視線に連動した記憶対象文字列への非流暢性効果による記憶容易性向上手法

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January 16, 23

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

視線に連動した 記憶対象文字列への非流暢性効果 による記憶容易性向上手法 明治大学4年 髙野沙也香 青木柊八 中村聡史(明治大学)

2.

はじめに • 記憶は学習において重要な要素である 記憶という行為は容易ではない • 暗記をする際には短期記憶を長期記憶に 昇華させる必要がある 繰り返し学習には多くの時間と労力がかかる 2

3.

はじめに • 記憶は学習において重要な要素である 記憶という行為は容易ではない 記憶効果を上げるために • 暗記をする際には短期記憶を長期記憶に 昇華させる必要がある 様々な研究が行われている 繰り返し学習には多くの時間と労力がかかる 3

4.

関連研究:非流暢性効果 • 文字の流暢度が低ければ低いほど 記憶容易性が高くなる効果(=非流暢性効果) • 文字色を薄くして流暢度を低くすることで 記憶保持力が向上する[Oppenheimer 2011] Oppemheimer, D. M., Diemand-Yauman, C., Vaughan, E. B.. Fortune favors the bold (and the italicized): Effect of disfluency on educational outcomes. Cognition. 2011, vol. 118, no. 1, p. 111-115. 4

5.

関連研究:非流暢性効果 • 文字を上下反転して読みにくくすると 記憶容易性が上昇する[Sungkhasettee 2011] • 手書き文字と活字の記憶容易性を比べた結果, 読みにくい手書き文字の記憶容易性が最も高くなる [Ito 2020] Sungkhasettee, V.W., Friedman, M.C., Castel, A.D.. Memory and metamemory for inverted words: Illusions of competency and desirable difficulties. Psychon Bull Rev. 2011, vol. 18, no. 973. Ito R., Hamano K., Nonaka K., Sugano I., Nakamura S., Kake A., Ishimaru K.. Comparison of the Remembering Ability by the Difference Between Handwriting and Typeface, International Conference on Human-Computer Interaction, 2020, vol. 1224, pp. 526-534. 5

6.

関連研究:非流暢性効果 • 文字を上下反転して読みにくくすると 記憶容易性が上昇する[Sungkhasettee 2011] • 手書き文字と活字の記憶容易性を比べた結果, 文字の流暢度を下げることで 読みにくい手書き文字の記憶容易性が最も高くなる 記憶容易性を向上させられる [Ito,2020] Sungkhasettee, V.W., Friedman, M.C., Castel, A.D.. Memory and metamemory for inverted words: Illusions of competency and desirable difficulties. Psychon Bull Rev. 2011, vol. 18, no. 973. Ito R., Hamano K., Nonaka K., Sugano I., Nakamura S., Kake A., Ishimaru K.. Comparison of the Remembering Ability by the Difference Between Handwriting and Typeface, International Conference on Human-Computer Interaction, 2020, vol. 1224, pp. 526-534. 6

7.

関連研究:非流暢性効果 • これらの流暢度を下げる手法は 文字自体に変化を与えている →既存の教材やノートなどに適用できない 文字の上から適用することが可能な ぼかしに着目 7

8.

関連研究:非流暢性効果(ぼかし) • ぼかすことは単語の流調度を下げる効果があるが 記憶容易性を向上させる効果はない[Yue 2013] • ぼかしの深度が弱い場合は記憶力を向上させる 効果がないが,ぼかしの深度が強い場合は 記憶力を向上させる効果がある[Rosner 2015] Yue, C.L., Castel, A.D. and Bjork, R.A.. When disfluency is—and is not—a desirable difficulty: The influence of typeface clarity on metacognitive judgments and memory. Mem Cogn, 2013, vol. 41, pp. 229–241. Rosner T.M., Davis H., Milliken B.. Perceptual blurring and recognition memory: A desirable difficulty effect revealed. Acta Psychologica. 2015, vol 160, pp. 11-22 8

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関連研究:非流暢性効果(ぼかし) • ぼかすことは単語の流調度を下げる効果があるが 記憶容易性を向上させる効果はない[Yue 2013] ぼかしの深度が強い場合は • ぼかしの深度が弱い場合は記憶力を向上させる 効果がないが,ぼかしの深度が強い場合は ぼかしによる非流暢性効果が働く 記憶力を向上させる効果がある[Rosner,2015] Yue, C.L., Castel, A.D. and Bjork, R.A.. When disfluency is—and is not—a desirable difficulty: The influence of typeface clarity on metacognitive judgments and memory. Mem Cogn, 2013, vol. 41, pp. 229–241. Rosner T.M., Davis H., Milliken B.. Perceptual blurring and recognition memory: A desirable difficulty effect revealed. Acta Psychologica. 2015, vol 160, pp. 11-22 9

10.

関連研究:非流暢性効果(ぼかし) • 単語にぼかしを与えて提示 • 文章内の覚えたい文字列のみにぼかしを 与えた際の非流暢性効果については未検討 10

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関連研究 • 人の視線は低解像度の部分から 高解像度の部分に誘導される[Hata 2016] Hata, H., Koike, H., Sato, Y.. Visual Guidance with Unnoticed Blur Effect. In: Proceedings of the International Working Conference on Advanced Visual Interfaces. Association for Computing Machinery, 2016, pp. 28–35. 11

12.

目的 • 記憶対象への非流暢性効果を狙いつつ, 流暢度を下げられた記憶対象への 注視を誘導する手法の提案 • 繰り返し学習の支援 12

13.

仮説 視線に連動した流暢度の変化を 文字列に与えることで,その文字列の 記憶容易性が向上する 13

14.

提案手法 記憶対象文字列に ぼかしを与える ↓ 視線を向けると かかっているぼかしが 段階的に弱まる 14

15.

実験 • 仮説をもとに,特徴記憶実験を行う • 事前にプレ実験を行い,その結果をもとに 実験設計を調整した 15

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実験設計 • 特徴記憶実験 固有名詞 架空の物事の特徴を覚えてもらう • テーマ • 普段触れる機会の少ないもの • 宇宙人,化石,惑星,宝石 7つの 特徴 16

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実験設計 • 4つのテーマをぼかしあり群とぼかしなし群に ランダムに分ける • 事前にテストのサンプルを提示 • 毎回記憶タスクを提示する前に サンプルを提示し視線の確認を行う 17

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実験設計:特徴記憶実験手順 記憶フェーズ 忘却フェーズ 試験フェーズ 18

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実験設計:記憶フェーズ • 90秒で特徴を覚えてもらう 19

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実験設計:忘却フェーズ • 特徴の記憶維持に意識を向けさせない • 簡単にできる単純作業として 15分間のジグソーパズルを行う 20

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実験設計:試験フェーズ • 21項目から10項目を出題 • 固有名詞の特徴を 回答してもらう形式 21

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実験設計:試験フェーズ • テストの採点 • 回答のキーワードが含まれていたら正解 • 1問10点で計算し,100点満点 • 固有名詞を取り違えている場合 →固有名詞を入れ替えた際に点数が 高くなる場合は入れ替えて採点を行う 22

23.

実験設計:ぼかしの深度 • ぼかしの深度の統制 • 文字列の初期状態をかなり読みにくくする • 文字列のぼかしが完全に晴れるまで見た場合 再度かかるぼかしの深度を一度だけ下げる 復習の際の焦りを軽減するため 23

24.

実験設計:視線取得 • 実験協力者の視線のログを取得 文字列に向けられていた視線の合計時間や 文字列に対する固視回数を分析できるようにした • 固視回数 文字列に視線を向けているときの1フレーム後の 視線の移動距離が10px以下だった回数 24

25.

本実験:実験協力者 • 実験協力者は 大学生及び大学院生22人(男性15人,女性7人) 25

26.

本実験:結果 • テーマごとの 得点の平均 100 90 80 70 60 得点 • テーマ間で多重比較を 行った結果,有意差は なかった 50 40 30 20 10 0 宇宙人 化石 惑星 宝石 26

27.

本実験:結果 • ぼかしあり:平均61.6点 100 90 80 • ぼかしなし:平均53.9点 70 • t検定を行った結果 有意差(p<0.05)が存在 得点 60 50 40 30 20 10 0 ぼかしあり ぼかしなし 27

28.

本実験:視線分析結果 • 実験協力者の文字列に向けていた視線の平均と 固視回数の平均についての分析 • テストを採点する際に固有名詞を 入れ替えたテストは分析から除外 • 平均を算出する前に ±2SDの間に含まれない値を外れ値として除外 28

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本実験:視線分析結果 • 各文字列に向けられた 視線の合計時間の平均 • 各文字列に向けられた 固視回数の平均 29

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本実験:視線分析結果 • 各文字列に向けられた 視線の合計時間の平均 • 各文字列に向けられた 固視回数の平均 30

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本実験:視線分析結果 • 各文字列に向けられた 視線の合計時間の平均 • 各文字列に向けられた 固視回数の平均 31

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本実験:視線分析結果 • 視線の平均時間 ぼかしあり条件における正解と不正解との間で t検定を行った結果,有意差(p<0.01)が存在 • 固視回数 ぼかしあり条件における正解と不正解との間で t検定を行った結果,有意差はなし 32

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本実験:結果 • ぼかしありのほうがぼかしなしよりも • 得点が有意に高い • 文字列に向けられた視線の合計時間が長い • 文字列に対する固視回数が多い 33

34.

本実験:考察 • 視線に連動したぼかし深度制御は 文字列の記憶容易性を向上させる効果がある • ぼかしによる流暢度の低下や長時間視線を 文字列に向けさせることで学習における 適切な負荷を与えられる • 固視回数は記憶容易性にあまり影響を与えない 34

35.

展望 • ぼかしがかかっている段階と かかっていない段階での視線における差の調査 • より適切なぼかしの深度の調査・検討 35

36.

まとめ • 目的 ぼかしによる非流暢性効果を狙いつつ, 流暢度を下げられた記憶対象への 注視を誘導する手法の提案 • 提案手法 視線に連動したぼかし深度制御 • 結果 視線に連動したぼかし深度制御は 文字列の記憶容易性を向上させる効果がある 36