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January 17, 20
スライド概要
Japanese slide about partial covering method to find drawing mistakes at conference of Human Computer Interaction 186.
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
作画ミス発見のための イラストの部分遮蔽手法の検証 明治大学大学院 先端数理科学研究科 1年 髙橋 拓 中村 聡史
背景 誰もが気軽にイラストを制作・発信できるように!
客観視ができなくなる問題 作画中、同じイラストを見続けていると どこがおかしいのか分からなくなってくる =客観視ができなくなる
客観視ができなくなる問題 作画中、同じイラストを見続けていると どこがおかしいのか分からなくなってくる =客観視ができなくなる ミス無し、投稿!
客観視ができなくなる問題 作画中、同じイラストを見続けていると どこがおかしいのか分からなくなってくる =客観視ができなくなる ミス無し、投稿! こんな絵だっけ…?
客観視ができなくなる問題 作画中、同じイラストを見続けていると どこがおかしいのか分からなくなってくる =客観視ができなくなる 認知の「慣れ」に着目 ミス無し、投稿! こんな絵だっけ…?
作画時の「慣れ」に関する事前調査 ・美術系の大学生4名に実際に絵を描いてもらった ・実験中、全員が「慣れ」の状況にあった イラスト初心者・上級者を問わず 誰にでも生じる現象
作画時の「慣れ」に関する事前調査 ・美術系の大学生4名に実際に絵を描いてもらった ・実験中、全員が「慣れ」の状況にあった 「慣れ」の状況下であっても、 絵の問題点(作画ミス)を 発見可能な手法が必要 イラスト初心者・上級者を問わず 誰にでも生じる現象
よくある作画ミスの例
よくある作画ミスの例 顔が左右非対称 頭身(バランス)が おかしい 首の付き方が変 腕の曲がり方が不自然 その他、表現のミス ・理想の絵柄・表情でない など…
よくある作画ミスの例 顔が左右非対称 頭身(バランス)が おかしい 首の付き方が変 腕の曲がり方が不自然 その他、表現のミス ・理想の絵柄・表情でない など…
よくある作画ミスの例 顔が左右非対称 首の付き方が変 「作画ミス」 作者自身の意図しない作画が 頭身(バランス)が イラスト内に残ってしまうこと おかしい 腕の曲がり方が不自然 他者からの指摘や機械による推定ではなく 最終的には作者自身で発見する必要がある その他、表現のミス ・理想の絵柄・表情でない など…
既存の作画ミス発見手法 時間を置いて再確認 ・時間がかかる(締め切りに間に合わない) 左右反転して確認 ・事前調査の結果「左右のバランス」ミスに有効 ・「上下のバランス」や「細部の描写」のミスの 発見は期待できない
既存の作画ミス発見手法 時間を置いて再確認 ・時間がかかってしまう(数秒や数分では難しい) 本研究の大目的 作画直後に適用可能かつ、 左右反転して確認 より多くのミスに気付くことのできる、 ・事前調査の結果「左右のバランス」ミスに有効 自身での作画ミス発見手法の実現 ・「上下のバランス」や「細部の描写」のミスの 発見は期待できない
部分遮蔽手法 [髙橋, 2019] ・イラストを部分的に隠すことで、 即座に作画ミス発見を促す部分遮蔽手法を提案 ・実験によって手法の有用性を調査した
部分遮蔽手法(仮説) ひと通り形になったのでミスを見つけたいが、 この絵がいいのか悪いのか分からない…
部分遮蔽手法(仮説) ここで、イラストの一部分を遮蔽する
部分遮蔽手法(仮説) このとき、遮蔽の向こう側を想像することで、 作者の理想のバランスを再認識させる
部分遮蔽手法(仮説) 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付ける?
部分遮蔽手法(仮説) 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付ける?
部分遮蔽手法(仮説) 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付ける?
部分遮蔽手法(仮説) またこのとき、全体を見ていると気付けなかった 提示された範囲の細部のミスにも意識が向く?
部分遮蔽手法のまとめ 遮蔽範囲内のバランスのミス 提示範囲内の細部のミス の発見に有効? ・初心者~中級者を対象に「人物キャラクタ」タスク における手法の有用性を調査 ・実験の結果、実際に作画ミス発見に有効だった ・実験協力者全員から好意的なフィードバックがあった
部分遮蔽手法のまとめ 遮蔽範囲内のバランスのミス 提示範囲内の細部のミス の発見に有効? 調査すべき問題点が残っている ・初心者~中級者を対象に「人物キャラクタ」タスク における手法の有用性を調査 ・実験の結果、実際に作画ミス発見に有効だった ・実験協力者全員から好意的なフィードバックがあった
部分遮蔽手法の不明点 ・遮蔽範囲のバランスのミス・提示範囲の細部のミスよりも 遮蔽範囲の細部のミスの発見が最も多く見られた → 手法によるミス発見の理由が明確でない ・人物の全身イラストのみに有効な可能性がある → 汎用性があるとは言えない ・本手法において重要なのが遮蔽範囲の設定 → イラスト内のどこをどのくらい遮蔽すれば、 最もミス発見に有効であるのかが不明なまま
部分遮蔽手法の不明点 ・遮蔽範囲のバランスのミス・提示範囲の細部のミスよりも 遮蔽範囲の細部のミスの発見が最も多く見られた → 手法によるミス発見の理由が明確でない ・人物の全身イラストのみに有効な可能性がある → 汎用性があるとは言えない ・本手法において重要なのが遮蔽範囲の設定 → イラスト内のどこをどのくらい遮蔽すれば、 最もミス発見に有効であるのかが不明なまま
部分遮蔽手法の不明点 ・遮蔽範囲のバランスのミス・提示範囲の細部のミスよりも 遮蔽範囲の細部のミスの発見が最も多く見られた → 手法によるミス発見の理由が明確でない ・人物の全身イラストのみに有効な可能性がある → 汎用性があるとは言えない ・本手法において重要なのが遮蔽範囲の設定 → イラスト内のどこをどのくらい遮蔽すれば、 最もミス発見に有効であるのかが不明なまま
本研究の目的 新たに追加した2種類の作画タスクにおける 部分遮蔽手法の有用性を再度調査し、 前回の結果と合わせて分析する 手法によって発見可能な作画ミスとその発見の要因 および より効果的な遮蔽方法を明らかにする 自動遮蔽システムの実装に向けた考察を行う
実験手順 ・部分遮蔽手法で発見可能なミスの傾向とその要因 ・より効果的な遮蔽方法 を調査する 作画タスク ミスに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
実験手順 ・部分遮蔽手法で発見可能なミスの傾向とその要因 ・より効果的な遮蔽方法 を調査する 作画タスク ミスに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
作画タスク(タスクの選定) ・人物キャラクタより描きやすく、 十分な作画ミスが生じる複雑さを持つタスクを選定 ・これまでの実験結果からパーツの多さが重要と判断 眼鏡 (眼鏡タスク) マグカップを持った手 (マグカップタスク)
作画タスク(タスクの内容) ・眼鏡を15分、マグカップを20分を目安に線画まで ・制作環境はこちらで用意 ・時間内に描き終わらなかった場合でも、 線画終了まで作画を続ける ・作画ミス誘発のため、苦手な構図・立体感を指定 ・それぞれのタスクごとに5名の実験協力者 ・全員イラスト初心者~中級者
実験手順 ・部分遮蔽手法で発見可能なミスの傾向とその要因 ・より効果的な遮蔽方法 を調査する 作画タスク ミスに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
実験手順 ・部分遮蔽手法で発見可能なミスの傾向とその要因 ・より効果的な遮蔽方法 を調査する ・作画直後(慣れあり) ・部分遮蔽手法適用後 ・作画の2日後(慣れなし) それぞれのタイミングで回答し、 新たに発見したミスを集計 作画タスク ・手法による感覚変化 ・観察時の視線計測 ミスに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
作画ミス回答の流れ 作画直後・2日後 ・単純に観察&1分間の視線計測 →観察を継続しつつ修正したい箇所の記入(無制限) 手法適用後 ・遮蔽状態で観察&1分間の視線計測 →遮蔽を取り観察&1分間の視線計測 →修正したい箇所の記入(無制限) ×遮蔽パターン分
遮蔽パターンの作成(メガネタスク) 前回同様、イラスト内の情報量がおよそ半分になるように遮蔽 ・イラストの内容に応じて監督者が手動で作成し提示 ・順序効果を考慮し、提示順序はランダム
遮蔽パターンの作成(メガネタスク) 前回同様、イラスト内の情報量がおよそ半分になるように遮蔽 ・イラストの内容に応じて監督者が手動で作成し提示 ・順序効果を考慮し、提示順序はランダム
実験結果(発見の例) 遮蔽手法によって新たにいくつかの作画ミスを発見できた
実験結果(感覚変化アンケート) 部分遮蔽手法 ・限られた場所だけに目が行くので、細かいミスに 気付けた ・遮蔽が取れたときに、その周辺との対応でおかしな ところがあったときにより気付けた 時間経過 ・実験時から若干違和感が増したように思えた ・新鮮な気持ちで全体を見ることが出来た
実験結果(感覚変化アンケート) 部分遮蔽手法 ・限られた場所だけに目が行くので、細かいミスに 気付けた ・遮蔽が取れたときに、その周辺との対応でおかしな タスクを変更しても手法は有用 ところがあったときにより気付けた 時間経過 ・実験時から若干違和感が増したように思えた ・新鮮な気持ちで全体を見ることが出来た
発見できた作画ミスの分類 遮蔽範囲の内容にかかわらず、 提示範囲を見るだけで気付けるミス オリジナル 作画直後 手法適用時 「耳を小さくしたい」「表情を変えたい」
発見できた作画ミスの分類 遮蔽範囲の内容にかかわらず、 提示範囲を見るだけで気付けるミス オリジナル 作画直後 手法適用時 「手首が細すぎる」「指の第一関節が全体的に短い」
発見できた作画ミスの分類 遮蔽範囲の内容にかかわらず、 提示範囲を見るだけで気付けるミス オリジナル 作画直後 手法適用時 「手首が細すぎる」「指の第一関節が全体的に短い」
発見できた作画ミスの分類 遮蔽範囲の内容にかかわらず、 提示範囲を見るだけで気付けるミス 注視点の変化だけでなく、 意識や感覚の変化によって発見できた オリジナル 作画直後 手法適用時 「手首が細すぎる」「指の第一関節が全体的に短い」
発見できた作画ミスの分類 遮蔽を取った時に、 周囲との対応を見ることで気付けるミス オリジナル 手法適用時 手法適用後 「親指以外の指先が凄く小さいので大きくしたい」
発見できた作画ミスの分類 遮蔽を取った時に、 周囲との対応を見ることで気付けるミス オリジナル 手法適用時 手法適用後 「レンズと耳かけ部分の接続部が左右で違う」
発見できた作画ミスの分類 遮蔽を取った時に、 周囲との対応を見ることで気付けるミス 遮蔽範囲を想像し、 再度全体を確認することで発見できた オリジナル 手法適用時 手法適用後 「レンズと耳かけ部分の接続部が左右で違う」
発見できなかった作画ミス ・より有効な遮蔽パターンの作成のため、 現状では発見できなかった作画ミスに着目 ・マグカップタスクにおける遮蔽範囲内の作画ミス の発見が少ない
発見できなかった作画ミス ・より有効な遮蔽パターンの作成のため、 現状では発見できなかった作画ミスに着目 ・マグカップタスクにおける遮蔽範囲内の作画ミス の発見が少ない
発見できなかった作画ミス
発見できなかった作画ミス ・遮蔽範囲にあるものと提示範囲にあるものが つながっている場合に遮蔽範囲内のミスが発見できる
発見できなかった作画ミス ・遮蔽範囲にあるものと提示範囲にあるものが つながっている場合に遮蔽範囲内のミスが発見できる ・マグカップのみを提示したとき、手のミスに気付く ことはなかった(逆も同様)→つながりではない
発見できなかった作画ミス つながり内部を通るような遮蔽が重要 ・遮蔽範囲にあるものと提示範囲にあるものが つながっている場合に遮蔽範囲内のミスが発見できる ・マグカップのみを提示したとき、手のミスに気付く ことはなかった(逆も同様)→つながりではない
発見できなかった作画ミス ・「腕が太すぎる」といったミスに気付けなかった → 特に意識が向いている箇所(顔と手)と 腕が常に同じ範囲内に提示されていたため
発見できなかった作画ミス ・「腕が太すぎる」といったミスに気付けなかった → 特に意識が向いている箇所(顔と手)と 腕が常に同じ範囲内に提示されていたため 特に意識されている箇所を考慮した 遮蔽が重要
分析のまとめ ・注視点や意識の変化→ 遮蔽範囲の内容にかかわらず、提示範囲を見るだけ で気付けるミス ・遮蔽範囲の想像→ 遮蔽を取った時に、周囲との対応を見ることで 気付けるミス ・注視点とその周辺を分離し、 つながり内部を分断するような遮蔽が有効
「つながり」の推定 ・作者がつながりだと認識している範囲の推定が必要 ・物体全体……「マグカップ」「手」「剣」 ・パーツ……「顔」「スカート(衣装の一部)」 ・視線の動きによって推定する ・観察時の視線の遷移にあらわれると予想 ・その他、作画手順や画像認識も検討 ・有効な遮蔽パターンの自動生成を目指す
有効な遮蔽の自動生成(予想図) つながりを元に遮蔽すれば発見の可能性が高くなる?
まとめと今後の展望 ・部分遮蔽手法の有用性の再調査を行った ・本手法は、 ・遮蔽範囲の内容にかかわらず、提示範囲を見る だけで気付けるミス ・遮蔽を取った時に、周囲との対応を見ることで 気付けるミス に有効であることを明らかにした ・「つながり」を元に遮蔽を自動作成するシステム の実装を目指す