JPOPM42(中澤)発信者情報開示命令のフローと実務上の懸念点

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弁護士法人戸田総合法律事務所

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インターネット、IT分野を中心的に取り扱う弁護士法人です。 戸田市(埼玉県)、丸の内(東京都)に事務所を構えています。 https://todasogo.jp/

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公開日

2022-06-22 12:25:00

各ページのテキスト

1. 発信者情報開示命令 のフローと実務上の懸念点 弁護士中澤佑一 弁護士法人戸田総合法律事務所 【自己紹介】 2010年弁護士登録 削除や発信者情報開示請求案件に注力 日弁連e-learningをはじめ各地の弁護士会で研修を担当 主著『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュ アル』 Twitter:@nakazawaYUU https://todasogo.jp/

2. 前提として • 発信者情報開示請求 プロバイダ責任制限法に基づいて、サイト管理者、サーバー事業者、 プロバイダに対して通信記録や契約者情報の開示を請求する制度。 • 発信者が特定される仕組み(従前の制度を前提に) ①ウェブサイト側に開示請求をして通信ログの開示を受ける ②対象の記事の発信に用いられたIPアドレスなどが分かる ③IPアドレスを管理するプロバイダに二回目の開示請求をする ④プロバイダはIPアドレスの割り当て記録から対象の契約者を特定 してその住所氏名等を開示する。 • プロバイダ責任制限法の改正内容について詳細はこのスライドを。 https://www.docswell.com/s/todasogolo/5YQ8PZ-2022-06-01-165648 2

3. 3

4. 新制度の特徴 • 「発信者情報開示命令」と呼ばれる →付随的な命令として「提供命令」「消去禁止命令」がある • 従来CP段階、AP段階と二段階だった手続きを「提供命令」によっ て一体化することが想定されている • 「提供命令」とは? 対象の通信の通信記録を確認のうえ、通信に用いられたプロバイダ を特定し、そのプロバイダ名と住所を発信者情報開示請求者に提供 せよという命令。 IPアドレス等の発信者情報は対象のプロバイダにサイト管理者等 から直接共有され、開示請求者には共有されないため、権利侵害の 成否に関して終局的な判断がなされる前に命令がなされる。 4

5. 提供命令の審理・決定段階 • 要件① 侵害情報の発信者を特定することができなくなること を防止するため必要があると認めるとき • 要件② 保有している発信者情報により当該侵害情報に係る他 の開示関係役務提供者の氏名又は名称及び住所の特定 をすることができる場合 • 他の開示関係役務提供者を特定するために用いること ができる発信者情報とは? 侵害通信or侵害関連通信に関する IPアドレス(&ポート番号) 利用者識別符号 SIM識別符号 電話番号 5

6. 他の開示関係役務提供者の氏名等の提供 • CPが対象通信のIPをwhoisする • Whois情報の組織名を提供すればよ い? • 固定IPの場合や多重構造になってい る場合はどうなるか? • 富士通やソフトバンクモバイルなど、 すでにサービスが他社に移管されて いる場合は? 6

7. CPにおける他の開示関係役務提供者の調査 • 侵害通信の場合は単純。ポストIP見てwhois • ログイン型(侵害関連通信)の場合はややこしい • 「相当の関連性」を有するログイン通信、アカウ ントクリエイト通信、ログアウト通信、アカウン ト削除通信が対象 →対象通信がそれなりの件数になる • 全部の通信についてAP情報を提供する?(申立 人としては全部ほしい) • AP情報を提供する際に、どの通信のAPなのかは 教えてほしい(ログインなのかそれ以外なのか? ログインの場合でも投稿前?後?、直近?何個 前?) 7

8. CP→APからの発信者情報提供 • 新省令6条により連絡方法が規定 書面 電子メール 物理記録媒体 オンラインストレージ • メールのあて先は? Whoisのabuse窓口アドレスでよいのか?正確性は担 保されるのか? • CPとしてはAP側受領の確認が取れる方法が安全であ ろう(結局、書留郵便?)。 メールでのやり取りの場合、AP側では受領しましたと 電子メールを返事してあげることが大事。 • AP側で受付メールアドレスを公開すると双方楽になる のでは? 8

9. APにおける該当通信の調査 • IP×タイムスタンプで特定できな い場合の追加情報をどうするか? • 現状では接続先IP等の追加情報の 提供を開示請求者にAPが求めて いる • 新制度では誰が調べる? 9

10. APにおいて該当通信が調査できない場合 • 単純に該当なしとの結論だけを答弁されると申立 人側としては不信感が生じる(損害賠償請求への 発展) • CPから開示された情報の種別。何が足りなくて 特定できないのか?申立人が協力できるものはな いのか?などを教えてほしい • 接続先IPアドレスの調査は申立人に投げてしまう のが良いのではないか? ④⑤の申し立てに対する答弁で、追加情報が必要 になったので調査希望と添えるなど • CPの保有情報が見えない状態で大丈夫だろう か・・・という懸念はある 10

11. 複数のログイン記録の開示 • SNSの事案の場合、権利侵害通信ではな くログイン通信等が提供される • 権利侵害と「相当の関連性」を有するロ グイン通信は侵害関連通信として開示対 象 • 複数の通信が該当することになり、複数 のAPが対象になる可能性も • APがうちは関係ないと言いたくても、 CPが「相当の関連性」を有するとして 提供した以上、無理? 11

12. APにおける「保有」の答弁の意味 • 回線の外部提供やMVNOなど、APが「発信者」 と契約関係にない場合がある • 新制度では、直接の契約関係がないと分かれば提 供命令の利用が可能で迅速に進めることができる。 • しかし、APがそれを説明せず、通常通り進んで しまうと、発信者情報開示命令が発令して開示を 受けるまで分からないまま。制度趣旨にも反する。 • 同意が得られない場合には、社名を開示すること は難しいと思われるが、新制度ではエンドユー ザーと契約がないとだけ教えてくれればうまく流 すことが可能。 • ぜひAP各社にご検討いただきたい 12