【Public】原始ブラックホールと中性子星 -どのくらい存在する?しない?-【Tadeno Sukezane】

168 Views

January 29, 26

スライド概要

- PBHと中性子星の相互作用から,PBHのDMに対する割合に制限を課せる
- 参考文献[3](Capela et al. 2013)では,DM密度が高いとされた球状星団におけるPBHの存在量を考えた
- この発表では,参考文献[3](Capela et al. 2013)のグラフを再現した
- 他の天体(太陽,ベテルギウス,シリウスB)についてもエネルギーを失う時間スケールを計算した

profile-image

物理学を学んでいます

Docswellを使いましょう

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

公開用/Public 公開用/Public M1発表 原始ブラックホールと中性子星 ~どのくらい存在する?しない?~ (Capela et al. 2013[3]) Tadeno Sukezane Tadeno Sukezane

2.

公開用/Public 本日のメニュー 1. 導入-PBHとは何か-(起) 2. Dark Matter候補としてのPBH(起) 3. NSに取り込まれるPBH-力学的摩擦-(承) 4. PBHがエネルギーを失う時間スケール(転) 5. PBHのダークマターとしての存在量への制限(転) 6. おまけ(主系列星→ポスト主系列星にPBHが取り込まれたらどうなる?) 7. まとめ(結) Tadeno Sukezane 2

3.

公開用/Public Today’s Goal 「原始ブラックホール」と「中性子星」の相互作用から, 原始ブラックホールの存在量の上限を求めよう(再現しよう) Tadeno Sukezane 3

4.

公開用/Public 導入-原始ブラックホール(PBH)とは何か● 初期宇宙において,密度ゆらぎの重力崩壊によってでき るブラックホール(原田,2017[1]) ● ダークマターの構成要素候補の一つ 図1:PBHが作られるイメー ジ(Gema White, Public domain, ウィキメディア・ コモンズ経由) Tadeno Sukezane 4

5.

公開用/Public ダークマター候補としてのPBH ● ● ● ● 観測されなくても「制限」にな る そのうちの1つ: 中性子星(NS)にPBHが捉え られて,NSを「食べる」過程 これまで制限がなかった 部分に制限を課せる 1017 kgより重い領域で,白 色矮星による同様の 制限よりも厳しい制限を課せ る Tadeno Sukezane 図2:PBHのDMに対する割合の制限(Capela et al. 2013 [3]より引用) 5

6.

公開用/Public PBHの存在量に制限を課す仕組み 1. 2. 3. 4. PBHは中性子星に重力的に捉えられる PBHはエネルギーを失い,中性子星に沈み込む PBHは中性子星を吸収する! もしたくさんPBHがあれば,観測される中性子星は少なく なるはず 5. 実際の中性子星の観測(or中性子星の生存率が低くないこ と)と比べて,制限を課す Tadeno Sukezane 6

7.

公開用/Public NSに取り込まれるPBH-力学的摩擦● ● ● 軽い質点(NSの粒子)の中に重い質点(PBH)がある→ 重いものと軽いものが重力散乱→軽い質点へ運動量が 渡され,重い質点の速さが小さくなり,中心へ沈んでい く(力学的摩擦) (Capela et al. 2013 [3]) PBHは,NSを通り過ぎると,「力学的摩擦」と「降着」に よってエネルギーを失う PBHが受ける「摩擦力」は PB H NS 図3:PBHがNSに捉えられるイメージ ρ:密度 lnΛ:クーロン対数 v_BH:PBHの速度 Tadeno Sukezane 7

8.

公開用/Public ● ● ● NSに取り込まれたPBHは,「ボンディ 降着」によって,NSの構成粒子を「食べ る」(Fuller et al. 2017[4])→NSはこれ により消滅する PBHが多ければ,NSの観測数も少なく なるはず (Capela et al. 2013 [3]) NSの観測→PBHの存在量への制限 mBH (kg) NSを「食べる」PBH (Capela et al. 2013 [3]) ボンディ方程式 t(s) 図3:ボンディ降着によるmBHの変化 初期値をmBH= 1018 kgとした Tadeno Sukezane 中性子星の内部の場合… λs:密度プロファイルパラメータ(=0.707) v:構成粒子の音速or天体の速さ(=0.17) ρ:密度(=10^15 g/cm^3) (Fuller et al. 2017[4]) 8

9.

公開用/Public 参考文献(Capela et al. 2013[3])の計算におけるいろいろ前提 ● NSとPBHの相互作用を考える ● より厳しい制限を課すため(後述)に,DM密度が高いと考え られる「金属に乏しい球状星団(GC)」におけるNSを考える ● GCは低質量のDMハロの中で形成された? Tadeno Sukezane 9

10.

公開用/Public 参考文献(Capela et al. 2013[3])の計算を追ってみよう! 1.力学的摩擦による,損失エ ネルギーとエネルギーを失う 時間スケールを求める 2.PBHがマクスウェル分布 をしていると仮定して,捕獲 率を求める 4.1-3をいろいろなPBHの 質量について計算する 3.中性子星の生存率の方程 式から,DMに対する割合の 上限を求める Tadeno Sukezane 10

11.

公開用/Public P B H PBHがエネルギーを失う時間スケール ● 1回の通過で失うエネルギー Eloss ● 損失エネルギーから「遠日距離」が0になる 時間→エネルギーを失って沈む時間 tloss rmaxが小さく なっていき… rmax tloss後にNS中 心に沈む NS Eloss 図4:PBHがNSに捉えられるイメージ 実際に計算する場合は光速を単位に応じてかける Tadeno Sukezane tloss<tunivから,mBHの下限 が求まる 11

12.

公開用/Public PBHがエネルギーを失う時間スケール(具体的に) 前の式に具体的な数値を代入すると… 15 大体4.25×10 kgより小さいと,宇 宙年齢を超える→制限をかけられる mBHの下限 t(yr) tuniv tloss mBH(kg) Tadeno Sukezane 図5:tlossとtuniv(宇宙年齢)の比較 12

13.

公開用/Public PBHの捕獲率Fと生存率(Kouvaris,2007[6]) ● PBHはMaxwell分布に従うと考える ● 捕獲率と生存率の計算から,PBHがDM にしめる割合の制限を課す Tadeno Sukezane 「激しい緩和」(ほぼマクス ウェル分布になる)の時 間スケールは106年程度 →マクスウェル分布と考 えて良い 13

14.

公開用/Public いろいろなm_BHに対する制限(の再現) 1 今までの計算を様々な m_BHについて行う(10 kg-1022 kgくらい) ● tloss/tNS を計算し,tlossに よる制限もプロットする ● tloss/tNS 15 DM密度は参考文献[3]と 同様に3種類で計算する ΩPBH/ΩDM ● PBH存在量の制限 ρDM=400 GeV/cm3 0.1 ρDM=2000 GeV/cm3 0.01 ρDM=10000 GeV/cm3 10^15 10^17 10^19 10^21 10^23 mBH(kg) 図4:PBHのDMに対する存在量の制限(NSとの相互作用)の再現[3] Tadeno Sukezane 14

15.

公開用/Public まとめ ● PBHと中性子星の相互作用から,PBHのDMに対する割合に制限を課 せる ● 参考文献[3](Capela et al. 2013)では,DM密度が高いとされた 球状星団におけるPBHの存在量を考えた ● この発表では,参考文献[3](Capela et al. 2013)のグラフを再現し た ● 他の天体(太陽,ベテルギウス,シリウスB)についてもエネルギーを失う 時間スケールを計算した Tadeno Sukezane 15

16.

公開用/Public 謝辞 ● ● 「若手ゼミ」として,ご指導ご鞭撻いただきました上級生の皆様に感謝します. スライドの形式や,興味関心その他についてアドバイスを頂いた 理学研究科 田中貴浩 教授 に心から厚く御礼申し上げます. Tadeno Sukezane 16

17.

公開用/Public いろいろな定数 記号 名前 値 t_NS 中性子星の年齢 10^10 yr R_NS 中性子星の半径 1.2×10^4 m macron(v_BH) GCの天体の速度分散(=ダークマターの速 度分散) 7 × 10^3 m/s M_NS 中性子星の質量 2.80×10^30 kg v(5ページ) 構成粒子(NS)の音速or速さ 0.17(光速比) λ_s 密度プロファイルパラメータ 0.707 ρ NSの中心密度 10^15 g/cm^3 lnΛ クーロン対数 v_BH PBHの速さ Tadeno Sukezane 17

18.

公開用/Public 参考文献 [1]原田知広, 2025年7月10日,https://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/meeting/rironkon2017/files/O20_Harada.pdf [2]須藤靖, 一般相対論入門 [改訂版]. 2019, pp. 106–108. [3]Capela Fabio, Pshirkov Maxim,Tinyakov Peter, “Constraints on primordial black holes as dark matter candidates from capture by neutron stars”,2013,https://arxiv.org/abs/1301.4984 [4]Fuller George M,Kusenko Alexander,Takhistov Volodymyr,”Primordial Black Holes and 𝑟-Process Nucleosynthesis”,2017, https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.119.061101 [5]Marc Oncins, “Constraints on PBH as dark matter from observations: a review”, 2022, https://arxiv.org/abs/2205.14722 [6]Chris Kouvaris, “WIMP Annihilation and Cooling of Neutron Stars”,2007, https://arxiv.org/abs/0708.2362 [7] https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/sunfact.html 2025年7月19日閲覧 [8],Meridith Joyce et al, “Standing on the shoulders of giants: New mass and distance estimates for Betelgeuse through combined evolutionary, asteroseismic, and hydrodynamical simulations with MES”, 2020, https://arxiv.org/abs/2006.09837 [9] James Liebert et al , “The Age and Progenitor Mass of Sirius B”, 2005, https://arxiv.org/abs/astro-ph/0507523 Tadeno Sukezane 18