2026 学習開発学入門1 スライド

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May 14, 26

スライド概要

2026年度「学習開発学入門1」で使用した資料です。
教育方法学・外国人児童生徒教育学の視点から、「いい授業とは何か」「みんなが学べる授業とは何か」「多文化・多言語の教育をどう考えるか」といった視点を紹介しています。
あわせて、南浦研究室で大切にしている学び方や研究の進め方にも少し触れています。

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ことばや文化の多様な背景をもつ学び手(例:外国につながる子どもなど)を手がかりに、教育学の基本問題である「教育の目的」「カリキュラム」「評価」を捉え直しています。近年は「何ができるようになったか」を到達的に示すことが求められがちですが、その中で学びが「標準への適応」や「不足の補い」として語られやすくなる点にも目を向け、人格の形成や関係、場への参加といった教育の価値を、カリキュラムと評価の視点で考え直します。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

学習開発学入門1 4月24日 南浦涼介 だれもが、面白くてかしこくなれる 授業・教室・学校を探究・提案する 教育方法学 & 多様性教育学 研究室

2.

南浦研究室―教育方法学×多様性教育学の研究室 教育方法学 地域 評価 学級・学校 授業 カリキュラム 海外 比較教育 学級経営 関係づくり 声かけ 楽しい授業 学習意欲 子どもの 発達・成長 多文化 外国ルーツ の子ども 多様性教育学 外国に つながる子 研究室の輪郭 多文化 多言語 学習に困難 のある子へ の対応 多様性 の社会 インクルーシブ

3.

ゼミ(木1)のようす画像はAIによるイメージです。 研究室の輪郭 3年生前期 研究的視点の獲得 4年生後期 卒業論文執筆 3年生後期 研究テーマと構想 4年生前期 研究データと分析 寺子屋的に空間をゆるく分け、学年ごとに異なるタスクを行いながら ときどき学年間で意見の交換ができるようにしています

4.

考える①「授業を面白くする」…いい授業とは? わかる A ○ B ○ 分野の事例 面白い ○ × C × ○ D × ×

5.

考える② 外国につながる子どもと教育、理想は? 分野の事例 クラスに外国から子どもたちが来たとき,教師としてどう授業をする? ①これが実現できたらいいな,と思うのはどれ? ②現実的にはこれになるのだろうな,と思うのはどれ? ③なぜ②になってしまうのか,何をクリアするとできそうか? あ い う え 教科の時間に別教室 に取り出し 日本語を学ぶ授業で サポートする 授業で視覚的・体験 的・操作的なものを 使い、言葉ばかりに 頼らない授業をする 母語・アプリOK 国語の教材に移民の 子どもの成功物語を 母語を使える同士で 話しあう 発表はできれば日本 語、でもまわりが翻 訳機を使うのもあり 登場人物の挿絵の 髪や肌の色も多彩に 世界の音楽を学ぶ内 容の充実 「できない子・困った子」 「可能性を持った子・力があるけど出せない」 課題のある子どもに支援を それぞれの可能性や力を出せるように周囲の変化 問題を個人が引き受ける 問題を社会(まわり)が引き受ける

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考える①「授業を面白くする」…いい授業とは? 分野の事例 「わからないけれど、おもしろい」を生み出すには? 「わからないけれど、おもしろい」を生み出すには? 「ホンモノの学び」の大切さ 社会の中でも論争上にある問題を扱う ⚫ 外国語が上手っていうのは,正確性なのか,適切性なのか? ⚫ サケは淡水魚なのか海水魚なのか? どっち? ⚫ 「祝日になる天皇」と「祝日にならない天皇」があるのはなぜか? 「天皇誕生日」はいつまで続けるべきか? その世界のプロフェッショナルが現実世界で考えていることをなぞらえる • 江戸城の天守閣は絵図でしか残っていないが、この高さは実際どのくらいだった のか? • 日本語を学んでいる渦中にあっても「日本語ラップ」をつくるには? • 桃太郎は懲役何年か?

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分野の概念 「授業を面白くする」……いい授業とは? わかる A ○ B ○ 面白い ○ × C × ○ D × × Aを希求する授業 • 既知の内容 • 安定した概念 • 収束する理解 • 教師が管理可能な到達点 Cを希求する授業 • 既知がゆさぶられる • 概念の問い直しと再構成 • 開放する知識 • 教師の管理を越えた発見や思考

9.

「おもしろい授業」は「学校の流れ」とつながらないと、意味がない 分野の事例 大事なテーマだけれども、 「教科」の授業ではない、「教科書に載っていない」 だから、できない。じゃあ「どうやって」とりくむ? 外部提供のメリット 外部提供の難題 外から授業を提供するから 具体化できる 機会が与えられる 学校が受け入れるためには 学校や学級の風土、流れに 機会が適していないとだめ

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「おもしろい授業」は「学校の流れ」とつながらないと、意味がない 外部提供の難題 学校が受け入れるためには 学校や学級の風土、流れに 機会が適していないとだめ 分野の事例 参加している学校は、 なぜ参加できているのだろう? 市の中心部、多様な背景を持つ子どもが多い学校 A小の先生 漁港町、1学年1クラスの小規模校 B小の先生

11.

教育方法学:実践を「全体の営み」で捉える 分野の概念 全体のつながり、全体の変化とともにあることで「授業」「支援」は活きる 「世界」 の文脈 「制度」 の文脈 「地域」 の文脈 よい授業 よい支援 「家庭」 の文脈 「学校」の文脈 教育計画・管理職・同僚・子ども… 授業実践を「カリキュラム」「生態系の中にあるもの」として捉える 学校全体・地域全体で 中長期的な育成を考える 一般的な授業研究ではなく 状況的な授業研究をする 日本以外の学校や教育の ありかたからヒントを得る 評価の視点から考える 教師・学校をめぐる 制度や政策のありかたで 考える

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04の先輩の研究例 研究事例 広島県における複式教育の位置づけに関する研究 どうして少子化の時代に複式教育は魅力的なのに 「できるだけ避けたい」とされるんだろう? 自治体ではどんなふうに 複式学級について 議論しているのだろう? A先輩 各自治体の議会議事録で「複式学級」について 誰がどんなふうに言及している? 自治体の多くは「複式」を「困難・解消すべき形」で語っている でも希望として語る視点はもてないか? 先輩の研究手法 魅力的なはずの制度が活かされない「疑問」を 「議会の議事録」を分析して 教育を作る場の意思決定のクセを明らかにする

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04の先輩の研究例 研究事例 東広島市における多文化共生の制度と地域の活動の関連 ─偶発性と関係性から生起する場の視点から 東広島市は外国人が多いのにあまり制度が整っていない! いろいろなイベントはある。繋がっているのかな? B先輩 でも 実際の外国人の支援の場は互いに知っているのかな? まり知らなさそうだ… あ でも、町が盆地だからか、「口コミ」「噂」「人 の重なり」がすごくある 「体制をつくる」でなく「つながっていないのに、 つながっている」が生みだされている! 先輩の研究手法 外国人支援の「見えにくいつながり」の実際を フィールドワークとインタビューを使って 「偶然と関係」から生まれる場の大事さに光を当てる

14.

04の先輩の研究例 研究事例 高次の思考を伴う漢字学習の検討─タキソノミーのフレームワークを手がかりに─ 漢字学習っていつも 「繰り返す」「覚える」ばかり……! もっと「考える」「日常で活かす」み たいな形ができないかな? C先輩 でも「思考する」って 実際はどういうことを指すんだろう? 「漢字×思考」の見取り図を開発して、それを具体 的な教材化しよう「使い心地」を見よう 先輩の研究手法 「漢字」と「思考力」という相性の悪さをつなぐため 「思考」の枠組みを教育理論から検討し自作する その上で具体的な教材開発と実装を試みる

15.

05の先輩の研究例 研究事例 教師の「気になる子」という認識の形成 ─教育課程との関連に着目して─ 先生たちがよく言う「気 になる子」って何だ? 先生は割と「特性も含め てみんなを包む」を大事 にするのにどうして? D先輩 先輩の研究手法 子どもの「気になり」を 「特性」にもとめず「しくみ」にもとめる。 それを「ヴィネット調査」の手法で明らかにする 先輩の研究手法 先生の「営み」を「授業」「学級」に分けず 連続したものと捉える それを「フィールドワーク」から明らかにする 大学では 「教科」と「学級経営」が 別々にあるけれど つながってるんじゃない? E先輩 たしかに「子どもの特性」 はあるけど、それだけでなく 実は「テストの存在」「卒業後」 とその子の関係ゆえに「気になっ てしまう」のではないかな? そういう「教育課程」 「評価」の面からくる 「気になり」を明らかに しよう! 先生たちの普段の様子に 関わりながら実際の場で 「授業」と「学級」が どうつながっているのか を明らかにしたい! 実践を「授業と効果」で 語るのではなく 「学級の学びの物語」で 綴ることの教師としての 意味を考えたい! 児童の学びと関係を深める場として授業を捉える ─授業における子どものやりとりを見るミニエスノグラフィーを用いて─

16.

教育学研究とは何か? これからの「教育」をみすえて 研究の考え方 南浦研究室は「赤」をみすえて、そことの「線」を大事にしている 教育の社会学 教師や子どもをめぐる 状況・関係・力学 ど の よ う な 観 点 か ら 捉 え る か ? 教師の 教育材の開発 「教育」を 既成のしくみや認知に枠に埋没させない。 むしろ枠組みを捉え直したり 既成のしくみを再構築する視点をもって 「実践」する=研究 教科教育学の磁場の中心 心理学の磁場の中心 教師や子どもの 意識・心理 教育の心理学 学科 専門学 学校 専門学問の応用 としての教育 何を教育の中心とするか? 教育の専門科学 教 育 学 の 磁 場 の 中 心 社会 社会の接点 としての教育 教育の教育学

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教育学の研究方法 Research 調査的問い どうなっているか? なぜか? 研究の考え方 教育の心理学 教育の教育学 教育の社会学 原因-結果モデル 原理-解釈モデル 状況-発見モデル • 何が何に影響しているのか を、比べたり測ったりして 確かめる • 授業やカリキュラムの後ろ にある考え方や、大事にし ている価値を読み解く • 実際の場をよく見て、そ こで何が起きているのか、 何が問題かを見つけ出す • たとえば、質問紙や統計を 使って傾向を見る • たとえば、文書や授業記録、 • たとえば、フィールドワーク 海外のカリキュラムを手が やインタビューから、見えに かりに考える くい課題を立ち上げる 自然科学的 数量的 人文科学的 解釈的 社会科学的 解釈的 Engineering 介入-検証モデル 原理-開発モデル 状況-実践モデル 設計的問い • 新しいやり方を試してみて、 • 理論的な考え方をもとにし • その場の課題に応じた実 どうすればいいか? その前後や他との違いから 効果を確かめる て、新しい授業や学びの型 を構想する • たとえば、実践前後の質問 紙やテストの変化を見る • たとえば、理論を整理しな がら授業モデルを提案する 自然科学的 数量的 自然科学的 客観的な法則の解明 人文科学的 人間の営みの意味や価値の解釈 社会科学的 社会構造の分析と相互作用の解明 社会科学的 数量的 践を行い、起きたことを 記述しながら考える • たとえば、状況に応じた 実践を行い、その過程を 記述して考える 社会科学的 南浦研究室の得意分野 数量的 数値で客観的に測定・比較する 解釈的 意味や文脈を深く理解・解釈する 解釈的

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南浦研究室 実践を深掘り、包摂し、俯瞰し、提案する 研究の考え方 大きな方向性 そのための手がかり 授業を面白くするだけで終わらない。 学校の流れ(制度・風土・関係)まで設計できる教育者をめざす 多様性の課題を、 「特別な子への支援」ではなく「みんなの教室・学校の場の設計」 と捉える そのための研究方向と方法 学校や授業、教師や子どもの教育課題を 「状況・関係・力学」の観点と、教育・心理・教科をつなげながら「よりよ い実装」「よりよい解決」の可能性を探る • • • 教材・授業の開発研究(作る→試す→学びの質を言語化) 質的研究(観察・記録・インタビュー)(教室の出来事/教師の判断を読む) 制度・カリキュラム/地域連携の分析(「条件」を設計する)

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まとめ 身につく力 南浦研究室で身につく力 ① 授業を「それが成り立つ条件・環境」まで見通す力 ② 多様な子が参加できる学びを「つくる」力 ③ 実践を言語化し、学校や地域に提案できる力 南浦研究室のモットー ① ② ③ ④ 答えのない教育の問いを、議論しながら深める ゼミは民主的に、安心に、かつ背伸びをする 学問・テーマ以上に姿勢と価値でつながる 「おもろい!(驚愕)」と「なるほど!(共感)」

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卒業生のゼミ記録