20190629_文学館の広報活動を支援する

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June 29, 19

スライド概要

第18回情報メディア学会研究大会の発表スライドです。

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1977年茨城県生まれ|皇學館大学文学部国文学科准教授・図書館司書課程|つくば→スロベニア→伊勢|図書館情報学(文学館・文学散歩・文学アーカイブ・ウィキペディアタウン・学生協働・読書会)|ビブリオバトル普及委員会代表理事(二代目)済|知的資源イニシアティブLibrary of the Year選考委員長|伊勢河崎一箱古本市

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各ページのテキスト
1.

第18回 情報メディア学会 研究大会 文学館の広報活動を支援する ――館報『日本近代文学館』を事例として 日本事務器株式会社 本社セミナー室 2019年6月29日(土) 皇學館大学文学部国文学科 岡野 裕行

2.

1.⽂学館の館報について 文学館の館報について ①全国の文学館活動は、広報手段の一つとして、 館報を逐次刊行物として発行している。 ●同一タイトルのもとで発行される。 ●巻次・年月次を追って発行される。 ●完結が予定されていない。 ②館報に掲載されるコンテンツには、以下の例がある。 ●企画展示案内 ●随筆 ●所蔵資料紹介 ●翻刻 ●維持会や友の会の会員名簿 ●広告 ③館報は文学館の広報を目的として発行されており、 文学館の歴史を振り返る際の重要な活動記録にもなる。 ●館報の刊行頻度は文学館ごとに異なるが、一般的には1年間あたり 1回から4回の発行回数である。

3.

2.館報『⽇本近代⽂学館』について 館報『日本近代文学館』の特徴 ①日本近代文学館では、館報『日本近代文学館』を 継続的に発行している。 ●1971年5月から隔月(年6回)で発行が続けられている。 ●2019年5月15日現在、第289号まで発行されている。 ●文学館全体から見ると、刊行頻度はもっとも高い。 ②館報『日本近代文学館』には、すべての号に何らかの 広告が掲載されている。 ●これらの広告は、日本近代文学館の広報活動を資金面で援助する ものと位置づけられる。 ●ほかの文学館の館報には、広告欄を設けたものが見られない。 ●館報に広告を募るという編集方針は、日本近代文学館の特徴的な 取り組みとなっている。

4.

2.館報『⽇本近代⽂学館』について 館報『日本近代文学館』の広告例①

5.

2.館報『⽇本近代⽂学館』について 館報『日本近代文学館』の広告例②

6.

2.館報『⽇本近代⽂学館』について 館報『日本近代文学館』の広告例③

7.

2.館報『⽇本近代⽂学館』について 館報『日本近代文学館』の広告例④

8.

2.館報『⽇本近代⽂学館』について 館報『日本近代文学館』の広告例⑤

9.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 広告主の種別・業態・広告回数 広告主の 種別と回数 広告主の業態 出版社 文学をつくる 新聞社 (1,701回) 大学出版部 広告主ごとの広告回数 武蔵野書房(119)、和泉書院(110)、日外アソシエーツ(98)、勉誠出版(57)、岩波書店(53)、 中央公論事業出版(52)、朝日書林(41)、八木書店(39)、講談社(33)、日本古書通信社(28)、 1,670回 イー・ディー・アイ(27)、新潮社(27)、翰林書房(26)、日本図書センター(26)、小学館(23)、 筑摩書房(23)、ゆまに書房(23)、雄松堂出版(22)、河出書房新社(21)、雄松堂書店(21)、ほか多数 16回 東京新聞(5)、毎日新聞社(3)、読売新聞社(2)、朝日新聞社(1)、河北新報(1)、芸術新聞社(1)、 高知新聞社(1)、短歌新聞社(1)、図書新聞(1) 13回 慶應義塾大学出版会(6)、早稲田大学出版部(3)、九州大学出版会(1)、秀明大学出版会(1)、 玉川大学出版部(1)、東京大学出版会(1) 印刷会社 1回 毎日エディショナルセンター(1) 職能団体 1回 日本随筆家協会(1) 文学を届ける 書店 (8回) 文学を見せる 美術館・文学館 (72回) オフィス家具 文学を語る 百貨店 (12回) 文学を遺す 研究所 (2回) 文学と過ごす 宿泊施設 (23回) グッズ製作 銀行 お金を扱う (238回) 証券会社 広告回数の総計 小計 8回 ブックサービス(4)、岩波ブックセンター(2)、三省堂書店(2) 66回 ブリヂストン美術館(36)、菊池寛記念館(15)、山梨県立文学館(9)、文京区立森鷗外記念館(2)、 神奈川近代文学館(1)、軽井沢高原文庫(1)、徳富蘇峰記念館(1)、三島由紀夫文学館(1) 6回 伊藤伊(4)、日本ファイリング(1)、藤圭(1) 12回 東武百貨店(7)、伊勢丹(4)、三越(1) 2回 京都保存修復研究所(2) 22回 山の上ホテル(21)、水月ホテル鷗外荘(1) 1回 内外徽章製作所(1) 218回 日本信託銀行(50)、東洋信託銀行(33)、三菱信託銀行(32)、安田信託銀行(27)、中央信託銀(24)、 住友信託銀行(23)、三井信託銀行(22)、東京相和銀行(6)、第一勧業銀行(1) 20回 大和證券(20) 2,056回

10.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 「文学をつくる」広告主① ①出版社 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 掲載号 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 掲載号 1 武蔵野書房 119回 1985‐2010 86‐236 17 ゆまに書房 23回 1987‐2018 2 和泉書院 110回 1990‐2019 118‐288 18 雄松堂出版 22回 1997‐2016 157‐274 19 河出書房新社 21回 1971‐2019 20 雄松堂書店 21回 2004‐2016 198‐268 38‐272 96‐283 3 日外アソシエーツ 98回 1977‐2016 2‐288 4 勉誠出版 57回 2002‐2019 190‐289 5 岩波書店 53回 1971‐2018 1‐286 21 集英社 20回 1971‐2018 3‐284 6 中央公論事業出版 52回 2008‐2017 221‐278 22 朝文社 19回 1986‐2014 89‐261 7 朝日書林 41回 1993‐2002 133‐186 23 未知谷 18回 2000‐2017 175‐280 8 八木書店 39回 1971‐2018 3‐286 24 未来社 17回 1985‐1998 88‐163 9 講談社 33回 1971‐2018 2‐282 25 角川書店 16回 1971‐2004 3‐202 10 日本古書通信社 28回 1998‐2013 163‐252 26 二玄社 16回 1975‐2010 27‐235 11 イー・ディー・アイ 27回 1999‐2004 167‐197 27 博文館新社 16回 1985‐2013 88‐256 12 新潮社 27回 1971‐2018 1‐286 28 ほるぷ出版 16回 1980‐1995 54‐145 13 翰林書房 26回 1994‐2019 137‐289 29 青土社 15回 1984‐2019 77‐287 14 日本図書センター 26回 1973‐2010 11‐238 30 ほるぷ 15回 1974‐1982 22‐ 67 15 小学館 23回 1973‐2018 11‐285 31 名著普及会 15回 1989‐1992 107‐130 16 筑摩書房 23回 1971‐2018 2‐283 ※以下多数につき割愛(ポスターにはすべて掲載)

11.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 「文学をつくる」広告主② ②新聞社 広告主の機関名 ③大学出版部 広告回数 広告出稿期間 掲載号 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 掲載号 1 東京新聞 5回 1979‐2003 52‐191 1 慶應義塾大学出版会 6回 2003‐2019 191‐287 2 毎日新聞社 3回 1972‐1974 5‐ 22 2 早稲田大学出版部 3回 1989‐1997 108‐158 3 読売新聞社 2回 1972‐1976 7‐ 32 3 東京大学出版会 1回 1996 152 4 朝日新聞社 1回 1991 121 4 玉川大学出版部 1回 2004 197 5 河北新報 1回 2017 276 5 九州大学出版会 1回 2015 268 6 芸術新聞社 1回 1988 106 6 秀明大学出版会 1回 2019 288 7 高知新聞社 1回 1994 141 8 短歌新聞社 1回 1988 105 9 図書新聞 1回 2003 194 ⑤職能団体 ④印刷会社 広告主の機関名 1 毎日エディショ ナルセンター 広告回数 広告出稿期間 1回 1974 掲載号 17 広告主の機関名 1 日本随筆家協会 広告回数 広告出稿期間 1回 1989 掲載号 108

12.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 「文学を届ける」広告主 ⑥書店 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 1 ブックサービス 4回 2 岩波ブックセンター 2回 3 三省堂書店 2回 掲載号 1989‐1992 108‐125 2013 255‐256 2005‐2009 203‐227 「文学を見せる」広告主 ⑦美術館・文学館 広告主の機関名 ⑧オフィス家具 広告回数 広告出稿期間 1 ブリヂストン美術館 36回 1987‐1993 2 菊池寛記念館 15回 3 山梨県立文学館 掲載号 97‐132 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 掲載号 1 伊藤伊 4回 1972‐1978 6‐45 1993‐1996 136‐150 2 日本ファイリング 1回 2013 254 9回 1998‐2009 163‐228 3 藤圭 1回 1981 60 4 文京区立森鷗外記念館 2回 2017‐2018 276‐285 5 徳富蘇峰記念館 1回 1995 146 6 軽井沢高原文庫 1回 1998 164 7 神奈川近代文学館 1回 2018 284 8 三島由紀夫文学館 1回 1999 170

13.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 「文学を語る」広告主 ⑨百貨店 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 掲載号 1 東武百貨店 6回 1988‐1993 103‐136 2 伊勢丹 4回 1987‐1998 3 三越 1回 1977 97‐161 35 「文学を遺す」広告主 ⑩研究所 広告主の機関名 1 京都保存修復研究所 広告回数 広告出稿期間 2回 掲載号 2001‐2002 183‐185

14.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 「文学と過ごす」広告主 ⑪宿泊施設 広告主の機関名 1 山の上ホテル 2 水月ホテル鷗外荘 広告回数 広告出稿期間 21回 1回 掲載号 1983‐1986 74‐94 2012 248 ⑫グッズ製作 広告主の機関名 1 内外徽章製作所 広告回数 広告出稿期間 1回 1974 掲載号 18

15.

3.館報『⽇本近代⽂学館』の内容分析 「お金を扱う」広告主 ⑬銀行 広告主の機関名 広告回数 広告出稿期間 掲載号 1 日本信託銀行 50回 1972‐1993 6‐133 2 東洋信託銀行 33回 1971‐1989 3‐107 3 三菱信託銀行 32回 1971‐1987 1‐ 99 4 安田信託銀行 27回 1971‐1984 1‐ 82 5 中央信託銀行 24回 1971‐1982 2‐ 69 6 住友信託銀行 23回 1971‐1982 2‐ 68 7 三井信託銀行 22回 1972‐1982 7‐ 67 8 東京相和銀行 6回 9 第一勧業銀行 1回 1994‐1999 137‐169 1993 134 ⑭証券会社 広告主の機関名 1 大和證券 広告回数 広告出稿期間 20回 1976‐1991 掲載号 30‐119

16.

4.館報『⽇本近代⽂学館』の広告欄からわかること 広告欄からわかること① ①館報『日本近代文学館』には、第1号から最新号の第289号までに、 総計で2,056回の広告が掲載されている。 ●館報を1回発行するごとに、平均で7社(≒2,056/289)からの広告が 出されている。 ●もっとも広告数が少ないときは、1回の館報発行で3社からの広告が 掲載されている。(第37・47・49・70号) ●もっとも広告数が多いときは、1回の館報発行で11社からの広告が 掲載されている。(第67号) ②全体的な傾向としては、1回のみ広告を出している機関の数が もっとも多く見られる。 ③銀行や証券会社からの広告は、特に初期(1970〜80年代)の頃に 集中しており、1990年代以降はほとんど見られなくなる。 ●1999年の第169号が最後の広告掲載である。

17.

4.館報『⽇本近代⽂学館』の広告欄からわかること 広告欄からわかること② ④館報『日本近代文学館』にもっとも多く広告を出稿しているのは、 「文学をつくる」活動をしている団体である。 ●出版社による広告の割合が高く、全体の81%を占めている。 ●広告を出稿している出版社は、主に文芸書・文学研究書・レファレンス ツールなどを刊行している企業である。 ⑤特に出版業界からの広告出稿の割合が高い傾向にある。 ●武蔵野書房、和泉書院、日外アソシエーツ、勉誠出版、岩波書店などの 出版社からの広告回数が多い。 ●初期から広告を出している岩波書店、八木書店、講談社、新潮社、 日本図書センター、小学館、筑摩書房、河出書房新社、集英社などの 出版社は、広告出稿期間が48年を超えている。 ⑥山の上ホテル(1983‐1986年)、菊池寛記念館(1993‐1996年)、 ブリジストン美術館(1987‐1993年)などが広告を寄せたのは、 それぞれある一時期に集中している。