PCとスマートフォンにおけるプログレスバーと周辺視野への視覚刺激の提示による体感時間短縮効果の調査

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March 15, 23

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

PCとスマートフォンにおける プログレスバーと周辺視野への 視覚刺激の提示による 体感時間短縮効果の調査 明治大学B3 小川剣二郎 青木柊八 中村瞭汰 中村聡史(明治大学) 山中祥太 (ヤフー株式会社) 1

2.

背景 PCやスマートフォンの利用において、頻繁に待機時間が生じる ユーザの離脱 モチベーションの低下 ストレス ◎プログレスバーのような視覚的フィードバックが有効 ・プログレスバーによる時間提示は、テキストによる時間提示 や時間提示無しの場合に比べ、体感時間を短縮する [Gronierら 2008] 2

3.

関連研究 –プログレスバーに関して- ・アニメーションの加速度を変更することによって、 速度を速く知覚する [Kurokiら 2015] ・形状は体感時間には影響せず、後半に加速、あるいは減速 すると体感時間が短縮される [Kimら 2017] ・中心視野にプログレスバーが提示されている際、周辺視野へ 視覚刺激を提示することで体感時間が増減する [松井ら 2018] 3

4.

先行研究 –プログレスバーの周辺への視覚刺激の提示- 体感時間を短縮するのに効果的な視覚刺激の調査 [中村ら 2021] 4

5.

先行研究 –プログレスバーの周辺への視覚刺激の提示- 体感時間を短縮するのに効果的な視覚刺激の調査 [中村ら 2021] 5

6.

先行研究 –プログレスバーの周辺への視覚刺激の提示- 体感時間を短縮するのに効果的な視覚刺激の調査 [中村ら 2021] PCを対象にしており、スマートフォンでは 検証できていない 6

7.

背景 スマートフォンは複数の ウインドウを同時に開けない デバイスごとに適切な 視覚刺激を提示したい 7

8.

目的 プログレスバーの周辺へ視覚刺激を 提示することによる体感時間への影響を PCとスマートフォン間で比較 8

9.

刺激条件の選定 横向きの刺激 + 縦向きの刺激 9

10.

仮説 PCでは横向きの視覚刺激を、 スマートフォンでは縦向きの視覚刺激を 提示した際に、より体感時間が短縮される 10

11.

実験 –実験条件- 刺激無し 右向き 下向き 右回転 左向き 上向き 左回転 11

12.

実験 –実験条件横向き刺激条件 刺激無し 右向き 下向き 右回転 左向き 上向き 左回転 12

13.

実験 –実験条件縦向き刺激条件 刺激無し 右向き 下向き 右回転 左向き 上向き 左回転 13

14.

実験 –実験条件楕円運動刺激条件 刺激無し 右向き 下向き 右回転 左向き 上向き 左回転 14

15.

実験 –実験条件- 正の向き 右向き 下向き 右回転 左向き 上向き 左回転 負の向き 15

16.

実験 –実験手順- 16

17.

実験 –実験手順- 刺激無し 正の向き 負の向き 5 6 7 8 9 10 11 12 秒 24試⾏ 17

18.

実験 –実験手順条件A(PC→スマートフォン) 1回目 2回目 条件B (スマートフォン→PC) 1回目 2回目 18

19.

結果 実験参加者:大学生30人(男性22人、女性8人) 横向き刺激条件:10人 縦向き刺激条件:10人 楕円運動刺激条件:10人 各刺激条件において PC、スマートフォンから 開始した参加者は5人ずつ 19

20.

結果 -デバイスごとの体感時間- 14.0 12.0 y = 0.8652x + 1.3487 R² = 0.9914 回答時間(s) 10.0 8.0 y = 0.8529x + 1.4078 R² = 0.9907 6.0 4.0 刺激無しでは PCとスマートフォンでは 体感時間に差はない PC 2.0 スマートフォン 0.0 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) 刺激無し 20

21.

結果 -デバイスごとの体感時間- 14.0 12.0 y = 0.8652x + 1.3487 R² = 0.9914 回答時間(s) 10.0 10-12 5-9 8.0 y = 0.8529x + 1.4078 R² = 0.9907 6.0 4.0 刺激無しでは PCとスマートフォンでは 体感時間に差はない PC 2.0 スマートフォン 0.0 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) 刺激無し 21

22.

結果 –横向き刺激条件での体感時間- 14.0 14.0 12.0 12.0 y = 0.845x + 1.2795 R² = 0.9894 10.0 8.0 y = 0.8116x + 1.4497 R² = 0.9899 6.0 回答時間(s) 回答時間(s) 10.0 y = 0.7999x + 1.7048 R² = 0.9844 8.0 y = 0.7623x + 1.9416 R² = 0.9709 6.0 4.0 4.0 PC PC 2.0 2.0 スマートフォン スマートフォン 0.0 0.0 0 2 4 6 8 待機時間(s) 左向き 10 12 14 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) 右向き 22

23.

結果 –縦向き刺激条件での体感時間14.0 14.0 12.0 8.0 y = 0.8238x + 1.3364 R² = 0.9822 6.0 4.0 2.0 スマートフォン スマートフォン 0.0 4 6 8 待機時間(s) 上向き y = 0.8376x + 1.2065 R² = 0.9933 6.0 PC 2.0 2 8.0 4.0 PC 0 y = 0.8736x + 0.9371 R² = 0.9985 10.0 回答時間(s) 10.0 回答時間(s) 12.0 y = 0.9301x + 0.6002 R² = 0.9877 10 12 14 0.0 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) 下向き 23

24.

結果 –楕円運動刺激条件での体感時間14.0 14.0 12.0 8.0 y = 0.8145x + 1.3853 R² = 0.9838 6.0 y = 0.8599x + 1.1835 R² = 0.9886 10.0 回答時間(s) 10.0 回答時間(s) 12.0 y = 0.8682x + 1.0727 R² = 0.9959 8.0 y = 0.8077x + 1.5667 R² = 0.9931 6.0 4.0 4.0 PC PC 2.0 2.0 スマートフォン スマートフォン 0.0 0.0 0 2 4 6 8 待機時間(s) 左回転 10 12 14 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) 右回転 24

25.

結果 -デバイスごとの体感時間- 14.0 12.0 y = 0.7999x + 1.7048 R² = 0.9844 10.0 y = 0.7623x + 1.9416 R² = 0.9709 6.0 回答時間(s) 10.0 8.0 4.0 6 8 10 12 0 2 4 待機時間(s) 6 8 10 12 スマートフォン 0 14 4.0 スマートフォン 4 6 8 待機時間(s) 左向き y = 0.8238x + 1.3364 R² = 0.9822 6.0 回答時間(s) 8.0 10 12 14 8.0 y = 0.8145x + 1.3853 R² = 0.9838 6.0 PC 2.0 スマートフォン スマートフォン 14 12 4.0 2.0 0.0 10 y = 0.8682x + 1.0727 R² = 0.9959 10.0 PC 2.0 2 12.0 4.0 PC 0 回答時間(s) y = 0.8116x + 1.4497 R² = 0.9899 6.0 8 右回転 y = 0.9301x + 0.6002 R² = 0.9877 10.0 8.0 6 14.0 12.0 y = 0.845x + 1.2795 R² = 0.9894 10.0 4 待機時間(s) 14.0 12.0 2 下向き 14.0 :延長 0.0 待機時間(s) 右向き 回答時間(s) PC 0.0 14 y = 0.8077x + 1.5667 R² = 0.9931 6.0 2.0 スマートフォン 0.0 :短縮 8.0 4.0 2.0 スマートフォン 4 y = 0.8376x + 1.2065 R² = 0.9933 PC 2.0 2 8.0 6.0 y = 0.8599x + 1.1835 R² = 0.9886 10.0 4.0 PC 0 12.0 y = 0.8736x + 0.9371 R² = 0.9985 回答時間(s) 12.0 回答時間(s) 14.0 14.0 0.0 0.0 0 2 4 6 8 待機時間(s) 上向き 10 12 14 0 2 4 6 8 10 12 14 短い時間(5〜8秒) では延長 長い時間(9〜12秒) では短縮 待機時間(s) 左回転 25

26.

結果 –刺激の種類ごとの体感時間短縮効果各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC 0.966 0.953 0.971 0.983 0.977 0.975 0.971 スマートフォン 0.991 0.986 0.943 0.947 0.978 0.959 0.968 ※1以上だと延長、1未満だと短縮 どの刺激条件においても刺激無しと比べると体感時間は短縮 26

27.

結果 –刺激の種類ごとの体感時間短縮効果各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC 0.966 0.953 0.971 0.983 0.977 0.975 0.971 スマートフォン 0.991 0.986 0.943 0.947 0.978 0.959 0.968 PCでは横向き刺激条件、スマートフォンでは縦向き刺激条件が 特に短縮効果がある 27

28.

結果 –刺激の種類ごとの体感時間短縮効果各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC 0.966 0.953 0.971 0.983 0.977 0.975 0.971 スマートフォン 0.991 0.986 0.943 0.947 0.978 0.959 0.968 どの刺激においても正の向き、負の向き間で、刺激無しと比べた 体感時間増減の割合はあまり変わらない 28

29.

結果 –デバイスの順番による影響各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC(1回⽬) 0.948 0.941 1.001 1.026 0.983 0.982 0.980 PC(2回⽬) 0.994 0.972 0.951 0.955 0.970 0.968 0.969 スマートフォン(1回⽬) 0.992 0.988 0.960 0.942 0.997 0.991 0.978 スマートフォン(2回⽬) 0.991 0.984 0.972 0.985 0.959 0.929 0.970 1回目:PCでは横向き刺激条件が、 スマートフォンでは縦向き刺激条件がより体感時間を短縮 2回目:上記の条件以外の刺激の短縮効果が高くなっている 29

30.

考察 -デバイスごとの体感時間- 刺激無しではPCとスマートフォンでは体感時間に差はない 14.0 12.0 y = 0.8652x + 1.3487 R² = 0.9914 回答時間(s) 10.0 8.0 y = 0.8529x + 1.4078 R² = 0.9907 6.0 視覚刺激を表示しない場合は、 デバイスの種類での影響は無い 4.0 PC 2.0 スマートフォン 0.0 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) 刺激無し 30

31.

考察 -デバイスごとの体感時間- 短い時間(5〜8秒)では延長、長い時間(9〜12秒)では短縮 14.0 12.0 y = 0.7999x + 1.7048 R² = 0.9844 回答時間(s) 10.0 8.0 y = 0.7623x + 1.9416 R² = 0.9709 6.0 秒数条件を分けて実験を行うことで より部分的な傾向を調査 4.0 PC 2.0 スマートフォン 0.0 0 2 4 6 8 10 12 14 待機時間(s) (例)右向き 31

32.

考察 –刺激の種類ごとの体感時間短縮効果- どの刺激条件においても刺激無しと比べると体感時間は短縮 各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC 0.966 0.953 0.971 0.983 0.977 0.975 0.971 スマートフォン 0.991 0.986 0.943 0.947 0.978 0.959 0.968 プログレスバーの周りに視覚刺激を提示することは PC、スマートフォンの両者において有効 32

33.

考察 –刺激の種類ごとの体感時間短縮効果- PCでは横向き刺激条件、スマートフォンでは縦向き刺激条件が 特に短縮効果がある 各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC 0.966 0.953 0.971 0.983 0.977 0.975 0.971 スマートフォン 0.991 0.986 0.943 0.947 0.978 0.959 0.968 PCでは横向き、スマートフォンでは縦向きといった デバイスの形状に合った視覚刺激がより効果的 33

34.

考察 –刺激の種類ごとの体感時間短縮効果- どの刺激においても正の向き、負の向き間で、 刺激無しと比べた体感時間増減の割合はあまり変わらない 各デバイスにおける刺激無しの体感時間に対する割合 右向き 左向き 下向き 上向き 右回転 左回転 平均 PC 0.966 0.953 0.971 0.983 0.977 0.975 0.971 スマートフォン 0.991 0.986 0.943 0.947 0.978 0.959 0.968 両デバイスにおいて向きの正負による 体感時間短縮効果への影響はあまりない 34

35.

考察 –デバイスの順番による影響- 1回目:PCでは横向き刺激条件が、 スマートフォンでは縦向き刺激条件がより体感時間を短縮 2回目:上記の条件以外の刺激の短縮効果が高くなっている 1回目の実験で提示時間の傾向をつかみ、 2回目はそれと同様であると推測された可能性 35

36.

まとめ 背景:PCやスマートフォンの利用において、頻繁に待機時間が生じる 目的:プログレスバーの周辺へ視覚刺激を提示することによる体感時間 への影響をPCとスマートフォン間で比較 仮説:PCでは横向きの視覚刺激を、スマートフォンでは縦向きの 視覚刺激を提示した際に、より体感時間が短縮される 結果:PCでは横向き刺激条件、スマートフォンでは縦向き刺激条件が 特に短縮効果がある 考察:PCでは横向き、スマートフォンでは縦向きといった デバイスの形状に合った視覚刺激がより効果的 36