化粧フローチャートに基づく大学生・大学院生の化粧類似度推定

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August 08, 23

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HCI204発表資料

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

化粧フローチャートに基づく 大学生・大学院生の化粧類似度推定 髙野沙也香 中村聡史(明治大学)

2.

背景 SNSにおける 美容情報や化粧のチュートリアル動画の人気上昇 • 10~30代のコスメ情報の収集場所 第1位 [TesTee Lab, 2020] • 美容系YouTuberの情報を参考にしている 第1位 [LIPS labo, 2023] 2

3.

背景 自身と似た化粧工程の人が示す化粧法の方が 取り入れやすい 化粧工程の類似度を算出する基準はない 3

4.

Make-up FLOWの提案(HCI200) 髙野 沙也⾹, 梶⽥ 美帆, 濱野 花莉, 中村 聡史. Make-up FLOW: 個⼈差・状況差の⼤きい化粧⼯程の構造化と忘れやすさに関する調査, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2022-HCI-200, No.18, pp.1-8, 2022. 4

5.

Make-up FLOWの提案(HCI200) 部位 アイテム テクスチャ 4つ分岐条件 • 気合い(あり・なし) • 季節(夏・冬) • 外出時間(長い・短い) • 化粧時間(長い・短い) 5

6.

リサーチクエスチョン 化粧フローチャートを用いて 化粧工程の類似度を算出できるのか 6

7.

データセット構築 7

8.

データセット構築 • 19~25歳の女子大学生・大学院生 34名 • マスクを外す機会がある場合の 自身の現在の化粧フローチャートを作成 • 作成後には自身の化粧観などに関する アンケートに回答 8

9.

データセット構築 最小 最大 平均 標準偏差 7.1 3.7 最小工程数 1 16 最大工程数 5 29 16.0 5.7 分岐数 0 13 6.6 3.5 ルート数 1 22 5.7 4.1 アンケート • 全協力者が週に1度以上化粧を行っていた • 70.6%が「化粧をすることが好き」と回答した 9

10.

化粧工程の類似度分析 10

11.

化粧工程の類似度分析 化粧工程の類似=文字列の類似 1. 標準化レーベンシュタイン距離 2. N-gram頻度にもとづくコサイン類似度 11

12.

化粧工程を文字列で表す ⊃ ⊃ 部位 アイテム テクスチャ 12

13.

化粧工程を文字列で表す 化粧ノードを文字列に変換する方法 ① 3情報の組み合わせからなる文字列で表現する →今回はアルファベット,ひらがな,数字 ② 3情報の組み合わせを1文字で表現する →①の表現をUnicode値をもとに一意の文字に置換する 合字 Cき1 Dz 13

14.

化粧工程を文字列で表す 化粧ノードを文字列に変換する方法 ① 複合表記 →アルファベット,ひらがな,数字 ② 置換表記 →①の表現をUnicode値をもとに一意の文字に置換する 合字 Cき1 Dz 14

15.

化粧工程を文字列で表す 複合表記 置換表記 =Aぃ0 =¥x07 =Aぅ2 =¥x17 Aぃ0Aぅ2Bお1Cき1Eず0 =Bお1 =ċ =Cき1 =Dz =Eず0 =ϰ ¥x07¥x17ċDzϰ 15

16.

化粧工程の類似度分析 気合い分岐ノードの使用率 A 気合いがあるルート 82.4% 気合いがないルート B 気合いがある&最大工程数のルートから 類似度を算出 16

17.

標準化レーベンシュタイン距離 • 一般的なレーベンシュタイン距離 →ユーザ間の工程数の差が距離に反映される →標準化レーベンシュタイン距離を採用 • 置換表記での編集距離算出 →3情報の組み合わせの近さが考慮されない →複合表記による編集距離算出を採用 17

18.

標準化レーベンシュタイン距離 1情報 2情報以上 偏っている 距離が長め 部位を単体,アイテムをテクスチャを組み合わせる 18

19.

標準化レーベンシュタイン距離 部位+アイテム&テクスチャの編集距離分布 ペア数が増加 19

20.

標準化レーベンシュタイン距離 部位+アイテム&テクスチャの編集距離最短ペア 化粧ノード 部位の順番 部位の分量 20

21.

N-gram頻度+コサイン類似度 • 置換表記によるN-gram算出を採用 3情報によるn-gram頻度+コサイン類似度分布 3-gramは ほとんど0.0 2-gramの方が 0.1~0.3が多い 21

22.

N-gram頻度+コサイン類似度 3情報の2-gram頻度+コサイン類似度最大ペア 化粧ノード 連続一致 部位の移動 22

23.

2手法の特性分析 各手法の類似度が上位3位以内のペア分析 特徴 ・同一化粧ノードが過半数 標準レーベンのみ ・部位の流れがほぼ一致 高類似度 ・各部位の工程の分量が概ね一致 2-gram頻度のみ ・6工程連続で一致している箇所がある 高類似度 23

24.

考察 • 部位+アイテム&テクスチャの 標準化レーベンシュタイン距離の和 →同一化粧ノードが多く, 部位の流れ・各部位にかける工程の分量が類似 • 3情報の2-gram頻度をもとにしたコサイン類似度 →化粧ノードが連続して一致している数が多い 24

25.

考察 各手法における類似度が高いペアからの化粧の参考点 • 標準化レーベンシュタイン距離の和 →化粧時間をほぼ変えずに, 自身がすぐに取り入れられる工程を学べる 例)アイメイクの工程数が同じペア A:アイシャドウ・ビューラー・マスカラ B:アイシャドウ・アイライナー・マスカラ 25

26.

考察 各手法における類似度が高いペアからの化粧の参考点 • 2-gram頻度をもとにしたコサイン類似度 →より効果的・効率的な工程順の入れ替え方を学べる 例)立体感を出す工程の内容が一致しているペア A:化粧の序盤に立体感を出す工程 B:化粧の終盤に立体感を出す工程 26

27.

限界 • 2手法ともに類似度が低い部分の分布が多い →類似度の数値が低い化粧工程が推薦される可能性 →現状のデータセットでは 化粧工程の多様性をカバーできていない 化粧フローチャートデータセットを拡充 27

28.

展望 • 幅広い年齢層から化粧フローチャートを収集 • 美容系YouTuberの化粧のチュートリアル動画から 化粧フローチャートを書き出す 類似度にもとづいて 他者の化粧フローチャートを推薦・検索できるシステム 28

29.

まとめ • 背景:化粧工程の類似度を算出する基準が無い • 目的:化粧工程の類似度を算出可能か検証する • データセット構築:34名の化粧フローチャートを収集 • 類似度分析:2つの類似度算出手法で類似度を計算 • 考察:手法ごとに異なる観点からの類似度を計算可能 • 展望:類似度にもとづいて他者の化粧工程を推薦・ 検索するシステムの実装 29