西洋美術史ゼミ:まとめ2

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September 10, 22

スライド概要

隔週程度で行っている、世界史と西洋美術史の勉強会のスライドです。今回は第13回~第20回までのまとめです。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けたつもりです。以下のURLからスライドと補足資料をダウンロードできます。
https://github.com/amazuun/Art_of_Europe

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理系の大学生です。近代以降の美術史や思想史、現代美術について興味があります。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。後の物の方が出来が良いので、最新のものを最初に読むことをお勧めします。githubからはスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献は補足資料に記載しています。

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各ページのテキスト
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まとめ2 西洋美術史ゼミ 第13回~第20回 内容のまとめ 発表者 あまずん 1

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発表者について あまずん Twitter : @quii_w (メイン) @amazuunsc(サブ) 理系の大学生(数学専攻)をやっています。 近代以降の美術史や思想史、現代美術について 興味があります。 2

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ゼミについて • 週1回程度で美術出版社「増補新装 カラー版 西洋美術史」を一章ずつ 読み進め、内容をまとめ発表します。 • また、高校世界史に沿う形で当時の 出来事についても説明します。 • そのため、世界史と美術史を同時に 学ぶことができるため、歴史が好き な方も美術が好きな方も学びを深め ることができます。 3

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はじめに • このスライドは第13回~第20回の「本日のまとめ」をまと めたものです。 • 内容はロマン主義~現代です。ほぼ自分用ですが、復習や美術 館へ行く際に使ってください。 4

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第13回:ロマン主義と写実主義 • フランス革命とナポレオン戦争の反 動として復古的なウィーン体制が成 立した。また、その反動として七月 革命が起こり、さらにフランスでは 二月革命が起き共和制が成立した。 • 新古典主義の反動として、個人の感 情や想像力に重きを置くロマン主義 が興った。また、貧富の差への不満 から現実世界に美を見出そうとする 写実主義(レアリスム)が興った。 ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》

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第14回:印象派 • 19世紀後半では列強体制が緩み、国 家統一を目指す多くの戦争や紛争が 起こった。 • 1880年代になると第二次産業革命な どの影響や植民地の再評価を理由と して帝国主義が席巻したが、その舞 台はアジアやアフリカであったため 大衆文化が成熟した。 • リアリズムを受け継ぐマネを先駆け にして、前衛である印象派が台頭し た。印象派絵画の大きな特徴は光や 動きを表現することに重きを置いた。 モネ《睡蓮》

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第15回:ポスト印象主義・象徴主義・応用美術 • 帝国主義が席巻する中、列強国であるイギ リスとドイツは対立を深めていった。 • ポスト印象主義の画家はあいまいな形態や 精神性の無い絵画といった印象派の問題を 越えるために各人各様の画法を生み出した。 • 印象派と並ぶ一大運動である象徴主義が 興った。これは深い精神性を表現しようと するものだった。 • 彫刻分野ではロダンが活躍し、精神性・造 形性ともに革新的な彫刻を制作した。 • 工業製品の造形性が注目され、応用美術 (デザイン)が生まれた。アール・ヌー ヴォーは有機的なモチーフを用いた美術工 芸運動の一つである。 ゴッホ《星月夜》

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第16回:世紀末美術・フォービズム・キュビスム • 第一次世界大戦が起こり、古い政治体制や 自由主義的な価値観が根底からゆらいだ。 その結果、ヨーロッパの没落やアジア・ア メリカの地位の向上、ソ連の誕生などが起 こった。 • 19世紀末~20世紀初頭に起こった幻想的・ 神秘的・退廃的な性格を有する諸芸術を世 紀末芸術と呼ぶ。 • フォーヴィスムとドイツ表現主義は鮮烈な 色彩と激しい筆致で純粋な色彩の美を求め た。 • キュビスムは形態の革命で、対象を解体・ 再構築して遠近法の解体を図った。 マティス《赤のハーモニー》

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第17回:ロシア・アヴァンギャルド・ダダ・シュルレアリスム • 1929年に世界恐慌が起こり、世界経済が 混乱した。世界は「持てる国」と「持た ざる国」に分かれ、この対立が第二次世 界大戦を引き起こした。 • 機械文明を賛美する未来派がイタリアで 興った。 • ロシア・アヴァンギャルドが起こり、抽 象的なシュプレマティスムと革新的な構 成主義が興った。また、モンドリアンの 抽象画もある種の到達点である。 • 反芸術を標榜するダダと、それに影響を 受け、無意識により現実を超えようとし たシュルレアリスムが生まれた。 デュシャン《泉》

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第18回:抽象表現主義・ポップ・アート • 冷戦が起こり、世界は東西に分かれ た。緊張は⾧く続いたものの、89年 にとうとう終結した。また、この動 きの中で第三世界が台頭した。 • 戦後のアメリカではオールオーバー な画面が特徴である抽象表現主義が 生まれ、またこの潮流への反抗とし て大衆的なモチーフを用いたポッ プ・アートが生まれた。 • 他にもハプニングやミニマル・アー ト、ヌーヴォー・レアリスムなど 様々な潮流が生まれた。 By Roy Lichtenstein http://www.lichtensteinfoundation.org/0117.htm, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=5673384 リキテンスタイン《溺れる女》

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第19回:コンセプチュアル・アート・新表現主義(1) • 60年代後半にコンセプチュアル・ アートが興り、美術作品の観念性は 極地に達した。極めて精緻なスー パーリアリズムもこの流れを受けた ものである。 • シュポール/シュルファスは絵画を 様式から解放し、アルテ・ポーヴェ ラやもの派は素材を素材のまま提示 した。 • 広大な大地に作品を描くアース・ ワークが作られ、作品は必ずしも美 術館やギャラリーに留まるものでは なくなった。 By Tony Godfrey, Conceptual Art, London: 1998, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=6981637 コスース《1つおよび3つの椅子》

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第19回:コンセプチュアル・アート・新表現主義(2) • 禁欲的な潮流への反発から新表現主 義の運動が起こり、具象絵画が再び 注目を集めた。グラフィティが表現 として注目され始めたのもこの頃で ある。 • 80年代からアプロプリエーションの 手法が使われるようになり、イメー ジを「盗用」することによりコンテ クストをかき乱した。 ジェフ・クーンズ《Rabbit》

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第20回:現代における美術(1) • 東西の緊張が崩壊した後、東側諸国の民 主化が進んだ。また、グローバル化によ り貿易が自由化したが、その反面経済格 差も広がった。 • 東西冷戦の二極構造が崩壊し、従来の西 洋中心主義が見直された。その結果、ア ジア・アフリカなど第三世界を受容しよ うとするマルチカルチュラリズムが生ま れた。 • マルチカルチュラリズムの浸透により、 文化的「他者」への関心が高まり、セク シュアリティを問題とした作品が生まれ た。また、90年代の美術においてYBAs は象徴的である。 Felix Gonzalez-Torres Foundation「Candy Works」. https://www.felixgonzaleztorresfoundation.org/works/c/candy-works(参照: 2022年9月8日) フェリックス・ゴンザレス=トレス "Untitled" (Lover Boys)

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第20回:現代における美術(2) • 90年代の映像作品は、それまでの観 念性や抽象性から離れて物語性を求 めるようになった。 • 21世紀の美術は絵画が豊饒な展開を 見せ、ピーター・ドイグや村上隆な どが評価された。 • 急激に経済成⾧した中国は一大マー ケットとなり、様々な表現が生まれ た。 • アートマーケットが膨張し続けるの に反発するようにコンセプチュアル な作品が多く生まれた。 引用元:https://artuk.org/discover/stories/writeon-art-blotter-by-peter-doig ピーター・ドイグ《Blotter》