ブロックチェーンが切り拓く新たな市場

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November 27, 18

スライド概要

ブロックチェーンの現状はインターネット黎明期と類似との認識がある。しかし、ブロックチェーンがインターネットと類似のビジネス構造を持つとは限らない。 寧ろ、インターネットとブロックチェーンでは基本的にビジネス構造が違うとの指摘が出ている。一案がCrypt Fund USVのアナリストJoel Monegro氏から出ている。Fat Protocolと言う。簡単に言えば、インターネット時代はプロトコール(TCP/IPなど)はアプリケーション構築の基盤ではあったが、「アプリケーション層への投資が高いリターンをもたらした」。ところが、ブロックチェーンでは「プロトコール層への投資が高いリターンをもたらす」という。これが事実なら、先進技術への対応だけでなく、ビジネス対応も根本的に変えなければならない。既にブロックチェーンのビジネス世界構築に向けては、インターネット時代の時以上に投資家や法律家の参加が活発なように見受けられる。そこで、IoT分野を例題に、技術的検討状況とビジネスの有るうる展開を探索してみる。

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定年まで35年間あるIT企業に勤めていました。その後、大学教員を5年。定年になって、非常勤講師を少々と、ある標準化機関の顧問。そこも定年になって数年前にB-frontier研究所を立ち上げました。この名前で、IT関係の英語論文(経営学的視点のもの)をダウンロードし、その紹介と自分で考えた内容を取り交ぜて情報公開しています。幾つかの学会で学会発表なども。昔、ITバブル崩壊の直前、ダイヤモンド社からIT革命本「デジタル融合市場」を出版したこともあります。こんな経験が今に続く情報発信の原点です。

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各ページのテキスト
1.

ブロックチェーンが切り拓く新たな市場 ー トークンエコノミーとIoT市場を中心に ー B-frontier研究所 高橋 浩

2.

問題意識 • ブロックチェーンの現状はインターネット黎明期と 類似の時期との認識がある。 • しかし、ブロックチェーンがインターネットと類似のビ ジネス構造を持つとは限らない。 • 寧ろ、インターネットとブロックチェーンでは基本的 にビジネス構造が違うとの指摘が出ている。 • 一案がCrypt Fundアナリストから出ている。 • ブロックチェーンのビジネス構造はインターネット時 代以上に投資家や法律家の影響が大きいかもし れない。 • そこで、IoT分野を例題に、技術的検討とビジネス の有るうる展開を探索してみる。 2

3.

目次 • ブロックチェーンビジネス構造の特徴 • ブロックチェーン適応例と普及の波 • ブロックチェーンのIoTへの適応に向 けた技術的検討状況 –イーサリウムを利用したIoT適応事例 • ブロックチェーンが切り拓く新たなIoT 市場の動向 3

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ブロックチェーンビジネス構造の特徴 2016年8月 背景にある競争条件の変化 Fat Protocol*1:「富むプロトコール」「貧するアプリケーション」 Joel Monegro Union Square Ventures analyst *1: Fat Protocol はUSV(union square venture)アナリストJoel Monegroによって提唱された概念 • Webではアプリケーション層への投資が高いリターンをもたらした。 • ブロックチェーンではプロトコール層への投資が高いリターンをもたらす。 4

5.

プロトコルが “太り”、アプリケーションが “痩せる” Bitcoin、Ethereumではっきり見て取れる傾向 • Bitcoinは$ 10Bの時価総額を保有 – 一方、この上に構築された最大の企業は数億ドル程 度 • Ethereumも公開されてわずか1年後、アプリケー ションが出現する前に$ 1Bの時価総額に 原因は2つ: 1. 共有データ層  オープンで分散化されたネットワーク全体にユー ザーデータを複製して保存することで、新規参入者 への参入障壁を下げ、 より活気に満ちた製品と サービスのエコシステムに結び付けられる。 2. 投機的な価値を持つ暗号化「アクセス」トークン  上記導入促進のインセンティブとしてネットワークに よって提供されサービスに関わるトークンがその役 5 割を担う。

6.

• 立上り時: トークン化されたプロトコルが “太り”、 アプリケーションが “痩せる”仕組み – プロトコルの関心が高まるにつれ、トークンの時価総額が増す。 – ほとんどのトークンは不十分にプログラムされているので、興味 がトークンの供給よりもずっと速くなる。 ⇒バブルスタイル発生 • 終了に向かって: – アプリケーションの登場が始まり、利用が増加する。 – 早期成功の兆しが見え始めると、2つの現象が起こる。 ①トークンの需要が増え、将来の価格上昇を見越して供給をさらに制 限するトークンの保持が進む。 ②需要増加と供給制限の組み合わせが価格を押し上げトークンの時 価総額を新たに増加させる。 • トークンの時価総額は常にプロトコール上に構築されたアプ リケーションの合計価値よりも大きくなる。 • プロトコル層での価値の高まりは、アプリケーション層での 競争を引きつけ、刺激する。 結論:エントリー障壁を劇的に下げた共有データ層と相まって、 活気に満ち競争力のあるアプリケーション・エコシステムが形成 される。 6

7.

2017年7月 何故1人のアナリストが、スタートアップの世界 を賭けてビットコインとイーサリアムに取組むのか • 暗号通貨の投資家がブロックチェーンの影響力について語 るとき、しばしばUSV(Union Square Ventures)のアナリスト Joel Monegroが書いた “Fat Protocols”というタイトルの 2016年8月のブログ記事を持ち出す。 • そのアナリストは、今や暗号資産だけに投資する従来型の ベンチャー業界を抜け出した。 • 最近彼はUSVを辞め、新たなファンドを作り、ブロックチェー Chris Burniske Ark Invest ンの専門家Chris Burniskeと協力し出した。 Blockcnain analyst • 投資家は暗号通貨bitcoin、ethereum、他の価格変動に賭 けるだけでなく、ブロックチェイン上に構築された新たなプロ ジェクトにも賭け出した。 • 新ファンドで過去1ヶ月に4暗号プロジェクト合計で6億6000 7 万ドルの資産上昇があった。

8.

新たなパラダイムに関 係するイメージ図の例 Web3.0とは何か?  Augurは、中央管理者のいない予測市場(賭け事など)のためのプラット フォームとして、イーサリアム上に構築  スマートコントラクトと分散型オラクルを活用することで実現  独自通貨がREP。時価総額約980億円  市場の特徴は、①政府などの圧力を受けない、②胴元(予測市場)運営 者の賭金の横領がない、③誰でも自由にイベント(賭け事)を作成できる。 8

9.

新たなパラダイムに関 係するイメージ図の例 9

10.

トークンエコノミーとは何か? • トークン(法定通貨の代わりとなる貨幣)によって 決済が行われる新しい経済のこと – 「独自のトークンが発行され、新しい価値が生み出さ れる」 – 「トークンの価値は一定ではなく、需給によって決定 される」 • 資金調達のハードルが低くなる。 • 利便性が高い(国をまたいで使用可能など) • 従って、要は、今後、ちゃんとアセットに紐付いた トークンとか、価値に紐付いたトークンがどれだけ 増えてくるかということ 10

11.

参考資料 金融庁研究会資料より 11

12.

参考資料 12

13.

参考資料 13

14.

ブロックチェーン適応例と普及の波 メルカリがブロックチェーンに注力 • 「次のメルカリ」のモデルは 「mercari X」 • ブロックチェーン上で生成した デジタルトークン「メルコイン (mercoin)」を媒介にCtoC取引 機能を提供 • 特に分散エスクローに注力 買い手と売り手の間に第三者が介在し、代金と商品の交換を保証する仕組みのこと メルカリ自身が第三者となってエスクローを実施 (∻アプリケーション層に集中型処理を付加 = 「下位分散+上位集中」型構造) 14

15.

Gunosyもブロックチェーンに力点 • ブロックチェーンが持つ「インセンティブ設計」 の機能活用に関心有り • インセンティブ設計によって「嘘をつくことのコ ストを上げる」仕組みを作ることが可能 • 例:フェイクニュース(嘘のニュース)に対して トラストレス(信頼のおける第三者や仲介者を 必要としない状態)に対応できる仕組みを作 れるのではないか~新たなSNSの可能性 • LayerX:ブロックチェーンに特化した 子会社設立(CEO:福島良典(Gunosy創業者)) 福島良典 15

16.

TOYOTA(トヨタ)はじめ大手自動車メーカー もブロックチェーン技術開発で激しく競争 • 世界の大手自動車メーカーは今、ブロック チェーン技術の開発でしのぎを削っている。 – MOBI:BMW、Ford、GM、Renaultは2018年5月、 より良い自動車社会の実現のために、MOBI (Mobility Open Blockchain Initiative)を設立 • IOTAがMOBIにジョインした。 – トヨタは2017年5月、AI技術開発のため米国に設 立したTRI(Toyota Research Institute)が新しいモ ビリティ・エコシステム開発のためにブロック チェーン技術を開発していると発表した。 16

17.

ブロックチェーン普及の波(ある推定) • 第1の波:お金の技術~(仮想通貨ブーム) • 第2の波:セキュリティやデータの共有に焦点を 当てた管理システム • 第3の波:様々なものをデータ化することでイン ターネット上取引の活性化 (改ざんもコピーもできない電子的データの価値が創造。 スマートコントラクトを活用した、価値交換・価値取引の 拡大も) • 第4の波:エンドユーザーのボリュームが一気に 拡大していくことで多くのコンテンツが発生 ( SNSが普及し始めた頃のような時期に移行) • 第5の波:インフラや公共施設も集中管理型から 完全分散型へ 17

18.

ブロックチェーンのIoTへの適応に向けた技術的検討状況 文献検索DB 「IoT AND Blockchain」でSCOPUSで検索さ れた論文の引用件数による分析(概要) 論文数 特徴 2016年 2017年 2018年 9件 91件 209件 IoTへのスマートコント ラクト適応に関する総 括的説明 代表論文 Blockchains and Smart Contracts for the Internet of Things (by Christidis) スマート コントラクト IoTに適応させるための 各種の個別適応の取組 軽量ブロックチェーンの みとセキュリティ問題対応 構築手法 の深耕 Towards an optimized blockchain for IoT (by Dorri) +同一著者の他論文 軽量ブロック チェーン IoT security: Review, blockchain solutions, and open challenges (by Khan) 各種領域の検討 +セキュリティ 18

19.

28:SCOPUSでの被引用件数、(54):Google Scholarでの被引用件数 2016 (9件) 全体像 (or 将来動向) ビジネスモデル /アーキテクチャー 2017 (91件) 28 Dorri(New South Wales大、豪) (54) Towards an optimized blockchain for IoT Y Zhang(清華大) (全317件) Atlam(Southampton大, UK) (2) 0 2018 (209件) Blockchain with Internet of Things: Benefits, Challenges, and Future Directions 7 Fernandez-Carames(Coruna大,スペイン) (9) (25)27 A Review on the Use of Blockchain for the Internet of Things The IoT electric business model: Using blockchain technology for the internet of things 14 (28) Sharma(ソウル国立大) A Software Defined Fog Node Based Distributed Blockchain Cloud Architecture for IoT Samaniego(Saskatchewan大、カナダ) (5) スマートコントラクト 205 Novo(Ericsson R.) (14)4 Christidis (IBM,米)(451) Internet of Smart Things – IoST Using Blockchain Blockchain Meets IoT: an Architecture and CLIPS to make Things Autonomous Blockchains and Smart 51 for Scalable Access Management in IoT Contracts for the Internet of Things セキュリティ (タイトルにSecurityが 登場) Dorri(New South Wales大、豪) (112) Sun(Fujitsu,中国) (0) Blockchain for IoT security and privacy: Using Ethereum Blockchain in Internet of Things: The case study of a smart home A Solution for Electric Vehicle Battery Refueling X. Li(香港理工大学) (39) A Khan(Zakaria大,パキスタン) (39) 17 A Survey on the Security of Blockchain Systems IoT security: Review, blockchain solutions, and open challenges ブロックチェーンのみ (タイトルにIoTが表れない) 中国(5)、米 (2)、豪(2)、英、 スペイン、韓国、スエーデ ン、オーストリア、パキスタン、 カナダ(1) Z Zheng(中山大) (86) 29 An Overview of Blockchain Technology: Architecture, Consensus, and Future Trends S Huh(中山大) (68) 28 Managing IoT devices using blockchain platform 4 Banerjee(Texas大、米)(13) A blockchain future for internet of things security: a position paper Mendling(ウィーン経済大)(34) Blockchains for Business Process Management - Challenges and 19 Opportunities

20.

IoT向けに最適化されたブロックチェーン(1) No.1 2016年 KONSTANTINOS CHRISTIDIS MICHAEL DEVETSIKIOTIS 教授 1. ブロックチェーンがInternet of Things(IoT)分野に適して いるかどうか検証 2. 信頼できないメンバーが、信憑性のある方法で信頼でき る仲介者なしに相互にやり取りできる分散型ピアツーピ アネットワークを構築 3. ブロックチェーンとIoTの組み合わせは、①サービス市場 の創造につながるサービスとリソースの共有を容易化、 ②暗号的に検証可能な方法で自動化を記述可能 4. IoT設定でブロックチェーンネットワークを展開する前に 考慮すべきいくつかの問題点を指摘 5. ブロックチェーンとIoTの組み合わせは強力であり、新し いビジネスモデルと斬新で分散したアプリケーションの ための道を拓き、いくつかの業界で大きな変革を引き起 20 こす可能性がある。

21.

ブロックチェーンの評価 • ブロックチェーンは信頼関係の無いネットワー クでの取引を可能にする。 • 仲介者不在なので、取引当事者間の調整を 迅速にする。 • また、暗号多用の特徴は、ネットワーク内の 全てのやり取りに権威をもたらす。 • このようなブロックチェーン上に存在するス マートコントラクトは、高度に自動化された ワークフローを可能にする。 21

22.

事例1:長期間中断していた後に何百万 台ものデバイスのソフトウェアアップデート • 製造された全てのIoTデバイスは、同じブロック チェーンネットワーク上で動作が前提 • 製造者は最新のソフトウェアアップデートのハッ シュをネットワークに保存するスマートコントラク トを展開 • デバイスは、スマートコントラクトのアドレスをブ ロックチェーンクライアントに焼き付けて出荷 • または、ディスカバリーサービスを使用して調査 • 分散型ピアツーピアファイルシステムを介してそ のハッシュで要求。 • その結果全数アップデート。この間全て自動。 22

23.

事例2:Slock.it • 適当なトークンを運ぶデバイスによって ロックを解除できるスマート電子ロック • トークンはEtherと呼ばれる暗号通貨を 使用 • Etherはスマートコントラクトに最適化さ れたEthereum上で購入可能 • 家や車を借りたいSlock所有者は、電子 ドアロックへ時間限定アクセスの値を設 定 • 利害関係者は、Slockを識別し、Etherで 要求された金額を支払い、適切に署名 されたメッセージを介してロックを解除 23

24.

事例3:TransActive Grid 【エネルギー分野】 • IoTとブロックチェーンの統合によって、ユー ザーが定義した基準に従って、マシンが自動 的にエネルギーを購入し販売できるピアツー ピア市場 • TransActive Gridはニューヨーク州ブルッ クリン近くの再生可能エネルギーの実験ピア ツーピア市場 – ソーラーパネルは、超過出力をブロックチェーン に記録し、スマートコントラクトを介して近隣の パーティーに販売 24

25.

IoTデバイスをブロックチェーンネットワーク に参加させる際に発生が予想される課題 • 集中データベース方式と比較すると、①性能 低下、②スループット低下、③遅延拡大 – パフォーマンス低下は、信頼できない分権と弾力 性のために支払われるペナルティか • ブロックチェーンのプライバシーは複雑な問 題 – ブロックチェーン内の全ての取引がオープンなた め、このデータを分析すると、最終的にはアイデ ンティティ情報を推測可能なため – トランザクションのプライバシーも達成困難か • スマートコントラクトの法的強制力の限界も 25

26.

IoTのためのブロックチェーン&スマートコントラクト(まとめ) • ブロックチェーンとIoTの組み合わせは強力 • ブロックチェーンは弾力性があり、真に分散したピア ツーピアシステムを提供し、信頼できない相手と監査 可能な方法で対話する方法を提供 • スマートコントラクトにより、複雑な複数ステップのプロ セス自動化が可能 • IoTエコシステムのデバイスと組み合わせることで、時 間のかかるワークフローをユニークな方法で自動化 • プロセスの大幅なコスト削減や時間節約が可能 • IoT領域におけるブロックチェーンの継続的統合はいく つかの業界に大きな変革を誘発 • 新しいビジネスモデルをもたらし既存のシステムとプ ロセスがどのように実装されるのかを大きく再考させ るキッカケになる。 26

27.

IoT向けに最適化されたブロックチェーン(2) No.2 2017年 Proceedings of the 2nd ACM/IEEE International Conference on Internet-ofthings Design and Implementation, Pittsburgh, PA USA, April 2017 要旨 Ali Dorri 1. セキュリティとプライバシーでIoTにブロックチェーン採 用への関心は高まっている。しかし、ブロックチェーン はそのままではほとんどのIoTデバイスに適さない。 2. 本稿は、セキュリティとプライバシーの利点を維持し つつ、古典的ブロックチェーンのオーバーヘッドを実 質的に排除する軽量ブロックチェーンベースのIoT アーキテクチャを提案する。 3. 低資源IoTデバイスは、ブロックチェーンと同様に機能 し、エネルギー消費を最適化するために集中管理さ れる。 4. 一方、高資源IoTデバイスは、公開アクセス可能な分 散型ブロックチェーンを実装する。 5. そうすることでブロック検証処理時間を短縮する。 27

28.

軽量ブロックチェーンベースの IoTアーキテクチャ • ブロックチェーンのセキュリティとプライバシーを 維持しながらIoTの要件に適したものにするため に、階層構造と分散型の信頼を提供する。 • 全体を、スマートホーム、クラウドストレージ、オー バーレイの3つのコア層で構成する。 • IoTデバイスはスマートホーム層内に配置され、 SHM(スマートホームマネジャー)によって集中 管理される。 • スマートホームは、サービスプロバイダ、クラウ ドストレージ、およびユーザーのスマートフォン/ パーソナルコンピュータとともに、オーバーレイ ネットワークを構成する。 28

29.

図1.提案された軽量ブロックチェーンベースのアーキテクチャの概要 クラスター デバイス クラスター内には一個のCH スマートホーム CH:クラスターヘッド サービスプロバイダー オーバーレイ ネットワーク 共有オーバーレイ クラウドストレージ 29

30.

• ネットワークオーバーヘッドと遅延を減少させる ために、オーバーレイ内のノードはクラスタにグ ループ化され、各クラスタはクラスタヘッド(CH)を 保有する。 • CHは、2つの重要なリストと共にパブリックブロッ クチェーンを維持する。 – リクエスタキーリスト:このクラスタに接続されているス マートホームのデータにアクセスできるオーバレイユー ザの公開鍵のリスト – 要求者(リクエスティー)キーリスト:このクラスタに接 続されているアクセスが許可されているスマートホーム の公開鍵のリスト • クラウドストレージは、スマートホームデバイスが データを格納および共有するために使用される。 30

31.

• IoTデバイスおよびそのデータに対する安全 なアクセス制御を提供するために、ローカル &プライベートブロックチェーンが採用される。 • その上で、プライベートブロックチェーンは、 特定サービスの提供のために他層にリンク可 能なトランザクションの不変の時間順履歴(台 帳)を生成する。 – (1)間接的にアクセス可能なデバイス – (2)スマートホームおよびオーバーレイにおける 異なる取引構造 31

32.

図2.スマートホームの概要:IoTデバイス、ローカルストレージ、SHM、ローカルBCで構成 ポリシーヘッダー ブロックヘッダー クラスター 図1参照 SHM 32

33.

スマートホームの構造 • 着信トランザクションと発信トランザクションに 対してユーザーのポリシーを強制するポリ シーヘッダーを持つローカルのプライベートブ ロックチェーンが存在する。 • 各デバイスのトランザクションは、ブロック チェーンの不変の元帳として連鎖される。 • ローカルブロックチェーンの各ブロックには、 図2の上部に示すように、ブロックヘッダーと ポリシーヘッダーの2つのヘッダーが含まれる。 33

34.

図3.軽量ブロックチェーンベースのスマートホームの やや詳細な概要 34

35.

分散信頼とPOWの除去 • 各CHは直接的および間接的証拠に基づいて他 CHの信頼格付けを維持する。 • CHが新しいブロックを生成する時は信頼を評価 するために使用される多重シグナリングトランザ クションを作成する。 • 他のCHは、分散信頼の作用によって検証処理 オーバーヘッドを減少させるために最も信頼性 が高いCHによって付け加えられたブロックを受 け入れる。 – これにより、ブロックチェーンがフォーク(分岐)される ことは有り得る。 – ただし、フォークされたブロックはすべて有効であると みなされる。 35

36.

Bitcoin BCと軽量BC(Overlay BC)との主な違い 相違 相違 相違 取引の普及 相違 相違 36

37.

軽量BCベースIoTアーキテクチャ(まとめ) • より信頼性の高い高資源IoTデバイスで分散したパブ リックブロックチェーンを使用する階層アーキテクチャを 採用 • ローカルIoTネットワークレベルでは集中化されたプラ イベート不変元帳(IL)を使用 • 軽量ブロックチェーンはマイニングを必要としない。 • 生成されたトランザクションの処理に追加の遅延を招 かない。 • ブロックの処理オーバーヘッドを減少させるために、 分散信頼方法が採用される。 • 処理オーバーヘッドが低い • IoT分野へのBitcoin ブロックチェーン適応で懸念され たことがかなりの程度解決される。 • その一方、セキュリティ、プライバシは維持される。 37

38.

イーサリウムを利用したIoT適応事例 番外論文 (No.2引用 論文例) 2018年 1. IoTデバイスの限定されたリソース、集中アーキテクチャは、集 要旨 中型サーバーの過負荷、単一障害点、個人情報の悪意のある 使用の可能性など、重大な問題を残している。 2. ブロックチェーン技術はこれらの問題を克服するために分散自 律型IoTシステムを構築するのに適している。 3. 本稿では、IoTシナリオでEthereumブロックチェーンベースの リッチシンクライアントIoTソリューションを導入する。 4. リッチクライアントとシンクライアントは共にブロックチェーンアク セスとデータ収集機能を提供できるが、より多くのリソースを持 つリッチクライアントのみがマイニングプロセスを実行する。 5. この解決策に基づき、バッテリスワッピング方式を採用した電気 自動車用バッテリ補給システムを提案する。 6. ブロックチェーン-IoTソリューションは、IoTデバイスに起因する 問題を回避し、さまざまなIoTシナリオに適している。 38

39.

EV用バッテリー残存価値予測システム 開発の背景: • 電気自動車は世界中で都市環境や交通の問題 解決に期待が高まっている。 • しかし、高い電池コスト、信頼性や安全性が低い 電池はEV発展の障害になっている。 • 電池産業の健全な発展、調整には、電池単体の 生産情報から回収、二次利用など、全寿命の データを抽出して管理することが求められる。 • そのためバッテリーライフサイクル管理と共有プ ラットフォームのシステムを作る必要がある。 • 本システムは、バッテリーの残存価値評価と循 環取引を可能にしこの問題を解決する。 39

40.

現在のIoTシステムの問題 • 集中アーキテクチャによって引き起こされる IoTの課題例は以下である。 – コストと容量の制約 – 不完全なアーキテクチャ – クラウドサーバーのダウンタイムとサービスの利 用不可能性 – 操作に対する感受性 • 解決の方向性として階層型アーキテクチャが IoTシステム構築に適している。 ・・例:A. Dorri(2017)の方式(前節参照) 40

41.

Ethereumベースのリッチ・シン・クライアン ト・アーキテクチャのIoTソリューション • シンクライアント:制約のあるリソースを持つIoTデ バイス • リッチクライアント:パーソナルコンピュータ以上の リソースを持つデバイス • プライベートEthereumブロックチェーンネットワー クを使用 • スマートコントラクトをサポート • コンセンサス方式:PoW • 暗号化方式: Ethereumアカウント方式 41

42.

リッチ・シン・クライアント・アーキテクチャ • リッチクライアントとシンクライアントは、リッチクライアントに 配置されたBCインターフェイスを介してブロックチェーン(BC) APIを呼び出し、ビジネスロジックを定義し、IoTデータを収集 42

43.

Ethereumベースのバッテリ給油 システムの実装 • 使い切ったバッテリをバッテリ交換ステーション で交換するのは数分 • テスラ社、NIO社はEVバッテリ交換技術を導入 • スマートコントラクトによって公正に交換されるべ きバッテリーを評価し、そのメーカー、ブランドな どのバッテリーに関する情報を管理する。 • このために、ブロックチェーンベースのEVバッテ リー交換システムを構想 43

44.

全体システムフロー • 当初、EVはTOYブランドの消耗したバッテリーを有し、ステーションはSUM、 BYDブランドの2つの完全充電バッテリーを有する。 • その後、EVオーナーはバッテリー交換システムのGUIにアクセスし、ステー ションのBYDバッテリーでTOYバッテリーを交換するために交換要求を送信 44

45.

ブロックチェーンベースのIoTソリューションの比較 Andrew Sun, et al., “ Using Ethereum Blockchain in Internet of Things: A Solution for Electric Vehicle Battery Refueling”, www.researchgate.net/publication/325899686 45

46.

ブロックチェーンを適応したIoT事例(まとめ) • 多数の事例が登場 • 応用分野も多様化 • パブリックブロックチェーンとプライベートブロック チェーンの組合せも用途とニーズに応じて対応 • PoWの負担を軽減する手法も登場 • アーキテクチャーは何らかの垂直型(ハイアラー キー)構造を保有が主流 • 問題とされていた①性能低下、②スループット低 下、③遅延拡大、も徐々に解消 46

47.

ブロックチェーンが切り拓く新たなIoT市場の動向 分散型アプリ(dApps)プラットフォーム獲得競争 • dAppsプラットフォーマーの戦い と言われるが・・・ – EOS – Tezos – DFINITY – Hedra Hashgraph – ・・ – BBc-1(日本製) • 結局は当面のビジネス実装の肝はトークンか – トークンエコノミーがもたらすパラダイムシフト – STO(Security Token Offering) 47

48.

プロトコール領域は標準も重要化 • ERC 725….Identity • ERC 1400….Security Token 標準 • Polymath, HARBOR, Tether, Securitize, Trusted Token, WBTC,…. 48

49.

プロトコール領域はかなり広いか? 49

50.

戦略は:トークンの設計の巧緻か? • オンチェーン • オフチェーン(一回外に出し高速処理してまた 戻す): – ライトリングネットワーク – ライデンネットワーク – ステーブルコインによるボラティリティ抑制 – …… • クロスチェーン: – Cosmos,Polkadot,Won chain,AION, ICON • ・・・各種コンサルティング ・・・ほか 50

51.

まとめ • 価値はプロトコール側が半分以上を取るか? • 一方、dAppsを通じて実世界と繋がるアプリ側 は現実的には中央集権型 • プロトコール側は分散型で価値はこちらが大 きいのだから、こちらが主戦場か? • そして価値はトークンとして提供される。 • このように性格の異なる両サイド間の価値バ ランス評価は極めて複雑で従来とは違う。 • この状況がCrypto Fundや法律家なども技 術者と共に活躍する状況を生み出している。 51

52.

まとめ(続) • プロトコールは基本的にはオープン化される。 • ここに(従来のWeb世界とは異なった)標準プロト コールの主導権争いの重要性が高まる背景が ある。 • どのプロトコールが主導権を握るかはどのプロト コールがCrypto Fundを引き付けるかにも依 存か? • 標準が変われば(標準は寡占化する傾向が強い ので)世の中がガラッと変わることも有り得る。 • でも、個別ユーザーにとっては分散の価値はどう でも良い面があるのでは。要するにアプリの価値 に反応か • このような新たな不確実性を内包したパラダイム に徐々に移行して行くと考えられる。 52