西洋美術史ゼミ第19回:コンセプチュアル・アートと新表現主義など

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September 03, 22

スライド概要

隔週程度で行っている世界史と西洋美術史の勉強会のスライドです。今回はコンセプチュアル・アートや新表現主義などについて扱っています。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。以下のURLからスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献もこちらに記載しています。
https://github.com/amazuun/Art_of_Europe

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理系の大学生です。近代以降の美術史や思想史、現代美術について興味があります。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。後の物の方が出来が良いので、最新のものを最初に読むことをお勧めします。githubからはスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献は補足資料に記載しています。

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各ページのテキスト
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西洋美術史ゼミ 第19回 コンセプチュアル・アートから現代まで 発表者 あまずん 1

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発表者について あまずん Twitter : @quii_w (メイン) @amazuunsc(サブ) 理系の大学生(数学科)です。 近代以降の美術史や思想史、現代美術について 興味があります。 2

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ゼミについて • 週1回程度で美術出版社「増補新装 カラー版 西洋美術史」を一章ずつ 読み進め、内容をまとめ発表します。 • また、高校世界史に沿う形で当時の 出来事についても説明します。 • そのため、世界史と美術史を同時に 学ぶことができるため、歴史が好き な方も美術が好きな方も学びを深め ることができます。 3

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前回の内容 • 冷戦が起こり、世界は東西に分かれ た。緊張は⾧く続いたものの、89年 にとうとう終結した。また、この動 きの中で第三世界が台頭した。 • 戦後のアメリカではオールオーバー な画面が特徴である抽象表現主義が 生まれ、またこの潮流への反抗とし て大衆的なモチーフを用いたポッ プ・アートが生まれた。 • 他にもハプニングやミニマル・アー ト、ヌーヴォー・レアリスムなど 様々な潮流が生まれた。 By Roy Lichtenstein http://www.lichtensteinfoundation.org/0117.htm, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=5673384 リキテンスタイン《溺れる女》

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本日の内容 美術について • コンセプチュアル・アート • シュポール/シュルファス • アルテ・ポーヴェラ • もの派・具体 • アース・ワーク • 新表現主義 • メディアの多様化 • アプロプリエーション 5

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全体の概略 • 今回はおおよそ冷戦終結までの美術を扱うため、世界史は無し で美術史のみを扱います。 • ポップ・アートまでの芸術はモダニズムに分類されるが、60年 代からはポストモダン・アートへと移行していく。モダニズム の継承と批判から、コンセプチュアル・アートやインスタレー ション、複数のメディアの組み合わせ(インターメディア)、 アプロプリエーションなどの新しい手法が使われるようになる。 そして、その観念性への反発から具象絵画が復権し、この運動 は新表現主義と呼ばれる。 6

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本日の内容 • 美術史:コンセプチュアル・アート • 美術史:シュポール/シュルファスとアルテ・ポーヴェラ • 美術史:アース・ワーク • 美術史:新表現主義 • 美術史:メディアの多様化 • 美術史:アプロプリエーション • 美術史:マルチカルチュラリズム • 美術史:21世紀の美術 7

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コンセプチュアル・アート(1) • 抽象表現主義からネオダダやポップ アート、ミニマル・アートを経て、 60年代後半にコンセプチュアル・ アートが台頭した。 • この運動は、諸運動を通じて高まっ ていった美術の観念性を極端に推し だし、観念こそを作品とした。 By Tony Godfrey, Conceptual Art, London: 1998, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=6981637 コスース《1つおよび3つの椅子》

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コンセプチュアル・アート(2) • ジョセフ・コスースは、『1つおよび 3つの椅子』において本物の椅子、そ の写真、辞書の「椅子」の項目を並 置し、椅子の概念自体を提示して芸 術とは何かを問うた。 • また、河原温も有名である。彼は制 作日をキャンバスに書き入れその日 のうちに完成させる『日付絵画』シ リーズの制作や、世界各地から電報 を送る『I Am Still Alive』という実 践を行った。 By Amerique - self-made photo taken at Chicago Art Institute, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=22842199 河原温《日付絵画》

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コンセプチュアル・アート(3) • フルクサスの一員であり、ジョン・ レノンのパートナーでもあるオノ・ ヨーコもパフォーマンスや観念的な 作品で知られており、コンセプチュ アル・アートの先駆者とされている。 • 観客が彼女の衣装をハサミで切り取 る『カット・ピース』というパ フォーマンスや、鑑賞者が書かれた 命令文を読み、想像することを作品 とした『グレープフルーツ』という アーティスト・ブックで知られる。 By Yes. Yoko Ono, Harry Abrams 2000, p83, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=19480083 オノ・ヨーコ《グレープフルーツ》

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スーパーリアリズム(1) • 同時代のコンセプチュアルな試みと してスーパーリアリズムがある。 • チャック・クロースやリチャード・ エステスが主要な作家だが、彼らは 機械的な手法を用いてキャンバスに 写真を転写した。主題はありきたり な都市風景が多い。 • この手法の結果として、絵画は写真 の平面性を再現し、また感情を排し たものとなるが、この様式はポップ アートやミニマリズムと理念を共有 している。 By Digital photographs by User:Postdlf, 11-11-06; derivative rights in photograph to the left licensed under the terms of the GFDL., CC BY-SA 3.0, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=7928007 クロース《Mark》

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スーパーリアリズム(2) 埼玉県立近代美術館.「上田薫」. https://pref.spec.ed.jp/momas/ueda_kaoru(参照: 2022年8月25日) Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=15172129 上田薫《ジェリーにスプーン C》 エステス《Telephone Booths 》 (注:上田薫は日本のスーパーリアリズムの第一人 者だが西洋美術の文脈からは離れており、筆を用い て作品制作をしている。)

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本日の内容 • 美術史:コンセプチュアル・アート • 美術史:シュポール/シュルファスとアルテ・ポーヴェラ • 美術史:アース・ワーク • 美術史:新表現主義 • 美術史:メディアの多様化 • 美術史:アプロプリエーション • 美術史:マルチカルチュラリズム • 美術史:21世紀の美術 13

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シュポール/シュルファス • 絵画による絵画の自己批評という点 で、もっとも先鋭的な実験を行った のは南フランスのシュポール/シュ ルファス(支持体/表面、 Supports/Surfaces)である。 • この運動は実験的な作品により特徴 づけられる。キャンバスの枠木から の解放や、肉体労働を思わせるスポ ンジを押し付ける単純な反復作業な どにより、タブロー(持ち運び可能 な媒体に描かれた絵)が備える物質 的・形式的な属性を脱構築し、絵画 というジャンルを考察した。 By CeyssonBenetiereUS - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=73382138 シュポール/シュルファスの作品群

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アルテ・ポーヴェラ • 「貧しい芸術」を意味するアルテ・ ポーヴェラの運動は1960年代後半に イタリアで成立した。これはシュ ポール/シュルファスや後述するも の派と関連して論じられる。 • 「貧しい」とは「捨てても惜しくは ない日常的な事物」のことを意味す る。この運動の作家は絵の具や粘土、 ブロンズなど伝統的な美術の画材を 放棄して、自然物や工業製品を身の 回りにあるものをそれほど加工せず に(素材のままで!)提示し、美術 の枠組みの変革を迫った。 マリオ・メルツ《Igloo di pietra》

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もの派(1) • 同時代の日本の運動であるもの派は シュポール/シュルファスやアル テ・ポーヴェラとの類似を指摘され ることが多い。 • もの派の作家は石、木、紙のような 「もの」をほぼ加工せずに展示し、 これによって過度に観念的であった 当時の美術を批判し、「あるがま ま」の世界を感性的に受容する (「出会う」)ことを志向しました。 • 関根伸夫や李禹煥、菅木志雄が有名 である。 Nobuo Sekine - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=400680 12による 関根《位相-大地》

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もの派(2) TOKYO ART BEAT.「「もの派」を代表する作家、李禹煥の待望 の大回顧展」. https://www.tokyoartbeat.com/articles//lee_ufan_national_art_center_tokyo-report-2022-08(参照: 2022年8月30日) 李禹煥《現象と知覚B 改題 関係項》 TOMIO KOYAMA GALLERY.「菅 木志雄 Kishio Suga」. http://tomiokoyamagallery.com/artists/kishiosuga/(参照: 2022年8月30日) 菅木志雄《識況》

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具体(1) • もの派と関連して、戦後日本現代美 術においてもの派と共に二大潮流と して扱われる具体(具体美術協会) について記す。 • この二つの運動は近年再評価がなさ れており、去年にはMoMAの常設展 示にも加わった。 Casa.「抽象画家・白髪一雄、その全容に迫る。」. https://casabrutus.com/posts/128366(参照: 2022年8月30日) 白髪一雄《無題》

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具体(2) • 具体の際立った特徴は二つあり、それは オリジナリティの追求とグローバルへの 意識である。 • 前者については、泥の中に飛び込みもが く白髪一雄『泥に挑む』などがよく知ら れており、後者はアンフォルメルとの接 触や、機関紙の英語併記などがあった。 この結果、彼らは絵画、パフォーマンス、 コンセプチュアルやサイトスペシフィッ クなど、幅広い実験作品で国際的に知ら れている。 • 吉原治郎(創始者)、白髪一雄、田中敦 子、嶋本昭三などが知られている。 NUKAGA GALLERY.「ART FAIR TOKYO 2018 作品紹介 | 田中 敦子」. http://www.nukaga.co.jp/art-fair-tokyo-2018atsuko_tanaka.html(参照: 2022年8月30日) 田中敦子《81A》

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具体(3) 大阪市北区役所.「洋画家・吉原 治良(よしはら じろう) 」. https://www.city.osaka.lg.jp/kita/page/0000000903.html(参照: 2022年8月30日) 吉原治郎《白い地に黒い円》 嶋本昭三オフィシャルサイト.「嶋本昭三代表作品」. http://www.shozo.net/works/index.html(参照: 2022年8月30日) 嶋本昭三《この上を歩いてください》

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本日の内容 • 美術史:コンセプチュアル・アート • 美術史:シュポール/シュルファスとアルテ・ポーヴェラ • 美術史:アース・ワーク • 美術史:新表現主義 • 美術史:メディアの多様化 • 美術史:アプロプリエーション • 美術史:マルチカルチュラリズム • 美術史:21世紀の美術 21

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アース・ワーク • 1960年代末のアメリカで自然を直接 の制作素材とするアース・ワーク (ランド・アート)が発達した。 • 閉ざされたギャラリーや限られた都 市空間から解放されたいという欲求 や商業主義への反発から、芸術家の 制作の舞台は広大な大地へと移り、 大地に人の痕跡を残すことを作品と した。 • その性質から作品はサイトスペシ フィックなものであり、通常写真や 映像によって鑑賞・収蔵される。 ロバート・スミッソン《スパイラル・ジェッティ》

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本日の内容 • 美術史:コンセプチュアル・アート • 美術史:シュポール/シュルファスとアルテ・ポーヴェラ • 美術史:アース・ワーク • 美術史:新表現主義 • 美術史:メディアの多様化 • 美術史:アプロプリエーション • 美術史:マルチカルチュラリズム • 美術史:21世紀の美術 23

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新表現主義(3) • ミニマル・アートやコンセプチュアル・ アートの影響により、70年代前半までの 絵画を支配していたのは禁欲的な絵画で あった。これに反発するように、70年代 末から80年代にかけて、はじめはヨー ロッパで、その後アメリカでも具象的表 現が復権した。 • 地域によってニュー・ペインティング (イギリス)やバッド・ペインティング (アメリカ)などと呼ばれるが、標準 的・包括的な呼称はドイツの新表現主義 (ネオ・エクスプレッショニズム)であ る。 Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=12426299 バスキア《Untitled (Skull) 》

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新表現主義(2) • この潮流の作家はドイツ表現主義な どから影響を受け、人体などの視覚 可能な対象を鮮やかな激しい筆致で 感情的に表現した。 • アンゼルム・キーファー(ドイツ)、 ジャン・ミッシェル・バスキア(ア メリカ)、フランチェスコ・クレメ ンテ、サンドロ・キア(イタリア) などが有名である。 Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=11854256 キーファー《Grane》

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新表現主義(3) FRANCESCO CLEMENTE.「Priapea 1980 Fresco 78 3/4 x 125 13/16 in 200 x 319.5 cm」. http://www.francescoclemente.net/1980s/1.html#(参照: 2022年8月31日) クレメンテ《Priapea》 Sandro Chia.「Paintings 80's」. https://web.archive.org/web/20170409131226/http://www.sandrochia.com/ paintings-1980_131(参照: 2022年8月31日) キア《Incident at the Cafe Tintoretto》

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グラフィティ(1) • 前述したバスキアは、70年代に生ま れたヒップホップ文化の影響を色濃 く受けていた。ヒップホップの4要 素としてDJ、ブレイクダンス、グラ フィティ、ラップがあるが、グラ フィティ出身の現代美術作家も多い。 • 同時代的にはバスキアのほかキー ス・へリングが有名で、現代ではバ ンクシーやバリー・マッギー、大山 エンリコイサムなどが知られている。 By Guglielmo Giambartolomei - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=89230496 へリング《Tuttomondo(英:All World)》

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グラフィティ(2) By Sewperman - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=14889696 By FruitMonkey - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=75290349 バンクシー《Season's Greetings》 バリー・マッギーの壁画

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グラフィティ(3) 大山エンリコイサム《FFIGURATI #184》 Enrico Isamu Oyama .「FFIGURATI #184」. https://enricoisamuoyama.net/ffigurati_184(参照: 2022年8月31日)

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資本主義リアリズム(1) • ドイツの具象絵画の運動として、63 年に成立し、90年代ほどまで続いた 資本主義リアリズムがある。 • ゲルハルト・リヒター、ジグマー ル・ポルケ、コンラート・リューク の3人が掲げたこの運動はアメリカの ポップアートに影響を受けたもので、 伸⾧する消費社会とメディアの飽和 した社会を戦略的に描いた。 Gerhard Richter 2014, Lesende.GERHARD RICHTER, accessed 3 September 2022, <https://www.gerhard-richter.com/en/art/paintings/photopaintings/women-27/reader-8054/?&categoryid=27&p=2&sp=32> リヒター 《Lesende(Reader)》

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資本主義リアリズム(2) By das Templer-Museum Trésor des Templiers - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=70 743271 GREENE NAFTALI GALLERY.「Konrad Lueg」. https://www.greenenaftaligallery.com/artists/konrad-lueg(参照:2022年9月 3日) ポルケ《Propellerfrau》 リューク《Untitled (Gemusterte Plastikfolie, Rosen)》

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資本主義リアリズム(3) Gerhard Richter 2014, Birkenau, GERHARD RICHTER, accessed 4 August 2022, <https://www.gerhardrichter.com/en/art/paintings/abstracts/abstracts-2005-onwards69/birkenau-17971/?&categoryid=69&p=4&sp=32> リヒター《ビルケナウ》 Gerhard Richter 2014, 1024 Farben. GERHARD RICHTER, accessed 3 September 2022, <https://www.gerhard-richter.com/en/art/paintings/abstracts/colourcharts-12/1024-colours-6083/?&categoryid=12&p=2&sp=32> リヒター《1024 Farben(1024 Colours)》

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本日の内容 • 美術史:コンセプチュアル・アート • 美術史:シュポール/シュルファスとアルテ・ポーヴェラ • 美術史:アース・ワーク • 美術史:新表現主義 • 美術史:メディアの多様化 • 美術史:アプロプリエーション • 美術史:マルチカルチュラリズム • 美術史:21世紀の美術 33

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メディアの多様化 • 70年代以降はビデオ、写真、パ フォーマンス、インスタレーション など、美術のメディア(表現媒体) の多様化がさらに進んだ。 • ここでは、ビデオ・アートの象徴的 存在であるナム・ジュン・パイクを はじめ、新奇な表現を行った様々な アーティストについて触れる。 CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=305777 パイク《Pre-Bell-Man》

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ビデオ・アート • 映像機器を用いて映像と音声を扱う ビデオ・アートは60年代に始まり、 機材が低価格化した80年代に制作者 が急増した。 • ナム・ジュン・パイクが開拓者であ り、最も代表的な作家である。彼は テレビなどを用いたインスタレー ションを行った。 • また、90年代アメリカを代表するの 作家であるマシュー・バーニーは、 映像やそれを元にした彫刻などで知 られている。 Libjbr - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15964576 による パイク 《Electronic Superhighway: Continental U.S., Alaska, Hawaii》

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マリーナ・アブラモヴィッチ • マリーナ・アブラモヴィッチは自身 の肉体に暴力を加える過激なパ フォーマンスを行い、社会・政治的 問題を提起した。 • 自らを「もの」とし、鞭やハサミ、 銃を含む72個の道具を自らに対して 使わせる『リズム0』や、(2010年 と最近だが)合計700時間以上も椅子 に座りつづけ、入れ替わる観客と見 つめあう『The Artist Is Present』 などのパフォーマンスがある。 アブラモヴィッチ《The Artist Is Present》

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イリヤ・カブコフ • ウクライナ出身のイリヤ・カバコフ は、50年代から80年代までのソ連で 非公式の芸術活動を行った。 • 彼は絵画やインスタレーション、文 章など様々な表現を行い、日常の事 物をシンプルに提示することで、ソ ビエト体制下の抑圧の記憶を個人史 という形で表した。 越後妻有 大地の芸術祭 2022「手をたずさえる塔」. https://www.echigotsumari.jp/art/artwork/the-monument-to-tolerance/(参照:2022年9月3日) カバコフ《手をたずさえる塔》

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クリスチャン・ボルタンスキー • ユダヤ系フランス人芸術家のクリス チャン・ボルタンスキーは幼少期に 家族からユダヤ人弾圧についての話 を聞かされたことが影響し、生と死、 個人の記憶や忘却、存在と不在を テーマとした、ホロコーストを想起 させるような作品を制作した。 • 代表作は『モニュメント』シリーズ である。この作品は電球と金属のフ レーム、白黒の顔写真を用いたイン スタレーションで、宗教的な記念碑 的空間を作り出した。 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報「現代のモニュメン トから、誰かの記憶を手繰りよせる。クリスチャン・ボルタンスキー展」. https://ginzamag.com/culture/christianboltanski/(参照:2022年9月3日) ボルタンスキー《モニュメント》

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本日の内容 • 美術史:コンセプチュアル・アート • 美術史:シュポール/シュルファスとアルテ・ポーヴェラ • 美術史:アース・ワーク • 美術史:新表現主義 • 美術史:メディアの多様化 • 美術史:アプロプリエーション • 美術史:マルチカルチュラリズム • 美術史:21世紀の美術 39

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アプロプリエーション(1) • 80年代からアプロプリエーション (流用、盗用)と呼ばれる手法が用 いられるようになった。 • この手法はすでに流通している写真 や広告などを「引用」の範疇を超え て作品に取り込み、文脈を書き換え 再提出するというもので、これによ り記号的イメージを増殖させ、オリ ジナルの概念を問うた。 • ネオ・ポップとThe Picture Generation(訳不明)の潮流がある。 ジェフ・クーンズ《Rabbit》

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アプロプリエーション(2) • 以下の作家が有名。 • 1980s(シミュレーショニズムとも呼ばれる) 1. シンディ・シャーマン(様々なキャラクターに扮した自分を被写体 としたセルフ・ポートレート) 2. バーバラ・クルーガー(白黒写真と宣言的キャプションのコラー ジュ) 3. リチャード・プリンス(タバコの広告などアメリカ的理想の再撮 影) 4. ジェフ・クーンズ(ウサギや犬などの玩具をモチーフにしたステン レスの彫刻) 5. シェリー・レヴィーン(写真の巨匠の作品を撮影し、これをそのま ま作品としたほか、デュシャン『泉』をブロンズで模倣した)

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アプロプリエーション(3) By Cindy Sherman - http://www.christies.com/lotfinder/lot/cindysherman-untitled-96-5559186-details.aspx, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=43686616 シンディ・シャーマン《無題#153》 By Cindy Sherman - http://www.christies.com/lotfinder/lot/cindy-sherman-untitled-965559186-details.aspx, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=42180304 シンディ・シャーマン《無題#96》

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アプロプリエーション(4) RICHARD PRINCE「COWBOYS)」 http://www.richardprince.com/photographs/cowboys/#/detail/1/(参照: 2022年9月3日) リチャード・プリンス《無題(カウボーイ)》 THE BROAD「Untitled (Your body is a battleground)」 https://www.thebroad.org/art/barbara-kruger/untitled-your-bodybattleground(参照:2022年9月3日) バーバラ・クルーガー《無題》

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アプロプリエーション(5) By Original work: Sherrie LevineDepiction: 19h00s - Own work, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=71330025 By Hesperian Nguyen - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=93141718 シェリー・レヴィーン シェリー・レヴィーン 《After Walker Evans: 4 》 《Fountain (Buddha)》

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本日のまとめ(1) • 60年代後半にコンセプチュアル・ アートが興り、美術作品の観念性は 極地に達した。極めて精緻なスー パーリアリズムもこの流れを受けた ものである。 • シュポール/シュルファスは絵画を 様式から解放し、アルテ・ポーヴェ ラやもの派は素材を素材のまま提示 した。 • 広大な大地に作品を描くアース・ ワークが作られ、作品は必ずしも美 術館やギャラリーに留まるものでは なくなった。 By Tony Godfrey, Conceptual Art, London: 1998, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=6981637 コスース《1つおよび3つの椅子》

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本日のまとめ(2) • 禁欲的な潮流への反発から新表現主 義の運動が起こり、具象絵画が再び 注目を集めた。グラフィティが表現 として注目され始めたのもこの頃で ある。 • 80年代からアプロプリエーションの 手法が使われるようになり、イメー ジを「盗用」することによりコンテ クストをかき乱した。 ジェフ・クーンズ《Rabbit》

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次回の内容 • 次回はマルチカルチュラリズムなど、 現代における美術について扱います。 • 時代が進むにつれて多様性への理解 が進み、未だ完全にとはいかないに せよ、アジア・アフリカの作家や女 性作家の地位が認められるように なっていく。これにより、必ずしも 西洋的・男性的文脈に依存しない多 様な表現が生まれることとなる。 • 関連ワード 1. ハースト《生者の心における死の物 理的不可能性》 By bloggers.it April 6, 2006, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=4651381 ハースト《生者の心における死の物理的不可能性》