西洋美術史ゼミ第17回:ロシア・アヴァンギャルド、ダダ、シュルレアリスムなど

151 Views

August 08, 22

スライド概要

隔週程度で行っている世界史と西洋美術史の勉強会のスライドです。今回はロシア・アヴァンギャルド、ダダ、シュルレアリスムなどについて扱っています。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。以下のURLからスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献もこちらに記載しています。
https://github.com/amazuun/Art_of_Europe

profile-image

理系の大学生です。近代以降の美術史や思想史、現代美術について興味があります。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。後の物の方が出来が良いので、最新のものを最初に読むことをお勧めします。githubからはスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献は補足資料に記載しています。

シェア

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

各ページのテキスト
1.

西洋美術史ゼミ 第17回 ロシア・アヴァンギャルド・シュルレアリスムなど 発表者 あまずん 1

2.

発表者について あまずん Twitter : @quii_w (メイン) @amazuunsc(サブ) 理系の大学生(数学科)です。 近代以降の美術史や思想史、現代美術について 興味があります。 2

3.

ゼミについて • 週1回程度で美術出版社「増補新装 カラー版 西洋美術史」を一章ずつ 読み進め、内容をまとめ発表します。 • また、高校世界史に沿う形で当時の 出来事についても説明します。 • そのため、世界史と美術史を同時に 学ぶことができるため、歴史が好き な方も美術が好きな方も学びを深め ることができます。 3

4.

本日のまとめ • 第一次世界大戦が起こり、古い政治体制や 自由主義的な価値観が根底からゆらいだ。 その結果、ヨーロッパの没落やアジア・ア メリカの地位の向上、ソ連の誕生などが起 こった。 • 19世紀末~20世紀初頭に起こった幻想的・ 神秘的・退廃的な性格を有する諸芸術を世 紀末芸術と呼ぶ。 • フォーヴィスムとドイツ表現主義は鮮烈な 色彩と激しい筆致で純粋な色彩の美を求め た。 • キュビスムは形態の革命で、対象を解体・ 再構築して遠近法の解体を図った。 マティス《赤のハーモニー》

5.

本日の内容 世界史について • 世界恐慌とファシズムの台頭 • 第二次世界大戦 美術について • イタリア未来派 • ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 • ダダとシュルレアリスム • エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) • アールデコとバウハウス(補足スライド) • 建築・彫刻・写真(補足スライド) • 南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 5

6.

全体の概略 • ニューヨークで株価が暴落して世界恐慌が起こり、世界経済は 混乱しました。ここで起きた対立が第二次世界大戦を引き起こ すことになります。 • 戦前は機械文明を賛美する未来派が生まれ、また抽象絵画は一 つの極地に到達します。第一次世界大戦後はその悲惨さが大き な影響を与え、反芸術のダダやそれを受け継ぐシュルレアリス ムが生まれます。 • 今回は補足スライドがあり、エコール・ド・パリや素朴派、バ ウハウスなどを扱っています。メインストリームではないもの の、どれも美術史を語る際には欠かせない諸潮流です。お時間 のある方はぜひ読んでみてください。 6

7.

本日の内容 • • • • • • • • • • 世界史:世界恐慌とファシズムの台頭 世界史:第二次世界大戦 美術史:イタリア未来派 美術史:ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 美術史:ダダイスム 美術史:シュルレアリスム 美術史:エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) 美術史:建築・彫刻・写真(補足スライド) 美術史:アールデコとバウハウス(補足スライド) 美術史:南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 7

8.

世界恐慌とファシズムの台頭:CONTENTS ① ② ③ ④ 概略 世界恐慌 各国の恐慌対策 ファシズムの成立

9.

世界恐慌 • 1929年10月24日、「暗黒の木曜日」 とも呼ばれるこの日にニューヨーク 株式市場で株価が大暴落し、「永遠 の繫栄」を誇ったアメリカは深刻な 経済恐慌に陥った。 • この影響はソ連を除く全世界に波及 し、工業生産は急落し失業者は急増 した。これを世界恐慌と呼ぶ。 ウォール街の群衆

10.

世界恐慌(2) • 各国は恐慌対策に追われることにな る。そして、植民地や資源があり、 ニューディール政策やブロック経済 を行うことができた「持てる国」と、 経済基盤が弱く対外侵略を行った 「持たざる国」に分かれることとな る。 • 「持たざる国」側ではこの過程で ファシズムが台頭し、この対立が第 二次世界大戦を招いた。 「持てる国」 • アメリカ • イギリス • フランス 「持たざる国」 • ドイツ • イタリア • 日本

11.

各国の恐慌対策:アメリカ • ここからは各国の恐慌対策について 扱うが、美術史との関わりは薄いの で読み飛ばしてもかまわない。 • アメリカではローズヴェルト大統領 がニューディール(新規まき直し) 政策を行った。 • この政策は政府が経済活動に積極的 に介入するというもので、3つのR (救済 Relief, 復興 Recovery, 改革 Reform)というスローガンで表され た。 ローズヴェルト

12.

各国の恐慌対策:イギリス・フランス • イギリス・フランスではブロック経 済が行われた。 • 両国は植民地などの海外の領土 (「ブロック」)と本国を特恵関税 (関税の優遇措置)で結び付け、そ の領域内で貿易を行った。 • 第一次世界大戦前から世界経済は自 由貿易によって発展してきたが、排 他的なブロック経済はこれを停滞さ せた。「持たざる国」が対外侵略を 行ったのはこの経済ブロックを作ろ うとしたからでもある。 ラムゼイ・マクドナルド

13.

各国の恐慌対策:日本(1) • 日本では世界恐慌以前に既に経済は 不調であり、追い打ちをかけられた 形になった。このため、経済的基盤 が弱かった日本は、対外侵略によっ て経済危機を乗り越えることをもく ろんだ。 • こうして日本の関東軍は満州事変を 起こし、中国東北地方の大半を占領 した。この行動は世界的に批判され、 国際連盟の調査も入った(リットン 調査団)が、既成事実を作るために 満洲国を建国させた。 リットン調査団

14.

各国の恐慌対策:日本(2) • 調査団は満州国建国を不当なものだ とし、国際同盟もこれを支持したた め日本は国連を脱退した。 • この状況下で中国で抗日救国の動き が高まっており、この目的のために 内戦の停止と民族統一戦線の結成が 呼びかけられた。 • そんな中、北京郊外で起きた盧溝橋 事件をきっかけに日中戦争が起こり、 これは太平洋戦争終戦まで続いた。 出勤する中国兵

15.

ソ連の動向 • ソ連は資本主義世界との交流が少な く、また計画経済によって独自の経 済圏を築いていたため、世界恐慌の 影響を受けなかった。 • スターリンは独裁を強めた。反対派 とみなした人々に無実の罪を着せ、 大量に投獄・処刑し、彼自身への個 人崇拝を強めた。この体制をスター リン体制と呼ぶ。 スターリン(中央)

16.

ファシズムの台頭 • ドイツでは、33年にナチ党が一党独 裁体制を成立させた。 • ナチス=ドイツでは教育や文化を含 むあらゆる領域が厳しく統制され、 反対者やユダヤ人は迫害された。 • こうしてナチス=ドイツは国際的に 孤立していったが、同様に対外侵略 によって孤立したイタリアがドイツ に近づき、両国は提携・協力するよ うになる。 ムッソリーニ(左)とヒトラー(右)

17.

ナチス=ドイツの成立(1) • ナチ党は1920年に成立し、ヒトラー を指導者としていた。 • ナチ党の主張はヴェルサイユ体制の 打破・反ユダヤ主義などの国粋主義 的な側面と、独占の規制などの反資 本主義的な側面をもつものだった。 • 成立当初は支持を得られなかったも のの、世界恐慌の混乱のなかで勢力 を拡大し、33年に第一党となり、そ して同年に一党独裁体制を形成した。 Bundesarchiv, Bild 183-H1216-0500-002 / CC-BY-SA, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.ph p?curid=5780403による アドルフ・ヒトラー

18.

ナチス=ドイツの成立(2) • ナチ党の独裁下では基本的人権は無 視され、教育や文化を含むあらゆる 領域が厳しく統制された。後述する 退廃芸術もその一つである。 • さらにナチ党は政治反対者やユダヤ 人を迫害し、国家秘密警察(ゲシュ タポ)・突撃隊(SA)・親衛隊 (SS)が民衆を監視した。 • また、ナチス=ドイツはヴェルサイ ユ条約によって軍事平等権が認めら れておらず、これを打破するために 国際連盟から脱退した。 Gerhard Richter 2014, Birkenau, GERHARD RICHTER, accessed 4 August 2022, <https://www.gerhardrichter.com/en/art/paintings/abstracts/abstracts-2005-onwards69/birkenau-17971/?&categoryid=69&p=4&sp=32> リヒター《ビルケナウ》

19.

イタリアのファシズム • 経済基盤の弱体なイタリアは恐慌に よってたちまち行き詰り、対外侵略 によって苦境を脱しようとした。 • 35年にイタリア軍はエチオピアに侵 攻しこれを併合したが、国際連盟は これを侵略行動と認めて経済制裁を 発動した。 • こうして国際的に孤立したイタリア は、同様に孤立していたナチス=ド イツに近づきベルリン=ローマ枢軸 を結成し、国際連盟を脱退した。 出兵するイタリア陸軍兵

20.

本日の内容 • 世界史:世界恐慌とファシズムの台頭 • 世界史:第二次世界大戦 • 美術史:イタリア未来派 • 美術史:ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 • 美術史:ダダイスム • 美術史:シュルレアリスム • 美術史:エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) • 美術史:建築・彫刻・写真(補足スライド) • 美術史:アールデコとバウハウス(補足スライド) • 美術史:南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 20

21.

第二次世界大戦(1) • 第二次世界大戦は、イタリア・日 本・ドイツのファシズム諸国家が、 国内危機を他国への侵略で解決しよ うとし、ヴェルサイユ・ワシントン 体制を破壊しようとする動きから始 まった。 • 連合国側は反ファシズムを掲げ、新 しい戦後秩序を示していたのに対し、 枢軸国側はそれぞれの支配権確立を 目指すだけで広く世界に訴える普遍 的理念を持たなかった。このため、 ファシズム諸国は事実上世界中を敵 に回すことになり、敗北した。 連合国 • アメリカ、イギリス、 フランス、ソ連、中 国など 枢軸国 • ドイツ、イタリア、 日本など

22.

第二次世界大戦(2) • 第二次世界大戦は多くの犠牲者を生 み、それには人種的・宗教的差別に よる追放や大量殺害も含まれる。ま た、戦後も各地で難民を生んだ。 • 米ソ両国は連合国の勝利に決定的役 割を果たし、戦後世界での指導的地 位を認められたが、一方ヨーロッパ は世界の中心からは外れた。 • 米ソ間では戦後ほどなく冷戦と呼ば れる緊張状態が発生し、世界は東西 両陣営に分裂することとなる。 1942年のレニングラード

23.

第二次世界大戦の発端 • ヒトラーはドイツの生活圏を拡大するた めに侵略行動に乗り出した。 • ドイツの侵略に対して、イギリス・フラ ンスは平和的解決を図るためにドイツの 要求を受け入れる宥和政策をとった。し かしドイツの各国併合は止まらず、英仏 は宥和政策の限界を認め、軍備拡充を急 いだ。 • この状況下で、西欧諸国に不信を抱いて いたソ連はナチス=ドイツと独ソ不可侵 条約を結び、勢いづいたドイツはポーラ ンド侵攻を開始した。1939年、これに対 し英仏はドイツに宣戦し、第二次世界大 戦が始まった。 ドイツ戦艦シュレスヴィヒ・ホルシュタイン

24.

独ソ戦 • 40年までは戦場はヨーロッパに限定され、 ドイツの振興による短期戦が繰り返され るという形で進行し、ナチス=ドイツは ヨーロッパ大陸の過半を支配するように なった。 • しかし、ドイツの進出はソ連との関係を 緊張させ、41年に独ソ戦(東部戦線)が 始まった。この戦争は予想以上に⾧期化 し、ドイツは戦争経済を支えるために多 くの外国人を強制労働させた。 • また、占領地でも人種主義政策を採用し、 アウシュヴィッツなど強制収容所でユダ ヤ系・スラヴ系の人々を殺害した。 Bundesarchiv, Bild 101I-218-0501-27 / Lechner / CC-BY-SA 3.0, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5410442 による スターリングラードでのルーマニアの兵士

25.

太平洋戦争 • 一方、日本は日中戦争の⾧期化から国力 を消耗させ、南方への進出を企てた。 • ドイツの快進撃を見た日本は英・米との 対決に備え、日独伊三国同盟を結んだ。 • アメリカは日本の南進を警戒し、イギリ ス・オランダとともに日本への石油供給 を停止した。 • 衝突を回避するために行われていた日米 交渉は行き詰まり、日本は真珠湾の米海 軍基地を奇襲してアメリカ・イギリスに 宣戦。太平洋戦争が始まった。 真珠湾攻撃

26.

第二次世界大戦の終結 • 戦争が⾧期化すると、枢軸国側は資 源不足などから苦戦するようになっ た。しかし、アメリカが参戦した連 合国側は豊かな物量で圧倒するよう になり、戦局は連合国側に傾いて いった。 • 43年にイタリアが、45年にドイツ・ 日本が降伏し、大戦は終了すること になる。 日本の降伏

27.

第二次世界大戦の結果 • 連合国側のプロパガンダにより民主 主義対ファシズムの様相を呈してい るが、実際には最後の帝国主義戦争 といえるものであり、同時に抑圧さ れた諸民族の解放戦争でもあった。 • さらに、この大戦により疲弊した ヨーロッパの没落が決定的となり、 戦後はアメリカとソ連の対立を軸と する二極構造が生まれた。 戦後に横須賀基地を調査する オーストラリア兵

28.

本日の内容 • 世界史:世界恐慌とファシズムの台頭 • 世界史:第二次世界大戦 • 美術史:イタリア未来派 • 美術史:ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 • 美術史:ダダイスム • 美術史:シュルレアリスム • 美術史:エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) • 美術史:建築・彫刻・写真(補足スライド) • 美術史:アールデコとバウハウス(補足スライド) • 美術史:南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 28

29.

未来派(1) • 前回キュビスムを扱ったが、これと 同時代にイタリアで起こった運動が (イタリア)未来派である。 • 『未来派宣言』の「自動車は、《サ モトラケのニケ》よりも美しい。」 に示されるように、過去の美学を激 しく否定し、機械や闘争、力や運動 や速度のダイナミズムを賛美した。 • 例えば右の彫刻は未来派の最も有名 な作品の一つだが、これは流動的な 造形により運動の「合成的な連続 性」を表現することを意図している。 ボッチョーニ 《空間における連続性の唯一の形態》

30.

未来派(2) • 以下の美術家が有名である。 1. ウンベルト・ボッチョーニ 2. ジャコモ・バッラ 3. ジーノ・セヴェリーニ 4. カルロ・カッラ

31.

未来派(3) ボッチョーニ《都市の成⾧》 バッラ 《鎖に繋がれた犬のダイナミズム》

32.

未来派(4) By Gino Severini http://www.atlantedellarteitalia na.it/immagine/00012/7708OP1 036AU12534.jpg, PD-US, https://en.wikipedia.org/w/inde x.php?curid=39059474 セヴェリーニ カッラ 《La Danseuse Obsedante》 《バルコニーにいる女》 By Carlo Carrà http://www.futurism.it/esposizioni/Esp200 8/ESP20081015_P.htm, PD-US, https://en.wikipedia.org/ w/index.php?curid=39004 796

33.

本日の内容 • 世界史:世界恐慌とファシズムの台頭 • 世界史:第二次世界大戦 • 美術史:イタリア未来派 • 美術史:ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 • 美術史:ダダイスム • 美術史:シュルレアリスム • 美術史:エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) • 美術史:建築・彫刻・写真(補足スライド) • 美術史:アールデコとバウハウス(補足スライド) • 美術史:南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 33

34.

ロシア・アヴァンギャルド • 革命前夜の社会的・文化的な運動の 中、未来派やキュビスムに影響を受 けたロシアの画家は新たな芸術を模 索した。 • こうして生まれた前衛芸術運動であ るロシア・アヴァンギャルドは、建 築・美術・デザインなどの複数の領 域に及んだ。 • 美術における二大潮流はシュプレマ ティスムと構成主義であり、その先 駆としてレイヨニスム(光線主義) がある。 マレーヴィチ《シュプレマティスム》

35.

レイヨニスム • 第一次世界大戦直前の時期に、未来 https://en.wikipedia.o 派の刺激を受けたミハイル・ラリ rg/wiki/File:Larionov_ オーノフとナタリア・ゴンチャロ red_rayonism.jpg ヴァはレイヨニスム(光線主義、光 輝主義)と呼ばれる抽象表現を試み た。 • 彼らは物体に反射する光線が交錯し て形成する空間的な形態を描いた。 非物質的な光線はロシア・イコンの 精神性と結びつき、また現実を超え た四次元的な時空感覚を呼び起こす。

36.

シュプレマティスム(1) • レイヨニスムを先駆としてシュプレ マティスム(絶対主義)が生まれた。 これは抽象絵画の一つの到達点であ る。 • この運動はカジミール・マレーヴィ チを中心としたものである。 • 彼は現実の事物とのあらゆる関係を 否定して、純粋に抽象な(=何かの 抽象化ではない)幾何学図形により 画面を構成し、意味を徹底的に配し た絵画を描くことで、現実に束縛さ れない感覚の自由を求めた。 マレーヴィチ《黒の正方形》

37.

シュプレマティスム(2) マレーヴィチ《シュプレマティスム》 マレーヴィチ《白の上の白》

38.

構成主義 • ロシア革命後に新たな社会主義国家 の建設への動きと連動して生まれた のがロシア構成主義である。 • 禁欲的なシュプレマティスムから離 れたタトリンやロトチェンコ、リシ ツキーらの作家は非伝統的な素材や 抽象的な造形に取り組むとともに、 従来の純粋芸術を否定し、日用品や 服飾、プロパガンダポスターなどの 実用品のデザインにも携わった。 By Alexander Rodchenko(Life time: 1891-1956) - Original publication: 1924Immediate source: https://www.seattletimes.com/entertainment/visual-arts/therevolution-will-be-posted-soviet-street-art-at-the-frye-museum/, PD-US, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=64832426 ロトチェンコのポスター

39.

構成主義(2) タトリン 《第三インターナショナル記念塔》 リシツキー《赤い楔で白を穿て》

40.

社会的リアリズム・退廃芸術 • ロシア・アヴァンギャルドは隆盛を 極めたが、スターリン体制において 社会主義リアリズムが奨励され、よ り生産に寄与する写実絵画が(半ば 強制的に)描かれるようになり衰退 した。 • 同様に、ナチス政権下では近代・前 衛美術を道徳的・(優生思想を前提 として)人種的に堕落したもの(退 廃芸術)だとみなし、古典的・写実 的な作品が奨励された。 アルノ・ブレーカー - see below, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1073651 による アルノ・ブレーカー《党》 (ナチス時代の古典主義的な作品の例。 アーリア人種の優越性を英雄的身体により 表現した。)

41.

モンドリアンとデ・ステイル • マレーヴィチと共に語られるこの時代の 抽象画家としてピート・モンドリアンが いる。 • それ以前の風景画において、自然を垂直 と水平の要素に還元しようとする傾向が あった。彼はこれをさらに推し進め、垂 直線と水平線の構図に三原色を組み合わ せるという美学に到達した。 • この理論を新造形主義と呼び、彼の属し たグループであるデ・ステイルはこの理 論に主導されていた。 モンドリアン 《赤・青・黄のコンポジション》

42.

本日の内容 • 世界史:世界恐慌とファシズムの台頭 • 世界史:第二次世界大戦 • 美術史:イタリア未来派 • 美術史:ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 • 美術史:ダダイスム • 美術史:シュルレアリスム • 美術史:エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) • 美術史:建築・彫刻・写真(補足スライド) • 美術史:アールデコとバウハウス(補足スライド) • 美術史:南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 42

43.

ダダイスム • 第一次世界大戦は芸術にも暗い影を 落とし、戦争という災厄を生み出し た既存のブルジョワ文化への異議申 立てとして「ダダ」の運動が起こっ た。 • ダダは世界各地で同時多発的に生じ たもので、パフォーマンスやレディ メイド、フォトモンタージュなどの 新たな手法を用いて既存の秩序や常 識の否定・破壊を志向した。特に有 名な作家はニューヨークのデュシャ ンとマンレイである。 デュシャン《泉》

44.

ダダイスム(2) By dada, Dickerson, National Museum of Art, Washington, 2006, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=18107157 マン・レイ《黒と白》 ラウル・ハウスマン 《ABCD(自画像)》

45.

本日の内容 • 世界史:世界恐慌とファシズムの台頭 • 世界史:第二次世界大戦 • 美術史:イタリア未来派 • 美術史:ロシア・アヴァンギャルドと抽象絵画 • 美術史:ダダイスム • 美術史:シュルレアリスム • 美術史:エコール・ド・パリと素朴派(補足スライド) • 美術史:建築・彫刻・写真(補足スライド) • 美術史:アールデコとバウハウス(補足スライド) • 美術史:南北アメリカの絵画運動(補足スライド) 45

46.

形而上絵画 • シュルレアリスムの先駆けとして、 ジョルジョ・デ・キリコを中心とす る様式である形而上絵画があった。 • 「形而上」の名の通り、この様式の 絵画は画面の左右で遠近法の焦点が ずれていたり、彫刻やマネキンとい う特異なモチーフ、⾧すぎる影が描 かれているなど、物質的でありなが らも現実にはありえない光景が描か れている。 • この光景が暗示する機械文明に対す る不気味な不安感は、第一次世界大 戦において現実となってしまう。 By Giorgio de Chirico - MoMA, PD-US, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=103 5415 デ・キリコ《愛の歌》

47.

シュルレアリスム(1) • 第一次世界大戦後、既成概念を否定 し破壊するダダの思想を受け継ぎつ つ、夢や無意識、非合理の世界を開 放するシュルレアリスムの運動が起 こった。 • “surreal”は「超-現実」を意味し、無 意識状態で表現を行う方法(オート マティスム)や、非現実的な世界を 写実的に描く(デペイズマン)など の方法により現実を超え、精神の自 由や生きることの自由を求めた。 By Salvador Dalí (1904-1989) - Image taken [http://0.tqn.com/d/arthistory/1/0/l/i/dali_moma_0708_11.jpg fromAbout.com], Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=20132344 ダリ《記憶の固執》

48.

シュルレアリスム(2) • 以下の作家が有名である。 1. サルバドール・ダリ 2. ルネ・マグリット 3. マックス・エルンスト 4. ジョアン・ミロ 5. イヴ・タンギー 6. アルベルト・ジャコメッティ 7. アンドレ・ブルトン(詩人、『シュル レアリスム宣言』を表し、シュルレア リスムを創始した。)

49.

シュルレアリスム(3) By http://www.moma.org/collection/object.php?object_id=78456, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=33329380 Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=1577708 ダリ《内乱の予感》 マグリット《光の帝国》

50.

シュルレアリスム(4) By Max Ernst (1891–1976) - Olga&#039;s Gallery, PD-US, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=1840900 エルンスト《セレベスの象》 By http://www.abcgallery.com/M/miro/miro63.html, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=33391022 ミロ《明けの明星》

51.

シュルレアリスム(5) By WebMuseum, Paris; Albright Knox Art Gallery, New York [1], Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=1850572 タンギー《無限の分割可能性》 By Original work: Alberto GiacomettiDepiction: Christies - http://www.christies.com/medialibrary/images/features/articles/2015/04/15/giacometti/1.jpg, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=46682587 ジャコメッティ 《L'Homme au doigt》 (The Man with the Finger )

52.

本日のまとめ • 1929年に世界恐慌が起こり、世界経済が 混乱した。世界は「持てる国」と「持た ざる国」に分かれ、この対立が第二次世 界大戦を引き起こした。 • 機械文明を賛美する未来派がイタリアで 興った。 • ロシア・アヴァンギャルドが起こり、抽 象的なシュプレマティスムと革新的な構 成主義が興った。また、モンドリアンの 抽象画もある種の到達点である。 • 反芸術を標榜するダダと、それに影響を 受け、無意識により現実を超えようとし たシュルレアリスムが生まれた。 デュシャン《泉》

53.

次回の内容 • 二つの大戦を経て、美術はそれ以前 とは比べものにならないほどに激し く変化し続けた。 • 不定形なアンフォルメルや、巨大で 均一な画面が特徴の抽象表現主義と いった新たな抽象画が生まれたほか、 こういった“高尚”な美術へのカウン ターとして大衆的なモチーフを用い たポップアートも生まれた。 • 関連ワード 1. ウォーホル《キャンベルスープの 缶》 By Jackson Pollock - www.jackson-pollock.org, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=94787245 ポロック《Number 1 (Lavender Mist)》