2023年 3月号 月間事業構想

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March 03, 23

スライド概要

2023年 3月号 月間事業構想にharmoが掲載されました。
8ページ目からharmoのお話を掲載しています。

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harmo株式会社はシミックグループの一員です。 日本の新薬の8割に関わっており、医薬品にかかわる研究、開発、製造、販売という機能をすべて持っています。 電子お薬手帳「harmo」、予防接種管理アプリ「harmoワクチンケア」を基軸とし、パーソナルヘルスレコードのプラットフォームを立ち上げ、赤ちゃんから成長して大人になるまで、「からだの記録」として活用できる医療・健康に関する情報を、次世代に引き継いでいくことを実現します。

関連スライド

各ページのテキスト
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第1特集 デジタルヘルスの新事業 編集部総論 健康医療データ活用の好機が到来 政府は2022年10月に「医療DX推進本部」を新設、 パーソナルヘルスレコード (PHR) の 利活用を中心としたデータヘルス改革を加速する。全国医療情報プラットフォームの創設を はじめとする政府の施策動向や、 デジタルヘルス市場の動きを紹介する。 医療DX推進本部の設置 全国医療情報PFが創設へ 政府は2022年10月、医療分野での DX を通じたサービスの効率化・質の ての医療機関及び薬局が「オンライン 資格確認等システム」で接続され、 データ活用の下地が整いつつある。 向上を実現するために、内閣に「医療 しかし、本人の同意の下で情報を共 DX 推 進 本 部」 (本 部 長:岸 田 総 理) 有する主体は医療機関及び薬局のみに を新設。デジタル庁、厚生労働省、総 限られ、共有される情報の種類も限定 務省、経済産業省との連携のもとで、 的なことが課題だった。そこで、新た 自 民 党 の「医 療 DX令 和 ビ ジ ョ ン 創設される「全国医療情報プラット 2030」や骨太方針2022で示された、 フォーム」では、オンライン資格確認 全国医療情報プラットフォームの創設、 等システムのネットワークを拡充し、 電子カルテ情報の標準化、診療報酬改 レセプト・特定健診等情報に加え、予 定 DXの 3 つ の 施 策 を 推 進 す る。 防接種、電子処方箋情報、自治体検診 2023年春に工程表が策定される予定だ。 情報、電子カルテ等の医療(介護を含 になる。保健医療データを活用した質 そもそも、政府がデータヘルス改革 む)全般にわたる情報を共有・交換で の高い健康サービスの提供や二次利用 を開始したのは2017年のこと。以降、 きる仕組みを構築する方針だ。情報の による創薬、治験等の促進も行われる。 生活者が自身の保健医療情報を把握で 提供・共有を行う主体については、医 「電子カルテ情報の標準化」では、 きるようにするとともに、患者本人が 療機関・薬局に加え、自治体や介護事 医療情報の共有や交換を行うために、 閲覧できる情報については、医療機関 業者等への拡大を検討する。 情報の質の担保や利便性・正確性の向 等でも閲覧可能とする仕組みを整備し 2 2023年3月末までには全国の概ね全 これによって、生活者は生涯にわた 2022年10月12日、医療DX推進本部を開催する 岸田総理 (首相官邸HPより) 上の観点から、その形式等を統一する。 てきた。具体的には、マイナポータル る健康医療情報(PHR:パーソナル 標準型電子カルテの検討も進める。電 を通じた予防接種歴の提供や乳幼児健 ヘルスレコード)を自分自身で一元的 子カルテの普及率は2017年時点で一 診結果の提供などが実現している。ま に把握できるようになり、個人の健康 般病院46.7%、診療所41.6%となっ た、使用した薬剤情報や特定健診の結 増進への寄与が見込まれる。さらに本 ている。徐々に普及率は上昇している 果情報などのレセプト情報についても、 人同意の下で、全国の医療機関等が全 が、電子カルテベンダーごとに異なる マイナポータルを通じ国民本人、及び 国医療情報プラットフォームを通じて 情報の出入力方式が採用されており、 本人の同意の下での医療機関等による 必要な診療情報を共有することにより、 ベンダーが異なる医療機関の間では情 閲覧が可能となっている。さらに、 切れ目なく質の高い医療の受療が可能 報の共有が困難という課題があった。 PROJECT DESIGN - MARCH 2023

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「全国医療情報プラットフォーム」のスキーム図 (第1回医療DX推進本部幹事会資料) 標準化は全国医療情報プラット フォームの拡大に寄与するだけでなく、 図表1 医療ビッグデータビジネス関連の国内市場 治療の最適化や AI等の新しい医療技 術の開発、創薬などへの活用も期待さ れる。患者同意(臨床での閲覧に関す るもの及び研究利用に関するもの)の データ管理を全国で一元化するととも に、長期の診療や研究・創薬での活用 を念頭に置いて保管年限の長期化を検 討するという。 2022年見込 医療ビッグデータ分析サービス 746億円 9億円 110億円 AI活用型画像診断システム AI/医療情報総合活用型システム デジタル治療システム 遠隔/IoT活用支援システム 創薬支援システム 医薬品開発支援システム 2035年予測 350億円 21億円 454億円 3億円 2,863億円 64億円 168億円 185億円 300億円 248億円 281億円 医療向けプロモーション支援サービス 1,412億円 2,271億円 合計 2,291億円 7,191億円 出典:富士経済「2022年 医 療 A・ I 医療ビッグデータ関連 市場の現状と将来展望」 「診療報酬改定 DX」は、デジタル 人材の有効活用やシステム費用の低減 等の観点から、デジタル技術を利活用 に向けたオンライン診療の活用促進や して診療報酬やその改定に関する作業 「AIホスピタル」の実装に取り組む方 を大幅に効率化し、医療保険制度全体 の運営コスト削減につなげる。 このほかに骨太方針2022では、医 針を示している。 本格化するPHR活用 集まっている。 矢野経済研究所によれば、PHR関 連サービスは自身のバイタルデータや 日常のライフログを記録する個人向け Webサービスとして2000年頃に誕 療・介護サービスの生産性向上を図る 全国医療情報プラットフォームの創 生した。その後、常時バイタルデータ ため、タスク・シフティング(医師の 設や健康保険証一体型のマイナンバー を記録できるスマートウォッチなどの 働き方改革)や経営の大規模化・協働 カードの普及をきっかけに、新たな ウェラブルデバイスやスマートウォッ 化を推進することや、医療DXの推進 PHRサービスの創出に大きな期待が チが社会に普及したことで、サービス PROJECT DESIGN - MARCH 2023 3

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第1特集 デジタルヘルスの新事業 内容が多様化。データの保存・管理だ PHRサービスは現状ではBtoC 向け など、PHR 事業者が遵守すべき基本 けでなく AI を活用した健康状態の分 が中心で、マネタイズ等に苦しむ例も 的事項を定めた。そして全国医療情報 析・判断を行うサービスも登場した。 多い。PHRの一次利用サービスだけ プラットフォームの創設により、医療 現在では健康記録アプリや電子お薬手 では市場拡大に限界があり、官民によ 機関等が保有する公的な医療・健康情 帳、電子母子健康手帳のほか、アプリ りPHRの二次利用に向けた環境整備 報とライフログと組み合わせたPHR の記録を医療機関と共有できるクラウ が進められてきた。 サービスの創出が可能になってきた。 政府はPHR サービスの適切な利活 ド共有サービス、医用画像や臨床検査 経済産業省は、 「PHR は国民の健康 結果、健診結果などの診療情報を参照 用に向けた環境整備を推進しており、 増進のために使われ、国民がそのメ できる「診療情報等参照サービス」な 2021年4月には「民間PHR 事業者 リットを実感できてこそ、真の価値を どが存在している。 による健診等情報の取扱いに関する基 発揮する」としており、実証事業など コロナ禍の影響による健康意識の高 本的指針」を策定し、情報セキュリ を通じて日常生活でのPHR 活用(小 まりによって市場は拡大しているが、 ティ対策及び個人情報の適切な取扱い 売・飲食・フィットネス等の生活関連 産業との連携)や医療機関でのPHR 活用を推進、国民が価値を感じられる 図表2 政府の2022-2023年度の医療DX関連予算 ような新たなサービスのユースケース 2023年度概算要求における主な医療DX関係予算(約100億円) 項目 予算額 保健医療情報利活用推進関連事業 (電子カルテ情報の標準化に係る調査研究事業) 6億円 予防接種デジタル化事業 (予防接種データベースの整備) 4億円 備(同意取得、セキュリティなど)を 14億円 通じて、様々なサービスが適切に創出 電子処方箋の安全かつ正確な運用に向けた環境整備 (電子処方箋管理サービスのシステム運用等に係る検証事業等) 医療扶助のオンライン資格確認の導入に係るシステム改修経費等 (自治体及び支払基金におけるシステム改修費用の補助) さらに経済産業省の支援のもと、業 10億円 オンライン資格確認等に係るシステム改修 (訪問診療等におけるオンライン資格確認等導入に係るシステム改修等) 2023年度前半に設立される。同協会 ではPHR の推進に向けて、他の関連 診療報酬改定に関するDXの取組の推進 (共通算定モジュールの検討・開発の推進やそれに係る体制整備等) 団体とも連携しつつデータの標準化や 医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業 (各種PHRサービスからのデータ取得に必要なデータ流通基盤の構築等) 5.4億円の内数 ヘルスケア産業基盤高度化推進事業 (PHRの業界団体と連携したデータ標準化やユースケースの創出支援) 9.5億円の内数 2022年度第二次補正予算における主な医療DX関係予算 (約920億円) 予算額 オンライン資格確認の用途拡大に係るシステム改修 344億円 全国医療情報プラットフォームの創設 電子処方箋の安全かつ正確な運用に向けた環境整備等 サービス品質の担保の検討を進める。 数字で見るデジタルヘルス市場 AI や IoT、5G に代表される技術 革新とコロナ禍による健康意識の高ま りにより、デジタルヘルス市場は拡大 を続けている。その領域は遠隔診療や 27億円 アプリ(健康管理、健康医療相談サー ビス) 、AI、ロボット、プログラム医 56億円 レセプト審査事務効率化のための国保総合システムの改修 57億円 予防接種事務デジタル化等のための環境整備 11億円 診療報酬改定DX 9億円 健康・医療分野等におけるマイナンバーカード利活用推進事業 8億円 出典:2022年11月第1回医療DX推進本部幹事会資料 PROJECT DESIGN - MARCH 2023 種横断的な PHR事業者団体である 「PHRサービス事業協会」 (仮称)が レセプト審査事務効率化のための国保総合システム等の改修 (国保中央会における審査支払システムの改修) 項目 適切な情報の取り扱いに係るルール整 される事業環境を整備していく。 保健医療福祉分野の公開鍵基盤普及事業 (電子署名可能な資格及び本人の確認証であるHPKIカードの普及促進) 4 の創出を目指す。また、ライフログ (歩数や睡眠など)のデータ標準化や、 療機器およびデジタル治療(検査、診 断、治療用) 、医療データ(電子カル テ、レセプト、PHR) 、医療 MaaS な ど幅広い。ローランド・ベルガーの調 査レポート「Future of health」 (20

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図表3 米国におけるデジタルヘルススタートアップへの投資額の推移 22年4月)によれば、2026年には医 療費総額の12% がデジタル製品・サー ビスに充てられるようになり、デジタ ルヘルスの市場規模は全世界で1兆ユー ロ(140兆円)に達すると予想されて いる。 米国のデジタルヘルス専門VC であ る RockHealth のレポートによれば、 2022年の全米におけるデジタルヘル ススタートアップへの投資額は153億 出典:RockHealth ドル(約1兆9500億円)となった。 インフレや株価下落、利上げなどによ る景気後退が影響し、遠隔医療バブル が起こった2021年の投資額(293億 図表4 自社が関心のある・話題になっているヘルスケアテーマ (%) ドル)からほぼ半減したものの、過去 40 2番目の投資額である。2022年には 30 35社のスタートアップが1億ドル以上 のラウンドを調達し、トップ3はオン デマンドの在宅医療サービスを患者の 自 宅 で 直 接 提 供 す るDispatch Health、心不全などのデジタルセラ ピューティクス(DTx)を展開する Biofourmis、医療チーム向け臨床コ (n=350) 32.6 32.3 25.4 23.7 20 21.4 17.4 16.6 9.7 10 0 アデ健 プバ康 リイ増 ス進 ・ 健 康 経 営 デ バ イ ス ヘ ル ス ケ ア I T 健予 康防 寿医 命療 推・ 進 活 用 遠 隔 医 療 医 療 機 関 D X 8.9 医 療 8.9 ヘ ル ス ケ ア 出典:PwC「ヘルスケア事業新規参入に関する企業意識調査」 ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ア プ リ のTiger Connect だった。 アップの買収や業務提携が活発だが、 「予防医療・健康寿命推進」 (21.4%) 、 けるデジタルヘルス投資も好調だ。 日本の大手企業でも、CVC などを通 「ヘルスデータ活用」 (17.4%)が続 フォースタートアップスがまとめた じたスタートアップ投資や、デジタル いた。市場の規模や成長性に魅力を感 2022年の国内スタートアップ資金調 ヘルス事業への新規参入が加速してき じて参入を検討する企業が多い一方で、 達金額ランキングによれば、医療関係 た。PwCが2022年9月に年商100億 ケイパビリティや人材の不足、実行計 者間コミュニケーションアプリを開発 円以上350社を対象に実施した「ヘル 画・ビジョン・戦略の不在を課題に感 するアルム(調達額247億円) 、内視 スケア事業新規参入に関する企業意識 じている企業も多いという。 鏡の画像診断支援AIを開発するAIメ 調査」によれば、約70% の企業がヘ ディカルサービス(同80億円) 、ニコ ルスケア事業への参入に積極的であり、 業創出に挑む企業や、フェムテックや チン依存症治療アプリなどの DTxス 約25%の企業がすでに事業を開始し 健康経営の推進に向けた事業戦略、グ タ ー ト ア ッ プ の CureApp(同70億 ていると回答した。関心のあるヘルス ローバルにおけるデジタルヘルス製品 円) 、AI を用いた問診サービスを運営 ケア事業テーマとしては、 「健康増進 開発のトレンド、政府が推進するAIホ する Ubie(同62億円)の4社が調達 デバイス・アプリ」 (32.6%)と「健 スピタルの動向、地域におけるヘルス 額トップ20に入っている。 康 経 営」 (32.3%)が 高 く、 「ウ ェ ア ケアビジネス集積に向けた取り組みなど、 米国ではテックジャイアントや大手 ラブルデバイス」 (25.4%)や「ヘル デジタルヘルスを中心としたヘルスケ 企業によるデジタルヘルススタート スケア IT テクノロジー」 (23.7%) 、 ア×新事業の可能性を分析する。 米国には及ばないものの、日本にお 本特集では、PHR活用による新事 PROJECT DESIGN - MARCH 2023 5

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第1特集 デジタルヘルスの新事業 PHRサービス事業協会も始動 PHRサービス参入のチャンス 生涯にわたる個人の健康・医療に関するデータ、 PHR (パーソナルヘルスレコード) を ビジネスモデルも多様化している。 活用したサービスにさまざまな業界からの新規参入が相次ぎ、 2023年度には経済産業省の主導で業界団体が設立され、 ガイドラインや自主ルール整備が行われる。 PHRサービスの新規参入が加速 ビジネスモデルも多様化 診等情報の取り扱いに関する基本指針」 コロナ禍に伴う健康意識の高まりや を策定した。同方針における工程表に スマートフォン・ウェアラブルデバイ もとづき、今後は官民が連携したより ス等の普及により、デジタルヘルスへ 高いサービス水準を目指すガイドライ の注目が世界的に高まっている。デジ ンの策定や、当該ガイドラインの遵守 タルヘルスの世界市場規模は2024年 状況を認定する仕組みの整備も行われ にかけて年率8%の成長が見込まれて る予定だ。 2023年にはPHRサービス事業協会 (仮称) が設立 (写真は2022年の設立宣言時のもの) いるが、中でも期待されているのが これを事業機会と捉え、製薬・医療 PHR(パーソナルヘルスレコード) やITだけでなく、健康食品やフィッ けでなく、企業が健康経営推進のため を活用したサービスだ。 トネス、飲食、通信、流通小売、美容、 に導入するBtoBtoC モデルや、地方 保険、電力ガス、警備、銀行などの多 公共団体が住民の保健指導等のために 康・医療に関するデータと、そのデー くの業種・業態がPHRサービスへ参 導入するBtoGtoC モデルへと広がっ タを管理し本人の意思のもと活用する 入している。健康管理や栄養・ダイ ている。多様な業種業界に、PHR サー 仕組みのことを指す。PHRには健診・ エット、女性・妊婦向け体調管理など ビスビジネスに関わる余地が生まれて 検診情報や予防接種歴、薬剤情報、検 のほか、保険業界では健康増進活動に いる。 査結果等診療関連情報に加えて、個人 よる保険料の割引などの特典付与、流 が自ら日々測定するバイタル等も含ま 通小売では食事情報(購買履歴分析) れる。 による健康増進とマーケティングなど PHR とは、生涯にわたる個人の健 日本では、政府が PHR活用のため の PHRサービス事例がある。データ 業界団体が2023年度発足 ガイドラインを策定へ こうした中で、経済産業省の主導の の基盤整備を進めており、マイナポー の保管・表示だけでなく、疾病リスク もと、PHRサービス事業者による業 タルからさまざまな健康・医療情報が 等を分析・判断したり、受診勧奨や行 界団体「PHR サービス事業協会(仮 閲覧できるよう機能拡充が進められて 動変容などを AI 等がアドバイスする、 称) 」が2023年度上半期をめどに設 いる。民間 PHR サービスのさらなる 医師等の専門家からアドバイスを受け 立される。団体設立準備には富士通や 活用に向けては検診・レセプト・電子 られるなど、サービス内容も多様化し NTT、テルモ、塩野義製薬、住友生 カルテ(EHR)などの公的な医療・ ている。 命など幅広い業界から15社が参加し 健康情報との連携が不可欠であるため、 2021年4月には総務・厚労・経産の 6 3省庁が「民間 PHR 事業者による健 PROJECT DESIGN - MARCH 2023 また、PHR サービスのビジネスモ デルも、生活者を対象としたBtoCだ ている。 「PHR サービスへの新規参入が増え

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PHRの全体像 出典:第1回医療DX推進本部幹事会資料 主なPHRサービス領域と機能 主なPHRサービス領域 主なPHRサービス機能 n=99(サービス数)、複数回答 0 ヘルスケア管理 フィットネス・歩数管理 睡眠記録・管理 感染症予防・管理 オンライン診療・診療予約 健康診断結果・医療費管理 診療・治療履歴管理 疾病・持病管理 保健指導 お薬手帳・服薬管理 救急時サポート 月経管理 母子手帳・出産・育児管理 その他 20 40 60 45.5% 23.2% 18.2% 13.1% 33.3% 12.1% 11.1% 20.2% 16.2% 4.0% 5.1% 6.1% 19.2% 80 n=99(サービス数)、複数回答 100(%) 71.7% 0 20 40 60 20.2% アプリや AI 等による自動のアドバイス 一般の医師・歯科医師によるアドバイス 医師・歯科医師以外の専門職によるアドバイス その他 100(%) 33.3% 分析・判断サービス 専門医によるアドバイス 80 86.9% データの保管・表示 13.1% 6.1% 19.2% 16.2% 出典:NTTデータ経営研究所「民間PHRサービス等の利活用促進に関する調査事業」民間利活用作業班資料(2022年3月) たこともあり、現状ではPHRにはさ ビジョン」を策定したのち、PHR サー やアカデミア、行政等のステークホル まざまなデータソースと登録経路が存 ビス事業に関する業界ガイドライン ダーとの対話と、関連する政策の在り 在している状況です。PHR サービス (自主ルール)策定に最優先で取り組 方に関する政策提言が必須と考えてい 産業界には、PHR が日常生活や医療 み、サービス品質の第三者認証やマイ ます」といい、これら活動も積極的に 機関受診時に適切に連携されるための ナポータルとのAPI 連携などの事業 行っていく方針だ。 環境整備がなされ、さまざまなユース 環境整備も進めていく。ガイドライン ケースが創出されるよう、ユーザー目 では、個人情報保護や情報セキュリ ビス産業の持続的な発展および国際競 線での検討を関係者を巻き込みつつ行 ティ、データ・フォーマット標準化、 争力の確立、利便性と信頼性の高い顧 うことで、国民の予防・健康づくりに ポータビリティ(データ携帯性) ・イ 客価値の創出、オープンイノベーショ 貢献していくことが求められています」 ンターオペラビリティ(相互運用性) 、 ンの促進の3つを目指す。 「PHRサー と同協会準備事務局の名田茂氏は協会 レコメンデーション、広告などに関す ビス産業には幅広い業種が集まると思 設立の狙いを説明する。 るルールを策定する方針だ。 いますので、その中でオープンイノ 同協会は2023年度設立に向けて活 また、 「業界ガイドラインの実効性 動方針と「PHR サービス産業の将来 を確保するためには、医療介護関係者 同協会は活動を通じて、PHR サー ベーションが拡大できるような展開を 目指していきます」 PROJECT DESIGN - MARCH 2023 7

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第1特集 デジタルヘルスの新事業 電子お薬手帳サービス「harmoおくすり手帳」 電子お薬手帳で「特化型PHR」を目指す お薬手帳サービスの先駆けとして知られる「harmo (ハルモ) おくすり手帳」は全国 1万7,000軒以上の薬局で利用実績を誇る。2023年1月からの電子処方箋運用開始でさらなる 成長が期待される中、 石島CEOにサービス開発の経緯やPHR活用戦略について話を聞いた。 処方薬の履歴などスマホで確認でき 子会社として新会社harmoを設立。 を効率的に管理・共有できるため、薬 現在は、電子お薬手帳サービスとワク 剤師による効果的な投薬・残薬管理や チンケア(予防接種情報管理)の2本 地域包括ケアへの参画推進など、様々 柱で事業を展開している。市場の成長 な効果が期待されている。なかでも、 性について、harmo代表取締役CEO 2016年に本格開始した電子お薬手帳 の石島知氏は次のように話す。 サービス「harmoおくすり手帳」は、 「2022年時点で全体の約半分の薬 非 接 触 型 IC カ ー ド 技 術 のFeliCa 局が電子お薬手帳を導入しており、利 (フェリカ)を使って服薬情報などを 用者数は約900万人を超えるものと推 記録・管理できるサービスで、個人情 定されています。市場は成長の一途を 報と調剤情報は分離し、それぞれ暗号 辿っているものの、まだまだ紙のお薬 化して管理している。匿名性の高い独 手帳が主流のため、人口比で見れば普 締結し、市内中核病院への導入実績を 自の情報管理システムと、世代を問わ 及期とは言えない状況です。現在、進 着実に広げている。 ない利便性が支持され、利用者は約 められているマイナポータルを通じて 「特に神戸では基幹病院にも導入さ 40万人に達し、全国1万7,000軒以上 薬剤情報(レセプト情報)を確認する れているため、脳卒中の救急患者が救 の薬局で利用実績のあるPHR(パー 仕組みや、2023年1月に運用開始予 急搬送された際に、harmoカードか ソ ナ ル ヘ ル ス レ コ ー ド)プ ラ ッ ト 定の電子処方箋といった追い風もあり、 ら抗凝固薬の服用を確認して手術を延 フォームに成長している。 今後は紙のお薬手帳並みに普及してい 期するといった救急措置の最適化に貢 くものと見ています」 献できました」 。2015年から薬剤師 手掛けるのは ITスタートアップの harmoだ。2008年に当時ソニーのエ ン ジ ニ ア で あ っ た 福 士 岳 歩 氏(現 harmo代表取締役副会長)が着想し、 2013年にソニーの新規事業として立 8 し、2021年10月にグループ100%の る「電子お薬手帳」 。患者の服薬履歴 お薬手帳を基盤としたPHRを 新薬開発や臨床試験に活用 数ある電子お薬手帳サービスの中で 石島知 harmo 代表取締役CEO 会との連携を進めてきた豊中市では、 患者へ薬の適正使用情報を配信する実 証実験を実施するなどして「harmo おくすり手帳」の導入を推進し、今や ち上がり、診療報酬改定で電子お薬手 も、 「harmoおくすり手帳」は大きく 帳が算定対象となった2016年に事業 3つの強みを持つ。1つは地域単位で 化した。その後、医薬品開発支援を手 の導入だ。例えば、神戸市では、同社、 点だ。元々、非接触技術の FeliCaを 掛けるシミックグループに事業を承継 自治体、薬剤師会の三者で連携協定を 使用したカード型から導入が始まった PROJECT DESIGN - MARCH 2023 加盟薬局は全体の7割に達している。 2つ目は、カード型も提供している

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ため、スマホを所持していない高齢者 も利用することができる。 そして3つ目は、データ利活用の出 口戦略を持っている点だ。一般的な電 子お薬手帳は、患者自身が明細書の QR コードを読み取り、服薬情報をク ラウドに上げることで一元管理してい る。これに対して「harmo おくすり 手帳」では、より正確性の高いデータ を収集するため、患者自身がQR コー ドを読み取ることなく、服薬情報を自 動で更新する新機能の開発を進めてお 電子お薬手帳サービス 「harmoおくすり手帳」の利 用者は約40万人 り、収集した PHR データを活用して 様々な課題解決につながる。 同社ならではの PHR 活用の一例が 用を禁止されている医薬品を検知した 場合、速やかに担当治験コーディネー 慶應義塾大学薬学部医薬品情報学講座 ター(CRC)に通知し、安全性管理 ( 堀里子教授 ) との提携だ。 「薬をより を行うシステムだ。併用禁止薬の服用 安全に、より使いやすく進化させてい は、被験者の安全性へ悪影響を与える く育薬の実現には患者の声を収集する だけでなく、臨床試験の評価に得られ 者情報や服薬情報、生活情報などの情 ことが欠かせません。堀里子教授によ たデータが使えなくなるリスクがある。 報を把握して、患者にどれだけ個別最 ると、これまでの患者の自己申告にも また、禁止とされる医薬品の種類も多 適化された情報を提供できるかに掛 とづくアンケート調査などの研究手法 いため、CRC や被験者が適切に把握 かっています。具体的には、薬剤師と では、患者の服用薬やその実態を正確 し管理することは大きな負荷となって しての専門性とPHR を活かして、処 に把握することが困難とのことでした」 いたが、同システムによって併用禁止 方内容に対する医師への疑義照会、副 と石島氏。そこで同社は慶應義塾大学 薬情報を自動的に入手することで、逸 作用や服薬情報のフィードバック、処 と共同研究契約を締結し、2022年12 脱を未然に防げるようになるという。 方提案や投薬後のフォローアップなど 月から PHRデータを通して治療最適 化に関する共同研究を開始。harmo のユーザーを対象に、アンケート調査 から内服薬の飲みにくさや使いにくさ 専門性とデータを活かして 「相談できる薬剤師」に 国民皆保険制度の維持が困難となり、 スマホに不慣れな高齢者の利用率も高い を行うことが求められるでしょう」 PHR サ ー ビ ス の 多 く は、多 様 な PHRを一元管理する「総合型」と、 特定の用途に特化した「特化型」に大 に関する患者の生の声を収集し、より かつコロナによるデジタルシフトが加 別されるが、同社は今後も「特化型」 実臨床に即した飲みやすい薬の設計や 速する中、薬局・薬剤師の業務は「患 として差別化を図っていく。 処方デザインの改善に役立てる。 者中心」 、すなわち患者が医療者と対 「harmoに蓄積される信頼性の高い さらに同社では、臨床試験(治験) 等な立場で協力しながらニーズに即し 医薬品の処方データやユーザーの声、 の効率化と質の向上を目指し、2021 たケアを提供する方向に転換するもの さらに新薬の治験からや上市後の調査 年 8 月からバイエル薬品が実施する と石島氏は語る。 に至るまでの医薬品開発全般を支援す 循環器領域の臨床試験の3ヵ所の医療 「業界全体で診療アウトカム(成果) るシミックグループの事業資産を掛け 機関において、 「harmoおくすり手帳」 の重要性が認識されるようになった今、 合わせることで、電子お薬手帳を基盤 を用いた併用禁止薬検知システムの稼 とした薬学に特化したサービスを提供 働を開始した。これは臨床試験参加者 することで、ユーザーの服薬体験を最 への医薬品の処方が登録されると、服 適化してきたいと考えています」 PROJECT DESIGN - MARCH 2023 9

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大切な人をもっと大切にできるように。 かけがえのない大切な人が、 自分らしく生きていけるように。 そのための仕組みを、みんなでつくる。 harmo 株式会社 〒���-���� 東京都港区芝浦 �-�-� 浜松町ビルディング https://www.harmo.biz/