人材版伊藤レポートサマリ

192 Views

October 14, 23

スライド概要

profile-image

北海道のITエンジニアリングマネージャーです。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

人材版伊藤レポートサマリ 為安圭介

2.

経歴 札幌在住。 普段の仕事はシステム開発やチームマネジメントなど。 AIコミュニティ”CDLE”の運営にも携わる。 好きなこと 心地よい場で過ごすこと。あるいはそんな場を作ること。 友情とか努力とかチームワーク。 大事にしていること 楽(楽しいこと) 為安 圭介 https://linktr.ee/keisuketameyasu 技(得意なスキルを発揮できること) 価(まわりに価値を提供できること) 益(利益を生むこと) 2

3.

CONTENTS 01 人材版伊藤レポートとは 02 レポート内容 03 まとめ 3

4.

人材版伊藤レポートとは 4

5.

人材版伊藤レポート 伊藤邦雄氏が座長を務める 「人的資本経営の実現に向けた検討会」(経済産業省) がとりまとめた報告書。 経営戦略と人材戦略の同期や人への投資を訴える。 経営戦略と人材戦略を同期させ 人に投資せよ 伊藤邦雄 一橋大学CFO教育研究センター長 2014年に座長としてまとめた国の 報告書「伊藤レポート」はROE8% という目標を掲げ、海外投資家を 日本に呼び込むきっかけの1つに なるなど経済界に大きな影響を及 ぼす。また、コーポレートガバナ ンス、無形資産やESGに関する各 種の政府委員会やプロジェクトの 5 座長を務める。

6.

全体像 人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素 3つの視点 5つの共通要素 経営戦略と人材戦略の連動 動的な人材ポートフォリオ 「As is -To be ギャップ」の定量把握 知・経験のD&I 企業文化への定着 リスキル・学び直し 社員エンゲージメント 時間や場所にとらわれない働き方 (人材版伊藤レポート2.0) 6

7.

レポート内容 7

8.

レポート内容 3つの視点 人材戦略に求められる3つの視点 1 2 3 5つの要素 経営戦略と人材戦略の連動 経営環境が急速に変化する中で、持続的に企業価値を向上させるためには、 経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行するこ とが不可欠である。自社に適した人材戦略の検討に当たっては、経営陣が 主導し、経営戦略とのつながりを意識しながら、重要な人材面の課題につ いて、具体的なアクションやKPIを考えることが求められる。 「As is - To be ギャップ」の定量把握 経営戦略実現の障害となる人材面の課題を特定した上で、課題ごとにKP Iを用いて、目指すべき姿(To be)の設定と現在の姿(As is)とのギャ ップの把握を定量的に行うことは、人材戦略が経営戦略と連動しているか を判断し、人材戦略を不断に見直していくために重要である。 企業文化への定着 持続的な企業価値の向上につながる企業文化は、所与のものではなく、 人材戦略の実行を通じて醸成されるものである。そのため、人材戦略を 策定する段階から、目指す企業文化を見据えることが重要である。 8

9.

視点① 経営戦略と人材戦略の連動 経営環境が急速に変化する中で、持続的に企業価値を向上させるためには、経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行 することが不可欠である。このような自社に適した人材戦略の検討に当たっては、経営陣が主導し、経営戦略とのつながりを意識しながら、重 要な人材面の課題について、具体的なアクションやKPIを考えることが求められる。 CHROの設置 全社的経営課題の抽出 CHROとは、経営陣の一員として人材戦略の策定と実行を担う責任者 であり、社員・投資家を含むステークホルダーとの対話を主導する人材 を指す。CHROが実効的な人材戦略を策定する上では、本社での戦略 スタッフの経験とともに、事業側で成果責任を担った経験が有効。 「価値協創ガイダンス」等の統合的なフレームワークも活用しながら、経営戦略実 現の障害となる人材面の課題を整理し、経営陣や取締役と議論する。その際、特に 自社固有の優先課題と対応方針を示すとともに、改善の進捗状況も共有する。 KPIの設定、背景/理由の説明 サクセッションプランの具体化 指名委員会委員長への社外取締役の登用 入念に考え抜いてKPIを設定するとともに、経営 環境の変化を踏まえて見直す。 その際には、当該KPIを設定又は見直しをした背 景及び理由を達成状況と併せて社内外に説明する。 ・20、30代からの経営人材選抜 ・グローバル水準のリーダーシップ開発 ・候補者リストには経営者経験者を含める 将来の自社の経営を担う資質を持った人材が後継 者として選ばれているか、適切に検証できるよう、 十分な責任感を持った社外取締役を指名委員会委 員長に登用する 人事と事業の両部門の役割分担の検証、人事部門のケイパビリティ向上 役員報酬への人材に関するKPIの反映 企業価値全体及び事業ごとの価値のそれぞれの向上を両立させるため、人事と事業の両部 門の役割分担の在り方を検証する。人事部門による支援を有効なものとするため、事業部 門経験を持つ人事部門の社員の育成に平時から努める 人的資本経営の推進を経営陣の最重要ミッションの一つと認識 し、経営陣に対する報酬の支給額の一部が、人材に関するKP Iに連動する制度の導入を検討した上で、取締役会・報酬委員 会と連携する。 9

10.

視点② 「As is - To be ギャップ」の定量把握 経営戦略実現の障害となる人材面の課題を特定した上で、課題ごとにKPIを用いて、目指すべき姿(To be)の設定と現在の 姿(As is)とのギャップの把握を定量的に行うことは、人材戦略が経営戦略と連動しているかを判断し、人材戦略を不断に見 直していくために重要である。 人事情報基盤の整備 ⚫ 人材関連の改善KPIについての情報や、社員のスキル・経験等の特性を示す情報を常に整備し、人材戦略の実現に関するタイムリー な意思決定を支える。 ⚫ その際、CHROは、人事部門がデータを効率的に収集・分析できるよう、人事部門の社員の育成を図る。 動的な人材ポートフォリオ計画を踏まえた目標や達成までの期間の設定 ⚫ 各KPIで目標とする状態や、達成までの期間を定め、現状とあるべき状態のギャップを適時把握し、経営陣・取締役と定期的に議論 することで、迅速に対策を講じる。 定量把握する項目の一覧化 ⚫ 全社的経営課題の改善に向けたKPIをはじめ、人材に関するKPIを明確に定めて経営陣・取締役と議論すべく、まずは重要なもの に絞り、その目標と進捗状況を常に一覧化しておく。 10

11.

視点③ 企業文化への定着 持続的な企業価値の向上につながる企業文化は、所与のものではなく、人材戦略の実行を通じて醸成されるもの である。そのため、人材戦略を策定する段階から、目指す企業文化を見据えることが重要である。 企業理念、企業の存在意義、企業文化の定義 ⚫ 自社が社会・環境にどのようなインパクトをもたらすべきか、という観点から、企業理念や企業の存在意義を再考する。 ⚫ また、自社事業の成功につながる社員の行動や姿勢を企業文化として定義し、浸透を図ることで、企業の競争力向上に貢献する。 社員の具体的な行動や姿勢への紐付け ⚫ 企業として重視する行動や姿勢が社員に浸透するよう、社員の任用・昇格・報酬・表彰等の仕組みを検討する。その際には、現場の管 理職・マネージャーがコミュニケーションスキルを養い、各社員の仕事上の動機や意向に耳を傾け、自発的な行動を促す。 CEO・CHROと社員の対話の場の設定 ⚫ 経営陣・社員それぞれが企業文化をどのように体現し、定着させるべきかを考える契機として、CEO・CHROが、維持すべき文化 や見直すべき文化等について、社員と直接対話する。 11

12.

レポート内容 人材戦略に求められる5つの共通要素 1 5つの要素 動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用 4 時間や場所にとらわれない働き方を 進めるための取組 5 3つの視点 2 知・経験のD&I 社員エンゲージメントを高 めるための取組 リスキル・学び直しのための取組 3 12

13.

要素① 動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用 経営戦略の実現には、必要な人材の質と量を充足させ、中長期的に維持することが必要となる。 このためには、現時点の人材やスキルを前提とするのではなく、経営戦略の実現という将来的な目標からバック キャストする形で、必要となる人材の要件を定義し、人材の採用・配置・育成を戦略的に進める必要がある。 将来の事業構想を踏まえた中期的な 人材ポートフォリオのギャップ分析 ギャップを踏まえた、平時からの人材の 再配置、外部からの獲得 中期的な経営戦略の実現に向け、各事業が中期的に必 要とする人材の質と量を整理し、現状とのギャップを 明確にした上で、人事施策を立案する。 人材ポートフォリオのギャップに基づき、可能な限り 早期に、社員の再配置や外部人材の獲得を検討し、実 行する。社員が社外で有効な経験を積み自社に戻るこ とを奨励し、アルムナイネットワークを活用する。 学生の採用・選考戦略の開示 博士人材等の専門人材の積極的な採用 新卒一括採用に限定しない学生採用方針を策定し、学生 に開示することで、国内外の留学やギャップイヤーでの 自己研鑽等を経た学生の入社を容易にする等、中期的な 人材ポートフォリオの充実につながる採用・選考戦略を 策定・開示する。 イノベーション創出や事業の変革に貢献する人材とし て、博士人材のような、高度な専門性と、自ら課題を 設定し解決する独自の構想力を持つ人材を活用する方 策を検討する。 13

14.

要素② 知・経験のD&I 中長期的な企業価値向上のためには、非連続的なイノベーションを生み出すことが重要であり、その原動力となるのは、多様な個人の掛け合わ せである。このため専門性や経験、感性、価値観といった知と経験のダイバーシティを積極的に取り込むことが必要となる。 このように、同質 性の高いチームから多様なチームへと変わるに当たっては、社内外の協働の在り方を見直す必要がある。知と経験のダイバーシティ&インクル ージョンは、多様な属性を持つ人材のみならず、社員全員に関わるテーマである。時代の変化に伴って、ダイバーシティの意味合いも変化する 中で、人によって与える機会に制限をかけない、ということが重要となる。 キャリア採用や外国人の 比率・定着・能力発揮のモニタリング ⚫ イノベーションの創出やグローバル展開の加 速に向けて、女性活躍を促すことに加え、多 様な知・経験を持ったキャリア採用者、外国 人材を取り込む。その際、登用すべき地位・ 役職のレベルについても、その能力が最も発 揮されるよう検討を行う。 ⚫ また、必要な範囲においてKPIを活用し、 当該人材の定着や能力発揮の状況を定期的に 把握し、多様な人材が活躍しやすい風土を醸 成する。 課長やマネージャーによる マネジメント方針の共有 ⚫ 「知と経験のダイバーシティ&インクルージ ョン」の実現に向け、課長・マネージャーが、 多様な人材を受け入れて組織を運営する能力 を高める。 ⚫ 当該スキルの養成に向け、各課長・マネージ ャーが互いのマネジメント方針を参照し、優 れた工夫を相互に学び合う環境を整備する。 14

15.

要素③ リスキル・学び直しのための取組 経営環境の急速な変化に対応するためには、社員のリスキルを促す必要がある。また、社員が将来を見据えて自律的にキャリ アを形成できるよう、学び直しを積極的に支援することが重要である。なお、自律的なリスキル・学び直しを促す際には、そ れぞれの社員が自身の過去の経験やスキル、キャリア上の意向、強い意欲をもって取り組める学習領域などを理解するプロセ スが重要であり、会社がそのプロセスを支援することが肝要となる 組織として不足している スキル・専門性の特定 社内外からのキーパーソン 登用、社内でのスキル伝播 社内起業・出向起業等の支援 経営戦略実現の障害となっているスキ ル・専門性を特定し、社員のリスキル・ 学び直しを主導する。その際は、そのス キル・専門性の向上が社員にとってどの ような意義を持つのか、丁寧にコミュニ ケーションを行う。 自社に不足するスキル・専門性を有す るキーパーソンを社内外で特定し登用 するだけでなく、当該人材にスキルの 伝播を任せることで、周囲の人材のリ スキル・学び直しも誘導する 社員の知識・経験を多様化し、周囲も含 めた人材育成効果を高めるため、社内で の起業や、出向という形の起業に挑戦す る機会を、選択肢として社員に提供する。 社外での学習機会の戦略的提供 (サバティカル休暇、留学等) 社員が社外で学習する機会を戦略的に提供し、リスキル・学び を促す。その際、一定期間職場を離れて学習等に活用するため の長期休暇(サバティカル休暇)の導入や、国内外の大学・大 学院での留学等、様々な方策が考えられるが、既存の学習支援 制度を含めて、自社にとっての意味合いを見直す。 リスキルと処遇や報酬の連動 組織に不足するスキル・専門性の獲得を社員に促すに当たって、 学ぶことや、失敗に終わったとしても学び挑戦をする姿勢その ものを称える企業文化の醸成の観点からも、その成果に応じ、 キャリアプランや報酬等の処遇に反映できるよう、制度の見直 しも含めて検討する。その際、組織のニーズのみに限定されな い社員の自主的な学び直しにも配慮する。 15

16.

要素④ 社員エンゲージメントを高めるための取組 経営戦略の実現に向けて、社員が能力を十分に発揮するためには、社員がやりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環 境の整備が重要である。その際、企業の理念、存在意義及び文化の浸透度合いから、ダイバーシティ&インクルージョンの達成状況に至るまで、 様々な要素が複合的に関係するため、取組と検証を繰り返していくことが期待される。特に、企業や事業の成長と多様な個人の成長の方向性を 一致させていく必要があり、画一的なキャリアパスではなく、多様な就業経験や機会の提供を行うことが求められる。 社員のエンゲージメントレベルの把握 中期的な組織力の維持・向上を目指し、自社にとっ て重要なエンゲージメント項目を整理し、社員のエ ンゲージメントレベルを定期的に把握する。 社内のできるだけ広い ポジションの公募制化 社員の異動又は退職するポジションにつ いて、可能な限り公募を行い、社員が自 律的にキャリアを形成し、高いエンゲー ジメントレベルで働ける環境を整備する。 エンゲージメントレベルに応じたストレッチ アサインメント エンゲージメントレベルが高い社員に対して、社員のキャリアプランと 会社のニーズを一致させる形で、成長に資するアサインメントを提案す ることで、エンゲージメントの更なる向上につなげる。また、エンゲー ジメントレベルが高くない社員に対して、キャリア上の意向を確認し、 より適したアサインメントの提案を行うことで、組織の成果を高めなが ら、エンゲージメントの向上を狙うことも可能となる。 副業・兼業等の多様な 働き方の推進 健康経営への投資とWellbeing の視点の取り込み 社員が企業・社会に貢献しようとする 主体的な意思を最大限に尊重し、社内 外の副業・兼業を含む多様な働き方を 選択できるよう、環境を整備する。 社員の健康状況を把握し、継続的に改 善する取組を、個人と組織のパフォー マンスの向上に向けた重要な投資と捉 え、健康経営への投資に戦略的かつ計 画的に取り組む。 16

17.

要素⑤ 時間や場所にとらわれない働き方を進めるための取組 いつでも、どこでも、働くことができる環境を整えることは、事業継続の観点からも必要性 が高まっている。他方で、働き方に対する人々の意識が多様化する中で、マネジメントの在 り方や、業務プロセスの見直しを含め、組織としてどう対応できるかが重要となっている。 リモートワークを円滑化するための 業務のデジタル化の推進 リアルワークの意義の再定義と リモートワークとの組み合わせ 自社事業の生産性を維持・向上すべく、コ ロナ禍を契機に加速したリモートワークを 今後も円滑に行えるよう、業務のデジタル 化を継続的に行う。 リモートワークの推進と同時に、自社の事 業にとって、社員がオフィスに集まって仕 事を進めることの意義や有効性を再考し、 リアルワークとリモートワークの最適な組 み合わせを実現する。 17

18.

まとめ 18

19.

人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素 経営戦略 視1 経営戦略と人材戦略の連動 「As is-To beギャップ」の定量把握 人材戦略 M&A 要1 動的な人材ポートフォリオ 組織 市場環境の 構造変化 視2 ・現在の経営戦略の実現 ・新たなビジネスモデル への対応 個人・組織の活性化 要2 多様な個人 ・人生100年時代も見据えた 自律的なキャリア形成 ・個人の意欲、 モチベーションの多様化 キャリア採用 出戻り、兼業、 副業人材の受入 リカレント、 学び直し、 兼業、副業、 育成出向 価値観の 多様化 知・経験のD&I 要3 デジタル化 の進展 人生100年 時代の到来 リスキル、学び直し 要4 社員エンゲージメント 要5 事業ポート フォリオ見直し スピンオフ 人事施策 ・採用、評価報酬 ・教育投資 ・HRテックの活用 等 時間や場所にとらわれない働き方 人材戦略の実行プロセス 視3 人事施策 ・兼業/副業 ・リモートワーク ・マネジメントスキル向上 等 転職、独立 キャリア チェンジ 専門人材の 採用 M&A 企業文化への定着 「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書 」をもとに為安にて再構成

20.

レポートの捉え方 01 1 2 3 4 04 本報告書は、「人的資本」の重要性を認識するとともに、人的資本経営と いう変革を、どう具体化し、実践に移していくかを主眼とし、それに有用 となるアイディアを提示するものである。 02 事業内容や置かれた環境によって、有効な打ち手は異なる。 本報告書は全て実施するものではなく、アイディアの引き出しとし、経営 陣が人的資本経営へと向かう変革を主導していく。 03 最も重要な視点は、「経営戦略と人材戦略の連動」であり、まずは、 「1.」に掲げる取組に着手することが第一歩となる。 人材に関する取組は息が長い。課題を特定し、優先順位を付け、改善を重 ねていく絶え間ないサイクルが求められる。 20

21.

TEAM BUILDING 39 おわり SpecialThanks To S.T, A.K, S.S, M.F, H.K Y.Y 21