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March 10, 26
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
2026年3月11日 第217回ヒューマンコンピュータインタラクション研究発表会 部分的な視覚的強調が短期記憶に及ぼす影響: デジタル時計の時刻情報と非時刻情報の比較 重松龍之介,萩原亜依,中村聡史 明治大学
背景 1 人は日常の中で 何気なく時計を確認している ・作業中にふと時間を見る ・スマートフォンで時間だけ確認する 時計を見ること ≠ 時刻を記憶している
アプローチ 2 表示方法によってデジタル時計における時刻の記憶が変わる可能性に着目 提案手法 時刻の一部を視覚的に強調する 特定の情報に注意が向き記憶されやすくなる 通常表示 強調表示
目的 3 本研究では以下の2点について検証 01 ひとは時刻情報を どの程度記憶しているか 通常表示において時刻情報を正確に 記憶できているかを検証する. 02 部分的な強調により どの程度記憶に残るのか 強調された部分が,通常表示の同じ部分と 比べて記憶が向上するかを検証する.
提示情報一覧 通常 時刻情報 時:分 00:00–23:59 数字情報 (ベースライン) 上2桁 / 下2桁 0000–9999 4 左要素強調 右要素強調
仮説 H1 5 通常表示では, 時刻情報は数字情報より記憶されにくい 時刻は「時」と「分」を同時に処理する必要があるため H2 強調表示では, 強調された要素は記憶されやすくなる 視覚的強調は注意を特定の要素に向けるため
実験 6 実施環境:スマートフォン(Webブラウザ) STEP 1 情報提示 ① 表示ボタン押下 ↓ ② 時刻/数字を提示 ↓ ③ 自動で画面遷移 提示時間:1秒 STEP 2 回答入力 桁ごとに入力 不明な場合は空欄可
実験 7 意図的な記憶を防ぐタスクを実施 タップタスク スワイプタスク S T E P 1 S T E P 2 情 報 提 示 回 答 入 力 タップタスク (30秒)
実験 実験参加者 8 実験設計 クラウドソーシングで募集 • 6条件のいずれか1つに割当 N = 873(男性436,女性437) • 提示・回答は1回のみ 年齢層:10代〜60代以上 評価指標 • 完全正答率 • 左右要素の正答率
結果:通常表示における完全正答率 100% 12:34 1234 80% 60% 40% 78.1% 81.7% 時刻情報 数字情報 20% 0% 通常表示では 時刻情報の方がやや低い傾向 9
結果:強調表示が記憶に及ぼす影響 12:34 100% 12:34 12:34 時刻情報 80% ・強調された要素 正答率の向上 60% 40% ・非強調要素 正答率の低下 20% 0% 時の正答率 分の正答率 10
結果:強調表示が記憶に及ぼす影響 1234 1234 11 1234 100% 数字情報 80% 60% 強調された要素 正答率の向上は見られない 40% 20% 0% 上二桁の正答率 下二桁の正答率
考察 12 通常表示における記憶 時刻情報 数字情報 記憶処理の負荷が 「時・分」と4桁の数字で 大きく変わらなかった可能性 強調表示が記憶に及ぼす影響 時刻情報 数字情報 強調要素 強調要素 非強調要素 非強調要素 注意が特定の要素に 集中した 4桁の数字のまとまりが 強調によって崩れた可能性 部分的な強調の効果は, 情報の種類や構造に依存する可能性がある
探索的分析:年齢による影響 参加者を年齢で2群に分類して追加分析を行った 低年齢群(50歳未満) 高年齢群(50歳以上) n = 438 n = 435 13
結果:通常表示における完全正答率 100% 80% 低年齢群 時刻と数字の正答率は同程度 60% 83.3% 80.0% 72.6% 83.3% 40% 20% 0% 時刻情報 数字情報 高年齢群 時刻情報の正答率が低い 14
結果:強調表示が記憶に及ぼす影響 12:34 12:34 15 12:34 100% 80% 低年齢群 における時刻情報 60% 40% いずれの強調表示においても, 明確な正答率の向上は見られなかった 20% 0% 時の正答率 分の正答率
結果:強調表示が記憶に及ぼす影響 12:34 12:34 12:34 100% 80% 高年齢群 における時刻情報 60% 40% 強調された要素の正答率が 向上する傾向が確認された 20% 0% 時の正答率 分の正答率 16
考察 17 通常表示における記憶 時刻情報の方が 記憶に残りにくい 複数要素に対する同時処理の認知負荷が 大きくなった可能性 強調表示が記憶に及ぼす影響 高年齢群の時刻情報においてのみ 強調要素 認知負荷が高い状況では,強調による 注意の誘導が生じやすい可能性 時刻情報の記憶と部分的な強調の効果は 利用者の認知状態に依存する可能性
インターフェース設計への示唆 情報の種類や構造 利用者の認知状態 時刻情報の記憶を促すためのインタフェース設計 18
まとめ 19 背景 実験 ・デジタル時計は記憶されにくい ・時刻情報と数字情報の記憶を比較 ・部分的強調が記憶に及ぼす影響は不明 ・通常/時強調/分強調の3条件 結果 示唆 ・時刻情報:強調で選択的な記憶変化 ・情報の種類や構造に依存 ・数字情報:強調効果は確認されない ・利用者の認知状態に依存 ・高年齢群で強調の影響が大きい傾向