「見たことがないゲーム」新規IP構築術 0→1発想と100に広げる現場力

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November 10, 25

スライド概要

本スライドは2025年8月30日(土)に開催したゲーム開発者向けのリアルイベント『ゲームメーカーズ スクランブル2025』で行われた講演のスライドとなります。

タイトル:
「見たことがないゲーム」新規IP構築術 0→1発想と100に広げる現場力

内容:
“このアイデアは面白い”と思った瞬間の熱量をチームに共有し、いかにして実際のゲームにまで落とし込んでいくのか。最新作『野狗子: Slitterhead』をはじめ、『サイレントヒル』、『SIREN』シリーズ、『GRAVITY DAZE』シリーズなど、これまで関わってきた開発現場でのアイデア創出と実装の実例をもとに、「アイデアを実現する現場力」について語ります。

登壇者:
Bokeh Game Studio Inc.
CEO / Creator
外山 圭一郎 氏

Bokeh Game Studio Inc.
CTO / Game Designer
大倉 純也 氏

講演動画も公開中!

【アーカイブ記事】https://gamemakers.jp/article/2025_11_10_119884/
【イベントページ】https://gamemakers.jp/scramble2025/
【イベントレポート記事】https://gamemakers.jp/article/2025_09_24_116494/

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各ページのテキスト
2.

外山 圭一郎 大倉 純也 Toyama Keiichiro Okura Junya Bokeh Game Studio Bokeh Game Studio CEO / Creator CTO / Game Designer 2

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外山 圭一郎 Toyama Keiichiro Bokeh Game Studio CEO / Creator 『サイレントヒル』 1999 KONAMI 『SIREN』シリーズ 2003~ Sony Interactive Entertainment 『GRAVITY DAZE』シリーズ 2012~ Sony Interactive Entertainment 『野狗子: SLITTERHEAD』 2024 Bokeh Game Studio 3

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0→1:創造の方法論 3つの柱 ● ゲームシステム(メカニクス) 優位的差別化 ● アートワーク(ビジュアル、サウンド) × 新規性 ● 設定、ストーリー(今でいうナラティブ)

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0→1:創造の方法論 『サイレントヒル』のケース ● 見えない恐怖 霧と闇のライティングシステム ● ノイズ&インダストリアル表現 デヴィッド・リンチからの影響 ● モダンホラーの世界観 スティーブン・キングからの影響

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0→1:創造の方法論 テーマは『闇の恐怖』 ● 制約の中の創造 ● トレードオフ

7.

0→1:創造の方法論 『SIREN』のケース ● 群像劇形式と「視界ジャック」システム 個々の視点から描かれる大きな異変 ● 湿度感のある日本的ビジュアル 実写を取り入れたフェイシャル表現 ● 土着、民俗学ホラー 小説『屍鬼』、諸星大二郎作品等の影響

8.

0→1:創造の方法論 『GRANITY DAZE』のケース ● 重力操作アクション 自由な空間移動、縦のオープンワールド ● バンドデシネ風のアートスタイル メビウス作品の影響 ● コミックヒーロー的世界観 マンガ、アメコミ、特撮

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0→1:創造の方法論 「新規性」の宿命 ● 伝える難しさ ● 続編で薄れる刺激

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大倉 純也 Okura Junya Bokeh Game Studio CTO / Game Designer 1996年にゲーム業界へ。小さなゲーム会社からスタート。 プランナーからディレクターへ。その後外山と合流。 『SIREN』シリーズ 2003~ Sony Interactive Entertainment 『GRAVITY DAZE』シリーズ 2012~ Sony Interactive Entertainment 『野狗子: SLITTERHEAD』 2024 Bokeh Game Studio 10

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1→100:実現の方法論 『SIREN』のケース ⚫ 敵の屍人の細かい設定 どういう見た目、設定、動きをしたら怖いか、死んでも生き返る ⚫ どんなシチュエーションを用意したらエモいか 病院、学校は鉄板だよね ⚫ 謎解き 冷凍庫に濡れタオル凍らせて……

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1→100:実現の方法論 『SIREN』のケース ⚫ コアメカニクス「視界ジャック」を全ての中心に → 戦闘、謎解き、探索などの遊び ホラー演出にも組み込む ⚫ 「怖い」ホラーゲームを作りたい → 麻痺してよくわからなくなった けど、怖いらしいのでok。 ⚫ これらの組み合わせがSIRENのナラティブ(体験)に

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1→100:実現の方法論 『GRAVITY DAZE』のケース ⚫ 企画立ち上げや開発経緯が特殊 ⚫ アジャイルの導入

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1→100:実現の方法論 最初は2.5Dのパズルアクション ↓ 3Dのアクションにできるんじゃない?

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1→100:実現の方法論 ⚫ PCの周囲の重力方向を変える (コアコンセプト) ↓ ⚫ 見えてきた「爽快感・疾走感」 ・空に落ちる ・壁に立つ、走る

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1→100:実現の方法論 いきなりターゲットハードが変更! PS3 → PSVITAへ

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1→100:実現の方法論 チーム規模が大きくなり本格的な開発に ゲームの根幹の整理 ↓ 概ね形が定まる この時点で残り1年半くらい

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1→100:実現の方法論 『GRAVITY DAZE』のケース アジャイル(スクラム)

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1→100:実現の方法論 アジャイルの「スクラム」という手法 ⚫ 「バックログ」というToDoリストがある ⚫ 6名程度の班を沢山作る ⚫ ToDoを元に2週間程度の短期スケジュールで実行 ⚫ 2週間後、成果をレビュー ⚫ 計画や進め方の問題点を改善 ⚫ ↑をひたすら繰り返す

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1→100:実現の方法論 『GRAVITY DAZE』のケース ⚫ 企画立ち上げや開発経緯が特殊 ⚫ アジャイルの導入

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0→1:創造の方法論 『野狗子: Slitterhead』のケース ● 憑依を使ったアクションシステム 強力な個に数で対抗 ● 90年代香港を彷彿とさせる風景 ウォン・カーウァイ映画、九龍城塞 ● 青年誌コミック的SFホラー サバイバル、能力バトル、タイムリープ

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0→1:創造の方法論 顕著になった課題 ● 膨大なタイトル数と細分化 ● ブロックバスター系が求める、安定、安心感 ● 新規性、チャレンジ重視はインディゲームへ

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1→100:実現の方法論 「1→100」の考え方について ⚫ コア作り(簡単な骨組み) ⚫ コアをチームで膨らましていく方法

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1→100:実現の方法論 コア作り(簡単な骨組み) 「コアメカニクス」とエモい発展例の提示 GRAVITY DAZEでは、基本的な重力操作 → 周囲の物や人、敵も巻き込まれて落ちる 野狗子:Slitterheadでは、 憑依システムやバトルシステムの基礎 → 自分は痛くないからガンガンモブを犠牲にしても良い

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1→100:実現の方法論 コアをチームで膨らましていく方法 コンセプトドキュメント作成 ⚫ このゲームのいい所は何? ⚫ どういった体験を求めている? ⚫ 主にどんなシステム構成で、 それぞれどういう狙いで作っていく?

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1→100:実現の方法論 1→100まとめ

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0→1創造 と 1→100実現 まとめ 「チーム」の強み ・アイデアは形にできなければ意味がない ・「会社」の制約はブランドカラーに

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0→1創造 と 1→100実現 まとめ 「パワーのトレードオフ」から 「コストのトレードオフ」 ● 表現力が有り余る最新ハード ● 「意図的な欠落」の演出

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0→1創造 と 1→100実現 まとめ マーケティングを織り込んだ企画立案 ● まずは認知から ● 価値の創造

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0→1創造 と 1→100実現 まとめ 最後に 画像引用 『サイレントヒル』 KONAMI 1999 『SIREN』 Sony Interactive Entertainment 2003 『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』 Sony Interactive Entertainment 2012