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March 13, 26
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
ドライビングシミュレータ における対向車の速度が 認知的狭さにおよぼす影響 明治大学 B3熊谷航太 成瀬詩織 飯田空 福井雅弘 中村聡史(明治大学) 山中 祥太(LINEヤフー株式会社)
2 背景 カーナビゲーションシステムでは道路条件による 影響を考慮できていない 運転者に負担の少ない経路を推薦する →様々な道路条件による移動時間や事故確率を モデル化し,運転難易度を推定することが重要 きついカーブ 狭い道路
3 ステアリングの法則 人の特性を分析してモデル化したもの ペンをスライドさせる動作を幅Wと区間長Aを用いて, 次のようにモデル化した MT=a+b*ID (MT:通過時間) A ID= W (ID:通過する難易度) Accot, J. and Zhai, S.: Beyond Fitts’ Law: Models for Trajectory-Based HCI Tasks, in Proceedings of the ACM SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems, CHI ’97, pp. 295–302 (1997).
4 先行研究 ステアリングの法則がVR環境での運転に適用できることが 明らかになっている Linear in VR [Zhai+] Shumin Zhai, Johnny Accot and Rogier Woltjer, Human action laws in electronic virtual worlds: an empirical study of path steering performance in VR, Presence: Teleoperators and Virtual Environments, vol. 13, no. 2, pp.113-127, April 2004.
ステアリングの法則 幅が急に変わる経路においても平均通過時間を推定できる Accot, J. and Zhai, S.: Beyond Fitts’ Law: Models for Trajectory-Based HCI Tasks, in Proceedings of the ACM SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems, CHI ’97, pp. 295–302 (1997). 5
先行研究 道路幅の変化が運転に及ぼす影響[福井 2023] ステアリングの法則がこの道路条件においても 適用できることが確認された M. Fukui, T. Takaku, S. Nakamura, and S. Yamanaka, ``Evaluating the Applicability of GUI-based Steering Laws to Virtual Reality Car Driving: A Case of Width-Changing Paths,'' Proc. of OzCHI 2023, pp.316-323, 2023. 6
先行研究 路上駐車による道路幅の変化が運転に及ぼす影響 [飯田 2024] 路上駐車によって通過できる幅が狭くなるという 道路条件において,ステアリングの法則が 適用可能であることが示された 飯田空, 福井雅弘, \CID{8705}久拓海, 中村聡史, 山中祥太, “ドライビングシミュレータにおける路上駐車による道 路幅の変化が運転に及ぼす影響,'' 信学技報, MVE2023-47, vol.123, pp.29-34, 2024. 7
本研究の焦点 今まで対向車が与える影響が調査されていない 8
9 目的 対向車が与える影響を調査 ステアリングの法則が適用できるか検証 MT=a+b*ID (式)=・・・
10 実験設計 実車での運転を再現したドライビングシミュレータシステム を利用 通過幅,区間長,対向車の速度などを変更可能 ドライビングシミュレータを使って いる時の画像 Companion
コース設定 コースは直線区間→対向車区間→直線区間という順に並んでいる コースの両端にはガードレールがついている 対向車区間の長さは 40m, 100m, 200m の3条件 11
コース設定 通過幅 が 3m, 4m, 5m の3条件 ここで扱う通過幅は運転車両が通過可能な幅のこと 対向車は 0 km/h または 60 km/h の速度を持っている 12
コース設定 通過幅 5 m,対向車区間長 100m ,対向車速度 0 km/h 13
コース設定 まとめ 通過幅 3 m,対向車区間長 40m ,対向車速度 0 km/h 背景:道路条件における精神的な影響を考慮できていない 目的:対向車が認知的狭さに与える影響を調査 ステアリングの法則が適用できるか検証 結果:対向車速度が 60km/h,通過幅が 3m の条件で, 運転車両速度が低下する傾向が確認された 平均速度 V を高い精度で推定することができた 展望:従来の通過速度 𝑀𝑇 のモデルへの適用 複数の速度条件を統一的に扱えるモデルへの拡張 14
コース設定 通過幅 5 m,対向車区間長 200m ,対向車速度 60 km/h 15
コース設定 通過幅 3 m,対向車区間長 100m ,対向車速度 60 km/h 16
実験設計 実験参加者は運転免許を持つ 大学生または大学院生 20 名 条件ごとの区間内平均速度および平均通過時間について, 外れ値となる実験参加者は確認されなかった 17
実験設計 条件は通過幅(3m, 4m, 5m),区間長(40m, 100m, 200m) , 対向車速度(0km/h, 60km/h)を組み合わせた 18 条件 当初,対向車速度条件は 30 km/h,90 km/hも検討したが, 実験にかかる時間と実験参加者への負担を考慮し,以上の 実験条件を採用した それぞれの条件についてランダムな順番でコースを走行する のを1セットとしてこれを 5 セット,計 90 コースを走行 18
19 実験設計 コース内のすべてのコースを成功させるまで そのコースを走行する コース内のすべてのコースを成功させるまでそのコースを 走行する 対向車,ガードレールとの接触でそのコースは失敗となる 対向車,ガードレールとの接触でそのコースは失敗とな 失敗した際はそのセットの最後にもう一度行う る 失敗した際はそのセットの最後にもう一度行う アクセルをそのまま踏むことでゴールしてしまう問題が アクセルをそのまま踏むことでゴールしてしまう問題が あったため,初期設定として走行車両に 2 度だけ角度をつけ, あったため,初期設定として走行車両に 2 度だけ角度をつ け, ステアリング操作を必要とした ステアリング操作を必要とした 19
結果:対向車区間における条件別平均通過時間 平均通過時間 通過幅 対向車速度 区間長40m 区間長100m 区間長200m 3m 0km/h 4.13 11.67 24.56 3m 60km/h 2.33 6.58 14.06 4m 0km/h 3.84 10.80 22.73 4m 60km/h 2.11 6.09 12.20 5m 0km/h 3.75 10.84 22.45 5m 60km/h 2.06 6.08 12.17 通過幅が狭い条件ほど平均通過時間が大きくなることがわかった 対向車速度がある条件の方が平均通過時間が短かった 20
結果:エラー率 エラーバーは標準誤差を示しており,実験参加者間のばらつきが 大きいことが分かる エラーのほとんどが通過幅 3 mの条件で起きていた 速度あり条件の方がエラー率が高かった 21
22 結果:速度の変化 対向車速度 0 km/h (区間長3条件,通過幅3条件) 対向車速度 60 km/h (区間長3条件,通過幅3条件) 通過幅が 3m の条件において,対向車とすれ違う直前から 直後にかけて運転車両速度が低下する傾向が確認された 22
23 結果:速度の変化 対向車速度 0 km/h (区間長3条件,通過幅3条件) 対向車速度 60 km/h (区間長3条件,通過幅3条件) 通過幅が 3m の条件において,対向車とすれ違う直前から 直後にかけて運転車両速度が低下する傾向が確認された 23 23
24 分析・モデル化 実験結果から,「通過幅」「対向車条件」が 運転行動に影響を与えることが確認された これらの要因が運転行動に与える影響を定量的に説明 するため,本研究では運転行動のモデル化を行う 24
25 分析・モデル化 「認知的狭さ」 走行時の外的要因により,道幅が実際よりも狭く感じられる現象と定義 路上駐車のドア開閉が与える認知的狭さへの影響をモデル化[成瀬 2024] 今回のモデル化においても,同様に対向車によって 道路が狭く感じられると考え,この影響を考慮したモデル化を考えた 25 成瀬詩織, 飯田空, 福井雅弘, 髙久拓海, 中村聡史, 山中祥太, “ドライビングシミュレータにおける路上駐車のドア 開閉が認知的狭さに及ぼす影響について,'' HCGシンポジウム 2024, 論文集, B-4-6, 2024.
分析・モデル化 問題として,対向車が接近する状況では,すれ違い区間の 長さが一定とならず,従来のステアリングモデルを そのまま適用することができない この問題を解決するため,本研究では 区間長に依存しない指標である 平均速度 V に着目した 26
実効幅 モデル化にあたり 自車両幅を考慮する必要がある 通過幅から自車両幅 (1.77m) を引いた実効幅を定義する つまりそれぞれ1.23m, 2.23m, 3.23mとなる 27
モデル:速度 対向車が動く場合に運転者に認知的狭さが発生し, 走行可能と認識する幅が物理的な実効幅よりも 狭くなると考え,モデル式を作成 ベースモデル 今回作成したモデル Move:ダミー変数(速度あり:1,速度なし:0) W2:実効幅(1.23m, 2.23m, 3.23m) 28
モデル:速度 ベースモデル 今回作成したモデル 適合度がR^2=0.8650 ,補正R^2= 0.8361 対向車の速度の有無や通過幅の違いがもたらす 運転速度の減少量を一定程度推定できることが確認された これにより,道路環境による運転のしやすさを定量的に評価 できる可能性が示唆された 29
展望 従来の通過時間 𝑀𝑇 のモデルへの適用 ステアリングの法則におけるすれ違い区間の区間長 𝐴 に 相当するパラメータを定義することが難しい 対向車の速度が速くなるにつれて運転難易度が高くなる一方で, 対向車は短時間で通過するため,必ずしも通過時間が増加すると は限らない 複数の速度条件を統一的に扱えるモデルへの拡張 減速が狭さによるものか,狭くなることの予測によるものか検証 30
まとめ 背景:道路条件における精神的な影響を考慮できていない 目的:対向車が認知的狭さに与える影響を調査 ステアリングの法則が適用できるか検証 結果:対向車速度が 60km/h,通過幅が 3m の条件で, 運転車両速度が低下する傾向が確認された 平均速度 V を高い精度で推定することができた 展望:従来の通過速度 𝑀𝑇 のモデルへの適用 複数の速度条件を統一的に扱えるモデルへの拡張 31