スタートアップエコシステムの創出にむけた 大企業人材の流動促進に関する調査

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May 12, 23

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【データ付き】大企業人材のスタートアップエコシステムへのSHIFTに関する調査資料|SHIFT(x) 実証成果報告(https://flag.jissui.jp/n/n568c46375484)にて紹介しています。

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スタートアップエコシステムの創出にむけた 大企業人材の流動促進に関する調査 本事業は、経済産業省予算により一般社団法人社会実装推進センター(JISSUI)が実施し、 調査業務の一部を株式会社野村総合研究所に委託して本報告書を取り纏めています。 なお、制度設計・運営にあたってのアドバイザーとしてフォースタートアップス株式会社の協力を受けています。 令和4年3月

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 1

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事業の背景と目的 本事業では、大企業とスタートアップの間で人材を環流させることで、 スタートアップエコシステムの創出を促すことを目的とする。 イノベーションの創出にむけて、大企業等とスタートアップの間でイノベーションの 担い手となる人材が環流することで、スタートアップへの人材流動性が高まり、スタートアッ プが成長する、“スタートアップエコシステム”を創出していくことが求められている。 一方で、特にテック系スタートアップにおいて、経営人材の不足が顕著である。ここには ①大企業等からスタートアップに人材を流動させる仕組みが不足している ②人材側に、テック系スタートアップで働くことの価値が十分に認められていない という2つの課題があり、大企業等に人材が滞留してしまっているのが現状である。 本事業SHIFT(x)は、スタートアップの経営人材不足にかかる課題を解消するため、 【実証支援】人材のスタートアップ挑戦をコーディネートする民間事業者の取組を支援 【情報発信】実証を進める中で生まれる、好連携・マッチング事例を情報発信 を進めることで、スタートアップエコシステムの創出を推進していくことを目指している。 2

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事業の背景と目的 具体的には、スタートアップ向け経営人材支援事業SHIFT(x)と称し、 大企業人材とテック系スタートアップの人材流動を推進する取組を支援する。 イメージとは異なる 実態や事例を発信 調査・インタビュー 取組に必要な 費用の一部を補助 スタートアップ挑戦を コーディネートする 民間事業者の取組 VC・アクセラレータ 人材会社等 大企業人材 テック系 スタートアップ ✓ 7件のモデル事業を採択 ✓ スタートアップの情報不足を解消 ✓ プロボノ、副業、転職等の多様な スタートアップ挑戦のルートを確保 スタートアップに挑戦しやすくなる 経営人材を確保し事業成長を加速 3

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事業の背景と目的 2021年度事業では、大企業人材のテック系スタートアップへの流動に着目し、 7件のコンソーシアムにてモデル事業を実施した。 コンソーシアム(幹事社) 事業ページURL JAFCO x WARC スタートアップのキャリアを考えるアカデミー ISHIKETTEI キャリアコーチングによる意思決定支援 キャリア支援 キャリア支援 エッセンス ×未来経営パートナーズ プロボノマッチング ゼロワンブースター x シューマツワーカー 企業向けのスタートアップ出向 Creww x イードア スタートアップ向け副業・転職支援 パーソルキャリア x ベンチャーキャピタル スタートアップ向け人材紹介 One Work x リアルテックホールディングス x DRONE FUND DeepTechスタートアップに特化した人材紹介 プロボノ 出向 副業・兼業 転職 転職 副業・兼業 https://career-academy.jp/ https://ishikettei.or.jp/ https://www.essence.ne.jp/s ervice/probono https://01booster.co.jp/servi ce/ https://studio.creww.me/ca mpaigns/cxo-launchpad/ https://doda.jp/consultant/st arters/ https://socialimpact.jp/ 4

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 5

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スタートアップ流動における課題の構造 課題認識 スタートアップへの人材流動が進まない構造的な要因として、人材紹介市場においてスタートアップ への流動が魅力的なビジネスといえず、流動を促すインセンティブに欠けるということが挙げられる。 ◼ 人材課題、スタートアップ課題、ビジネスモデル課題のそれぞれの構造的な課題を特定し、適切な人材の流動によっ て、イノベーション創出につながる好循環(エコシステム)を構築していく必要がある。 大企業からスタートアップへの人材流動における課題の構造 特にテック系の CXO人材を必要としている 特に大企業に在籍する 人材 スタートアップ 人材紹介事業者 (ビジネスモデル) スタートアップへの転職を考える絶対数が少なく、 情報収集やスタッフの稼働等のエフォートをかける ことへのメリットを見出しにくい。 相対的にスタートアップの年収水準が低いため、 仲介手数料として得られるマージンが小さく、 ビジネスモデル上の旨味が低い。 スタートアップでの経験や理解があるキャリア アドバイザーが少なく、転職候補となる人材に 適切なサポートができない。 6

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スタートアップ流動における課題の構造 課題認識 大企業人材にスタートアップを流動先として決心させるためには、 スタートアップキャリアに関心を抱かせ、具体的な行動を促していく施策が求められる。 ◼ スタートアップへの流動確度が高い人材像は、掘り下げると、「スタートアップへのキャリアの魅力を感じている層」であり、 言い換えると、「収入や安定といった大企業に求めるものとは違う、自分なりの目的意識がある人」であるといえる。 セグメントのイメージ 流動行動仮説 高 決心層 スタートアップでのキャリア形成を 前提とする明確な意志がある層 知人を介したリファラルやスタートアップへの ダイレクトコンタクトで流動する。 流動に対する明確な目的意識を持ってお り、それがスタートアップで実現できることが わかっている。 行動層 スタートアップでのキャリア形成の 具体的な検討を始めている層 転職活動の実際の行動がみられ、スタート アップへの流動を本格的に意識している。 「スタートアップであるべき」という明確な目 的意識の有無にばらつきがある。 関心層 スタートアップでのキャリア形成を ポジティブに捉えている層 ウェブや知人経由等で情報を収集している。 スタートアップへの流動は選択肢のひとつ。 スタートアップであるべきという明確な目的 意識は、おそらくない。 無関心層 スタートアップでのキャリア形成に 興味がない、考えたこともない層 - スタートアップ 流動確度 低 7

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スタートアップ流動における課題の構造 課題へのアプローチ 「スタートアップへの流動確度が高い」とは、①環境を変えたいというマインドや環境の制約がな いこと、また、②スタートアップだからこそという志向性の強さ、の観点で分解ができる。 ◼ 環境変化への意識の高さは、行動や発言から汲み取りやすいが、「スタートアップへの志向性の高さ」は見極めにくい。 ⚫ スタートアップそのものへの認識や理解を深める機会が少なく、人材がキャリアの具体的なイメージができていないという課題もある。 意識が高い (制約が小さい) ( 現① 状環 変 化境 へ変 の化 抵 抗へ ・ の 制意 約 )識 流動意識は高いが 最後まで大企業と悩む この領域に どうSHIFTさせる? 流動しない スタートアップに関心が強いが 公私の事情で環境を 変えることが難しい スタートアップ 志向が低い スタートアップ 志向が高い ②スタートアップ志向性 意識が低い (制約が大きい) 8

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スタートアップ流動における課題の構造 課題へのアプローチ 「スタートアップだからこそ」という志向にまで自己の意識を深めるためには、 自己分析を通じて、スタートアップだからこそという思いにまで昇華させることが求められる。 ◼ 漠然とした成長意欲の達成は大企業でも実現が可能。スタートアップでしか得られないものを求めていることに気づか せることが、人材の流動を活性化させるために必要になるのではないだろうか。 結果として 得るもの • • • • • 成長をしたい やりがいを感じたい 様々な経験をしたい 自由な働き方をしたい 裁量・インパクトのある仕事をしたい スタートアップ 志向に つながる欲求 • • • • • • • • • • 事業が次々変わるような状態に身を置きたい 毎日生きるか死ぬかの必死感を感じていたい 事業に対し、自分が大きな影響力を持ちたい ルールを自分達で作っていく環境にいたい 業界のジャイアントキリングをしたい ストックオプションで一攫千金を狙いたい 経営者に共感し、一緒に実現したい 社会貢献ができる事業をやりたい その技術や環境がある会社でしかできないものがある いつか自分が起業をするための経験にしたい 大企業でも 経験することができる スタートアップでしか 得ることができない 9

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スタートアップ流動における課題の構造 課題に対するアプローチ 人材の意識を深耕させていくことで、スタートアップキャリアを積極的な選択として考えさせる。 自分の本質的な欲求を具体化し、 この経営者と働きたい この技術で社会を変えたい それが実現できる環境がスタート アップであると気づくことが、人材の流 動に繋がる 成長できる機会がほしい 環境を変えてみたい 関心 スタートアップへのキャリア に興味関心を持つ 決心 自分のやりたいことが スタートアップでこそ実現できる とわかる 行動 具体的なアクションを通じて スタートアップのリアルを知る キャリア支援 (コーチング) 副業・兼業 情報発信 キャリア支援 (アカデミー) 出向 転職 事業を通じての実証 プロボノ 10

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 11

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大企業からスタートアップへの人材流動に関する先行事例 調査の概要 関心層の拡大や行動・決心層の行動喚起にむけて、 スタートアップキャリアのリアルな情報を客観的に整理し、情報発信のコンテンツを作成した。 ◼ 大企業からスタートアップへの流動を行った実例を収集し、アンケートとヒアリング調査を実施した。 先行事例調査名 実施内容 大企業からスタートアップへの 転職経験に関する調査 • • 転職者インタビュー わたしがスタートアップを選んだ理由 • • 実施時期 大企業からスタートアップへの転職経験を持つ101人を 対象に、キャリアの考え方や仕事への価値観の違い、ス タートアップで求められるもの等のリアルな声を収集した。 定量的なファクトとして、スタートアップ流動の実態を把 握することを目的とした。 2021年5月 大企業からスタートアップへの流動経験を持つ6人を対 象に、キャリア形成の経緯やその当時の思い・考え、流 動を決心したきっかけ等の、リアルな個人のストーリーを 調査した。 どのような属性や経験を持つ人が、どういったきっかけで 流動するのか、リアルな生声を定性的に把握することを 目的とした。 2022年1月 12

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大企業からスタートアップへの人材流動に関する先行事例 101人調査による定量調査 流動経験者への調査によって、スタートアップキャリアにおける変化を定量的に示した。 ◼Q:大企業からスタートアップに転職した際に、どのような変化があったか。 9割は 0% 20% 40% 60% 80% 100% 仕事が楽しくなった 仕事の楽しさ 0% 89% 10% 1% 9割は 裁量が増えた 仕事の 自由度・裁量 0% 93% 5% 2% 5割は 給料が現状以上 年収 26% 28% 23% 大幅によくなった・よくなった 同水準 大企業からスタートアップへの転職経験のある101人を対象にしたアンケート調査(2021年5月) 悪くなった 24% 大幅に悪くなった 13

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大企業からスタートアップへの人材流動に関する先行事例 デプスインタビューによる定性調査 個人へのインタビューによって、価値観の変化など、リアルなキャリアへの考え方を示した。 わたしがスタートアップを選んだ理由 転職者インタビュー調査(2022年1月) 14

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大企業からスタートアップへの流動人材に関する先行事例 議論による深耕 調査結果をもとに、公開イベントを通じてスタートアップ流動における要諦を探索した。 J-Startup Hour第98回(Venture Café Tokyo) 2021年9月2日 成長産業カンファレンス『FUSE Vol.2』 2022年1月20日 総合商社出身者が テック系スタートアップで働くキャリアプランとは グローバルに通じる、スタートアップ・エコシステム の構築に向けた官民の戦略 出所)https://thursdaygathering-20210902.peatix.com/ 出所)https://fuse.forstartups.com/ 15

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 16

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各コンソーシアムの取組と成果 成果(KPI)における考え方 人材流動の成果として明確なのは、『流動数=スタートアップでの採用数』であるが、 事業としては、そこに限った成果を求めず、より課題の本質に迫ることを重視した。 ◼ 流動の確定の前後のフローにおいて、認知や、関心層の母集団を拡げること、およびマッチング後に、いかにスタート アップにおいて貢献できたかということも、人材流動によるスタートアップエコシステムの活性化には重要な観点である。 認知 マッチング グロース 1,000,000 10,000 1,000 100 大企業人材 ※数値は仮 関心層 アクセス 登録 30 10 3 1 応募 面接 採用 定着 17

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各コンソーシアムの取組と成果 KPIの状況 限られた事業期間のなかで、人材の流動まで達成することは容易ではなかったが、 スタートアップでのキャリア形成について幅広く認知・関心を高め、裾野を拡げることに貢献した。 施策分類 ①認知 ②関心 ③行動 ④流動 メディアへのリーチ、 サービス登録者、等 求人掲載、 セミナー参加、等 求人応募、 サービス利用者、等 スタートアップ 流動実績 2名 (転職・副業・委託等) • - • - • - • 13名/7社 (プロボノ開始者) • 2名/2社 (プロボノ継続意向) ※本業のアクセラレーション事業 では5件実績あり • - • 1名(CFO) • - • 1名(副業・フリーランス) • ※副業領域で2名が流動化 (lotsful) ※特設メディア外の人材紹介で 48名が流動化 • - • - • - • 497名(セミナー参加者) • 55名(DB登録) ISHIKETTEI • 882名(ユニークユーザー) • - 23名(実施予定含む) エッセンス • 105名(セミナー申込者) • 38名(セミナー出席者) • ゼロワンブースター • • 450社(架電) • 70社(個別営業の実施件数) - 37社(面談) • ※うち、4社前向きに検討 • 中 Creww • • 51社(スタートアップ登録社数) • 176名(人材登録者数) • • 8社(求人掲載スタートアップ) • 23名(相談会参加者) • 5社(応募があったスタートアップ) 19名(応募した人) ※うち、4社6名面談済 パーソルキャリア (メディア支援領域) • • 145,769PV 176名(登録者数) One Work • • 1,000PV/月(特設ページ) • • - • - 574件(応募数) • - • • • • スタートアップへの 定着・グロース • JAFCO • ⑤成長 96件(人材紹介での求人数) 162件(人材紹介での書類推薦) • 118件(メディアでの求人数) • 1件(メディアからの直接応募) 0社 5名 ※うち、2名がCXO 18

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 19

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スタートアップエコシステムの構築にむけて スタートアップへの人材流動を通じた“スタートアップエコシステム”の創出に向けた論点を、 大企業人材、スタートアップ、ビジネスモデル、それぞれの観点から整理した。 ◼ 実証事業(人材のスタートアップ挑戦をコーディネートする民間事業者の取組)の推進を通じて得られた知見をもと に、スタートアップへの人材流動が進まない構造的な要因の深耕と、克服に向けた打ち手方向を探索した。 調査とりまとめの観点 実証事業を通じて明らかになった、 ニーズ 特に大企業に在籍する 人材 や 課題 特にテック系の CXO人材を必要としている スタートアップ を、 人材紹介事業者やベンチャーキャピタル 等のステークホルダーが関わる ビジネスモデル の観点で整理し、スタートアップエコシステムの構築にむけた施策の方向性をとりまとめた 20

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スタートアップエコシステムの構築にむけて 人材 ①人材課題から見えた施策の方向性 スタートアップ ビジネスモデル 無関心層、関心層、行動層は、それぞれスタートアップ流動に対して抱えるニーズ・課題が異なる。 人材の流動化には、特に関心層を行動層に引き上げるための課題解決を図る施策が必須。 大企業人材が抱えるスタートアップ流動に対するニーズ・課題 決心層 報酬よりもキャリアデザインを 正社員でなくても、まずは 重視してスタートアップに参画したい 副業・兼業・プロボノの形態で働きたい 無償労働のプロボノは モチベーションが低下してしまう スタートアップの採用選考負荷が高く、 転職を諦めざるを得ない 行動層 自身のスキルがスタートアップで 活かせるか確かめたい キャリアチェンジの軸を 定め切れない 関心層 過多な責任を負う CXOポジションへの躊躇 無関心層 スタートアップに対する 漠然とした不安感 スタートアップ出向の 機会が限定的 大企業の副業禁止による 副業への躊躇 就業時間固定により 柔軟な働き方が困難 まずはスタートアップで 働くとは何かを知りたい スタートアップの実情に 対する知識不足 21

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ①人材課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル 事業を通じて、大企業人材がスタートアップ流動に求めるニーズ・課題が明らかとなった。 実施施策 事業を通じて明らかになったスタートアップ人材流動の実態 キャリア支援 • 行動層と比較して、関心層はフットワークが重く、自身の会社名および実名が出ることを極端に避け たり、副業で実収入のある働き方に抵抗を感じているなど、スタートアップへの関心を深めることに意 欲、興味はあっても、行動を躊躇する傾向がある。そのため、キャリアイベントには参加しても、すぐに 面談を受けて、スタートアップでの転職・副業・業務委託を始めるといった行動に踏み出せない傾向が ある。 • スキルが十分にあっても、スタートアップからの関心が高いことに気づいておらず、スタートアップへの適性 認識が薄い大企業人材が多い。 • スタートアップを検討していながら「第三者へ相談する」人は、スタートアップへの理解が足りておらず、 スタートアップ転職に対して、何かしらの不安やネガティブな印象や間違った認識を持っており、スタート アップの実情/働く環境/あるある事象を十分に把握できていない。例えば、どのようなスタートアップの 選択肢があるのか、退職金制度の有無などの待遇、給与遅配の可能性、想定していない仕事をす る必要性、スタートアップ転職を経た先のキャリアについて十分に把握できていない。 人材流動にむけた課題・ニーズ スタートアップ関心層は フットワークが重い 自身のスキルがスタートアップで 活かせるか確かめたい 漠然としたスタートアップに 対する不安感 スタートアップの実情に 対する知識不足 転職 過多な責任を負う (人材紹介) • 大企業から直接CXOポジションに就くことは荷が重く、メンバーポジションから段階的にスタートアップに CXOポジションへの躊躇 関与していきたいというニーズが高い。 • スタートアップの選考は面接回数が多い、書類準備が多い、時間がかかる、といった傾向があり、大 スタートアップの採用選考負荷が高く、 企業人材の熱量との乖離があり、選考から離脱してしまう。 転職を諦めざるを得ない • 行動層は、新たなチャレンジ、キャリアアップ、ゼロイチの事業立ち上げのニーズを求めてスタートアップへ の転職を志望しており、スタートアップにおいて何をやりたいのか明確になっているが、関心層は、そもそ も転職すべきか、その中でもスタートアップに転職すべきかが明らかになっていない。 キャリアチェンジの軸を 定め切れない 22

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ①人材課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル 事業を通じて、大企業人材がスタートアップ流動に求めるニーズ・課題が明らかとなった。 実施施策 プロボノ 出向 副業・兼業 事業を通じて明らかになったスタートアップ人材流動の実態 • プロボノは、金銭が発生しない形態でのスタートアップ参画であるため、自らのスキルに自信が持てない 人、本業の関係で時間の制約がある人、大企業の労務規定上、副業が禁止されている大企業人 材にとってとっつきやすい。 • スタートアップ関心層は、スタートアップでのプロボノ活動を新規事業の体験や、スタートアップ事業者 と関わること自体に価値を感じており、報酬よりもキャリア形成のために経験値を積みたいニーズが高 い。一方でプロボノ参加への興味は強いが、プロボノ参加の「意志」まで持つ層はまだ少ない。 • 報酬が発生しないプロボノは、仕事に対する責任が軽いものの、大企業人材の業務に対するモチベー ションが下がる可能性がある。 • 人材が、スタートアップ出向を通じて新規事業に取組みたいと思っていても、大企業に出向制度がな い場合には、制度作りに時間を要してしまう上に、大企業の都合でスタートアップへの出向期間、出 向先、業務内容が決められてしまう。 • 事業を作るフェーズに携わりたい/変化が多い環境に行きたい/自分自身の経験・スキルがスタートアッ プで通用するか不安なため、正社員ではなく、まずは副業で試してみたいニーズがある。 • 大企業の労務規定で副業が禁止されている場合、大企業人材は、報酬を得る形での副業ができな い。 • 本業の就業時間の制約から、平日夜または休日しかスタートアップで働くことができず、スタートアップ が提示する副業の要件に合わない。 人材課題・ニーズ キャリアを考える材料として 融通が利くプロボノに挑戦したい 報酬よりもキャリア形成を重視したい 無償労働のプロボノは モチベーションが低下してしまう 大企業に勤めながら、 スタートアップで働く経験を積んでみたい 出向制度導入に時間を要す等 スタートアップ出向の機会が限定的 正社員よりも、まずは副業・兼業で スタートアップに参画したい 大企業の副業禁止による 副業への躊躇 就業時間固定により 柔軟な働き方が困難 23

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ②スタートアップ課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル スタートアップの抱える課題は成長ステージによって異なる。特にシードやアーリー期は、人材不 足や組織の仕組みの未整備により、スタートアップの価値向上が停滞するリスクを抱えている。 シード期:人材・スキル不足 事業を軌道に乗せるため、猫の手 を借りてでも、やるべきことを進めたい 大企業人材のうち 高い専門性を有する層は 業務委託で採用したい 大企業人材のうち 第二新卒層や組織の仕組みづくり ができる正社員を採用したい 多忙な経営層が採用活動に 携わるため工程が長期化 アーリー期以降:仕組み作り知見不足 自社にとって有益な仕組みを作り、 浸透できる組織を作りたい テック系スタートアップは ビジネス人材を確保する ことが困難 立ち上げ期は定型業務がなく 業務を切り出しにくい 専門スキル人材の 採用基準がわからない シード 事業拡大に伴い、 業務を切り出して 副業・兼業で支援してほしい 事業化経験を持つ 大企業人材に来てほしい スタートアップ未経験者に CXOを任せるのは心配 アンラーニングコストが高い 大企業人材は採用リスクがある 技術等の機微性の 高い情報が正社員以外に 流出する懸念がある アーリー ミドル レイタ― 24

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ②スタートアップ課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル 事業を通じて、スタートアップが大企業人材の流動に求めるニーズ・課題が明らかとなった。 実施施策 事業を通じて明らかになったスタートアップ人材流動の実態 キャリア支援 • スタートアップ流動に関心がある層は幅広く、度合いも多様であり、ターゲティングが困難であるが、ス タートアップの高い関心層を流動潜在層と捉えることが有効。 • 大企業人材のうち、第二新卒層(基本動作やビジネススキルが備わっており、スタンスが良く、行動 量が担保できる層)と仕組化層(マネジメント経験などがあり、仕組化し、横展開できるミドルマネ ジメント層)がスタートアップからの関心が高い。第二新卒層はアンラーニングコストが低く、仕組化層 は、受入れ側のスタートアップが持っていないスキルを持っており、常時スタートアップが対応しなければ ならないことを遂行できる。 • 特定の知見やスキルを有する人材もスタートアップからの関心は高いが、マインドセットに欠ける場合に は、中長期的にみるとネガティブ要因になるため、正社員ではなく業務委託が好ましい。 • それ以外の大企業人材はアンラーニングコストが高い存在であると、スタートアップから敬遠される。 • スタートアップのビジネスモデルやフェーズによって、人材に求めるスキルや知見が変わるが、そのことを人 材側に訴求できていない。 転職 (人材紹介)• シード・アーリー期のスタートアップには採用担当がおらず、経営陣が採用を実施せざるを得ないが、経 営陣はダイレクトスカウトをする時間が確保できないために、候補者の母集団形成ができず、面談調 整も時間がかかってしまう。 • CXOクラスの人材は、大企業出身のスタートアップ未経験者から獲得することは難しく、スタートアップ でメンバークラスで経験を積んだ人をCXOに迎えたい。 • 採用業務に手が回らないスタートアップは、RPO(採用代行)を人材紹介会社に依頼することで、 採用スピードを早めることができる。 • ディープテックスタートアップは、研究者・技術者が会社を立ち上げることも多いため、ビジネスサイドの 人材につてがなく、リファラルで採用することに限界がある。 スタートアップ課題・ニーズ 大企業人材のうち 第二新卒層や組織の仕組みづくり ができる正社員を採用したい 大企業人材のうち 高い専門性を有する層は 業務委託で採用したい アンラーニングコストが高い 大企業人材は採用リスクがある フェーズ毎に必要な 人材要件が不明確 多忙な経営層が採用活動に 携わるため工程が長期化 スタートアップ未経験者に CXOを任せるのは心配 RPO等を用いて スピーディーに採用活動を行いたい テック系スタートアップは ビジネス人材を確保する ことが困難 25

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ②スタートアップ課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル 事業を通じて、スタートアップが大企業人材の流動に求めるニーズ・課題が明らかとなった。 実施施策 プロボノ 出向 副業・兼業 事業を通じて明らかになったスタートアップ人材流動の実態 スタートアップ課題・ニーズ 事業立ち上げフェーズでは、プロボノで • シード・アーリー期のスタートアップは、業務の切り出しが難しく、副業・兼業・業務委託でどれくらいの 対価を払えばよいのか、どのようなリターンが欲しいのか明確になっていない。一方で、人手は不足して スキルのある人材に手伝ってほしい おり、経営課題は多岐に渡っているため、雇用契約がなく、無償で事業を手伝ってくれるプロボノ参 加者を求めている。 プロボノ人材の業務に対する • プロボノは給与のインセンティブがなく、参加者に、事業自体に共感を持ってもらわないと、継続して支 動機付けが難しい 援してもらいにくく、人材を動機づけて、自社にメリットをもたらすプログラム設計にする必要がある。 • プロボノの場合、雇用契約の取り交わしを行っておらず、NDAを締結することも少ないため、どこまで 技術等の機微性の 業務を依頼してよいか分からなかったり、技術流出や情報流出の懸念がある。 高い情報が正社員以外に 流出する懸念がある • 大企業からスタートアップへの出向は、出向者の在籍期間が限られており、できるタスクに制限があっ たり、技術流出や情報流出の懸念がある。 事業化経験を持つ • 海外展開を見据えているテック系スタートアップは、商社やコンサル出身といった、事業化経験を持つ 大企業人材に来てほしい 大企業人材に対するニーズが高い。 • 30人前後規模のスタートアップになると、大型調達やIPOに向けて明確な課題を抱えており、どの業 務を切り出せばよいのか分かっており、副業・兼業・正社員として大企業人材に働いてもらうニーズが 事業拡大フェーズでは業務を切り出して、 高い。事業でベテランにしか分からない領域がある場合、必要なタイミングで高いスキルを有する人材 副業・兼業・業務委託で働いてほしい を業務委託等で雇う関係があると望ましい。 専門スキル人材の • 管轄外の専門領域の人材を採用する場合は採用基準が分からないため、まずは副業や業務委託 採用基準がわからない でスタートアップに参画してほしい。 • 副業は、業務内容を定義し予見することが必要で、予見ができず業務内容が曖昧になってしまうと、 業務内容の定義が困難な 受入れスタートアップのコストが大きくなってしまうため、副業の場合は業務をプロジェクト化することが 事業企画は 望ましい。マーケティング、プログラミング、クリエイティブといったタスクの切り出しやすい業務は副業・兼 副業・兼業案件化しづらい 業に適しており、大企業の副業・兼業ニーズも高い一方で、事業企画は業務内容を定義しづらい。 • 大企業人材は、労務規定により副業が禁止されていたり、通常業務外の時間のみしか働けないため、大企業人材には働き方の制約から 業務を依頼することが難しい。 業務を依頼しにくい 26

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ③ビジネスモデル課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル スタートアップへの人材流動事業は、長期目線でないと投資対効果が出ない。単一事業者に よる短期成果を狙う事業ではなく、複数事業者共同による長期成果を評価することが有効。 単一事業者×短期成果 スタートアップで働くことが 世の中で普及しておらず、 プロボノ、副業・兼業、転職いずれも 短期間での流動が見込みにくい キャリアアカデミー・キャリア面談は、 行動変容を促す試みであり 短期間で成果が出にくい 事業者同士がパイの取り合い (流動人材の取り合い)をすると スタートアップ流動の総数を 増やすことができない メディア広告は認知向上の効果あり。 一方で、関心・行動の変容を 短期間で促すことは難しい。 複数事業者×長期成果 複数事業者が連携しながら、大企業人材の行動変容を起こす 例:VCによるキャリアアカデミー開催とキャリアカウンセラーの連携 行動変容の起きた大企業人材を別の事業者に誘導する 例:VCによるキャリアアカデミー参加者のうち、 転職希望者を人材紹介事業者に誘導 複数事業者が連携し、スタートアップと人材をマッチングする 例:人材紹介事業者とVCによる採用案件共有会の実施 人材紹介事業者によるRPO(採用代行)の実施 →事業者同士が連携することで、長期的に大企 業人材の流動総数を増やすことができ、スタート アップのバリューアップをもたらすことが可能に 27

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ③ビジネスモデル課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル 事業を通じて、事業者がスタートアップエコシステムを構築するうえでのニーズ・課題が明らかとなった。 実施施策 事業を通じて明らかになったスタートアップ人材流動の実態 キャリア支援 • VCが投資先のスタートアップに良い人材を流動させることができれば、長期的にはスタートアップのバ リューアップにつながる。 • 大企業人材の仕組化層や第二新卒層といった一部の人材は、スタートアップからの関心が高い一方 で、その事実を認識できていないため、スタートアップからの関心が高いことを気づかせるためのワーク ショップなどの活動が有効。 • 転職関心層を掘り起こすことは、スタートアップへの人材流動の活性化に寄与しうるが、ワークショップ やセミナーで関心層のマインドセットを変えていくことは時間がかかり、投資対効果が低い構造となって いる。 • 転職関心層を育成し、いざ転職行動層に引き上げることができても、人材紹介事業者のサービスに 移行してしまい、人材紹介料で収益を上げることができないリスクが大きい。 • 人材ひとりひとりに対して面談を行い、スタートアップ転職を含めたキャリア相談をするサービスは労働 集約的であるため、ポッドキャストやnoteなどのメディアを用いて、世の中に情報が出ていないスタート アップの良さ、面白さを発信することで、大企業人材の流動に寄与するなど、スケールする仕掛けが作 れないか。 ビジネスモデル課題・ニーズ 長期目線でのスタートアップ バリューアップに寄与したい 転職関心層にスタートアップからの 関心が高いことを自覚させたい 転職潜在層の流動化支援 には時間と労力がかかる 転職潜在層がキャリア支援を フリーライダー利用 スタートアップのリアルを 関心層に、もっと知ってもらいたい 面談による人材流動化 支援は労働集約的 転職 • スタートアップの求人案件は、大企業の高収入案件と比較すると収益が低く、かつ選考回数が多い、 スタートアップ転職事業は (人材紹介) 選考プロセスの期間が長い等、キャリアカウンセラーの負荷も通常の案件より高くなってしまうため、ス 収益性が低く、切り出す必要がある タートアップ転職事業は、既存事業とは別に切り出す方向性が考えられる。 連携VCの投資先テック系 • VCと密に連携し、VCの投資先スタートアップが求める人材要件を細かく洗い出すことで、的確に要 スタートアップが求める人材を 件に見合った人材を探すことができる。 うまくマッチングさせたい • シードやアーリーステージのスタートアップのRPO(採用代行)を行うことで、人材の母集団形成を作り、 比較する対象を作って選考活動を進めることで多くの選択肢から短期間で採用する人材を決めるこ RPOをスタートアップに採用してもらい、 とができる。 短期間で有望な人材を 28 採用できるように促したい

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ③ビジネスモデル課題から見えた施策の方向性 人材 スタートアップ ビジネスモデル 事業を通じて、事業者がスタートアップエコシステムを構築するうえでニーズ・課題が明らかとなった。 実施施策 事業を通じて明らかになったスタートアップ人材流動の実態 ビジネスモデル課題・ニーズ プロボノ 出向 副業・兼業 • プロボノは、大企業人材が自らのできることと、そうでないことを把握することができるため、自らの経 プロボノをスタートアップ流動を考える 験・スキルを踏まえて、スタートアップに行く可能性を高めることに寄与する。スタートアップで活躍した きっかけに活用してもらいたい 実績がない人にとって、スタートアップ転職の際に、多少なりともプロボノで、スタートアップと接点を持っ ていることは、職務経歴書に書けなくてもアピール材料にはなりうる。 越境体験を目的とした大企業 • プロボノマッチングで収益化する方法として、大企業側にプロボノを通じて、大企業社員を越境体験さ との連携はサービスの収益化が難しい せることが考えられるが、ビジネスを拡大しにくいことが課題。プロボノ参加者同士は、自らが取り組ん でいることを客観的にとらえるために繋がり、お互いの取り組んでいることを知ることで、自らの身に着け プロボノ参加者同士がお互いの たスキルを可視化することができる。そのため、プロボノ参加者の母集団を形成し、参加者同士がつな 成長・経験を比較できる場を がることができる仕組みがあるとよい。(一緒にプロボノに参画させることで、参加者のモチベーションも 十分に提供できていない 継続率もあがり、ビジネスとしても、旨味がある) • 関連会社への出向を含む、出向制度がない企業への出向プログラム導入は時間がかかるため、大 企業の出向プログラム導入には、経営陣や事業部クラスのキーマンの意思決定が必要。経営からトッ スタートアップ出向制度導入は プダウンで意思決定を行うか、熱量の高い事業部起点でアプローチするのがよい。 大企業内での調整に時間を要する • 大企業でプログラムを導入するためには、事業部と人事部・経営層、それぞれに適した形で出向プロ グラムの意義を伝えることができるとよい。出向者を出す事業部側には離職防止で環境を変える機 スタートアップ出向制度導入は 会の提供の必要性を伝え、人事部や経営層への説明には事業創出やノウハウ吸収の必要性を伝 大企業内の経営陣や える。大義名分があり、裏目的に離職防止・人材育成という目的が達成されるとよい。 事業部クラスのキーマン説得が必要 • 出向制度のない大企業にとって、新たな制度を導入することは大変な労力がかかるため、社内ステー クホルダーを説得するためのよりどころがあるとよい。大企業がオープンイノベーションに積極的に取り組 スタートアップへの交流による んでいることを奨励する仕組みの一貫として、国が大企業に対して、イノベーション創出に関して認定 イノベーション活動を国が認定する 制度を設ける方向性が考えられる。認定制度として、スタートアップに人材を積極的に送り込んでい 仕組みを作ってほしい る、またはスタートアップと連携していることが対外的に見えるようになると、出向プログラムの導入も進 むのではないか。 • 大企業人材がプロジェクトベースでスタートアップのCXOを務める形態での案件化が難しい。正社員で ないままCXOの役割を果たすのは非現実的であり、CXOポジションは、業務の切り出しニーズが低く、 会社としての課題解決のミッションを遂行するニーズが大きい。 CXOの仕事は 業務の切り出しが難しく、 副業案件化しにくい 29

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ④課題に対するアプローチ 人材 スタートアップ ビジネスモデル 大企業人材、スタートアップ、事業者、それぞれのニーズと課題を捉えることで、 スタートアップのバリューアップ・スタートアップエコシステムの構築が可能となる。 課題 スタートアップエコシステムの構築にむけた課題に対するアプローチ 人材課題 スタートアップ課題 ビジネスモデル課題 ◼ 無関心層、関心層、行動層は、それぞれスタートアップ流動に対して 抱えるニーズ・課題が異なる。 ◼ 人材の流動化には、特に関心層を行動層に引き上げるための課題 解決を図る施策が必須。 ◼ スタートアップの抱える課題は成長ステージによって異なる。特にシード やアーリー期は人材不足や組織の仕組みの未整備により、スタート アップの価値向上が停滞するリスクを抱えている。 ◼ スタートアップの成長ステージ毎の課題やニーズを的確に把握し、大 企業人材を適切な形で流動させる必要がある。 ◼ スタートアップへの人材流動事業は、長期目線でないと投資対効果 が出ない。 ◼ 単一事業者による短期成果を狙う事業ではなく、複数事業者共 同による長期成果を評価することが有効。 30

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スタートアップエコシステムの構築にむけて ⑤課題を踏まえた政策の方向性 スタートアップエコシステムを構築するためには、ステークホルダー間の好循環の創出を実現する ための起点となる事業活動を、長期的な視点で政策として支援していくことが求められる。 政策の方向性 政策を起点とした スタートアップ人材流動の 市場創出支援 多様な働き方、 キャリア形成の実現 優良企業認定等の インセンティブ付与 政策推進にあたっての課題意識 ◼ 人材紹介事業は、現状は大企業への流動を促すインセンティブが強く、構造 的にスタートアップへの流動が起きにくい。ビジネスモデルを変革させるような、 長期的な目線で流動を促す取組への支援やルール整備といった、スタートアッ プへの人材流動市場を創出するための継続的な支援が必要ではないか。 (例:大学発等のスタートアップの母集団の拡大、関心層人材の母集団形 成、人材紹介事業における返金規定の見直し、等) ◼ 例えばプロボノの場合は、副業禁止の労務規定に触れず、スタートアップへの 流動を実現できる一方で、情報・労務管理の面での課題や懸念がある。副 業・兼業もあわせて、適切なルールやガイドラインが求められているのではないか。 ◼ あわせて、大企業側で柔軟な働き方が広がることや、スタートアップとの人材の 環流によるイノベーション創出への意識が高まることで、具体的に人事施策と して普及し、中長期にスタートアップ流動を進めていくことができるのではないか。 ◼ 例えば、スタートアップ出向は、イノベーション創出のために有用と認識されてい るが、大企業が人材をスタートアップに出向させることは現場からの抵抗が大き いうえに、人材を出向させる仕組みやルールが整備されていないことから、大企 業側で出向の取組を進めることが難しい。そのため、政府主導で大企業にイン センティブを付与することが必要ではないか。 (例:認定制度等による減税措置、入札要件、等) 31

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 32

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ステークホルダーへのメッセージ 事業を通じて、スタートアップ経営人材の流動課題に対する仮説が大きく深まった。 初期仮説 事業を実施して得られた主な知見 人材とスタート • スタートアップの成長に寄与する人材を適 • スタートアップは事業内容が変わることも多い中で、やりたいことを中心に考えていると、その変化についてい アップのマッチン 切にマッチングさせるには、スタートアップと けない場合もある。それ以上に、会社の持つビジョンやミッションに共感するほうが、結果として、そのスター グ課題の探索 人材の相互の理解を深めることが重要にな トアップ内に留まり、活躍し続けることが多い。 るのではないか。 • 「何がやりたいか」をシャープに答えられる人は、必然的にスタートアップが選択肢になる。一方で、現実的な リスクを考えて億劫になってしまう人も一定数はいるので、リスクを正しく伝えてあげることが大事。 • すぐに転職は難しくとも、プロボノを通じたお • 半年の期間では、兼業や転職までの変化は見えないが、魅力のあるスタートアップの人と働けることで、そ 試し体験をきっかけに、兼業副業・転職へ の先に繋がる事例はきっと出てくる。企業の副業禁止の壁に抵触せず、個人で参加できるプロボノ活動は、 とつながっていくのではないか。 人材流動の活性化に向けたきっかけとなっている。 • スタートアップで求められているのは、経営や • 職種がニッチでポジションがスタートアップにないという場合や、1,2年目等で経験が足りず、スタートアップ マーケティング、研究開発、法務や人事と のニーズに合わない場合がある。流動のターゲットとしては、大企業の仕組みをインストールできる人材、基 いった、大企業で培ったスキルをそのままス 礎スキルがあり、アンラーニングコストが低い第二新卒が有望。スタートアップのステージに応じた、求める人 タートアップに持ってこられる人材なのではな 材像の違いや、業務委託の活用等でカバーできる部分が見えてきている。 いか。 • 副業・兼業モデルによって、スタートアップに • CXO人材の流動は容易ではないが、副業マッチングはカルチャーフィットの期間として、スタートアップから 不足するケイパビリティを、大企業側から効 好意的に捉えられている。そのうえで将来的に正社員、CXOになればよいという認識がある。人材面からし 率的に持ってこられるのではないか。 ても、こうした相互のお試し機会があることは、流動への足がかりになっている。 スタートアップ 流動における ビジネスモデル 課題の探索 • スタートアップに特化すれば、人材紹介ビジ • 副業マッチングの観点では、現状では万単位の流動がないと、採算性の観点では厳しいと感じる。CXOク ネスを成立させられるのではないか。 ラス×テック系スタートアップという縛りでは難しいが、どちらかの条件を緩和して対象を拡げられれば、ニーズ としては大きいと感じる。 • エージェントの視点からは、大企業と並行してマッチングを支援していると、スタートアップは選考にかかる時 間が長くなり、他社で決まってしまうこともあるため効率は悪い。その一方で、特設ページ外でのメディアリー チを生かした人材紹介のスタイルでは、ある程度の件数の人材流動が自然発生している。 • テック系に特化した人材紹介事業は、ベンチャーキャピタルとの密な連携があってこそ実現する。適切な体 制を組み、事業を特化させていけば、人材紹介事業で収益は十分得られると見込む。 • 人材流動におけるB2Bモデルのビジネスとし • 社内制度がないと検討の土台に乗らない会社が多い。ある企業は、すでに実施・検討していることが多く、 て、大企業からのスタートアップ出向のルート シンプルな出向&人材教育では訴求が難しい。スタートアップとの協業のスキームや出資等まで見据えたス を開拓できるのではないか。 タートアップ出向等、グロースに貢献する踏み込みが求められる。 33

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ステークホルダーへのメッセージ 大企業人材のスタートアップへの流動に関する議論をつきつめると、 「いかにスタートアップの成長に寄与するか」という視点で施策を推進できるかが重要である。 大企業人材へのメッセージ スタートアップで幸せなキャリアを送るためには… • スタートアップのキャリアを 身近に知ることが大事 • それはそうなん だけど… 初期仮説 スタートアップ経営者へのメッセージ 調査結果 → 自身の成長がスタートアップの成長に寄与することが必要 スタートアップが良い人材を獲得するためには… • 大企業人材ならCXOとし て大活躍してくれる 意外とそうじゃ なくて… 初期仮説 介在事業者へのメッセージ 正社員、業務委託、兼業・副業、プロボノ、 出向など、人材を獲得する手段は多岐にわた る。自社のステージやカルチャーに応じた人材 獲得の手段を活用していく必要がある。 調査結果 →スタートアップの成長につながる人事戦略が必要 スタートアップへの人材流動をビジネスとして成立させるには… • キャンペーンをすれば、 どんどん人材が流動する 初期仮説 個人のニーズ・欲求の深耕と、スタートアップの ビジョン・ミッションとの整合がつくことが重要。 ネガティブ要素も含めて、リスク等のスタート アップキャリアのリアルを正しく認識するべき。 • 意外とそうじゃ なくて… 調査結果 効果的なマッチングのために、人材とスタートアッ プの相互理解に、じっくり取り組むことが必要。 人材紹介のターゲットを絞ることや、流動先のス タートアップの成長で投資回収を見据える等の 長期的な目線を持つべき。 →スタートアップの成長に寄与する人材サービスであることが必要 34

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目次 1.事業の背景と目的 P. 1-4 2.スタートアップへの人材流動における課題の構造 P. 5-10 3.スタートアップへの人材流動に関する先行事例 P. 11-15 4.各コンソーシアムの取組と成果 P. 16-18 5.スタートアップエコシステムの構築にむけて P. 19-31 6.ステークホルダーへのメッセージ P. 32-34 7.審査委員・アドバイザーからの評価・総括 P. 35-37 35

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評価・総括 審査委員・アドバイザーからの評価・総括 EDiX Professional Group 江戸川公認会計士事務所 代表 江戸川 泰路 氏 日系大企業 オープンイノベーション担当 B氏 東京大学大学院工学系 研究科 教授 日本ベンチャー学会 会長 各務 茂夫 氏 • 事業を通じ、人材を流動させるためのアプローチとその考察という点では多くの知見を得ることができたと思う。 • 一方で、流動実績の面では物足りなさを感じる。スタートアップ側の立場として、いざ実際にCXO人材を探したいとなった際に、な にをすればよいのか、どういった事業者に声をかければ人材が見つかるのか、という点では、まだ良い手が見つかったとは言い難い。 • 人材に対して、最終的に流動を決心させるのはスタートアップ自身である。自社のスタートアップが魅力的だと伝えられれば、良い 人材は集まってくる。そのスタートアップ自身が、関心層・行動層の人材に対していかにアプローチできるかが、人材を起点としたス タートアップエコシステムの創出では重要であると考える。 • 仮に、大企業からテック系スタートアップへ経営中枢を担う人材が移転することによって社会全体の効用が高まるのであれば、テッ ク系スタートアップにとって何が実効的な取組かが焦点になる。 • しかし、ここでその重要な役割を担う仲介事業者にとってテック系スタートアップを対象にビジネスを行うことの経済合理性に課題 があることが今般明らかとなった。 • これについては当該仲介事業者への費用原資をベンチャーキャピタルが拠出し、ベンチャーキャピタルはそれによって投資先の価値 を高めEXIT時に回収を行うというモデルにその課題解決の糸口が見られた。よって次のステップとしては、かくあるモデルを普及させ るにはどうしたら良いかという観点で知恵を出していく段階に入っていくべきではないかと思料する。 • ディープテックを中心とする大学発ベンチャーの創業においては、技術や熱意を持った30代前半の人材が、商社やコンサルでビジネ スの経験を積んだうえで自らスタートアップを興す流れがある。今回の事業でそのような具体的なパターンの検証まではできていない 印象である。 • 人材流動の際は、特定のスタートアップに対して人材のこのスキルや経験を活かせるという具体的な案件ベースのマッチングにどれ だけ踏み込めたかが重要である。大企業人材の全体を底上げして一般論として流動を活性化させるのは本質的ではない。やり たいことがあるのに大企業ではできないという層に対して、具体的な案件で一本釣りするような流動にフォーカスして検証ができる と良い。 36

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評価・総括 審査委員・アドバイザーからの評価・総括 ReBoost 代表取締役 河合 聡一郎 氏 Almoha共同創業者COO 唐澤俊輔 氏 • 大企業人材を採用したいスタートアップ企業と、スタートアップに挑戦したいと考えている大企業人材との間に、「求める/求められ る人材像」の言語化や、 「どういうフェーズがあるか/自らのどんな経験がフィットしそうか」と言った、共通の定義がないように感じた。 • スタートアップ経営者には人材に求める成果やその時間軸も含めて明確にし、大企業人材には、様々なケースの活躍するスタート アップ人材との接点を共有することで、スタートアップのリアルを伝える。双方へのエデュケーションによって共通の定義を形成するこ とで、ミスマッチを減らすことが出来るように思う。 • いきなりシード期のスタートアップに挑戦する以外にも、メガベンチャーを挟んでの挑戦や、その逆もある。スタートアップと言う大きな 言葉ではなく、ステップバイステップの流動化についての認知を広げる。 • 大企業人材が、大企業を辞めてスタートアップに転職することにリスクを感じてしまわないようにするためには、人材がスタートアップ に行っても後に大企業に戻ってこられる仕組みを考える必要がある。 • スタートアップカルチャーがよくわからないまま、大企業からスタートアップに転職することは心理的な負荷が高い。まずはメガベン チャー等スタートアップよりも規模が大きく、且つスタートアップコミュニティやネットワークがある組織への転職を促し、中長期的にス タートアップへ流動してもらうことを見据えられるとよい。 • 大企業人材にスタートアップのリアルを理解してもらうためには、日々の業務のなかでスタートアップカルチャーをインストールする必要 がある。大企業人材がスタートアップカルチャーに慣れることで、人材の流動や協業を促進されるだろう。 • スタートアップへの人材流動をデジタルマーケティング頼りで実現することは難しいことが明らかになったように思う。マッチングを効率 化させる取組を推進することで、一番大切なアナログコミュニケーションが軽視されてしまう場面も見受けられた。 • スタートアップのグロースに関わるHR事業者はスタートアップのリアルに触れ、ファクトを知り、自ら目の前の人に未来を語ることで初 めて「マインド」を未来志向にSHIFTさせることができる。 • 未来志向人材が流動することに伴い、その総量が日本のイノベーションを創出していくことに繋がる。 事業アドバイザー For startups 泉 友詞 氏 37

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(様式2) 二次利用未承諾リスト スタートアップエコシステムの創出にむけた大企業人 材の流動促進に関する調査 令和3年度中小企業新事業創出促進対策事業委託費 (スタートアップ向け経営人材支援事業) 一般社団法人社会実装推進センター 頁 図表番号 15 写真全て 36 写真全て 37 写真全て タイトル 登壇者写真 審査委員・アドバイザー写真 審査委員・アドバイザー写真