【共同講座】普及・促進に向けた事例調査報告書(令和3年度)

1.8K Views

November 29, 23

スライド概要

企業が、⾼等教育機関(⼤学・⾼等専⾨学校等)と"共同"で自社が必要とする高度専門人材を育成する"講座"(コース・学科等を含む)を設置する『共同講座』の事例調査報告書となります。

*経済産業省の補助事業『共同講座創造支援事業費補助金』を(一社)社会実装推進センターが運営しております。

profile-image

"旗"を掲げ、挑戦したい人を応援するメディアです。 第一線で挑戦する人のインタビュー・コラム、政策・ビジネスに関するレポート、公募の情報など、「じっくり読みたくなる」情報をお届けしています。note:https://flag.jissui.jp/ |  運営会社JISSUIの情報はこちらから→ https://jissui.or.jp/

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

令和3年度⾼等教育機関における共同講座創造⽀援事業 共同講座の普及・促進に向けた事例調査 報告書 2023年3⽉

2.

1 調査概要 2 共同講座の促進に係る主要論点 3 各論点への⽰唆 4 本補助事業における取組み事例 1

3.

1.調査概要 調査実施事項の全体像 n 本補助事業の採択事業者と、それ以外の企業事例について調査した。 調査対象 本補助事業の 採択事業者(23社) 調査実施事項 書⾯調査 概要 第1回調査 (採択直後) • 採択直後時点での事業概要・計画、⼈材育成ニーズ、 ⾼等教育機関との連携の経緯、狙い等を書⾯で把握 第2回調査 (実施期間中) • 共同講座の開始後において、受講者の状況や、実施に あたっての課題や成果等について、書⾯で把握 第3回調査 (終了後) 上記以外の企業等 • 終了後の、共同講座の内容や課題、評価、今後の予定、 本補助事業への評価等について書⾯で把握 インタビュー調査 • 上記の書⾯調査に基づき、特徴的な取組みを⾏っている 事例について、採択事業者と連携先⾼等教育機関の 双⽅に対してインタビューを実施 デスク調査 • 新聞・雑誌記事等の情報に基づき、共同講座の事例リ ストを作成 インタビュー調査 • 上記のデスク調査に基づき、特徴的な取組みを⾏ってい る事例について、企業にインタビューを実施 2

4.

1.調査概要 採択事業者への書⾯調査(第1回、採択直後) 調査概要 主な調査項⽬ タイトル 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採択事業者へ の書⾯調査(第1回、採択直後時点) 趣旨 採択直後時点での事業概要・計画、⼈材育成ニーズ、 ⾼等教育機関との連携の経緯、狙い等を把握する 期間 2022年8〜9⽉(1次採択事業者) 2022年10〜11⽉(2次採択事業者) 実施⽅法 各事業者にExcel調査票を送付し回答を依頼 対象 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採択23事業者 (事業者による回答。全件回収) 1.受講者について • 想定している受講者の属性 • 受講者の属性ごとの受講要件 • 受講者の属性ごとの⼈材育成⽬標(短期、⻑期) 2.プログラムについて • ⼈材育成⽬標に到達するために重視するプログラム (講義、実習、演習等) • プログラム開発にあたっての企業・⾼等教育機関の体制・役割分担 • 当該の⼈材育成テーマ・分野を選定した理由・狙い (事業環境変化、経営課題・戦略等も含めて) 3.⾼等教育機関との連携について • ⾼等教育機関との連携のきっかけ、経緯 • ⾼等教育機関と連携することの利点、狙い • 連携にあたっての課題、苦労したこと 4.本補助事業について • 本補助事業の申請にあたり苦労したこと、課題になったこと 3

5.

1.調査概要 採択事業者への書⾯調査(第2回、実施期間中) 調査概要 主な調査項⽬ タイトル 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採択事業者へ の書⾯調査(第2回、実施期間中) 趣旨 共同講座の開始後において、受講者の状況(申込者 数、受講者数、属性等)や、実施にあたっての課題や 成果、本補助事業への要望等について把握する 期間 2022年12⽉〜2023年1⽉ 実施⽅法 各事業者にExcel調査票を送付し回答を依頼 対象 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採択23事業者 (事業者による回答。全件回収) 1.受講者について • 属性ごとの申込者数、受講者数 (⾃社社員/⾃社以外社会⼈/⾼等教育機関の学⽣等/その他) • ⾃社以外の社会⼈がいる場合、その属性、費⽤負担 • その他受講者がいる場合、その概要 • 選定を⾏った場合、その選定⽅法・選定基準 2.実施にあたっての課題・対応策と成果 • 共同講座の実施にあたっての苦労・課題と対応策・⼯夫 • 受講者の実業務への活⽤状況、受講成果 • 受講していない社員等への波及効果 • ⼈材育成⾯以外での成果 • 受講環境の整備の内容 • 受講者が学んだことを活⽤しやすくするための⽀援策 • ⾼等教育機関が感じる共同講座のメリット 3.本補助事業について • 当初想定していなかった経費の内容、⾦額 • 本補助事業に求める改善点 4

6.

1.調査概要 採択事業者への書⾯調査(第3回、終了後) 調査概要 主な調査項⽬ タイトル 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採択事業者へ の書⾯調査(第3回、終了後時点) 趣旨 共同講座の実施内容・課題・評価や、本補助事業へ の評価、今後の予定等について、終了後の各社の認 識を把握する 期間 2023年2〜3⽉ 実施⽅法 各事業者にメールで質問項⽬を送付し回答を依頼 対象 「共同講座創造⽀援事業費補助⾦」採択23事業者 (事業者による回答。全件回収) 1.共同講座の実施内容や課題、評価等 • 共同講座の実施に係る苦労・課題と対応策 • ⾼等教育機関との連携についてのメリット・デメリット • 企業と⾼等教育機関がそれぞれ果たした役割、提供価値 2.本補助事業への評価 • 本補助⾦を受けることで共同講座の実施が促進されたか、その内容 • その他、本事業に関して良かった点、改善点 3.今後の予定 • 受講者への追跡調査等の予定や、⼈事評価・⼈員配置等に反映 する予定の有無、内容 • 来年度以降も共同講座を継続して実施する予定か • 継続する場合、費⽤負担に関する⽅針と共同講座の改善点 5

7.

1.調査概要 採択事業者へのインタビュー調査 調査概要 趣旨 主な調査項⽬ 共同講座を促進する上で重要な点(実施する利点、 ⾼等教育機関との接点、実施のプロセスにおける⼯夫 など)を、各社の取組を詳細に聞き取り把握する 期間 2023年2〜3⽉ 実施⽅法 オンラインインタビュー(Teams) 対象選定 の考え⽅ 書⾯調査結果より、下記の事業者を抽出: • 共同講座の利点を明確にするという観点から、「なぜ、 ⾃社での内製や研修企業・コンサルではなく、⾼等教 育機関との連携を⾏うか」が明確な事業者 • 実施へのハードル(ボトルネック)や、それに対処する ⽅法を明確にするという観点から、優れた体制を組み、 検討プロセスを実施している採択案件や、再現性の ある⼤学との接点の持ち⽅をしている事業者 対象 下記の4事業者を対象として実施 ü シナノケンシ × 信州⼤学 ü DOWAホールディングス × 東北⼤学 ü クオリティソフト × 和歌⼭⼤学 ü 博報堂 × 京都⼤学 1.採択事業の実施に⾄る経緯・実施のプロセス • 当該⾼等教育機関と連携を⾏うようになったきっかけ • 当該プログラムを企画・運営した際の体制 2.採択事業の⽬的・狙いと評価 • 当該プログラムの⽬的 • ⾼等教育機関と連携する意義 • 現時点での成果への評価 3.成果の把握⽅法、今後の活⽤⽅法 • 成果の把握・評価の⽅法 • 当該プログラムの成果の社内における活⽤予定 4.共同講座を実施する上での課題・政策的要望 • 課題 • 改善策・政策的要望 6

8.

1.調査概要 採択事業者の連携先⾼等教育機関へのインタビュー調査 調査概要 趣旨 主な調査項⽬ 共同講座における、⾼等教育機関としての利点や課 題を把握する 期間 2023年2〜3⽉ 実施⽅法 オンラインインタビュー(Teams) 対象選定 の考え⽅ 採択事業者インタビューの対象事業者と連携している ⾼等教育機関を抽出 対象 下記の4⼤学を対象として実施 ü シナノケンシ × 信州⼤学 ü DOWAホールディングス × 東北⼤学 ü クオリティソフト × 和歌⼭⼤学 ü 博報堂 × 京都⼤学 1.事業者との連携経緯 • 採択事業者との連携経緯 • その他の⺠間企業との連携状況 2.共同講座の実施に⾄るプロセス • ⾼等教育機関内部での検討プロセスにおける課題・障壁 • プログラムの設計・開発・運営における課題・障壁 3.共同講座を実施するメリット • ⽬的・メリット • ⼈材育成⾯での効果 4.政策的要望 • 共同講座を促進するために必要な政策的⽀援 • 産学連携全般を促進するために必要な政策的⽀援 7

9.

1.調査概要 採択事業者以外の事例調査(デスク調査、インタビュー調査) 調査の進め⽅ 事例リスト作成 (デスク調査) インタビュー先 抽出 インタビュー 実施 主な調査項⽬ • 新聞・雑誌記事等に基づき、国内における共同 講座の事例リストを作成 • 各事例について、⼈材育成⽬的の類型(次ペー ジ参照)を整理 • 学⽣のみ対象の講座(寄付講座的な内容が多 いと考えられるため)や、短期の市⺠講座的な内 容に近いと考えられるものは除外 • その上で、講座内容を⾒ながら、研究だけでなく ⼈材育成も充実していると思われる講座を抽出 • 最後に、⼈材育成⽬的の各類型をカバーできるよ うに調整 • 2022年10〜11⽉に6件の企業インタビューを実施 1.⾼等教育機関との連携の経緯、狙い • 連携のきっかけ、検討の経緯、主導した部署等 • 始めるにあたって特に苦労したこと、ハードル等 • ⼈材育成のニーズ・必要性(当該テーマや分野に係る⼈材育成に取 組む理由、背景にある事業環境変化、経営課題等) 2.⼈材育成事業・プログラムの内容 • 受講対象者(部署、職種、年次、受講前に有しているスキル等) • ⽬指す⼈材像(上記の対象者を、どのレベルまで育成することを⽬ 指しているか) • 特に重要と考えているプログラム(講義、演習、実習等)の内容 • プログラム開発・運営に係る企業と⾼等教育機関の役割分担 3.⼈材育成上の成果、当該プログラムへの評価 • プログラムの修了者数や修了率等(定量評価) • 修了者の成⻑、業務への活⽤状況等(定性評価) • 成果の把握⽅法、追跡調査の実施状況 • ⾼等教育機関と連携することの利点 4.運営にあたっての留意点・課題等 • 修了した社員への処遇・配置・評価等への配慮の有無、その内容 • ⾼等教育機関と連携して運営することの難しさ、課題等 • 得られた成果・課題を踏まえて、プログラムをどのように継続的に改善 しているか • 今後の展望、政策的⽀援への期待・要望 8

10.

1.調査概要 参考:⼈材育成⽬的の類型(本補助事業における仮整理) A 研究開発⼈材の育成 企業等が、特定の研究分野の発展・深化を担う ⼈材を育成することを⽬的とする共同講座 (例) • 量⼦技術等の要素技術について、より企業ニーズに沿った⽅ 向に研究を深化させる共同研究 • 企業の研究者と⾼等教育機関の研究者が交わり、技術的 な意⾒交換を⾏うゼミ・研究室活動 …等 B 社会実装・普及⼈材の育成 企業等が、特定の技術領域の事業化・社会実装を担う ⼈材を育成することを⽬的とする共同講座等 (例) • DX等の企業テーマを軸に、技術トレンドや企業での実践事例 等を学ぶ講義・ワークショップ • 特定の産業領域を軸に、より実⽤に近い共同研究・プロトタイ ピング・実証実験等を進める活動 …等 C ⼈⽂社会・学際⼈材の育成 企業等が、事業に必要な社会ビジョンを描くことが できる⼈材を育成することを⽬的とする共同講座 (例) • SDGs対応等、企業が取組むべきテーマに対して、学際的に近 年の研究や国際動向等を学ぶ講義・ワークショップ • まちづくり等、企業だけでは対応できないテーマに対して、産官 学で社会ビジョンを描く共同研究 …等 D 地⽅産業振興⼈材の育成 地⽅企業等が、優秀な⼈材を地⽅に惹き付け 地⽅産業振興等につなげることを⽬的とする共同講座 (例) • 地域の集積産業分野への就業を⾒据えて、関連分野につい て実践的な内容を学ぶ、学科・コース・研究室 • ⼈⼝減少等の地域の経済動向に対応して、その課題解決に 向けた企業の取組みと連動する共同研究 …等 9

11.

1 調査概要 2 共同講座の促進に係る主要論点 3 各論点への⽰唆 4 本補助事業における取組み事例 10

12.

2.共同講座の促進に係る主要論点(仮説) 共同講座(産学連携による⼈材育成)が促進されるためには、 下記の4つの主要論点に対して、⽰唆や事例を⽰す必要があるのではないか。 1 利点 • 共同講座(産学連携による⼈材育成)がもたらす特別なメリットや⽬的意識は何か? (それ以外の⼈材育成⽅法と⽐較して) • 共同講座が有効となる分野・テーマ・領域、対象、事業課題・ニーズ等は何か? • 実施すべき講座・プログラム内容をどう定めるべきか?(上記の論点の裏側) 接点 • 共同講座を進めるために、どのように⾼等教育機関と接点・関係を持てばよいか? • どのように適切な⾼等教育機関や研究室にたどり着けばよいか? ※接点づくりもプロセスの⼀部だが重要論点となるため区分 2 3 プロセス • 合意・開発・運営に⾄るプロセスでどのようなボトルネックがあるか? どう乗り越えればよいか? (主に、基本合意まで / 具体的な設計・開発(実施直前まで) / 運⽤・改善 の3フェーズ) 4 政策 • 共同講座を促進するために求められる政策的⽀援とは何か? • 本補助事業の改善に向けたリクエスト事項は? この主要4論点について、前述の書⾯調査、インタビュー調査、デスク調査を通じて、⽰唆や事例を整理した。 (本資料の3.と4.に掲載) 11

13.

1 調査概要 2 共同講座の促進に係る主要論点 3 各論点への⽰唆 4 本補助事業における取組み事例 12

14.

1 3.各論点への⽰唆 利点 ⾼等教育機関の研究能⼒・実績に紐づく⼈材育成には多くの企業が価値を感じている。 加えて、多様な⼈材との交流や、 「学ぶ場、究める場」としての魅⼒も付加価値となっている。 ⾼等教育機関の付加価値、連携の利点 ⼤ 学 の 主 要 機 能 に 基 づ く 価 値 研究 能⼒・実績 教育 能⼒・実績 企業にない、多様な ⼈ と 場 の 魅 ⼒ ⼈材 場 の魅⼒ • 当該テーマにおける⾼度な専⾨性、先端性 • アカデミック・理論的・体系的な知⾒ • 学際的な知⾒ • 先端的で豊富な研究設備 • ⼤⼈数を、体系的なカリキュラムに沿って教育で きるノウハウ・経験 • 様々な碩学から得られる最⾼の刺激 • 学部⽣・院⽣からの新鮮な質問・意⾒ • 視野の拡⼤、将来の共同研究や事業展開に向 けたヒントの獲得、モチベーション向上 • キャンパスにおける、学びの意欲を向上させる/ 学びに切り替え、集中させる雰囲気 • 「学ぶ場、究める場」としての魅⼒、吸引⼒ • (特に有名⼤学における)「誰でも知っている」 「信頼できる」というネームバリュー 研修会社等と⽐較した優位性 ◎ • 「この⼤学・研究室でなければ学べない」という圧倒的 な優位性 • 理系だけでなく、⼈⽂社会系においても優位性は発 揮される △ • 他の研修会社等も⼀定の能⼒・実績を有する • むしろ、社会⼈への教育経験は⽐較的少ないと評価 することもできる • 研修会社等にはない魅⼒。特に包括的な提携がで きた場合、⼈材交流を活発化することにより価値が 増す ○ • 共同講座から、さらなる共同研究へと具体的に発展 する事例もある ○ • “学ばない社会⼈”であっても、学びへのモチベーション を⾼める仕掛けとなり、⾃律的な学びを促す 13

15.

1 3.各論点への⽰唆 利点 ⾼等教育機関においては、機関全体/研究者・研究室/学⽣の各層において、共同講座に参 画する利点を実感している。 ⾼等教育機関における利点* 機 関 全 体 研 究 者 ・ 研 究 室 学 ⽣ 産学連携による⼈材育成の実現 地域貢献、社会貢献 ⾼等教育機関としての 魅⼒・ブランド向上 企業等との連携体制の強化、 繋がりの獲得 企業等の実例・課題・ニーズの把握、 研究内容に対するフィードバック獲得 研究内容のブラッシュアップ、 新たな共同研究テーマの設定 企業等からの外部資⾦の獲得 企業等における 実践的な学びの受講 研究・学習能⼒や モチベーションの向上 具体的な企業研究の実施、 キャリアプラン検討への活⽤ * 例えば研究者・研究室の「企業等からの外部資⾦の獲得」や、学⽣の「研究・学習能⼒やモチベーションの向上」は機関全体の利点としても理解できるなど、各層で完全に独⽴しているわけではない。 各層にて、直接的に享受すると考えられる利点をここでは整理した。 14

16.

2 3.各論点への⽰唆 接点 偶発的接点が起点となることが多く、接点の発⾒・創出をサポートすることが必要である。 共同講座の開設につながる接点のマッピング・評価 • 有効性は低いが、再現性は⾼い • 有効性を上昇させるための政策的サポートが重要 ⾼ • 有効性(共同講座への繋がりやすさ)や、再現性 (他社にとっての取⼊れやすさ)が⽐較的⾼い • 共同研究を実施している企業・⾼等教育機関の各 プレーヤーが、共同講座への発展可能性について検 討するための情報や機会が必要ではないか。 コールドコール 再 現 性 ( 他 社 に と っ て の 取 ⼊ れ や す さ ⁚ 低 展⽰会・学会・イ ベント・⼀般向け 簡易講座等から の発展 共同研究 からの発展 コンソーシアム・ 協議会等での繋 がり 管理職層以下で の個⼈的つなが り • 有効性は⾼いが、再現性は低い • 企業側は、社内における⼤学との接点を棚卸す ることが重要 トップ同⼠の個⼈ 的つながり 有効性(共同講座の開設への繋がりやすさ) ⾼ 15

17.

3 3.各論点への⽰唆 プロセス 共同講座づくりのプロセスは、主に3フェーズに分かれる。 共同講座づくりのプロセス(3フェーズ) フェーズ1 基本合意 • 企業・⾼等教育機関の経営トップが共同講座の実施を 内々に合意し、基本協定等を締結(・公表)するまでの フェーズ フェーズ2 設計・開発 • 基本協定等に基づき、体制を組成し、共同講座の具体的 な内容や実施⽅法等を設計・開発するフェーズ (運営開始の直前まで) フェーズ3 運営・改善 • 共同講座を実際に運⽤し、内容を改善していくフェーズ 16

18.

3 3.各論点への⽰唆 基本合意フェーズでは、社内/学内理解を獲得することや、そもそも“慣れていない” ことが主なボトルネック。これにより基本合意までに1年程度を要することもある。 基本合意フェーズでの主な悩み(ボトルネック) ボトルネック1: 共同講座の開設について、社内や学内の理解が進まない • 共同講座を実施することについて経営層や現場の理解が進まず、企 画検討が進まない • 連携先となる⾼等教育機関において、特に教員による認知度や機 運醸成が進まない ボトルネック2: ⼈材育成分野における産学連携に慣れておらず、進め⽅が わからない • そもそも連携形態をどのように設定すればいいかわからない • 基本協定をどこまで書き込めばいいのかわからない • 意思決定、事務⼿続きの進み⽅やスピード感が企業と⾼等教育機 関と全く異なり、⼿続きが遅々として進まない プロセス フェーズ1 基本合意 ボトルネックを乗り越えるための⽅策(例) 経営トップからくり返し発信してもらう • 共同講座をなぜ実施しようとしているのか、経営トップから社内に対し てくり返し発信してもらい、推進⼒を維持する “⼤義”を明⽰する • 共同講座開設の主要⽬的に、例えば「社会貢献/地域貢献」を含め るなど、社内事情だけに限定されないような “⼤義” を明確に⽰す 好事例の参照 • 政策的には、当⾯は本報告書を公表するとともに、将来的には ガイドライン等を作成することも⼀案と考えられる 17

19.

3 3.各論点への⽰唆 設計・開発フェーズにおいて、企業側の担当者は、主要ステークホルダー3者との 意⾒調整をしつつ、共同講座の具体的な内容を詰めていく必要がある。 プロセス フェーズ2 設計・開発 企業側の担当者のステークホルダーと悩み(ボトルネック) 経営層・ 経営⽅針把握、すり合わせ、 本社機構 ⼈事・法務等との調整 企業側担当者の悩み① 経営層・本社機構との調整: • 経営層の理解がなかなか得られない • ⼈事・法務との調整に時間と⼯数 が取られる 現場 (受講者) 企業側担当者の悩み② 現場ニーズの把握: • 現場のニーズが把握しきれない • 「育成したい⼈材像」として取りまと めきれない ⼈材育成ニーズの把握 企業側 共同講座 担当者 ニーズとシーズの すり合わせ (既存カリキュラム のカスタマイズ等) ⾼等教育機関側 窓⼝・担当教員 企業側担当者の悩み③ ⾼等教育機関との調整: • 意思決定、事務⼿続きの進み⽅や スピード感が企業と全く異なる • 教員が忙しすぎて、講座について深 く協議できない • ⼤学のカリキュラム案へのカウンター 提案ができない(そのまま受け⼊れ てしまう) 18

20.

3 3.各論点への⽰唆 社内体制を充実させることが最も重要。その上で現場の⼈材育成ニーズを把握し、 ⾼等教育機関との協議の場を⼗分にセットすることが成功へのカギとなる。 企業側担当者の悩み (ボトルネック) ②現場ニーズの把握 ③⾼等教育機関 との調整 フェーズ2 設計・開発 共同講座の設計・開発に係るボトルネックを乗り越えるための⽅策(例) 経営層のチーム参画 ①経営層・本社機構 との調整 プロセス 社内体制の 充実化 現場の⼈材育成 ニーズの把握、 ゴールセッティング ⾼等教育機関 と協議する場や 時間の確保・増強、 アサインの⼯夫 現場部⾨のチーム参画 • 経営層の協⼒を得て、経営⽅針として⽰してもらうことで、社内調整をス ムーズに進める。経営層向けプログラムを作成し受講してもらうことも⼀案 • ⼈材育成ニーズを随時把握するとともに、現場との意⾒調整を任せる エース級⼈材の任⽤ • 講座の企画だけでなく、社内外の意⾒を取りまとめられるだけのエース級 ⼈材を共同講座担当者に置く 様々な⼿段を⽤いた 現場ニーズ把握 • 現場へのヒアリング・アンケート調査、⼤学担当者・教員を伴った現場視 察や現場との意⾒交換、模擬講義の実施など、様々な⼿段を⽤いて現 場の⼈材育成ニーズ・課題を把握する ⻑期・短期のゴール設定 • 上記の調査結果に基づき、「育成したい⼈材像」(⻑期・短期のゴー ル)を具体的に書き下す 合同ミーティングの定期開催 • 定期的な場をセットし、共同講座の内容を具体的に協議する時間を確 保する 研究室訪問等の継続 • ミーティングだけでなく研究室訪問等を継続的に実施するなど、意⾒交換 できる場を各種⽤意する 授業担当教員のチーム参画 • 授業等を担当する教員も参画し、授業内容等を具体的に議論する (コーディネーターのみが参画するよりも効果的、効率的に進められる) 19

21.

3 3.各論点への⽰唆 運営・改善フェーズで直⾯する課題は、①受講者/修了者の数などの「アウトプット」、 ②学びによってもたらされる成果である「アウトカム」を⾼めるものに⼤別される。 プロセス フェーズ3 運営・改善 共同講座を運営する上で企業が直⾯する状況・問題 社会⼈と学⽣の双⽅に合わせた双⽅に合わせた⽇程調整に苦労 1 幅広い属性の対象者に告知・募集を⾏う適切な⼿段(媒体)がない 告知・募集 各種調整 受講しやすくする (アウトプットを⾼める) ための課題 プログラムのレベル設定内容の設定に苦労 1-4⽉は⼤学が多忙のため、準備に係る負担が企業側に偏る ※受講者数・修了者数 等を増やす 実習を適切に運営するための⼈員確保・調整に苦労 出席率が低い 受講者のモチベーションが低い プログラム実施 参加者同⼠の議論が盛り上がらない 講義のレベル・フォーマットが講師によって異なる 講義内容にアカデミアの内容を⼗分に取⼊れられていない 参加者の理解度に差がみられる 成果の 確認・改善 2 学びの成果を最⼤化する (アウトカムを⾼める) ための課題 ※理解度等を⾼め、受講後の⾏動変容 (現場での実践等)を増やす 現場実践など受講の⾏動変容に繋がらない 経営層など社内に対するプログラム成果の説明に苦労 20

22.

3 3.各論点への⽰唆(仮説) 学びのアウトプット/アウトカムを⾼める⽅法は、複数を組み合わせて実施されている。 学びのアウトプット/アウトカムを⾼める⽅法(分類) 1 受講の効率化 ※受講者数・修了者数 等を増やす オンラインやデジタル技術 の活⽤ 業務調整 受講負担の軽減 ⾦銭的援助 社内理解の醸成 2 学びの成果を最⼤化する (アウトカムを⾼める) ※理解度等を⾼め、受講後の ⾏動変容(現場での実践 等)を増やす 経営層・管理職層の 巻き込み テスト等による 理解度の確認 内容理解の促進 ⾏動変容に向けた モチベーションの向上 フェーズ3 運営・改善 取組み事例 スケジュール調整 受講しやすくする (アウトプットを⾼める) プロセス • 任意のタイミングで⾒られるように授業をオンライン配信 • ラーニングマネジメントシステムへの各種集約 • スケジュールの早期確定、社会⼈が受講しやすい時間帯で開講 • 学⽣のカリキュラムを考慮したスケジュール設定 • 通常業務の⼀環として認める(業務時間内の受講) • 部署・上司と協⼒した業務量の調整 • 受講料の値引きまたは無償化(⾃社社員や連携先学⽣以外 の受講者に対して) • 社内の経営層・管理職層に意義や有⽤性を説明 • 経営層を受講対象に含めて、全社的な機運を醸成 • 毎週レポート提出を課す • 理解度テストやアンケートを⾏い、授業内容に反映 カリキュラムの⼯夫 • 講座のゴール設定やアウトプットを明確にする • リアル体験を取⼊れるなど、学びの効果を⾼める 伴⾛⽀援の実施 • オフィスアワーや相談会を実施し、受講者への助⾔や個別学習 等を提供(実践に向けた助⾔・サポートも含む) 学習者コミュニティの形成・ 学びの共有 • 受講者の定期会議をセットし、学んだことの活⽤⽅法を議論 • SNS上にグループを作り、受講者同⼠の交流を促進 学んだことの ⾒える化・承認 • 修了証の発⾏ • 受講者の集まりに上司が出席し、ポジティブなコメントを述べる • 受講成績や受講内容等を処遇・配置・アサイン等に反映 21

23.

4 3.各論点への⽰唆 政策 本補助事業について、補助範囲や認知度、期間、⼿続きへの改善要望があった。 また、事業⾃体や成果について、より認知度を⾼めてほしいとの意⾒もあった。 主な改善要望 具体的な意⾒ 補助率を上げてほしい 補助範囲の拡⼤ 補助対象費⽬を増やしてほしい 公募スケジュールや 事業期間の緩和 ⼿続きの簡略化 本補助事業の 認知度向上 公募期間が短い 事業期間を延ばしてほしい 申請書類の簡略化 公募情報をより広く周知してほしい 成果を周知してほしい • 何らかの条件を満たす場合には補助率が上がる等の対応をしてほしい • 講師への報酬インセンティブが与えやすい制度だと、授業を依頼しやすい • 学⽣の出張旅費や間接費・⼈件費(バックオフィススタッフの費⽤)を対象にできないか • 事業の公⽰から締切までの期間が短く、もう少し余裕があるとありがたい • ⼈材育成を短期間で⾏うのは厳しく、単年度では成果を測定しにくい • ステージゲート⽅式等を取⼊れつつ、数年単位で取組めると、⼈事考課への反映等も考 えやすくなる • 提出する書類や証憑類を削減できないか • 特に地⽅の中⼩企業に、本補助事業についてもっと周知してはどうか • 企業だけでなく、⼤学のブランドづくりという観点からも、共同講座の成果について強⼒に プロモーションしてはどうか 22

24.

4 3.各論点への⽰唆 政策 共同講座の拡⼤に向けて、以下のような施策が考えられる。 共同講座に係る政策の⽅向性 共同講座の 数を増やす 共同講座の 質を上げる 共同講座の 種類を増やす 考えられる施策(案) 補助事業の ⾒直し • 事業への申請・参加に係る⼿続き・事務負担等を軽減する ことで、参加企業が増えることが期待される • 事業期間に対する要望も多く、期間を⻑くすることで多様な 取組を引き出せる可能性がある 企業と⾼等教育 機関の接点創出 の⽀援 • 現時点では偶発的な接点が共同講座開設の起点となるこ とが多い。共同講座の拡⼤には接点の発⾒・創出をサポート することが必要 • 具体的には、共同研究だけでなく、共同講座(⼈材育 成)にフォーカスを当てたネットワーク創出を⽬的とした企 業・⾼等教育機関プラットフォームの整備が考えられる ノウハウや情報の 共有・標準化 • 共同講座の事例はまだ多くなく、ノウハウ・情報提供を求め る要望が多い 具体的には、プロセスを整理したガイドラインの作成が挙げら れる • 事務⼿続き⾯のサポートとして、⼤学-企業間の契約書・協 定書の事例や雛型等を整理することも⼀案 共同講座の周知・ 認知度向上 • 国の事業に参加したことで、“お墨付き”を得たような形でス ムーズに講座を実施できたという意⾒があった • 本補助事業の成果をより積極的に広めることで、企業・⾼等 教育機関が共同講座をより設置しやすくなる(受講者が集 まる、社内・学内で賛同を得られる等)可能性がある • 多くの企業・⾼等教育機関が共 同講座に取組んでいる状態 • 受講者の学習成果が⾼い状態 • 共同講座の受講者が企業の 競争⼒や成⻑に貢献している状 態 • 特定の分野に限らず、⽂系・理系 の様々な分野で共同講座が実施 されている状態 23

25.

1 調査概要 2 共同講座の促進に係る主要論点 3 各論点への⽰唆 4 本補助事業における取組み事例 24

26.

4.本補助事業における取組み事例 掲載事例⼀覧 クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学 株式会社コミュニティメディア × ⻑崎⼤学 シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院 株式会社プライムスタイル × 早稲⽥⼤学 25

27.

クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学 26

28.

クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学|レジリエントクラウド共同講座 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⽇本のDX推進において特に重要なクラウド技術者を 和歌⼭から輩出したいという⽬的の下、⾃然災害が多 い和歌⼭県という地域性から、DXを推進する上で防 災に重点をおいたクラウド基盤の構築が重要と考え、 クラウド技術の中でも本講座のテーマである「レジリエン トクラウド」の分野にフォーカスした 和歌⼭⼤学 システム⼯学部 クオリティソフト 株式会社 特任助教 (コーディネーター) 産学連携担当 教授 ⾼等学校 (専任教員) 企画・統括 ⾼等学校 ⾃社社員 クラウド開発・運⽤業務に必要な基礎知識を学びレジ リエントクラウドの開発とDXの実現に貢献する 協⼒教員 1〜2名 ⾃社社員以 外の社会⼈ DXの実現にはレジリエントクラウドが重要であることを 理解し、それを実現する優秀なIT⼈材が不⾜している ことを認識する 連携⾼等教育 機関の学⽣等 クラウド基盤に関する講義と実習により、レジリエントク ラウドに関する知識を⾝につける ⾃社社員 レジリエントクラウドの開発推進において、年齢問わず 事業推進リーダーとして周りを牽引できる⼈材を育成 ⾃社社員以 外の社会⼈ 社会⼈に気づきを与え、⾃らレジリエントクラウドを学び、 企業の中でクラウドによるDXに貢献できる⼈材を育成 連携⾼等教育 機関の学⽣等 5年以内にDXで需要が⾼いクラウド技術⼈材として和 歌⼭のDXを発展・牽引する⼈材を育成 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い ⼈ 材 育 成 ⽬ 標 ( 今 年 度 ⁚ ⼈ 材 育 成 ⽬ 標 ( ⻑ 期 ⁚ 連携体制 上記の⽬標に向けて 特に重要なプログラム (講義、実習等) より深く実践的な知識を⾝につけることを⽬的として、 ⾃社の技術者の指導により実際に⼤学内にクラウド基 盤を設計・構築する実習を⾏う 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 受講者 和歌⼭県 産業技術政策課 外部の社会⼈・学⽣への イベント告知と集客 社員選定 システム⼯学部⽣(5名程度) 県と共同し、外部の 社会⼈や学⽣に向 けてオープン講義を 開催 技術者 (実習⽀援) 2〜4名 客員教授 学⽣選定 和歌⼭県共催 社会⼈派遣⽣(10名程度) 外部の社会⼈・学⽣ レジリエントクラウド共同講座のオープン講義イベント開催(40名以上) 受講・修了者数等 属性 申込者数 受講者数 修了者数 ⾃社社員 15 14 14 ⾃社社員以外の社会⼈ 0 0 0 連携⾼等教育機関の学⽣等 7 5 5 その他 0 0 0 募集対象:①開発者であること、②⾮管理者であり25歳以下であること、③本⼈の参加 希望意思があることの3つの基準で募集、④開発スキルシートのスコアをもとに開発部⾨責 任者の推薦により選定した。結果的には申込者全員が受講者となった。学⽣は、⼤学側の 推薦による 受講者数:⾃社社員が1名減少しているのは退職者が発⽣したため。その後の補充は⾏っ ていない 27

29.

クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学|レジリエントクラウド共同講座 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 2019年2⽉に⾃社本社で実施したイベントをきっかけに⼤ 学側と交流が始まり、2021年3⽉にスタートした補助⾦事 業でも協⼒するなど、徐々に⼤学との関係性を構築し、今 年から和歌⼭⼤学との共同講座開設の検討を開始した 連携の狙い・利点 (企業側) 若い世代のクラウド⼈材育成の為には地元の⾼等教育機 関との連携が必須であり、さらに今回の講義実習は最先 端技術を含むものであり、外注や他の企業との連携は困 難であると考えた 連携の狙い・利点 (⾼等教育機関 側) 開発実習では、実際の機器を使ってクラウド基盤の構築を 最初から実践。実際の機器を使ってクラウド知識を学ぶ機 会は⼤学の講義だけでは難しく、学⽣にとっては貴重な体 験になっている プログラム内容の 検討・決定⽅法 企業と⾼等教育機関間の会議を⾏い、座学に加えてクラ ウドの基礎基盤の構築技術の実習を組込み、クラウドの オーケストレーション、ティプロイまで⼀連の学習を⽬的とした 連携に係る課題 等 課題: • 実習を⾏うにあたり、機材の⼿配や設置場所等につい て⾼等教育機関側との調整に時間を要した • 受講者は企業研修以上に条件を絞り込み揃えている が、どうしても受講者の技術スキルに差が出てしまう。全 体を持ち上げるためには、今回の定められた実施期間 では短い 対応策: • 受講者のレベルに応じて複数の講義を⽤意 • 共同講座の講義とは別に、受講者には別途、基礎知 識向上のための研修を⾏い、全体的な基礎知識のレ ベル向上を図った 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 成果、今後の展望 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 達成状況: • 開発実習において実際の機器を使⽤したクラウド基盤 構築を実践したことで、知識習得のスピードが向上 • 受講者同⼠の交流イベント等で学⽣と社会⼈とのコ ミュニケーションが進み、実社会での技術知識が向上 • 受講者⾃らが社内にクラウド基盤の構築を実践 評価⽅法: 毎週テーマを設定しレポート提出を義務化。さらに技術責 任者とのミーティングを通じて成⻑度と課題を明確にし、解 決に向けたアドバイスと受講者の評価を実施 その他の波及効果 (社内の⾮受講 ⽣/学⽣/地域/そ の他) • 受講内容について成果発表をする機会を設置 • 受講者以外の社員の受講希望があり、別途社内の勉 強会を実施 • 共同講座の設置を機に⼤学と包括連携協定を締結 • 公開イベントの実施に際して、地域団体や⼤⼿企業と の連携強化が進んだ 受講者からのフィー ドバック内容、 観測された⾏動変 容 課題に対して積極的に取組み、成果が出ているほか、イベ ントで発表する新しいクラウド基盤技術についても受講者 が中⼼となって開発を進めており、当初期待した、⾃らが 考え⾏動できるリーダー育成が着実に達成されつつある ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 • ⼀定以上の成⻑が認められた社員については、配置 転換し、⾼度なスキル習得を会社として⽀援 • 技術スペシャリストに対する評価制度を新たに設置し、 継続してスキル向上に取組むモチベーション維持を⽀援 • 採⽤⾯では今回の実績を会社説明会等のイベント紹 介することで新卒採⽤の促進に繋げたい 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 前項の1点⽬・2点⽬を実践する予定 28

30.

クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学|レジリエントクラウド共同講座 主な講義の内容 No. 1 2 3 4 5 6 7 ⽇程 実施時間 講義名 概要 講師 受講⽅法 10⽉ 8時間 ✕1回 開発実習 クラウド基盤の機材組⽴準備 クオリティソフト ⻑⾕川 堯⼀ 対⾯ 10⽉ 1.5時間 ✕1回 座学講義 クラウドコンピューティングの基礎知識 和歌⼭⼤学 満⽥ 成紀 オンライン 11⽉ 8時間 ✕2回 開発実習 クラウド基盤の構築実習 クオリティソフト ⻑⾕川 堯⼀ 対⾯ 11⽉ 1.5時間 ✕2回 座学講義 仮想化技術とコンテナ技術 クラウドネイティブのシステム設計 和歌⼭⼤学 満⽥ 成紀 オンライン 12⽉ 8時間 ✕2回 開発実習 クラウド基盤の構築実習 クオリティソフト ⻑⾕川 堯⼀ 対⾯ 12⽉ 1.5時間 ✕2回 座学講義 分散システムとレジリエンス レジリエントクラウド基盤の構築 和歌⼭⼤学 満⽥ 成紀 オンライン 1⽉ 8時間 ✕1回 開発実習 クラウド基盤の構築実習 クオリティソフト ⻑⾕川 堯⼀ 対⾯ 4時間 ✕1回 共同講座メンバーに加えて県内企業・社会⼈・学⽣の参加者約 100⼈を対象に、共同講座の研究成果を発表する公開講義を和 オープン講義イベント 歌⼭城ホールにて実施した。本イベントでは、国内外でグローバルに 活躍するクラウド技術者による最新動向に関する基調講演や、⼤ ⼿企業の技術責任者による防災クラウドの講義を実施した。 クオリティソフト ⻑⾕川 堯⼀ 和歌⼭⼤学 満⽥ 成紀 他外部講師 対⾯ 8 2⽉ 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 29

31.

クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学|レジリエントクラウド共同講座 講義以外のプログラムの内容 No. 名称/類型 概要 1 ⼈材交流(和歌⼭ ⼤学) 2 ⼈材交流(⽩浜) 実施時間 企業の役割 ⾃社社員の受講者が和歌⼭⼤学を訪問し、学 学部⽣ 内⾒学ののち、特別講義を⾏う。その後グループ ⼤学院⽣ ディスカッションを実施した。その後は、軽⾷で懇 ⾃社社員 親会を実施した。 講義 2時間 懇親会 2時間 特別講義資料の作成、 ⼤学内⾒学のアテンド クラウド基盤のデモンスト レーション 和歌⼭⼤学の学⽣(受講者)が⽩浜本社に 学部⽣ 来社し社内⾒学、ドローン操縦体験を⾏ったのち、⼤学院⽣ 講義を⾏った。その後は、軽⾷で懇親会を実施 ⾃社社員 した。 講義 2時間 懇親会 2時間 本社内⾒学のアテンド ドローン体験会の実施 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 対象者 ⾼等教育機関の役割 講義資料の作成及び実 施 30

32.

クオリティソフト株式会社 × 和歌⼭⼤学|レジリエントクラウド共同講座 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 地域課題・経営課題に基づいたプログラム設計: ⼈事への反映によるアウトカムの最⼤化: 地域課題と経営課題の双⽅に紐づいたテーマ設定とすること で、企業・⼤学・⾃治体間での密な連携を実現 成⻑が⾒られた社員に配置転換・業務の⾒直しを実施。 若⼿の成⻑を促す取組として、新卒採⽤への活⽤も検討 • 主にクラウド基盤・サービスを中⼼にビジネスを展開するクオリティソフトでは、 エンジニアの育成が経営課題として⽇常的に挙げられている。そこで、経 営上の問題意識に基づき、CTOも主体的に関わり本プログラムを設計し た。 • 受講者の定常開発業務を⼤きく削減し講座受講に注⼒させ、毎週テー マを設定しレポート提出を義務付けた。提出されたレポートをもとに、技術 責任者が直接1on1でミーティングを実施することにより成⻑確認と課題の 明確化、解決の⽷⼝のアドバイス、受講者の評価をした。 • ⾃然災害が多いという和歌⼭県の特性に鑑み、DXを推進する上で防災 に重点を置いたクラウド基盤の構築が重要と考え、⼈材育成テーマを「レ ジリエントクラウド」に設定。地域のDX推進を進めることに使命を置く和歌 ⼭⼤学とも同様の課題意識を共有しながら進めた。 • 短期間の共同講座ではあるが課題を捉える⼒や、先⾏事例等を参考に 解決⽅法を提案する⼒など⾶躍的な成⻑が伺えた。 • 教育プログラムにおける各講義・演習の内容に関しては、企業側の期待・ 要望や⼤学側が持つ教育リソースについて、⼤枠から細部に向かって繰り 返し意⾒交換の場を持つことで、テーマに対して適切と⾔える内容を作り 込んでいった。 • 地域課題の解決を⽬指したテーマとすることで県との共催を実現した。ま た、県との共催という体制により、オープンイベントにおける幅広い社会⼈・ 学⽣への広報・周知に成功した。 出所)事業者への聞き取り調査、書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • 本プログラムを通じて著しく成⻑した社員は、2023年4⽉よりR&D部⾨へ 配置転換し、技術者としてさらにスキルアップさせる予定。同部⾨に35歳 以下の社員が配置されることは初めてのこと(本事業の対象社員は25 歳以下)。 • 全社として、開発者・技術者の評価や社内の⼈員体制も今後⾒直す。 技術者がマネジメントに時間を割かずに開発に専念できる組織とし、成果 に応じた評価制度も整備予定。 • 本プログラムにおいて、優秀な⼈材を短期間で育成することができたことを 踏まえ、新卒採⽤向けの⽬⽟となる取組としても活⽤・アピールすることも 検討。 31

33.

株式会社コミュニティメディア× ⻑崎⼤学 32

34.

株式会社コミュニティメディア× ⻑崎⼤学| 海洋デジタルツイン構築講座 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い ⼈ (材 今育 年成 度⽬ ⁚標 ⼈ (材 ⻑育 期成 ⁚⽬ 標 ⾃社の地域情報化事業、⼈材育成事業などを視察 した⻑崎⼤学から、⻑崎県対⾺をはじめとする離島海 域で⾏っている海中ドローンなどのロボットを活⽤した調 査・研究活動において、⾃社のコンテンツ制作及びシス テム開発の技術を評価し連携したいとの申し出を受け た。これにより、⾃社が以前より取組んでいたデジタルツ イン関連技術が、今後の社会⼈教育や海洋研究分 野において有益であると判断した ⾃社社員 習得した技術と知識を多様な産業分野での提案に活 ⽤できるようにする ⾃社社員以 外の社会⼈ 習得した技術と知識を活⽤し、所属する企業の産業 分野での提案に活⽤できるようにする 連携⾼等教育 機関の学⽣等 習得した技術と知識を活⽤し、所属する研究・教育 機関の分野での活⽤をイメージできるようになる ⾃社社員 習得した技術と知識を活⽤し、様々な産業分野での ビジネスを創造できる⼈材となる ⾃社社員以 外の社会⼈ 習得した技術と知識を活⽤し、所属する企業の産業 分野でのビジネスの⾰新に貢献できる⼈材となる 連携⾼等教育 機関の学⽣等 習得した技術と知識を活⽤し、所属する研究・教育 機関の研究分野で研究成果の可視化や研究そのも のの⾼度化に寄与する⼈材となる 上記の⽬標に向けて 特に重要なプログラム (講義、実習等) 概念の理解を⽬的として概論から始まる講義、及び実 際に体験する実習・演習並びにフィールドワーク 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 連携体制 ⻑崎⼤学 ⼯学部/海洋未来イノベーション機構 株式会社コミュニティメディア 副学⻑ 産学連携統括・講師 研究開発推進機構 ⾼等学校 機構⻑特別補佐 ⻑崎⼤学 ⾼等学校 連携研究員・講師 企画運営・講師 ü⽣徒募集・選定 受講者 ü社内公募・選定 ⻑崎⼤学 学部・院⽣ 社会⼈派遣⽣ 社会⼈公募⽣ 受講・修了者数等 属性 申込者数 受講者数* 修了者数 ⾃社社員 6 6 6 ⾃社社員以外の社会⼈ 10 10 10 連携⾼等教育機関の学⽣等 5 5 5 その他** 4 4 4 * 特段の選抜を⾏っていないため、申込数=受講数となっている。 **連携⾼等教育機関の研究者・職員をカウント。 33

35.

株式会社コミュニティメディア× ⻑崎⼤学| 海洋デジタルツイン構築講座 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連携の狙い・利点 (企業側) 2020年12⽉より、⾃社社員を⻑崎⼤学海洋未来イノ ベーション機構の連携研究員として配置。2022年4⽉より、 ⻑崎⼤学内に⻑崎⼤学オープンイノベーション・カーボン ニュートラル研究教育拠点を開設した。この拠点を活⽤して デジタルツイン技術を活⽤できる⼈材を育成したいと相談 を持ち掛けたことがきっかけ ⾃社で⾏っている⼈材育成事業を、⻑崎⼤学オープンイノ ベーション・カーボンニュートラル研究教育拠点及びその他の 企業へ展開すること 成果、今後の展望 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 講座最終回では、受講⽣全員が、各⾃が制作したデジタ ルツイン構築の成果を発表した。これにより、初⼼者も含め て、本講座が⽬標としていた専⾨的な知識とスキルを習得 したと評価している その他の波及効果 (社内の⾮受講 ⽣/学⽣/地域/そ の他) ⻑崎⼤学内で本事業の講義が話題となり参加者以外の 学⽣が⾒学に訪れたことや、地元のケーブルテレビのニュー スに取上げられたことによって、⾃社の取組に対する認知が 広がった 講座最終回の成果発表では、講座を通じて習得した技 術を、受講者が⾃⾝の研究活動や事業活動にどのように 活⽤できるか、講師に対して提案を⾏った。これまでデジタ ルツインの概念を知らなかった受講⽣も、⾃らの研究・事業 課題に対し、これらの技術を適⽤し問題解決をしようとする 積極的な⾏動や姿勢が⾒られた 連携の狙い・利点 (⾼等教育機関 側) 共同講座で学んだデジタル技術を活⽤し、学⽣や研究者 における学習・研究⼿法のスキルを向上させること 受講者からのフィー ドバック内容、 観測された⾏動変 容 プログラム内容の 検討・決定⽅法 ⾃社と⻑崎⼤学でプロジェクトチームを⽴ち上げ、合同の 会議を⽉1回程度開催した。⾃社が取組む新技術をベー スに、⻑崎⼤学の研究及び受講対象者のニーズに合わせ てプログラムを作成した ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 参加した⾃社社員には昇給等を検討する。また、当該分 野を希望する学⽣の積極的な採⽤も検討する 連携に係る課題 等 ⻑崎⼤学とは以前より連携を⾏っていたため、スムーズに検 討を進めることができた 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 ⾃社社員を対象に、メタバース関連技術の活⽤状況を追 跡調査し、⼈事評価や担当業務、職務給に反映する予 定 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 34

36.

株式会社コミュニティメディア× ⻑崎⼤学| 海洋デジタルツイン構築講座 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 1 11⽉ 3時間×1回 海洋デジタルツイン講 ゲームエンジンを⽤いた超リアルなデジタル表現の活⽤事例を交え、株式 株式会社コミュニティメディア 対⾯ 座概論 会社コミュニティメディアが⻑崎県対⾺市で取組んできた、海洋環境を含 ⽶⽥利⼰ む地形データのデジタルアーカイブデータの活⽤事例、そして⻑崎⼤学⼯ ⽶⽥伊織 学部⼭本研究室の開発する海中ドローン(ROV)や研究成果の活⽤ ⻑崎⼤学 の可能性について学び、デジタルツインの考え⽅を理解する ⼭本邦夫 2 12⽉ 3時間×1回 利⽤技術と制作ワー クフロー 産業におけるデジタルツインの利⽤事例を学び、受講⽣それぞれが考えて 株式会社コミュニティメディア 対⾯ きた海洋デジタルツインの活⽤アイデアを発表。データ構築実習へ向けて ⽶⽥利⼰ の準備として、制作ワークフローを学ぶ ⽶⽥伊織 また、モデリング、3Dスキャン撮影、フォトグラメトリーなどのデータ構築に ⻑崎⼤学 必要な最先端ソフトウェア技術を学び、各受講⽣に⽤意された⾼スペッ ⼭本邦夫 クノートPCを⽤いて設定などデータ構築準備作業を⾏う 3 12⽉ 3時間×1回 データ構築と可視化 受講者が実際にデータ構築⽅法を学ぶ。事前に環境を設定したハイス 株式会社コミュニティメディア 対⾯ ペックノートPCを使って海中環境や対象物を3Dデータ化。講義の後半で ⽶⽥利⼰ は、各⾃構築したデータを発表し、講師からフィードバックを⾏う ⽶⽥伊織 ⻑崎⼤学 ⼭本邦夫 4 1⽉ 3時間×1回 ⻑崎⼤学研究成果と ⼭本副学⻑の海洋技術クラスター構想に向けた、ロボット開発や海洋エ 株式会社コミュニティメディア 対⾯ デジタルツイン構築 ネルギーに関する研究成果について学ぶ。デジタルツイン技術が研究成果 ⽶⽥利⼰ にどのように活⽤されるのかを理解し、講義の後半では第三回で構築した ⽶⽥伊織 データを⽤いて、基本的なデジタルツイン要素の構築演習を⾏う ⻑崎⼤学 ⼭本邦夫 5 1⽉ 3時間×1回 実習フィールドワーク及 フィールドワークを通じて、デジタルツインの活⽤の可能性を検討した。後 株式会社コミュニティメディア 対⾯ び講評会 半では集⼤成として、各⾃制作したデジタルツイン構築の成果発表を ⽶⽥利⼰ ⾏った。 ⽶⽥伊織 また、受講者それぞれのフィールドにおいて、今後の研究活動や事業活動 ⻑崎⼤学 においてどのような活⽤ができるかについて議論した ⼭本邦夫 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 概要 講師 受講⽅法 35

37.

株式会社コミュニティメディア× ⻑崎⼤学| 海洋デジタルツイン構築講座 (参考)講義会場・講義の様⼦ ⻑崎会場 @⻑崎⼤学 対⾺サテライト会場 @デジタルハリウッドスタジオ対⾺ 最終講義・成果発表会会場 @出島メディアセンター 会場全体 講義・発表の 様⼦ 出所)事業者にて撮影 36

38.

株式会社コミュニティメディア× ⻑崎⼤学| 海洋デジタルツイン構築講座 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 多様な⼈材との交流: ⼈事への反映による、アウトカム最⼤化の検討: 様々なプレイヤーを巻き込み、視野の拡⼤や将来の事業展 開に向けたヒントを獲得 成⻑が⾒られた社員の昇給を検討。また、若⼿の成⻑を促 す取組として、新卒採⽤への活⽤も検討 • ⻑崎地域においてデジタルツイン関連技術を有する企業を増やし、⾃社の ビジネス拡⼤やビジネスパートナーの集積に繋げる⽬的で幅広に公募を ⾏った。 • 具体的には、⾃社社員及び⻑崎⼤学の研究者・学⽣に加え、業種に関 わらず⼀般に広く公募を⾏い、教員やコンサルタントといった様々な⼈材 が受講した。 • ⼀般応募者からは講座計画に参考になる意⾒が出るなど、活発な⼈材 交流や意⾒交換が⾏われた。 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • 受講者の積極的なリスキリングへの取組みと成果を評価して、昇給等を 検討している。 ü なお、本事業実施時点においても、社員育成の⼀環として、動画 編集技術やWeb構築技術等に関する⾃⼰啓発を推奨しており、 受講費⽤等の⽀援も⾏っている。 • 取得した技術について、活⽤状況を今後追跡調査し、⼈事評価や業務 配置、職務給への反映を検討する予定。 • デジタルツイン関連技術に関⼼のある学⽣の積極的な採⽤も検討してい る。 37

39.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 38

40.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 | デジタル⼈材育成共同研究講座 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い ⼈ (材 今育 年成 度⽬ ⁚標 ⼈ (材 ⻑育 期成 ⁚⽬ 標 ⾃社社員 デジタル技術は進化し、そのような技術を使って活⽤で きる様々な情報が社内にはある。しかし、デジタル技術 を活⽤できる技術者が不⾜しているためにその活⽤は 進んでいない。社外⼈材の採⽤も困難なため、⾃社で 育成することが急務と認識した。2019年より包括連携 協定を結び相互⼈材育成や共同研究を⾏ってきた信 州⼤学⼯学部は、デジタル⼈材に必要なデータサイエ ンス(以下、DS)や制御技術など様々な先端技術 を有する。そこで、同校の強みを活⽤し、デジタル⼈材 を育成に取組むことを⽬指した 既に学んだDSや最新の技術が実社会でどのようなとこ ろに使われるのかを理解する ⾃社社員 3〜5年以内に、受講⽣の5〜10%程度が、基礎レベ ルのDS教育を受けた後に、DSの発展レベルを⾝につけ、 実務の中で学んだ技術を使って解決⽅法を考えられる ようになる 上記の⽬標に向けて 特に重要なプログラム (講義、実習等) シナノケンシの開発部⾨と⼈事部⾨、及び信州⼤学が連携した。 信州⼤学⼯学部 責任教員 教授 卒業し社会に出て3年以内に、DSに関わる業務のサ ポート、可能であれば担当までできるようになる ⾃社社員にとっては、できるだけ多くの社員がDSの基 礎を学ぶことが重要である。⼀⽅で、学⽣にとっては、 座学の後にシナノケンシと共に⾏う発展課題への取組 みが重要である 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 担当教員(特定雇⽤) 准教授 シナノケンシ(株) (ASPINA) 担当教員(特任) 特任助教 常務 (総責任者) 協⼒教員 (専任教員) DSに関して学ぶことで、それらの技術で実現できること を把握し、社内の課題を⾒つけられるようになる 連携⾼等教育 機関の学⽣等 連携⾼等教育 機関の学⽣等 連携体制 教授 教授 教授 准教授 准教授 助教 総務本部 副本部⻑ 開発技術本部 副本部⻑ (企画/統括) 総務本部⼈事課 課⻑ (社内企画) 相互教育 受講者 信州⼤学⼯学部学⽣ シナノケンシ(株)社員 受講・修了者数等 属性 申込者数 受講者数* 修了者数 ⾃社社員 70 70 69 ⾃社社員以外の社会⼈ 0 0 0 連携⾼等教育機関の学⽣等 2 2 2 その他 0 0 0 * 特段の選抜を⾏っていないため、申込数=受講数となっている。 39

41.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 | デジタル⼈材育成共同研究講座 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 新しい技術の開発及び相互の⼈材育成を⽬的に、開発 部⾨が主体となって2019年に信州⼤学⼯学部と包括連 携協定を結び、複数の共同研究を開始した。その後、社 内でデジタル⼈材の必要性について話が挙がるようになった ことを踏まえ、開発部⾨・⼈事部⾨が主体となり、これまで の取組みを更に発展させ、デジタル⼈材の育成に取組む 検討を開始した 連携の狙い・利点 (企業側) 包括連携協定などの既存の枠組みにおいて、相互に⼈材 育成を⾏う基盤を有していたため 連携の狙い・利点 (⾼等教育機関 側) ⾼等教育機関が保有する技術やノウハウを知ってもらうこと ができるため、研究費の獲得に係る繋がりができる。また、 実社会における専⾨技術の活⽤状況等を知ることにより、 学⽣の学習意欲向上に繋がる プログラム内容の 検討・決定⽅法 包括連携協定、共同研究、相互の⼈材育成を⽬的に実 施されていた講義などを基に、共同研究講座に発展させる ための定期的な意⾒交換を⾏った。⼤学側の教員や事務 ⽅の助⾔や⽀援を貰いながら、企業側が中⼼になって共 同研究講座案を作成した 連携に係る課題 等 ⼤学などの⾼等教育機関は1〜4⽉が多忙である。特に 論⽂対応などは外部への委託も難しく、同期間に企業が 対応してもらうのは難しい。 また、⼤学との連携に関して丁寧に紹介されているコンテン ツがないため、連携の形態を知ることが難しく、共同講座に 関する知識がない状態で⼤学と話を詰めることになる。業 者からの購⼊と違い、⾃分たちで学習プログラムを検討す る必要もあった。⼤学側からの共同講座提案・設置に係る サポートがなければ実現は難しかった 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 成果、今後の展望 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 数年先に成果が出ると考えられるが、講義内容に対して 積極的な質問が⾏われる、業務中に講義内容での解決 策について話がされるなどの社内の変化は感じられた。また、 共同研究に活⽤される事例もあった。 経営層・部⾨⻑クラスまで概論を学んだことにより、今後 のDX強化に向けた意識レベルが全社的に⾼まった。 修了者が実務の中で学習成果を使って業務改善に適⽤ できるレベルまでの到達は⾒られなかった。ただし、デジタル ⼈材育成共同研究講座は元々3年間の計画であり、来 年度以降に実務への適⽤を実現していく予定 その他の波及効果 (社内の⾮受講 ⽣/学⽣/地域/そ の他) 当補助⾦の対象期間外だが、共同講座の活動として⾏ われている、信州⼤学の学⽣向けの授業により、学⽣の⾃ 社への関⼼が⾼まった 受講者からのフィー ドバック内容、 観測された⾏動変 容 通常業務に追われ新しい知識・スキルを⾝につける機会が なく不安であったが、今回の機会が得られて前向きになった。 今後も学びを継続して実務に適⽤し業務を改善したい、と いった前向きな意⾒が多い。 講義の中で実際に⼿を動かせる(実務に近い事例で学べ る)⼯夫があり、学んだことを簡単なモデルで試してみるな ど、新しく学んだことを試そうとする⾏動変容もあった ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 共同講座への受講だけで処遇を決定することは難しいが、 将来的に社内でのDXを推進するリーダー等の役割を設置 するとともに、適切な配置を⾏うこと等を検討している 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 追加調査の予定はあるが、具体的な⽅法は未定 40

42.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 | デジタル⼈材育成共同研究講座 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 講師 受講⽅法 1 11⽉〜2⽉ 2時間×8回 制御⼯学の基礎 現代制御編 現代制御の基本を学び、最適制御を⽤いたオブザーバの考え⽅ を学ぶ。 デジタル制御を学び、マイコンへの実装⼿法を学ぶ。 千⽥有⼀(信 州⼤学 教授) オンライン 2 11⽉〜2⽉ 8時間〜50時 間程度 (オンデマンド のため個⼈差 有り) データエンジニアリ ング概論 1.ビッグデータを有効活⽤する重要性 2.データマイニング・プロセスの流れ 3. AIをプロデュースする,ということ 和﨑克⼰(信 州⼤学 教授) オンライン 3 11⽉〜2⽉ 1.5時間×4回 データエンジニアリ ング概論 経営層向けに実施。 データエンジアリングのスキルを実務で実施する社員を理解し、⽀ 援できるスキルの獲得を⽬指す。 和﨑克⼰(信 州⼤学 教授) 対⾯ 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 41

43.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 | デジタル⼈材育成共同研究講座 講義以外のプログラムの内容 No. 名称/類型 概要 対象者 実施時間 企業の役割 ⾼等教育機関の役割 1 共同研究 偶数⽉に主に対⾯(場合によりオンライン)で 1.5時間ほど研究の進捗を報告し、その内容に ついてディスカッションを⾏う 学部⽣・⼤学院⽣は論⽂発表の練習の場、 あるいは企業の実情を知る場としても活⽤した 教授 学部⽣ ⼤学院⽣ ⾃社社員 1.5時間×5回 • 設計・⽣産現場の実情 や困りごとの提供 • 実測データ等の提供 • 相互にwin-winとなるよ うロードマップの策定 • ⾳や振動の測定・分析 ⼿法に関する体系的な 研究活動実施 • 波・信号処理の⼿法等 知⾒の提供 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 42

44.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 | デジタル⼈材育成共同研究講座 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み ⻑期的な⼈材育成⽬標・プランの策定: 段階的に成果を獲得できるようプログラムを設計: 社内で今後必要となる⼈材の育成プランを⻑期的に設定し、 それに基づき初年度(今年度)のプログラムを検討 データサイエンス⼈材育成という⻑期的な成果を⾒据えつつ、 事業への短期的な波及効果も⽬指したプログラムを開発 • DX推進にあたって、データサイエンス⼈材の育成は、⽬の前の課題ではな いものの、将来的に必ず取組むべき課題であり、⻑期的な取組みが必要 との理解に基づき、⼈材育成⽬標・プランを策定した。 (なお⾼等教育機関との連携理由として、このような中⻑期的な課題と の親和性があることが⼀つ上げられる。) • 社内で今後必要となる⼈材を、⼤まかに①データサイエンスの仕組みを作 る⼈材(例:AIプロデューサー)、②データサイエンスを使う⼈材(⼀般 社員)と整理した。 • 初年度となる今年度は、幅広い社員に対して、“広く浅く”となる内容のプ ログラムを受講させた(=②に着⼿)。来年度以降は、適性がある社員 をリーダーとして抜擢していくこと(=①の選定・育成)も⾒据えたプログラ ムを予定している。 • ⼈材像は経営層や⼈事部⾨で仮説を作成し、この仮説に基づいてプログ ラムの設計を進めた。事業部⾨に調査をかけるだけだと、⽬の前の課題を 解決するための要望が多く、将来を⾒据えたニーズは出てきづらい。 • 企業側で⼤まかな⽅向性を共有し、⼤学側が具体的なカリキュラムに落 としこむ形でプログラム内容を検討した。⽅向性を共有する際は、⼤学の 関係者も広く同席していた。 出所)事業者への聞き取り調査、書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • 左記の⼈材、特にリーダー⼈材の育成には数年という時間がかかるため、 ⻑期的な取組みとして社内で位置づく。⼀⽅で、より短期的な成果を得 ることも⽬指してプログラムを設計している。 • 具体的には、データサイエンスについて、⼤きく分けて「制御技術」と「AI」の 2テーマについて講座を実施したところ、「制御技術」については短期的な 成果の獲得を⽬指している。「制御技術」は、社内の技術と親和性が⾼ く、早々に社内の研究開発で活かされることが⾒込まれる。 • ⼀⽅で後者の「AI」については、社内の膨⼤なデータからAIを活⽤して価 値を⽣み出すことを⽬指しているが、「制御技術」と⽐較すると成果獲得 までに⼀定の期間を要すると⾒込まれる。 • このように、短期的な成果を出しつつ⻑期的な成果を狙うことは、社内調 整をより容易にするという利点もある。 • また、今後の展望として、リスキリングを⼈事制度として個⼈の評価と報 酬に繋げていくような仕組みを来期に考え、再来期には制度として確⽴し たいと思っている。利益に結びついていない状況で評価することは、企業と して難しいが、リスキリングへの取組み姿勢に対する評価も検討する予定。 • 最終的に成果が出た場合、リスキリングの結果であることが明確に分かる (因果関係がわかりやすい)仕組みを作りたいとも考えている。 43

45.

シナノケンシ株式会社 × 信州⼤学 | デジタル⼈材育成共同研究講座 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 社内の経営層の巻き込み: ⼤学教員との直接の連携: 重要な経営課題であるとの認識に加えて、まず経営層が受 講することにより、学び直しへの全社的な機運を⾼めた 講義等を担当する教授と直接連携し、打合せを重ねること により、効率的にプログラムを開発・実施 • 元々、経営トップよりデータサイエンス⼈材育成(リカレント・リスキリン グ)が重要な経営課題である旨が⽰されており、本講座の開設にも積極 的であった。 • ⼤学が共同講座にどれくらいリソースを割けるのかどのくらいの質・量のプロ グラムを実現可能か等、プログラム設計に際して⼤学側の状況がわかりに くい点が、企業にとって⼀つのハードルとなる。 • 今回、まずは決裁権限を持つ経営層向けのプログラムを作成・実施した。 ⼤学教授による講座では視座が⾼い議論が⾏われたと感じる。 • 今回は、産学連携担当であり、授業も実施する教授が⼤学側の窓⼝と して対応した。どのような内容のプログラムであれば実現可能性があるか、 どれくらい学内の協⼒が得られるか等の肌感覚を有しているため、効率的 に検討を進めることができた。 • これは、現場の⼈材育成だけ進めるのではなく、経営層の理解度も⾼め ることが、DX推進の両輪として重要との理解に基づく。 以前にこのような研修を現場の技術者のみに⾏っても上層部の理解を得 られず進められないことがあったため、どうすれば社内で最⼤の効果を上げ られるか議論しながら進めたことにより、経営層向けのプログラムが実現で きた。 出所)事業者への聞き取り調査、書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • ⼤学内においてコーディネーターだけを担っている職員は、教員の負担等に ついて詳細を知らなかったり、教員と調整する際に遠慮がちになってしまう ことがありうる。⼤学教員の実情をよく知っている⽴場の者(今回は講座 で授業も実施する教員)がコーディネートも担当したことで、踏み込んだ計 画⽴案や精度の⾼いプログラム設計を迅速に進めることができた。 44

46.

DOWAホールディングス 株式会社× 東北⼤学 45

47.

DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 | DOWA×東北⼤学共創研究所 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い ⼈ 材 育 成 ⽬ 標 ( 今 年 度 ⁚ ⼈ 材 育 成 ⽬ 標 ( ⻑ 期 ⁚ 昨今の材料開発分野においては、効率化や開発ス ピード向上のためDX技術の活⽤が進んでいる。これま での経験に頼った職⼈型素材開発⼿法からDX型素 材開発⼿法への転換が必要とされるものの、社内では デジタル技術の知⾒や、それに使⽤するデータを正確か つ効率的に取得するための計測技術を持ち合わせてい ないといった課題があった。本講座では銅合⾦開発を 通じて、DOWA社員がDX技術を獲得すると共に、学 ⽣が社会⼈となった時の開発スタンスのギャップを緩和 できるような教育の場としても活⽤する ⾃社社員 極薄板の機械的特性の計測技術の構築(標準 化)能⼒を保有し、将来に向けMIを軸としてDX技術 を有効かつ正確に利⽤した材料開発をできる⼈材 連携⾼等教育 機関の学⽣等 銅合⾦開発におけるDOWAからの講義やDOWAでの 実習を通じ、⼤学では学ぶことのできない事業⾯等の 視点を意識させながら、知識や技能を⾝につける ⾃社社員 社内の各開発拠点において、DX技術を活⽤しながら 材料開発分野を牽引する⼈材になる 連携⾼等教育 機関の学⽣等 上記の⽬標に向けて 特に重要なプログラム DX型材料開発⼈材として、企業の即戦⼒となりえる ⼈材になる 企業側からの銅合⾦開発に関する講義および東北⼤ 学からの最新のDX技術に関する講義 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 連携体制 DOWAホールディングス事業開発部と東北⼤学⼤学院⼯学研究科が連携して実施。 東北⼤学⼤学院⼯学研究科 DOWAホールディングス株式会社 教授・研究科⻑ (コーディネータ) 特任教授 (運営総括アドバイザー ・取締役) 教授 (運営⽀援責任者授): 専任教員 特任教授 (運営総括責任者 ・事業開発部⻑) 連携 DOWAメタルテック 磐⽥技術センター (銅合⾦開発拠点) TA 2-3名 (博⼠課程学⽣) 受講・修了者数等 属性 申込者数 受講者数* 修了者数 ⾃社社員 33 33 33 ⾃社社員以外の社会⼈ 0 0 0 211 211 211 8 8 8 連携⾼等教育機関の学⽣等 その他** * 特段の選抜を⾏っていないため、申込数=受講数となっている。 ** 本事業事務局(JISSUI、NRI、METI)の参加者をカウント。 46

48.

DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 | DOWA×東北⼤学共創研究所 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 連携を主導した事業開発部は、⾃社グループの各部⾨の 研究開発推進や横串活動を⽀援する組織で、産学連携 も主要業務の⼀つ。従前より東北⼤学に寄附講座を設 置していたが、将来を⾒据えて研究を⾏う研究組織、社 内研究員の専⾨性を上げ、モチベーションを⾼揚する場の 必要性を感じていたところ、⼤学から共創研究所の紹介を 受けた。⽬指したい⽅向が⼀致していることを確認し、 2021年11⽉に東北⼤の産学連携担当理事より技術・事 業開発管掌取締役に説明があり、設置に向けて⼀気に加 速することができ、2022年4⽉に共同講座を設置した 連携の狙い・利点 (企業側) 社内には⽬標とする⼈材像に求められる技術が無く、かつ 最先端技術であるため、⾼等教育機関との連携が必須。 また、⼤学との連携は社員の専⾨性向上や視野拡⼤に も効果がある。連携を通じ、⾼等教育機関の研究者だか らこそ持つ深い洞察⼒や技術の背景にあるメカニズムにも 気づき、共同研究に発展している 連携の狙い・利点 (⾼等教育機関 側) 学⽣には「産学連携活動の重要性や次世代のニーズ」を 知ってもらうこと、教職員には「企業が抱えている課題を共 有することで次の産学連携活動に繋がる」利点がある プログラム内容の 検討・決定⽅法 講座の企業側・⼤学側メンバーだけでなく、社内ディビジョ ンラボのメンバーにも数回/週の会議に参加してもらい、企 業側のニーズやシーズを⼤学側とも共有したうえで、⽬標を 達成できるようなプログラム内容を決定した 連携に係る課題 等 申請までの時間が短く、担当の⼤学教員との打合せ等の 時間を作るのが難しく、ほとんど就業時間外での打合せと なった。また、⼤学での教育に関して経験が無いこともあり、 教育カリキュラム等を作成するのに苦労した 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 成果、今後の展望 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 社内の管掌開発拠点へのヒアリングにより、⾃社は保有し ていないMI・機械学習技術による材料開発を学び、新た な合⾦開発への興味が⽣まれるという成果を確認した その他の波及効果 (社内の⾮受講 ⽣/学⽣/地域/そ の他) 銅合⾦製造の規模や、企業における開発スピードなど、⼤ 学では得ることのできない学びを与えることで、企業研究の ⾯⽩みを伝え、学⽣の採⽤につなげた。 また、2023年度以降は、DOWA×東北⼤学共創研究所 をベースとした共同研究を通じ、⾃社内の⼈材育成及び 研究開発への応⽤を進めることが決定した 受講者からのフィー ドバック内容、 観測された⾏動変 容 ⾃社社員は、これまで知⾒がなかったMI・機械学習に興 味を持ったことにより、セミナー等への参加が⾃発的となり、 共同研究への関⼼も深まっている。 東北⼤学にとっては、新材料開発におけるMI・機械学習 の重要性を認知し、“⽤途に応じた”最適素材探索の重要 性を知ったとの声が多くあった。また、現場体験型ワーク ショップは、博⼠研究における産学共創の重要性の理解 や学⽣が将来の職業を考える上で、視点の転換をもたら す⾮常に有意義なものであった ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 研究者としての専⾨性の向上や視野が広がることによる 実⼒向上が⾒込まれ、その結果、⾃⾝の研究成果が得ら れれば、本⼈の昇進及び賞与等の処遇向上にも結びつく。 採⽤については、今回を通してMI及び機械学習の重要性 をDOWAが把握したことにより、これらの研究を⾏っている 学⽣の採⽤を進めていく予定 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 直接⼈事評価に反映する予定は無いが、学び直しの重要 性を認識したことにより、社会⼈博⼠取得⽀援制度を社 内に新設した。また、共同講座を通じて研究者としての実 ⼒が向上し、研究成果が得られれば、当⼈の⼈事評価に 結び付くと考えられる 47

49.

DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 | DOWA×東北⼤学共創研究所 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 1 10⽉ 1.5時間×8回 講義名 材料科学⼯学特別 講義 (DOWA共同講 座) 概要 講師 受講⽅法 銅合⾦研究開発の最新動向や将来に向けた 課題、東北⼤学材料系が持つ銅合⾦に関する 素材開発技術やハイスループット技術、次世代 薄板の塑性変形学等に関する講義に加え、MI や機械学習による素材開発の最新動向に関す る講義。銅素材やその技術課題を通して、未来 に向けたDX型素材開発について興味を持っても らい、将来に向けMIを軸としてDX技術を有効か つ正確に利⽤した素材開発をできる⼈材育成 を⽬的としている。 ①佐藤王⾼(DOWAホールディ ングス・事業開発部⻑兼品質 保証部⻑)(東北⼤特任教授 (研究)) ②菅原章(DOWAホールディング ス・取締役)(東北⼤特任教授 (客員)) ③⑤兵藤宏(DOWAメタルテッ ク・⾦属加⼯事業部磐⽥技術 センターリーダー) ④⼤森俊洋(東北⼤学⼤学院 ⼯学研究科・ 准教授) ⑥熊⾕悠(東北⼤学⾦属材料 研究所・教授) ⑦上島伸⽂(東北⼤学⼤学院 ⼯学研究科・ 助教) ⑧⼭本卓也(東北⼤学⼤学院 ⼯学研究科・助教) ハイブリッド ①DOWA 世界に類のない資源循環型ビジネ スモデル ②企業の研究開発例(研究者の役割)⾃動 ⾞⽤銅合⾦材料および量産技術開発 ③スマホ、半導体⽤の合⾦材料と銅合⾦の基 礎 ④状態図に基づく銅合⾦設計およびハイスルー プット測定技術 ⑤銅合⾦の課題とDOWAの技術、開発事例 の紹介 ⑥理論計算を⽤いた材料データベースの構築と そのMIへの利⽤ ⑦材料の塑性破壊の基礎と薄板の塑性変形 挙動 ⑧機械学習の基礎とデータ科学を利⽤した応 ⽤事例 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 48

50.

DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 | DOWA×東北⼤学共創研究所 講義以外のプログラムの内容 No. 名称/類型 概要 1 現場体験型ワーク ショップ • 学⽣は製造現場の⾒学や企業の研究者と 学部⽣ の交流を通じ、⼤学にはない⼯場でのモノ作 ⼤学院⽣ りの体感と企業での試験を体験する。また企 ⾃社社員 業側研究者は講師となることで学⽣へ教える ことによる学び直しをする機会にもなる。 • 具体的な活動は、実際に⼿を動かして銅合 ⾦の薄板を試作し、そのサンプルを⽤いて強 度や導電率等の評価を⾏い板厚や製造条 件による違いから特性向上のメカニズムについ て考察した。最終⽇には発表会を開催し学 ⽣と企業側研究者での意⾒交換を⾏った。 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 対象者 実施時間 企業の役割 ⾼等教育機関の役割 11/21、22、24、 25 (計4⽇間) • 事業所紹介、⼯場 • 銅合⾦の強度向上 ⾒学のアテンド に関する学術的知⾒ • 実験準備、実験の講 の提供 師 49

51.

DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 | DOWA×東北⼤学共創研究所 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 上層部のつながりを活かしたスムーズな意思決定: 検討メンバーの強いコミット: 共同研究等での以前からのつながりに加え、上層部レベルで のつながりという強みが円滑な連携に活きた 双⽅の責任者が講座の企画・運営に集中できる体制を 敷くとともに、専⾨性の⾼いメンバーが検討に参加 • DOWAホールディングスは以前より東北⼤学のいくつかの部局で寄付講 座を設置していた。また、共同研究にも各研究室レベルで多数取組んで きた。 • 寄付講座や共同研究も有益な活動ではあるが、リカレント教育という観 点では⼗分でないことから、東北⼤学と連携して共創研究所を作り、その 中で共同講座を実施することとなった。 • 共同講座の実施にあたっては、東北⼤学との上層部レベルでの繋がりが あるという強みが活かされた。共同講座のきっかけは、この繋がりからもたら された。また、⾃社役員6名のうち1名が共創研究所の経営・アドバイザー を担当しており、意思決定がスムーズであったことから、短期間で講座を実 現できた。 • DOWAホールディングス側の運営責任者はクロスアポイントメントで、東北 ⼤学に⼀定所属していた。また、⾃社の担当者のうち、本プログラムで講 師を務めた社員は、同⼤学⼤学院の特任教授を兼任し、プログラム設計 〜運⽤にコミットした。さらに、⾃社の関係者には博⼠号取得者も多く、 アカデミアの特性を理解しつつ、⼤学・企業のそれぞれの強みを活かしたプ ログラムづくりができた。 • 東北⼤学側の責任者は共創研究所の運営責任者であり、DOWAホー ルディングスへの⽀援に1年間で数百時間コミットするという役割を担ってい た。 • ⾃社の運営責任者と東北⼤学側の責任者を中⼼に、企画・運営のコア メンバーは毎⽇のように議論をし、講座の枠組みを検討した。運営側とし ては、詰めて議論したからこそ良い講座が実現できたのではないか、と感じ ている。 • コアメンバー内での議論の他、東北⼤学内の共同研究先の教授やこうし たプログラムに詳しい教授からもアドバイスを受けた。 出所)事業者への聞き取り調査、書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • 実習の企画は、実際に実習を⾏うDOWAホール委ディングスの技術セン ターの関係者が⾏った。検討にあたっては、週に⼀度のペースで会議を⾏っ た。 50

52.

DOWAホールディングス株式会社 × 東北⼤学 | DOWA×東北⼤学共創研究所 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 現場ニーズと⼤学等のシーズの調査: 現場研究者との⽇常的なコミュニケーション等により、 ⾃社が必要とする技術的ニーズ等を的確に把握 • グループ内の事業会社ごとに技術部⾨がある中で、本プログラムを担当し ているDOWAホールディングスの事業開発部が、横串で現場の技術的ニー ズや課題の解決に結び付きそうなシーズを把握する役割を担っている。 ü 研究上の困りごと、特に外部と連携しなければ解決できない課題や、 現場の研究員が求めているテーマを探索するため、ホールディングス事 業開発部は、グループ内にある各事業会社の技術部⾨と年間60〜 70回程度の⾯談を実施。 ü さらに、同部は専任研究員を設置し、社内の課題を解決できそうな ⼤学等のシーズを発掘するために、論⽂・特許等の公開情報の検索 や学会への参加を通じて、⼤学や研究機関等の研究者(年間約1 万⼈)の調査を実施。 • 上記の取組みによって、現場が必要とする技術を解像度⾼く認識した上 で、成果が出やすいプログラムを設計することが可能となった。 出所)事業者への聞き取り調査、書⾯調査、提出された実績報告書より作成 51

53.

富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院 52

54.

富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院| システム×デザイン思考プログラム(実践リーダー育成コース) 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い 従来型のSI事業からDX企業への転換を⽬指す⾃社 にとって、顧客のRFPに応えるだけでなく、⾃社⾃らが 顧客のビジネスパートナーとして新価値提案を⾏い、顧 客のDXをリードできる企業になることは⼤きな経営課 題であり、そのためのDX⼈材育成の有効な対策として 「システム×デザイン思考」プログラムを導⼊、展開するに ⾄った 連携体制 システム×デザイン思考プログラム 補助事業者:富⼠通 デジタルカレッジ ⾼等教育機関 慶應SDM ⾃社社員 責任者 責任者 教授 統括部⻑ Principal PM ⽅針策定・企画 シニアマネージャー Manager Learning Phase/ Design Phaseのサポート ⼈ (材 ⻑育 期成 ⁚⽬ 標 ⾃社社員 ⾼等学校 責任者 上記の⽬標に向けて 特に重要なプログラム (講義、実習等) 本プログラムを通じて得た新規提案内容を顧客に提案 し、受注に⾄る 本プログラムが狙いとしている「イノベーティブな価値を 狙って⽣み出せる」状態を各部署でリードする⼈材にな る 新価値を創出するために様々なアプローチや⼿法を活 ⽤しながら、思考の流れをデザインする演習 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 Ridgelinez 監修者 ⾼等学校 FLM ⼈ (材 今育 年成 度⽬ ⁚標 Practice Phaseの伴⾛⽀援 ⾼等学校 シニアマネージャー ⾼等学校 サポーター カリキュラム全般 コミュニティ ラボラトリ 企画具体化・実⾏ メンバー2名 マネージャー メンバー メンバー Associate 受講・修了者数等 属性 申込者数 受講者数 修了者数 ⾃社社員* 32 32 32 ⾃社社員以外の社会⼈ 0 0 0 連携⾼等教育機関の学⽣等 0 0 0 その他 0 0 0 * 募集⽅法:本部ごとに定員枠を設定し、本部に依頼した申込者リストへの優先順位に 従って選定を⾏った。 53

55.

富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院| システム×デザイン思考プログラム(実践リーダー育成コース) ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 以前から教授(監修者)に社内講話を依頼するなどの 接点があり、2020年末より本格化したデザイン思考の社 内施策の⼀つとして教授が提唱する「システム×デザイン思 考」プログラムを採⽤したことで現在に⾄る取組みを開始し た 連携の狙い・利点 (企業側) システム思考の要素を取⼊れ、デザイン思考をロジカルに学 べるプログラムは類例がなく、より⾃社に適した⼈材育成が ⾏えると考えた。また、業務を通じた学びでは得にくい考え ⽅やアプローチ、体系的な⽅法論を習得できる 連携の狙い・利点 (⾼等教育機関 側) 企業側の具体的な制約を踏まえた仮説の検証およびプロ グラムのアップデートができる プログラム内容の 検討・決定⽅法 教授(監修者)と毎週定例会を設け、プログラム内容を 検討・合意の上で開催した。授業後も毎回参加者にヒア リングを⾏い、振返りを経て改善を重ねている 連携に係る課題 等 課題: • 顧客への新価値の提案と受注を最終成果としているが、 提案まで⾄らない。また、イノベーティブな思考⼒の向上 がビジネス成果に直結するようにすることが難しい • 講座後の職場実践が時間の経過とともに弱まる傾向 対応策: • 顧客提案活動の⽀援策として、教授に直接相談でき る場やコンサルタントによる⽀援など、伴⾛型のフォロー アップを実施 • コンサルタントが本講座のアプローチを活⽤して商談を⽀ 援し、成功事例を作ることで参加者の動機付けを強化 • 提案や受注に⾄ったケースを取材し、社内報で発信 • 年度末に振返りをし、継続の⽅法を検討・判断する 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 成果、今後の展望 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 達成状況: • 当初は難航していた価値創出の発表内容が、イテレー ションを重ねるごとに改善されていった • 当初は不慣れだったワーク内での議論がどんどん活発に なり、メンバーの参加度とアウトプットの質が上がった 評価⽅法: • 新価値を創造するための体系的な⽅法論を実務で実 践しているか? • 実際に商談に繋げるアクションをとっているか? • 提案した結果、受注に⾄ったか? の観点からアンケートおよびヒアリングにより評価 その他の波及効果 (社内の⾮受講 ⽣/学⽣/地域/そ の他) 変⾰ニーズの⾼い本部では本部員の過半数に当プログラム のエッセンスを抽出したワークショップを修了⽣が組織的に 開催して変⾰をリードし、知財⾯からビジネス貢献につなが る取組みを開始 受講者からのフィー ドバック内容、 観測された⾏動変 容 受講者から最終発表の内容を評価し合う「相互評価アン ケート」および⾃分⾃⾝の⾏動変容を⾃⼰評価する「⾃⼰ 評価アンケート」を取得 ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 • 修了⽣にはオープンバッジを発⾏し、スキルを明確に⾒ える化する • 社内のポスティングやLinkedInなどでの社外公開によ り、⾃⾝のキャリアデザインを後押しする 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 年数回のフォローアップアンケート、ヒアリング、・教授(監修 者)との毎週の定例会への持ち込み相談の場などで把握、 追跡 54

56.

富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院| システム×デザイン思考プログラム(実践リーダー育成コース) 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 1 10⽉ 7時間 ×5回 システム×デザイン思 「思考の流れ」をデザインすることで習慣的な思考を打破し、イノ ⽩坂成功(慶應 オンライン 考プログラム ベーティブな価値を狙って⽣み出すためのツールや⼿法について学ぶ SDM教授) (Learning Phase) 広瀬毅・⼭崎真 湖⼈(慶應SDM 特任助教) 園⽥芳史・北島 直⼦・久々宮常 恭(FLM)ほか 2 11⽉ 7時間 ×4回 システム×デザイン思 学んだツールや⼿法についてテーマ発出者のテーマにグループ別に取 ⽩坂成功(慶應 オンライン 考プログラム 組み、ツールや⼿法について実践を通じて習得する。(Design SDM教授) Phase) 広瀬毅・⼭崎真 湖⼈(慶應SDM 特任助教) 園⽥芳史・北島 直⼦・久々宮常 恭(FLM)ほか 3 12⽉ 7時間 ×2回 システム×デザイン思 学んだツールや⼿法についてテーマ発出者のテーマにグループ別に取 ⽩坂成功(慶應 オンライン 考プログラム 組み、ツールや⼿法について実践を通じて習得する。Design SDM教授) Phase最後のイテレーションで最終発表までを⾏う。 広瀬毅・⼭崎真 湖⼈(慶應SDM 特任助教) 園⽥芳史・北島 直⼦・久々宮常 恭(FLM)ほか 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 概要 講師 受講⽅法 55

57.

富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院| システム×デザイン思考プログラム(実践リーダー育成コース) 講義以外のプログラムの内容 No. 名称/類型 概要 1 ⽩坂塾 5期のDesign Phaseでグループテーマに選定され プログラム参加者 2〜3時間×12回 ・実テーマの持ち込みと た実テーマについて、全6チームがそれぞれ60分の 検討 時間枠を複数回利⽤し、⽩坂先⽣に「システム ・商談に向けた準備 ×デザイン思考」を実践し、価値創造を⾏う上で、 様々な観点からディスカッションを⾏い、アドバイス を受ける。 2 SUKETTOコミュニティ 5期参加者を含む、これまでの修了⽣約150名に プログラム参加者 プログラム開催期 よるTeams上のオンラインコミュニティで、アンケート 間中(随時) 調査やヒアリングへの協⼒など、様々なフォローを 受ける。(新たなニーズ調査アンケートへの協⼒、 商談情報の共有・拡散、⾏動分析技術の活⽤ ⽅法のヒアリングなどを実施) ・コミュニティの場のデザイ ・コミュニティデザインに関 ン(事務局) するアドバイスの提供 ・相互に知⾒を提供し合 い、価値創出をサポート (プログラム参加者) 3 伴⾛フォロー Ridgelinezのコンサルタントによるアドバイスや、 プログラム参加者 プログラム開催期 実践事例の創出と提供、伴⾛⽀援(マーケット 間中 リサーチ・資料作成⽀援、顧客アプローチ⽀援、 実践者の事例共有、アカウントプランに基づく実 ⾏計画策定など) ・伴⾛フォローの仕組みの ・伴⾛フォロー内容に対 デザインと参加者への周 するアドバイスの提供 知(事務局) ・コンサルタントによるフォ ローアップの提供 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 対象者 実施時間 企業の役割 ⾼等教育機関の役割 ・プログラム内容に基づい た知⾒の提供 ・多視点からのアドバイス の提供 56

58.

富⼠通株式会社 × 慶應義塾⼤学⼤学院| システム×デザイン思考プログラム(実践リーダー育成コース) 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 成⻑性を⾒据えてプログラムを設計: ⾏動変容の可視化: ⼈材育成⽬標を明確に設定し、 継続的な実践のために、講座終了後もフォロー 受講者に対して⾏動変容を問うアンケートを実施。 修了後に受講者の⾏動変容について講師陣と議論 • 「デザイン思考を組織に浸透させ、新価値を創出できる⼈材を育成する」 という⽬標を掲げ、その⽬標に応えられるプログラムを⼤学側から提案して もらい、双⽅で協議しながら内容をカスタマイズしていった。 • 明確なビジネス成果に繋げるために、社内の営業社員の優先募集や受 講者によるテーマの持ち込み等を⾏った。 • 企画フェーズから講座実施に⾄るまで、毎週⾏われる定例会を通じて事 務局と⼤学側で認識をすり合わせた。また授業後も毎回参加者にヒアリ ングを⾏い改善を進めた。 • 受講者に対して、⾃分⾃⾝の⾏動変容を⾃⼰評価する「⾃⼰評価アン ケート」及び最終発表の内容を評価しあう「相互評価アンケート」を実施し た。これにより、受講者⾃⾝が受講を通じた成果を認識し、⾒える化する ことで、⾏動変容に向けたモチベーションが向上した。 • 研修終了後に⾏った運営チームにおける振り返りの場にて、受講者の⾏ 動変容について講師陣と確認し、受講者の⾏動変容の度合いとその要 因について議論した。 • 講座終了後の持続的な職場実践のために、受講内容を業務や提案で 活⽤しているか、四半期ごとにアンケート調査を⾏っている。また、ビジネス 上の進捗に応じて、ヒアリングや教授への相談の場を設けるなど、継続的 なフォローを⾏っている。 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 57

59.

株式会社プライムスタイル× 早稲⽥⼤学 58

60.

株式会社プライムスタイル× 早稲⽥⼤学|事業変⾰型DX⼈材育成実践講座〜企業内DXを推進するフレームワークとその活⽤〜 共同講座の概要 共同講座の背景と⽬的 ⼈材育成テーマ・分野 を選んだ背景と狙い ⼈ 材 育 成 ⽬ 標 ( 今 年 度 ⁚ ⾃社社員 ⼈ 材 育 成 ⽬ 標 ( ⻑ 期 ⁚ ⽇本企業がDXで成果を⽣まない理由は、従来のDX 教育・研修がITスキル等に偏り、本来の⽬的である事 業変⾰がなおざりにされているためと考える。しかし、企 業に変⾰をもたらす意欲と基礎能⼒のある⼈材は、⾃ 社内にいても、顧客側にいてもメリットがあるため、企業 変⾰を⽬指せるDX⼈材の育成をテーマとした DXを体系的に理解し、DXを推進したい顧客のニーズが 具体的に想像、理解できるようになる ⾃社社員以 外の社会⼈ DXを体系的に理解し、⾃社のビジネスを顧客価値創 造の観点からとらえることができるようになる 連携⾼等教育 機関の学⽣等 企業とそこに所属する⼈々が、どのような問題意識で 仕事をしているかを実感する その他 企業とそこに所属する⼈々が、どのような問題意識で 仕事をしているかを実感する ⾃社社員 DXを推進する外部企業の役職者クラスと対等に議論 できるようになる(3年以内) ⾃社社員以 外の社会⼈ ⾃社内でDXを主導的に推進し、企業変⾰を担う⼈ 材になる(5年以内) 連携⾼等教育 機関の学⽣等 ITやDXに興味を持ち、⾃⾝が社会⼈になった時に、そ れらを活⽤して企業で活躍しようとする⼈材になる その他 ITやDXに興味を持ち、⾃⾝が社会⼈になった時に、そ れらを活⽤して企業で活躍しようとする⼈材になる 上記の⽬標に向けて 特に重要なプログラム (講義、実習等) 事例研究を⾏い、DXを通じてどのような価値を⽣み出 したか、類型とフレームワークを⽤いて討議し、理解する 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 連携体制 連携 体制 分担 プライムグループ 早稲⽥⼤学 PrimeLabo Co., Ltd (株)プライムスタイル (ベトナムホーチミン) (東京都新宿区) ⽇本⼈⼯ンジニア、 ⼯ンジニア6名 ⽇本⼈営業、 営業・事業開発3名 ⾼等学校 ベトナム⼈⼯ンジニア グローバル科学知融合研究所 ⾼等学校 顧客や親密企業からのDX事例の提供 共同講座の開設 共同研究の実施 施設(講義会場)の提供 ⼀般向け集客向け広報企画・実⾏ 「新規事業創造」を切り⼝に、 これまでの活動+新規講座 コンテンツによるDX⼈材育成 講座を開講しその有効性を検証 学⽣向け告知 成果の広報活動⽀援 基礎となる 過去の活動 実績 所⻑ 連携 【プライムスタイル (PS) 単独】 2014年〜随時 企業向け新規事業開発 に関する、リサーチ、コンサル ティング、ワークショップの提供 【PS・早稲⽥⼤学共同研究】 2020年10⽉〜2021年5⽉ 「新規事業創造プロジェクトの 研究と先端技術を活⽤した 新規事業の開発の研究」 研究成果の論⽂化 【PS・早稲⽥⼤学共催】 2021年10⽉〜2022年3⽉ DX競争優位実践ラボ 全10回 オンライン開催 【早稲⽥⼤学】 2019年4⽉〜 ⼈⼯知能とビジネスモデル創出(1単位・⽇本語) Business model creation with Al Technologies (1単位・英語) 受講・修了者数等 属性 申込者数 受講者数 修了者数 ⾃社社員 3 3 2 ⾃社社員以外の社会⼈* 48 30 29 連携⾼等教育機関の学⽣等** 3 3 3 その他 5 3 3 * マネジメントレベルでDX推進に対して⾼い課題意識を持っている会社で、実際にDXを推進できる素 養のある個⼈と組織を擁する企業を対象とした役職員・協業先・早稲⽥⼤学経由での声掛け及び、 プレスリリースやインターネット広告を⽤いた⼀般公募。エントリーシートを記⼊してもらい、所属企業の中 での役割や課題意識、DX推進にかける意気込みを評価し、選定した。 ** 講座のティーチングアシスタントを務めた関係者の紹介で、上智⼤学の学部⽣の中で特に能⼒と意 欲が⾼い者を選定した。 59

61.

株式会社プライムスタイル× 早稲⽥⼤学|事業変⾰型DX⼈材育成実践講座〜企業内DXを推進するフレームワークとその活⽤〜 ⾼等教育機関との連携の狙い、共同講座の成果 連携の経緯、狙い、課題 連携の経緯 早稲⽥⼤学とは、2020年以降、イノベーションの社会実 装に関して共同研究を⾏っており、⾼等教育機関における 実践的教育、リカレント教育の在り⽅について議論を⾏っ ていた。本補助事業のことを知り、2022年7⽉より担当教 官と検討を⾏い、プログラムの⽅向性が固まっていった 連携の狙い・利点 (企業側) 以前からの共同研究の実績があったことと、早稲⽥⼤学 ⾃⾝が研究の社会実装について注⼒していたため 連携の狙い・利点 (⾼等教育機関 側) 早稲⽥⼤学からは、「実業界との共同講座を通じて実業 界の直接的なニーズを知ることには、アカデミアにとって⾮常 に意義がある。」とのコメントを得ている プログラム内容の 検討・決定⽅法 (特になし) 連携に係る課題 等 課題: • 申請準備の佳境が⼤学の夏休みと重なり、諸々の確 認に⼿間取った。採択〜講座開始の期間も短く、集 客や準備期間がタイト。受講者に合わせて講義内容を 想定から変えたため、想定以上に時間がかかった • 受講者の企業でのDX事例の発表や、グループワークを 取⼊れ、講義時間が⾜りず、アカデミックな理論や先⾏ 研究の紹介が⼗分でなかった 対応策: • 講座毎にアンケートを取り、受講者の要望をくみ上げる ようにした • 講義のトピック数を絞り、それぞれの時間を増やす、事 前・事後に補助資料を提⽰し⾃主学習を促した 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 成果、今後の展望 ⼈材育成の達成 状況、評価⽅法 他社の先進的なDX事例を知ることで、事業の在り⽅や事 業の提供価値を考えるようになった。講義のビデオを⾃社 全体で共有し、講義内容が知られたことで、営業スタッフ の顧客提案⼒が上がってきたと感じている。 各講座終了後のアンケートでは、講義や他社との交流、グ ループワークから多くの学びを得ていると好意的な回答が 得られている。グループワークの中でも他社との⽐較から⾃ 社を捉えなおすような論理的思考が組み⽴てられていた その他の波及効果 (社内の⾮受講 ⽣/学⽣/地域/そ の他) 早稲⽥⼤学と共同講座を開講し、社外の⼀流企業の精 鋭社員が参加していることが、⾃社社員の業務モチベー ションにつながっていると感じる。顧客からの信頼度も上が り、企業ブランディング⾯でも良い効果があった。内定辞退 率が減少した印象もある 受講者からのフィー ドバック内容、 観測された⾏動変 容 詳細な分析は講座終了後に⾏う予定だが、各講座終了 後のアンケートでは、受講⽣の満⾜度は⾮常に⾼かった。ま た、⾃由記述結果でも、受講⽣の⾏動変容に繋がる肯定 的な内容が多い ⼈材育成効果を 踏まえた処遇・採 ⽤等の検討状況 2023年度の定期考課にて①出席(聴講)そのもの(定 量評価)、②講座で学習したことに基づいた社内改⾰へ の提案⼒と顧客提案⼒の向上(定性評価)に基づき処 遇を⾏う予定。また、学⽣受講者の希望者は⾃社でのイ ンターン就業を呼びかけ、⾃社内ののDX推進や顧客企業 へのDX提案活動の体験機会を提供する予定 今後の成果の 把握⽅法、 追跡調査⽅法 講座修了6か⽉後/1年後に受講⽣へフォローアップインタ ビューを⾏う予定 ⾃社社員は、講座への取組み実績や知識習得度を踏ま え定例の⼈事考課に反映予定 60

62.

株式会社プライムスタイル× 早稲⽥⼤学|事業変⾰型DX⼈材育成実践講座〜企業内DXを推進するフレームワークとその活⽤〜 主な講義の内容 No. ⽇程 実施時間 講義名 概要 講師 1 11/15 2.5時間 第1回講義 DXに取組むための基本的考え⽅を学ぶ DXの3類型 ビジネスゴール指向 奥⽥聡(プライムスタイル代表取 対⾯ 締役/早稲⽥⼤学グローバル科 学知融合研究所 招聘研究員) 2 11/29 2.5時間 第2回講義 DXと呼ばれるものの内容を理解し、バリューチェーンの基 奥⽥聡(プライムスタイル代表取 対⾯ 礎を学ぶ 締役/早稲⽥⼤学グローバル科 DX概論(定義とアカデミア潮流) 学知融合研究所 招聘研究員) バリューチェーン分析とVRIOフレームワーク 3 12/13 2.5時間 第3回講義 バリューチェーンの理論から派⽣する実務的な取組みを 理解する BPR(Business Process Reengineering)とRPA (Robotic Automation Process) プロセスマイニング 4 1/10 2.5時間 第4回講義 バリューチェーンの発展的理解と、DX推進の実務的な 奥⽥聡(プライムスタイル代表取 対⾯ ⼿法を理解する 締役/早稲⽥⼤学グローバル科 バリューチェーン研究とCVCA(Customer Value Chain 学知融合研究所 招聘研究員) Analysis) DX推進のためのトリガーイベント設定 システム指向 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 受講⽅法 奥⽥聡(プライムスタイル代表取 対⾯ 締役/早稲⽥⼤学グローバル科 学知融合研究所 招聘研究員) 61

63.

株式会社プライムスタイル× 早稲⽥⼤学|事業変⾰型DX⼈材育成実践講座〜企業内DXを推進するフレームワークとその活⽤〜 共同講座の実施にあたっての⼯夫・取組み 質の⾼い受講⽣を幅広く集めるための周知: ⼈材育成⽬標の設定及び⾏動変容の可視化: プレスリリース、SNS告知、⼤学から学⽣への声掛けなど多⾯ 的に展開し、課題意識を問う内容の選抜を実施した ⽬標とする⼈材を定義し、 受講⽣の⾏動変容を定量的・定性的に評価する • 講座を活性化し、講座終了後の成果を⾼めるためには、質の⾼い受講 ⽣を如何に多く集められるかにかかっていると認識。そこで、講座の開講に 関するプレスリリース、Google広告の展開、当社および当社関係者らによ るSNSでの告知、早稲⽥⼤学グローバル科学知融合研究所からの学⽣ への声掛け等を多⾯的に展開し、⾼等教育機関の学⽣と社外参加者 の募集に特に注⼒した。 • 受講申込みにあたっては、現在の業務内容とDX推進に関する課題意識 を記⼊させ、特に受講の成果が期待できる者を厳選して採⽤した。 • 講座の底流に流れる基本的なコンセプトをあらかじめ設定し、「⾃社に持 ち帰ってから使ってもらえる」カリキュラム設計を⾏った。 出所)事業者への書⾯調査、提出された実績報告書より作成 • 本講座では、育成⽬標である「DX⼈材」を「事業を変⾰することができる ⼈材」、「事業において新しい価値創造ができる⼈材」と定義し、受講者 が取組むプロジェクトについて⻑期的に観察・評価する。 • 具体的には、講座の開始時点から終了時点における受講⽣の意識の変 化や成果等に関するアンケート調査を実施。 • また、受講終了6か⽉後と1年後のタイミングで、受講⽣にヒアリングを⾏ い、受講内容が受講⽣の所属企業における業務やDX推進といった活動 内容にどのように活かされているか調査する予定。 • 上記の調査に基づき、本講座の有⽤性について評価し、⼈材育成の効 果を計測していく計画としている。 62