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May 09, 26
スライド概要
広島大学 教育学部 初等教育学プログラム選択科目「外国人児童・生徒への教育」の授業スライドです
ことばや文化の多様な背景をもつ学び手(例:外国につながる子どもなど)を手がかりに、教育学の基本問題である「教育の目的」「カリキュラム」「評価」を捉え直しています。近年は「何ができるようになったか」を到達的に示すことが求められがちですが、その中で学びが「標準への適応」や「不足の補い」として語られやすくなる点にも目を向け、人格の形成や関係、場への参加といった教育の価値を、カリキュラムと評価の視点で考え直します。
1 2 3 ユニット1 4 5 6 7 8 9 10 ユニット2 ①日本語教育 アプローチ 受入方 歴史 法 言語 日本語 教科と 日本語 指導 12 13 14 15 ユニット3 現状と課題を知り 外国人児童生徒もいる学校・教室の場で子どもたちを育てる方法 「外国人の語学教育」では ないことを知る 概要 誰 11 多言語・多文化の教育課題 を分析する ②バイリンガル ア ③学校全 ④学校外 プローチ 体アプロ 連携アプ ーチ ローチ 分析1 初期指 言語構 バイリ ンガル 導 造 複数言 学校づ 語指導 くり 分析2 分析3 まとめ 学外連 学校事 学校事 少数散 レポー 携 例分析 例分析 在地域 ト
日本語指導が必要な子どもたちの「母語」は? 中国語 11862 1874 ポルトガル語 12026 553 8913 フィリピノ語 日本語 英語 2671 2208 3478 3221 1697 スペイン語 3668 378 ベトナム語 3756 222 韓国・朝鮮語 482 187 そのほか ネパール語 ベンガル語 ロシア語 タイ語 クメール語 外国籍 スワヒリ語 日本国籍 などなど 出所)文部科学省「『日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和5年度)』の結果について」のデータを用いて南浦作成
東広島市の在住外国人 A 広島市 B 福山市 C 呉市 D 東広島市 20,316人 9,967人 3,243人 8,324人 1,184,731人 458,865人 209,241人 196,755人 1.7% 2.1% 1.5% 4.2% 参考:欧米並み→10%(2055年頃) 2024年の新宿区→7%
資料 東広島市に住む外国人 その他, 1920 ブラジル, 237人, 人, 22% 3% ネパール, 384人, 4% 東広島市で 生活する 外国の人 8931人 中国, 3148人, 35% 韓国, 397人, 4% インドネシア, 479 ベトナム, 人, 5% 1779人, 20% フィリピン, 587人, 7% これは日本語担当の先生だけの仕事? 出典「東広島市における外国人市民の状況」より それとも、学校全体で乗り越える仕事? https://public.tableau.com/app/profile/hgh200944/viz/_16584648143860/sheet8
前回の授業で出てきた3つの「問い」 論点1 「外国人/日本人」の境界は何で決まるのか? 論点2 「日本語指導が必要」とは何で決まるのか? →「日本語指導」とは何を指し、誰がどう行うのか? 論点3 「多様性を包摂する」とはどういうことか? 「差異を承認する」ことなのか「格差を是正する」ことなのか?
外国につながる子どもに対して、そもそもどんな教育上の とりくみ課題が考えられる? ①学習に参加できるように、言語面をどう保障するか? ②通訳など、母語による意思疎通を可能にすることをどうするか? ③学級と日本語学級の間の学習状況や生活状況の共有をどう行うか? ④初期の学校適応と居場所づくりをどう取り組むか? ⑤学校外で行われている日本語学習の場などの情報をどう得るか? ⑥外国人保護者の困りごとをどう受け止め、どうつなぐか? ⑦進路やキャリアの情報保障をどのように行うか? ⑧学校内での多文化・多言語共生の活動などをどうつくるか?
「学校」をめぐるさまざまな関係者の存在 Ⓑ学級担任・教科担任 Ⓒミドルリーダー Ⓐ学校管理職 さっきの①ー⑧の仕事は どのような人が関わるといいだろう? Ⓕ日本語指導担当者 担任を束ね, 学校を動かしていく 主任,主幹の先生 Ⓓ学校外関係者 Ⓔ養護教諭
㋐場面 ㋑関わっている大人 単独で担当と見ない! 主副や見えない支えも 想像してA~Fを ①学習に参加できるよう に、言語面をどう保障す るか? ②通訳など、母語による 意思疎通を可能にするこ とをどうするか? ③学級と日本語学級の間 の学習状況や生活状況の 共有をどう行うか? ④初期の学校適応と居場 所づくりをどう取り組む か? ⑤学校外で行われている 日本語学習の場などの情 報をどう得るか? ⑥外国人保護者の困りご とをどう受け止め、どう つなぐか? ⑦進路やキャリアの情報 保障をどのように行う か? ⑧学校内での多文化・多 言語共生の活動などをど うつくるか? ㋒ほかに必要だと思 ㋓4つのアプ う連携の場所や人 ローチの どれに該当?
概念:「学校」の中で全体的にいろいろなアプローチを行う さっきのワークシートの①~⑧を、アプローチⓐ~ⓓに分類してみよう ⓐ日本語アプローチ Ⓒ学校全体アプローチ 視覚化・操作化・体験化・文脈化・やさしい日 本語を用いながら日本語の力を伸ばしていく 行事,特別活動,学校システムの中に 組み込む,子どもを活躍の場をつくり 学校全体の多様性を認め力を作る ねがい 学校の カリキュラム 目的・目標 ⓑ多言語・多文化アプローチ 複数の言語を積極的に使う経験をすることで 認知を伸ばしていく, 複数の言葉と文化に根ざしたアイデンティティ を大切にする すがた 目的・目標 に対して どうなったか ⓓ学校外連携アプローチ 外部のNPOやボランティアと提携し 学校だけではなしえない 共生の力を地域全体で育んでいく 「日本語指導者」だけに「お任せ」したり、 「管理職だけ」「担任だけ」という「単独の役割」化するとどう困りそう? • 南浦涼介(2024)「言語と文化の多様な子どもが共に生きる学校と授業─学校全体で引き受けるための4つの視点─」『教育方法 53 語り合いを生む教 育実践研究』図書文化, pp.112-125
概念 お任せ主義から、学校全体で子どもを育てる教育へ — 個人的エージェンシー依存から、生態学的エージェンシーを支える学校づくりへ — 全人的教育 Ⅱ 個人依存的包摂型 Ⅰ 学校全体包摂型 子どもの全体を見ようとするが 個人の力量に依存 多様な子どもを 学校全体の教育課題として育てる • 理念としては「子ども全体を見よ う」としている 教 育 内 容 の 軸 • しかし、それを特定の担任や熱心な 教師の力量・善意に依存している • 体制化されていないので、異動や担 当変更で崩れやすい Ⅲ 委任的日本語支援型 Ⅳ 連携的日本語支援型 日本語担当者に任せる発想が中心に 複数で連携するが 中心課題は日本語支援に • 典型的な「日本語の先生の仕事」と いう見方 • 日本語支援を中心に置きつつ、複数 の関係者が連携して支える • 教育内容も日本語支援のみに狭まる • 学校としては動いているが、中心は なお「日本語の困難への対応」 • 体制も「担当の先生がやること」に 日本語の支援 • 子どもを「日本語の課題をもつ子」 ではなく、学校全体で育てる子ども のひとりとして捉える • 担任、教科担任、管理職、日本語担 当、外部機関が関係的に連携する • 目標、授業、居場所、評価、進路ま で含めて考える • 学校全体の課題として見えにくい 個別的役割分担 による働きかけ 学校体制の発想の軸 関係的役割連携 による働きかけ • この象限については、Biesta, G., Priestley, M. and Robinson, S. (2017). Talking about Education: Exploring the Significance of Teachers’ Talk for Teacher Agency. Journal of Curriculum Studies 49 (1), 38–54. などを参照