法の概要と結果 • PHPコードで記述されたプラグイン・ソースコード 全てをダウンロード(プラグイン数=13,491個)。 APIをテキストマイニングで特定 • WordPress独自APIは93個あった。 • 一方、Googleなどの外部API(915個)のうち、プラ グインで使用されていたのは195個であった。 – 各プラグインは平均して29回APIを使用していた。 • プラグイン中のAPI相互作用状況調査のため、 – 13491個 プラグイン× 13491個 プラグイン – 13491個プラグイン×288個API(内部API+外部API) – 288個API× 288個API 他のマトリックスを構築し調査。結果は次ページ

137.

13,491個 プラグイン× 13,491個 プラグイン(トポロジ的オーバーラップ描画にRを使用) 各四角形の 異なる色は、 クラスタ内 APIが相互 により強く結 びつき、他 APIとよりも 多くの種類 のプラグイ ンを生成し ていることを 示す。 • • • • 異なる四角 形間では、 同じAPIを 互いには 共有してい ないことを 示す。 ヒートマップ領域(正方形)は各プラグインの相互作用に対応。 相互作用は主に自 領域境界内で発生。正方形領域の異なる色は、異なるトポロジ的重なりの度合い。 正方形領域のサイズはクラスタ間の相互作用発生の主な境界と見做せる。 API、プラグイン、プラグインのクラスターの階層関係が存在すると考えられる。 特定APIの組み合わせが、多数サードパーティー開発者を引き付け活気あるプラグ イン作成領域を形成していると考えられる。

138.

ノードが288個のAPI(横軸) vs エッジが13,491個プラグイン×288個API(縦軸)のマトリックス API分布を視覚的に見ると、知られた単一分布、ランダム分布およびべき乗則分布と異な る独特の分布パターンを持っていることが判明した。 APIネットワークの度数分布 ほとんどの現実世界の ネットワークはべき乗 分布に従っているが 青色:内部API F:Facebook 度 数 Gr:Gravatar T:Twiter G:Google Y:Youtube 赤色:外部API APIノードID • • • • 内部APIと外部APIが2つの異なる分布を形成し、それが繋がるハイブリッド形態である。 内部APIはハイブリッド形態の先頭領域を占有し、外部APIは末尾領域を占有する。 WordPress領域(内部API)で見つかった外部APIは殆どない。 但し、5つの有名な外部APIは存在した。

139.

観察事項と推定 • 非常に複雑なエコシステムが中央設計(あるい は中央の権威)を持たずに整然と出現していると 考えられる。 • WordPress APIと共に頻繁に使用される5種の外 部APIも存在していた。 • トポロジ的にオーバーラップしていたAPI(図2の 正方形)は、多くの新しいプラグイン生成につな がる最適領域と理解される。 • このような領域は、サードパーティ開発者が新 APIや新機能を試して新しいタイプのプラグイン を生み出す機会を提供していると考えられる。

140.

観察事項と推定(続) • オープンなデジタルエコシステムは現在イノベー ションの最もダイナミックな分野であるが・・・ • 上記のように、デジタルエコシステムにおけるイ ノベーションは、既存プラットフォームの機能強 化だけでなく、プラットフォーム所有者とサード パーティ開発者間の相互作用に由来するプラグ インの新クラスター出現によっても誘発されてい ると推定される。 • 障壁のない異なるインターフェースを持つモ ジュールを自由に混在させることが導くデジタル エコシステムの出現は、従来のイノベーション論 が推定する領域とはかなり異なっている。

141.

WordPressエコシステム分析結果からの推定 • プラグイン設計とWordPressエコシステム成長を調 整する中心的な設計者が不在でも、複雑でダイナ ミックなエコシステムが形成されていた。 • 焦点企業によって作成された外部APIがエコシス テムのジェネラティビティ・アーキテクチャ形成で部 分的に中心の役割を果たしていたが・・・ • サードパーティー開発企業に関わる内部APIもエ コシステム形成で重要な役割を果たしていた。 • 新環境に向けた新たなアプローチは、既存イノ ベーション概念に基づくネットワーク認識との統合 を必要とすると考えられる。 141

142.

3.2 階層モジュールアーキテクチャ デジタル化の主な特徴 デジタル化は2つの重要 な分離を明確にする: (1)再プログラム可能性 3つのユニークな特徴 のために【デバイスと 1. 再プログラム可能性 サービス間を分離】 2. データの均質化 (2)データの均質化のた 3. デジタル技術の自 めに【ネットワークとコン 己参照性 テンツ間を分離】

143.

デジタル化が4層からなる 階層モジュラーアーキテクチャを出現させる  ネットワークとコ ンテンツを分離  デバイスとサー ビスを分離 143

144.

階層モジュラーアーキテクチャは、モジュラーアーキテクチャ と階層アーキテクチャのハイブリッド ジェネラティビティの動向によって新たに登 場した階層モジュラーアーキテクチャ 工学系プラットフォーム論におけ るモジュラーアーキテクチャ デジタル技術の3つのユニークな特徴 • • • • • 固定した製品境界 一設計階層に基づく部 品 製品特有の部品 部品は製品特有の知 識を共有した企業に よって設計・製造 例:一眼レフ・カメラ • • • • • 流動化した製品境界 複数の設計階層に準拠した 異種の層 製品に不特定な部品 層は標準や異種の企業に よって共有されたプロトコー ルを通じて結合 例:Googleマップ

145.

• デジタル技術は新しい製品アーキテクチャ:階 層モジュラーアーキテクチャを生み出す。 – 物理製品のモジュラーアーキテクチャとデジタル化によ る階層化アーキテクチャのハイブリッド – デジタル技術の階層化アーキテクチャは物理製品 に組み込まれており、ソフトウェアベース機能を装 備するに連れて製品機能を強化 • モジュール化は産業組織に影響を及ぼした が ・・・Bal​d ​ win and Clark 2000、Langlois 2003他 • 階層モジュラーアーキテクチャも企業の組織化と イノベーションに深刻な変化をもたらす。 145

146.

階層アーキテクチャーへの路 • デジタル技術が階層アーキテクチャへの路を 開く。 • 2つの重大な分離が発生: (1)「データの均質化」の故にネットワークとコンテン ツ間が分離 (2)「再プログラム可能性」の故にデバイスとサービス 間が分離 • 階層アーキテクチャは、デバイス、ネットワー ク、サービス、コンテンツの4つの層で構成さ れる。 146

147.

階層化モジュラーアーキテクチャ デジタルイノベーションが与える影響の概念図 複雑なエコシステムの形成 例、電子書籍:コンピュータ業界、家電、 インターネット検索、オンライン小売、 書籍小売、通信、出版など デジタル 化 新たなビジネス価値の創造 ビジネス価値を創造するためのITの役割 ビジネス モデル 企業 Apple,Amazon 企業の戦略論、構造論 Apple,Amazon 製品と サービス そのもの 携帯電話 本 製品アーキテクチャ: ・機能要素の配置 ・機能要素から物理要素へのマッピング ・コンポーネント間のインタフェースなど ビジネスエコシステム理論 新たな変革の力≒ジェネラティビティ iPhone Kindle デジタル化時代の製品アーキテクチャ: ? 従来の取組みが不充分 147 , Y. Yoo, O. Henfridsson, K. Lyytinen, “The New Organizing Logic of Digital Innovation: An Agenda for Information Systems Research” Information Systems Research, Vol. 21, No. 4, December 2010.

148.

デジタルイノベーションの特徴 • デジタル化による階層モジュラーアーキテク チャは、イノベーションプロセスと成果の本質 を根本的に変える。 1. デジタルテクノロジープラットフォーム 2. 分散型イノベーション 3. コンビナトリアルイノベーション の3面について論述

149.

1.デジタルテクノロジープラットフォーム • イノベーションの中心的焦点としてプラット フォームが出現した。 • 企業は、新たな環境では、単一製品の作成では なくプラットフォームを作成することでイノベートし ている。 • プラットフォームとそのモジュールは、異種アク ターを含むエコシステムを形成している。 • 重要なイノベーションの要点は、活力あるプラッ トフォームを設計、構築、維持する方法である。

150.

デジタルプラットフォームの特徴 デジタルプラットホームは物理的システムとは 異なり、 1. サブシステム間の境界がよりゆるやかで、 2. 情報は非競合であるために各要素の再結 合がより安価に実現でき、 3. その結果、知識のスピルオーバーが容易化さ れ、再利用可能コードが拡大するのを促進さ せる。 150

151.

プラットフォームガバナンスの含意 • 組織は、プラットフォーム上での微妙な制御 のバランスを管理するように設計される必要 がある。 【制御指針】 組織がプラットフォームをあまりにも多く制御す ると、サードパーティ開発者を駆逐する危険性が ある。 他方、組織が何も制御しないと、プラットフォーム は多岐に渡って断片化し、開発者と顧客の両方 にとって役に立たなくなる可能性がある。

152.

2.分散型イノベーション • 情報技術の利用促進はイノベーションプロセ スを「民主化」した。 • イノベーション活動の場所はますます組織の 周辺に向かっている。 • 企業は、組織外の創造性を利用するために、 新しい形態の組織化に取り組んでいる。 • 組織外の開発者がクローズアップされる。

153.

分散型イノベーションの含意 • イノベーションは、他の人(開発者)がイノベー ションを可能にすることをますます必要とする。 • オープンデータ、API、SDKなどの新しい技術 的リソースの開発で他人(開発者)を有効に することができる。 • 高度に専門化されたニッチプレイヤー(開発 者)と、グローバルな支配力を達成する「スー パースター」の共存が、異種の知識体系を統 合する能力の結果として出現する。

154.

3.コンビナトリアルイノベーション • デジタル人工物のほぼ無限の再結合は、イノ ベーションの新たな源となる。 • 企業は、既存モジュールと組み込みデジタル 機能を組み合わせて、新しい製品やサービス を作り出す。 モジュールは、各モジュールを他のモジュー ルとどのように統合するかの「全体的」設計 図を完全に知らないまま頻繁に設計されてい る。

155.

コンビナトリアルイノベーションの含意 • 伝統的なSカーブの拡散モデルに替わって、 SNSコンテキストでのアイデア伝染の広がりが、 さまざまな分野にわたって関心を高める。 • アイデアは普及するだけでなく、普及につれ て突然変異し、進化する。 ー 従来のイノベーション拡散の伝染モデルは、 イノベーションが広がると仮定しているが、 変化しないとも仮定している。

156.

製品アーキテクチャの変化は企業の 組織化論理の変化を引き起こす • 統合アーキテクチャが支配的な組織化論理 は垂直統合 – 単一企業が必要イノベーションの大部分を実行 – 価値創造の主要な源泉は規模と範囲の経済 – 競争戦略はポジショニング戦略・・・Porter 1980 • モジュラーアーキテクチャでは設計、生産機 能を垂直分解 – 設計活動と生産活動が分散 – 価値創造の源泉はコンポーネントを迅速に再結 合する能力から生じる俊敏性 156

157.

モジュラーアーキテクチャの一種の 階層モジュラーアーキテクチャとは • 物理製品にデジタルコンポーネントが組み込ま れるに連れて、階層モジュラーアーキテク チャが登場 • 階層アーキテクチャがモジュラアーキテクチャ にジェネラティビティを追加する度合いによっ て連続的な変化が発生 – 一方では、固定された製品境界に基づく従来型 モジュラーアーキテクチャから出発して、・・ – もう片方では、製品レベルで固定の境界を持たな い本格的な階層モジュラーアーキテクチャへ 157

158.

モジュラーアーキテクチャの一種の 階層モジュラーアーキテクチャとは(続) • コンポーネント設計は単一の設計階層からは 導出されない。 • 代わりに異なる設計階層に属する異種層の集 合からコンポーネントの集合を編成する。 – コンポーネント設計者は、どのようにコンポーネントが 使用されるのか完全には把握できない。 • ジェネラティビティはレイヤー間の緩やかな結 合によって達成される。 – モジュラー製品のコンポーネントは単一の設計階 層に属すが、・・・ – 階層モジュラーアーキテクチャのコンポーネントは 複数の異機種の設計階層に参加する。 158

159.

3.3 デジタルカメラに見る特性 • 産業経済の凋落 GE 一年前までIoTの覇者 に見え、思い切ったデ ジタル化路線 しかし、前CEOは株価 低迷で退任 ゼロックス 富士フィルムに買収? 結局、名門企業を脱す ることができず • デジタル経済の勃興 • Amazon • 2017年売上31%増 • eビジネス、物流会社、 IT サービスプロバイダー、 コンテンツ/情報機器メー カー、など • 何でも事業を作り出す現 代のコングロマリット このような相違の実態は何か? このような相違を生じさせるメカニズムは何だろうか? 159

160.

2012年1月19日、Kodakが倒産 新しい時代の始まりをはるかに凌駕する1つの時代の終わりを見ている。 • 産業経済の代表 Kodak AT&T GM WHなど テーブルは廻った • 新しい企業の勃興 • • • • Google Apple Facebook Amazonなど 産業経済の終焉は、強力な知的伝統(Herbert A. Simon (1977; 1996)の複雑システムのモジュール性)の終焉をも 伴って到来しているのではないか。 160 Y. Yoo, “The Table Has Turned: How can IS field contribute to the technology and innovation management?” , Prepared for the Special Issue of Journal of AIS.

161.

デジタルカメラの歴史 • デジタルカメラの起源はNASAと米国諜報機 関・・・宇宙衛星画像を地球に戻す方法から • 1969年、Bell 研の研究者が電荷結合素子 (CCD)を発明・・・ CCDはカメラの光検出器に • 1972年、TIが電子カメラの特許取得 • 1975年、Kodakが最初のデジタルカメラ作成 • 1990年、 Kodakは1.3メガピクセルのプロ向け デジタルカメラを発表 • 1994年、Appleは最初の消費者向けデジタル カメラQuick Take 100を発表 • 2003年、デジタルカメラはフィルムカメラ逆転 161

162.

デジタルカメラの進化 • 1990年、Kodak、フォトCD概念発表・・デジタル 写真と印刷の共有 • 1995年、カシオ、LCDパネル導入・・アナログカ メラでは不可能な即時レビューを可能に • 1996年、Kodak、コンパクトフラッシュメモリ カード使用を発表・・・メモリ容量増加サイズ小 • 1997年、日立とソニー、MPEG、JPEG準拠カ メラを発表・・ファイル保管効率飛躍的に向上 • 2003年、Kodakギャラリー・・インターネットを介 して写真共有 • 2004年、YahooがFlickr買収 162

163.

他のテクノロジーとの統合 • 携帯電話との統合 – 2000年、 シャープが最初のカメラ付き携帯電話 – 2006年、ノキアが世界最大のカメラメーカーに – 人々がデジタル写真を制作し消費する方法を変革 • GPS技術との統合 – 2005年、リコーが世界初のGPS対応デジカメ発表 – 2008年、AltekがGPSチップ内蔵デジカメ発表 • 通信技術との統合 – ほとんどのデジカメはコンピュータに直接接続でき るようになった。 – 2007年、Eye-FiはWi-FiとGPS機能統合のSDカード163

164.

デジタルカメラの果てしないイノベーション D-1.最初のアイディアは固体シリコンチップに よる写真フィルムの交換 D-2.シャッターとレンズの制御はソフトで・・物 理デバイスと論理層の分離 D-3.プログラミング機能の追加・・ネットワーク、 GPS機能など D-4.デバイスとは別のサービスとネットワーク の分離が出現・・ YouTubeやFlickrなど D-5.各層での実験が可能になり、他層の制約 を最小限に抑えた試みが更に増加 164

165.

D-6.様々な製品アーキテクチャの境界を越え たマッシュアップによる新サービスが登場 D-7.特定の目的のために作成されたデバイス、 ネットワーク、サービス、コンテンツが、その 用途を再利用するために再統合 D-7’.結果として、デジタルカメラとデジタル写 真は、もともと考えられていたものよりも、より ダイナミックで異質なものに変質 D-8.物理機器と論理層の分離とその後の階層 モジュラーアーキテクチャの4層の緩やかな 結合が継続的で果てし無いイノベーションの 基礎を形成 165

166.

1975 1990 2000 1995 Kodak世界発 のデジカメ発表 Kodak倒産 Yahoo、 Flickr買収 Kodakフォト CD概念発表 デジカメ の進化 2010 2005 日立、SONY、 MPEG、JPEG Kodakイン 準拠カメラ発表 ターネットを介 して写真共有 Kodakコンパク カシオLCD パネル導入 トフラッシュメモ リーカード発表 リコー、世界初 のGPS対応デ ジカメ発表 他テクノロジー との統合 シャープ、最初 のカメラ付き携 帯電話発表 Altek、GPS チップ内蔵デ ジカメ発表 ノキア、世界最大の カメラメーカーに Android準 拠端末登場 iPhone登場 垂直統合時代 階層モジュラーアーキテク チャ時代 図11.デジカメの進化と他テクノロジーとの統合 モジュラーアーキテクチャ時代

167.

ITは組織変革とイノベーションにどのように貢献できるか そもそも、デジタル化とは、・・・ • 物理的製品を、①プログラム可能、②アドレ ス可能、③センシング可能、④伝搬可能、⑤ 記憶可能、⑥追跡可能、⑦結合可能、などに すること・・・・Yoo 2010 そして、デジタルイノベーションとは、・・・ • このような特徴を持つデジタル化を踏まえ、 • 企業が組織論理と企業のITインフラストラク チャ使用を再検討・再構築すること 167

168.

新しいITの役割 • ソフトとハードの区別がなくなり、従来はハード部 品と思われていたものでも、デジタル化でソフト 機能が組み込まれるようになった。 • その結果、パーツ(部品)の性質が機能階層で のインタフェースから、パーツ・ネットワークでの継 承(インヘリタンス)として扱うのが適当なように 変質した。 • この変化は組織構造やイノベーションの性質を 変化させ、ITの役割も変わる。 • ITは階層化モジュラーアーキテクチャ時代の微妙 なバランスを成立させる鍵の手段としての新たな 役割を期待されている。 168

169.

4.1 エコシステム理論の構築に向けて M. G. Jacobides London Business School Carmelo Cennamo Bocconi University Annabelle Gawer University of Surrey Platform Theory, Competitive Strategy Strategy, Entrepreneurship and Innovation • • • • • • はじめに エコシステムのポジショニング 様々なタイプの補完性 エコシステムの特徴の見直し エコシステムの再定義 エコシステムの特性と今後の展望 Michael G. Jacobides, Carmelo Cennamo, Annabelle Gawer, “Towards a theory of ecosystem”, Strat Mgmt J. 2018;39:2255–2276. 169

170.

はじめに エコシステムが話題になっている • エコシステムへの関心が急激に高まっている。 – 例えば、世界最大のアリババのIPO時(2014年)の目 論見書では、「エコシステム」という言葉が少なくとも 160回使用されていた。 • エコシステムは、 – – – – 異なる産業に属し、あるいは跨り、 契約上の取り決めに拘束される必要はないが、 かなりの相互依存性を持つ、 補完的なイノベーション、製品、またはサービスの提 供者を必要とする。 • 古典的な企業と供給者の関係(例えば、ポー ターの価値体系)とは根本的に異なる。 170

171.

エコシステム関連文献の3分類 • ビジネスエコシステム:企業とその環境を中心とす るグループ ・・・ Teece ; Iansiti&Levienなど • イノベーションエコシステム:特定のイノベーション や新たな価値提案とそれを支えるアクターの集 合を中心とするグループ ・・・Adner ; Adner & Kapoorなど • プラットフォームエコシステム:アクターがプラット フォームの周りでどのように編成されるかを考え るグループ ・・・ Gawer&Cusumano ; Ceccagnoli et al.など 171

172.

エコシステムで注目されるべき事項 • エコシステムは、重要な自治権を持つ相互に 関連する組織の調整を支援する特徴がある。 • エコシステムは、調整問題を解決するプロセ スと規則を提供し、また、エンゲージメント、標 準、体系化されたインターフェースの規則を 通して調整を奨励している。 • モジュール性はエコシステムが出現するため の条件を作り出している。 172

173.

エコシステムのポジショニング エコシステムのポジショニング • エコシステムは、提携、サプライチェーン、市 場ベースの相互作用とは異なる企業間協調 問題に対する明確なソリューションである可能 性がある。 • エコシステムはモジュール性を通じて独立し ているが、その一方、相互依存している企業 間の調整を許容している。 • エコシステムが有用なためには、市場では対 処できないが、中心的権威(垂直統合型のハ ブなど)を必要としない調整の必要性が存在 しなければならない。 173

174.

エコシステムと他組織との比較図 最終顧客 最終顧客 (焦点企業の商品と個々の 補完者からの補完商品を購 入する) (個別にまたは共同で消費 するため、独立した販売者か ら個別の商品を購入する) 最終顧客 (焦点企業が組み立て て販売した形式で最終 商品を購入する) アームズ・レングス取引 補完者の コンポB 補完者の コンポA 特定の補完性 特定の補完性 特定の補完性 焦点企業の商品 補完者の コンポC 焦点企業の商品 アームズ・レングス取引 エコシステムの外 垂直的サプライチェーン関係 垂直的サプライチェーン関係 供給者 コンポB 供給者 コンポA 協力関係 供給者 コンポA 競争関係 階層型価値システム 供給者 コンポB 供給者 コンポA 協力関係 供給者 コンポA 商品B の売手 競争関係 エコシステム型価値システム アームズ・レングス原則:複数当事者が互いに近い距離の関係を保ちつつ、互いに独立の立場を取る関係 商品A の売手 商品A の売手 一般的な補完性 競争関係 市場型価値システム

175.

エコシステムの他組織との違い • エコシステムでは、・・ • 最終顧客は各参加者から提供されたコン ポーネント(またはオファリングの要素)を選 択できる。 • 場合によってはそれらを組み合わせる方法も 選択できる。 – 例: Android携帯エコシステムの最終顧客は、ど のアプリかを選択して購入し、どのプロバイダか ら購入するかを決定することができる。 175

176.

エコシステムの他組織との違い(続) • エコシステムと市場ベースの取引との違い は、・・ • 最終顧客は、相互依存を介して結び付いてい る一連の生産者または補完者の中から、一 定の基準を順守することによって選択できる。 • この意味で、エコシステムはネットワークとは 異なり、 • 参加者間の標準化された公式または非公式 の同盟関係のくもの巣(web)を表している。 176

177.

様々なタイプの補完性 独自補完性と一般的補完性 • エコシステムでは、特定の補完品を使用できる ようにするため、顧客でさえも1つのグループま たはプラットフォームに「加入」しなければならな い。 • 何故加入が必要かを理解するには様々なタイプ の補完性を理解しなければならない。 独自(ユニーク)な補完性・・Aの価値はBと共に 最大化される。 一般的(generic)な補完性・・契約上の危険 から保護されながら生産を容易化しうる。(例:電 力) 177

178.

一般的な補完性の事例 • ティーカップ、沸騰したお湯、ティーバッグは 全て一杯のお茶を作るのに必要だが、補完 性は一般的。 – 特殊ではない。 • 消費者はそれらを市場で別々に購入し、独自 に組み合わせることが出来る。 178

179.

別なカテゴリーの補完性 スーパーモジュールまたは「Edgeworth」補完性 • 要点:「Aの数が多いほどBの価値が高まる」 – AとBは2つの異なる製品、資産、または活動 • 発生時点 – AとBの両方への協調投資が非協調的な等価物より 高い収益を生み出す場合 – AとBへの独立した投資の費用の合計よりも低いコス トを生み出す場合 • 事例 – アプリの存在によってOSの価値が高まり、OSのイン ストール領域が広がるにつれて、アプリの価値も高ま るスーパーモジュール補完性が存在(双方向性もあ り) 179

180.

エコシステムの特徴の見直し エコシステムの特徴とは・・ • エコシステムの強みとその際立った特徴は、 • 垂直統合の必要なしに、 • 生産や消費における(全てのタイプの)補完 性が包含され調整可能である構造を提供で きること 標準や基本要件を使用する能力により、補完 者は独自の判断を下すことが可能 ⇒エコシステムは階層的ガバナンンス無しに ある程度の調整を可能にする。 180

181.

エコシステムの特徴とは・・(続) • 強力な企業は、ルールを作成し、エコシステ ム開発のプロセスを補完的に結び付け、補完 的組織を遵守させるようにすることがある。 • グーグルをハブとして持ち補完者のための明 確な規則があるグーグル/アンドロイド・エコシ ステム内ですら、SamsungやMotorolaは、サ ブエコシステムの構築を始めている。 • 彼等は主要なアプリ開発者に、APIを介して自 分のデバイスに固有の方法で接続する手段 を提供し、これにより、代替可能な投資で 「ロックイン」することも可能にしている。 181

182.

エコシステムの特徴とは・・(続) • 企業は、どのような要因がユーザーにとって価 値があるのかを特定する(B2C)。 – しかし、それに対してユーザーに課金するわけでは ない。 • 多くの場合、顧客情報やアクセス権を取得する ため、または付加価値サービス(B2B2C)に加入し ていることを示すため、ベンチャーに資金を提供 することを希望する他の顧客(B2B)に請求する。 • そのためには、ルールと役割、収益化、プレイ ヤーのつながり方がビジネスモデル設計の重要 な部分になるエコシステム形成が必要になる。 182

183.

知らないうちにエコシステム形成も • 有名なのは、・・ • ハッカーがAppleのiOS用の初期のアプリを開 発した頃、 • Steve Jobsは、知らないうちに形成されていた エコシステムを規制されたものに変えること ができ、それから利益を得ることができると気 付いた。 • しかし、その時まで、ハッカー達はその場で利 益を獲得し続けていた。 183

184.

エコシステムの再定義 狭義のエコシステムの新定義 • エコシステム参加者間の補完性の性質と彼ら の投資の代替可能性に焦点を当てる。 • 補完性タイプから生じるメカニズムに焦点を 当てる。 • 新定義: 【エコシステムとは、完全に垂直的には制御され ていない、さまざまな程度の多様で一般的で無 い補完性を持つアクターの集合である】 An ecosystem is a set of actors with varying degrees of multilateral, nongeneric complementarities that are not fully hierarchically controlled. 184

185.

狭義のエコシステムの新定義(続) • 熱湯はティーバッグとティーカップを補完する かもしれないが、それらは消費における一般 的な補完品であり、新定義による「エコシステ ム」の範囲には入らない。 • 一般的な補完性は、エコシステムで何が独自 かを有効に捉えられるとは思っていない。 • 独自性は、補完性の一般的で無い性質にあ り、これにはある程度のカスタマイズも伴う。 • まさにこの属性が、エコシステムの特殊性を 支える。 185

186.

新定義に基づくエコシステム分類 エコシステムの領域 生産における補完性のタイプ スーパーモジュール より多くの製品Aが生産されるほど、より 安い(またはより品質の良い)製品B、 製品Cが生産される、or より多くのエー ジェントAがBの生産に関与するほど、よ り良い品質になる、or より多くの活動A が行われるほど、より効率的に活動Bと 活動Cが実行される。 独自(ユニーク) 品目AとB(およびC)は、生産 者間の調整やモジュラーシステム 内の規格の遵守なしには生産する ことができない。 一般(ジェネリック) 品目は調整して生産することがで きるが、互いに独立して生産する こともできる。 例:3Gおよび4G対応 の電気通信ネット ワークとその対応機 器(現在、3G、4Gは 安定した規格) 例:5G対応IoT製 品システム(5Gはま だ標準化されていな い)、 NASA主導 のイノベーションコンテ スト 例:コンピュータラップ トップとオープンスタ ンダードのBluetooth、 USB、またはWifi-互換 周辺機器 例:太陽光発電パ ネル製造業者、ラッキ ング製造業者と設置 業者 例:スタイルが一致す 例:車とタイヤ、かみ る家庭用アクセサリー。 そりと一般的な刃と 交響楽団の楽器。 ホ シェービングクリーム、 テニスラケットとテニス テルとジムとプール ボール 一般(ジェネリック) 独自(ユニーク) 共同消費は個別消費よ り大きな効用を生み出す が、これらの補完品は他 のものと同様に消費する こともできる。 例:Androidなどのオープンソー スソフトウェアは、「より多くの眼球 がより多くのバグを捕らえる」ため、 生産において超モジュラーな補完 性の影響を受ける + 「より多くの Android対応アプリを補完するこ とで、Androidを消費する価値が 高まる」ため、消費の超モジュラー な補完性も受ける。 例:Nike製品、それに接続 されたウェアラブル技術機器 とスポーツ用アプリ。 Apple iOSとその互換アプリ。ソニー 互換のビデオゲームソフトとソ ニーのビデオゲーム機 例:eBay、Airbnb、Uber などのマルチサイドプ ラットフォーム(MSP)、 バービー人形とバー ビー互換服 スーパーモジュール 消費にお ける補完 補完品の共同消 費による収益の 性の種類 共同消費は個別消費 よりも大きな効用を生 み出し、これらの補完品 増加 は一緒に消費されない 場合の価値は低い。 186

187.

エコシステムの特性と今後の展望 トランザクションコストエコノミクス (TCE)との相違 • エコシステムを独自にするのは、相互依存関係 がそれぞれの役割の中で標準化される傾向に あるからである。 • それがエコシステムを設計する際に新しいスキ ルセットの必要性を生み出す。・・Helfat& Raubitschek、2017 • 関係は、通常のモードからの基本的な移行であ る、例えばトランザクションコストエコノミクス (TCE)(Williamson, 1985)ではなく、関係者の役割 またはグループのレベルで記述することができ る。 187

188.

エコシステムのメリット • エコシステムのメンバーは、それぞれが独自 のリスクを抱えている個々の関係のセットにと どまらず、より大きな選択肢のセットから利益 を得ることができる。 • スーパーモジュール補完性の場合、入力また は補数の追加の可用性による別のアクター の値からもメリットを得ることができる。 188

189.

エコシステムの特性 • エコシステムでは、価格も品質も固定されて いない。 • 最終的ユーザーの選択に応じて変化し、(設 計により)選択されることが多く、多くの場合、 目的は他の企業と合体してグループの最終 顧客と顧客をより多く確保することである。 • 補完性があるため、エコシステムへの接続に は、完全に代替可能ではない投資、即ち、投 資または適切な資産をコストなしでは他に簡 単に再展開できない投資が含まれる。 189

190.

今後の展望 • 新しいエコシステム(およびプラットフォーム) の特徴を分類する指針を得た。 • エコシステムやプラットフォームという言葉で 語られるビジネス環境は今後も一層複雑化し てくる。 • これから予想される新しいビジネス形態分析 に、エコシステム分類の新定義は有用な分析 の枠組みを提供する。 190

191.

4.2 デジタルプラットフォームとデジタルインフラストラクチャ Panos Constantinides Geoffrey Parker Ola Henfridsson University of Warwick University of Warwick Dartmouth College Digital infrastructure Platform Theory • はじめに • デジタルインフラストラクチャとは • アーキテクチャとガバナンス – アークテクチャ – ガバナンス • デジタルプラットフォームとデジタルインフラストラクチャ 191

192.

はじめに • 近年の情報システム、戦略的経営、経済学 の研究は、デジタル時代のプラットフォームと インフラストラクチャの理解を別々に報告して きた。 • しかし、社会とビジネス両方の分野に重要で 差し迫った政策課題や情報戦略に取り組む には、両方を同時に議論することが重要に なって来ている。 • そうすることで、多方面の知識を融合させ新 たな洞察を得ることができる。 192

193.

デジタルインフラストラクチャとは デジタルインフラストラクチャとは • デジタルプラットフォームは、デジタルインフ ラストラクチャ上に作成されている。 • 従って、デジタルインフラストラクチャとは、複 数の利害関係者がそれらのサービスやコン テンツのニーズを調整することを可能にする コンピューティングとネットワークリソースのこ とである。 193

194.

具体的なデジタルインフラストラクチャの例 • • • • • • インターネット データセンター IEEE 802.11 USB、など スマートフォン タブレットなど オープンスタンダードのもの 民生用デバイスのもの 特に、スマートフォンは、クリティカルマスに規模拡大 して、インフラストラクチャとして機能する強力な計算 とネットワーキングデバイスになった。 194

195.

スマートフォン、インターネット、Uberを 可能にするGPS技術などの役割とは・・ • アクセスが簡単なインフラストラクチャを提供 • GPS機能のような、必要なコンピューティングと ネットワークリソースを提供 • 一方、プラットフォームは需要と供給のつながり を容易化 • その結果、デジタルインフラストラクチャは、デジ タルデータを収集、格納、多くのシステム&デバ イスで利用可能にする能力を提供 – このようなタイプのインフラストラクチャは他に比べら れるものが無い。 195

196.

アーキテクチャとガバナンス アーキテクチャとガバナンス • デジタル技術アーキテクチャは、プラット フォームビジネスでのデジタルインフラストラ クチャ使用にとって非常に重要である。 • デジタル技術は異なるビジネスと組織化の論 理を招来させている・Yoo et al.2010 • 階層アーキテクチャは、産業境界をまたぐプ ラットフォーム構築の強力な基盤になる。 • 統一されたデジタルインフラストラクチャは、 業界内だけでなく、業界全体に渡る幅広いプ ラットフォームのスコープを提供する。 196

197.

アーキテクチャとガバナンス(続) • デジタル技術アーキテクチャは、新しい形態 のプラットフォームガバナンスも決定する。 • プラットフォーム利害関係者の決定権とともに、 APIやメタデータなどの境界リソースは、デジ タルプラットフォームの進化に大きな影響を与 える。 • プラットフォーム化はインフラストラクチャガバ ナンスの分散化とその使用のアンバンドリン グ化も促進させる。 • その結果、新しい技術やサービスの分散され た集合的イノベーションを促進させる。 197

198.

アーキテクチャとガバナンス:アークテクチャ アーキテクチャ • プラットフォームエコシステムの概念はモ ジュール性の概念に強く基づいている。 – プラットフォームコア(密結合コンポーネントから 成る)と疎結合の周辺コンポーネントとの違いを 区別している。 • 但し、デジタル時代には、プラットフォームエ コシステムを純粋にモジュラーシステムと見 なすと、デジタル技術の独自の特性を見逃し てしまう危険性がある。 198

199.

デジタルエージの特性 • デジタル補完品は製品にとらわれない。 – それらの機能は事前に決定されない。 – デジタル化はアーキテクチャの構成要素を製品にと らわれないものにする。 – 潜在的に、アーキテクチャにサービスやコンポーネン トを追加する機会は無限にある。 • デジタルコンポーネントが物理的製品に一旦組 み込まれると、モジュールアーキテクチャは階層 化され、製品の境界と組織構造が拡張される。 – デジタル化は、場所への依存を取り除くためのインフ ラストラクチャ機能を提供する。 – 結果、地理的&組織的境界を越えて知識を分配する。 199

200.

場所に依存しない特性の結果 • 数十年で物理的経済を凌駕する巨大デジタル経 済を創出させた。 • 嘗て人間とエージェント間で発生していたビジネ スプロセスが、自己組織化されたインテリジェン トなマシンエージェント間でも実行されるように なった(IoT他)。 • AIや産業用のIoTの使用により、ビジネスプロセ スはますますデジタル化が拡大している。 • 地理的制約から解放されることで、製品やサー ビスのデジタル化は、まったく新しいビジネスモ デルを可能にし、潜在市場を拡大させている。 200

201.

データ分析とより適切な決断 • その結果、消費者の行動、注文、販売、ビジネス 上の意思決定、物理的オブジェクトとデジタルオ ブジェクトなどの豊富なデータが生成されるよう になった。 • このようなデータは組織をより賢明な意思決定 に結び付ける。 • プラットフォームは、まさにこのようなデジタル化 とオープン性の向上に基づいて普及している。 • デジタルインフラストラクチャの階層化されたモ ジュールアーキテクチャのプラットフォームは、ま すます多用な複数の外部関係者を新しい価値 創造に参加させる。 201

202.

アーキテクチャとガバナンス:ガバナンス ガバナンス • 3つの側面がある。 – プラットフォーム所有者とサードパーティ開発者 間の決定権の分配 – どんなタイプの制御メカニズムがプラットフォーム 所有者によって使用されるか(例、パフォーマン スメトリクス、開発者が従うことが期待されるプロ セスなど) – インセンティブ構造(戦略的行動やプラットフォー ムの金銭的利益に影響を与えるような構造) 202

203.

プラットフォームガバナンス開発上の課題 • 「所望レベルのジェネラティビティを過度に制 約することなく参加者の行動を適切に制限し たガバナンスメカニズムを確立させるか」 • 「安定していて尚且つ進化が可能な2つの目 標を如何に達成させられるか」 – 従来の線形バリューチェーンや階層的組織に見 られる集中型指揮統制ガバナンスとは真逆 203

204.

インセンティブ構造の側面 • デジタルプラットフォームは「エコシステムに おける純粋な価値創造から離れ、プラット フォームの利益を高める行動にゆがめる」規 則や規制を加える傾向がある。 • プラットフォーム所有者の優先事項は、プラッ トフォームの価値創造に貢献しながら、自分 の利益も保護し、競争上の地位を確保するこ とである。 – 手段としては、取引手数料、アクセス手数料、 キュレーション強化のための手数料、他方に請求 しながら一方に補助金を支払う戦略、など 204

205.

多様な戦略と制御が登場 • サードパーティのイノベーションをプラット フォームに組み入れて、消費者は追加費用 なしでこれらの機能を利用可能にするとか、 • 品質保証を目的に開発者のアクセスを制限 するとか、 • 利害関係者とのやり取りに制限を加えるとか、 多用な戦略や制御が登場・・ • 即ち、デジタルプラットホームは、制御理論で 仮定されているような古典的な主体と主体の 関係性のレンズでは見ることができない。 205

206.

これからの取組みへの示唆 1. スマートフォンに見られるような強力なデジタル インフラストラクチャの登場 2. GPS機能のようなデジタルインフラストラクチャ を支援する多様な機能の登場 3. デジタルデータの膨大な生成とそれらを共有し 分析する機能の登場(IoTやAIなど) 4. プラットフォーマーと各種の補完者間のインセン ティブ構造の複雑化 5. その結果登場するガバナンス戦略や制御手段 の複雑化 ⇒プラットフォームとインフラストラクチャの同時考察 が必要 206

207.

デジタルプラットフォームとデジタルインフラストラクチャ プラットフォーム化とインフラストラクチャ化 • デジタル化で、①インフラストラクチャのプラット フォーム化と、②プラットフォームのインフラスト ラクチャ化が同時に発生している。 • 事例: – Amazonはオンライン小売業者としてスタートしたが、 様々なアクターがプラットフォーム上で相互作用し、 MSPモデルに徐々に移行(①) – 一方、最近のWhole Foods買収やFedEx、UPSにも匹 敵する物流ネットワークの装備でサプライチェーン管 理と流通にも移行(②) – 実態は、同社のデジタルプラットフォーム戦略は新た な戦略で拡大中と想定される。 207

208.

それぞれの戦略は異なる • プラットフォーム化とは – eBay、Airbnbなどの例のように、販売されている 製品やサービスを管理または所有することなく、 マルチサイドプラットフォームを操作して購入者と 販売者を結び付ける戦略 • インフラストラクチャ化とは – スーパーマーケットのサプライチェーンのように運 営し、製品やサービスを取得してから再販するた めの戦略 208

209.

2つの戦略は連続的に把握可能 • 企業はより多くのコントロールを獲得しようと 努める一方で、同時により多くのイノベーショ ンを推進しているので、2つの戦略は連続して 見ることが可能 • 規模(スケール)と集約(アグリゲーション)の 効果は、この連続体において非常に重要 • プラットフォーム所有者がいつインフラストラ クチャに取り組むべきか決定するのに関係 209

210.

規模と集約効果 • 規模と集約効果は、製品とサービス間に革新的 な補完性を構築するためにも重要 • Appleの事例: iTunesとiPodの組み合わせの場合: ー プラットフォーム化とインフラストラクチャ化両方へ取 り組んだ。 App Storeの場合: – 何千もの開発者、彼らの価格戦略、顧客ライセンス、 カスタマーサポート他のコントロールはAppleのコスト 増を意味するので、①インフラストラクチャ化には従 事せず、②マルチサイドプラットフォーム戦略を遵守 210

211.

組織の設計とインフラストラクチャ設計 のバランス化 • 密接に結合されたコンポーネントによる集中 型ガバナンスは、より多くのコントロールにつ ながるかもしれないが、イノベーションの努力 を妨げる危険性がある。 • 分散化されたガバナンスと疎結合コンポーネ ントは、より多くのイノベーションをもたらすが 統制力が低下し、混沌とした環境につながる 可能性がある。 211

212.

今後の課題 • 現在、企業がプラットフォーム化とインフラスト ラクチャ化の両方に従事している時、 • そして、需要主導型イノベーション(プラット フォーム)と供給主導型イノベーション(インフ ラストラクチャ)の両方を管理する必要がある 時、 • 何が起きるかを調べている研究はない。 • 新たな挑戦と実践的な調査研究が必要であ る。 212

213.

4.3 デジタルエージのプラットフォーム理論の課題 Mark de Reuver Delft University of Technology Carsten Sørensen London School of Economics Rahul C. Basole Univ. of Georgia Tech Platform ecosystem, Digital Platform, Digital Innovation • はじめに • デジタルプラットフォームの世界 • デジタルプラットフォームの概念化 – 非デジタルプラットフォーム – デジタルプラットフォームは何が違うか • デジタルプラットフォームの課題 213

214.

はじめに • デジタルプラットフォームはほとんど全ての 産業を変革している。 • そこで、このテーマは徐々に情報システム研 究の主流になっている。 • 但し、デジタルプラットフォームは、分散の性 質を持ち、機関、市場、技術と絡み合ってい るので、困難な研究対象である。 • 1) 指数関数的なプラットフォームイノベーショ ンの増加、2) プラットフォームアーキテクチャ の複雑性の拡大、3) さまざまな産業へのデジ タルプラットフォームの普及などで生じている 新たな課題を探索する。 214

215.

デジタルプラットフォームの世界 デジタルプラットフォームの世界 • 競争はもはやバリューチェーンをどのようにコン トロールするかの段階から、 • プラットフォームに関連したジェネラティビティを どのようにして引き起こすかの段階に移行して いる。 – 例:資金調達(例:Kickstarter)、モビリティ(例:Uber)、 ヘルスケア(例:PatientLikeMe) • デジタル技術による破壊的クロスオーバーは、 全てデジタルプラットフォームの論理によって支 えられている。 215

216.

デジタルプラットフォームの世界(続) • しかし、今までのプラットフォームについての議 論の多くは、デジタルではない世界観から行わ れていた。 – 基本理論は 両面市場(Rochet and Tirole、2003、 2006)、Gawer and Cusumano,2002)など • デジタルプラットフォームはいくつかの点で著しく 異なる。・・Yoo et al.,2010 • 新たな状況を議論するには、概念や記述法は既 存プラットフォーム論から借りることができても、 限界が露呈しだしている。 • 例えば、デジタルプラットフォームの分散的性質 はすでに挑戦的だが、これに対応する枠組みが 無い。 216

217.

デジタルプラットフォームの世界(続) • 更に、プラットフォームが大規模なデジタルイ ンフラストラクチャにマッシュアップされるにつ れて、デジタルプラットフォームはますます複 雑な様相を呈している。 • デジタルプラットフォームのジェネラティビティ は、指数関数的に成長するアプリ開発者のエ コシステムを生み出し、それによって従来の どの情報システムよりも数桁大きいシステム 規模に到達している。 217

218.

デジタルプラットフォームの世界(続) • デジタルプラットフォームは、様々なレベルの 技術アーキテクチャで競合しているため、適 切な分析単位も困難になってきている。 • Google, Facebook, Amazon, eBayなどのプラッ トフォームプロバイダーは、インターネットを事 実上閉じたドメインに分割しており、関連する 対話を視野から外している。 218

219.

デジタルプラットフォームの概念化:非デジタルプラットフォーム 非デジタルプラットフォーム • プラットフォームを安定したコアと可変的な周辺 と見なしている。・・Baldwin and Woodard、2009 – モジュール化を通じた分散開発と組み換えイノベー ションの機会を規定 • 両側市場モデルは、あるグループの価値が他の グループの参加者が増加するにつれて増加す るという関係で2つの異なるグループをまとめる。 – 複数のユーザーグループをまとめると、発生するネッ トワーク効果またはネットワーク外部性によって規定 219

220.

非デジタルプラットフォーム(続) • 経済学的研究は、主にプラットフォームとクロス する補助金を与えられたもの間の競争の金融力 学、価格設定力学や優勢なプラットフォームに成 るための激しい競争に関係している。 • 経済学視点は、経済的力がマルチサイド市場を 他市場の取り決めとどのように異なるものにして いるかということである。 • 価格戦略と金融的ダイナミクスへの関心は価格 設定や資金調達の問題を理解することに大きく 貢献している一方で、 • プラットフォームのジェネラティビティや他のイノ ベーションのダイナミックスを理解するのに必要 なオープン化を促進しない。 220

221.

デジタルプラットフォームの概念化:デジタルプラットフォームは何が違うか デジタルプラットフォームは何が違うのか • デジタル化の特性は、分散設定における多 重継承につながる可能性がある。 • 即ち、プラットフォームコアを所有し、その設 計階層を決定付ける単一の所有者は存在し ない。・・Henfridsson et al.2014 • 更に、物理的商品のモジュール性とソフトウェ アの階層化されたアーキテクチャーを組み合 わせると、標準化されたインターフェースを通 じて疎結合になり、新しい意味の製品が登場 する。・・Yoo et al.2010 221

222.

デジタルプラットフォームは何が違うのか(続) • アプリ開発者は、OS、様々なハードウェア要 素、SDK、様々なオープンAPIによって既存 リソースを、スマートフォンや関連するソフト ウェア構想時には考えられなかったような新 しいアプリ群に統合することができる。 • また、デジタルプラットフォームは、ソフトウェ アとハードウェアの技術的要素とそれに関連 する組織的プロセス、標準を含む社会技術的 集合体としても特徴付けることができる。・・ Tilson et al.2012 222

223.

デジタルプラットフォームは何が違うのか(続) • デジタルプラットフォームをどのように管理する かも重要な問題である。 • 一例として、デジタル融合を通じたデジタル化さ れた要素の再結合やそれに関連したジェネラ ティビティは、変化と制御という逆説的関係を提 起する。・・Tilson et al.2010 • 変化のパラドックスは、安定したままであり、同 時に無制限の成長をサポートするために十分に 柔軟であることを求める。 – 例:アプリとOSの継続的自動更新という迅速なセル フサービスを容易にする機能によって、安定している が絶えず進化するプラットフォームが提供されている。 223

224.

デジタルプラットフォームは何が違うのか(続) • デジタルプラットフォームのダイナミックスをより よく理解するには、分析のコアはプラットフォーム のコアではなく、境界リソースであるべきであ る。・・Henfridsson et al. 2013 • これは、プラットフォーム所有者に焦点を当てる 伝統的な見方から逸脱している。 • 境界リソースは、プラットフォームプロバイダーと アプリ開発者間の関係を容易にするソフトウェア ツールと規制で構成されているが、 • 加えて、オープン性は、APIやSDKなどテクノロジ のオープン性にも関係し、デジタル性はここでも 根本的な違いを生じさせる。 224

225.

デジタルプラットフォームの課題 スコープの限定 • 単に異なるユーザグループ間を仲介するが、拡 張可能なコードベースを提供しないプラット フォームはデジタルプラットフォームと見なすべ きではない。 • デジタルプラットフォームは動的性質のために、 分析単位は時間とともに変わることを前提とする。 – プラットフォームコンポーネントが時間の経過とともに アーキテクチャの層を跨いで移動することもある。 • アプリが主要プラットフォームになる可能性も排 除しない。 225

226.

スコープの限定(続) • デバイスとデータソースを統合し、それらをアプリ 開発者が利用できるようにするプラットフォーム も考慮する必要がある。 • 結果的に、デジタルプラットフォームは、金融業 界、医療業界など特定アプリケーション分野でも 出現する。 • マルチレベル特性、動的な性質を考慮し、それら が埋め込まれている領域や階層の理解に基づ いてデジタルプラットフォームの理論が必要だが、 かなりの難物になる。 226

227.

方向性 • デジタルプラットフォームとエコシステムのダイナ ミックスは、十分に長い期間内で初めて観察でき る。 ⇒長期対応が必要 • プラットフォームのジェネラティビティ原理は、プ ラットフォーム設計選択の影響がその開始時に は確実に予測できないことを意味している。 ⇒この前提が必要 • プラットフォーマーの情報機密性により、ガバナ ンスや設計の決定に関する信頼性の高いデータ の確認ほとんど不可能。 ⇒この前提が必要 – 一般公開されているブログの二次分析やオープン ソースPKG分析などに頼るのも仕方がない。 227

228.

デジタルプラットフォームの課題 • デジタルプラットフォームを理解したいとしても、 その様相は大変複雑化している。 • デジタルプラットフォームとデジタルインフラスト ラクチャの一部が重複しだしており、両方を同時 考察する必要が生じている。 • にも拘らず、既存の成功したプラットフォーマー からのデータ入手は限定されており、分析データ も限定されている。 • また、現実のビジネス環境に対応できる理論が 存在しないため、非デジタル化の理論を借用す ることも行われている。 • しかし、これに基づく結果は必ずしも正しくない。 • このような状況解決の展望が必要である。 228