IoTへのブロックチェーン適応探索

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February 29, 20

スライド概要

今、ブロックチェーンが話題だ。FacebookのLibra とか、中国の人民元に代わる仮想通貨発行の試みとか。でも、これほど派手ではないが、IoTにブロックチェーン導入の試みも結構話題になっている。例えば、MaaSを取り込んだスマートシティなども。この分野は単に技術的議論だけでなく、文化的、社会的話題など、あらゆる話題や方向性が議論されている。例えば、「市民がイノベーション、問題解決者、プランナーの共創者として積極的役割を果たす」とか。こうした大きなビジョンの延長では、分散型アプローチになる気配がある。そうなると、このような世界では、分散を支えるブロックチェーンがシステムを支えるだろうと。そんなことから、まだまだ課題は多いが、IoT分野へのブロックチェーン導入時の適応可能性について探索してみようと思い立たった。そこで、最近読んだブロックチェーンの論文を連ねて、IoT分野へのブロックチェーン適応に絞って、交通整理的ストーリーをまとめてみる。

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定年まで35年間あるIT企業に勤めていました。その後、大学教員を5年。定年になって、非常勤講師を少々と、ある標準化機関の顧問。そこも定年になって数年前にB-frontier研究所を立ち上げました。この名前で、IT関係の英語論文(経営学的視点のもの)をダウンロードし、その紹介と自分で考えた内容を取り交ぜて情報公開しています。幾つかの学会で学会発表なども。昔、ITバブル崩壊の直前、ダイヤモンド社からIT革命本「デジタル融合市場」を出版したこともあります。こんな経験が今に続く情報発信の原点です。

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各ページのテキスト
1.

IoTへのブロックチェーン適応探索 B-frontier研究所 高橋 浩

2.

はじめに • 金融分野を始め、ブロックチェーンに関する話題 が盛り上がっている(Libraほか)。 • IoT分野に限定しても、スマートコントラクトを活用 したサプライチェーン自動化やスマートシティへ の適応など、新たな形態も期待されている。 • しかし、IoT分野へのブロックチェーン適応は巨 大な変化が予想されているものの、分かり易い 説明やビジョンは少なく、見えない要素も多い。 • そこで、本資料では、何故分かり易い説明が登 場し難いのかも含めて考えてみる(問題意識)。 • Bitcoinは明確なビジョンがあったが、IoTは新た な“モノのデジタル化”の一般手法であり、応用分 野は多岐に渡る。 • しかも、現在は発展途上にある。

3.

• 従って、Bitcoinの場合のように、既存システム (例:送金システム)と比較して、Bitcoinの既存シ ステム代替可能性や両者間の利点欠点比較な どはできない。 • また、IoT分野の典型事例にBitcoin向けブロック チェーンをそのまま適応すると、現状ではすぐ大 きな問題にぶつかり、その先のビジネスモデル 検討などに辿りつけない。 • 問題例はスケーラビリティ、性能、リアルタイム 性、IoTデバイスの制約など多数ある。 • この状態に留まっていては展望が拓けない。 • そこで、本資料は、IoT分野へのブロックチェーン 適応を意図した論文を連ねて、主としてブロック チェーン技術の側からIoT分野への適応の問題 点と適応可能性を交通整理する。

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目次 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 第6章 の概要 第7章 第8章 第9章 イントロダクション ・・・6 IoTへブロックチェーン適応の概要 ・・28 IoTへのブロックチェーン最適化 ・・50 IoTとスマートコントラクト ・・68 ブロックチェーンの必要性再考 ・・85 ブロックチェーンベースIoTアプリケーション ・110 IoTとブロックチェーンの統合再考 ・126 IoTへブロックチェーン適応の将来 ・149 まとめ ・173

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IoTへのブロックチェーン適応探索の出発点 最終ゴールに向けた出発点 第一章 イントロダクション 第六章 ブロックチェーンベース IoTアプリケーションの概要 探索の最初の展開 第二章 IoTへブロックチェーン適応の概要 最終ゴールに向けた展開 第七章 IoTとブロックチェーンの 統合再考 第三章 IoTへのブロックチェーン最適化 代表的追加機能 第四章 IoTとスマートコントラクト ブロックチェーンは何故必要なのか 第五章 ブロックチェーンの必要性再考 全体構成図 第八章 IoTへブロックチェーン 適応の将来 最終ゴール 第九章 まとめ

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第1章 イントロダクション • IoTにブロックチェーン適応の評価が定まらない。 • 一見すると、悲観的意見と希望的意見が拮抗し ているように見える。 • 悲観的意見はBitcoinとIoT環境との相違を厳密 に解釈する傾向がある。 • 希望的意見はIoT環境へのブロックチェーン適応 を単に技術として見るのではなく、これからの社 会の変化の中での新たな構造を展望して考察す る傾向がある。 6

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Blockchain Technology: What is it good for? ブロックチェーン技術: それは何のために良いのか? Saifedean Ammous , SSRN 2832751, 2016. Saifedean Ammous ・准教授, Lebanese American University, レバノン ・member of Center on Capitalism and Society, Columbia University, 米国 Twitter, Youtubeでも活動 2018.4刊

8.

Ⅰ. ブロックチェーン技術とは何か? • Bitcoinブロックチェーンの本質は、2人のネット ワークメンバーが取引する毎に、彼等のトランザ クションを制限された容量のブロックに記録し、 全てのネットワークメンバーに通知することであ る。 • PoW問題を解決した最初のノードにはネット ワーク特有の通貨が報酬として支払われる。こ の報酬は、取引の収益性を潜在的に検証し、一 般には「マイニング」と呼ばれるが、「検証」が機 能的には正確な記述である。 8

9.

• 分散型ブロックチェーンの動作は、 CPUを消 費してPoWを解決するノードによるブロックの 有効投票に完全に依存している。 • Bitcoinはほぼ8年間で1億4000万回以上の取 引を正確に記録した。 II.ブロックチェーン技術の潜在的なア プリケーション~3つの可能な候補 1.デジタル決済: • Bitcoinのブロックチェーンは、サードパーティの 仲介を信頼する必要をなくすために存在する。 • サードパーティの仲介を取り除くことが、分散型 元帳の非効率性を正当化するのに十分な利点 をもたらすのかは今後数年間でしか答えられな い問題である。 9

10.

2. スマートコントラクト: • Ethereum(スマートコントラクト暗号システム) は契約をブロックチェーンにエンコード、自己 執行可能にし、控訴や取消の可能性がなく、 裁判所や警察の手も届かないようにする。 • おそらくスマートコントラクトを完全に理解する 人は世界に数百人しかいないが、彼等はソフ トウェアバグを見逃すことすらあり得る。 • Ethereumネットワークは2つの異なる通貨 (DAO攻撃を確認したものと、それを元に戻し たもの)を持つ2つのネットワークに分岐した。 • fork(分岐)は、Ethereumブロックチェーンの 不変性の主張に疑問を投げかける。 10

11.

3.データベースと記録の管理: • ブロックチェーンは信頼性と改ざん無しデータ ベース&資産登録だが、ブロックチェーンの ネイティブ通貨に対してのみである。 • ブロックチェーンは、資産とブロックチェーン上 でそれを参照するもの間のリンクを確立する 役割を果たすほど信頼性が高くなる。 • 公証サービスのようなサービスは、不十分な ブロックスペース市場を提供するが、通貨な しブロックチェーンでは機能しない。 11

12.

III.ブロックチェーン技術の経済的 欠点 ~5つの障害 1.冗長性: • 仲介を削除する目的だけでは非常に高価な 冗長性である。 2.スケーリング: • 共通トランザクション元帳はネットワークメン バーの数よりも指数関数的に速く成長する。 その結果、記憶や計算負荷は、ネットワーク サイズが増大するにつれて処理量が大きく成 りすぎる。 • 従って、規模と分権の明確なトレードオフが存 在する。 12

13.

3.規制コンプライアンス: • 規制は、ブロックチェーン・インフラストラク チャとはまったく異なるインフラストラクチャ向 けに設計されており、全レコードを全ネット ワークメンバーに配布するという急進的な開 放性のブロックチェーンに合わせて簡単に調 整することはできない。 4. 不可逆性: • ブロックチェイン技術の「不変性」の主張は Bitcoinの場合にのみ明らかである。 • 他のブロックチェーンに対しては、ブロック チェーンのオペレータまたは規制当局が実際 にはレコードを変更する可能性がある。 13

14.

5. セキュリティ: • ブロックチェーンデータベースのセキュリティ はトランザクション検証やPoW時の処理能力 に完全に依存している。 • システムのセキュリティは、マイナーに資金を 提供する中央パーティーのセキュリティに依 存するが、セキュリティ違反の可能性を広げ る共有元帳上での操作によって損なわれる。 14

15.

IV.デジタルキャッシュを生成する機構 としてのブロックチェーン技術 • トランザクション記録の冗長性とPoWは第三 者による仲介なしにデジタル現金と決済ネッ トワークを作成する目的でのみ正当化される。 • Bitcoinの作成者は、「ピアツーピアの電子現 金」を作成することによって動機づけられてお り、彼はその目的のために設計した。それが 他の機能に適していると期待する理由は無い。 • ブロックチェーン技術をさまざまな分野のアプリ ケーションで独自の技術革新として検討するこ とには意味が無い。 15

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Blockchain Technology Innovations ブロックチェーン技術イノベーション Tareq Ahram, Arman Sargolzaei, Saman Sargolzaei, Jeff Daniels, Ben Amaba IEEE Technology & Engineering Management Conference (TEMSCON), 8-10 June 2017 Tareq Ahram ・ 研究教授 and Scientific Advisor 米国 Arman Sargolzaei ・准教授 at Florida Polytechnic University,米国 Saman Sargolzaei ・Systems autonomy and resiliency group 米国 Jeff Daniels ・Cloud Computing Pioneer, ・教授, Cybersecurity 米国

17.

I. はじめに • ブロックチェインは最初Bitcoinで普及したが、 これは暗号通貨の基盤以上のものであり、あ らゆる種類の商品、サービス、取引交換に安 全な方法を提供する。 • 産業の成長はますます信頼できるパート ナーシップに依存している。 • しかし、規制、サイバー犯罪、不正行為の増 加は拡大を阻害している。 • これらの課題に対処するために、ブロックチェ インは、より機敏なバリューチェーン、迅速な製 品イノベーション、より緊密な顧客関係、IoTと クラウドのより迅速な統合を可能にする。 17

18.

• この提案は、中央機関への依存を行わずに 電子取引を実行することであった。 • ブロックチェーンは基本的に簡略化された支 払い確認システムである。 • IoTは、人々がデバイスと通信したいが、仲介 者を経由したくない巨大なアプリケーション領 域を支援する可能性がある。 • キラーアプリは登場していないが、ブロック チェーンの透過性を特徴とする可能性がある。 • コグニティブコンピューティング、IoT、サプライ チェーン、ヘルスケアアプリケーションなどは、 ブロックチェーンとの統合を約束されている。 18

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II.サイバーセキュリティと III. プロフェッショナルの責任 • 2013年VSAE年次総会の議論では、「特定の シナリオでデータはお金よりもより重要な資 産になる可能性がある」と評価された。 • アナログデバイスからデジタルデバイスへの 変換によって、ソフトウェアで実現される製品、 プロセス、サービスの目標やアプローチは一 晩で変更された。 • ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークは、 輸送、空気の質、水の純度、建物、材料、環 境のデジタル化で全て変わった。 19

20.

• 技術は変わり続けるだろうが、専門家の技術 的、倫理的、道徳的責任は増加するだけであ る。 • 通常、人間の間違いの背後には、間違いをま すます起こすような一連の組織的管理的行 動がある。 • 専門家は、公共の安全、安心、健康、福祉を 最優先で保護する必要がある。 • 不正行為、過失、無能さは、デジタル建設や インフラストラクチャプロジェクトにとってかな り危険な側面である。 20

21.

• ブロックチェーン技術も、その成熟のガバナンス と管理を支援する専門エンジニアが必要である。 • ブロックチェーンはあらゆる種類の物、サービス、取 引や、新しいグローバルネットワークを構築し、新し いビジネスモデルを駆動する潜在能力を持った情 報交換の安全な方法を提供する。 • ブロックチェーンの個々のアイデアは新しいもの ではなく、実際には以前考えられていたものより もより既存機関と互換性があるかもしれない。 • ソフトウェア技術としてのブロックチェーンは、プ ロのソフトウェアエンジニアリング免許に適合し、 デジタルシステムとプライバシー情報を開発・運 用する者に説明責任と責任を与える。 21

22.

Ⅳ. ブロックチェーンで強化されたヘルスチェーン • 個人識別可能な健康情報は保護された健康情 報(PHI:Protected Health Information)として分 類される。 • HIPAA(健康保険ポータビリティと説明責任法)準 拠データベースを作成するクラウド利用の急速な 成長は、情報の物理的保護とHIPAA違反の減少 を促進している。 • しかし、クラウド上の分散データベースに対する アクセス緩和は、医療従事者とプロバイダ間のプ ライバシー侵害のジレンマを解決してはいない。 • PHIへアクセスするモバイルデバイスの使用が大 幅に増加しており、事態はさらに悪化している。 22

23.

• PHIにアクセスできる新しいデバイスの適切な 使用と統合の必要性は、効率的ヘルスケア 時代の最優先課題であった。 • 現在、優れたケアと患者の快適性を促進する ために、既存HIPAA準拠ネットワークに、新技 術を導入して上述の障壁克服の実現に取り 組んでいる。 • 次ページ図は、セキュリティとスケーラビリ ティを最適化させながら、ブロックチェーン技 術がどのようにシステム効率を向上させるか を示している。 23

24.

現在の構成(左側)とブロックチェーン導入後の構成 ブロックチェーン技術がこれを可能にしている

25.

• ブロックチェーン技術は、彼らが属しているネット ワークに関係なく、PHIの合意されたレコード(共 有元帳)に、患者を含む認可されたすべてのプロ バイダがアクセスし、分析し、更新できる堅牢なソ リューションを提供する。 • HealthChainと呼ぶ、PHIのライフサイクルの提案 は、最適化されたデザインの複数の側面を同時 にターゲットにしている。 • 患者がトランザクションを呼び出すと、資産(PHI レコード)がプロバイダに転送されるが、コンセン サスが達成されるまではトランザクションは確定 されない。 • 分散型暗号通貨を使用することで、PHIの堅牢性、 セキュリティ、プライバシー、妥当性が継続的に 保証される。 25

26.

V. 結論 • 本稿の著者等は、金融業界や製造業、サプ ライチェーン、ヘルスケアなど非金融業界に おける新興ユースケースの触媒として、ブロッ クチェーン技術を特定した。 • 本稿は、ブロックチェーンが安全な信頼フレー ムワークを可能にし、アジャイルバリュー チェーンの生産を行い、クラウドコンピュー ティングやIoTなどの技術と緊密に統合するこ とで、産業界やアプリケーションのデジタル化を 変革する中心的役割を果たすことを示してい る。 26

27.

第1章 まとめ • ブロックチェーンは障害の割に効果が少なく、 元来、Bitcoinの目的でのみ正当化されるもの で、ブロックチェーン技術の様々な分野への 適応検討は意味が無い、との意見がある一 方、・・ • ブロックチェーンは安全な信頼フレームワー クを可能にし、今後の産業界やアプリケー ションのデジタル化を推進する際の中心的役 割を担うだろう、との期待を示す意見もある。 • 交錯している両者間のギャップの中身を充分 に分析する必要がある。 27

28.

第2章 IoTへブロックチェーン適応の概要 • ブロックチェーンは元来、Bitcoinに代表される 金融分野向けに構想されたものである。 • IoTは、そもそもモノのデジタル化の新しい手 段であり、応用分野は多岐に渡る。 • 従って、Bitcoinの“仲介者を介さない安全な資 金伝達”のような明確なイメージはない。 • そればかりか、IoT分野は具体的応用そのも のが現在研究途上のものが多い。 • このような分野にブロックチェーン適応を検討 することの特徴は何だろうか? 28

29.

A Review on the Use of Blockchain for the Internet of Things IoTのためのブロックチェーンの使い方レビュー Tiago M. Fernández-Caramés, Paula Fraga-Lamas IEEE Access · May 2018 Tiago M. FernándezCaramés ・Universidade da Coruña, CITIC, スペイン Paula Fraga-Lamas ・Senior Research Associate,GTEC, Univ ersidade da Coruña, スペイン Universidade da Coruña

30.

I. はじめに • 現在、殆どのIoTソリューションは、集中型サー バークライアントモデルに依存している。 • このソリューションは今後の成長に向け新たな パラダイムに移行しなければならない。 • 巨大なピアツーピア(P2P)無線センサネットワー ク(WSNs)が提案されたが、ブロックチェーン到 来まではプライバシーとセキュリティに問題が あった。 • これからは、ブロックチェーンベースのピアツー ピアネットワークが次のステップになる。 IoTアーキテクチャの過去、現在、未来 30

31.

• ブロックチェーン技術はトランザクションを追跡、 調整、実行し、大量のデバイスからの情報を格 納できるため、集中クラウドを必要としないアプリ ケーションを作成できる。 • 一般に、特定の機関(政府、製造業者、サービス プロバイダ等)にデバイスアクセス権や制御権を 与え、ユーザデータを収集・分析する技術パート ナーをIoT採用者として信頼することは困難であ ろう(エドワード・スノーデンがリークした後では)。 • 従って、プライバシーと匿名性が将来のIoTソ リューションの中核になる。 • 信頼とセキュリティを高めるには、透明性が不可 欠なため、次世代IoTソリューションは、オープン ソースアプローチを考慮する必要がある。 31

32.

• Bitcoin が生まれたわずか数年後、1,563個以上 のデジタルコインが存在していた。 • Bitcoinはそのトランザクションが分散された互い に信頼しない方法で交換されるデジタルコインで ある。 • ブロックチェーン技術に基づく暗号通貨は、伝統 的通貨に対する優位性の故に支払いを革新す ると言われている(中間業者排除で仲介手数料 を1%未満に減らすことができる)。 • IoTシステムではトランザクションを実行する際に 必ずしも互いに信頼しない多くのエンティティ (ノード、ゲートウェイ、ユーザー)が存在する。 • このため、IoTシステムは暗号通貨と共通の問題 を共有している。 32

33.

II.ブロックチェーンの基本 プライベート/許可要 トークン非依存 トークンベース パブリック/無許可 ブロックチェーンの分類と実用的な例 33

34.

• 様々なタイプのブロックチェーンが存在する(前頁 のパブリックとプライベート、許可と無許可等)。 • ある著者等は、パブリック/無許可とプライベート/ 許可を同義語として使用している。 • しかし、IoTアプリケーションではそうでは無い。 • そこでは、認証(誰がブロックチェーンにアクセス できるか:プライベート vs パブリック)と承認 (IoTデバイスは何を実行できるか:無許可 vs 許可)を区別する必要がある。 • どのユーザーが、トランザクションを実行したり、 スマートコントラクトを実行したり、ネットワーク内 でマイナーとして行動したりできるかを制御する ために、多くのプライベートブロックチェーンも許 可される。 • 但し、全てのプライベートブロックチェーンが許可 されていないことに注意する必要がある。 34

35.

• ブロックチェーンが全てのIoTシナリオで常に最適 なソリューションになるとは限らない。 • ブロックチェーンの使用が適切かどうか判断する 項目の例は下記である。 1. 分権化:相互信頼があればブロックチェーンは必要ない。 2. P2P交換:実際にはあまり一般的ではない。 3. 支払いシステム:一部のIoTアプリケーションでは、第 三者との経済的取引が必要だが、多くのアプリケー ションではそうでは無い。 4. パブリックシーケンシャルトランザクションロギング:既存 の方法でも実現できる。 5. 堅牢な分散システム:分散システムそのものは既存の 方法でも実現できる。少なくとも「信頼の欠如」が無け ればならない。 6. マイクロトランザクションコレクション:このようなニーズ が無い場合も多い。 35

36.

III. B-IoT アプリケーション 行政、民主主 義、司法機関 電気通信、 情報システム 防衛と公共 安全 エネルギー 農業 金融取引 交通輸送 コラボレーティブ, クラウドセンシング スマートオブジェクト スマートシティ Industry4.0 パーソナルセンシング 船隊の監視と管理 ヘルスケア ロジスティックス スマートリビング BIoT(Blockchain IoT)アプリケーションの例 36

37.

B-IoTアプリケーションの中身の例 • エネルギー部門:ブロックチェーンをIoTやエ ネルギーのインターネット(IoE)に適用するこ とによって利益を得ることがある。 • ヘルスケア部門:スマートコントラクトが受け 取った値が許容範囲内かどうか判断したり、 臨床試験と精密医学のためのブロックチェー ンベース・プラットフォームが検討されている。 • IoTの低レベルセキュリティはデバイスの基盤 となる信頼できるコンピュータベース(TCB: Trusted Computer Base)を検証するプロセス によって改善が可能である、など。 37

38.

IV. IoTアプリケーション向けに最適化 されたブロックチェーンの設計 • ブロックチェーン技術は、IoTに多くの利点をも たらすが、それらはIoT環境に対して明示的 に考案されていないため、さまざまな要素を適 応させる必要がある。 • Bitcoinは明らかに成功しているが(Ethereum のような最新暗号化プラットフォームが存在し ていることもあり)、スケーラビリティの低さは今 日では意味をなさないとの意見もある。 • ブロックチェーンをサポートするアーキテク チャは、アプリケーションが通常生成するトラ フィック量に適合させる必要がある。 38

39.

• IoT接続デバイス数が同じ速度で増加し続け ると、通信量は大幅に増加するため、クラウド ネットワーク容量は拡張されなければならな い。 • エッジ・コンピューティング/フォグ・コンピュー ティングでクラウド・コンピューティング・システ ムのネットワーク・トラフィックや計算負荷を軽 減させる遅延の少ないアプリケーションを実 現させる必要がある。 • 4つの異なるアーキテクチャ(完全集中、擬似 分散、分散、完全分散)の長所と短所も議論 されている。 39

40.

• 計算能力やコストが制限要因となるシナリオ では、環境によってそれぞれのアプローチが 適切に選択される必要がある。 • IBMのADEPTアーキテクチャーでは、役割と計 算能力が異なる3種類のIoTデバイス(ライト・ ピア、スタンダード・ピア、ピア・エクスチェン ジ)が提供されている。 • セキュリティとプライバシーを考慮した軽量 アーキテクチャも考案されている。 • クラウドの力とブロックチェーンの安全性・信 頼性の両方を利用するアーキテクチャも提案 されている。 40

41.

• マイニングはブロックチェーンのスループット、 スケーラビリティ、IoTネットワークでのエネル ギー消費の点で非効率である。 • そこで、いくつかの代替コンセンサスが提案さ れている。 –PoS, DPoS, TaPoS, PoA, PoSV, PBFT, DBFTSCP, BFTRaft, Sieve, Tendermint, Bitcoin-NG, PoB, PoPなど 41

42.

V.B-IoTアプリケーションの現在の課題 スループットと遅延 インフラストラクチャ ブロックチェー サイズ、帯域 幅 エネルギー効率 セキュリティ プライバシー B-IoTアプリケーション開発を左右する最も関連性の高い要因

43.

• • • • • (1) プライバシー ブロックチェーンでは匿名性が保証されておらず、 全ての取引が共有されるため、第三者は取引を 分析することで、参加者の身元を割り出すことが できる。 IoTデバイスはプライベートユーザデータを明示 できるので、さらに複雑になる。 IoTネットワークへのアクセス管理も困難である。 取引がピア間で共有されたり、業界や金融シス テムなどの特定分野で競合他社の活動を監視 できるため、さらに問題になる。 プライバシーを向上させる可能性のある技術例: ミキシング技術、ゼロ知識証明技術、CryptoNote、 準同型暗号化、など 43

44.

(2). セキュリティ • ブロックチェーンでは1つのノードが危険にさらさ れてもグローバルシステムは継続可能である。 • セキュリティを保証する3要件は機密性、完全性、 可用性である。 1. 機密性:個々のユーザーにとって、機密保持の 鍵は、秘密鍵を良好に管理することである (CONIKS:ユーザーを暗号鍵管理から解放する 鍵管理システム)。 2. 完全性:第三者を信頼する必要性を除去する ためのIoTアプリケーション用データ保全サービ スフレームワークが提案されている。 3. 可用性:ブロックチェーンは分散システムなので、 実現が最も容易だが、それにもかかわらず、他 のタイプの攻撃によって損なわれる可能性があ る(51%攻撃ほか)。 44

45.

• • • • • (3). エネルギー効率 IoTエンドノードは資源が制約されていることが多 いので、エネルギー効率が重要になる。 エネルギー消費の大半は次の2つの要因であ る:マイニング、P2P通信 (4).スループットと遅延 IoTでは、単位時間に大量のトランザクションを管 理できるブロックチェーンネットワークが必要に なる。 Bitcoinは最大7トランザクション件数/秒。これに 比して、VISAネットワークは、毎秒24,000件 Bitcoinの場合、ブロック作成時間はポアソン分 布で10分平均。また、二重費用を避けるために 約1時間待つことが推奨される。 45

46.

• • • • (5). ブロックチェーンサイズ、帯域幅と インフラストラクチャ ブロックチェーンはトランザクション保存毎に増加 し、より大きな永続的メモリや強力なマイナーが 必要になる。 軽量ノードで回避できる場合がある( IoTハイア ラキー導入=ある程度データを集中化)。 トランザクションとブロックサイズは、IoTネット ワークの帯域幅制限に従ってスケーリングが必 要である。 (6). 他の関連する問題 1)採用率、 2)ユーザビリティ 、 3)マルチチェー ン管理 、 4)バージョン管理と分岐 、 5)マイニン グ・ボイコット 、 6)スマートコントラクトの施行と 自治、など 46

47.

VI.さらなる課題と推奨事項 • 既存システムと計画システムの開発と展開にはさらな る調査が必要である。下記など: ➢ 複雑な技術的課題:トランザクション容量、検証プロ トコル、スマートコントラクト実装における設計上の制 限、集中型アプローチへの解決手法など ➢ 相互運用性と標準化:レガシーシステムとの統合のた め、全ての利害関係者との妥協や条件整備など ➢ ブロックチェーンインフラストラクチャ:包括的な信頼フ レームワークの作成など ➢ 組織、ガバナンス、規制と法的側面:規制環境(分散型 の保有権、国際的管轄)の形成など ➢ 迅速なフィールドテスト:どのブロックチェーンが要件に 適合かテストするためのメカニズム確立など 47

48.

VII. 結論 • データ駆動型世界への移行が加速している。 • ブロックチェーンによる新たなエコシステムが 非協調的な組織構造に反する信頼できる情 報をIoTプラットフォームに対して提供できる。 • 最適化されたBIoT設計に含まれる多様な側 面を徹底的に研究することで、BIoT シナリオ に全体論的アプローチが提示できる。 • BIoTはまだ初期段階にあるが、関係機関の 協力の下、さらなる進歩が期待される。 48

49.

第2章 まとめ • IoTは導入されるシステムの中で考察されなけれ ばならない。 • その方向性は分散化である。 • その際、問題となる最大の障害はセキュリティで ある。 • 広域分散ネットワークシステムに対してセキュリ ティを担保しうる現在唯一の(?)技術的解がブ ロックチェーンとの評価がある。 • しかし、そうは言っても、ブロックチェーンが常に 優位なソリューションという訳ではない。 • 利用シーン毎の個別対応がキメ細かく求められ る。その詳細を把握しなければならない。 49

50.

第3章 IoTへのブロックチェーン最適化 • 寧ろ、ブロックチェーンを有効に活用す るには、それが適応可能な環境に適切 に持ち込むための独自の努力が重要で あると言える。 • 特に、IoTへブロックチェーン適応時は、 IoT活用が多岐に渡ることもあり、活用に 適した最適化の工夫が特に必要な分野 であると言える。 50

51.

Towards an Optimized BlockChain for IoT IoT用に最適化されたブロックチェーンを目指して Ali Dorri , Salil S. Kanhere , Raja Jurdak Proceedings of the 2nd ACM/IEEE International Conference on Internet-of-things Design and Implementation, Pittsburgh, PA USA, April 2017 Ali Dorri ・Research Fellow, Queensland University of Technology (QUT), 豪州 Salil Kanhere ・教授, UNSW Sydney,豪州 Raja Jurdak ・教授, Queensland University of Technology (QUT), 豪州

52.

I. はじめに • セキュリティとプライバシーのためにIoTに暗 号通貨Bitcoinの基盤であるブロックチェーン (BC)を採用することへの関心が高まっている。 • しかし、BCは計算的には高価であり、高帯域 幅のオーバヘッドと遅延を伴い、ほとんどのIoT デバイスには適さない。 • そこで、セキュリティとプライバシーの利点を 維持しながら、古典的BCのオーバーヘッドを 実質的に排除する軽量BCベースのIoTアーキ テクチャが望まれる。 52

53.

• IoTデバイスは、エネルギー消費を最適化す るために集中管理されるプライベート不変元 帳(IL:Immutable Ledger)から利益 を得る。 • 分散検証することでブロック検証処理時間も 短縮される。 • BC技術は、IoTのプライバシーとセキュリティ に効果的なソリューションを提供する。 • BCのセキュリティは主に、BCに新しいブロック を追加するために使用される証明書(PoW) の暗号パズルに依存している。 53

54.

• BCは、多くの非金融アプリケーション、例えば ロケーション証明、分散ストレージシステム、 ヘルスケアなどに採用されて来た。 • しかし、BCをIoTに適用することは、(i)PoW使 用による高い資源要件、(ii)スケーラビリティ 問題、(iii)PoWに起因した大きな遅延、など の課題により容易ではなかった。 • 資源消費を最適化し、ネットワークのスケーラ ビリティを向上させるために階層アーキテク チャを採用する。 54

55.

Ⅱ.文献レビュー • IoTのセキュリティは、大多数のデバイスの低リ ソース能力、デバイスの巨大規模と異種性、標 準化の欠如などで困難な状況にある。 • IoTデバイスの多くは、我々のプライベート空 間から大量のデータを収集し共有するため、 プライバシーに重大な懸案を生じさせる。 • また、様々な既製IoTデバイスでは基本的な レベルのセキュリティの考慮もなされていない ことが実証されている。 55

56.

• コンテンツベースポリシーを利用したデータやデ バイスのアクセス制御の提案もあるが、個人 データを明らかにしながらプライバシーを保護す ることはできない。 • IoTにセキュリティとプライバシーを提供するには 3つの課題への対応が必要になる。 ① 資源最適化:資源制約型IoTデバイスは、高度 で複雑なセキュリティメソッドには適さない。 ② プライバシー:様々な種類のデータを明示しなが らユーザーのプライバシーを保護する必要があ る。 ③ 集中化:集中化はIoTには不適切であり、シング ルポイント障害、多対1トラフィック、スケーラビ リティ問題を引き起こす。 56

57.

• BCは、分権化、匿名性、セキュリティなどの主 要機能の結果、IoTで言及されるセキュリティ やプライバシー問題に対処できる魅力的技術 ではあるが、PoWを解決するには、非常に洗 練されたハードウェアが必要であり、既製コン ピュータを使用しても達成できない。 • IoTでBCを採用することは容易ではなく、高レ ベル資源、待ち時間、高帯域幅、低スケーラ ビリティという重大な課題に対処する必要が ある。 ⇒対応策は次頁、次々頁図参照 57

58.

Ⅲ. BCベースのスマートホームアーキテクチャ ② オーバレイNWはピアツーピアネットワークであり、オーバレイ内のノードはクラスタ にグループ分けされる。各クラスタは一定の方法でクラスタヘッド(CH)を選択する。 ① スマートホームは、IoTデ バイス、ローカルプライ ベートIL、ローカルスト レージで構成される。 ③ クラウドストレージは、 ユーザーデータを一意の ブロック番号に関連付け られた同一ブロック にグループ分けする。58

59.

スマートホーム向けに提案された軽量ブロックチェーンベースアーキテクチャ 59

60.

• 各ホームにはローカルプライベートILがあり、ス マートホームマネージャ(SHM)によって集中管 理される。 • SHMはすべての送受信トランザクションを処理し、 IoTデバイスとローカルストレージとのローカル通 信に共有キーを使用する。 • 各CHは、オーバレイ内の他CHによって知られる ユニークなPKを有する。各CHは以下のリストを 保持する: ① リクエスタ(requesters)のPK:このクラスタに接 続されているSHMのためにデータにアクセスす ることが許可されているPKのリスト(スマート ホームデバイスに特定のサービスを提供する SP(Service Provider)など) ② リクエスト先(requestees)のPK:このクラスタに 接続され、アクセスが許可されているSHMのPK のリスト 60

61.

分散型信頼とPoWの除去 • Bitcoinブロックチェーンと比較してブロックを検証 するオーバーヘッドを減少させることができる: ① まずリクエスタが、現在のトランザクションPKの ハッシュと前のトランザクションの出力PKとを比 較し、指定された元帳にトランザクションを追加 する権利を有するか確認する。 ② 次に、リクエスタの署名が、その取引で自分の PKを使用して検証される。 ③ 最後に、検証者は現在のトランザクションの出 力のうちの1つ(成功したトランザクション数か、 拒絶されたトランザクション数)が1だけ増加す ることを制御する。 ④ ステップが正常に行われた場合、トランザクショ ンが検証されたと判断する。 61

62.

Ⅳ.トランザクション処理 • 保管中:データを更新したい場合は、データを SHMに送信する。許可をチェックし、ローカルILか ら以前のブロック番号とハッシュを抽出した後、 SHMがランダムIDを作成し、このIDでストレージ にデータを送信する。 • アクセス中:データにアクセスする場合は、SPがリ クエスタ部分を作成して署名し、リクエスト先 (SHM)がトランザクションを受信すると、ローカル ILのローカルポリシーをチェックすることでSPを認 可する。認可されれば、SHMはデータを要求し、 リクエスタのPKでそれらを暗号化し、リクエスタ (SP)にそれを返却する。 • 監視中:オーバレイノードによってモニタトランザ クションが起動され、デバイスのリアルタイム データを監視する。 62

63.

Ⅴ. 評価 • 軽量BCとBitcoin BCの主な違いを次頁表に示 す。 • セキュリティとプライバシーの評価および性能 評価を行う。 ① セキュリティとプライバシーの敵対者には、 CH、ホーム内のデバイス、オーバーレイ内 のノード、クラウドストレージが想定される。 アクセシビリティを脅かす次のような攻撃へ の対応が検証される。 サービス拒否(DOS)攻撃、変更攻撃、ドロップ攻撃、攻 撃追加 ② 性能評価を次々頁図に示す。 63

64.

Bitcoin BCと軽量BC(Overlay BC)との主な違い ✓相違 ✓相違 ✓相違 ✓相違 ✓相違 64

65.

より多くのブロックがCHによって生成されると(横軸の 右側)、分散された信頼戦略は、新しいブロック内のト ランザクションの一部のみを検証するだけで良いので、本 手法による処理オーバヘッドは信頼できない手法よりも 低くなる。 オーバーヘッド評価の処理 65

66.

Ⅵ. 結論 • 提案されたBCはマイニングを必要とせず、生 成されたトランザクションの処理に追加の遅 延を招かない。 • これは、オーバーヘッド削減のため、①ローカ ルIoTネットワークレベルで集中化されたプラ イベート不変元帳(IL)を使用し、②より信頼性 の高いハイエンドデバイスで分散化したパブ リックBCを使用する、階層アーキテクチャを採 用しているためである。 • 新しいブロックの処理オーバーヘッドを減少さ せるため、分散信頼方法も採用されている。 66

67.

第3章 まとめ • IoTデバイスに適するようにブロックチェーンを 最適化することの課題は多い。 • 最適化が不可能な訳ではないが、修正内容 は大幅である。 • 一例が独特の階層アーキテクチャの導入で ある。 • 紹介した例は分散型信頼を実現するために PoWの除去(マイニング不要)も実現している。 • 但し、本案はスマートホームに特化しており、 IoTの幅広い用途に適応する際は各分野に 適した個別の工夫が必要になる。 67

68.

第4章 IoTとスマートコントラクト • ブロックチェーンが幅広いIoT分野に適 応可能との期待を高めたのはスマートコ ントラクトの実現であった。 • スマートコントラクトの導入によって、IoT の多様な適応分野で何が可能になるの か? • これは、IoTへのブロクチェーン導入検討 において極めて重要な視点である。 68

69.

Blockchains and Smart Contracts for the Internet of Things IoTのためのブロックチェーンとスマートコントラクト KONSTANTINOS CHRISTIDIS AND MICHAEL DEVETSIKIOTIS IEEE Access, 2016 Konstantinos Christidis ・Netflix, NCSU, 米国 Michael Devetsikiotis ・教授, ECE Department, University of New Mexico、米国

70.

Ⅰ. はじめに • ブロックチェーンは信頼関係の無いネットワーク を可能にする。 • 信頼された仲介者が不在ということは、取引当 事者間の迅速な調整を意味する。 • このようなブロックチェーンへの爆発的関心に動 機づけられ、IoT分野に適しているかの検証が注 目されている。 ✓ 多段階プロセス自動化を可能にするブロック チェーン上のスマートコントラクトも検証する。 ✓ ブロックチェーンとIoTの組み合わせが、どのよう にして、①デバイス間のサービス市場創造につ ながるサービスとリソースの共有を容易にし、② ワークフローを検証可能な方法で自動化できる かも検証する。 70

71.

II.準備~4つの切り口 (1)ブロックチェーンの仕組み • ブロックチェーンはネットワークメンバー間で 複製され共有される分散データベースである。 • ブロックチェーンはレコードがタイムスタンプ 付きブロックにまとめられたログと考えること ができる。 • ユーザは、1組の秘密/公開鍵を介してブロッ クチェーンと対話する。 • 自分の秘密鍵で自分のトランザクションに署 名し、公開鍵でネットワーク上のアドレスを指 定する。 71

72.

(2)ネットワークに関するリーチコンセンサス • 全てのブロックチェーンネットワークには分散 コンセンサスメカニズムが必要である。 • コンセンサスメカニズムのタイプは、ネット ワークオペレータが採用するブロックチェーン ネットワークと攻撃のタイプによって異なる。 • 理想的なシナリオでは、検証している全ての ノードは次ブロックのトランザクションの順番 に投票し、過半数が決定したものを使用する。 • プライベートネットワークでは、参加者がホワ イトリストに登録されている場合、作業証明な どの高価なコンセンサスメカニズムは必要な い。 72

73.

(3)スマートコントラクトの仕組み • スマートコントラクトは「契約条項を実行する コンピュータ化された取引プロトコル」と定義 される。 • 契約条項(担保、譲渡など)はコードに翻訳し、 それらは自己執行可能な財産としてハード ウェアまたはソフトウェアに埋め込まれる。 • スマートコントラクトはブロックチェーンに格納 されたスクリプトである(リレーショナルデータ ベース管理システムのストアドプロシージャと ほぼ同様)。 • それらはチェーン上に存在するため、固有の アドレスを保有する。 73

74.

• 我々は、トランザクションをそれにアドレス付 けることによってスマートコントラクトを起動す る。 • トリガーされたトランザクションに含まれた データに従って、ネットワーク内全てのノード で独立して自動的に実行する(全てのノード が仮想マシン(VM)実行と同等)。 • スマートコントラクトはブロックチェーン上に存 在するため、そのコードはすべてのネットワー ク参加者によって検査される。 • スマートコントラクトをサポートするブロック チェーンは、相互に不信な取引相手間で発生 する複数ステップのプロセスを可能にする。 74

75.

(4)ブロックチェーンの分類 • Bitcoinスタイルのトランザクション(UTXOモデ ル)とスマートコントラクト: 1. UTXOモデルは、デジタルトークン資産の転 送と追跡に適している。 2. 一方、スマートコントラクトは、任意のロジッ クを実行し、検証可能な複数ステップのプロ セスを確立する手段を提供するが、同時実 行とスループットにコストがかかる。 75

76.

III.ブロックチェーンとIoT • ブロックチェーンは長期間中断していた後に何 百万台ものデバイスにソフトウェアアップデート を行うような問題に洗練されたソリューションを 提供する。 • 製造者は最新のファームウェアアップデートの ハッシュをネットワークに保存できるスマートコン トラクトを展開する。 • デバイスは、スマートコントラクトのアドレスをブ ロックチェーンクライアントに焼き付けて出荷する か、あるいはディスカバリーサービスでそれを調 べ、ハッシュでアップデートを要求する。 • これは製造業を作り替えるパワーを持つかもし れない。 76

77.

• 更に、暗号通貨が交換されるブロックチェー ンネットワークは、便利な課金層を提供し、デ バイス間のサービス市場への道を切り拓く可 能性がある。 • デバイスがディスクスペースを借りることを可 能にするFilecoin やAPI呼び出しを収益化 することを可能にするEtherAPIなどがある。 • 暗号通貨を使用すると、全てのデバイスはイ ンターネット上で独自の銀行口座を持つこと ができる。 • このような機能は一般的にはサービスとリ ソースの共有を容易にする(例:Slock.it)。 77

78.

• サプライチェーンの例を次頁に示す。サプライ チェーンをブロックチェーン化すると、製造業者 は「コンテナを持っている」というトークンを発行 することができる。 • 他の全ての利害関係者は、「コンテナを受け取っ た」というトークンを発行することができる。 • ある取引がブロックチェーンに追加されると、製 造業者は「私がコンテナを受け取った」トークンを 輸送業者から受取り、輸送業者は「私はコンテナ トークンを保有している」を保持する。 • この時点で、資産が追跡され利害関係者間での 紛争の余地はほとんどなくなる。完全に検証可 能なタイムスタンプ付き証跡が残る。 • このプロセスを一歩踏み出して自動化することも できる。 78

79.

サプライチェーンの例 スマートコントラクトとIoTを使用した資産追跡の例 図(a)(左:既存システム)では、コンテナが製造工場を出て(A)、鉄道を介 して隣の港(B)に到達し、目的地の港(C)に運ばれ、次に流通業者の施 設(D)に到達する。小売業者のサイト(E)へ。 一方、図(b)(右)では、B-Cステージに注目すると、コンテナの運送業者 は、コンテナが目的の場所に配達されたことを確認するため、宛先ポート (C)でドックとハンドシェイクを実行。 ハンドシェイクが完了すると、スマー トコントラクトにポストして配信に署名。 宛先ポートが受信を確認。 (C)の ノードが許容時間内に契約に投稿しない場合、配送業者はその場で調 査を開始できる。 79

80.

IV.展開に関する考慮事項 • ブロックチェーンソリューションは一般に性能が 低下し、トランザクション処理スループットが低下 し、遅延が長くなる。 • このパフォーマンス低下は、信頼できない分権と 弾力性のために支払われるペナルティである。 • この状況は、並行性の問題があるスマートコント ラクトではさらに顕著になる。 • また、ブロックチェーン内全ての取引は開かれた 状態で行われるので、データ分析で最終的には 実際のアイデンティティの情報を推測することが できる。 • その結果、プライバシー維持は大変複雑な問題 になる。 80

81.

• デバイスは、全てのトランザクションに新しい キーを使用するか、取引相手ごとに異なるキー を使用すれば、パターンの識別を困難にはでき る。 • しかし、「全ての取引に新しい鍵」の問題は、この 新しい鍵を関心がある取引相手に伝えなければ ならず、非常に面倒なプロセスになる。 • ブロックチェーンは、コラボレーションが必要なエ ンティティ間でのみ設定し、デバイスの公開を最 小限に抑える方法が居る。 • これは、全て単一のブロックチェーンを適応する のと比較して、調整コストは明らかに増加するが、 プライバシーを高めるために必要なトレードオフ ともみられる。 81

82.

• トランザクションのプライバシー(すなわち機 密性)も達成することが難しい。 • 特定のプロセスに対応するように設定され、 使用後は破棄されるブロックチェーンは、許 容可能な回避策となる可能性がある。 • また、スマートコントラクトの法的強制力は限 られている。 • 法的強制力を高める一つの方法は、実際の 現実世界の契約をスマートコントラクトに含め ることである(「二重統合」)。 • 完全自律化は両刃の剣である。ロジックは注 意深く検査する必要がある。 82

83.

V. 結論 • ブロックチェーンとIoTとの組み合わせはかな り強力ではある。 • ブロックチェーンは、弾力性があり、真に分散 したピアツーピアシステムを提供し、信頼でき ない監査可能な方法でピアと対話する能力を 提供する。 • スマートコントラクトにより、複雑な複数ステッ プのプロセスを自動化することができる。 • IoT領域でのブロックチェーンとの統合は、いく つかの業界に大きな変革を起こし、新しいビ ジネスモデルをもたらし、既存システムとプロ セスの実装を再考させるキッカケとなる。 83

84.

第4章 まとめ • ブロックチェーンは取引者間の迅速な調整を可 能にする。 • そこで、これを利用して多段階プロセスの自動化 を行う取引プロトコールが構想された。 • こうして登場したスマートコントラクトは固有のア ドレスを持ち起動もし易い。 • ただ、スマートコントラクトにはそれなりのコスト がかかる(並列性の処理など)。 • しかし、製造業を作り替えるほどのキーアプリ ケーション(例:既配置デバイスのソフト/ファー ムアップデートなど)も想定されている。 • 更に、価値創造に繋がるサービス市場への道を 切り拓く可能性も有している。 84

85.

第5章 ブロックチェーンの必要性再考 • 利点、欠点がかなり明確になってきた。 • また、欠点を改善する案も出てきた。 • しかし、改善の方法はかなり複雑で、個別対 応が必要そうである。 • 一方、将来の可能性もかなり出てきた。 • 利点も大きそうだが、欠点改善の施策も一筋 縄では行きそうにない。 • そこで、何故ブロックチェーンが必要なのかを 再考する。 85

86.

Do you need a Blockchain? あなたはブロックチェーンが必要ですか? Karl Wüst and Arthur Gervais Crypto Valley Conference on Blockchain Technology (CVCBT), 2018 Karl Wüst ・research assistant and PhD Student in the System Security Group at ETH Zurich スイス Arthur Gervais ・eq 准教授 Imperial College London,英国

87.

Ⅰ. はじめに • ブロックチェーンは、社会がどのように取引し相 互作用するかを革新する技術イノベーションとし て高く評価されている。 • 無許可(Bitcoin / Ethereum)と許可(Hyperledger / Corda)ブロックチェーンは区別される。 • また、許可ブロックチェーンは集中型データベー スと類似性があるため、集中管理されたデータ ベースよりもブロックチェーンが適しているかどう かに疑念が生じる。 • 本稿は、特定のアプリケーションシナリオでブ ロックチェインが確かに適切な技術的ソリュー ションであるかどうかを批判的に分析する。 87

88.

II.ブロックチェーンの背景 • プライバシーと透明性には本質的トレードオフがある。 • 完全に透過的なシステムでは完全なプライバシーは 提供されない。 • 同様に完全に私的なシステムは透明性を提供しない。 • しかし、システムは依然として重要なプライバシー保 証を提供することができるし、同時に状態遷移のプロ セスを透明にすることもできる。 • 公開システムでのプライバシーは、暗号技術を使用し て達成するが、通常は、効率が低下するという犠牲を 払う。 • システム機能に透明性と公的検証可能性が要求され ないため、プライバシーは確実に集中システムで実現 する方が簡単である。 88

89.

III.ブロックチェーンはどこを感知するか? • 許可ブロックチェーンは、相互に信頼関係がない複数のエン ティティがオンラインで信頼できる第三者に同意したくない場 合にのみ意味を持つ。 データベース の一形態とし てのブロック チェーンは役 に立たない。 書き手が一人 だけの場合、 性能の良い通 常のデータ ベースが優れ ている。 書き手がお互いを信頼し ているなら、共有書き込 みアクセス権を有する データベースが最良の案 である可能性が高い。

90.

• ブロックチェーンはコンセンサスメカニズムによっ て複雑さが増すため、集中システムの方がレイテ ンシ、スループットの面で一般的にパフォーマンス が優れている。 • そこで、システムが相互信頼しない多数の書き手 とどのくらい上手くスケールするかと、スループッ ト間にはトレードオフが存在する(下図参照)。 90

91.

IV.ケースバイケース (1)サプライチェーン管理 • サプライチェーン管理は、デジタル世界と物理世界間 のインターフェースという固有の問題を抱えている。 • もし従業員の業務に信頼がない場合、任意のデータ は悪質な書き手によって提供できるため、サプライ チェーン全体が技術的に危険にさらされる(下図参照)。 91

92.

• 一方、もし全ての書き手が信頼できる場合は、 共有の書き込みアクセス権を持つ通常の データベースを代わりに使用できるため、ブ ロックチェーンは不要になる。 (2)スマートコントラクト • 契約パートナーは通常相互に完全には信頼して いないので、当事者が信頼できる第三者に頼る ことを望まない場合、ブロックチェーン技術は適 している。 • 契約の詳細が隠されたままで、契約が既知の参 加者の限られたセットにしか関係していない場合 は、許可ブロックチェーンが最適である。 92

93.

(3)分散自律型組織(DAO) • DAOとは、一連のスマートコントラクトを通じて 自律的に運営される組織のことで、従来の組 織や企業と異なり、中央制御や管理がない。 • 通常、DAOには多くの投資家がいて、DAOの 資金をどのように投資すべきかを投票して決 める。 • 組織の目標は完全に分散された方法で統治 され、投資家はお互いを知らないか、信頼し ないので、無許可ブロックチェーンが適してい る。 93

94.

(4)IoT • 多くの人がIoTにブロックチェーンのスマートコント ラクトを組み合わせ、消費するリソースに対して は支払い、提供するリソースに対しては所得を得 る自律的システムを目指している。 • システムは本質的には互いを信頼しないエンティ ティで分散されている。 • しかし、物理的世界とデジタル世界とのインター フェースは潜在的な問題を提起する。 • コンピュータがセンサから読み取った値をブロッ クチェーンに供給する場合、ブロックチェーンは値 の正確性を保証しない。 • 自動化のみが望まれていて、信頼できる当事者を 使用できる場合はブロックチェーンは必要ない。 94

95.

V. 結論 • 集中データベースと無許可ブロックチェーンま たは許可ブロックチェーンの選択は自明では ない。 • 本稿で初めてどのアプリケーションシナリオに 応じてどの技術的ソリューションが最も適切 かを判断する構造的方法論を提示した。 • 本手法は、必要とされる信頼の仮定、適用要 件、関係当事者、スループット、待ち時間など の技術的特性を考慮に入れた。 95

96.

Blockchain challenges and opportunities: a survey ブロックチェーンの課題と機会:サーベイ Zibin Zheng, Shaoan Xie, Hong-Ning Dai, Xiangping Chen, Huaimin Wang Int. J. Web and Grid Services, Vol. 14, No. 4, 2018 Zibin Zheng ・教授, Sun Yat-Sen University, 中国 Shaoan Xie ・Sun Yat-Sen University, 中国 Hong-Ning Dai ・Macau University of Science and Technology, 中国 Xiangping Chen ・Sun Yat-sen University, 中国

97.

Ⅰ. はじめに • ブロックチェーンには、分散化、永続性、匿名 性、監査性など様々な利点がある。 • ただし、技術とアプリケーション両面からのブ ロックチェーン技術の包括的調査はない。 • ブロックチェーン技術を使用すると、トランザ クションを分散で実行できるため、コストを大 幅に節約し効率を向上させることができる。 • ブロックチェーン技術は将来のインターネット システム構築に大きな可能性を秘めている一 方、多くの技術的課題にも直面している。 97

98.

• • • • 代表的課題例 スケーラビリティ問題:ブロックサイズが1MBと 大きく、ネットワーク内伝播も遅く、高頻度取 引には不向き。規模拡大も困難 分岐が頻繁に発生する可能性:マイナーは利 己的戦略でより収入増加の可能性 プライバシー漏洩が発生する可能性:自分の 公開鍵秘密鍵を使った取引だけでも発生 コンセンサスアルゴリズムの問題:PoWはエネル ギー浪費のし過ぎ。PoSは金持ちがより豊か になる現象の可能性 98

99.

Ⅱ.ブロックチェーンアーキテクチャと Ⅲ. コンセンサスアルゴリズム • Bitcoinブロックチェーンでは、約6個のブロック が生成されると関連するブロックチェーンは本 物と見なされる。 • Bitcoinブロックは約10分毎に生成され、 Ethereumブロックは約17秒毎に生成される。 • 多くのブロックチェーンは最初はPoWを採用し、 徐々にPoSに変換されている。 • コンセンサスアルゴリズム比較を以下に示す。 99

100.

Ⅳ.ブロックチェーンの応用 • ブロックチェーンの5つの代表的なアプリケーショ ン領域を下図に示す。 ①金融 ⑤セキュリティ とプライバシ ②IoT ④評判システム ③公共および 社会サービス 100

101.

IoTについて • IoTの典型的キラーアプリケーションには、1) RFID、2) スマートホーム、3) e-ヘルス、4) ス マートグリッド、5) 海運業などを伴った物流管 理などがある。 • ブロックチェーンとスマートコントラクトに基づ いてスマート財産の取引を実現するIoT e-ビ ジネスモデルも提案されている。 • 第三者の認証なしにデバイスがその製造起 源を証明できる新しいアーキテクチャが提案 され、匿名で登録することが許可されている。 • 家庭内の機器が運用上の問題を識別し、ソフ トウェアアップデートを自分で取得できるシス テム(ADEPT)も提案されている。 101

102.

Ⅴ.課題と最近の進歩 (1)スケーラビリティ • 現在Bitcoinブロックチェーンは100GBのストレー ジを超え、スケーラビリティ問題は非常に困難な 状況にある。 • 提案された対策は2つに分類される。 1. ブロックチェーンストレージの最適化:新しい暗号 通貨方式の提案。古いトランザクションレコード は削除され、データベースは空でないアドレス の残高のみを保持するので、トランザクションが 有効であるかどうかによらず全トランザクション を格納する必要がなくなる。 2. ブロックチェーンの再設計:Bitcoin-NG(Next Generation)の提案。主な考えは、従来のブロッ クを2つの部分、①リーダーを選ぶためのキーブ ロック、と②トランザクションを格納するためのマ イクロブロックに分離する。 102

103.

(2)プライバシー漏洩 • ブロックチェーンは、実際の身元ではなく生成さ れたアドレスで取引を行うので、安全であると考 えられているが、プライバシーを保証することは できない。 • ブロックチェーンの匿名性を向上させるための提 案は大きく2つに分類される。 1. ミキシング:多くのユーザーが同じアドレスで頻 繁に取引するので、ユーザーの実際のIDにリン クされてしまう。ミキシングサービスは、複数の 入力アドレスから複数の出力アドレスへ転送す ることによって匿名性を提供する。 2. 匿名:ゼロ知識証明が使用され、簡潔な非対話 型引数が活用されて、取引金額とユーザーが 保有するコインの価値が隠される。 103

104.

(3)利己的なマイニング • ブロックチェーンは利己的なマイナーを結集さ せた攻撃を受けやすい。 • 最近の調査では、51%未満の計算能力を持 つノードでも危険であることが分かった。 • 利己的マイニングに基づいて、ブロックチェー ンがそれほど安全ではないことを示すために、 多くの攻撃が提案されている。 • 利己的マイニング問題を解決するのを助ける ために、正直なマイナーがどの分岐をたどる べきかを選ぶアプローチ法が提案されている。 • ただし、偽造可能なタイムスタンプに対しては 脆弱なようだ。 104

105.

Ⅵ.今後の方向性 (1)ブロックチェーンテスト • 現在、700を超える暗号通貨が掲載されている が、ブロックチェーンのパフォーマンスを偽造す る開発者もいる。 • そこで、ブロックチェーンをビジネスに組み込む 際、どれが要件に合うかを知るためのブロック チェーンテストが確立される必要がある。 (2)集中化の傾向の抑止 • ブロックチェーンは分散システムとして設計されている がマイナーはマイニングプールに集中の傾向がある。 • 合理的マイナーは利己的プールに引き寄せられ、最 終的には総コンピューティング能力の51%を超える危 険性があり、この問題を解決する必要がある。 105

106.

(3)ビッグデータ解析 1. データ管理:ブロックチェーンをビッグデータ と組み合わせることで重要なデータを分散し て安全に保管することができる。 2. データ分析:ブロックチェーン上のトランザク ションをビッグデータ分析に使用できる。 (4)スマートコントラクト • スマートコントラクトの評価にはコード分析と性能 評価がある。 • スマートコントラクトのバグは壊滅的な損害をも たらす可能性がある。 – 例えば、再帰的な呼び出しのバグで、スマートコント ラクトであるDAOから6,000万ドル以上が盗まれた。 106

107.

• そのため、スマートコントラクトアタック分析は 非常に重要である。 • 一方、スマートコントラクトの履行もスマートコ ントラクトにとって極めて重要である。 • 企業はアプリケーションのパフォーマンスを考 慮に入れる必要がある。 (5)人工知能 • ブロックチェーンは、人工知能のために新た な機会を生み出している。 • AIテクノロジは、例えば、契約条件が満たされ ているかどうかを判断するなどの問題解決に 役立つ。 107

108.

Ⅶ. 結論 • ブロックチェーン開発を妨げる可能性のある いくつかの問題をリストアップし、これらの問 題を解決するためのアプローチを要約した。 • 現在、スマートコントラクトは急速に発展し多く のスマートコントラクトアプリケーションが提案 されている。 • ただし、スマートコントラクト言語には多くの欠 点や制限があり、現在多くの革新的なアプリ ケーションを実装するのは困難な状況にある。 108

109.

第5章 まとめ • プライバシーと透明性にはトレ-ドオフがある。 • どの位スケールさせられるかとスループットにも トレードオフがある。 • そこで、どのような場合にどのような方式が適切 かはアプリケーションシナリオに依存する。 • 現在、ブロックチェーン技術とアプリケーション両 面を跨いだ具体的構成や適性を示唆する調査 や研究は無い(あるいは未整備)。 • ブロックチェーンの代表的問題に対する検討も 進んではいるが、完全な解は登場していない。 • 現在は、アプリケーションシナリオ毎に個別判断 することが求められる状況であり、実装が困難な 場合も多い。 109

110.

第6章 ブロックチェーンベースIoT アプリケーションの概要 • 次に、アプリケーションの側面から課題 を考えてみる。 • 多様なアプリケーションへのブロック チェーンの適応は既に多くの検討があり、 文献で公開されている。 • そこで、統一的方法でアプリケーション 側から調査する。 110

111.

A systematic literature review of blockchain-based applications:Current status, classification and open issues ブロックチェーンに基づくアプリケーションの系統的文 献レビュー:現状、分類および未解決の問題 Fran Casino, Thomas K. Dasaklis, Constantinos Patsakis Telematics and Informatics 36 (2019) 55–81. Fran Casino ・Rovira i Virgili University, Tarragona, Catalonia スペイン Thomas K. Dasaklis ・University of Piraeus, Dept. of Industrial Management and Technology, ギリシャ Constantinos Patsakis ・University of Piraeus ギリシャ ピレウス大学、ギリシャ、アテネ近郊 ロビラ・イ・ヴィルギリ大学

112.

Ⅰ. はじめに • 本稿は、ブロックチェーン技術の現状と応用 を調査し、この技術がどのようにしてビジネス に革命を起こすかを明らかにする。 • 暗号通貨の数は現在1900を超え成長してい る。このような成長ペースでは、暗号通貨アプ リケーションの不均一性により、間もなく相互 運用性の問題が生じる。 • ブロックチェーンは、スマートコントラクトが中 心的役割を果たしているため、暗号通貨以外 の分野でも使用されるようになり、ランドス ケープは急速に進化している。 112

113.

• 3世代のブロックチェーンを区別することができる。 ① デジタル暗号通貨取引を可能にするアプリケーショ ンを含むBlockchain 1.0 ② SC(スマートコントラクト)と暗号通貨取引を超えて拡 張された一連のアプリケーションを含む Blockchain2.0 ③ 政府、保健、科学、IoTなど、前の2つのバージョンを 超えた分野のアプリケーションを含むBlockchain 3.0 • しかし、現在まで最先端のアプリケーションの具 体的・体系的なレビューは欠けていた。 • 本稿は下記に焦点を当てる。 ブロックチェーンベースアプリケーションは時間とと もにどのように開発されているか? ii. ブロックチェーンアーキテクチャの技術的制限はど のように特定分野のプロセスに影響しているか? iii. さまざまな分野やテーマ分野に渡るブロックチェー 113 ン技術の適合性は何か? i.

114.

Ⅱ.ブロックチェーンの概要と Ⅲ.研究方法と Ⅳ.記述分析 • Compute Interface層によ り、ブロックチェーンはより 多くの機能を提供できる。 – 契約条件を履行するのに ブロックチェーンのノードを 使用するSCも一例 ブロックチェーンアーキテクチャの概要 • Governance層はブロックチェーンアーキテク チャーを拡張して、物理世界で起きる人間の 相互作用をカバーできる。 • 新しい方法で統合し、多様なグループからの 入力によっても影響を受ける。 – 一例はオフチェーン(連鎖外)による社会的プロセ スの構成 114

115.

Ⅴ.ブロックチェーンベースのアプリケーションの分類 • アプリケーションの分類を厳密な統計的方法論を採用 して行って結果を下図に示す。 ビジネス、産業 プライバシとセキュリティ データ管理 教育 金融 健康 IoT インテグリティ検証 政府 • 幾つかの事例を次頁以降に示す。

116.

(1)IoT • 分散型IoTプラットフォーム実装に対する関心の 高まりと投資は、主にブロックチェーン技術とその 固有の機能によって推進されている。 • 相互接続された多数のスマートデバイス間で状 況に応じた安全なシナリオで監査可能なデータ 交換が提供される。 • 自動化された分散型手法で運用することで、高 いスケーラビリティと効率的な管理が可能になる。 • ブロックチェーンの相互運用性は、独立した安全 なリアルタイム支払いサービスを可能にし、伝統 的商取引、eコマース、パブリックおよびプライ ベートな交通システムを強化する。 • 将来は、IoTデバイスは、サービスと引き換えに マイクロトランザクションが実行され、暗号通貨 ベースの銀行口座と直接リンクされる。 116

117.

(2)ヘルスケア管理 • ブロックチェーン技術は、公衆衛生管理、長期医 療記録、自動化された健康診断、オンライン患 者アクセス、患者の医療データの共有、ユー ザー指向の医学研究、偽造医薬品、臨床試験、 精密医学などの分野で中心的な役割を果たす 可能性がある。 • 特に、スマートコントラクトの使用は、臨床試験に おける所見の科学的信頼性の問題と患者の知 らされる同意問題を解決する可能性がある。 • 患者の電子医療記録(EHR:Electronic Healthcare Records)管理は、おそらく最も高い成 長が見込まれる分野である。 117

118.

(3)プライバシーとセキュリティ • ブロックチェーンは、ビッグデータセキュリティと データマイニング手法を実装する効率的ストレー ジシステムと組み合わせた際のスケーラビリティ 強化と見なせる。 ➢ Namecoin:分散バージョンDNSを実装する オープンソースのブロックチェーン技術である。 ➢ Alexandria:あらゆる種類のメディアの安全 で分散化されたライブラリを提供する、オープン ソースのブロックチェーンベースのプロジェクトで ある。 ➢ SIRIN LABS:高速で無料で安全な取引を提 供できる最初のブロックチェーンベースのスマー トフォンを開発した。 ➢ BitAv:ウイルスパターンの配布を強化するマル ウェア対策ブロックチェーンベースソリューション である。 118

119.

(4)サプライチェーン管理 • ブロックチェーンは、ビジネスプロセスを改善、最 適化、自動化することによって、ビジネスと経営 における破壊的革新の重要な源となる。 • ブロックチェーンアプリケーションは、時間と 費用を節約しながら、かなりの性能向上と商 品化の機会を提供し、eコマースの信頼性を 向上させ、IoT企業の運用を最適化することが できる。 • ブロックチェーン技術はサプライチェーンネッ トワークの透明性と説明責任を高め、より柔 軟なバリューチェーン構築を可能にする。 119

120.

Ⅵ.未解決の問題と将来の傾向 (1)ブロックチェーンの適合性 • データを保存する必要がない場合、ブロックチェー ンは既存ソリューションに新たな価値の追加は無い。 • 書き手が1人の場合もブロックチェーンは通常の データベースと比較して新たな価値を追加しない。 • 代わりに、相互に信頼できない複数エンティティ が対話してシステムの状態を変更する場合、ブ ロックチェーンは解決策になる可能性がある。 • 伝統的データベースに対して4つの主要なブロッ クチェーンの可能性を評価するチェック項目: ① ② ③ ④ 必要とされる信頼の前提 文脈の必要条件 パフォーマンス特性 必要とされる合意メカニズム 120

121.

(2)遅延とスケーラビリティ • ブロックチェーンアーキテクチャは、進化するに 連れて深刻なレイテンシの問題に直面する。 • 許可ブロックチェーンは、はるかに効率的ではあ るが、要求される水準には達していない。 • Bitcoin-NGではブロックをリーダー選挙のキーブ ロックと取引格納のマイクロブロックに分ける。 • IoTネットワークでは、適切に構成された集中型 アーキテクチャが、一般的にはブロックチェーン ソリューションより高いスループットを達成する。 • 現在、Ethereumコミュニティはシャーディング(各 破片(shard)がそれぞれの状態とトランザクショ ン履歴を保存する断片にブロックチェーンを分割 すること)を検討している。 121

122.

(3)ブロックチェーンの採用と相互運用性 • ブロックチェーンベースアプリケーションの数 は急速に増えており、膨大な数の異種ソ リューションを生み出している。 • 実装と機能の多様性は標準化を妨げ、難し い相互運用性問題を生み出している。 • 多くの企業はビットコイン取引所で取引されて いるファンドを市場に投入しようとしている。 • 結果、暗号通貨の制御不能な成長は投機的 攻撃や悪意のある通貨交換危機を引き起こ す可能性を高めている。 • 何人かが、より相互運用可能なアーキテク チャに向けたソリューションを提案している。 122

123.

(4)データ管理とプライバシー/セキュリティのソリューション • 安全でプライベートデータ管理・保管の文脈における 大きな利点にもかかわらず、ブロックチェーンにはいく つかの制限と弱点がある。 1. 情報は公開元帳として保存されているため、プライ バシーと機密性は依然問題となっている。 2. 情報の機密性を保護する幾つかの手段はあるが、 それらはIoTネットワークにとっては要求が厳しすぎる。 3. 殆どの企業や個人は、ネットワーク全体に伝播する トランザクションとスマートコントラクトの運用につい て心配している。 4. スマートコントラクトはプログラムと似ているので、エ ラーが頻繁に含まれるため、多額の損失が生じる危 険性がある。 – 最も重要なスマートコントラクトの脆弱性や虐待の幾つか を回避するこれまでの提案の中で、最も有望なものは基 123 礎となるプログラミング言語の表現力の制限である。

124.

Ⅶ. 結論 • ブロックチェーンアプリケーションが広く展開され ているが、多くの問題に対処できていない。 • 対処することで、ブロックチェーンはよりスケーラ ブルで効率的になるが、それらが基づくメカニズ ムの大部分は何年も前から知られているものだ。 • 多くの人がデータベースに代わるものとしてブ ロックチェーンを提案しようとしているが、それは 真実ではない。 • 従来のデータベースが適当なシナリオは多数あ る。 • 適切なブロックチェーンの選択とアプリケーショ ンの実際のニーズに合わせたブロックチェーン の調整が必要である。 124

125.

第6章 まとめ • 多数の暗号通貨の登場によって各種アプリケー ション間にも相互運用性の問題が浮上してきた。 • ブロックチェーンは既に3世代が区別できる段階 に到達し、各世代に対応するアプリケーションも 異なる。 • IoT、ヘルスケア、行政、プライバシーとセキュリ ティなど個別アプリケーション毎に考慮すべき内 容は異なる。 • それぞれの分野毎の未解決の課題への取り組 みが必要になっている。 • ブロックチェーンが適切なソリューションである領 域の絞り込みも更に吟味が必要である。 125

126.

第7章 IoTとブロックチェーンの統合再考 • そこで、個別課題に具体的に取り組むには各 アプリケーションシナリオに沿ってブロック チェーンとIoTの統合見直しのような視点が必 要になる。 • 事例としてはスマートシティ、スマートグリッド、 スマートホーム向けなど多数ある。 • IoT導入システムの規模は拡大しており、クラ ウドコンピューティングやフォグコンピューティ ングなど新たなネットワークとの統合も検討 対象となっている。 126

127.

On blockchain and its integration with IoT. Challenges and opportunities ブロックチェーンとIoTとの統合について:課題と機会 Ana Reyna, Cristian Martin, Jaime Chen, Enrique Soler, Manuel Diaz. Future Generation Computer Systems 88 (2018) 173–190 Ana Reyna ・Universidad de Málaga, スペイン Cristian Martín Jaime Chen ・University of Malaga, スペイン Enrique Soler マラガ大学 スペイン Manuel Diaz ・教授,Computer Science, Malaga University,スペイン

128.

Ⅰ. はじめに • IoTのビジョンでは、従来のデバイスはスマー トかつ自律的になる。 • 現在の都市がスマートシティに、配電網がス マートグリッドに、住宅がスマートホームに変 わることにおいて中心的役割を果たす。 • その中で、ブロックチェーンは、我々が情報を 共有する方法を変革する重要な技術として浮 上している。 • 本稿はブロックチェーンがIoTを改善する可能 性を分析するのに最も関連のある作業を調 査することを目的としている。 128

129.

• IoTの大幅な拡大は、適応分野での既存の不均 一性を減少させ、標準メカニズムとプロトコルに よってサポートされることが期待されている。 • その中で特にセキュリティ分野、例えばデータの 信頼性などに関し取り組むべき課題がまだまだ 多い。 • 信頼できない事業体は、自分の利益に従って情 報を変更しようとする。 • そこで、情報が決して変更されていないことを確 認することが必要になる。 • 信頼性を提供する1つの方法が、データが不変 のままであることを保証し、全ての参加者によっ て信頼される分散サービスを使用することである。 129

130.

Ⅱ. ブロックチェーン • 情報システムの信頼性に関して2008年2つの過 激な概念が発表された。 – ビットコインとブロックチェーン。 • ブロックチェーンは、信頼できないアクターのグ ループによるトランザクション検証を可能にする メカニズムであった。 • これを支える作業証明(PoW)は、ブロックチェー ンネットワークで信頼できない合意を可能にする 鍵であり、①ブロック生成に必要な計算集約的 な仕事で、②解決が複雑でありながら同時に完 了したら検証が容易でなければならなかった。 • また、ブロックチェーンは、スマートコントラクトの 概念を具体化できる技術をも提供した。 130

131.

(1)ストレージ容量とスケーラビリティ • しかし、ブロックチェーンはストレージ容量とス ケーラビリティが深く疑問視されてきた。 • そこで、Bitcoinモデルの限界を考慮して種々の 案が登場して来た。 ✓ Bitcoin-NG:合意待ち時間改善の新提案 ✓ Litecoin:トランザクション確認時間の短縮(10 分から2.5分に)とストレージ効率向上 ✓ GHOST:チェーン選択規則の変更でスケーラビ リティ向上 ✓ オフチェーンソリューション:トランザクションを チェーン外で実行し帯域幅を増大 ✓ BigchainDB:ビッグデータの高スループット、 低い遅延特性を生かした提案、など 131

132.

(2)匿名性とデータプライバシー • Bitcoinの主な機能は透明性であり、これはプライ バシーに悪影響を及ぼす。そこで、機密データを 扱うアプリケーションでは、より高いレベルのプラ イバシーが必要になる。 • Bitcoinで匿名性に取り組む一般的方法は ZerocashとZerocoinである。 • Moneroは、トランザクションを追跡不能にする ために一連の署名を使用する。 • Bitcoin Fog、Bit Laundryはトランザクション をより小さな支払いに分割し、難読化を行う。 • Multichainはユーザの許可を統合して可視性 を制限し、マイニングを制御する。 • データのプライバシーに取り組むもう1つの方法 は、一般にオフチェーンソリューションと呼ばれる、 機密データをチェーン外に保存することである。 132

133.

(3)スマートコントラクト • スマートコントラクトコードはブロックチェーンに格 納され、各契約は一意のアドレスで識別される。 • ユーザーがそれを操作するのは、このアドレス にトランザクションを送信するだけで良い。 • Ethereumの契約書コードは、低レベル、スタック ベースのバイトコード言語である「Ethereum仮想 マシンコード」で書かれている。 • スマートコントラクトは、一連の攻撃に脆弱なため、 無償では実現できない。 • スマートコントラクトが広く機能し、安全性が担保 されるためには、スマートコントラクトの正しい運 用を検証/保証するメカニズムが必要である。 133

134.

(4)コンセンサス • PoWはビットコインをエネルギー消費型に依存さ せ、マイニングプール急増が予想外の集中化を 促進させた。 • そこで、改良が必要だが、最も一般的な代替ア プローチはProof of Stake(PoS)である。 • PoSの背後にあるアイディアは、機会費用をシステ ム外部からシステム内部に移動させることである。 • プライベートブロックチェーンでも、特性に適合す る合意メカニズムを必要としている。 • HDACは、IoT環境に合わせて特別に調整されて おり、ePow合意アルゴリズムを使用している。 • 目的は、複数のマイニングノードの参加を動機 付け、過度のエネルギー浪費を防ぐことである。 134

135.

Ⅲ. IoTとブロックチェーンの統合 • IoT情報が多くの参加者間で安全に共有され るべきである場合、IoTとブロックチェーンの統 合は重要な革命をもたらす。 • この統合によってもたらされる可能性のある 改善には以下が含まれる。 – 分散化とスケーラビリティ:障害中心点の除去 – アイデンティティ:機器/データ識別、データ不変 – 自律性:サービスとしてのスマートな自律資産化 – 信頼性:データのトレーサビリティと説明責任 – セキュリティ:情報と通信の保護や最適化 – サービスの市場:データ市場の創出を促進 – 安全なコードの展開:コードを安全にプッシュ 135

136.

• 基礎となるIoTインフラストラクチャ間の通信に係る相 互作用の形態を特定する必要がある(下図参照)。 • IoT - IoT:IoTデータの一部のみをブロックチェーン に格納。IoT相互作用はブロックチェーン未使用(a) • IoT -ブロックチェーン:全ての相互作用がブロック チェーンを通過。全ての相互作用が追跡可能(b) • ハイブリッドアプローチ:相互作用とデータの一部のみ がブロックチェーン内で実施。残りはIoTデバイス間(c) ブロックチェーンIoTインターラクションの類型 136

137.

• IoTとブロックチェーン間のギャップを埋めるため に、有名企業間のアライアンスが登場し始めて いる。 • 市場で入手可能な統合ブロックチェーン機能を 持つデバイスも増えている(例は下記)。 • EthEmbedded はRaspberry Pi、Beaglebone Black、Odroidなどの組込み機器にEthereumフル ノードを搭載可 • Raspnode、EthraspbianはRaspberry Piへ のBitcoin、Ethereum、Litecoinのフルノードを搭 載可能 • Antrouter R1-LTCは、Litecoinのマイニング も可能 137

138.

• フルノードは、ブロックチェーン全体(Bitcoinは 150 GB、Ethereumは46 GB)を格納する必要があ り、IoTデバイスでは展開が非常に制限される。 • 軽量ノードでは、ブロックチェーン全体をダウン ロードしなくても信頼性が検証できるので、IoTデ バイスでの実行と保守は容易になる。 • しかし、多くのブロックチェーンは軽量ノードをサ ポートしていないのが現状である。 • ブロックチェーンとIoT統合の明確な代替手段の 1つは、IoTとクラウドコンピューティングの統合で ある。 • 但し、クラウドコンピューティングは通常、集中型 なので、これは、ブロックチェーンとは異なる。多 くの参加者との信頼できる共有が複雑になる。 138

139.

(1)ストレージ容量とスケーラビリティ • ブロックチェーンのストレージ容量、スケーラビリ ティ問題はIoTアプリケーション文脈でははるか に大きな問題になる。 • これらの制限を緩和または回避できる方法がい くつかある。 • 現在、多くのIoTデータは限られた部分のみが知 識の抽出とアクション生成に役立っている。 • そこで、IoTデータをフィルタリング、正規化、圧縮 する様々な技術が提案されている。 • データ圧縮は、送信、処理タスク、生成された大 量のIoTデータの保存を軽減できる。 • また、帯域幅の拡大は待ち時間を短縮させるこ とで、IoTへの移行を促進させる。 139

140.

(2)匿名性とデータプライバシー • IoTデバイスでのデータプライバシー問題はデー タ収集から始まり、通信やアプリケーションのレ ベルにまで及ぶためより困難である。 • セキュリティで保護された暗号化ソフトウェアを デバイスに統合する必要があるため、データが 安全に保存され、許可なく人がアクセスできない ようにデバイスを保護することはより困難になる。 • これらは、装置のリソース制限と経済的実行可 能性に関連した制限と関連する。 • IoTデバイスの制限により、セキュリティプロトコ ルを組み込むために、ゲートウェイなど制約の少 ないデバイスを使用する必要が生じることがよく ある。 140

141.

(3)スマートコントラクト • スマートコントラクトを扱うには現実のデータを信 頼できる方法で提供する特別なエンティティが必 要である。 • IoTはクラウドコンピューティングとビッグデータの 分散機能を利用して処理能力を向上させてきた。 • 大量データを同時に処理することが可能になり、 以前には困難であった大きなデータセットから知 識を抽出することが出来るようになった。 • IoTとブロックチェーンの統合では、スマートコント ラクトの分散性を生かしつつ、ビッグデータとクラ ウドコンピューティングで提供され、IoTで必要と される処理機能を巧みに有効にする必要がある。 • アプリケーションがIoTに対処できるように、フィ ルタリングとグループメカニズムをスマートコント ラクトで補完する必要がある。 141

142.

(4)コンセンサス • IoTアプリケーションの文脈では、デバイスのリソー スが限られているため、PoWなどの合意メカニズム は適していない。 • 種々のコンセンサスルールが提案されているが、 それらは一般に未熟であり、十分にテストされて いない。 • リソース要件はコンセンサスルールによって異な る。ソリューションはこれらのタスクをゲートウェイ、 または制約のないデバイスに委任する傾向がある。 • IoTの分散した性質と世界的可能性を睨んで、IoT 向けのコンセンサスルールを調整する必要があ る。 • PoWをIoTアプリケーションに適応させるProof of Understanding(PoU)という新しいコンセンサス ルールも提案されている。 142

143.

Ⅳ.プラットフォームとアプリケーション (1)IoT向けブロックチェーンプラットフォーム • スマートコントラクトを使用することは、ブロッ クチェーンとIoTを統合する際の一般的なソ リューションである。 • Ethereumは、プログラミング言語(Solidity)が 組み込まれたブロックチェーンと、グローバル に実行される合意ベースの仮想マシン (Ethereum Virtual Machine EVM)の両方とし て記述できる。 • スマートコントラクトを含めると、ブロック チェーンが通貨から離れ、新しい分野へのこ の技術の統合が促進される可能性がある。 143

144.

• ほとんどのIoTアプリケーションはEthereumを使用 するか、またはそれと互換性がある(下表参照)。 IoT-ブロックチェーンアプリケーション • Multichainプラットフォームでは、プライベートブ ロックチェーンの作成と配置が可能である。 (MultichainはBitcoin Coreのフォーク) • Multichainは、オリジナルのBitcoin Coreに新しい 機能を加えて拡張したAPIを使用しており、ポート フォリオ、資産、権限、トランザクションなどの管 理を可能にしている。 144

145.

(2)IoT-ブロックチェーンアプリケーションの例 • LO3 Energy:ブロックチェーンを使ったエネルギーマイクロ グリッド • ADEPT:自律分散型ピアツーピア遠隔測定。【PoCはSCを使 用して小売業者から洗剤を購入するスマート洗濯機】 • Slock.it:IoT資産を安全かつ迅速に借用できるシェアリング エコノミー • Aigang:IoT資産のための自律型保険ネットワーク • MyBit:IoT資産を一群の人々で所有し収益を共有するサー ビスエコシステム • AeroToken:低高度商用ドローン用のリアルタイムナビゲー ションと財産アクセス認証システム • Chain of Things:ブロックチェーン対応のIoT研究ラボ • Chronicled:世界で最も信頼されるIoTとサプライチェーンの エコシステム構築 • Modum:物理製品にデータの完全性を提供するサプライ チェーンプロセスの構築 • Blockchain of Things:産業用IoT統合のための安全な オープン通信プラットフォーム 145

146.

ブロックチェーンアプリケーションを作るためのブロックチェーンプラットフォーム • Litecoin は技術的にはBitcoinと同じ。Litecoin ノードの計算要件が低いため、IoTに適している。 • Lisk は、サブブロックチェーンまたはサイド チェーンをBitcoin, Ethereumなどと共に定義でき るプラットフォーム • Quorumは、金融サービスにEthereumの許可 された実装を提供するために開発されたプラット フォーム • HDACは、現在開発中のIoTコントラクトおよび M2Mトランザクション向けのプラットフォーム 146

147.

Ⅴ.結論と今後の作業 • ブロックチェーンとIoTが共同でうまく機能するた めに取り組むべき主な課題を分析し、ブロック チェーン技術がIoTアプリケーションの改善に役 立つ重要なポイントを特定した。 • 2つの技術の統合は、特定された課題を考慮し て対処することでIoTに革命をもたらす可能性が ある。 • IoTにブロックチェーンを適用することの利点を慎 重に分析し検討すべきである。 • 両技術に影響を与えるスケーラビリティとスト レージ容量の問題を超えて、重要な技術のセ キュリティとプライバシー確保の研究も一層努力 する必要がある。 147

148.

第7章 まとめ • IoTインフラストラクチャ間の通信形態を特定する ことでブロックチェーン適応を限定することができ る。 • IoTデバイスにはブロックチェーンの要素搭載の 機器も登場してきた。 • クラウドコンピューティング、フォグコンピューティ ングとの統合も必要になった。 • 但し、クラウドコンピューティングとの統合は集中 型の導入で、ブロックチェーンとは異なる性格と の統合なので一層複雑な構成になる。 • それでも、現実には、複雑な統合による多様な システムの登場が求められている。 • それぞれの利点を生かした活用研究の継続が 求められる。 148

149.

第8章 IoTへブロックチェーン適応の将来 • 多くの課題を残しつつも、それなりにIoT 分野へのブロックチェーン適応の検討は 進んでいる。 • そこで、これからの展望を見据えること が必要な段階に来ている。 • スケーラビリティ問題やストレージ制約 問題などの根本的課題改善を引き続き 見据えながら、IoTへのブロックチェーン 適応の展望と今後の課題を考える。 149

150.

Blockchain’s adoption in IoT: The challenges,and a way forward ブロックチェーンのIoTへの採用:課題と今後の展望 Imran Makhdoom, Mehran Abolhasan, Haider Abbas, Wei Ni Journal of Network and Computer Applications 125 (2019) 251–279 Imran Makhdoom ・PhD , University of Technology Sydney,豪州 Mehran Abolhasan ・准教授, University of Technology Sydney, 豪州 Haider Abbas, ・IET Fellow NUST-パキスタン / FIT- 米国 Wei Ni

151.

Ⅰ. はじめに • IoTデバイスは膨大な数のセキュリティとプライバ シー問題に対して脆弱である。 • しかし、現在は無視されるか、後付けとして扱わ れている。 • 今後、ビジネスモデルは、コストがかかり信頼さ れる集中型アーキテクチャから、自己調整型で 自己管理型の分散型モデルに移行する。 • これがIoTの将来にとって重要になる。 • これに関連して、ブロックチェーンは、望ましい分 権化とそれに伴う信頼不要のネットワークを実現 するメカニズムの1つと考えられている。 151

152.

• しかし、既存のブロックチェーン技術がIoTにどの ように影響するかについて包括的な調査は行わ れてこなかった。 • IoTにブロックチェーンを利用することでセキュリ ティ問題が解決できるか、そうすることの障害は 何かを明らかにする必要がある。 • 本論文は、IoTの脅威環境、その結果としてのIoT のセキュリティとパフォーマンス要件、およびブ ロックチェーン技術の進歩がIoTに与える影響に ついて系統的にレビューする。 • IoTデバイスはほとんど保護されていない環境で 動作しており、物理的な危惧化に対して脆弱で 悪意のあるデバイスの動作につながる可能性が ある。 152

153.

Ⅱ. IoTの背景 仕事/機能/目的 世界はまだ単一のIoT参照モデルに同意できていない。 活動とサービスの管理 アプリケーション層から受け取ったデータに基づいて、ビ ジネスモデル、グラフ、フローチャートなどの作成 ビッグデータ分析に基づく意思決定プロセスの支援 将来の行動や戦略の決定に有用な活動 サービス提供 ビジネス層へのインタフェース提供 データアクセス制御 ミドルウェア内のオブジェクトの情報処理に基づくアプリ ケーションのグローバル管理 住所と名前に基づく要求者とのサービスのペアリング 受信データの処理と決定、ネットワークワイヤプロトコル を介した必要なサービスの提供 サービス管理 他層からデータ受信して処理と計算と意思決定能力 生成されたデータのサービス管理層への転送 機器間および機器から受信機へのデータ送信 センサーから情報処理システムへのデータ転送 転送元ノードから転送先ノード/クラウドサーバーへの データ転送 センサーデータの収集 データをデジタル化してオブジェクト抽象化層に転送 物理的コンポーネント、スマート家電、電力供給業者 などの基本的ハードウェア構成など ビジネス層 ビジネス層 アプリケー ション層 アプリケー アプリケー アプリケー アプリケー ション層 ション層 ション層 ション層 サービス管理 /ミドルウェア層 ミドルウェア層 クラウド層 オブジェクト ネットワーク層 ネットワーク/トラ ネットワーク層 ネットワーク層 抽象化層 ンスミッション層 オブジェクト/ 知覚層 知覚層 物理層 センサー層 知覚層/ デバイス層 センシング層

154.

• 上述の特殊性により、IoTは従来のITネットワー クとは異なる。 • これらの違いは、IoTシステムに必要なセキュリ ティとプライバシーソリューションの開発に影響を 与える。 • IoTは通常、RFID、センサーノードなどのリソース が制約される組み込みデバイスを含む。 • 従って、バッテリ寿命、メモリ、プロセッサ使用状 況など、セキュリティとリソース消費のバランスを 保つ軽量セキュリティアルゴリズムが必要になる。 • IoTは、アプリケーション固有の機能とOSの欠如 により、データの内容とフォーマットが異なる。 154

155.

• 従って、この多様性のため、あらゆるタイプのIoT デバイスとシステムに適合する標準セキュリティプロ トコルの開発は困難である。 • IoTテクノロジの非標準化による脆弱性の増加は、 IoTシステムのセキュリティ問題を引き起こす可 能性がある。 • IoTアプリケーションはセンサーのデータに依存し ているので、偽造された記憶域とデータ操作や 不正な共有に対するセキュリティも必要である。 • デバイスのセキュリティを保証するためのデバイ ス認証やデバイスにインストールされたコードの 整合性を証明するチェックも必要になる。 155

156.

Ⅲ.ブロックチェーン技術の進歩とIoTへの影響 • IoTは、ブロックチェーンの主な利点(下図)を 活用して、増え続けるセキュリティとプライバ シーの問題を解決できる可能性はある。 156

157.

• IoTシステムに適するブロックチェーンプラット フォームを確認するための主なセキュリティ、パ フォーマンス考慮事項は下記の通りである。 157

158.

Ⅳ. IoTにおけるブロックチェーン採用への課題 • ブロックチェーンへのセンサーデータの安全 な入力をどのようにして確保するか? • どのブロックチェーンプラットフォームも、IoTに 焦点を絞ったIoT指向のコンセンサスプロトコル を実装していない。 • センサーノードとブロックチェーン間の仲介者 は、ブロックチェーンによって提供される暗号 化セキュリティを利用できない。 • 一方、追加のデバイス、Web、アプリケーショ ンのセキュリティ対策を講じる必要がある。 • IoTデバイスとブロックチェーンの安全な統合 はできていない状況にある。 158

159.

• 現在のコンセンサスプロトコルは、金融的価 値の移転に焦点を合わせて設計されている。 • 即時のトランザクション確認を必要とする殆ど リアルタイムなIoTシステムには適さない。 • 一般的なスマートシティIoTネットワークは数 千ものセンサーを含むことがあるので、帯域 幅効率と低い通信複雑性も重要な要件にな る。 • ブロックチェーンコンセンサスプロトコルに関 する側面は、IoTでの適用のために改善され る必要がある。 159

160.

• フィンテック指向のBitcoinや汎用のEthereum ブロックチェーンのトランザクション検証規則は、 IoTシステムに適していない可能性がある。 • 典型的なスマートシティIoTシステムは、すぐに膨 大な量のデータを生成する。 • 一方、ブロックチェーンはそのような大量のデー タを格納するようには設計されていない。 • だから、一方ではIoTデバイスの制約リソースに 対応し、他方で、ブロックチェーンの最大の利点 を引き継ぎ、安全なブロックチェーンベースのIoT ソリューションを設計するのは困難である。 • IoTデータは、ハードウェア/ソフトウェアの障害や 人的ミスによっても破損する可能性がある。 160

161.

Ⅴ.ブロックチェーンベースIoTアプリケーションとギャップ分析の最新動向 • 世界中の研究者やイノベーターが、IoT環境でブ ロックチェーンを実装するための独創的な方法を 開発し調査している。 • 幾つかのアプリケーション例と主な特徴を次頁 に示す。 • 2015年にIBMは、ブロックチェーンベースの自律 分散型ピアツーピア遠隔測定システム(ADEPT) の概念実証(PoC)を発表した。 • Ethereumブロックチェーンに基づき、単一障害点 無し、IoT用の分散型、自律型、堅牢、スケーラブ ル、安全なフレームワークの実装を目指している。 • しかし、これもPoC段階に留まり更なるテストが 必要な状況にある。 161

162.

要件に対する各アプリケーションの充足状況例 アプリケーション ADEPT 要件 スマートシ ファームウェ ティ ア更新 スマート ホーム VANET S eBusi ness SCM Slock.i t Enigm a × IoT中心合意 プロトコール × × × × × × × × IoT重視のTX 検証ルール × × × × × × × × スケーラビリティ 安全なデバイ ス統合 *1:ブロックチェーンにファームウェアファイルを保存しないことによって 〇 × 〇*1 〇*2 × × × *2:クラウドストレージにデバイスのデータを保存することによって × × × × × 〇*4 デバイス侵害 に対する保 護 *4:デバイスから外部へのデータの流れを制限することによって 安全なファーム ウェア更新 〇 データセキュリティ 〇 〇 プライバシー保 護計算 〇*3 × *3:1ブロック内で マイニングされるTX数 を制限することによって 〇 〇 〇 162

163.

• ブロックチェーンの本質的利点(トランザクション の完全性、認証、否認防止、および監査可能な イベントのログなど)にもかかわらず、IoTへのブ ロックチェーンの安全な導入には十分な検討が 必要な状況にある。 • 現在のコンセンサスプロトコルは即時のコンセンサス 終了性を欠いており、ブロックチェーンフォークにな りがちで、即時性が重要なIoT分野には依然とし て向いていない。 • 従って、IoT中心のコンセンサスプロトコルは、IoT 中心のトランザクション/ブロック検証ルール、 フォールトトレラントの向上、コンセンサス終了性、 通信の複雑さの低さなどの要因を考慮して設 計・開発する必要がある。 163

164.

Ⅵ. 今後の展望 ① 1. IoT環境用の理想的なコンセンサスプロトコ ルの設計と開発には、ブロックチェーンベー スのIoTシステム用コンセンサスプロトコルの 要件を既存の暗号通貨指向のコンセンサス プロトコルから区別する必要がある。 2. IoTシステムの最大の要件は、トランザクショ ② ンがIoT中心のトランザクション検証規則に 基づいて検証されるべきということである。 ③ 3. IoT トランザクション検証規則は慎重に作成 されるべきであり、それらはIoT環境の文脈 を組み入れなければならない。 164

165.

1. ④ IoT中心のコンセンサスプロトコルには、可能 な限り最小の障害/不正ノードを維持する機 能が必要である。 ⑤ スケーラビリティの問題に対処するために、 2. サイドチェーンやツリーチェーンなど、さまざ まなブロックチェーンアーキテクチャが提案 されている。 – ブロックチェーンにはデータへのポインタ/参照し か含まれておらず、すべてのノードがすべてのト ランザクションを複製するわけではない。 – スケーラビリティ問題に対処するための2層ブロッ クチェーンアーキテクチャの提案などもある。 165

166.

– BigchainDBは、ブロックチェーンとビッグデータ分 散データベースの両方の利点を利用するブロック チェーンデータベースを紹介している。 ⑥ 1. トランザクション確認時間を短縮するための シャーディング(Sharding)(James、2018)も研 究されている。 – トランザクション処理時間を短縮するため、 Ethereumネットワークオフチェーンを拡張して、 Ethereumブロックチェーンと直接取引することな どで、一組のノードが互いに支払いチャネルを確 立することを許容する方式も検討されている。 166

167.

⑦ ブロックチェーンとのIoTデバイス統合は、承認 1. されたデバイスのみがブロックチェーンと通信し、 スマートコントラクトメソッド呼び出しを許可され るデバイス登録によっても強化できる。 • これに対応させて、スマートコントラクトは選択された メソッドへのアクセスを特定ノードだけに制限すること もできる。 ⑧ 今日、ほとんどのIoTシステムで使用されるリ 2. ソース制約のあるIoTデバイスは、ブロック チェーンネットワークのマイナーノードまたはフ ルノードとして使用できないため、特定のクラウ ドプラットフォームに依存している。 167

168.

⑨ したがって、クラウドか 1. らブロックチェーン ベースのネットワーク へのスムーズな移行 を確実にするために、 IoTシステムは、IoTデ バイスよりもリソース の豊富なフォグコン ピューティングコン ポーネントを活用する のが現実的になって いる(右図参照)。 フォグコンピューティングを使用したブロッ クチェーンとIoTデバイスの統合概念図 168

169.

1. ⑩ より根本的にはBitcoin向けのブロックチェーン の制限をIoT向けに緩和、または進化させる総 合的な検討が重要になる。 ⑪ 2. このような視点からのブロックチェーンベース のIoT問題研究の一覧を次頁表に示す。 169

170.

Bitcoinブロックチェーンの制限の解決策(一覧) Bitcoinブロックチェーンの制限への対応 ブロックチェーンプラットフォーム/アプリケーション/テクノロジーの進歩 エネルギーおよび計算集約型PoWコンセンサス への対応 PoS (Szabo, 2004), PoET (Kastelein, 2016a), PoB (Iain, 2018), PoA (Ethcore, 2018; Proof of authority, 2017),BFT-based consensus protocols (Miller et al., 2016; Lamport, 1978; Schneider, 1990; NEO.org, 2017; Erik, 2017) コンセンサス最終性の欠如とフォーク発生に対 する対応 BFT-based consensus protocols (Miller et al., 2016; Lamport, 1978; Schneider, 1990; NEO.org, 2017; Erik, 2017) トランザクション確認の遅延に対する対応 Ethereum (GHOST, Casper) (Buterin et al., 2014), Hyperledger-Fabric (PBFT, SIEVE) (Hyperledger-fabric documentation, 2018), Bitcoin-NG (Eyal et al., 2016), and BFT-based blockchains (NEO.org, 2017) 低いスループットに対する対応 BFT-based blockchains (Multichain (Gideon, 2015), Hyperledger-Fabric (Hyperledger-fabric documentation, 2018)) 匿名性の欠如に対する対応 Monero(Monero, 2017), Zerocash (Zerocoin project, 2018) スケーラビリティの無さ(ブロックチェーンのサイ ズ)に対する対応 Universal and regional blockchains (IBM) (IBM, 2015), Sidechains (Zyskind et al., 2015b; Poon and Buterin, 2017), Data compression (NIST) (Konstantinos et al., 2016), Scalable blockchain architecture (Gaetani et al., 2017; Aniello et al., 2017), BigchainDB (Bigchaindb, 2018) 51%攻撃、二重払いに対する対応 BFT-based consensus protocols (Miller et al., 2016; Lamport, 1978; Schneider, 1990; NEO.org, 2017; Erik, 2017) ランタイムファームウェア/ソフトウェア更新なし への対応 Secure firmware upgrade (Lee and Lee, 2016), Gitar (Ruckebusch et al., 2016), RemoWare (Taherkordi et al., 2013) データのプライバシーに対する対応 Multichain (Gideon, 2015), Quorum (Quorum - white paper, 2016), Hyperledger-Fabric (Hyperledger-fabric documentation, 2018), Hawk (Kosba et al., 2016), DHT (Li, 2006) プライバシー保護計算に対する対応 Enigma (Zyskind et al., 2015a), Homomorphic encryption (Carpov et al., 2016) 制限されたスクリプトに対する対応 Smart contracts supported by Ethereum (Buterin et al., 2014), HyperledgerFabric (Hyperledger-fabric documentation, 2018) スマートコントラクトの法的問題に対する対応 Alastria (Alastria, 2017) (Idea of a national regulated blockchain) 無許可型/許可型ブロックチェーンへの対応 Private/Permissioned blockchains Ethereum (Buterin et al., 2014), Multichain (Gideon, 2015), Quorum (Quorum - white paper, 2016), Hyperledger-Fabric (Hyperledger-fabric documentation, 2018) 170

171.

Ⅶ. 結論 • 新たに到来するIoT時代に対処するには、設 計段階と開発段階の両方で概念的変革を受 け入れる必要がある。 • パフォーマンスの効率性、耐久性、運用効率、 金融的経済を達成するために、人間の介入 なしにマシンがマシンと対話できるようになれ ば、その日はそれほど遠くはないかもしれな い。 • したがって、自律的デジタル世界の将来の要 件を満たす安全なブロックチェーンベースの IoTシステムを設計し開発することが不可欠に なっている。 171

172.

第8章 まとめ • 根本的課題は残っているものの、それらに過 度に囚われずに、Bitcoinに根差すブロック チェーンの制限をIoT向けにはあえて緩和し てみる、というような柔軟な発想に立てば、多 様な案は既に登場している。 • 但し、その選択は個別要件に合わせて巧み に組み合わせなければならない。 • そのための経験の蓄積はまだまだ少ない。 • 現在は個別テーマに向けて最適ソリューショ ンを如何に構築するかが問われる時期に差 し掛かっている。 172

173.

第9章 まとめ • 現在、話題になっている分野、例えば、自動 車そのものと、スマートシティに公的移動手段 としてのMaaS(自動車など)取り込みに例を とって、どの程度の取り組みがあるのか、ま た夢の実現可能性などについて考えてみる。 • そのような試みから、幅広いIoT分野へのブ ロックチェーン適応の世界を俯瞰的に考える。 • そして、これからの新たな世界の到来とそれ へ向けての対応などについて考えてみる。 173

174.

基本的取り組み方針 • 元来Bitcoin向けに構想されたブロックチェー ンの保有する枠組み(制限)に杓子定規に囚 われるのでなく、その制限を敢えて緩和ある いは進化させた総合的取り組みを考える。 • その際、広いIoT分野の中で、当該分野固有 の条件を具体的にクローズアップさせ、可能 な手段の中から最も相応しい選択肢を選んで 統合する。 • 各種のトレードオフが発生するが、具体的実 践や時間的経緯、周辺のソリューションとの 連携で徐々に解決を図って行く。 174

175.

最近の新たな取り組み • 自動車へのブロックチェーン導入で、データセ キュリティ、プライバシー、匿名性、トレーサビ リティ、説明責任、整合性、堅牢性、透明性、 信頼性、認証などを高め、自動車業界の持続 可能性と業界全体の効率化を図ろうとする取 り組みが顕著である。 • また、このような取り組みをスマートシティの 公的移動手段として取り込もうとする動きも注 目されている。 • このような状況を次頁以降の3枚で概観する。 175

176.

自動車のブロックチェーンベースサービスの例 拡張グローバ ル車両台帳 保険金請求 処理と使用量 ベースの保険 スマート 製造業 偽造防止 自動車のブロック チェーンベースサービス 顧客向けに パーソナライ ズされた経験 法医学 MaaS ピアツーピア 融資、リース、 資金調達 デジタル小売 自動車IoT とIoT接続 車両 電気自動車 とスマート充 電サービス 自動運転車 Paula Fraga-Lamas et al., “A Review on Blockchain Technologies for an Advanced and Cyber-Resilient Automotive Industry”, IEEE Access Digital Object 176 Identifier 10.1109/ACCESS, 2019.

177.

自動車向けサービスの中身の例 • スマート製造業:ブロックチェーン導入で生産性や 品質管理を向上させ、検査で追跡するコストや保 証、在庫管理、所有権問題、メンテナンスやリサ イクルの仕事を削減させる。 • IoT接続車両:接続されたセンサーとデバイスで、 走行イベント(走行距離、速度など)、安全イベント (スペアパーツ交換警告など)、メンテナンスイベ ント(年間サービスなど)などのデータを収集する。 • 電気自動車:ブロックチェーン導入で必要なときに 車両が完全に充電されることを保証する。さらに、 最も安価でより便利な充電サイクルを選択する (例、ピーク負荷時間を回避) • 自動運転車:自動運転車でシェアライドサービス を提供できるブロックチェーンベースのプラット フォームを提供する。 177

178.

自動車産業向けブロックチェーンベースサービスを スマートシティに取り込んだ例 分散クラウド層 分散フォグ層 製造企業 規制機関 分散エッジ層 スマート コントラクト ブロックチェーンベースの分散ネットワークアーキテクチャ ディーラー スマートコントラクト と 共有台帳 自動決済 プロセス 動的リアルタ イムデータ 保険とメンテ ナンスサービス メインテナンス リース会社 顧客 Pradip Kumar Sharma et al., “Blockchain-Based Distributed Framework for Automotive Industry in a Smart City”, IEEE Transactions on Industrial Informatics, Vol.15, Issue 7, 2019, 4197-4205. 178

179.

これからの展開 • 上述の例に見られるように、一応のビジョンがあ り各機能のイメージは有るものの、実際に日の 目をみるには長い試行錯誤が続くと予想される。 • それは、各機能それぞれの案に優れた面があっ ても、普及するためには、多くの困難克服とチャ ンスに恵まれなければならないからである。 • SWOT分析でその概要を詳らかに認識できる (次頁)。分析リストには本稿でここまでに述べて 来た多くの項目が入る。 • 結局、これらの要因が特定の案に収束するまで には長期投資の苦難に耐えなければならない。 • その結果、到来するであろう将来の全体像は誰 にも描けていないのが現状と思われる。 179

180.

1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 内 部 8) 9) 10) 11) 12) 13) 14) 15) 16) 17) ポジティブ ネガティブ 強み 弱み 運用効率 サイバー弾力性 付加価値を提供しない仲介業者は不要 低料金で高速かつ簡易な転送 スマートコントラクト、IoTイネーブラーによる自動トランザクション ヒューマンエラーの削減 説明責任、検証済み、タイムスタンプ付き、および不変の監査可 能データ 変更または改ざんされていない損失なしデータ セキュリティと最新の暗号化 否認防止 透明性 グローバルアクセシビリティ 信頼できるビッグデータ分析プラットフォーム 分権化 トレーサビリティ、資産の出所 動的で流動的な価値交換 説明責任、所有権と権利の証明 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11) 12) 13) 14) 15) 16) 17) 18) 機会 外 部 1) 産業競争力(例:取引コストの削減、サイバーセキュリティの強化、 完全なIoT自動化) 2) 市場の多様化(例:カーシェアリングのサポート) 3) 新しいビジネスモデルのイネーブラー 4) 利害関係者間の情報の対称性の再調整 5) 詐欺の削減 6) システミックリスクの低減 7) ネットワーク効果 8) データ分析のためにさまざまなアクターによってブロックチェーンにプッ シュされた大量の異種データ(ビッグデータアプリケーション) 9) オープンソースコード 10)国境を越えた取引の容易性 11)検証手順の削減 12)デジタルツインイネーブラー 13)循環経済イネーブラー 未熟な開発の初期段階 スケーラビリティ問題 高エネルギー消費 低性能 相互運用性の欠如 プライバシー問題(一部のシナリオで) 犯罪行為、悪意のある攻撃 外部からの入力情報に依存 ユーザーエクスペリエンスの低さ、顧客の不慣れさ ユーザーの資格情報が失われた場合(ウォレットなど)、仲介者に連 絡することができない 特定のユースケースでは、暗号通貨変動の影響を受ける スマートコントラクトコードのプログラミングモデルの制約 ウォレットとキーの管理 高度な人材(希少で高価) 複雑さ(ブロックチェーンの概念習得が難しい) 新しい技術サプライヤーへの信頼の欠如 コアビジネスのユースケースまたはプロセスが、ブロックチェーン使用に 適さない場合がある 悪いコーポレートガバナンス 脅威 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 不安定または不確実性の認識 技術的な脆弱性 ブロックチェーンの分岐、元帳競争 重要な利害関係者からの採用が低い 政府の不利益な政策、法的管轄の障壁 制度採用の障壁 中長期的な投資 外部顧客対応や採用の準備不十分 180

181.

横断的に見た IoTへのブロックチェーン適応探索のまとめ ポジティブリスト • ブロックチェインは暗号通貨の基盤以 上のものであり、あらゆる種類の商品、 サービス、取引交換に安全な方法を 提供する。(1章) • これからは、ブロックチェーンベースの ピアツーピアネットワークが次のス テップになる。 (2章) • ブロックチェーンは、便利な課金層を 提供し、デバイス間のサービス市場へ の道を切り拓く可能性がある。(4章) • ブロックチェーンは、ビジネスプロセス を改善、最適化、自動化することに よって、ビジネスと経営における破壊 的革新の重要な源となる。(6章) • ブロックチェーンとIoTの統合は、特定 された課題を考慮して対処することで IoTに革命をもたらす可能性がある。 (7章) • Bitcoinブロックチェーンの制限をIoT向 けに緩和または進化させれば新たな 可能性が拓けてくるのではないか。 (8章) ネガティブリスト • ブロックチェーン技術をさまざまな分野の アプリケーションで独自の技術革新として 検討することには意味が無い。(1章) • ブロックチェーンが全てのIoTシナリオで常 に最適なソリューションになるとは限らな い。(2章) • スケーラビリティの低さは今日では意味を なさない。(2章) • ブロックチェーンは、ほとんどのIoTデバイ スに適さない。(3章) • 許可ブロックチェーンは、相互に信頼関係 がない複数のエンティティがオンラインで 信頼できる第三者に同意したくない場合 にのみ意味を持つ。(5章) • 自動化のみが望まれていて、信頼できる 当事者を使用できる場合はブロックチェー ンは必要ない。(5章) • データを保存する必要がない場合、ブロッ クチェーンは新たな価値の追加は無い。 (6章) • スマートコントラクトは、一連の攻撃に脆 弱なため、無償では実現できない。(7章)

182.

当面の観察と暫定まとめ • 機能イメージは存在し、それを実現する方式も 想定できて来ているのだが、ビジネスモデルが 見えない場合が多い印象である。 • ビジネスモデルは個々の機能普及だけでは成 立せず、トータルビジョンの成立によって初めて 成立しうることが多い。 • 従って、その成否を早い段階で予測するのは極 めて難しい。 • 普及促進のため、オープン化(オープンソース化、 標準化など)を行うことも多いと思われるが、一 端オープン化すればマネタイズは不可能になる。 • 一部をオープン化して他所でマネタイズする手も あるが、そのような案はもう少しブロックチェーン が進捗し普及した段階でないとイメージできない。 • 全体像を次頁に示す。 182

183.

最終ゴールに向けたまとめ イノベーション誘発の向上 第6章 B-IoTア プリの概要 第7章 第8章 IoTとBC の統合 IoTへBC 適応の将来 • 個別要件 • 3世代区 • BC適応 に合わせ 分の各 範囲の た独自の 種アプリ 限定も企 設計と開 が既に存 画要 発が必要 在 • クラウド/ + フォグの + • そのため • 個別の の経験の 課題が 活用と同 蓄積が必 存在 居も考慮 要 • BC適正 • 複雑な • これらに基 領域の 統合によ づく最適ソ 更なる絞 る多様な リューショ り込みが システム ンの構築 必要 提供も SWOT分析 の強味と機会 活用の挑戦 強み 1) 2) 3) 4) 5) 内 6) 部 7) 8) 9) 10) など 運用効率 低料金で高速かつ簡易な転送 スマートコントラクト 自動トランザクション ヒューマンエラーの削減 改ざんされていないデータ セキュリティと最新の暗号化 透明性 ビッグデータ分析プラットフォーム 分権化 機会 1) 産業競争力 2) 市場の多様化 3) 新しいビジネスモデルのイネーブラー 4) 詐欺の削減 5) ネットワーク効果 外 6) オープンソースコード 部 7) 国境を越えた取引の容易性 8) 検証手順の削減 9) デジタルツインイネーブラー 10)循環経済イネーブラー など IoT+BC 由来のイノ ベーション ①適正領域 の選択 ②適正方式 の選択と 統合 ③個別要件 向け独自 工夫 ④実践によ る適正化 ⑤ビジネスモ デル構築 183

184.

ブロックチェーン導入の評価 • IoTにブロックチェーン導入の分野では、特にマネタイ ズに繋がるイノベーション誘発の可否が評価の一側 面になると思われる。 • 類似の例としてインターネット登場以降の経緯がある。 • 多数のスタートアップが登場し、大半が失敗した後に 本質的に新しいビジネスモデル(SNSやシェアリングエ コノミーなど)が登場した。 • ブロックチェーンの場合も類似の経緯を辿る可能性が 高いと思われる。 • そうであるならば、挑戦していなければチャンスは到 来しない。 • 新しい環境は従来と大きく異なるだけに、参入障壁は 下がっている。 • ビジネスモデル重視で最後に生き残るための忍耐力 が試されている状況と言える。 184

185.

補足情報 • 関連情報を約1 年前にアップした 右slideshareコン テンツでも扱って いる。 • Google検索で 「Hiroshi Takahashi’s Presentations on slideshare」と入 れて先頭から9個 目あるいは下記 https://www.slideshare.net/HiroshiTakahashi/service-ecosystem-based-on-io-t-platform 185

186.

ブロックチェーン導入の評価(続) • そして、新たなビジネスモ デル創造が勝負になるの なら、IoTとブロックチェー ンだけを見ていれば良い という訳にはいかない(右 図参照)。 • 課題は結局如何に顧客 ニーズを巧みに捉えて価 値創造を行うかで、技術 はその手段の一つに過 ぎない。 • このような姿勢と戦略の 巧緻が問われていると考 えられる。 新たな技術を現場に生かす「イノベーションハニ カム」とは https://www.itmedia.co.jp/business/articles/190 6/28/news016.html 186