ユーザに気づかせることなく書写技能を向上させるシステムの提案

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September 26, 16

スライド概要

ユーザに練習している意識をさせることなく書写技能が向上できるシステムを提案.自動変換をユーザに気づかせずに提示して,自らの文字と認識してもらうのを目的としている

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

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4.

書写技能向上システム ユーザが文字を書いているうちに自然と文字が綺麗になっている

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研究背景 子供 →なぞり書き・模写練習 大人 →履歴書・契約書・手紙 手書き文字を 書く機会は 多い 手書き文字を 書くことに • ペン字講座 関心がある 大人になっても手書きで文字を書く機会は多い • 書写技能検定 文字に関する検定多数存在

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研究背景 筆跡の恒常性 大人になるにつれて,その人自身の字のクセが 身についてしまっている→字形を変えるのは難しい 文字を綺麗にする →時間やお金がかかる なぞり書き練習,単純作業でつまらない!! 書写技能を向上させるのは 容易ではない

7.

研究目的 ユーザに気づかせることなく書写技能を向上させる ①ユーザが気づかない程度の融合割合の値 ②練習している意識なく字がきれいになるのか を検証し明らかにする

8.

書写技能向上サイクル 少し綺麗な字を 書く 書く 綺麗に 自動変換 思い込み 提示された文字を 綺麗な字と思い込む お手本文字と 融合させる 認識 綺麗になった文字を 提示する

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お手本文字との融合方法 ❶ ストロークの点の座標データを取得 ❷ スプライン補間 (点間の距離を短くする) ❸ フーリエ級数展開により数式化 お手本 ユーザ ❹ お手本とユーザを加重平均化 お手本×α + ユーザ×(1ーα)

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融合割合ごとの変化 お手本×α + ユーザ×(1ーα) ユーザ 0.0 お手本 0.2 0.4 0.6 お手本に近づいていく! 0.8 1.0

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予備実験 融合割合αをどこまでの値なら ユーザに変換したと気付かれないのか? 気づかないうちに手書き文字を綺麗に変換するため

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データセット構築 ①実験協力者10人に漢字13文字を3回ずつ書いてもらう 子富案空色夢道波理敬永女様 ②それを平均化(ブレをなくすため) お手本文字 書道経験者1人,クセがなく整った字形の3人の計4人

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予備実験:融合割合評価 お手本文字|4人 実験協力者|6人 書道経験者Aさん 他B〜Dさん E〜Jさん お手本 平均文字 × 13(文字) = 4(人) 52(文字)

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加重平均化文字提示システム ①ランダムに融合割合の違う 加重平均化した平均文字を提示 ②自分の文字だと思ったものを 選択してもらう(複数選択可) ユーザに融合割合は示さず 直感的に選んでもらう

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結果(予備実験) お手本となる文字によって融合割合は変化するのか? 融合割合の最大値と最小値を表した棒グラフ

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結果(お手本ごと) A 画数の少ない漢字 融合割合が高い=自分の字が変換されたと気づきにくい 特徴が出る機会が少ない→自分のだと判断する要素が少ない

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結果(お手本ごと) C D 「女」の融合割合が高い 気づかれにくい=字形の影響受けやすくなる?!

18.

結果(お手本ごと) A 画数の多いもの 止め,はね,払い→ユーザの癖が出やすい

19.

波の書き順

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結果(お手本ごと) 漢字の書き順が難しいもの 止め,はね,払い→ユーザの癖が出やすい A 画数の多いもの いつもと違う書き順→特徴量増加 融合割合が低い=お手本の要素が多いと自分の字でないと気づく

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結果(Aさんとユーザごと) 画数に関係なく融合割合が変化 規則性がない 自分の文字にこだわりがない 割合を高くしても 気づかれない

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予備実験結果まとめ 画数 書き順 こだわり 融合割合の値は変化する 融合割合が0.4以上だと自分の文字と認識しにくくなる 0.4未満であれば気づかれないで変換できる可能性

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書写技能向上システム 融合割合αを用いて実験を行う

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システム内容 ①ユーザが書いている時 →ユーザ自身の点列を表示 ②1つのストロークを入力し終わる →融合割合を使って 加重平均化したストロークの提示 ※1つのストロークが決まってからでないと 数式が確定できない

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書写技能向上に関する実験 ①ユーザに気づかれずに変換できるのか? ②書写技能が本当に向上して字が綺麗になるのか?

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お手本文字・融合割合αの選定方法 予備実験より… お手本文字の選定 実験協力者から最も評価が高かったCさんをお手本とする お手本となる漢字の選定 比較的画数の少ない漢字は融合割合が高く,値に違いがない →「安」「色」「女」「空」の4文字を選定 融合割合αの選定 最大値の中で最も一番小さかった値→ 0.4 これ以上にすると 気づいてしまう可能性 融合割合αは0.1 , 0.2 , 0.3 で実験を行う

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実験手順 安色女空の漢字4文字を30回書いてもらう 回数(回目) 融合割合(割) 1〜5 0.0 6〜25 ユーザごとに変化 0.1 0.2 0.3 26〜30 0.0 書写技能が 向上しているかを見る 1回書き終わるごとに書いた4文字を見直してもらう ユーザに「自分の文字はこういうのだ!」と思い込ませるため 書いているうちに雑になるのを防ぐため

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結果(本実験) 25 2 書くのに 慣れていない 26 3 27 … 1 15 28 5 29 6 … 4 30

29.

結果(筆跡の変化) (回目) 3 4 5 28 29 30 α=0.3 α=0.2 α=0.1

30.

結果(筆跡の変化) (回目) 3 4 5 28 29 30 α=0.3 α=0.2 α=0.1

31.

α=0.3のときの文字変化 3回目 4回目 28回目 29回目 字形に安定感がない 重心がバラバラ 5回目 30回目

32.

α=0.3のときの文字変化 3回目 4回目 28回目 29回目 5回目 30回目

33.

結果(筆跡の変化) (回目) 3 4 5 28 29 30 α=0.3 α=0.2 α=0.1

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α=0.2 0.1のときの文字変化 α=0.2 形にばらつき α=0.1 3〜5回目 形・大きさに統一感 28〜30回目

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結果(重ね合わせ) α=0.3 α=0.2 お手本に少しだけ近づいた 緑=お手本 青=1〜5回目の平均文字 赤=25〜30回目の平均文字 α=0.1 変化なし

36.

結果(重ね合わせ) α=0.3 α=0.2 お手本に少しだけ近づいた 緑=お手本 青=1〜5回目の平均文字 赤=25〜30回目の平均文字 α=0.1 変化なし

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システムを使ってみた!! 3日間 毎日システムを使用(融合割合0.3) 最初 お手本 3日後

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考察:書写技能向上について 字形に大きな変化はないが,微妙にお手本に近づいた 何回も書いたために文字が綺麗になった可能性 →融合割合を0の時のシステムを利用してもらい 結果を比較する 書写技能向上には30回では少なく向上につながりにくい →人数を増やし,長期的な実験が必要

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考察:ユーザ観察において 自身の手書き文字を見直してると,綺麗になったと実感 →融合割合が0.3 気づく 融合割合が0.2 0.1 気づかない 25回目〜30回目は丁寧に書く うまく書けなかったら書き直す →綺麗に書くということのモチベーション向上 につながった

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オープンキャンパスで… (2016/8/18~19) 175人にシステムを利用してもらった 割合が0.15以下だと,変換されていることに気づかない 変換に気づいてしまっても綺麗になっていることが嬉しい 割合を高くして,ノートを取る時の支援に使えるのでは?

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まとめ ユーザに気づかせることなく書写技能を向上させる システムの提案 システムによって書写技能が向上するのか検証 →ユーザに変化が見られた 字の癖が身についてから書写技能を向上させるのは 簡単ではない

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今後の課題 長期的なシステムの利用 →書写技能がほんとうに向上するのか検証 対象者の拡大 →小学生,日本語学習中の外国人 手書き分野全般に応用 →文字だけでなく絵や図形などでも効果はあるのか?