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March 11, 26
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
第217回 HCI研究会 色の対応関係に基づく ダークパターン 物理ボタンと画面表示の色対応の不一致が選択 行動に及ぼす影響 野島 樹(明治大学) 金谷 一輝, 徳原 眞彩, 木下 裕一朗, 中村 聡史(明治大学) 1
背景 | ダークパターン ダークパターン(DP:Dark Pattern) • ユーザの意図しない行動を 引き起こすデザイン • 主にWebサイトや モバイルアプリケーション で問題となっている 2
背景 | GUI以外にも潜むDP 既存の研究の多くはスクリーンベースのインタフェースを対象 にしているが、GUI以外にもDPは存在 • 物理空間 [Greenberg+ 2014] • IoTデバイス [Kowalczyk+ 2023] • VUI [Owens+ 2022] →操作インタフェース起因のDPに関する検討は少ない Greenberg, S. et al.: Dark Patterns in Proxemic Interactions: A Critical Perspective, DIS’14. Kowalczyk, M. et al.: Understanding Dark Patterns in Home IoT Devices, CHI’23. Owens, K. et al.: Exploring Deceptive Design Patterns in Voice Interfaces, EuroUSEC’22. 3
目的 | 操作インタフェース起因のDP 操作インタフェースと画面表示の組み合わせで発生するDP に着目する 例) 政党の支持率調査 共和党・民主党 支持率調査結果が 操作される可能性 4
色の対応関係によるDP 色の対応関係に不一致が生じたとき、誤選択が誘発される 可能性がある 色の対応関係:一致 色の対応関係:不一致 5
我々が想定するDPの適用場面 • 統計的偏りが既知である 場面 ⚬ 例)政党の支持率調査 (民主党・共和党) • 意図を推定できる場面 ⚬ 例)連続的な選択を伴う 券売機やゲームセンターなど 6
実験 色の対応関係に不一致が生じたとき、選択行動(誤選択・ 反応時間)にどのような影響が及ぼされるのかを検証する 二つのボタン→赤・青に紐づく二択質問 それぞれの参加者が二つの条件を経験 • 一致条件 ⚬ (選択肢が想起させる色と物理ボタンの色とが 左右位置において一致する条件) • 不一致条件 ⚬ (一致しない条件) 7
実験 | 仮説 仮説 • 仮説1:一致条件と比較して、不一致条件では誤選択率 が高くなる • 仮説2:一致条件と比較して、不一致条件では反応時間 が長くなる 8
実験 事後アンケート (同一の30問) ボタン選択(30問) 誤選択の定義: 物理ボタンによる回答と事後 アンケートでの回答の不一致 を誤選択として定義 同一問題での回答の不一致 → 誤選択 設問 • 各参加者は一致条件と不一致条件をそれぞれ10問ずつ回答 • 統制条件として色と関連のないダミー問題を10問用意 9
実験 | 実験手順 1. 練習試行 2. 本試行(全30問、ランダム提示) ボタン色意識化タスク: • 試行間にボタンの色を意識させる タスクを導入 3.事後アンケート: • 各設問について参加者自身が意図していた回答を入力 • 選択に対する違和感の有無を回答させた 10
結果 | 除外データと分析対象 • 除外データ: ⚬ 正答率が極端に低い設問(知識依存の疑い):1問 ⚬ ダミー問題での誤選択が多い参加者:2名 ⚬ 反応時間の外れ値:13試行 • 最終的な分析対象:73名、総試行数2,104件 11
結果 • 不一致条件で誤選択が有意に増加 • 不一致条件で反応時間が有意に遅延 条件 試行数 誤選択率 平均反応時間 不一致 一致 ダミー 693 686 725 5.05% 2.33% 0.97% 4.35秒 4.12秒 3.97秒 全体 2,104 2.76% 4.15秒 12
考察 | 誤選択率と反応時間(仮説検証) • 仮説1→誤選択率が不一致条件で有意に高く、 選択誘導 に利用され得る可能性が示された • 仮説2→反応時間が不一致条件で有意に長く、 判断に 「迷い」が生じている。時間的制限を合わせることで 誘導を強める可能性がある 仮説1・仮説2ともに支持された 13
制約と展望 誤選択の定義に関する制約 • 純粋な誤反応だけでなく、記憶の変容や再判断の影響が含まれる 可能性 具体的な色イメージを持たない語句においても当てはまる 可能性がある • 「はい/いいえ」や「OK/キャンセル」のような二値語句においても 色のイメージが付随的に想起される可能性 14
まとめ • 結論: ⚬ 物理ボタンと画面表示の色の不一致は、ユーザの誤選択を 有意に増加させ、反応時間も有意に長かった ⚬ 操作インタフェース起因のDPが成立する可能性が示唆された • 今後の展望: ⚬ 誤選択の誘発を応用して、実際に選択確率を特定方向へ 操作できるかを検証する必要がある 15